【研究報告】就学準備期から就学期のPrader-Willi
症候群児の保護者と担任間のコミュニケーションの
実態調査
-保護者への質問紙調査から-著者名
佐々木 規子, 中込 さと子
雑誌名
日本遺伝看護学会誌
巻
16
号
2
ページ
79-88
発行年
2018
URL
http://doi.org/10.34429/00004277
日本 遺 伝 看 護 学 会 誌 J. Genet. Nurs. Jpn 16(2) 2018
【研 究 報 告 】
就 学 準 備 期 か ら就 学 期 のPrader-Willi症 候 群 児 の保 護 者 と
担 任 間 の コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ンの実 態 調 査
-保 護 者 へ の質 問 紙 調査 か
ら-Actual
condition
survey
of communication
between
parents
of children
with
Prader-Willi
Syndrome
in preschool
age and school age and teacher
佐 々 木 規子1)2)、 中 込 さ と子3)
1)長 崎 大 学 生 命 医科 学 域 保 健 学 系 リプ ロ ダ クテ ィ ブヘ ルス 分 野
2)山 梨 大 学 大 学 院 医学 工 学 総 合 研 究 部 ヒ ュー マ ンヘ ル ス ケ ア学 専 攻 博 士 課 程 3)山 梨 大 学 大 学 院 総合 研 究 部 成 育 看 護 学 講座
Noriko Sasaki 1) 2) , Satoko Nakagomi 3)
1) Nagasaki University, Institute of Biomedical Sciences, Department of Reproductive Health 2 ) University of Yamanashi, Nursing and Health Science, Interdisciplinary Graduate School of
Medicine and Engineering
3 ) University of Yamanashi, Graduate Faculty of Interdisciplinary Research
要 旨 目的:Prader-Willi症 候 群 と診 断 され た 子 ど もの 保 護 者 と担 任 との コ ミュニ ケー シ ョンの 実 態 を明 らか にす る。 方 法:調 査 対 象 は現 在4歳 か ら15歳 のPWS児 の保 護 者 で、 担 任 との 関 係 に 関す る 無 記 名 自記 式 質 問 紙 調 査 を 実 施 した。 調 査 期 間 は2016年5月 ∼10月 末 日で あ っ た 。 調 査 内 容 はPWS児 の 基 本 属 性 、 児 の担 任 と の コ ミュ ニ ケー シ ョンの 経験 や そ の 内容 と した 。 結 果 :PAS児20名 の保 護 者 か ら回答 を得 た 。 担 任 に 相 談 した い と思 っ た 経 験 を保 護 者19名 中16名(84%)が 、 担 任 と コ ミ ュニ ケ ー シ ョ ンが う ま くい か な い と感 じた経 験 を保 護者16名 中8名(50%)が 、 担 任 に 言 い た い け れ ど言 え ない 経 験 を保 護 者18名 中7名(39%)が して い た 。担 任 に知 っ て ほ しいPWS特 性 は 「認 知 の偏 り」、「身 体 的特 徴 」、 「不 適 応 行 動 の理 由」 で あ っ た 。 保 護 者 は担 任 に我 が 子 を 「理 解 して ほ しい 」、 「認 め て ほ しい」 と い う思 い を もっ て い た 。 考 察:特 別 な支 援 を必 要 とす る児 に とっ て 、 保 護 者 と担 任 の 連携 は 必 要 で 、 そ の た め に両 者 間 の コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ンが 重 要 と な る。 今 回 の結 果 で は担 任 との コ ミ ュニ ケ ー シ ヨン に戸 惑 う経 験 を した保 護 者 は約 半 数 お り、 保 護 者 と担 任 間 の 認 識 の 「ズ レ」 が原 因 の 一 つ と考 え られ た。 両者 間 に 生 じた 「ズ レ」 は保 護 者 の教 育 へ の参 画 を妨 げ 、 児 へ の 適 切 な支 援 を妨 げ る可 能 性 を もつOし か し、 これ まで 障 害 の あ る子 ど も を育 て て きた保 護者 と担 任 との 問 に 「ズ レ」 が 生 じる こ とは 当 然 と も思 われ 、 双 方 が 当然 起 こ り得 る 「ズ レ」 を 自覚 しな が ら、共 に 繰 り返 しコ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ンを 図 る 努 力 が 必 要 と考 え る。 またi保 護 者 は担 任 にPWS特 性 の 理 解 を望 み 、 受 付 日:2017年10月22日 受 理 日 :2018年2月22日 連 絡 先:佐 々木 規 子 長 崎 大 学 生 命 医 科 学 域 保 健 学 系 リ プ ロ ダ ク テ ィブ ヘ ル ス 分 野 〒852-8520 長 崎 県 長 崎 市 坂 本1-7-1 79
日 本 遺 伝 看 護 学 会 誌 J. Genet. Nurs. Jpn 16(2) 2018 家 庭 に 限 らず 家 庭 外 で も一 貫 した 対 応 を 期 待 す る 一 方 で 、PWSで は な く一 人 の 人 と し て 見 て ほ しい とい う思 い も も っ て お り、 そ れ は尊 厳 を支 え る 支 援 につ な が る と考 え る。 キ ー ワ ー ド:プ ラ ダ ー ・ウ ィ リ ー 症 候 群,就 学 期,保 護 者,教 師,コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 1は じ め に Prader-Willi Syndrome(以 下PWS)は1956年 に 初 め て 報 告 さ れ た 症 候 群 で あ る。10000∼15000人 出 生 に対 し1人 の 割 合 で 出生 す る染 色 体 構 造 異 常 の 稀 少 疾 患 で 、 染 色 体15qll-13に 存 在 す る 父 親 由 来 の 遺 伝 子 の 欠 失 に よ っ て起 こ る。PWSは 成 長 段 階 の それ ぞ れ の 時 期 に身 体 及 び 精 神 発 達 上 に 特 徴 的 な 課 題 を有 し、そ の 時 期 に応 じた 対 応 が 求 め られ る(長 谷 川,2009;大 橋,2011;綾 部,2015)。 2000年 頃 にPWSの 診 断 法 が 確 立 した こ と で 乳 幼 児 期 の早 期 診 断 が 可 能 に な っ た(Gunay-Aygunら, 2001)。 そ の 後 、PWSの あ る 児(以 下PWS児 とす る) へ の 成 長 ホ ル モ ン治療(以 下GH治 療)が 可 能 と な り、 PWS児 の 体 組 成 改 善 、 肥 満 予 防 、 筋 力 向 上 に よ り QOLを 飛 躍 的 に 改 善 さ せ た(永 井,2011)。 今 回 の 対 象 児 で も あ る 就 学 期 前 後 のPWS児20名 の 調 査 (佐 々 木,2017)で は 、 全 て の 児 が1歳 まで にPWS の 診 断 を 受 け、 そ の 中 でGH治 療 経 験 を有 す18名 中 14名 は標 準 体 重 の範 囲 内 に あ っ た。 体 重 が 適 切 に コ ン トロ ー ル さ れ て い る こ と はPWSの 早 期 診 断 に よ る恩 恵 と思 わ れ る が 、GH治 療 の 開 始 時 期 を 早 め た だ け で な く、 親 を 主 と す る 支 援 者 が 、 よ り早 期 に PWSの 特 性 を 理 解 し、 個 々 人 に 応 じた 対 応 を 可 能 に した(綾 部,2015)こ と も大 き な理 由 と考え る 。 そ の た め 、幼 少 期 か ら継 続 す る支 援 者 の 適 切 な 対 応 はPWS児 の 健 や か な 成 長 に 不 可 欠 で、 家 族 や 支 援 者 自身 の 意欲 は重 要(IPWSO,2010b)で あ る。 しか し、 多 くの 家 族 は わ が 子 の 不 適 応 行 動 に プ レ ッ シ ャ ー を感 じ、 健 康 管 理 に 限界 を生 じる 可 能 性 を もつ(高 木,2006;佐 々 木,2017)。 そ の 中 で 就 学期 は学 校 とい う集 団 生 活 の 中 で の 活 動 制 限 、 学 習 の 遅 れ 、 対 人 関 係 の 困 難 、 そ して食 事 療 法 の 強 化 が ス トレ ス と な り、不 適 応 行 動 が 好 発 し始 め る 時 期(大 野,2011;加 藤,2015)と され 、 集 団 生 活 で の 主 な 支 援 者 とな る担 任 と保 護 者 との コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン が 大 変 重 要 と な る。 そ の た め 両 者 の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン の 実 態 を 明 らか に す る こ とで、PWS児 の 集 団生 活 に お け る支 援 体 制 の 課 題 を見 出 す 機 会 に な る と 考 え る。 こ れ ま で 本 邦 に お い て 就 学 期 前 後 の PWS児 の 保 護 者 と担 任 の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン の 実 際 につ い て調 査 され た もの は な い 。 【用 語 の 定 義 】 就 学(期):小 学 校 あ る い は 中学 校 に入 学 し、 教 育 を受 け る こ と、 在 籍 す る こ と。 担 任 :児 を担 当す る保 育 士 あ る い は教 師 の こ と。 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン:PWS児 が 集 団 生 活 に 適 応 で き る 環 境 の 構 築 を 目的 と した 保 護 者 と担 任 の 双 方 的 な意 思 疎 通 を 図 る 行 為 の こ と。 信 頼 関 係 の 形 成 、 合 意 形 成 を含 む 。 Ⅱ 研 究 目的 本 研 究 は、 就 学 準 備 期 か ら就 学 期 に あ るPWS児 の 保 護 者 と担 任 との コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ンの 実 際 を 明 らか に す る こ とを 目的 とす る 。 Ⅲ 方 法 1.対 象者 の 特 性 染 色 体 検 査 に よ っ てPWSと 診 断 さ れ た 子 ど も の 保 護 者 で 、 子 ど もの 年 齢 は 調 査 当 時 に年 中 児 か ら中 学3年 生 で あ る5歳 か ら15歳 ま で と した。 2.調 査 期 間 調 査 期 間 は2016年5月 ∼10月 末 日 と した 。 3.調 査 内 容 調 査 内 容 はPWS児 の 基 本 属 性 、 児 の 担 任 との コ ミュ ニ ケ ー シ ョンの 経 験 の 有 無 や そ の 内容 、 保 護 者 が 受 け る心 理 的 ・社 会 的支 援 と した 。
,日 本 遺 伝 看 護 学 会 誌 J. Genet. Nurs. Jpn 16(2) 2018 4.デ ー タ収 集 方 法 前 述 の調 査 内容 を含 ん だ無 記 名 自記 式 質 問紙 を作 成 し、 以 下 の2つ の方 法 で 質 問 紙 を配 布 した。1つ は 本 研 究 の趣 旨 や 方 法 に賛 同 したPWS児 を診 療 す るA県 内 お よ びB県 内 の 小 児 科 医 が 、PWS児 の 診 察 時 に 同伴 した 保 護 者25名 に手 渡 した 。2つ め は 日本 PWS協 会 に研 究 協 力 を得 て 、 対 象 者 の 特 性 に 該 当 す る会 員25名 へ 郵 送 した。 な お、 回答 が 終 了 した質 問 紙 は返 信 用 封 筒 に て筆 者 に返 送 して も らっ た。 5.デ ー タ分 析 方 法 択 一 回答 式 質 問 は記 述 統 計 を行 い、 自由 回答 式 質 問 は内 容 分析 を行 った。 ま た、 各 対 象 者 を基 本 属 性 の 特 性 別 に分 類 し比 較 した。 分 析 に は 遺伝 看 護 及 び 障 が い 児 ・者 と関 わ りの あ る看 護 職 者 ・ 臨床 遺 伝 専 門 医 の スー パ ーバ イ ズ を受 け 、妥 当 性 を確 保 した。 6. 倫 理 的 配 慮 研 究 へ の参 加 は 自 由意 思 に よる もの で あ り、参 加 、 不 参 加 に よ り何 ら不 利 益 を被 る こ とが ない こ と を保 障 した 。研 究 へ の 協 力 は質 問紙 の投 函 を もっ て 同 意 とみ な した 。 なお 、 本研 究 は長 崎 大 学 大 学 院 医 歯薬 学総 合研 究 科 倫 理 委 員 会 の 承 認 を得 て 実 施 した(承 認 番 号 16031086-2)。 Ⅳ 結 果 1.対 象 者 の 背 景 50名 中20名 か ら 回 答 を 得 た(表1)。 中 学 生 が4 名(No.A∼D)、 小 学 生 が11名(No.E∼0)、 未 就 表1. 基 本 属 性 *未 回 答 NO 性別 診断 時期 肥満度(内分泌学会) 現在 の 所属 体温調節 不安定 睡 眠関連性呼 吸障害 肥 満 の 指摘 性 格 ・行 動 上 の異 常 GH治 療 A 男 2か 月 普通 特別支援学級 わ か ら な い 無 無 無 5歳 ∼ B 男 0か 月 普通 特 別支援学級 有 無 無 無 9歳 ∼ C 女 2か 月 普通 特別支援学校 無 無 有 無 2歳 ∼ D 女 1年 普通 普 通学級 無 無 無 無 1歳 ∼ E 男 1か 月 高度肥満 特 別支援学級 無 過去 有 無 * F 男 1か 月 普通 普 通学級 わ か ら な い 過去 無 経過観察 2歳 ∼ G 女 2か 月 普通 特 別支援学級 6歳 まで 無 無 無 2歳 ∼ H 女 1年 10か 月 普 通 特別支援 学級 有 わ か ら な い 無 無 6歳6か 月 ∼ I 男 5か 月 普通 特別支援学級 有 有 無 経過観察 3∼9歳 」 男 5か 月 普 通 特 別支援 学級 有 わ か らな い 無 経過観察 6歳 ∼ K 男 0歳 高 度肥満 特別支援 学校 有 無 有 経 過観 察 * L 男 0か 月 中等度肥 満 特別支援学校 わ か ら な い 過去 有 抗精神病薬 1歳 ∼ M 女 1歳 普 通 特別支援学級 有 無 わ か らな い 経過観察 3歳 ∼ N 女 1か 月 中等度肥 満 特 別支援 学 級 有 わ か ら な い 有 無 1歳 ∼ 0 男 1か 月 中等度肥 満 特別支援学校 有 CPAP 有 * 1歳6か 月 (一 時 中 断) P 男 4か 月 普通 保育 園 わ か ら な い 無 無 無 1歳 ∼ Q 男 4か 月 普 通 保育 園 わ か ら な い 無 無 無 2歳 ∼ R 女 1か 月 や や 太 りす ぎ 保育 園 無 無 無 無 10か 月 S 男 1か 月 普 通 保育 園 有 無 無 経過観察 0歳 T 男 1か 月 普 通 保育 園 無 過去 無 無 1歳9か 月 ∼ 81
日 本 遺 伝 看 護 学 会 誌 J. Genet. Nurs. Jpn 16(2) 2018 学 児 が5名(No.P∼T)で あ っ た 。 通 学 す る 学 校 の種 類 は 中 学 生 は普 通 学 級1名 、特 別 支 援 学 級2名 、 特 別 支 援 学 校1名 で あ っ た 。小 学 生 は 普 通 学 級1名 、 特 別 支 援 学 級7名 、 特 別 支 援 学校3名 で あ っ た 。 未 就 学 児 は全 員 が 保 育 園 で あ っ た。 2.保 護 者 と担 任 間 の コ ミュニ ケ ー シ ョン(表2,3) (1)集 団 生 活 に お い て 担 任 に 相 談 し た い と思 っ た 経 験 保 護 者19名 中16名(84%)が 担 任 に相 談 した い と 思 っ た経 験 を持 っ て お り、 未 就 学 か ら 中学 生 の 全 て 表2. 保 護 者 の 自由 回 答 の 結 果(担 任 との コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン) 集 団 生 活 に お い て 相 談 した い と思 っ た 経 験(16名 /19名 中) ・給 食 の カ ロ リー ,食 事 中 の口の動 か し方(食 べ 方),見 守 り,過 食 ・友 人 関 係,教 室 で の 様 子,子 ど も 関係,小 学 校 の 遊 び 方,学 校 行 事 へ の 参 加 の 仕 方 ・気 分 の 切 り替 え に 時 間 が か か る .気 に入 っ た服 しか 着 ない.物 に 当た る,パ ニ ック,近 くの 人 に触 れた り,じ っ と 見 て し ま う な どの 子 ど もの 行 動 に対 す る 対 処 方 法 生 活 上 の 注 意 点 な ど ・話 が で き な い た め 手 話 や マ カ トンサ イ ン な ど を提 案 ,本 人 に応 じた コ ミ ュニ ケ ー シ ョ ン の 方 法 ・学 習 面 等 ,宿 題 に時 問 が か か る ・本 人 の特 性 に合 っ た 支 援 の 実 現 の た め の 話 し合 い ・友 人 へ の カ ミ ン グ ア ウ ト(PWSと は言 わ ず 症 状) 担 任 と コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン が う ま くい か な い(8名/16名 中) ・お 願 い して い た こ と を して も ら え なか っ た と き(寒 い 日の 服 の 着 せ 方) ・楽 しみ に して い る 給 食 直 前 に しか る.「 ごめん な さい」 が 言 えず,皆 の給食 を立 っ てみ てい た ・PWSの 理 解 が 無 い .こ だ わ りの部 分や,食 べ 物 に対 す る気持 ち を なか なか理解 して も らえない ・本 人 の 特 性 に 合 わ せ た 支 援 の 必 要 性 や 支 援 の仕 方 を 学 ぼ う と しな い ・要 望 通 りの 支 援 は 難 しい よ う に 返 事 が 返 っ て き た と き ・PWSの 事 を伝 え た こ とで,特 別 扱 い す る先 生 もお り,親 の 意 向 を伝 え に くい 担 任 に言 い た い け れ ど言 え な い 経 験(7名/18名 中) ・も っ とみ て ほ し い .認 め てほ しい,褒 め て ほ しい ・出 来 な い こ とが 多 い が ,で き て い る こ と は 認 め 褒 め て や っ て ほ しい.頑 張 っ て い る 姿 勢 や プ ロ セ ス を褒 め て や っ て ほ しい.方 針 の 違 い な の で 難 しか っ た ・学 習 面 の フ ォ ロー,で き な い と 決 め つ け て,力 を い れ て も らえ な い ・「支 援 」 そ の もの へ の 理 解 が 出 来 て い な い ,指 摘 して も 自覚 が な く分 って も らえない ・あ ま り何 度 も言 う と教 師 との 関 係 が 悪 くな り,子 ど も に影 響 す る と思 っ た か ら ・個 別 支 援 を 丁 寧 に も っ と行 っ て ほ しい が ,他 の 子 の 事 や 学 校 全 体 か ら す る と難 し い の か な と思 う と,な か な か 押 せ な い ・新 卒,新 任 で ど う見 て も先 生 が 負 担 を感 じ るで あ ろ う と思 っ て 遠 慮 して しま っ た ・癇癪 の 理 由 が 見 つ け ら れ な い 現 在 , 学 校 に お 願 い し た い こ と(10名 /16名 中) ・復 習 を 繰 り返 して ほ し い ・ひ らが な の 読 み 書 き,数 字書 きがで きる よ うにな っ てほ しい ・本 人 に 合 っ た カ リキ ュ ラ ム,教 育,支 援 方 法 ・学 習 面 の フ ォ ロー,で き な い と 決 め つ け て,力 を い れ て も ら え な い ・病 気 は あ る け れ ど,そ の子 の能力 を最 大 限 の努 力 を して ほ しい.親 も頑 張 る!! ・身 体 的 な 特 性 や こ だ わ り等 に つ い て ,理 解 して も ら い た い ・身 の 回 りの 事,体 調 を崩 しや す い た め,無 理 を させ な い で ほ しい,階 段 の 見 守 り,食 事 ・問 題 行 動 を起 こ して,周 りに 迷 惑 を か け な い か 心 配 ・普 通 級 との 交 流 担 任 に 知 っ て ほ しいPWS特 性(17名) ・周 りに は わ か り に くい,本 人 の 苦 し さ、 辛 さ(人 の 目が 気 に な る,注 目 さ れ る こ と が 苦 手),不 安 感 か ら く る 問 題 行 動 ・頑 固 ,強 情,こ だ わ り,ス トレス耐 性 の な さ,パ ニ ック,お しゃべ り,し つ こい,中 止 ・変更 に弱 い(先 の 見通 し が つ きに くい),ス キ ン ピ ッ ク ン グ,記 憶 や 理 解 の 特 性,過 食(生 命 に か か わ る,二 次 的 症 状) ・眠 くな る ,睡 眠,疲 れや す い,体 力 の な さ,体 温 調整 の苦手 さ,低 緊張 ・特 性 の 理 解 よ り,目 の前の本 入の特性 を理 解 し,本 人 の必要 とす る支 援 を して ほ しい,声 の かけ方 ・PWSの 事 を わ か っ て い な い 人 は 「ち ゃ ん と し な さ い!」 と す ぐに 怒 っ て し ま い ,子 ど もが 益hド キ ドキ して問題 行 動 を起 こ し て し ま う ・運 動 療 法,食 事 療 法,視 覚 的 支 援 ・保 健 室 の 先 生 の 理 解 が 効 果 的 だ と思 う
日 本 遺 伝 看 護 学 会 誌 J. Genet. Nurs. Jpn 16(2) 2018 表3. 保護者 の 自由回 答の 結果(子 どもの学校生 活や勉 強への満 足度) 学 校 生 活 や勉 強 へ の 満 足 度(17名) 〈 満 足>12名 〉 特 別 支 援 学 級 ・今 の 担 任 の 先 生 が 良 い か ら ・とて も手 厚 く,他 の 障 害 の子 へ の理 解 も深 ま った ・担 任,校 長,教 頭 と 月1回 定 例 会 を も ち,情 報 交 換(学 校,家 で の 様 子,学 習 内 容)を して,要 望 を伝 え て い る ・1,2年 生 の 時 に友 人 に カ ミ ン グ ア ウ トした こ と で,皆 か ら助 け て も ら え る.受 け 入 れ て も らえ る 環 境 が で きて い る か ら ・本 人 が 頑 張 っ て い るか ら,楽 しそ うだ か ら 〉 特 別 支 援 学 校 ・個 人 に合 わ せ た学 習 を して くれ る.親 へ の対 応 も と て も丁 寧 で,「 こ ん な こ と を し て ほ しい 」 とか 個 々 に 対 応 し て要 望 も聞 い て くれ る ・子 ど も を温 か く見 守 っ て くれ て い る A保 育 園 ・担 任 以 外 に,う ち の子 一 人 に担 当 が つ き,安 心 して 預 け られ て い る.本 人,親 と も担 当 の 先 生 との 信 頼 関 係 が で きて い る ・少 人 数 で の 療 育 ,リ ハ の ような専 門お用具 や遊具 を使 っての個別指 導が ある ・子 ど も を 中 心 と した 保 育 で あ り,園 行 事 に 引 っ張 られ ず,の び の び と一 人 一 人 に合 っ た保 育 を受 け て い る ・支 援 の 先 生 が 充 実 して お り,い ろい ろ なアプ ローチ を して くれ る <不 満 足>5名 〉 特 別 支 援 学 級 ・支 援 学 級 で は周 りの レベ ルが 高 い.つ いて い くのは難 しいの を承知 で入学 させ た.支 援 学校 では物足 りない,丁 度 い い とこ ろ が 無 い ・本 入 の 学 力 に 合 っ た 進 め方 を さ れ て い な い 気 が す る ・現 在 不 登 校 と な っ て い る 〉 特 別 支 援 学 校 ・足 し算,引 き算 を や っ て で き た の に,学 年 が 変 わ り足 し算 の み に な り進 ま な い ・本 人 に合 っ た 支 援 を も っ と率 先 して プ ロ と して 引 っ 張 っ て くれ る く らい の ア イデ ィア を 出 して ほ し い の 年代 に い た 。相 談 した い 内容 は、 給 食 の カ ロ リ ー 管 理 や 過 食へ の対 応 、 食事 の 見 守 りを含 む 『食事 管 理 』、 子 ど もが 自分 で 説 明 で き な か っ た り、 ス ト レ ス を 溜 め な い よ う に本 人 に応 じ た 『コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ンの 方 法』、 気 分 の切 り替 え に 時 間 が か か る、 物 に 当 た る 、 パ ニ ッ ク を起 こす 等 の 子 ど もの行 動 へ の 対 応 な ど の 『子 ど も の特 性 に応 じた 支 援 方 法 』、 友 人 関係 や 学校 行 事へ の 参 加 の 仕 方 や周 囲 の 理解 等 の 『集 団 生活 へ の 適応」、 そ して 『学 習 面 へ の 配 慮 』 で あ っ た。 (2)担 任 と コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ンが うま くい か な い 経 験 保 護 者16名 中 就 学期 の児 を もつ8名(50%)が 担 任 と コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ンが う ま くい か な い経 験 を もっ て い た。 そ の 内容 は 、 寒 い 日の 服 の 着 せ 方 の お 願 い に対 応 して も らえ な か った 、 給 食 前 に 叱 られ給 食 風 景 を 立 って見 せ て い た 、 我 が 子 にあ る こ だ わ り や 食 べ 物 へ の 気 持 ち を 理 解 して も ら え な い、PWS 児 の支 援 の必 要 性 や そ の 方 法 を学 ぼ う と しな い 『担 任 の無 関心 』 で あ っ た 。 (3)担 任 に 言 い た い けれ ど言 え ない 経 験 保 護 者18名 中就 学 期 の 児 を もつ7名(39%)が 担 任 に言 い た い け れ ど言 えな い 経 験 を して い た。 保 護 者 が 言 え な い理 由 は 、担 任 が子 どもが で きな い と決 めつ け て い る、 方 針 の違 い 、 支 援 自体 の理 解 が な い とい っ た 『担 任 の消 極 的 な 態 度』 と、 言 っ た こ とで 教 師 との 関係 が 悪 くな る 、他 の 子 ど もへ の遠 慮 、 子 ど もの痛 癩 の理 由 が探 せ な い 等 の 『親 の消 極 的 な態 度 』で あ っ た。 保 護者 が言 い た い が 言 え ない 内容 は、 子 ど もを認 め て欲 しい 、頑 張 って い る姿 勢 や プ ロ セ ス を誉 め てや っ て ほ しい とい う もの で あ っ た。 (4)現 在 、担 任 や学 校/保 育 園 に お願 い した い こ と 保 護 者16名 中10名(63%)が 担 任 や学 校/保 育 園 にお 願 い した い こ とが あ り、 未就 学 か ら中学 生 の全 て の年 代 に い た。 そ の 内 容 は本 人 に合 っ た カ リキ ュ ラ ム、 復 習 、 読 み書 きが で きる 、 普 通 級 との交 流 を 83
日 本 遺 伝 看 護 学 会 誌 J. Genet. Nurs. Jpn 16(2) 2018 もっ て 欲 しい等 を含 む 『個 人 に応 じた 教 育 、 学 習 の 充 実 』、 こ だ わ り等 の 特 性 や そ れ に よ る 問 題 行 動 の 心 配 とい っ た 『集 団 生 活 で の 留 意 点 』、 体 調 を崩 し や す い 、 身 の 回 りの世 話 、 階段 の 見 守 り、 食 事 等 の 『学 校/保 育 園 で の 生 活 管 理 』、 子 ど もの 能 力 を最 大 限 に 活 か して ほ し い等 の 『子 ど も を 認 め て ほ し い 、 子 ど もの 可 能 性 を 広 げ て ほ しい』 で あ っ た 。 (5)教 師 に 知 っ て ほ しいPWSの 特 性 保 護 者18名 中17名 が 教 師 に 知 っ て ほ し いPWSの 特 性 をあ げ た 。 そ の 内 容 は、 過 食 頑 固、 強 情 、 こ だ わ り、癇癪 、 ス トレス 耐 性 の 無 さ、 ス キ ン ピ ッキ ン グ 等 の 『不 適 応 行 動 』、 肥 りや す さ、 体 温 調 節 不 安 定 、 眠 くな る、 体 力 の 無 さ、 疲 れ や す さ等 の 『身 体 的 特 徴 』、 そ して 、 こ の 『不 適 応 行 動 』 や 『身 体 的特 徴 』 が 周 囲 に は分 か りに くい こ と、 本 人 の 苦 し さや 辛 さ、 不 安 か ら問題 行 動 が 起 こ る こ と等 の 『不 適 応 行 動 の 理 由』 で あ っ た 。 『特 性 に 応 じた 支 援 の 方 法 』 と して、 運 動 療 法 、 食 事 療 法 、 視 覚 的 支 援 な どが あ っ た 。 また 、 学 校 に お い て養 護 教 諭 の 理 解 が 効 果 的 との 意 見 が あ った 。 3.担 任 のPWSの 理 解 保 護 者19名 が 担 任 のPWSの 理 解 に つ い て 回 答 し た 。 理 解 が 「十 分 あ る 」 は2名 、「あ る」 は5名 、「少 しあ る」 は9名 、「全 く無 い」 は2名 、「わ か らな い 」 は1名 で あ っ た。 担 任 の 理解 の程 度 と子 ど も の所 属 に 関 連 は な か っ た。 4.学 校 生 活 や 勉 強 へ の 満 足 度 保 護 者17名 の 回答 が あ っ た 。 学 校 生 活 や勉 強 に 対 し 「満 足 」 と答 え た の は12名(71%)で 、5名(29%) が 「不 満 足 」 で あ っ た 。 「満 足 」 の 理 由 は、"と て も 手 厚 く、 他 の 障 害 の 子 へ の 理 解 も深 ま っ た"、"教 員 と定 例 会 を もち 、 情 報 交 換 して要 望 を伝 え て い る"、 "見 守 っ て くれ て い る"、"本 人 が 頑 張 っ て い る か ら、 楽 しそ うだ か ら"等 で あ っ た 。 一 方 、 「不 満 足 」 の 理 由 は"学 習 が 本 人 の 学 力 に あ っ て い な い"、"本 人 に あ っ た支 援 を もっ と率 先 して プ ロ と して 引 っ張 っ て くれ る ぐ らい の ア イ デ ィア を 出 して ほ しい"、"支 援 学 級 で は レベ ルが 高 く、支 援 学 校 で は物 足 りな い" 等 で あ っ た。 「満 足 」 と 回答 した12名 の う ち 、 担 任 のPWSの 理 解 を 「十 分 あ る 」「あ る 」と 認 識 す る 者 は6名(50%)、 「少 しあ る 」 は6名(50%〉 で あ っ た 。 「不 満 足 」 と 回 答 し た5名 で は 担 任 のPWSの 理 解 を 「あ る 」 と 認 識 す る 者 は1名 で あ りr「少 し あ る 」2名 、「な い 」 1名 、 わ か ら な い 「1名 」 で あ っ た 。 ま た 、 保 護 者 の 満 足 度 と 子 ど も の 所 属 に は 関 連 は な か っ た 。 V 考 察 1.保 護 者 と担任 間 コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン の 実 際 本 邦 で は 平 成19年4月 よ り学 校 教 育 法 に 「特 別 支 援 教 育 」(文 部 科 学 省 初 等 中 等 教 育 局 特 別 支 援 教 育 課,2015)が 位 置 づ け られ 、 一 人 ひ と りの 障 害 の 程 度 や状 況 に合 わ せ た教 育 が 行 わ れ る よ う に な っ た 。 「共 生 社 会 の 形 成 に 向 け た イ ン ク ル ー シ ブ 教 育 シ ス テ ム構 築 の た め の 特 別 支援 教 育 の推 進(報 告)」(文 部 科 学 省 中 央 教 育 審 議 会 初 等 中 等 教 育 分 科 会, 2012)に は 教 師 と保 護 者 との 連 携 の 必 要 性 が述 べ ら れ 、柳 澤 は そ の連 携 が 子 ど もの 成 長 を 促 す と報 告 し て い る(柳 澤,2014)。 保 護 者 と教 師 の連 携 に は 而 者 の 共 通 認 識 は不 可 欠 で あ り、 そ の た め に は両 者 が コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ンを 図 り、 相 互 理 解 を 深 め る こ と が 重 要 と な る。 今 回 の 調 査 で は 、PWS児 の 保 護 者 の 多 くは 「担 任 に相 談 した い」 と思 っ た経 験 を も ち なが ら も、 半 数 以 上 は担 任 との 「コ ミュ ニ ケ ー シ ョンが う ま くい か な い 」 経 験 や 「言 い た い け れ ど言 え な い 」 経 験 を して い た 。 担 任 もま た 、 保 護 者 の 支 援 ニ ー ズ と学 校 現 場 で提 供 で き る支 援 との 「ズ レ」 を経 験 して い る 報 告(三 田村,2011;三 宅,2012)が あ り、 双 方 共 に連携 の 困 難 を経 験 して い た。 「ズ レ」 が 起 こ る 原 因 の 一 つ は 共 通 認 識 の 欠 如 で あ る。 担 任 が 受 け る PWS児 に 関 す る最 初 の 情 報 の 多 く は 保 護 者 か ら で あ る。 特 別 支援 教 育 の 訓 練 を 受 け た教 師 で あ っ て も 身 体 及 び 精 神 発 達 上 に 特 徴 的 な 課 題 を 有 すPWS児 に 関 わ る こ と は ほ ど ん と な い。 教 師 は保 護 者 か らの 情 報 に 疑 問 視 し、切 り捨 て る こ と さ えあ る(IPWSO, 2010c)。 こ の保 護 者 と担 任 の 「ズ レ」 は謳 い や 誤 解 が 生 じや す く、両 者 の 信 頼 関 係 が 壊 れ る だ け で な く、 子 ど もに対 す る支 援 の 目標 や 方 法 等 の 考 え に 相 違 が 起 こ り、 結 果 と して 子 ど もが 必 要 とす る支 援 につ な
日 本 遺 伝 看 護 学 会 誌 J.Genet. Nurs. Jpn 16(2) 2018 が ら な い と 報 告 さ れ て い る(吉 利,2009: 三 宅, 2012: 真 壁 ,2012: 柳 澤,2014)。 しか し、 これ まで 障 害 の あ る子 ど も を育 て て きた 保 護 者 と担 任 と の 間 に、 子 ど も の 実 態 の と らえ 方 、 課 題 の 認 識 、 教 育 方 針 な どの 「ズ レ」 が 生 じる こ と は 当然 と も思 わ れ る。 そ の た め 、 双 方 が 当然 起 こ り 得 る 「ズ レ」 を 自覚 しな が ら、 共 に繰 り返 し コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ンを図 る努 力 が必 要 と考 え る。 コ ミュ ニ ケ ー シ ョンの 中で 、 互 い に異 な る 立場 の 視 点 に触 れ る こ と は、 児 の 新 た な一 面 を知 る 機 会 と な る か も し れ ない 。 これ まで 障 害 と受 け止 め られ て き た「ズ レ」 も、 双 方 が積 極 的 に向 き合 うこ とで新 た な展 開 を迎 え、 そ の 結 果 、PWS児 の 生 活 が よ り豊 か に な る の で は な い か と考 え る。 また 、 コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ンは単 な る情 報伝 達 で は な く、保 護 者 支 援(三 宅,2012:岡 村 ,2015;柳 澤, 2014)の 役 割 を もつ 。担 任 は保 護 者 との コ ミ ュニ ケー シ ョン を深 め る 中 で保 護 者 自身 の お か れ て い る状 況 や悩 み、 家族 背 景 を把 握 し、 そ れ を踏 まえ て子 ど も の教 育 に保 護 者 の視 点 も含 め る。 そ の こ とが保 護 者 の役 割 を尊 重 す る こ と にな り、 そ れ が 保 護 者 の 自信 とな り得 る 。保 護者 は 自身 の 思 い を汲 ん で くれ た 担 任 へ の信 頼 を深 め 、子 ど もの 集 団 生 活 へ の 満足 度 を 高 め る こ と とな る と考 え る 。今 回 、 子 ど もの学 校 生 活 や 勉 強 に 「満 足 」 と答 え た の は約7割 で あ っ た 。 「満 足 」 の理 由 は"要 望 を伝 え る機 会 が あ る","手 厚 い支 援"、"子 ど も本 人 が 楽 しそ う"で あ り、 保 護 者 と して の役 割 を果 たせ 、子 ど もの 満足 を感 じて い た 。 一 方 「不 満 足 」 の理 由 は"学 習 が 本 人 の学 力 に あ っ て い な い"、"支 援 が 本 人 に合 っ て い な い"で あ り、担 任 と保 護 者 の 「解 消 され ない ズ レ」で あ っ た 。 2.保 護 者 が 望 むPWS児 の理 解 保 護 者 は 担 任 にPWS児 が 集 団 生 活 で 影 響 す る で あ ろ う 「認 知 の 偏 り」、 「身体 的特 徴 」、 「不 適 応 行 動 の 理 由 」 と い っ たPWS特 性 の 理 解 を望 ん で い た。 そ して 、実 際 我 が 子 の 集 団生 活 にお い て 「食 事 管 理 」、 「コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン」z「学 習 」、 「子 ど も の特 性 に 応 じた 支援 方 法 」 に悩 み を もって い た。 集 団 生 活 は ス トレス の 多 い環 境 で あ る ため 、 方 針 の 変 更 に よ り 容 易 に 混 乱 を生 じや す いPWSの あ る 人 々へ は家 庭 に限 らず 家庭 外 で も一 貫 した 対 応 が 重 要 で(綾 部, 2015)、 就 学 期 に あ る 児 で は 学 校 に お い て も家 庭 に 準 じた対 応 が 望 ま しい(IPWSO,2010c)。PWSの 特 性 は個 人 に よ っ て 幅 が あ り、 家 庭 で の 対 応 方 法 も kで あ り、保 護 者 と担 任 との コ ミュ ニ ケ ー シ ョン が 適 切 に図 られ る こ とで 、児 へ の 個 別 の対 応 を可 能 とす る。 以 下 、 集 団生 活 の 中 で の 「食 事 管 理 」、 「コ ミュ ニ ケー シ ョン」、 「学 習 」 につ い て 述べ る。 「食 事 管 理 」 はPWSの 人 々 の生 涯 を通 して 課 題 と なる が 、 担任 は単 に食 事 の管 理 で は な い こ と を理 解 しな け れ ば な らな い(佐 々 木,2017)。 今 回 の 回 答 にあ る 「楽 しみ に して い る給 食 直前 に叱 る。 ごめ ん な さい が 言 えず 、 み ん なが 食 べ て い る の を 立 って み て い た 」 は 、健 常 者 に は反 省 に導 く行 為 で あ って も、 PWSの 入 に は 、 叱 られ る 理 由 が わ か らず 、 た だ 不 安 や 怒 り、悲 しみ 、 恥 ず か しさ等 の 複 雑 感 情 を引 き 起 こ す だ け で 、 行 動 や 態 度 の 改 善 に は逆 効 果 とな る。 家 庭 以 外 で の 集 団 生 活 で 感 じる ス トレス は不 適 応 行 動 を誘 発 し、生 活 習慣 を大 き く乱 す こ とに つ な が る。 特 にPWSに 特 有 の 執 着 が 強 い 食 行 動 に は慎 重 な対 応 が 重 要 とな る。 「コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン」 で は、PWSの あ る人 々 は 認 知 の 偏 り、 判 断力 の弱 さ、 行 動 抑 制 が 困難 等 の特 性 を もち、 他 者 と コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ンを 図 る こ とが 苦 手 で あ る(長 谷 川,2009)。 そ の た め保 護 者 は家 庭 以 外 で の支 援 者 とな る担 任 に特 性 を理解 した上 で 積 極 的 に我 が 子 に 関 わ っ て ほ しい と希 望 して い た。 PWSの あ る 人 自 身 が コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン に問 題 が あ る こ とか ら フ ラス トレー シ ョ ンを抱 え や す く、 そ の フ ラス トレー シ ョ ンが 不 適 応 行 動 につ なが る可 能 性 を もつ(IPWSO,2010a)。 さ らに、 そ の フ ラス ト レー シ ョ ン は担 任 ら教 員 が 原 因 と な る こ と もあ り、 担 任 ら はPWSの 人 々 に 関 心 を示 す と と も に、 尊 厳 を守 り、 気 持 ち を 込 め た 対 応 が 大 切 で あ る。 一 方 、 担 任 らがPWSの 人 々の 感 情 の爆 発 や 侮 辱 的 な行 動 、 攻 撃 的 な 態 度 にス トレス を感 じる こ と もあ り、 担任 らの学 校 内 で の 危機 管 理 体 制 が 必 要 と考 え る。 「学 習 」 で は、 保 護 者 は学 習 の 充 実 と個 人 に応 じ た学 習 を希 望 して い た 。 今 回 の 対 象 の 就 学 児15名 の 85
日本 遺 伝 看 護 学 会 誌 J. Genet. Nurs. Jpn 16(2)2018 う ち 、小 学 校 の 入 学 時 に 普 通 学 級 が2名 、 特 別 支 援 学 級 が9名 、 特 別 支 援 学 校 が4名 で あ り、PWS児 もま た 障 害 の程 度 に応 じた 教 育 の 機 会 を得 られ る よ う に な っ た。Reillyら の神 経 遺 伝 性 症 候 群 の あ る児 の教 師 に対 す る調 査 で は 、 教 師 の 大 半 が 症 候 群 の知 識 が 不 足 して い るだ け で な く、 症 候 群 に よる 知 的 障 害 が 一 般 の知 的 障 害 の子 ど も達 と異 な る ニ ー ズ が あ る とい う認 識 が 欠 如 して お り、 教 師 が症 候 群 の 知 識 を もつ こ とで 、 症 候 群 の 特 性 を 踏 ま え た 介 入 方 法 を 用 い る こ と が 出 来 る と述 べ て い る(Reilly,2015)。 PWSに お い て も学 習 面 で 得 意 とす る と こ ろ や 弱 点 (IPWSO,2010a)を ふ ま え 、視 覚 的支 援 や 時 間 配 分 、 質 問 や 課 題 の 内 容等、 配 慮 が 可 能 で あ る。 ま た、 保 護 者 の"支 援 学 級 で は レベ ル が 高 く、 支 援 学 校 で は 物 足 りな い"と 子 ど もの 能 力 に応 じた 教 育 が 得 られ な い と い う、 現 在 の 特 別 支 援 教 育 へ の不 満 の 声 も聴 か れ た 。 そ の 他 に,保 護 者 に は担 任 に対 す る 「言 い た い け れ ど言 え な い こ と」、「お 願 い し た い こ と」と して 、「目 の前 の 本 人 を理 解 して ほ しい 、 認 め て ほ しい 、 受 け 入 れ て ほ しい 」 とい う思 い が あ っ た 。 家 族 に は 支 援 者 に`PWS'で は な く ひ と りの 人 と し て 見 て ほ し い(IPWSO,2010d)と い う 望 み が あ り、 担 任 が PWSの 課 題 にだ け注 意 を 向 け て い る 可 能 性 が うか が わ れ た。'PWS'で は な く、 出 来 る こ と出 来 な い こ と を 含 め 一 人 の 人 と して 、 あ りの ま ま を受 け 入 れ る こ と は、 そ の 人 ら しい 人 生 を可 能 と し,尊 厳 を支 え る支 援 につ な が る と考 え る。 ま た,こ の よ う な保 護 者 と担 任 の 「解 消 され な い ズ レ」 は 保 護 者 の 教 育 へ の 参 画 を 妨 げ る。 そ れ は PWS児 が 適 切 な 支 援 を 受 け られ な い だ け で な く、 保 護 者 自身 の 自信 喪 失 に もつ な が る 可 能 性 を もつ 。 法 橋 ら も家 庭 養 育 さ れ るPWS児 の 家 族 の 家 族 機 能 の 充 足 度 の 低 下 は 「PWSに 対 す る 学 校 か ら の 理 解 不 足 」 と の 関 連 が 最 も強 い と述 べ て い る(法 橋, 2007)。 今 回 の 調 査 で は 担 任 のPWSの 理 解 に つ い て 「 十 分 あ る」 あ る い は 「あ る」 と答 え た の は37%に 留 ま っ て い た 。 文 科 省 は 「す べ て の 教 員 が 身 に 付 け るべ き基 礎 的 な 知 識 ・技 能 」 と して 、 そ れ ぞ れ の障 害 種 につ い て 、 中心 と な る担 当教 員 を 計 画 的 に育 成 して い く こ とが 必 要(文 部 科 学 省 中 央 教 育 審 議 会 初 等 中等 教 育 分 科 会,2012)と 述 べ て お り、 お そ ら く 教 師 は担 任 に な っ て 初 め てPWSに つ い て 学 ぶ こ と に な る。 そ の た め 担 任 がPWSの 知nを 必 要 と し た 時 に速 や か に適 切 に 知 る機 会 や 方 法 につ な が る よ う な シ ス テ ム が 必 要 と考 え る。 Ⅵ 研 究 の 限 界 と今 後 の 課 題 今 回 の 研 究 対 象 者 は 日本PWS協 会 会 員 あ る い は 医 療 管 理 下 に あ るPWS児 の保 護 者 で あ り、PWSに 対 す る理 解 は深 く、 児 へ の対 応 が 適 切 で あ り、 しか も研 究 に 好 意 的 で あ る こ とが 推 察 さ れ、 一 般 的 な PWS児 の 保 護 者 と担 任 との 関 係 を表 して い な い 可 能 性 が あ る。 今 後 は対 象 を増 や す と共 に 、就 学 期 の PWS児 の 担 任 へ も対 象 を広 げ、 家 庭 、 医 療 、 教 育 と連 携 した 具 体 的 支 援 を探 って い きた い。 謝 辞 研 究 に 快 く ご協 力 頂 き ま し たPWS児 の 保 護 者 、 主 治 医 の 皆 様 に 心 よ り感 謝 申 し上 げ ます 。 Ⅶ 引 用 文 献 綾 部 匡 之(2015)Prader-Willi症 候 群.小 児 内 科. 47(10),1773-1778
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IPWSO(2010b)/NPO法 人 日 本 プ ラ ダ ー ・ウ ィ リ ー 症 候 群 協 会(2014)Best Practice Guidelines For
日 本 遺 伝 看 護 学 会 誌 J. Genet. Nurs. Jpn 16(2) 2018
Standard of Care in PWS.62-67. NPO法 人 日 本 プ ラ ダ ー ・ウ ィ リ ー 症 候 群 協 会.
IPWSO(2010c)/NPO法 人 日本 プ ラ ダ ー ・ウ ィ リ ー 症 候 群 協 会(2014)Best Practice Guidelines For Standard of Care in PWS.68-79.NPO法 人 日本
プ ラ ダー ・ウ ィ リー 症 候 群 協 会.
IPWSO(2010d)/NPO法 入 日本 プ ラ ダ ー ・ウ ィ リ ー 症 候 群 協 会(2014)Best Practice Guidelines For Standard of Care in PWS.100-110.NPO法 人 日 本 プ ラ ダ ー ・ウ ィ リ ー 症 候 群 協 会. 加 藤 美 朗,蓑 崎 浩 史,松 見 淳 子(2015)プ ラ ダ ー ・ ウ ィ リ ー 症 候 群 の 行 動 問 題 の 年 代 別 比 較 一CBCL を 用 い た 得 点 お よ び 発 現 率 の 検 討 一.行 動 科 学. 54(1), 41-52, 教 育 課 程 企 画 特 別 部 会.特 別 支 援 教 育 の 現 状 と 課 題 (2015)http://www.mext.go.jp/b_menu/ shingi/chukyo/chukyo3/053/siryo/_icsFiles/afi eldfile/2015/05/25/1358061 _03_03.pdf(2017年10 月 参 照) 真 壁 あ さ み,橘 玲 子,運 上 司 子,本 間 昭 子,和 田 由 紀 子,斎 藤 恵 美(2012)長 期 健 康 問 題 を 持 つ 子 ど も の 親 の 相 談 に 関 す る ニ ー ズ に つ い て 一 ア ン ケ ー ト調 査 の 結 果 か ら 一.新 潟 青 陵 学 会 誌.4(3), 111-118. 三 田 村 仰(2011)発 達 障 害 児 の 保 護 者 ・教 師 間 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン の 実 態 調 査:効 果 的 な 支 援 の た め の 保 護 者 に よ る 依 頼 と相 談 心 理 臨 床 科 学,1(1), 35-43. 三 宅 幹 子(2012)特 別 な 支 援 を必 要 と す る 子 ど も の 保 護 者 と教 師 と の 連 携 に お け る 課 題 一 学 校 に お け る 保 護 者 の 支 援 ニ ー ズ へ の 対 応 一.福 山 大 学 心 の 健 康 相 談 室 紀 要.6,73-80. 文 部 科 学 省 中 央 教 育 審 議 会 初 等 中 等 教 育 分 科 会 (2012)共 生 社 会 の 形 成 に 向 け た イ ン ク ル ー シ ブ 教 育 シ ス テ ム 構 築 の た め の 特 別 支 援 教 育 の 推 進 (報 告)http=//www.mext.go.jp/b_menu/shingi/ chukyo/chukyo3/044/attach/1321669.htm(2017 年10月 参 照) 永 井 敏 郎,成 長 ホ ル モ ン補 充 療 法.永 井 敏 郎 編(2011) Prader-Willi症 候 群 の 基 礎 と 臨 床.7-14.診 断 と 治 療 社, 法 橋 尚 宏,小 林 京 子,高 木 亜 希 子(2007)家 庭 養 育 さ れ て い るPrader-Willi症 候 群 児 の 特 性 と 家 族 機 能.家 族 看 護 学 研 究13(1),3744. 大 橋 博 文,自 然 歴.永 井 敏 郎 編(2011)Prader-Willi症 候 群 の 基 礎 と 臨 床.11-24.診 断 と 治 療 社. 大 野 耕 策,知 能,不 適 応 行 動 と 脳 機 能.永 井 敏 郎 編 (2011)Prader-Willi症 候 群 の 基 礎 と 臨 床.69-78,診 断 と 治 療 社. 岡 村 章 司(2015)特 別 支 援 学 校 に お け る 自 閉 症 児 に 対 す る 保 護 者 支 援 一母 親 の 主 体 性 を 促 す 支 援 方 略 の 検 討 一.特 殊 教 育 学 研 究.53(1),35-45.
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日 本 遺 伝 看 護 学 会 誌 J. Genet. Nurs. Jpn 16(2) 2018
Communication
between
parents
and teachers
of c
with Prader-Willi
syndrome
—A questionnaire
survey
of parents—
hildren
1)
2)
3)Noriko Sasaki 1) 2) , Satoko Nakagomi 3)
Nagasaki University, Institute of Biomedical Sciences, Department of Reproductive Health University of Yamanashi, Nursing and Health Science, Interdisciplinary Graduate School of Medicine and Engineering
University of Yamanashi, Graduate Faculty of Interdisciplinary Research
Abstract
Purpose: This study aimed to clarify the actual communication between parents whose children have been diagnosed with Prader-Willi syndrome (PWS) and school teachers in charge of such children.
Method: An anonymous, self-administered questionnaire survey was conducted with parents of children with PWS (aged 4-15 years). The survey period was from May 2016 to the end of October 2016. The survey contents included questions regarding parents' communication experiences with the teachers-in-charge and the basic attributes of children with PS.
Results: Responses were received from the parents of 20 children with PWS: 16 of 19 parents (84%) had experienced a desire to speak with the teacher-in-charge, 8 of 16 parents (50%) had experienced the feeling that they were not able to adequately communicate with the teacher-in-charge, and 7 of 18 parents (39%) were unable to communicate with the teacher-in-charge, despite wanting to do so. The parents expected the teachers-in-charge to be familiar with the characteristics of children with PWS, including their
"
cognitive distortions," "physical characteristics," and "reasons for maladjusted behavior." In addition, the parents wanted the teachers-in-charge to be able to understand and identify children with PWS.
Discussion: Interactions between parents and teachers-in-charge are necessary for children who require special support to establish strong ties. In this study, nearly half of the surveyed parents had experienced confusion and concern regarding communication with individual teachers-in-charge. A "gap" between the awareness/knowledge of parents and that of teachers-in-charge was assumed to be one of the causes for these concerns. This "gap" may not only hinder parents from participating in children's education but also obstruct children from receiving appropriate support. However, it is natural for such a "gap" to occur between parents and teachers-in-charge who have been raising a child with disabilities. Therefore, efforts are required from both parties to repeatedly implement communication plans.
Parents of children with PWS want the teachers-in-charge to recognize the special characteristics of their children as individuals. They believe that this helps teachers provide dignified support to their children.