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上肢FES制御の計算機シミュレーションツールの開発(3.2 第4回情報シナジー研究会, 3. 研究活動)

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Academic year: 2021

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(1)

上肢FES制御の計算機シミュレーションツールの開

発(3.2 第4回情報シナジー研究会, 3. 研究活動)

著者

杉 義宏, 渡邉 高志, 吉澤 誠

雑誌名

年報

5

ページ

84-87

発行年

2006-06

URL

http://hdl.handle.net/10097/48522

(2)

上肢FES制御の

計算機シミュレーションツールの開発

杉 義宏*,渡追 高志締,吉滞 誠琳 *東北大学大学院工学研究科 料東北大学情報シナジーセンター 概要

機能的電気刺激(Functional Electrical Stimulation ; FES)による麻痔患者の動作再建のための制

御器開発の過程において、刺激実験を繰り返し行っていると被験者に負担がかかるなどの問題 が存在する。これらを回避するために、我々の研究グループでは計算機によるモデルシミュレ ーションシステムの構築を進めているo これまでのシステムでは、シミュレーションの条件に 制限があること、また出力が数値データのみで可視化されていないことや、モデルパラメータ の調整を行う際に手間がかかることなどの問題点があった。これらを解消するため、運動方程 式を4自由度から7自由度-拡張することで肩関節を含む運動のシミュレーションを可能にし、

また、 GUT(Graphical User Interface)を開発することで、計算結果をリアルタイムでグラフ描画

しボタン操作でモデルのパラメータ値を変えられるようにしたo さらに、 3次元アニメーショ

ンで計算結果を可視化することで結果の視覚的イメージが得られるようにした。

1.はじめに

人間の運動は、筋の収縮による張力によっ て生成される。この筋収縮のための指令は、

脳の中枢神経系(central nervous system ;CNS)

から脊髄を通って筋に伝達される。脳卒中な どによる脳障害や、交通事故などによる脊髄 損傷が起こると、脳からの指令が末梢神経に 伝達されなくなり運動麻痔が生じるGしかし、 そのような麻痔が起こった患者の場合にも末 梢の神経や筋が興奮性を維持していれば、人 工的な電気刺激で脳からの指令の代わりに信 号を与えることで筋を収縮させることができ 運動機能を再建することが可能である。この ような「明確な目的意識と作用メカニズムの 理解の上に立って生休機能の補助あるいは制 御を行う電気刺激」のことを、機能的電気刺

激(Functional Electrical Stimulation ; FES)と呼

び、現在までに上下肢に対する運動再建に関 する研究と臨床応用がなされている[1] [2]。 FESによる運動機能再建には、所望の機能 的運動を実現させるための適切な制御方法が 必要とされる。しかし、神経筋系の電気刺激 応答は非線形性を持ち、筋ごとに異なること、 また応答に時間遅れや筋疲労があること、さ らに電気刺激強度一関節角度の関係が冗長性 を持つこと、などの理由でFESによる運動の 制御は非常に複雑で難しい問題となっている。 現在のFES制御器の研究開発は、主に運動 機能麻痔者や健常被験者の協力を得て実際に 電気刺激を与えることにより行われているD そのため、健常被験者の反応や随意的な力な どによる影響を原因とする制御結果の再現性 の低下、繰り返し電気刺激を行うことによる 被験者-の負担、開発した制御器の初期テス ト時の危険性などといった問題点があった。 これらの問題を回避するための方法として、 我々の研究グループでは、 FESの分野で利用 可能な筋骨格モデルを構築し、 FES制御器の 開発における試行錯誤的な作業を計算機によ るモデルシミュレーションを利用して行う方

(3)

法を検討してきた[3]。 これまでに構築された筋骨格モデルの概略 を図1に示す.っ電気刺激が入力されると、そ の刺激強度からリクルートメントレベルu(S) が決定され、活性化ダイナミクスにより活動 度。(∫)が決定される。これと、そのときの筋の 長さ、収縮速度、最大筋張力から筋収縮力F(.E が計算され、それを変換したトルクrcEと受 動粘弾性によるトルクT,の和が骨格モデル に入力されるo骨格モデルでは運動方程式に 図1 ‥筋骨格系の電気刺激応答モデルの概略

dorsi flexion ldeg]

palJnarflexion ldeg]

doTSi flexion ldeg]

より各関節での運動が計算され、関節角度、 角速度が求まるoまた、この出力は張カー長 さ関係、張力-収縮速度関係、受動粘弾性要 素にフィードバックされる。このように、Hill 型の筋収縮モデルにより発生する関節トルク と受動粘弾性要素により発生する関節トルク により記述することで、非線形性を有する筋 骨格系を比較的単純かつ詳細に表現しているo これを用いた閉ループ制御のシミュレーシ ョンにおいて、健常被験者による刺激実験の 制御結果と類似した応答が得られることが示 されている[4]。その結果の一例を図2に示すC これは手関節の2自由度運動の追従制御の結 果を表しており、上が健常被験者、下がモデ ルシミュレーションでの結果である。各グラ フから関節角度軌跡、電気刺激パターンとも に類似した応答になっていることが分かる。 このように、筋骨格モデルを用いることで FES制御器の開発の際の問題はある程度回避 することができると考えられる。本研究では、 上肢の運動制御のための優れた制御器を開発 するため、この筋骨格モデルを含む計算機シ

(a) neurologicalLyintact subject

-target -result (b) model 図2 :閉ループ制御の制御結剰41 -85-倉stIatuTuO!一t!Tntt)PS.tEuOtI 倉sualtJ!uOPtZtnLLJPS.uuOu 0 5 10 15 20 25 30 tjme ls】 0 5 10 15 20 25 30 time ls]

(4)

ミュレーションのためのツールの開発を検討 した。

2.現在までの問題点

前述の通り、我々の研究グループで開発し た筋骨格モデルはFES制御の計算機シミュレ ーションを行うには有用な方法であることが 示されてきた。しかし、このモデルによる計 算機シミュレーションにおいては、筋特性や 関節特性のパラメータ値や、シミュレーショ ン条件などの多くの数値を決定する必要があ る。また、筋骨格モデルでは、筋収縮による 活性化トルクと受動粘弾性トルクが計算され、 それを用いて運動方程式を解くことで関節運 動を導き出しているが、その計算結果として の関節角度と角速度の数値データのみが出力 として得られる。そのため、我々はその刺激 強度や時間に対する関節角度変化をグラフに プロットし、その結果を元に筋骨格モデルの パラメータ値を調節しなければならない'.そ してまたシミュレーションプログラムを実行 することでパラメータ調整を繰り返すことに なる。これは、効率が悪く骨の折れる作業と なっている。 さらに、これまでの筋骨格モデルは、これ まで研究を進めてきた手関節2自由度運動の 前腕4筋による制御のシミュレーションを目 的として開発されており、肘関節と手関節に またがる二関節筋を考慮し、手関節の模屈/ 尺屈と掌屈/背屈、前腕の回内/回外、そし て肘関節の屈曲/伸展の4自由度の運動方程 式を用いているo Lかし肩関節の内旋/外旋 や屈曲/伸展、内転/外転が含まれていない ため、肩関節の運動は計算機シミュレーショ ンでは表現できない。従って、肘関節の運動 なども制御対象として拡げていく場合、肩関 節と肘関節にまたがる二関節筋を考慮する必 要があるため、これらの運動を含めた7自由 度の運動方程式が必要とされるC

3.シミュレーションツールの開発

前述の問題を解決するため、本研究では

GUl (Graphical User Interface)を含む計算機シ

ミュレーションプログラムと、 7自由度運動 のための運動方程式の開発を行ったo このシ ミュレーションツールは、肩関節の運動もシ ミュレーションでき、また、出力も数値デー タのみでなくグラフィカルなイメージとして 表示できるo 図3、 4にその画面イメージを 示す。図3は、刺激強度に対する関節角度変 化を測定する部分でのインターフェースであ る。ここでは、刺激強度から関節角度の応答 を計算しながらリアルタイムでグラフ描画を 行っており、計算過程が分かりやすくなって いるo また、この応答特性に大きく関わる部 分の筋特性パラメータの値をボタン操作で簡 単に変えることができ、これもリアルタイム に反映され、計算のやり直しも容易である.。 これにより、パラメータの調整のための面倒 な繰り返し操作をすることなく簡単に様々な 条件でのシミュレーションを行うことができ るようになるo そして、このシミュレーションツールには 肩関節の運動を含む7自由度の運動方程式が 組み込まれているo 図4では、その7自由度 の運動を3次元CGアニメーションで表現し ている。これによって、実際の上肢の関節の 状態、運動の様子の視覚的イメ-ジを得るこ とができる。

4.考察

現在までのモデルでは肩関節を固定した状 態での肘関節から先の運動しかシミュレーシ ョンすることができなかったが、運動方程式 を拡張したことで上肢全体の運動をシミュレ ーションできるようになったD また、今まで は数値データとして出力された計算結果を他 のアプリケーションを用いてグラフ化してい たが、リアルタイムでグラフィカルに結果を 表示できるようにしたことでそのような手間 を省くことができた。筋特性パラメータの調 整も、計算を実行するたびにプログラム内で 値を変更していたが、 GUlで変更できるよう にしたことでより手軽に調整できるようにな った。

(5)

図3 :GUIによる筋特性パラメータ調整 また、パラメータの調整は、最適化手法な どを用いて完全に自動化する方法も考えられ る。しかし、筋特性を決定するパラメータの 数が多く、また各パラメータと筋特性との対 応が完全に解明されていないことなどから、 現在のところ完全な自動化は困難である。今 回作成したGUlでは手動でパラメータ値を調 整する方法を採用しており、また、リアルタ イムでグラフィカルなイメージを表示できる のでパラメータ値の影響を知ることが容易に なる。これらを用いることで、パラメータ調 整の自動化に必要な知見を得ることが期待さ れる。 我々の研究グループでは、フィードバック

誤差学習(Feedback ErrorLearning ; FEL)を用

いたハイブリッド型制御器や、ファジィ理論 を用いた制御器の開発も行われている[5] [6]。 今後はこれらの制御器を本シミュレーション ツールに組み込み、改良すること、さらに、 4自由度運動制御などの多関節の運動制御の ための制御器開発を行うことなどが今後の課 題である。

5.まとめ

これまでに検討されてきた筋骨格モデルを 用いた計算機シミュレーションを実用的に利 用できるようにするため、 GUlを中心とした ツールの開発を行った。運動方程式を4自由 図4 :3次元CGアニメーション 度から7自由度-増やしたことで、これまで では不可能であった肩関節の運動のシミュレ ーションが可能になり、また、インターフェ ースを備えたシミュレーションツールを開発 したことで繰り返しプログラムを実行するこ となく手軽に筋モデルのパラメータを調整で きるようになり、さらに計算結果が視覚的に イメージできるようになった。

参考文献

[1]星官:生体工学、昭晃堂(東京) , 1990 [2]星宮,赤揮 編著:筋運動制御系,昭晃堂(東 京) , 1993 [3]大塚雅章:筋骨格モデルを利用したFES制御法 の開発に関する基礎的研究、東北大学大学院修 士学位論文(2004) [4]渡追高志,帖佐征-,吉滞誠,星宮望:機能 的電気刺激(FES)による麻痩上肢制御法の開発 における筋骨格モデルの利用第19回生体・生理 工学シンポジウム論文集, pp. 135-138 (2004)

[5]K. Kurosawa, R. Futami, T. Watanabe and N. Hoshimiya : Joint Angle Control by FES Usillg

a Feedback Error Learning Controlle1㌧ IEEE Trans. Neural Sys. &Rehab. Eng. γol. 13, No.3

(2005) 359-371

[6]A. Arifin, T. Watanabe and N. Hoshimiya, Design of Fuzzy Controller of the Cycle-to-Cycle Control for Swing Phase of Hemiplegic Gait Induced by FES, IEICE Trams.

Inf. 良 Sys. γol.E89-D, No.4 (2006) (impress)

参照

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