Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/
Title
“2025年問題”歯科にできること∼地域の現場から
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Author(s)
足立, 融
Journal
歯科学報, 115(5): 468-468
URL
http://hdl.handle.net/10130/3881
Right
歯科界は超高齢社会に向けて在宅歯科診療の普及など一応の対策を講じてきましたが,残念ながら世間から の評価を得られていないのではないでしょうか。その理由として,2つの問題を提起します。 その一つは歯科保健活動,8020運動などの展開により,高齢者に多くの歯牙が残存し,これ自体はよいこと でしょうが,要介護状態となった時に多くの悲惨な口腔を診ることとなってしまいました。残存歯により粘膜 や歯肉が傷つき,摂食困難となることもしばしばです。介護現場からすると「歯がない方がいい」というのが 本音です。20年前予防的な診療室への転換と,ほぼ同時期から訪問歯科診療に出かけるようになり,上流と本 当の下流(河口)とも言えるところから患者さんと関わってきました。歯科医療のエンドポイントを考えなが らの関わりでした。「歯を残しましょう」と言っておきながら,通院できなくなったら,それで終わり。「訪問 歯科をやっている医院に頼んで!」多くの歯科医院が定期的なメインテナンスの必要性を謳っていながら…。 これは無責任な態度だと思いませんか? 問題の2つめは口から食べ続けることへの対応です。「食べるところを見るまで帰ってくるな」恩師加藤 武彦先生の言葉です。当初は義歯を装着して,テストフードを食べられるのを確認すればよい程度に思ってい ました。いまは「食べ続けられる口のための装具」を目標とすることがその言葉の意味だと思うようになりま した。先生の現場をみると旧義歯を口腔機能を診ながら徹底的に改造し,『機能にあった義歯』に再生するこ とが基本です。そうすることで低下した機能を賦活化できる装具になるのです。ここの理解がないと義歯を簡 単に「危険だから外す」「食べられないから外す」と言う判断になってしまいます。オーラルフレイルが注目 されていますが,歯を残すことや補綴治療はこのオーラルフレイルの予防のために行ってきたはずです。しか し介護現場で診る口は,歯はボロボロ義歯もなし…。そして噛まなくてもよい食形態へと…。食べ続けるため の支援ができているのでしょうか? これらに対応すべく取り組んでいる地域の現場から向こう側を考えてみると,2025年問題は社会にとっては 大変な問題ですが,歯科にとっては絶好のチャンスであると思います。2025年問題を乗り越えるためには「食 べるに関わる」歯科の役割は増すばかりです。 そして,向こう側にはその役割を果たせるようになった歯科の明るい未来があります。 人口減少による2040年問題の向こう側は見えませんが…。 ≪プロフィール≫ <略 歴> 昭和59年 東京歯科大学卒業 昭和63年 同大学大学院修了 (歯学博士・歯周療法学講座) 平成元年 鳥取県境港市開業 平成17年 ワイエイデンタルクリニック共同経営参加 <所属研究会,現職> 全国訪問歯科研究会(加藤塾) 日本老年歯科医学会 日本リハビリテーション病院・施設協会 西部在宅ケア研究会世話人 山陰摂食嚥下研究会世話人 日本ヘルスケア歯科学会 日本歯周病学会専門医 鳥取県歯科医師会理事 鳥取県西部歯科医師会常務理事