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白血病研究から骨髄腫研究へ

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Academic year: 2021

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白血病研究から骨髄腫研究へ

私は昭和 53年群馬大学医学部を卒業し直ちに第三内 科へ入局致しました. 当時の第三内科には前川正教授, 成清卓二助教授 (腎臓病学),小峰光博講師 (血液生化学), および小林紀夫講師 (血液凝固学) らの錚々たるたるス タッフがおられ, 精力的に研究が行われていました. 第三内科では卒後 3年目に所属研究室を決めて研究を 始めることになっていました. しかし, 私個人は研究者 というよりは臨床家として将来は地域中核病院に勤務し ようと えておりました.そこで,前川先生に「臨床家に なるのだから,研究には興味ない.」と申し上げました.す ると, 研究は臨床家にとっても大変重要です. ある研究 課題を見出し, 文献を調べて, 解析法を え, 実験をして 結論を導き出す. 最後にデータをまとめて誌上報告をす る. これらの過程は診療の場でもまったく同様です. つ まり, 患者さんの問題点を見出し診断し, 医学書や論文 を読み, それをもとに治療法を選択し患者さんに説明し て行う. そして, その結果が良ければ世間に論文 (症例報 告) として 表する. 研究することは臨床家の成長に とって大切ですよ.」と言われました. 私は, なるほど」 と納得して, 白血病・骨髄異形成症候群における血球の 電子顕微鏡的観察」をテーマに研究を始めました. 同時 に急性白血病治療成績の集計にも加わらせていただきま した. 1984年には群馬県の成績をまとめて「急性非骨髄性白 血病再発例の治療成績」として日本臨床血液学会誌に投 稿いたしました. その結果, 厚生省白血病班会議のご推 薦を受け, 日本全国の白血病治療成績をまとめ日本血液 学会 会シンポジウムで発表させていただきました. この時の急性骨髄性白血病の 5年生存率は約 15%であ り, 現在の約 40%と比べると隔世の感があります. また, 白血病臨床研究 と並行して, 群馬大学名誉教授 の土屋純先生が「日本骨髄腫研究会」幹事であったこと より, 同研究会の臨床研究データの収集もお手伝いする ようになりました. これらの調査票にデータを記入して いてふと気づくことがありました. 当時はメルファラ ン・プレドニゾロン療法が主に行われており, 生存期間 中央値が約 3年であるとされていました. しかし, 群馬 県の調査表を見ていると, 1年未満で亡くなる患者さん から 10年以上全く生活に支障なく生存されている方, また再発しても何回も寛解に入り長期生存している方な ど非常に個人差が大きいことに気づきました. そこで, 骨髄腫患者さんにおける予後因子の解析に興味をもつよ うになり, 10年長期生存や早期死亡の予測因子の解析を 行いました. これには白血病予後解析で学んだ統計解析 法が大いに役立ちました. さらに, 日本骨髄腫研究会参 加施設における 10年以上長期生存例の解析にも参加さ せていただきました. この成果は同研究会初の英文論文 として British Journal of Haematology に掲載されまし た.

この後, 予後規定因子のひとつとして骨髄腫細胞の形 態も重要であることを Mayo Clinicの Greipp先生の論 文で知りました. 先生は, 骨髄腫細胞を成熟型, 中間型, 未熟型, 形質芽球型の 4型に 類し, 形質芽球型の予後 が悪いことを報告していました. 私も同様な骨髄腫形態 類を行い, 未熟型と形質芽球型の予後が悪いとの結論 を得て発表していました. この研究が縁となり, 2001年 にカナダのバンフにおける国際骨髄腫ワークショップで 71 Kitakanto Med J 2011;61:71∼72 1 群馬県前橋市昭和町3-39-22 群馬大学医学部保 学科検査技術科学専攻応用検査学講座 平成22年10月28日 受付 論文別刷請求先 〒371-8511 群馬県前橋市昭和町3-39-22 群馬大学医学部保 学科検査技術科学専攻応用検査学講座 村上博和

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Greipp 先生と面識を得ることが出来ました. この時, 国 際骨髄腫ワーキンググループ会議にも参加させていただ き, 欧米の骨髄腫臨床研究の熱さに感動し, 以後はます ます骨髄腫研究に没頭するようになりました. さらに, サリドマイドが難治性骨髄腫患者さんに有効 であることを知り, 群馬大学グループでもサリドマイド 臨床試験を始めることとしました. しかし, サリドマイ ドは胎児奇形という重大な薬害をおこした経歴があり, IRBや倫理委員会では大変厳しいご意見をいただきま した. しかし, 何とか皆さんにご理解いただき 2002年か ら臨床試験を開始いたしました. 現在サリドマイドは 再発・難治骨髄腫に保険適応となり広く 用され, 多く の患者さんに恩恵を与えています. 今後は臨床研究のみ ではなく, 第三内科の後輩や保 学科大学院生とともに 骨髄腫の病態解析と新規治療薬の開発をめざして基礎研 究にも力を入れていくつもりです. また, 私は保 学科に所属していますので, 小河原は つ江教授とともに保 学研究として環境やストレスがヒ ト免疫能に与える影響を検討しております. 保 学は発 展途上の学問でありますが, 教員全員で協力してその発 展に寄与したいと えています. 文 献

1. Murakami H,Hiraoka A,Nakura A et al. Multivariate analysis of factors associated with prognosis for adult leukemia. Acta Haematol Jpn 1988; 51: 1607-1616. 2. Matsushima T, Handa H, Yokohama A, et al.

Preva-lence and clinical characteristics of myelodysplastic syn-drome with bone marrow eosinophilia or basophilia. Blood 2003; 101: 3386-3390.

3. Tsuchiya J, Murakami H, Kanoh T, et al. Ten-year survival and prognostic factors in multiple myeloma. Brit J Haematol 1994; 87: 832-834.

4. Murakami H, Kawada T, Saitoh T et al. A staging system for multiple myeloma based on the morphology of myeloma cells. Eur J Haematol 1999 ; 62: 63-67. 5. Murakami H, Handa H, Abe M, et al. Low-dose

thalidomide plus low-dose dexamethasone therapy in patients with refractory multiple myeloma. Eur J Haematol 2007; 79 : 234-239.

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