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地域子ども福祉研究への一考察地域子ども福祉研究への一考察-学生との協働的なアクティブ・ラーニングに向けて- 

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地域子ども福祉研究への一考察

──学生との協働的なアクティブ・ラーニングに向けて──

嶋 守 さ や か

A Study of the Community Welfare for Children

—The Action to the Cooperative Active Learning with Our Students—

Sayaka S

HIMAMORI はじめに  本稿では本学の1年生の有志学生と地域の障がい児施設との連携により行った「対話形式の 問題解決型思考で遊ぶイベント」の企画・運営・実践から、地域子ども福祉研究の一考察を行 うものである。このイベントの企画・運営にあたり、筆者や企画者が重要だと考えた教育目的 と内容(プログラム)がどのようなものであったか。また、参加者である学生・子ども達・施 設スタッフ等に、本企画の教育プログラムがどのように受け止められたか。その学びの成果と して、「どのような力」が身についたと参加者が評価したかを分析・考察する。  今後、学生と地域の子どもたちとの遊びを共有することで、教育・保育者の資質向上を目指 すために有効な教育プログラムをアクティブ・ラーニングの教育内容から考察することが本稿 の目的である。 Ⅰ アクティブ・ラーニングが目指す教育 1 高等教育機関におけるアクティブ・ラーニング  2014(平成26)年の学習指導要領に関する諮問にアクティブ・ラーニングが登場して以来、 「脚光を浴びてきたアクティブ・ラーニングだが、高等教育機関ではすでに授業改善の鍵とし て注目」されてきた。鎌田(2016)は溝上慎一氏によるアクティブ・ラーニングのあり方を引 用しながら、「一方向的な知識伝達型講義を聴くという(受動的)学習を乗り越える意味での、 あらゆる能動的な学習のこと。能動的な学習には、書く・話す・発表するなどの活動への関与 と、そこで生じる認知的プロセスの外化」を伴うものであるとしている。そのためには、「学 習を個人的なものから他者や集団を組み込み、社会的なものへと拡張していくことに最大のポ イントがあり、活動への関与と認知プロセスの外化の十分な協奏こそが鍵である(1)」。  「学習を個人的なものから他者や集団を組み込み、社会的なものへと拡張していくこと」の

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重要性について示唆的なのが天笠(2015)である。天笠は、学習指導要領の改訂をめぐって審 議を重ねた中央教育審議会教育課程企画特別部会が2015(平成27)年8月20日に取りまとめ た「論点整理」の次の一節を引用している。「学校教育に『外の風』、すなわち、変化する社会 の動きを取り込み、世の中と結び付いた授業を通じて子供たちにこれからの人生を前向きに考 えさせることが、主体的な学びの鍵となる(2)」。「自らの人生に前向きであること。そこに『主 体的な学びの鍵』があるという。この『主体的な学び』こそ、このたび関心を集める『アクティ ブ・ラーニング』と結びついている(3)」と天笠は示す。  天笠は、アクティブ・ラーニングがこのたびの学習指導要領改訂における主要な方策に位置 づけられるに至った経緯に、高等教育における教育方法の改善の求めとして提起された流れが あるという。大学教育について改革を求めた中央教育審議会「学士課程教育の構築に向けて」(審 議のまとめ)─2008(平成20)年3月─は、教育方法の改革に言及した。学習の動機づけを 図りつつ、「講義そのものを魅力あるものにするとともに、体験活動を含む多様な教育方法を 積極的に取り入れる必要がある(4)」とした。それは、「多数の学生に対して講義を中心とする 大学教育の教育方法を改革する方策」としてのアクティブ・ラーニングをであった(5)  天笠は、学生の主体的・能動的な学びを引き出す教授法としてのアクティブ・ラーニングに おいて、学生参加型授業、協調・協働学習、探究学習、PB(Problem/Project Based Learning)

のほか、大学の実情に応じ、社会奉仕体験活動の効果的実施を挙げている(6)。もちろん、山内 (2016)が示すように、経験と学習は直結しない。「思考、ないし熟慮は、われわれがしようと 試みることと、結果として起こることの関係の認識である。思考という要素を何ら含まないで は、意味をもつ経験はありえない(7)。」山内は、デューイの言葉を引用しながら、「試行錯誤的 な経験だけでは十分ではなく、思考や熟慮につながる過程」の重要性を強調している(8)  学習者の「思考や熟慮につながる過程」を重視することは、「論点整理」が示す「学び全体 を改善し、子どもの学びへの積極的関与と深い理解を促すような指導や学習環境の設定をねら いとする」ことである。それは、次の3点として示されている。 ①習得・活用・探究という学習プロセスの中で、問題発見・解決を念頭に置いた深い学びの過 程が実現できているかどうか。 ②他者との協働や外界との相互作用を通じて、自らの考えを広げ深める、対話的な学びの過程 が実現できているかどうか。 ③子供たちが見通しを持って粘り強く取り組み、自らの学習活動を振り返って次につなげる、 主体的な学びの過程が実現できているかどうか。  ここから、「主体的な学び」「対話的な学び」そして、「学びの振り返り」の充実が、アクティ ブ・ラーニングが目指す、「深い学び」につながると考えられる(9) 2 初等・中等教育におけるアクティブ・ラーニング  2014年11月20日、下村博文文科大臣より中教審へ『初等中等教育における教育課程の基準 等の在り方について』と題する諮問が出された。ここで、「大学教育における講義一辺倒の授

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業脱却の御旗」であったアクティブ・ラーニングという「用語が、初等中等教育まで降ろされ て使用されることになった(10)」。  筆者は、2016年度後期より、「社会」を担当している。「社会科は『なすことによって学ぶ (Learning by Doing)』ことを授業原理にしており、これまでの授業観を大きく変えるものでは ない」と北(2016)は言う。「子どもが能動的に学ぶ授業こそ、社会科に求められている授業 本来の姿である(11)」のだと。とはいえ、小学校教員・幼稚園教諭・保育士を目指す本学の学 生に、具体的に何をどのように教授すれば「アクティブ・ラーニング型授業を実践できる教員・ 保育者養成」をすることになるのだろうか。  先に確認したように、アクティブ・ラーニングにおける「主体的な学び」「対話的な学び」 を「深い学び」にすることが重要である。そのために大切なのは、「授業中の学習問題ひいて は社会的な諸課題が、児童生徒自身にとって本当に切実な課題として受け取られ内在化される ことや、それを実現させるような質の高い『問い』に教師が出会わせることである」と澤井(2016) は示している。また、社会的事象の関係性に関わる「なぜ?」の「問い」や、社会参画に関わ る「どのようにすべきか?」の「問い」を立て、問題(課題)解決型学習を大切にする。児童 生徒が課題解決の見通しを持ち、諸資料等を基にした多面的・多角的な考察し、社会における 課題の解決に向けた広い視野からの構想(選択・判断)ができるようにする。そして、論理的 な説明、合意形成や社会参画を視野に入れながらの議論などができるよう、児童生徒の一層能 動的な学習参加を促していくことが必要であるとされている(12)  本学で2016年度に開講した「社会」で、学生による「能動的な学習参加」を目指すために、 筆者はまず「小学校学習指導要領解説 社会編 平成20年8月」を用いて、社会科の教科の 目標と学年の目標、第3学年及び第4学年の目標と内容、第5学年の目標と内容、第6学年の 目標と内容についてまとめる課題をグループごとに割り振り、A4判用紙一枚のレジュメを手 書きで作成させた。その後、本学に準備している各種出版社の教科書を読み込み、それぞれの 教科書でどのように教科の目標と学年の目標が達成されるように構成されているかを確認する ことを課題とした。学生たちはグループごとにパワーポイントで資料を作り、プレゼンテーショ ンをした。また教材研究で使った教科書で簡潔な模擬授業指導案をグループごとに作成し、模 擬授業も行った。  グループディスカッション、プレゼンテーション、PC を使用した資料作成のほかに、佐藤 (2016)が示す「楽しい教材」づくりと「実社会にかかわる場面」を準備するための授業工夫 もした。佐藤がその論考で示していた四択クイズを学生たちに示し、プレゼンテーションの導 入でそれぞれが作成したクイズを作らせた(13)。受講生全員のそのクイズへの「主体的な参加」 が可能になるように、出題・解答方法も工夫した。まず、受講生全員が手を挙げたところから 出題する。出題者は正解者が最後まで手を挙げたまま残ることができる順番で選択肢を読みあ げる。解答する学生たちはそれぞれ自分が正解だと思った選択肢が出題者から読み上げられた 時に挙げていた手を下ろす、という方式をとった。佐藤が示していたように、授業でのこの演 出はとても盛り上がり、最後まで手を挙げていた学生には毎回、一斉に拍手が起きた。

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 その他、小学5年生の教科内容に鑑み、日本の地域と特産品を使ってのご当地弁当のデザイ ン、また小学6年生の教科内容に鑑みて、日本の偉人の履歴書作りを授業課題とした。  「楽しい教材作り」と「主体的な参加」を指示する 4 4 4 4 授業展開を行ったためか、授業中の学生 からは絶えず明るい笑い声が聞こえ、「授業楽しいねぇ」と口にし合う姿が何度となく見られた。 授業をする立場としてそれは非常に嬉しいことであった。しかし、常に教員が授業でその都度 ごとに「指示」することになっていたとしても、それは学生自身による主体性の発揮なのだろ うか。何がアクティブ・ラーニングなのだろうかと、筆者は授業のたびに疑問を感じていた。 3 アクティブ・ラーニングの体験学習に向けて  前項では、本学で行ってきた講義形式での「社会」の授業内容について示した。筆者なりに、 アクティブ・ラーニングを社会の授業で実践しようと努力した。しかし、講義形式ではやはり 限界を感じざるをえない内容があった。それは、学生が「問い」や「課題」を見いだし自ら調 べ考える「主体的な学び」はできても、「多様な」考えを交流させる「対話的な学び」と社会 的な見方・考え方を働かせた学習を通じた「深い学び」であった。それは、実社会 4 4 4 の課題を把 握・考察し、その課題解決を構想し、「社会との関わりを意識」できる学習活動を取り入れる こと。児童生徒自身が多面的・多角的に考えることで判断基準、公正に判断する力を育むこと である。  こうした「深い学び」を実現するために、具体的には何ができていれば、それが達成された ことになるのか。その一つの方法として考えられるのは、学生自らが「社会との関わりを意識 できる」体験学習活動を実践することだろう。実際に地域住民と関わりを持ち、多様な他者と かかわることで視野を広げ、地域社会の課題を発見し、その解決手段を学生自らで主体的に選 択・判断できること。また、その多様な他者に自分の考えを論理的に説明し、相手との合意形 成やともに社会に参画することを自覚しながら、「対話」形式で授業が実践できればさらに良い。 地域課題の把握と課題解決、合意形成と社会参画が「対話」形式でできれば、どうやら有意義 な教育プログラムになりそうである。  しかし、ここで示したプログラムに加え、「主体的・協働的に学ぶ学習(アクティブ・ラー ニング)や、その指導方法を充実させる」ためには、「その学びの成果として『どのような力』 が身に着いたのかを評価すること」が必要であると北(2016)は指摘している(14)  アクティブ・ラーニングにおける評価手法の在り方については、天笠(2016)も教育課程企 画特別部会の「論点整理」の次の引用より示している。「次期改訂が学習・指導方法について 目指すのは、特定の型を普及させることではなく、… ママ 学び全体を改善し、子供の学びへの積極 的関与と深い理解を促すような指導や学習環境を設定することにより、子供たちが自身を育み 必要な資質・能力を身に付けていくことができるようにすることである(15)」。天笠は「大学を 中心とした高等教育機関おける授業方法の改善が事柄の発信源であること」。また、「授業者に とって自らの授業を省察する契機にすること」も大事だという。「教師にとって、アクティブ・ ラーニングの問いかけは、自らの引出しを改めてチェックするとともに、その一層の洗練をは

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かる契機とすることが大切である(16)」と。  そこで、筆者は自身が担当する「社会」の授業以外の場面で学生有志を募り、学生が自ら主 体的に問題解決を図りながら「社会との関わりを意識できる」体験学習活動を実践できないも のかと考えた。実際に本学の所在地域の子どもに出会い、ともに何かしらの課題解決を企て、 対話する遊びをつくってみよう。そして、学生が子ども達のみならず、その子ども達を指導す る施設スタッフと「問題解決思考型思考で遊ぶイベント」を通じて交流できる学習環境づくり をしてみよう。対話形式による問題解決思考型の遊びイベントを企画・運営することにより、 筆者は学生も子どもも施設スタッフも、自身にどのような力が身に付いたのかを評価できる学 習環境の整備を目指したのである。 Ⅱ  MMI の実践──問題解決型思考で遊ぶイベントの企画・運営  Ⅰでは、現代の小学校社会科教育で求められているアクティブ・ラーニング型授業の必要性 と本学で筆者が担当している社会の授業概要と工夫、そして、講義形式での授業の限界を突破 するために考えたプロセスと内容について示してきた。  Ⅱでは、2017年1月8日に行った「MMI」の企画・運営・評価についてまとめていきたい。 MMI とは筆者が社団法人日本福祉協議機構(以下、日本福祉協議機構とする)と合同企画し た「対話形式の問題解決型思考で遊ぶイベント」の名称である。MMI は「ミステリー・ミッショ ン・インポッシブル Mystery Mission Impossible」、その頭文字をとって筆者が命名した。その 開催目的と概要、参加者による評価と今後の発展について、以後、順にまとめていきたい。 1 地域子ども福祉実践の契機  MMI を本学で実践するにあたり、共同企画・運営した日本福祉協議機構と筆者は2016年度 より共同研究を行っている。その契機は同法人が企画した「僕たちが世界の何かを変えてやる」 というプロジェクトであった。略して、「僕プロ」とそれは呼ばれていた。  「僕プロ」を企画・運営したスタッフ達が、世間から「障がい児童」と呼ばれ、「不充分な教 育環境、才能はあるのに夢を描ききれない環境に身を置く子ども達のパワーや感性を活かし、 煌めくような熱い経験をさせたい!」との熱い想いでプロジェクトを立ち上げた。僕プロの活 動は2015年6月に開始された。僕プロでは障がいのある子ども達が主体的に考え、動き、声 をあげるプロジェクトを目指して活動していた。その目的は、日本福祉協議機構の子ども達が 作った教科書をクメール語に翻訳し、500部制作すること。また、法人内の子ども達の代表7 名がスタッフとともに、カンボジア・シェムリアップ州にその教科書を持って渡航すること。 アンルンピー村で教育や雇用の支援活動を行う Kumae が運営する日本語学校で子ども達が日 本語の授業をすること。教科書を日本語学校の他、Small art school(小さな美術スクール)、ス ロラニュ小学校、州立シェムリアップ孤児院センターで配布することであった。

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写真1 本学511教室での模擬日本語授業 写真2 カンボジアでの日本語授業を終えて を超える154万1,000円を達成した。スタッフは保護者に活動主旨を根気よく説明し、理解を 得て、7月29日から8月2日まで子どもとスタッフはカンボジアまで渡航した。予定された 活動を無事終えて、全員が元気に帰国し僕プロは大成功をおさめた(17)  この「僕プロ」と筆者とのかかわりは、障害者プロレス団体「ドッグレッグス」の永野・V・ 明選手から紹介された名古屋駅前での募金活動に協力したことから始まった。「どこに行って も、可愛がられる子どもに育てる」という方針で育てられている日本福祉協議機構の子ども達 はどの子も屈託がなくて非常に人懐っこく、本当に可愛かった。その後、映画『DOGLEGS』 公開時に行われた北島行徳代表と筆者との舞台挨拶にもたくさんの子ども達が遊びに来てくれ て、会場が満員になった。子どものいない筆者は子ども達と一緒に過ごすたびに離れがたくな り、スタッフからの熱心な誘いもあって、結局、カンボジアまで同行した。  他にも、筆者は日本福祉協議機構の障がい児施設での遊びイベントを企画・運営した。筆者 はその内容を「地域子ども福祉研究」と称していた。施設には学生・卒業生ボランティアも必 ず同行していたので、皆でお菓子の街づくりやたこ焼きパーティーをした。また、本学構内に 子どもたちとスタッフを招き、子どもたちのカンボジアでの日本語授業のリハーサルと「水風 船合戦」を企画・運営した(2016年6月27日、本学で開催。同法人施設の利用児童、スタッフ、 本学学生、サークル「子どもとともに」の小学生とその保護者の約90人が参加した)。帰国後 に筆者は、カンボジアでの日本語授業の活動報告会の運営にも携わり、当日参加者を対象にし た講演「いっしょに考えませんか? 子どもたちの可能性と未来」を行った(9月25日に本 学524教室にて開催し、参加者は100名程度であった)。  遊びや報告会等を企画・運営して学生や関係者に参加を呼びかければ、必ず多くの人たちが 集まってくる。ならば、こうした実践を本学における教育・保育者養成に反映させたい。そう 考えた筆者は2016年度後期に開講した「社会」の授業で有志学生を募り、MMI を企画・運営 した。2017年1月8日に開催したところ、参加者は総勢80名(本学学生は35名)を超えた。

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2 MMI 実施にあたり配慮したこととその概要 ⑴ 実施にあたり配慮したこと  参加学生を募るにあたり、社会の授業のオリエンテーションで MMI を行うことと実施日時 や概要を周知した。当日は社会の受講生39名中33名が参加した。ゼミ生にも参加を呼びかけ たところ、3年ゼミより障がい児支援を卒業論文のテーマとした学生が1名と4年ゼミ生1名 が参加をし、参加学生の総数は35名となった。日本福祉協議機構の施設利用者からの当日参 加者は39名、スタッフが12名であった。その他、筆者と筆者のゼミの卒業生1名を合わせ、 参加者総数は88名になった。  実施日に向けて、運営スタッフとの打ち合わせ会議を2回行った。メール連絡もしながら、 当日参加すると見込まれた施設利用者・子どもの年齢が3歳から30歳であり、障がいの有無 や多様性に配慮しながら、学生やスタッフとが全員で遊ぶためにはどうしたらよいかを考えた。  まず、何よりも優先しなければならないのは、当然ながら参加者全員の安全の確保である。 天候を考慮しなくてよいように体育館での実施とした。球技大会も考えたが、恒例行事にある とのことだったので、利用者・子どもが遊んだことのない遊びを設定したいと考えた。  また、参加する学生も障がい児・者施設での実習をまだ行っていない1年生が主であった。 そのため、接し方・関わり方に不安を抱かないように配慮したいと考えた。考えているうちに、 施設利用者・子どもも学生も、互いに遊んだことのない相手と遊んだことのない遊びで遊ぶの には変わりがない。ならば、遊びそのものを「ミステリー」にしてしまえばよいと考えた。  参加する学生は「社会」の受講生が主である。では、「社会」の講義では限界を感じていた アクティブ・ラーニングが実践できる遊びをつくれないものか。前述したように、社会科のア クティブ・ラーニングでは、実際に地域住民と関わりを持ち、多様な他者と関わることで視野 を広げ、その地域における課題とその解決手段を自らで主体的に選択・判断できること。また、 その多様な他者に論理的に説明ができ、相手との合意形成やともに社会に参画することを自覚 しながら、「対話」することが求められている。これらすべてをこの機会に達成できないもの かと筆者は考えたのである。 ⑵ MMI の概要  アクティブ・ラーニングによる地域課題の把握とその解決、合意形成と社会参画を実体験し、 対話形式でできる遊びとして最終的に考えついたのが MMI であった。多様な他者と自然に対 話できる場面をつくり、同じグループになったメンバーそれぞれに「できること」が何かを全 員で考えられるようにした(課題と課題解決方法の発見)。すべての遊びに全員が一斉に参加 できなくても、それぞれが参加できる場面では誰もが主役になりうる瞬間をできるだけ多く作 るようにした(社会参画)。また、小さな子どもや意志疎通があまり得意ではない子どもや利 用者を「チビッ子リーダー」にし、その活躍を尊重することが加点につながるルールを主とし た、チーム対抗戦とすることにした。  その概要は、次のとおりである。一見、「できそうにない指令(ミッション・インポッシブル)」 を1グループに4つずつ準備し、それらを印刷した紙を封筒に入れて封をして配布する。開封

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しなければ、すべての参加者が何をするのかが直前までわからないゲームをメインにすること にした。指令の内容は①けん玉を8人連続で達成せよ、②フラフープを8人連続で10回ずつ 回せ、③チビッ子リーダーを抱いて、テニスの壁打ちを20回せよ、④なわとびをせよ(前と び20回×5人、後ろとび20回×3人、あやとび10回 ×1人、二重とび10回 ×1人)、とした。 すべてのミッションをクリアできたら申告し、早く達成できた順番で順位を決めることにした。 思惑通り、参加者は開封するたびに全員の動きが一瞬止まり、メンバーの誰が、またどうすれ ばそのミッションをクリアできるのかを考えていた。解決方法を考えつくたびに互いに協力し ながら、急いで課題を達成しようと努力する姿とともに、お互いを応援し合う様子が見られた。  とはいえ、すべてのミッションをすべてのチームが必ずしもクリアできないようにと筆者と 運営スタッフとで意図していた。また、チビッ子リーダーがゲーム中に退屈しきらないように すること。できるだけその功績がチームのメンバーに自然に感謝される仕組みも作った。  仕組みを考えるにあたって、打ち合わせ中にチビッ子リーダーでもできる遊びは何かを運営 スタッフに相談した。すると、「じゃんけんができる」とのことだった。そこで、運営スタッ フとチビッ子リーダーがじゃんけんをし、チビッ子リーダーが勝てば「スーパーアイテム」と 命名したボールを獲得できるようにした。スーパーアイテムをチビッ子リーダーがグループに 持ち帰り、その後、また別の運営スタッフとじゃんけんをする。グループではスーパーアイテ ム1個につき、どうしてもクリアできないとメンバー全員で判断したミッションをメンバーが 運営スタッフに申告すれば、1人分パスできるというルールにした。  じゃんけんの相手が誰なのか、チビッ子リーダーにわかりやすくするために、じゃんけんを する運営スタッフはドラえもん、ドラゴンボールの悟空、スーパーマリオ、モンスターズイン クのサリー、ピカチュウ、ガチャピン、アナと雪の女王のアナ、チーター柄の自前の着ぐるみ をそれぞれに着用した。着ぐるみスタッフたちは、チビッ子リーダーにじゃんけん対決を挑ま れるたびに身をかがめて目線の高さを合わせ、笑顔でじゃんけんに応じていた。チビッ子のサ ポーターとして、学生がチビッ子リーダーとともに体育館中を付き添って歩いていた。  MMI のゲーム前に、できるだけ全員が参加できるように配慮したコミュニケーションゲー ムとして、「ジェスチャーしりとり」を行うことにした。また、MMI の後はドッジボールをす ることにした。全体のルールとして、「チビッ子リーダーを泣かせてはならない」ことを設定 した。そのため、チビッ子リーダーにボールが当たっても痛くないようにスポンジ製の柔らか いボールを使用した。また、チビッ子リーダーが当たらないように、グループのメンバー全員 でチビッ子リーダーを守ること。もしチビッ子リーダーが当たったら、その後はボールを2個 にして試合を続行するというルールにした。最後は、全員がそれぞれに参加できるおいかけっ こで終了したかったため、しっぽとりをすることにした。  また、全体の順位で昼食のカレーのトッピングの種類を変えることにした。参加者には1位 のグループのトッピングがステーキであることだけを伝え、残りの順位(6グループに分けて いたため)の6位までのトッピングは閉会式まで参加者には内緒にした。競争性を設定したこ とで、参加者は最後まで本気でゲームに臨んでいた。

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 参加者全員分の昼食として準備したカレーは、前日の夕方からスタッフと子どもたちと一緒 に調理室で作っておいた。トッピングは当日の朝に完成できるように仕込みをして、スタッフ と筆者は期待に胸を躍らせながら、当日を迎えた。 Ⅲ 参加者レポートにみる当日のふりかえり──満足度と「身についた力」の評価  MMI を実践した後、子ども・学生・施設スタッフ等の満足度を測り、それぞれ「どのよう な力がついたと考えるか」についての自己評価を行うためのアンケートを、昼食後に行った。 ここではそのアンケート結果について示していきたい。 1 参加した利用者・子どもの満足度 ⑴ アンケートに回答した利用者・子ども  当日に参加した利用者・子どもは39名であったが、アンケートに回答した人数は30名であっ た(回答率76.9%)。アンケートの回答にあたっては、利用者・子どもの年齢が3歳から30歳 までであったこと。また、個々の年齢や障がいに配慮しながらも、できるだけ本人の選択に任 せるようにサポートできるスタッフや学生に、利用者・子どもたちの回答を手助けする依頼を した。 ⑵ 回答の内容  当日の満足度を「きょうは、①とてもたのしかった ②たのしかった ③あまりたのしくな かった ④ぜんぜんたのしくなかった」という4件法でたずねたところ、回答者30名のうち、 「①とてもたのしかった」を選んだ回答者は22名(73.3%)、また②「たのしかった」を選んだ 回答者は8名(26.7%)であった。  「またこんなふうに、①ぜったいあそびたい ②あそびたい ③あまりあそびたくない ④ ぜったいあそびたくない」という4件法でたずねたところ、回答者30名のうち、「①ぜったい あそびたい」を選んだ回答者が15名(50.0%)、「②あそびたい」を選んだ回答者が13名(43.4%)、 「③あまりあそびたくない」と「④ぜったいあそびたくない」を選んだ回答者がそれぞれ1名 ずついた(ともに、3.3%)。  結果、回答者の100%が「たのしかった」と回答し、93.4%が「またこんなふうにあそびたい」 と回答した。ただし、「③あまりあそびたくない」の回答者は感想をたずねる自由記述欄に、「お にごっこがあそびたかった」と記入していたため、今回の遊びの内容では「あまりあそびたく ない」と回答していると考えられる。 2 参加した学生の満足度 ⑴ アンケートに回答した学生  当日は「社会」受講者である1年生が33名、3年生が1名、4年生が1名であった。3年 生と4年生には運営スタッフとして参加してもらった。しかし、前述したように、運営スタッ

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フはチビッ子リーダーとじゃんけんをすることで、ゲームの参加もしていた。そのため、学年 別に分析せずにデータ集計を行った。アンケート回答者は35名であり、回答率は100%であっ た。 ⑵ 回答の内容  当日の満足度を「きょうは、①とてもたのしかった ②たのしかった ③あまりたのしくな かった ④ぜんぜんたのしくなかった」という4件法でたずねたところ、回答者35名のうち、 「①とてもたのしかった」を選んだ回答者は21名(60.0%)、「②たのしかった」を選んだ回答 者は13名(37.1%)、「③あまりたのしくなかった」を選択した回答者は1名(2.9%)だった。  「またこんなふうに、①ぜったいあそびたい ②あそびたい ③あまりあそびたくない ④ ぜったいあそびたくない」という4件法でたずねたところ、回答者35名のうち、「①ぜったい あそびたい」を選んだ回答者が11名(31.4%)、「②あそびたい」を選んだ回答者が22名(62.9%)、 「③あまりあそびたくない」と選択した回答者は2名(5.7%)だった。  結果、回答者の97.1%が「たのしかった」と回答し、94.3%が「またこんなふうにあそびたい」 と回答した。「③あまりあそびたくない」の回答者の感想をたずねる自由記述欄を確認したと ころ、1名は「もう少し時間が短いとスムーズに物事が進んだような気がします。次はもう少 し子どもたちがわかりやすい問題でゲームをしたいです」と記入していた。そのため、この1 名は今回の遊びの内容では「あまりあそびたくない」と回答していると考えられる。  もう一人の「③あまりあそびたくない」の回答者の感想をたずねる自由記述欄を確認したと ころ、「子どもとどう接すればいいかわからない」と記入していた。この回答者は1年生であっ たため、「社会」の受講者である。よって、授業でこの企画のふりかえりを行うときに、必ず その心情を酌むコメントをしたいと考えている。 3 参加したスタッフや卒業生の満足度 ⑴ アンケートに回答したスタッフ・卒業生  当日に参加したスタッフ・卒業生は合わせて13名であったが、アンケートに回答した人数 は12名であった(回答率92.3%)。なお、卒業生は日本福祉協議機構ではなく、別の病院にて 高齢者のケアマネージャーとして勤務している。 ⑵ 回答の内容  当日の満足度を「きょうは、①とてもたのしかった ②たのしかった ③あまりたのしくな かった ④ぜんぜんたのしくなかった」という4件法でたずねたところ、回答者12名のうち、 「①とてもたのしかった」を選んだ回答者は11名(91.7%)、また②「たのしかった」を選んだ 回答者は1名(8.3%)であった。 「またこんなふうに、①ぜったいあそびたい ②あそびたい ③あまりあそびたくない ④ ぜったいあそびたくない」というに分類し、4件法でたずねたところ、回答者12名のうち、「① ぜったいあそびたい」を選んだ回答者が9名(75.0%)、「②あそびたい」を選んだ回答者が3 名(25.0%)であった。

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 結果、回答者の100%が「たのしかった」と回答し、100%が「またこんなふうにあそびたい」 と回答した。 4 「身についた力」の自己評価  学生とスタッフ・卒業生には「身についた力」についての自己評価を自由記述でたずねた。 設問は、「現在、教育者・保育者養成において、『自立した人間として多様な他者と協働しなが ら創造的に生きていくために必要な資質・能力』を醸成することが求められています。今回の 企画において、子どもとともに育つ教育者・保育者(指導者)として、どのような力が①子ど もに、②自分自身に身についたように感じられますか。自由に記入をお願いします」とした。 ⑴ 子どもに身についた力と感じられる力  「今回の企画において、子どもとともに育つ教育者・保育者(指導者)として、どのような 力が、子どもについたように感じられますか」とたずねた設問で、学生、スタッフ・卒業生が 記入した回答は、「他者に対する力」「子ども自身の力」「無回答」の3つに分類できた。その 割合は表1のようにまとめることができた。その傾向として見受けられるのは、学生による「子 どもに身についた力」として挙げられていた回答の7割が「他者に対する力」、3割弱が「子 ども自身の力」であるのに対し、スタッフ・卒業生の回答は両回答が約5割ずつであるという 違いがあった。 表1 子どもに身についた力として挙げられた回答とその割合の比較 回答の分類 学生の回答数(%) スタッフ・卒業生の回答数(%) 他者に対する力 41/全回答数56(73.2%) 9/全回答数19(47.4%) 子ども自身の力 14/全回答数56(25.0%) 9/全回答数19(47.4%) 無回答 1/全回答数56 ( 1.8%) 1/全回答数19( 5.2%) 注)筆者作成  次に、「子どもに身についた力」の具体的な記述内容を学生とスタッフ・卒業生とで比較し てみたい。学生、スタッフ・卒業生ともに最も多く挙げられていた記述内容は「色々な人と協 力する・関わる力」(学生は全回答数56のうち28[50.0%]、スタッフ・卒業生は全回答数19 のうち7[36.8%])であった。その他の学生の回答には、「思いやる力」「自分の考えている ことを伝える力」「ルールに従う力」があった。  「子ども自身の力」に対する学生の回答は「頑張る・挑戦する・やりとげる力」「全力で遊ぶ・ 楽しみ、悔しがる力」「自分を認める力」であったが、スタッフから挙げられた回答は「全力 で遊ぶ・楽しみ、悔しがる力」に集中していた。 ⑵ 自分自身に身についたと感じられる力  「今回の企画において、子どもとともに育つ教育者・保育者(指導者)として、どのような 力が、自分自身についたように感じられますか」とたずねた設問で、学生、スタッフ・卒業生 が記入した回答は、表2のようにまとめることができた。その傾向として見受けられるのは、

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学生による「子どもに身についた力」として挙げられていた回答の約5割が「子どもに接する 力」、2.5割が「子どもの個性を見る力」であった。スタッフ・卒業生の回答で最も多く挙げら れていた回答が「子どもの個性を見る力」「全体をみる力」(両回答とも約2.5割)であった。 また、学生とスタッフ・卒業生の回答で違いがあらわれたのは、「自分自身が全力で楽しむ力」 をあげた回答であり、スタッフの回答の割合は学生のそれの約2倍であった。 表2 自分自身に身についた力として挙げられた回答とその割合の比較 回答の分類 学生の回答数(%) スタッフ・卒業生の回答数(%) 子どもに接する力 28/全回答数52(53.8%) 3/全回答数19(15.8%) 子どもの個性をみる力 13/全回答数52(25.0%) 5/全回答数19(26.3%) 全体をみる力 6/全回答数52(11.5%) 4/全回答数19(21.0%) 自分自身が全力で楽しむ力 4/全回答数52( 7.7%) 3/全回答数19(15.8%) その他 1/全回答数52( 2.0%) 4/全回答数19(21.0%) ・体力         1(2.0%) ・子どもの目線に立つ力 0 ・ほめる力       0 ・団結力        0 ・体力         0 ・子どもの目線に立つ力 2(10.5%) ・ほめる力       1(5.3%) ・団結力        1(5.3%) 注)筆者作成 ⑶ 考察  以上の結果から何が推察できるのかを考察してみたい。まず、注目したいのが、今回筆者が 企画した「遊び」のイベントであっても、学生は「全力で楽しむことができる力」が身につい たとはほとんど実感していないということである。今回の企画に参加した学生の97.1%が「た のしかった」と回答し、94.3%が「またこんなふうにあそびたい」と回答しているのにもかか わらず、である。  スタッフ・卒業生の回答には、「まずは自分が楽しむことが大事だということを再確認した」 「子どもの目線に立つことの重要性を再確認した」というように、「再確認」という記述がみら れる。それらは、「どんな子どもたちにも平等に接するには、自分が決めたハードルの高さで はなく、子どもたち個々のハードルまで下げることが重要だと感じました。今後はもっとここ に近寄れるようになりたいと思います」「教育者としてなのかはわかりませんが、子どもと同 じ視点に立ち、同じパワーで関わることで子どもたちが求める喜びや楽しみを感じました。ま ず一緒にあそぶのが一番大切と再確認」との回答であった。こうした内容から、スタッフ・卒 業生は「全力で子どもと遊ぶ」ことができるようになったこと。また、「全力で子どもと遊ぶ」 こと自体が「子どもの目線から、子どもたちが求める喜びや楽しみを考えることができるよう になった」という「教育・保育者(指導者)としての成長」として考えられるのではないかと 考えられる。  これに対し、学生の感想の自由記述欄には、「障がい児にかかわった経験がこれまでにない」 との記述がみられた。スタッフ・卒業生にとって、「子どもと遊ぶこと」は「子どもの目線か

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らのニーズを把握する」という一つの方策にできているのに対し、学生は「遊ぶ」ことでも、「子 どもとの関わり方」を懸命に模索・学習しようとしていることが推察できる。  「③あまりあそびたくない」と回答した学生がその感想に、「子どもとどう接すればいいかわ からない」と記入していたことも先に確認した。この学生が「自分自身に身についたと感じら れる力」として記入していた内容をみると、「自分たちが様々な個性の子どもと接する力が身 についた」であった。ここから、この学生には子どもの個性を尊重したい、自分にできるかぎ り尊重しようとする意欲はある。しかし、「遊ぶ」ことでは「子どもとのかかわりを持つこと に戸惑いを感じる」のではないかと推察できる。実際、この学生は「社会」の授業ではとても イキイキと模擬授業を行っていた。子どもと遊ぶことは難しくても、勉強を教えることでなら 子どもと接したいという意欲があると評価することができるのではないかと推察する。 5 今後の課題──参加者の感想からの考察  最後に、参加者が希望していた遊びイベントの内容をアンケート結果から示しておきたい。  「たのしかったあそびはどれですか?」と複数回答でたずねたところ、回答数が多かったの はドッジボール(回答数55、71.4%)、しっぽとり(36、46.8%)、ジェスチャーしりとり(28、 36.4%)、なわとび(20、26.0%)、フラフープ(13、16.9%)であった。自由記述式では、「お にごっこがしたい」という回答が最も多く、チビッ子リーダーや今回参加できないでいた利用 者さんも「全員が参加できる遊びがしたい」という回答が多かった。ドッジボールやしっぽと りについては、「全員が楽しめる競技であったから楽しかった」という意見が多かった。  次回は、大学構内を使っての「おにごっこ」を企画するのも良いと思うが、参加者全員の安 全をどう確保するか。「チーム戦が楽しかった」という意見も複数あったことから、今後もスタッ フや学生たちとも協議しながら、「チーム戦でのおにごっこ」を企画してみたい。 おわりに  本稿では、アクティブ・ラーニングの体験学習としての主体的・協働的な「対話形式の問題 解決型思考で遊ぶイベント」の企画・実践・評価についてまとめてきた。こうした実践が可能 なのも本学の学生、日本福祉協議機構の利用者・子どもたち、スタッフが筆者も交えて「いっ しょに遊びたい!」と望んでくれること、大きな笑顔を常に見せてくれることが非常に大きい。  今回の遊びイベントをともに企画し、遊びイベントの前日のカレーの下準備より運営にご協 力いただいた日本福祉協議機構のスタッフが、次のようなメッセージをくれた。  「本当に子どもたちみんなのああいう時の姿ってこちらまで心が躍るし、自分は感動し屋さ んなとこがあるんで、瞬間瞬間でウルッときてしまうんですよね。少し前までは一緒に笑い合 えなかった期間があった子とまた再びいっしょに笑って走り回れるっていう、他愛のないそん なことが本当に幸せでした。  彼らのこれから長い人生にとっては一瞬のもので、これから過ごす時間の中で上書きされ、

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未来の心には微かにしか残らない、とるにたらない記憶でしかないかもしれないけど、そんな 時間をたくさんたくさん重ねていってほしいなって。点と点をたくさん繋いで、ゆっくりでい いから鮮やかに染まっていってくれたらなと思います。  彼らに関わってくれる人が一人、また一人と増えて広げてくださり本当に感謝しています」  「点と点をたくさん繋いで」、鮮やかな記憶にするために、本稿でまとめたアクティブ・ラー ニングにおける評価とその分析が非常に重要であると再確認できた。授業者、また研究者とし て、さらに学生や子どもたち、スタッフがともに過ごした時間の一瞬一瞬の感想の記述から、 それぞれの心情をていねいに斟酌した上で、次に共有できる試みを企画・実践し続けていきた いと筆者が強く思ったことをここに記しておきたい。 写真3 体育館で参加者全員の記念撮影 謝辞  本稿執筆にあたり、日本福祉協議機構の利用者・子どもたちとスタッフ、本学の学生、そして主 旨をご理解いただき、構内の使用許可を快諾してくださった名古屋短期大学教授の小川雄二先生を はじめ、本学関係者の皆様には厚く御礼申し上げます。本当にありがとうございました。今後とも、 どうぞよろしくお願いします。 註 ⑴ 北俊夫・向山行雄2016『アクティブ・ラーニングでつくる新しい社会科授業 ニュー学習活 動・全単元一覧』学芸みらい社、11頁。 ⑵ 天笠茂2015「アクティブ・ラーニングを実現する学習像」『教育展望』第61巻第8号、4頁。 ⑶ 同上5頁。 ⑷ ⑸ ⑹ 同上7頁。 ⑺ デューイ1957『学校と社会』岩波文庫、230頁。 ⑻ 山内祐平2016「アクティブラーニングの理論と実践」永田敬/林一雅『アクティブラーニン

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グのデザイン 東京大学の新しい教養教育』24頁。 ⑼ 天笠茂2015、6頁。 ⑽ 溝上慎一2015「大学教育から初等中等教育へと降りてきたアクティブ・ラーニング」『教育 フォーラム』第56号、8頁。 ⑾ 北俊夫・向山行雄2016『アクティブ・ラーニングでつくる新しい社会科授業 ニュー学習活 動・全単元一覧』学芸みらい社、11頁。 ⑿ 澤井陽介2016 「アクティブ・ラーニングと各学校段階等・各教科等との関係 社会科、地理歴 史科、公民科とアクティブ・ラーニング」教育課程研究会『「アクティブ・ラーニング」を考 える』東洋館出版社、162‒183頁。 ⒀ 佐藤正寿2016「『楽しい教材』と『実社会とかかわる場面』を準備する」『教育科学 社会科 教育』第53巻4号、12頁。 ⒁ 北俊夫・向山行雄2016、11頁。 ⒂ 天笠茂2016「アクティブ・ラーニングを考える──着眼点としての能動的であること」『日本 教育』第454号、7頁。 ⒃ 同上、8∼9頁。 ⒄ 「 日 本 の 障 が い 児 童 達 が カ ン ボ ジ ア の 子 供 に 教 科 書 を 届 け に 行 く!『Ready for?』https:// readyfor.jp/projects/bokupuro(2016年8月17日閲覧) (受理日 2017年1月11日)

参照

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