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Title
Effect of recombinant basic fibroblast growth
factor on reimplanted teeth in beagle dogs
Author(s)
勢島, 典
Journal
歯科学報, 110(4): 532-533
URL
http://hdl.handle.net/10130/2005
Right
論 文 内 容 の 要 旨 1.研 究 目 的
再植歯の予後は,再植に要する時間などの幾つかの要素が関与しており,とくに,歯根膜(PDL)の生存に 影響する機械的外傷,脱水などの要因が,再植歯の予後に大きく関与している。また,再植歯に関する臨床的 ならびに実験的研究では,PDL の生存が,アンキローシスを防ぐ上で重要な要素であることを示されてい る。ところで,basic fibroblast growth factor(FGF-2)は血管形成の誘導,化学走化性,細胞の増殖能が示さ れ,歯周組織再生に用いるに適した growth factor であることが明らかにされている。しかし,再植歯におけ る歯周組織再生に及ぼす FGF-2の影響は,未だ不明である。そこで,本研究の目的は,イヌの再植歯の治癒 過程に及ぼす FGF-2の影響を,病理組織学的,統計分析を用いて検索することにある。 2.研 究 方 法 実験にはビーグル犬8頭を用いた。実験開始時に下顎左右側第3,4前臼歯を抜髄し,根充後,分割抜去し た。その後,鉗子にて歯冠を把持,CEJ より歯根の長さ1/2までスケーラーにて歯根膜組織およびセメント質 を除去,ラウンドバーにてノッチを形成した。この操作中,根端側1/2の残存歯根膜組織は,生理食塩水を浸 潤し,湿潤下で行った。実験群は,歯根表面及び残存歯根膜組織に FGF-2を塗布後,再植。対照群は,FGF-2を応用せずに再植した。実験期間は,再植後,2,4,8週とした。通法に従いパラフィン包埋し,H-E 染 色,アザンマロリー染色および PCNA 免疫染色を行い,鏡検した。 3.研究成績および結論 1)歯冠側部:実験群では,術後2∼8週において残存歯根膜組織からの歯根膜由来細胞の増殖に伴い,象 牙質表面には,セメント芽細胞の付着を認め,再生セメント質の形成を生じていた。これら再生セメント質と 歯槽骨間には,再生歯根膜組織を認め,根面吸収および骨性癒着の発現はわずかであった。対照群では,術後 2∼8週において残存歯根膜組織からの細胞増殖はわずかであり,創傷治癒早期より歯槽骨由来骨芽細胞の象 牙質表層への付着により広範囲に骨性癒着を生じていた。2)根端側部:術後2∼8週において実験,対照両 群ともに根端側部では,残存歯根膜組織による再付着を生じ,歯根表面と歯槽骨間には,歯根膜の新生を認め た。また,置換性吸収の発現は,実験群(3.6±4.0%),対照群(25.4±1.0%)で有意に実験群で少なく,炎症 性吸収および表在性吸収の発現には両群間で有意差はみられなかった。 氏 名(本 籍) せ しま ふみ
勢
島
典
(福島県) 学 位 の 種 類 博 士(歯 学) 学 位 記 番 号 第 1807 号(甲第 1078 号) 学 位 授 与 の 日 付 平成21年3月31日 学 位 授 与 の 要 件 学位規則第4条第1項該当学 位 論 文 題 目 Effect of recombinant basic fibroblast growth factor on reimplanted teeth in beagle dogs
掲 載 雑 誌 名 Oral Surgery, Oral Medicine, Oral Pathology, Oral Radiology, and Endodontology 第109巻 1号 142∼148頁 2010年 論 文 審 査 委 員 (主査) 山田 了教授 (副査) 山根 源之教授 井上 孝教授 下野 正基教授 歯科学報 Vol.110,No.4(2010) 532 ― 86 ―
以上の結果より,再植歯において FGF-2は,再植歯根面に再生歯根膜組織を形成し,骨性癒着および根面 吸収を阻止,再植歯に有効であることが示唆された。
論 文 審 査 の 要 旨
再植歯の予後には,再植に要する時間などの幾つかの要素が関与しており,とくに,歯根膜組織(PDL)の 状態が,大きく関与していることが示されている。一方,basic fibroblast growth factor(FGF-2)は歯周組織 再生に用いるに適した growth factor であることが明らかされている。そこで,本研究の目的は,イヌの再植 歯の治癒過程に及ぶす FGF-2 の影響を,病理組織学的,に検索することにある。実験にはビーグル犬8頭を 用いた。実験開始時に下顎前臼歯を分割抜去した。その後,CEJ より歯根の長さ1/2までスケーラーにて歯根 膜組織およびセメント質を除去,ラウンドバーにてノッチを形成した。実験群は,歯根表面及び残存歯根膜組 織に FGF-2 を塗布後,再植。対照群は,FGF-2 を応用せずに再植した。実験期間は,再植後,2,4,8週 とした。通法に従い標本を作製,鏡検した。成績および結論:歯冠側部は,実験群では,残存歯根膜組織から の歯根膜由来細胞の増殖に伴い,象牙質表面には,再生セメント質の形成を生じ,再生セメント質と歯槽骨間 には,再生歯根膜組織を認め,根面吸収および骨性癒着の発現はわずかであった。対照群では,残存歯根膜組 織からの細胞増殖はわずかであり,広範囲に骨性癒着を生じていた。根端側部では,実験,対照両群ともに根 端側部に残存歯根膜組織による再付着を生じ,歯根表面と歯槽骨間には,歯根膜の新生を認めた。組織計測で 置換性吸収の発現は,実験群(3.6±4.0%),対照群(25.4±1.0%)で有意に実験群で少なかった。以上の結果 より,再植歯において FGF-2 は,再植歯根面に再生歯根膜組織を形成し,骨性癒着および根面吸収を阻止, 再植歯に有効であることが示唆された。 本審査委員会では,1)実験条件の設定,2)再植後の残存歯根膜組織,3)各種根面吸収形態,4) PCNA 陽性細胞発現率,5)英文表現についての討議ならびに質疑がなされ,概ね妥当な回答が得られた。 また,論文の構成や図の表現など,改善の指摘があり修正がなされた。 本研究で得られた知見は,歯科医学の進歩発展に寄与するところ大であり,学位授与に値するものと判定さ れた。 歯科学報 Vol.110,No.4(2010) 533 ― 87 ―