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エネルギを評価関数とした最適フィルタについての考察 利用統計を見る

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(1)

エネルギを評価関数とした最適フィルタ

についての考察

桑原一郎

高原幹夫

(昭和57年8月31日受理)

Considerations of the Optimum Filter Evaluated by Signal Energy

IchiroKUWAHARA MikioTAKAHARA

      Abstract Th。。ptim・m linea・filt・・b・・ed・n th・・ig・・1・n・・gy・v・1・・ti・n i・inv・・tig・t・d・Th・ 、。n、id。,i・g・y・tem・・nt・i・・−multipli・ative n・i・e,・h・t・・i・e and i・tersymb・1 i・te・ference・ First of al1, for this system the optimum linear filter is formulated. Nextly, assummg ,。m。 i。p。t wav・f・・m・,・・me ch・・a・t・・i・tics・f thi・・ptim・m・filt・・i…al・ul・t・d・M・・e・ve「 by th,・e・ult・・f th・・e cal・ul・ti・n・, w・・ef・・t・th・v・1idity・f thi・evaluati・n・ する。 1. まえがき  これまで,相乗性雑音,ショット雑音等の信号に依 存する雑音,いわゆる信号依存性雑音に対する各種の 評価による最適化の研究が成されてきた1)・2)。このよ うな信号依存性雑音を平均値0のラソンダム変動項と 信号のn乗との積として表すことによって相乗性雑音 とショット雑音を統一して表記できる。このような系 で時間域での波形幅を評価する評価関数の一つとして 出力波形のエネルギが用いられる3)。そこでこのモデ ルの下で,その評価関数を用いて最適フィルタを解析 的に得ることを試みた。ここではエネルギ評価により 得られた最適フィルタの特徴等について検討を行い, 因果律を満たすという意味での実現性については考慮 しない。実現性を考慮した場合には広義のウイナー・ ホップの積分方程式を解く必要があり,伝達関数を解 析的に得ることができなくなる4}。  まず孤立波に対する最適フィルタを求め,これによ る雑音と波形幅の関係について検討する。ついでパル ス系列に対する最適フィルタを求めた。そして符号間 干渉の存在する系で孤立波のときの最適フィルタとパ ルス系列に対する最適フィルタとの出力波形の比較を 行うとともに,エネルギ評価の妥当性についても言及 2. 伝送系モデル  図一1に本文で用いる伝送系モデルを示す。p(t)は 伝送路出力信号である。このp(t)のn乗と平均値0 のランダム変動項Mn(t)の積Mn(t)pn(t)が信号依 存性雑音である。従来の最適化の際にはショット雑音 と相乗性雑音は別々に取扱われていたが,このモデル を用いることによって一括して扱うことができ,より 一般化された系と考えられる。n=1の場合は相乗性 雑音,n=1/2の場合はショット雑音, n=0の場合は 熱雑音をそれぞれ意味する。 3.孤立波に対する最適フィJbタ  本文では出力波形の幅を最小とするための目安とし て,受信フィルタの出力エネルギを評価関数として用    受信

    フィルタ mn(t)pn(の 図一1 伝送系モデル r(t)

(2)

いる。フィルタの出力をr(t)とすると評価関数は   出力の一ネルギーEmn[∫ン(t)dt] (・) である。ここでEx[・コは集合平均を意味する。  まず孤立波s(のに対する最適フィルタを導出す る。この場合,図一1の伝送系モデルにおけるp(t)を s(のに代える。最適フィルタのイソパルス応答を h(t)とすると,その出力r(のは   γ(t)=={S(t)十Mn(t)sn(t)}⑧h(t)       (2) と表せる。ここで⑧はたたみ込み積分を示す。Mn(の のエルゴート性を仮定すると評価関数は   Emn[∫:..r2(t)dt]    一∫∫∫:..4繊“巧)・(・2)h(t−・1)h(t−T2)    +∫∫∫1..d・・d・・b・・le・・mn(・・−T2)sn(・・)sn(・・)         h(t一τ、)h(t一τ2)    (3) となる。ここでlexx(τ)はx(t)の自已相関関数であ る。この評価関数に変分法を用いた最適フィルタを求 める。この際,次の二つの拘束条件を付ける。  川 識別時刻toでの出力信号振幅が一定である。 ∫1..・(・)h(t・一・)d・−Ci  (・)  (i[)最適フィルタのインパルス応答のエネルギが一 定である*。

∫:..h2(・)d・−c・   (・)

この条件の下での汎関数1(h)は ・(h)−E−[∫ン(の小λ∫:..・(・)h(t・一・)d・        +・・∫:..h2(・)d・(・) ここでラソダム変動項Mn(t)の白色性を仮定する。 すなわち,   kmnmn(τ)== Mnδ(τ)       (7) MnはM。(t)の電力スペクトル密度である。式(6)を h(t)に関して変分して   2∫∫:..d・ld…s(Tl)s(・2−t)h(T2−T・)    +2M・h(t)∫:..s・n(・)d・+z・S(t・−t)    十2λ2h(t) ・O       (8) * フィルタのエネルギをある値に固定するのは稀な条件  である。この条件を入れる方がより一般的な式となる  ので定式化のときには入れておくが,式⑩の分母が0  にならなければこの条件は考慮しなくてよい。以後の  数値計算ではλ2=Oとして扱う。 を得る。式(8)の両辺をフーリエ変換すると 2[s(ω)1・・H(ω)+2M・H(ω)∫1..s・n(・)d・    十λiS*(ω)e−」ωZo十2λ2H(ω)=0        (9) となり,最適フィルタの伝達関数H(ω)を得る。 1.0 言 這 逼 藁o・5 = ・(の一。辛,、    A=4×10−13    T==4>く10 6 M・レ=1×10−5 M.,=1×10−7  M=1×10−9 0     旦   ∠L   旦   f     T     T    T 図一2孤立波の最適フィルタの振幅特性 1.0 三〇・5 べ 壇

e

H

  O M⊥=1×10−5 岨=1×10−7  仏=1×10−9 図一3孤立波の最適フィルタのインパルス応答 1.0

s

響 0.5 墨 藁 図一4 孤立波の最適フィルタの出力波形

(3)

醐一一’

l篭∴)d。+A,

       ⑩ ここで,S*(ω)は信号s(ののフーリエ変換S(ω)の 複素共役を意味する。式⑭で与えられるff(ω)を用 いることによって式(6)の汎関数は極小値となる。  式(10)の結果を具体的に表すためにs(のとしてロー レンツ波形を用いたとき,ショット雑音(n=1/2)の存 在する系での最適フィルタの振幅特性を図一2に示す。 フィルタの伝達関数を数値的に逆フーリエ変換して得 られたイソパルス応答波形を図一3に,フィルタの出力 波形を図一4に示す。なお,数値計算に当たっては識別 点to=0としても一般性を失わないのでto=0として 計算している。以下,波形を表す図ではすべてt=0 に対称となるのでt<0については省略してある。    4. パルス系列に対する最適フィルタ  パルス系列を考えるときには図一1の伝送系モデルの P(t)は   P(t)=Σθ乞s(t− iT)       ⑪       i     θ、 :0または1の符号で互いに等確率    {     s(t):孤立パルス波形      T :パルス周期 となる。評価関数は符号値に関する平均もとる必要が あるので   E叫∫:..r・(・)dt]     (12) である。フィルタ出力r(t)は   ・(t)一[Σ仇・(t−iT)+Mn(t){Σぴ(t−iT)}「        ⑧h(t)   ⑬ となり,評価関数は 1.0 ス’ 主 旦 理 0・5 砦 転 M」一=1×10−7 0        2        4        T        T 図一5パルス系列の最適フィルタの振幅特性 f   E・・,・et[∫ン(t)dt]    一∫∫∫:..4撤碗再E[…」コ・(・1−iT)        ・S(τ,一ブT)h(t一τ1)h(t一τ2)     +∫∫∫:..d・・dTld・・lemnmn(T・一・・)     ・{辱E[…,・]s(T・−iT)s(T2一元丁)}n        ・h(t一τ1)h(t一τ、)    ⑭ 拘束条件として,3節の川と同様に識別点における振 幅が一定であるものとする。すなわち, Eet[∫:..P(・)h(・・一・)d・]−c, a・) さらに孤立波の場合と同じフィルタのイソパルス応答 のエネルギー定の条件式(5)を付ける。汎関数は   ・(h)−E・・,et[∫:..r2(t)d・]    +λ・E・・[Jl..P(t)h(t・一・)d・]

   +a・∫:..h2(・)d・   (・e

ここでMn(t)の白色性を仮定すると ・(h)一轣轣轣F..4・͡Σ亭E[θ・θ・]s(・・一の        ・S(τ,一ノT)h(t一τ1)h(t一τ2)    +∫∫:..d’ d・Mn{琴翠E[θ1・」]・(・−iT)        ・・(τづT)}”h2(t−・)    司:..¥. E[・・]s(・−iT)h(・・一・)d・

   吋1..h2(・)d・   (・力

式⑰をh(t)に関して変分して 1.0 0.5 M.一=1×10−5〔W/Hz〕 M、=1×10−7〔W/Hz] 図一6 パルス系列の最適フィルタの出力波形

2Tt

(4)

2∫∫:..d・,d・翠E醐・(・一の      ・S(τ,−t−jT)h(τ,一τ、) +2M・h(・)∫1..已E[ぴθ・]      ・・(・−iT)s(・一元丁)}”dT    十λ,ΣE[θτ]s(to 一一 t十iT)十2λ2h(の=0 圓      i これをフーリエ変換して最適フィルタの伝達関数        λ1享E[θ・コ・一μT・一畑゜s*(ω)   H(ωト7×ΣΣE[θ、θ、]、−j・・i−j・Tls(・)1・ i j +M・∫:..{習E[θ1θ・]          ・・(τ一iT)s(τ一∬)}ndT+λ・       ag) を得る。中央のパルスは必ず“1”であるとして, E[θo]=1,他は“1”と“0”が等確率で送信されるとし てE[θ司=1/2@キ0)とする。孤立波の場合と同様 にローレンツ波形を用いたときの最適フィルタの振幅 特性を図一5に,これに3個の連続したパルスを入力し たときの出力信号波形を図一6に示す。 5. 考察と結論  孤立波と対する最適フィルタは,式ao)に示される伝 達関数から,信号依存性雑音ルfπが大の場合は整合フ ィルタの特徴が現われ,Mnが小の場合には信号スペ クトルの逆特性を有する。これは信号依存性雑音が大 きい場合は雑音中から信号成分を抽出するよう整合フ ィルタとなり,信号依存性雑音が小さい場合には主と して出力エネルギを小とするよう動作するためであ る。図一2∼4はMnをパラメータとしており, Mn の変化による最適フィルタの変化が表れている。  信号依存性雑音が大きく,符号間干渉が大きい場合 には孤立波に対する最適フィルタの出力において一般 的にはパルスの有無の判定が難しくなる。このためパ ルス系列を考慮しての最適フィルタが要求される。 図一6は系列を考慮したフィルタに3個の連続したパル スを入力したときの出力信号波形を示している。この 結果より中央のパルスの振幅が両隣のパルス振幅より も大となっている。これは拘束条件としてパルス振幅 を規定した際,両隣のパルスの存在確率を1/2として おり,連続パルスの中央のパルスでは両隣から干渉を 受け規定振幅より大となるためである。  図一7に孤立波に対する最適フィルタとパルス系列に 対する最適フィルタに連続パルスを入力したときの出 力波形を示す。この場合,孤立波の最適フィルタがパ ルス系列の最適フィルタより良い特性を示しており, パルス系列を考慮したことによって逆に特性を悪化さ せている。この原因としては拘束条件の不適当および 評価関数の不適当が考えられる。出力波形の幅を小さ くするための目安としてエネルギを評価関数とした が,この評価では本来対象とするパルスと離れた位置 にあるパルスを積分することによって同等の重さで処 理してしまう。このため系列を考慮した場合には本来 のパルスに対する効果を悪化させるよう働くと考えら れる。エネルギ評価ではさらに問題がある。図一8にガ ウス形信号波形に対する孤立波の最適フィルタの出力 波形を示す。ガウス形は時間域,周波数域の両方を考 慮したときに最も減衰の速い波形である。しかしフィ ルタ出力では入力波形が十分減衰している時点でもか なり大きな振幅で振動しており,結果として符号間干 渉の増加を助長しいるようにみえる。このようにエネ ルギ評価では送信信号波形が時間域で十分集中してい る場合にはかえって悪い結果をもたらす例がでてく る。このようにエネルギ評価は必ずしも妥当な結果を もたらすとはいえない。 1.0 理0.5 豊 逼 田 \〆孤立波最適フィルタ 図一7両最適フィルタの出力波形の比較 ヒ 蟹0・5 峯 莱 周 M=1×10−7  M1=1×1r9 s(t)== exp(−Bt 2)     B=6>く1011 図一8ガウス波形の最適フィルタの出力波形

(5)

6. む す び  信号依存性雑音を含む伝送系においてエネルギを評 価関数として受信フィルタの最適化を行い,解析的に 結果を得た。さらに具体的にガウス形とローレンツ形 波形を仮定して最適フィルタの効果を調べた。その結 果必ずしも最適化されていないと思われる結果も得ら れ,評価関数と拘束条件の不適性が問題となった。す なわち,すべてを積分で評価するためパルスの存在位 置の情報が欠ける点が問題と考えられる。したがって この点も考慮して信号波形の幅をより直接的に評価す る評価関数を考えると同時に,フィルタの実現性の問 題についても今後の課題である。

参考文献

1) 高原,中森,山本,辻井:相乗的信号依存性雑音を伴   う伝送系における最適受信,信学論(A),J61−A,1,   pp.1−8 (1978−01) 2) 滝,羽鳥,荒川:信号依存性雑音を伴う伝送系におけ   る平均2乗誤差最小等化器の設計,信学論⑧,J62−   B,4,pp.420−427(1979−04) 3) Frank Amoroso:Optimum Realizable Transmi.   tter waveforms for High−Speed Data Transmi・   ssion, IEEE Transaction of Communication,   COM・14,1, pp.8−13(1966, Feb) 4) 雨宮,高原:相乗性雑音を含む系での実現性を考慮し   た最適フィルタの計算,信学論(Bl), J64−B,1, pp.79   ∼80 (1981−01)

参照

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