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自殺者遺族が必要とする看護ケアのニード : 自殺対策のケア提供者によって語られた遺族ケアの困難さ

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Academic year: 2021

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(1)

自殺者遺族が必要とする看護ケアのニード : 自殺

対策のケア提供者によって語られた遺族ケアの困難

著者

櫻井 信人, 粟生田 友子, 浦山 留美

雑誌名

看護研究交流センター年報

18

ページ

3-4

発行年

2007-09

URL

http://hdl.handle.net/10631/372

(2)

平成18年度新潟県立看護大学看護研究交流センター年報 自殺者遺族が必要とする看護ケアのニード

-自殺対策のケア提供者によって語られた遺族ケアの困難さ-櫻井信人,粟生田友子,浦山留美

キーワード:自殺,自殺者遺族,遺族ケア,ニード

目的 本研究は,自殺者遺族が必要とする看護ケアや効果的なケアシステムを検討していくために,まず 基礎段階として地域における自殺者遺族へのケアの現状を,保健師などのケア提供者の視点から明ら かにすることを目的としている. 研究方法 保健師を中心としたケア提供者への面接に基づく質的記述的研究である.データ収集方法は,個別 による半構成的インタビューを基本とし,実際に自殺者遺族と関わった事例と自殺対策活動の現状に ついて自由に語ってもらった. 結果 対象者は9名(保健師8名,保健福祉指導員1名)であった.面接は個別が5件,対象者の希望に よる2名のグループ面接が2件あり,面接の中で語られた自殺者遺族の事例は12例であった.デー タはすべて逐語録にし,(1)自殺対策のケア提供者から見た遺族の思いと体験,(2)実践活動の中 で感じている遺族ケアの困難さを抽出した. ケア提供者により語られた自殺者遺族の事例の体験からは,どの遺族にも類似していた体験と遺族 の個別の体験に分けられた(表1).

表1ケア提供者が語った遺族の思い

遺族に類似していた体験 ① 「時間の停止」,「死の原因を探る」 ② 「気拝の区切り」:諦めをつける時があり,これはどのようなきっかけで訪れるか推測できない. ③ 「連続した振り返り」:繰り返し起こる振り返りの時間があるが,なかなか解決する糸口がない. 遺族の個別の体験 ④ 「時間の経過による思いの硬直と変化」:遺族が過ごす時間を剖固によってかなり異なっている。 「10年経っても忘れられるものじゃない」,「死にたかったって言ってたからしょうがない」 ⑤ 「あきらめる」「受け入れる」:状態自体の違い 「落ち着いて考えられる」,「仕方がないとあきらめる」,「あきらめきれない」 ⑥ 「死に至った原因」「死に方」「生前の関係」:ヒストリーによって,遺族としての感情に大きな隔たりがある. 「恨み」,「後悔」,「亡くなって良かった」 「息もできないような気持ちになる」,「自殺現場を毎日見ることが辛い」 「話をしたかった」,「自殺の家だと言われる」

さらにケア提供者の語りからは,現状の困難さとして,1.情報の入りにくさ,2.遺族ケアへの

介入のしにくさ,3.自殺者遺族へのケア活動の不足,が上げられた(表2).

(3)

-3-表2 自殺対策のケア提供者の語りより得られた現状の困難さ 遺 族ケアの 困難 さ 語 りの部分 ①  情報 の入 りに くさ 「遺族 か らつ らいって言 って くれれ ば受 け入 れ る気 持 ちは十分 ある んだ 自殺後, 遺 族が苦 しんでいた として も, それ け ど, そ れを表明 して もらわな いと.」「家族構 成な ど田舎方 面だ とわ か り に気づ く ことが難 しい. そ のため介入 に入れな ます け ど, 市街地で は全 く分か らな いですね.」 「(自殺 され た情報 は 民 い. 生委 員 さん か ら入 って きま した.」 ②  遺族 ケアへの介入の しに くさ 「検診 や 身体疾患で の訪 問を理 由に して入 って いく.」 (1) 遺 族 との関係 性が構築 されて いない。 「自殺の話 題揉触れ に くい. 知 って いて も触 れ られ ない雰囲気 .」 (1) 自殺が タ ブー視 された り, 偏見 を受 けやす 「(保健師 自身 も) 故意 に触れち ゃいけな い. 悪 い というか , 触れ ちや い い. けない部 分.」 ③  自殺者 遺族へのケ ア活動 の不足 「自殺者遺族 との関わ りはなか った.」 現 在 の 自殺 対策 は予 防 に重点 が 置か れ て い 「そ の人 の生活支援 に関す る協力って いう事 では, 医療機 関 とあ ま り連 携 る. マ ンパワーや ケア量 もあ り, 遺 族ケ アと し とれな いんですね.」 ての活動 はされて いな い. 「(市街地 と田舎で は) 保健師 一 人に対 す る人 口比率 が全 然達 うんで す よ.」 「ず っと関わって きた事 例だ と, 自殺 され た時の (保健 師 自身の) シ ョッ ク も大 きいです.」 考察 ケア提供者が語った遺族の思いによって導き出されたケアニードには,全ての遺族に対して止まってし まう時間の中で,感情を吐き出す,分かち合うなどの語りの場が必要であり,その中で個別の体験に対す る具体的なケアが提供されることが必要であると考える. 自殺者遺族ケアの困難さについては,情報の入りにくさが大きな要因であると考えられる.自殺と いう性質上,遺族が苦しんでいたとしても,その情報が入ってくることは少なく状況を把握すること が難しい.そのためケアをしたいという思いがあったとしても介入できない現状があった.「方,地 域の大きさによっては情報が入りやすく,保健師としても遺族の状態をつかみやすいことが示された.そ の状況把握のきっかけとしては,近隣住民や特に民生委員の力が大きく,自殺者遺族ケアにあたっては民 生委員等との連携が重要であると考えられた. さらに自殺に対する介入の難しさも認められた.自殺者遺族,地域,保健師の自殺に対する考え方が自 殺対策活動に影響する(松川,2006)と述べてられているように,本研究においても遺族や地域住民だけ でなく,保健師などのケア提供者自身の自殺に対する認識を含め,自殺者遺族ケアへの介入のしにくさに 繋がっていると考えられた. 結論 自殺者遺族のケアは情報が入りづらく,保健師単独での活動には限界がある.自殺者遺族のケアでは, 医師や看護師に加え民生委員等も含めたネットワーク作りが必要である. 自殺者遺族の苦しみは,自殺に対する偏見が大きい.そのため遺族は自殺のことを口に出すこともでき ないことが多かった.自殺に対する正しい情報の普及,偏見を減らすような意識の変容も必要である.そ の対象は地域住民だけでなく,保健師などケア提供者自身も含まれる. 文献 松川久美子(2006):地域保健におけるポストペンションとしてのアプローチの可能性,自殺予防と 危機介入,27(1),71-80.

参照

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