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ナノ温度計の開発に世界で初めて成功 (別ウィンドウで開きます)

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Academic year: 2021

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ナノ温度計の開発に世界で初めて成功

−カーボンナノチューブの新しい応用−

平成14年2月7日 独立行政法人物質・材料研究機構 1.概要 独立行政法人物質・材料研究機構の板東義雄主幹研究員のグループは、ナノスケールの 微小な空間での温度測定を目的とした「ナノ温度計(ナノサーモメーター)」を開発するこ とに世界で初めて成功した。 このナノ温度計は、微小な空間での温度測定を目的としており、カーボンナノチューブ の中に金属ガリウム(Ga)を注入し、液体となったガリウムの温度変化による体積膨張の 差を利用して測定するものである。 このナノ温度計を用いると、これまで温度測定が困難とされていた微小な空間での温度 測定が可能となり、しかも 1000℃の高温での温度測定も可能であることから、ナノ電子回 路の温度測定など幅広い分野での応用が期待される。 なお、今回の「ナノ温度計」の開発は、世界で初めて成功した画期的な研究成果であり、 2月7日付け英国科学誌「ネイチャー」で発表される。 2.経緯 ナノテクノロジーは、新産業を創出するための革新的な基盤技術として、今その開発に 世界的な関心が寄せられている。特に、カーボンナノチューブは電子源や水素貯蔵素子な どとして次世代の情報通信や環境・エネルギーなどの重点分野を支える基盤材料として注 目されている。当機構では、ナノデバイスや新ナノスケール物質の開発などナノマテリア ル関連の研究プロジェクトを重点的に推進している。今回の研究成果は、「ナノスケール環 境エネルギー物質」プロジェクトの一環として得られたものであり、今回開発に成功した 「ナノ温度計」は、カーボンナノチューブの新しい応用分野を切り開くものとして、特に 注目される。 3.研究成果 今回開発した「ナノ温度計」は、カーボンナノチューブの「温度計」としての新しい応 用分野を開拓したものである。開発した方法は以下の通りである。 まず、通常良く用いられている化学気相法(CVD)により直径が約 85nm のカーボンナノチ ューブを合成した。その後、カーボンナノチューブを酸化ガリウム(Ga2O3)と 1360℃の温度 で2時間反応させ、カーボンナノチューブの中に金属のガリウムを注入した。注入された 金属ガリウム柱の直径は約 75nm で、ガリウム柱の全長は約 0.1 ミクロンであった。電子顕 微鏡の中でカーボンナノチューブを加熱すると、注入されたガリウムが融けて液体の状態

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になり、温度上昇による体積膨張により、ガリウム柱の長さが増減する現象を発見した。 図1は、金属ガリウムを注入したカーボンナノチューブの電子顕微鏡写真である。電子 顕微鏡の中でカーボンナノチューブを 50℃から 500℃の温度範囲で加熱した。加熱温度が 上昇するにつれ、チューブ内の液体ガリウム柱の長さが段々と伸びていることがこの写真 からわかる。これは、液体の金属ガリウムが温度上昇によりその体積を膨張させ、その結 果ガリウム柱の長さが増大したためである。 図2は、液体ガリウム柱の長さと温度との関係を示したものである。ガリウム柱の長さ は温度変化に対して直線的に比例して増減し、しかも温度を上昇させても、また温度を下 げても可逆的に変化することがこの図からわかる。今回観察に用いた電子顕微鏡の分解能 が 0.1nm なので、温度測定の精度は約 0.25℃となり、極めて微少な温度変化が測定できる ことになる。 4.今後の展望 家庭で使われている温度計は、水銀の温度変化による体積膨張・体積収縮(水銀柱の伸 び縮み)を利用している。水銀は、-39℃から 365℃の温度範囲で液体であることから、そ の温度範囲での温度測定は可能であるが、それ以上の高温での温度測定には適さない。も ちろん、水銀温度計は微小な空間の温度測定は不可能である。 一方、金属ガリウムは、30℃から 2400℃の広い温度範囲で液体として溶けている。しか も、水銀に比べて蒸気圧が低いため、温度が上昇しても蒸発しにくい利点がある。このた め、高温での温度測定の素材としては金属ガリウムが有効である。さらに、母材としての カーボンナノチューブは、熱に対して安定で、かつ約 1000℃までその形状を安定に保つこ とから、今回開発した「ナノ温度計」も約 1000℃までの高温での温度測定に十分に利用で きると予想される。 半導体を用いたナノ電子回路では極めて微小な空間での温度分布の測定が必要であるが、 現状ではその測定が困難である。今回開発した「ナノ温度計」は、ミクロン以下の微小空 間で直接温度測定ができ、しかも1℃以下の極めて高い精度で温度測定できる特徴がある ことから、エレクトロニクスなど種々な分野での微小空間の温度測定に利用することが期 待される。

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用語説明 ・ナノ温度計 液体金属を注入したカーボンナノチューブが温度計の働きをすることから、「ナノ温度 計(ナノサーモメーター)」と命名した。(2月7日付け英国科学誌「ネイチャー」で発表)。 カーボンナノチューブはナノメートルサイズの大きさであるので、ナノメートルからミク ロンレベルの微小な空間での温度測定に適用可能である。 (問い合わせ先) 独立行政法人物質・材料研究機構 総務部総務課広報係 TEL:0298-59-2026 (研究内容に関すること) 独立行政法人物質・材料研究機構 物質研究所 主幹研究員 板東義雄 TEL:0298-59-2037,E-mail:[email protected]

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58℃

294℃

490℃

図1 温度計の働きをするカーボンナノチューブ。ナノチューブの中に金属ガリウムが注入されてい る(柱状の黒いコントラスト)。温度上昇による液体ガリウムの体積膨張により、ガリウム柱の長さが 伸びていることがわかる。

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図2 図1のガリウム柱の長さと温度との関係。ガリウム柱の長さは温度に比例して増減する。温度を上昇させ ても、また下降させてもガリウム柱の長さは可逆的に変化する。温度測定の精度は約0.25℃と極めて高い ことがわかる。(図中縦軸のガリウム柱の高さは、 50℃の温度での高さを基準としている。)

● 温度上昇        

参照

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