〈
論
説
〉臓器移植法の日独比較
││同意規定と臓器売買の禁止に関して││
l
I
E, ,
J浩
口
43一一『奈良法学会雑誌』第10巻2号 (1997年9月)問題の所在
( 1 )周知のように日本では、今年(一九九七年)になって臓器移植法が成立して長年の論争に一応の決着を見た。興味
深いことにドイツにおいてもほぽ同時期に新臓器移植法が連邦議会で可決され、九月二六日に連邦参議院の同意を得
( 3 )て成立した。両国において共に脳死が人の死かということが重要な論点とされ、共通した議論もなされたが、歴史的
背景にも、また成立した法律にも本質的な相違が存在することも看過されてはならない。そこで両法を比較するため
の枠組みを提示するために、これまでの議論における臓器移植法の論点とモデルを提示しておく。そこでは大きな論
点として、次の二つの論点が集中的に議論されてきた。
( 1
)
脳死は人の死か?という問題と
( 2
)
同意の方式
第10巻2号一-44
そして後者の問題については、次のようなモデルが提示されてきた。
同
意
モ
デ
ル
(
田
口
項
目
]
]
日
間
己
口
問
氏
。
E
D
m
一一摘出のためには明示的同意が必要である。)
①
a
﹁狭い﹂同意モデル
( E
g m
ぺ
田
口
包
臣
官
話
回
忌
∞
E
m
←本人の同意のみ)
①
b
﹁広い﹂同意モデル
( E
q
毛
色
芯
ユ
ペ
田
口
呈
邑
習
指
己
。
∞
E
m
←本人意思表示なき時には家族の同意)
( 4 )反
対
意
思
表
示
モ
デ
ル
(
当
庄
司
苦
言
門
町
田
宮
田
S m
h
反対意思表示がなければ摘出可能である)
①
②
そして従来は、特殊な文化的背景のある日本以外の欧米では
(
1
)
の脳死の問題はすでに解決済みで、特に
(
2
)
の
問題について、①をとる英米法系と②が優勢なヨーロッパ大陸法系の対立があるとされてきた。後者のヨーロッパの
状況を概観しておくと、
ヨーロッパ評議会の勧告もありフランス・スカンジナビアを中心とした②モデルが優勢なこ
とは確かであり、最近まで立法がなかったのは、ドイツとオランダおよびアイルランド・スイスのみであったが、
オランダでも最近立法化がなされ、今回のドイツによって
EU
の主要国ではすべて臓器移植法が制定されたことになり、
ま
た
(
1
)
の問題についても議論があったことは特に注目されるところである。
ところで私見によればこのような一般的なモデル論の背景にいわば真の論点、即ちそれを支える実質的な思想とし
( 5 )て次のの三つの考え方がある。
1
自己決定モデル
( 2
)
連帯モデル
( 3
)
家族モデル
今回の日本の立法は脳死についても自己決定モテルの考、ぇ方を反映させたことに特色があるといえよう。
日虫乃比交 X 3 6 1 l J 面 すを行う際にもこのモデルに基づく分析は有用であると思われる。わが国では脳死が人の死であるかどうかという問題
がクローズアップされる嫌いがあるが、このモデル論との関連で重要なのはむしろ同意要件である。そこで本稿では、
この同意要件の問題と、わが国ではまだ十分に議論されていない臓器売買の禁止規定の問題について両国の新立法を
比較し、脳死などのその他の重要問題については続稿で考察することにする。
歴史的展開
まず年表に基ず両国の臓器移植に関する法的問題の歴史的展開を概観しておく。
脳死を前提とした心臓等の移植は両国とも一九六八年に開始されたが、
日本においては周知の和田事件において決
定的な医療不信が生じ、心臓移植は再開されなかった。このことによって脳死体からの移植はタブ
l
化されてしまっ
た。脳死判定などの手続が遵守されなかったことに最大の問題があったといえよう。ドイツでも同時期にの三
m O
B m
ロ ロ
事件が発生したが、同意に問題があったものの脳死判定については当時の手続に従ったものであった。ドイツではそ
一九六八年から一九九五年までの臓器移植数は、
心臓移植が四二二五件、肝臓移
の後、脳死体からの移植は定着し、
( 6 )植が四
O
O
二件に及んでいる。その後、ドイツでは脳死は一般にも受け容れられた形となり、議論の中心は同意要件
45一一臓器移植法の日独比較に移行した。これに対して日本では脳死の問題が最後まで中心論点となった。日本におけるその後の重要な出来事は、
一九七九年のいわゆる角腎法の制定である。ここでは脳死を前提としない死体からの摘出について、少なくとも文言
上は家族の同意のみで可能とする家族モデルが採用されたことが注目される
0・これに対してドイツでは同時期に一般
的臓器移植法制定の動きが高まり、議会でも法案が提出され、議論がなされたが、
本とした同意(承諾)
そこでの論点は自己決定思想を基
( 7 )モデルを採用するか、連帯思想を背景とした反対意思表示モデルを採用するかであった。しか
し深刻な見解の対立のため立法は結局失敗に終わった。そして実務では広い同意モデルに基づいた脳死移植が続けら
第10巻2号一一46 両国の歴史的展開の概略
年表
心臓移植開始されるGutgemann
事 件 脳死移植の定着化 立法化の動き 同意要件をめぐる争い(同意モデルvs
反対意思表示モテール)→廃案 角膜移植法 和田心臓移植事件 角膜・腎臓移植法1
9
5
8
1
9
6
8
1
9
6
9
1
9
7
9
哲学的脳死批判(Hans
Jo
n
a
s
)
E
r
l
a
n
g
e
n
事 件 神学者・緑の党などによる脳死反対 論 竹内規準公表 立花径の批判 脳死臨調最終報告1
9
8
5
1
9
8
6
1
9
9
2
ラントレベルでの立法の動き-6-25
可 決-9-26
臓器移植法.連邦参議院 で承認.成立(一12-1
施行) 臓器移植法,連邦議会で-4-12
臓器の移植に関する法律 案(一次草案)3-17
日本弁護士連合会修正案 (日弁連案)-12-11
臓器の移植に関する法律│連邦議会での議論 案(二次草案)-3-31
脳死を人の死としない臓 器移植法をめざす議員の会草案(金 田案)6-16
臓器の移植に関する法律 (参院修正案)が両院で可決7-16
臓器の移植に関する法律 が公布00-16
施行)1
9
9
4
1
9
9
6
1
9
9
7
1
9
9
5
れ
た
。
一
九
八
0
年代に
入り日本では脳死移植
再開への動きが見られ、
一九八五年にいわゆる
竹内基準が公表された
が、それに対して立花
隆氏が批判を加え、論
点は脳死基準に移って
いった。そして一九九
二年に脳死臨調が最終
報告を出し、多数意見
は脳死を人の死である
とし脳死移植を容認し
たのに対し、少数意見
は脳死は人の死ではな
いとしたが、本人の同
意がある場合にのみ摘
出可能であるとした。
これに伴い学会では脳死説、違法阻却説、脳死選択説などの学説が主張されたが、通説は脳死説に傾斜した。ドイツ
でも特に一九九
0
年代に入ってから脳死批判説が見られるようになった。その契機としてよく指摘されるのは一九九
( 8 )二年の脳死妊婦の出産のための生命維持の可否が問題となった開ユ自一
m
g
事件であるが、それ以前から特に哲学者や
( 9 )神学者による原理的な脳死説批判があった。私見では、特にドイツ思想界に有名な著書﹃責任の原理﹄で大きな影響
( 叩 ) ( 日 )を与えた哲学者同町富田守口告の脳死批判論の影響があったのではないかと思われる。このような批判を背景として
( ロ )
ドイツでも脳死を人の死とせずに、本人の同意がある場合にのみ摘出を認めるという考え方が主張され始め、今回の
立法議論でも論点となった。
方日本では、脳死臨調の答申を受け一九九四年にようやく議員立法による脳死を人
の死であることを前提とする臓器移植法案が提出されたが政治的混乱のため審議されないまま長期間放置された。そ
の内容も、同意要件についてなお家族モデル的色彩の強い問題のあるものであり、弁護士会等から批判を、つけた。こ
のような状況の中で両国とも一九九七年に法律が成立することになったが、
その内容については次節で検討する。
ド
イ
ツ
の
新
臓
器
移
植
法
の
同
意
規
定
の
特
色
47一 一 臓 器 移 植j去の日独比較今回の立法提案においては、最終的に
(
1
)
脳
死
説
の
可
否
、
(
2
)
﹁狭い﹂同意モデルか﹁広い﹂同意モデルかという
二つの論点が焦点になり、採決についてもそれぞれ行われた。
(
1
)
については①脳死は人の死であることを前提とす
( 日 )る案と②脳死は人の死ではないことを前提とする案が提出され、
(
2
)
については、①本人の意思がない場合に近親者
による同意を認める﹁広い﹂同意モデルに基づく案と②本人の明示の同意がある場合に限る﹁狭い﹂同意モデルに基
( M )づく案が出された。そして脳死は人の死であることを前提とし、﹁広い﹂同意モデルに基づく案が採択された。その結
果成立したドイツにおける同意規定は次のようなものである。
第10巻2号一一48 臓器提供者の同意による臓器摘出 臓器の摘出は、四条に異なる規定がない限り、次の場合にのみ許容される。 1 臓器提供者が、摘出に同意し、 2 臓器提供者の死が、医学の認識の状況に対応した規則によって、認定され、かっ 3 当該侵襲が医師によってなされた場合 臓器の摘出は、次の場合には許容されない。 ーその死が認定された者が、臓器の摘出に反対意思表示をした場合、 2 臓器提供者において、最終的な、大脳、小脳および脳幹の全機能の修復不能な消 失が、医学の認識の状況に対応した子続規則によって、臓器提供の前に認定され ていない場合 当該医師は、臓器提供者の近親者に意図された臓器提供を通知しなければならない。また医師は、臓器摘出の経過と範囲を記 録しなければならない。近親者は、隠覧権を有する。近親者は、その信頼する者に助言を求めることができる。 第四条他の者による同意による臓器摘出 臓器摘出をするべき医師に臓器提供者となりうべき者の書面による同意も書面による反対意思表示も摘出されていない場合に は、近親者に、その者が臓器提供の意思表示をしていたかどうかを質問することができる。近親者にもそのような意思表示が 知られていない場合には、摘出は、三条一一項二号、三号およぴ二項の要件の下で、医師がその近親者に当該臓器摘出を通知し かっその同意を得た場合にのみ許容される。近親者は、その決定に際して臓器提供者となりうべき者の推定的意思を尊重しな ければならない。当該医師は、近親者にそのことを指示しなければならない。当該近親者は、医師と、一定の、合意された期 間内にその意思表示を撤回することができる。 本法の意味における近親者とは、次に列挙する順位における者である。 配偶者 第三条 ① ② ③ ① ②
2 成人の子 3 両親または、臓器提供者となりうべき者が死亡時に未成年でありかっその者の監護権がその時点で、両親の片方、後 見者、世話人にのみある場合は、その監護権者 成人の兄弟姉妹 4 ④ ③ 祖父・祖母 当該近親者は、臓器提供者となりうべき者の前の最近二年以内にその者とコンタクトを持っていた場合にのみ、一項によ る決定についての権限を持つ。医師は近親者への質問によってこのことを確認しなければならない。同順位の近親者が複数 いる場合は、その者の内の一人が一項により関与しかっ決定を行えば、十分であるが、但しその内の何れかの者が反対意思 表示をした場合は、それを尊重しなければならない。上順位の近親者が相当な期間内に到達不能な場合は、到達可能な次順 位の近親者の関与と決定で十分である。臓器提供者となりうべき者とその死の時点まで特別な人的関係を明らかに持ってい た成人の者は、近親者と同視され、近親者と並ぶ地位を持つ。 臓器提供者となりうべき者が臓器摘出の決定を一定の者に委任している場合は、その者が近親者に代わる地位を持つ。 医師は、近親者および二項六文および三項による者の関与の経過と内容と結果を記録しなければならない。二項およびコ一項に 規定された者は、閲覧権を有する。一一項五文による合意は、書面でなされなければならない。 5 49一一臓器移植法の日独比較 し か し こ の 新 し く 成 立 し た 同 意 規 定 を ど の よ う に 解 釈 す る か に は 問 題 が あ ろ う 。 特 に 重 要 な の は 家 族 の 同 意 の 佐 置 づ け で あ る 。 こ の 点 で 特 に 問 題 な の は 第 四 条 の ﹁ 近 親 者 に そ の よ う な 意 思 表 示 が 知 ら れ て い な い 場 合 に は 、 摘 出は、:::医師がその近親者に当該臓器摘出を通知しかっその同意を得た場合にのみ許容される。近親者は、 その決 定 に 際 し て 臓 器 提 供 者 と な り う べ き 者 の 推 定 的 意 思 を 尊 重 し な け れ ば な ら な い 。 当 該 医 師 は 、 近 親 者 に そ の こ と を 指 一不しなければならない。﹂という部分の解釈である。ここでは家族が、推定的意思も全く不明の場合に最終的には独自
第10巻2号 一 一50
の判断で決定できるのかが争点となろう。この点に関し連邦議会に提出された理由書では﹁たとえ推定的意思につい
ての何らの手掛かりがない場合であっても、近親者は、自己の、倫理的な責任を負った裁量に従ってその死者への配
( 日 )慮権
(
4
2
2
8
括
2
2
F
C
の枠内において決定を行うことができる﹂としている。従って立法者意思はこの場合に限り
独自の決定が可能であるとするものと考えられるが、その場合においても全く無制限ではないことにも留意しなけれ
ばならない。ともかくドイツ法においては本人の書面による同意がない場合にも、本人意思をできるだけ推測しよう
と
努
力
し
、
そのために本人と十分にコンタクトを持った近親者による本人意思の確認を義務づけた上で、
そこまでし
ても本人意思が不明の場合にのみ、近親者による独自の同意を認めたものであるといえよう。もちろんこの最後の点
は、限定された場合であるとはいえ、自己決定モデルからの逸脱(家族モデルによる補充)と評価できるかもしれな
ぃ。しかし他方ドイツの臓器移植法が本人の自己決定をできるだけ尊重しようとしている点も見逃してはならないよ
うに思われる。この点日本でかつて議論された付度モデルとの関係が問題となろう。
いずれにせよドイツ法は家族に
よる同意の際にも本人の意思の配慮を義務づけており、基本的には自己決定モデルをとっているといえよう。
四
日
本
の
新
臓
器
移
植
法
同
意
規
定
の
特
色
これに対して日本の新臓器移植法は一見自己決定モデルをとっているように見えるが、家族の拒否権が留保されて
いる点で、なお家族モデルの要素が強く現れているといえよう。この本人が自己決定を行っている場合でも家族が拒
否できる家族モデルの要素は、ドイツ法と比較した場合の日本的特色をなしている。以下でこれまでに提案されてき
た主な規定をで比較するが、すべての案に家族モデルの考え方が現れている点が注目される。
これらの諸案における論点は①脳死を人の死とするかどうかという点と②同意要件(誰の同意が必要か)という問
題であったが、国会における議論なども①の問題に集中し、②の問題については、実は第一次草案と第二次草案聞に 非常に重大な変更、 即ちいわゆる広い同意モデルから狭い同意モデルへの変更がなされたにもかかわらず、 それほど 活発な議論はなされなかった。しかし実務上はむしろこの②の問題の方が重要であると思われるので、この点に関す る規定の変遷を見ておこう。 ( 凶 ) まずいわゆる第一次草案において、同意要件は次のように規定されていた。
( 1
)
第六条(臓器の摘出) ①医師は、次の各号のいずれかに該当する場合には、移植術に使用されるための臓器を死体(脳死体を含む。以下問じ。)から摘 出 す る こ と が で き る 。 51一一臓器移植法の日独比較 ③ ② 死亡した者が生存中に当該臓器を移植術に使用されるために提供する意思を書面により表示している場合であって、その旨 の告知を受けた遺族が当該臓器の摘出を拒まないとき又は遺族がないとき。 死亡した者が生存中に当該臓器を移植術に使用されるために提供する意思を書面により表示している場合及ぴ当該意思がな いことを表示している場合以外の場合であって、遺族が当該臓器の摘出について書面により承諾しているとき。 前項に規定する﹁脳死体﹂とは、脳幹を含む全脳の機能が不可逆的に停止するに至ったと判定された死体をいう。 前項の判定は、一般に認められている医学的知見に基づき厚生省令で定めるところにより、行うものとする。( 2
)
( 口 ) しかしこれに対して日弁連案は、次のようないわゆる違法阻却説に基づく規定を提案した。 第六条 ( 死 体 か ら の 臓 器 の 摘 出 ) 医師は、次の各号のいずれかに該当する場合には、移植術に使用されるための臓器を死体から摘出することができる。 一死亡した者が生存中に当該臓器を移植術に使用されるために提供する意思を書面により表示しているとき。ただし、その旨 の告知を受けた遺族(配偶者、一親等の血族}の一人が当該臓器の摘出に異議を表明したときは摘出してはならない。第10巻2号一一ー52 死亡した者が生存中に当該臓器を移植術に使用されるために提供する意思を書面により表示している場合及ぴ当該意思がな いことを表示している場合以外の場合であって、遺族(配偶者、一親等の血族)が当該臓器の摘出について書面により承諾 し て い る と き 。 第六条の二(脳死状態にある者の身体からの臓器の摘出) ①医師は、脳死状態にある者が、当該臓器を移植術に使用されるために提供する意思を書面により表示している場合には、移植 術に使用されるための臓器を脳死状態にある者の身体から摘出することができる。ただし、その旨の告知を受けた遺族(配偶 者、一親等の血族)の一人が当該臓器の摘出に異議を表明したときは摘出してはならない。 ②前項に規定する﹁脳死状態﹂とは、次の各号の判定基準を満たすものと判定された状態をいう。 一 深 昏 懸 四 自発呼吸の消失 瞳孔が拡大し、両孔径とも左右四ミリ以上になっていること 脳幹反射(対光反射、角膜反射、毛様脊髄反射、眼球頭反射、前庭反射、咽頭反射、咳反射)の消失 五 平坦脳波 ノ 、 脳血流の停止 聴性脳幹誘発反射の消失 上記のほか厚生省令で定めるもの 七 こ こ で 注 目 さ れ る の は 脳 死 以 外 の 場 合 に お い て は 、 な お 本 人 意 思 不 明 の 場 合 に は 遺 族 の 書 面 に よ る 同 意 で 摘 出 を 認 め て い る 点 で あ る 。 さ ら に 、 脳 死 以 外 の 通 常 の 死 体 か ら の 臓 器 摘 出 に つ い て は 、 本 人 の 意 思 表 示 が な い 場 合 に は 遺 族 の 同 意 に よ る 摘 出 を 認 め て い る 点 も 注 意 し な け れ ば な ら な い 。 ( 刊 日 ) こ の よ う な 対 案 を 考 慮 し て か 、 第 二 次 草 案 に お い て は 次 の よ う な 同 意 要 件 に 関 す る 決 定 的 な 変 更 が な さ れ た 。
(
3
)
第六条(臓器の摘出) ①医師は、死亡した者が生存中に当該巌器を移植術に使用されるために提供する意思を書面により表示している場合であって、 その旨の告知を受けた遺族が当該臓器の摘出を拒まないときまたは遺族がないとき、移植術に使用されるための臓器を死体(脳 死体を含む。以下向じ。)から摘出することができる。②前項に規定する﹁脳死体﹂とは、脳幹を含む全脳の機能が不可逆 的に停止するに至ったと判定された死体をいう。 前項の判定は、一般に認められている医学的知見に基づき厚生省令で定めるところにより、行うものとする。 ③ ここでは脳死は人の死であることは維持された。しかしここで特筆すべきは前述のように、弁護士会案でさえも脳 死以外の通常の死体からの臓器摘出については、本人の意思表示がない場合には遺族の同意による摘出を認めていた のに対して、脳死も人の死であることを強調したいがために、脳死以外の従来の三徴候基準によって判定した死体か らの摘出と脳死の場合を区別することができなくなり、加えて弁護士会案と妥協しようとしたために、 { 川 口 } としてはそれより厳しい同意要件となってしまったのである。 { 初 } これに対していわゆる金田案(猪熊案も同一)は、 かえって全体
(
4
)
いわゆる違法阻却説に立脚した次のような独自の対案を提 53一一臓器移植法の日独比較 示 し た 。 第六条(死体からの臓器の摘出) 医師は、死亡した者が生存中に当該臓器を移植術に使用されるために提供する意思を書面により表示している場合であって、そ の旨の告知を受けた遺族が当該臓器の摘出を拒ま会いときまたは遺族がないとき、移植術に使用されるための臓器を死体から摘出 す る こ と が で き る 。 第七条(脳死状態にある者の身体からの臓器の摘出) 医師は、脳死状態にある者が臓器を移植術に使用されるために脳死状態において提供する意思を書面(脳死状態にある者の署名 ①第10巻2号 一 一54 及び作成の年月日の記載があるものに限る。)により表示している場合であって、その旨の告知を受けた遺族が当該臓器の摘出 を拒まないときまたは遺族がないとき、移植術に使用されるための臓器を死体から摘出することができる。 前項の場合においては、脳死状態にある者の身体から臓器の摘出がその者の生命に重大な影響を及ぼすものであることにかん がみ、同項の書面により表示された意思は、十分な調査を行い、慎重に確かめられなければならない ② し か し 注 目 さ れ る 点 は 、 こ の 案 も 同 意 要 件 に つ い て は 第 二 次 案 と 同 様 に 、 本 人 の 書 面 の 同 意 プ ラ ス 家 族 の 拒 否 権 と いうモデルに依拠している点である。
(
5
)
( 幻 ) こ れ ら の 諸 案 の 妥 協 の 産 物 と し て 成 立 し た 現 行 法 に お け る 同 意 規 定 は 次 の よ う な も の で あ る 。 第六条(臓器の摘出) ①医師は、死亡した者が生存中に当該臓器を移植術に使用されるために提供する意思を書面により表示している場合であって、 その旨の告知を受けた遺族が当該臓器の摘出を拒まないときまたは遺族がないとき、移植術に使用されるための臓器を死体(脳 死した者の身体を含む。以下同じ。)から摘出することができる。 前項に規定する﹁脳死した者の身体﹂とは、脳幹を含む全脳の機能が不可逆的に停止するに至ったと判定されたものの身体を い 、 7 0 ② ③ 臓器の摘出に係る前項の判定は、当該者が第一項に規定する意思の表示に併せて前項による判定に従う意思を書面により表示 している場合であって、その旨の告知をうけたその者の家族が当該判定を拒まないとき文は家族がないときに限り、行うこと が で き る 。 ④ 臓器の摘出に係る第二項の判定は、これを的確に行うために必要な知識及び経験を有するこ人以上の医師(当該判定がなされ た場合に当該脳死した者の身体から臓器を摘出し、文は当該臓器を使用した移植術を行うこととなる医師を除く。)の一般に認 められている医学的知見に基づき厚生省令で定めるところにより行う判断の一致によって、行われるものとする。 前項の規定により第二項の判定を行った涯師は、直ちに、当該判定が的縫に行われたことを証する書面を作成しなければなら ⑤c
、
。
手,守﹃ i v ⑥ 臓器の摘出に係る第二項の判定に基づいて脳死した者の身体から臓器を摘出しようとする医師は、あらかじめ、当該脳死した 者 の 身 体 に 係 る 前 項 の 書 面 の 交 付 を 受 け な け れ ば な ら な い 。 本条の特色は、既に指摘されているように、いわゆる脳死選択説を前提とした点である。しかし同意要件に関しては、 現行法も第二次草案以来の本人の書面の同意プラス家族の拒否権というモデルに依拠しているのである。 さてこの規定をドイツの規定と比較した場合には、次のような相違が明らかになろう。まず第一に挙げられるのは 国会での論点の相違である。すなわち日本では脳死のみがクローズアップされたのに対し、同意要件にについては既 に第二次草案によって本人の書面の同意プラス家族の拒否権というモデルで合意が形成され、 その後はこの点に関し て議論がほとんどなされなかったのである。これに対してドイツでは脳死問題と同意要件は共に議会での論争の対象 と さ れ 、 かつ両者は関連付けられて論争されたのである。次にその結果成立した規定にもかなりの相違が見られる。 もちろん最大の相違は日本の規定が独自の脳死選択説を前提とした点であるが、同意要件にもかなりの相違が見られ る。まず第三条によって本人の同意が存在している場合は、家族に拒否権はもはや認められない。次に同意の書面性 55 臓器移植法の日独比較 については、ドイツの同意要件においても第三粂の本人による同意は第四条一項の規定からみて書面によってなされ ることを原則としている。しかしそれが存在しない場合は、家族による確認も認められている。ここでは、少なくと も本人の書面の同意がなくても摘出が可能な場合があることは明らかである。このような相違の背景には、 日本にな お色濃く残存している家族モデルの影響があることは前述のとおりである。第10巻2号 56
五
臓 器 売 買 規 定 の 比 較 両 国 に お け る 今 回 の 新 立 法 で 共 通 し て い る 点 の 一 つ と し て 、 ﹂ れ ま で 存 在 し て い な か っ た 臓 器 売 買 の 処 罰 規 定 の 導 入が注目される。(
1
)
まずドイツの規定を見ておこう。 第 六 章 禁 止 規 定 第一七条(臓器取引の禁止) 治療に用いられることを目的とする臓器を取引することは禁止される。第一文は、次の場合には適用されない。 -治療の目的を達成するために必要とされる措置、特に、臓器の摘出、保存処理、感染予防措置を含む調整、保管、及ぴ輸 送に対する相当な報酬の提供又は受領、並ぴに 2 臓器を原料として又は利用して製造された医薬品であって、医薬品法の許可若しくは登録に関する規定に服するもの又は 法規命令により認可若しくは登録を免除されたもの 第一項第一文により禁止される取引の対象である臓器を摘出し、他人に移植すること又は自らに移植させることも同様に禁止 さ れ る 。 刑罰・秩序違反反則金規定 第一八条(臓器取引) 第一七条第一項第一文に違反して臓器を取引し、又は同条第二項に違反して臓器を摘出し、移植し若しく自己に移植させたる 者は、五年以下の白由刑又は罰金刑に処せられる。 行為者が第一一項の事例において業として行為した場合は、五年以下の自由刑又は罰金刑に処す。 未遂も処罰される。 ① ② 第七章 ① ③ ②④ 裁判所は、その臓器が禁止されている取引遂行の対象となっている臓器提供者又は臓器受容者に関しては第一項の刑を免除又 は裁量により減刑すること(刑法典四九条二項)ができる。 この規定について議決直前にレシピエントも処罰される旨の変更がなされ、さらに業として行った行為についての ( お ) 加重規定と、ドナ!及ぴレシビエントについての任意的な刑の免除・減刑規定が追加された。 この刑罰規定の保護法益について理由書は、 それを﹁生命が危殆化された病者の健康上の緊急状態を特に非難可能 な態様で利用し搾取している﹂ものとし、﹁保護客体には、生者の身体の統合性と並んで、また、基本法一条一項によ ( M ) って保障されている、その死後にまで及ぶ人聞の尊厳および公共の敬慶感情も含まれる﹂とする。行為類型は﹁取引 ( お ) を行う﹂ことであるが、これは既に判例上﹁すべての私利的な、財の売上げ(のロ
Z
2
5
8
同 N ) に向けられた活動﹂と理 解され、業務的あっせんを含む広いものである。また除外規定には、臓器を原料として製造された医薬品の取引が含 まれれている点が注目される。(
2
)
次に臓器売買に関する日本の規定を見てみよう。 57一一臓器移植法の日独比較 第十一条(臓器売買の禁止) ①何人も、移植術に使用されるための臓器を提供すること若しくは提供したことの対価として財産上の利益の供与を受け、又は そ の 要 求 若 し く は 約 束 を し て は な ら な い 。 何人も、移植術に使用されるための臓器を提供を受けること若しくは提供を受けたことの対価として財産上の利益の供与し、 又はその申し込み若しくは約束をしてはならない。 何人も、移植術に使用されるための臓器を提供すること若しくは提供を受けたことのあっせんをすること若しくはあっせんを したことの対価として財産土の利益の供与を受け、又はその要求若しくは約束をしてはならない。 何人も、移植術に使用されるための臓器を提供すること若しくは提供を受けたことのあっせんを受けること若しくはあっせん ② ③ ④第10巻2号 一 一58 を受けたことの対価として財産上の利益の供与し、又はその要求若しくは約束をしてはならない。 何人も、臓器が前各項の規定のいずれかに違反する行為に係るものであるであることを知って、当該臓器を摘出し、又は移植 術 に 使 用 し て は な ら な い 。 第一項から第四項までの対価には、交通、通信、移植術に使用されるための臓器の摘出若しくは移植術等に使用されるための 費用であって、移植術に使用されるための臓器を提供すること若しくはその提供を受けること又はそれらのあっせんをするこ とに関して通常必要であると認められるものは、合まれない。 第 二 十 条 ( 罰 則 ) 第十一条第一項から第五項までの規定に違反したる者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併 科 す る 。 前 項 の 罪 は 、 刑 法 ( 明 治 四 十 年 法 律 第 四 十 五 号 ) 第 一 二 条 の 例 に 従 う 。 ⑤ ⑥ ① ② この規定は主に賄賂罪の規定を参照して作られたと考えられ、行為類型などは類似したものである。この規定にお ける処罰根拠は、厚生省の見解によると﹁臓器を経済取引の対象とすることは、人々の感情に著しく反すること、移 ( お ) さらに善意・任意の臓器提供という臓器移植の基本的な考え方にも支障を来すこと﹂ 植機会の公平性を損なうこと、 の防止にあり、保護法益は、①人々の感情、②移植機会の公平性、③善意・任意の臓器提供という基本思想の維持であ ( 幻 ) 必要的な没収・追徴の規定(法二五条)もある。 るとされる。なお両罰規定(法二十四条)により法人も処罰され、 以上の両規定の概観を前提として、それを比較してみよう。まず注目されることは、①適用範囲についての相違で ( お ) ある。ドイツにおいては人の臓器の取引はすべて処罰の対象になるのに対して、日本においては﹁移植術に使用され るための臓器﹂だけがその対象とされており、臓器の範囲も心臓・肺・肝臓・腎臓・眼球(法第五条)及び勝臓・小 腸(規則第一条)に限定されている。次に②行為類型については、ドイツにおいては﹁取引の遂行﹂のみであるのに
対
し
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日本においては前述のように賄賂罪の規定を参照したやや複雑なものになっている。しかしながら結論的に
は両者の範囲はほぽパラレルであるといえよう。今後の運用において文言の差異が影響するかどうかを観察する必要
があろう。さらに両国とも③除外条項が設けられているが、ドイツの規定では﹁治療の目的を達成するために必要と
される措置、特に、臓器の摘出、保存処理、感染予防措置を含む調整、保管、及ぴ輸送に対する相当な報酬の提供又
は受領﹂、日本の規定では﹁交通、通信、移植術に使用されるための臓器の摘出若しくは移植術等に使用されるための
費用であって、移植術に使用されるための臓器を提供すること若しくはその提供を受けること又はそれらのあっせん
をすることに関して通常必要であると認められるもの﹂とされ、﹁相当な﹂とか﹁通常﹂といった不明確な概念が共に
用いられており、この点についても両国の実務における解釈の動向が注目される。最後に④ドナ
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及びレシピエント
に関する刑の免除・減刑規定がドイツでは設けられているのに対し、
日本ではそれが存在せず、すべての行為者が同
様に扱われている点も相違点の一つである。
以上でいくつかのポイントを指摘してきたが、根本的に問題なのは、そもそもこのような臓器売買の包括的な禁止・
処罰が必要であるかという点である。この点については両国で議論されている保護法益の個別的な妥当性の問題とそ
59一一臓器移植法の日独比較のための手段としての相当性などが議論されなければならないであろう。特に感情や人聞の尊厳といった抽象的な法
益については、その意義を含め慎重な検討が必要であろう。これに関連して最近シュレーダーは、﹁無償提供﹂の原則
は、臓器不足の現状をさらに悪化させるものであり
しろ臓器提供に報酬を支払うべきであり、
一定の枠組みの中(例えば保険からの支払いに限る等)ではむ
( m U )その濫用だけを処罰すれば足りるとする。この点の検討を含め今後臓器売
買についても将来の改正問題を含めて議論していかねばならないと思われる。
第10巻2号一一60 ( 1 ) 成立までの過程を分析したものとして、丸山英二﹁脳死と臓器移植│臓器移植法の成立│﹂神戸法学雑誌四七巻二号(一九 九七年)二二九頁以下。その他新法に関する文献として唄孝一﹁脳死議論は決着したか!臓器移植法の成立﹂法時六九巻一
O
号(一九九七年)三八頁以下、秋葉悦子﹁臓器移植法の成立l
死の選択権の認容﹂法教二O
五号(一九九七年)四三頁以下、平 野竜一﹁三方一両損的解決│ソフトランディングのための暫定的措置﹂ジュリスト一三二号(一九九七年)三O
頁以下、伊 東研祐三死﹄の概念﹂ジュリスト一三二号(一九九七年)三九頁以下、宇津木伸﹁提供意思﹂ジュリスト一一一一一号(一九 九七年)四六頁以下等がある。( 2
)
ドイツの議会における議論については、斎藤誠二・医事刑法の基礎理論(一九九七年)九八頁以下および田中智子﹁ドイツ における臓器移植法案﹂レフアレンス五五八号(一九九七年)六七頁以下(なお付録として変更される前の草案の翻訳も付けら れ て い る ) を 参 照 。( 3
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・ ω ・ ( 4 ) その他③通知モデルが独立のモデルとされる場合があるが、これは基本的には②の類型のバリエーションである。(
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これについては拙稿﹁臓器移植立法の比較法的考察﹂中山研一・福間誠之編・本音で語る脳死・移植(一九九四年)一五一 頁 以 下 参 照 。(
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これに関しては日本においても既に紹介がなされているが、最近の論文として佐久間修﹁臓器﹃提供﹄における被害者の意思﹂ 香川古稀(一九九六年)二二四頁以下参照。(
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この事件に関しては斎藤・前掲(注 2 ) 一 一 一 一 良 以 下 参 照 。(
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ナスの思想のドイツにおける影響について は、ハンス・ヨナス(尾形敬次・訳)・哲学・世紀末における回顧と展望(一九九六年)四九頁以下(訳者解説)参照。 (叩)同s
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片 岡 ・ ( こ の 一 克 に な っ た 英 語 論 文 の 抄 訳 と し て 谷 田 信 了 訳 ﹁ 死 の 定 義 と 再 定 義 ﹂ 加藤尚武・飯田百一之編・バイオエシックスの基礎(一九八八年)一一二三頁以下) (日)︿包・母、s h
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・ 口 問(ロ)この説とそれに対する批判については斎藤・前掲(注 2 ) 九八頁以下参照。これについては別稿で検討を予定している。 (日)これに対してはいくつかの反対案があったが最終的に提出された対案の一つは次のようなものであった(回吋
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もある。これらの諸案については脳死諭と関連が 重要なので別稿で検討する)。 第三条臓器提供者の同意による臓器摘出 ①臓器の摘出は、四条に異なる規定がない限り、次の場合にのみ許容される。 -臓器提供者が、摘出に同意しまたは四粂による要件が充足され、かっ 2 最終的な、全脳機能の修復不能な消失が、医学の認識の状況に対応した規則に従って、五条による手続によって認定され、また キ ﹂ 。 内 旬 、 υ 61一一一臓器移植法の日独比較 最終的な、心臓および循環の修復不能な停止が、医学の認識の状況に対応した規則に従って、五条による手続によって認定され、 か っ 4 当該侵襲が医師によってなされた場合 臓器の摘出は、臓器の摘出に反対意思表示をした者においては、許容されない。仲介を義務づけられた臓器(八条二項)の摘出の前に は、常に一文二項による認定がなきれる。他の場合においては一文三号による認定で十分である。 ②当該医師は、臓器提供者の近親者に意図された臓器提供を通知しなければならない。また医師は、臓器摘出の経過と範囲を記録しなけ ればならない。近親者は、閲覧権を有し、その信頼する者に助言を求めることができる。 第 四 条 同 意 ①=一条一項一号による向意および反対意思表示は、いかなる形でも表示することができる。表示が口頭で行われた場合には、あらゆる完 全行為能力者は表示を受ける者となりうる。同意および反対意思表示は、任意に撤回可能である。複数の意思表示が存在している場合 には、最新のものが決定的である。 一項による表示が存在しない場合は、仲介が義務づけられていない臓器の摘出は、それが臓器提供者となりうべき者の推定的意思に一 致する場合にも許容される。 臓器提供者が一六歳未満の場合は、同意は、監護権者に委ねられる。臓器提供者となりうべき者が一四歳未満の場合は、三条一項二文 が 妥 当 す る 。 一項および二項により臓器摘出に必要な臓器提供者となりうべき者の意思の探知のために治療にあたる医師は近親者およぴ臓器提供 ② ③ ④第10巻2号 62 者 と な り う べ き 者 と 特 別 な 人 的 関 係 を 明 ら か に 持 っ て い た 者 に 質 問 す る 。 そ の 質 問 を 行 う 医 師 は 、 近 親 者 お よ び 二 項 に よ る 者 の 関 与 の 経 過 と 内 容 と 結 果 を 記 録 し な け れ ば な ら な い 。 そ れ ら の 者 は 、 閲 覧 権 を 有 す る 。 ⑤ (日)成立したドイツの移植法の同意要件については、﹁座談会・臓器移植法をめぐって﹂ジュリスト一一一一一号(一九九七年) 二頁以下の中森発言を参照。 ( 日 ) 回 、 H ! ロ ﹃ ロ 円 } 内 出 血 口 } M m H ω ¥
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・ ( v m ) 丸山・前掲(注 1 ) 二 四O
頁は、これを各党協議会案と呼んでいる。 (ロ)町野朔・秋葉悦子編・脳死と臓器移植(第二版・一九九六年)一二四頁以下による。 (凶)丸山・前掲(注 1 ) 二四二頁は、これを中山案と呼んでいる。 ( 川 口 ) 丸 山 ・ 前 掲 ( 注 1 ) 二四三頁は、この修正により脳死臨調の答申より同意要件を厳格にした点で、それを逸脱するものであ り、同意要件に関しては﹁脳死を死とせずに、いわゆる違法阻却の理論などに基づいて、脳死体からの臓器の摘出を認めよう とする法案:::と実質的な違いがなくなってしまっている﹂とする。 (初)参議院に提出されたいわゆる猪熊案においても六条、七条の規定は金田案と全く同一である。丸山・前掲(注 1 ) 二五三頁 参 照 。 (幻)丸山・前掲(注 1 ) 二四五頁は、これを関根修正案と呼んでいる。 (幻)日本の規定における書面性に関する疑問として平野・前掲(注 1 ) コ 一 六 頁 以 下 。 (お)∞吋 1 0 2 円片的国ロ﹃巾 H ω ¥ ∞ 臼 ア ω -M C L ω ︹( M
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(お)厚生省保険医療局長﹁臓器のあっせん業の許可等について﹂平成九年一O
月一三日付け・健医発第一三五八号による。 (幻)さらにいわゆる組織犯罪対策立法にいう臓器売買から得た収益も犯罪収益に当たるとされるので(法制審議会刑事法部会﹁組 織的な犯罪に対処するための刑事法要綱骨子(案)﹂ジュリスト一一一八号(一九九七年)一四四頁以下および一五二頁の別表 4 の五十四参照てこの立法が成立すれば犯罪収益等による事業経営の支配等の罪や 7 ネl
ロンダリング罪においても臓器売買との関連性が生じることになる。 (お)但しドイツの移植法第一条二項の規定により、血液、骨髄、医及ぴ胎児の臓器は含まれない。 ( 却 ) 山 内 マ ロ ミ 町 、 " の 巾