• 検索結果がありません。

民間スポーツクラブにおける保護者の満足度とベネフィット属性評価の関係

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "民間スポーツクラブにおける保護者の満足度とベネフィット属性評価の関係"

Copied!
12
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

民間スポーツクラブにおける

保護者の満足度とベネフィット属性評価の関係

Investigation of the relation between parents satisfaction

and benefit evaluation of the private sports club

石 川   智(作新学院大学経営学部) 斉 藤   麗(作新学院大学経営学部)

Ⅰ 緒言

日本における民間スポーツクラブは、1970年代にスイミングやテニスを中心としたス クール事業から始まり、その後、ジム・スタジオ・プールを備えた総合業態のフィットネ スクラブの展開へと繋がる。バブル崩壊後の1990年代は売上が低迷する時期を迎えるも、 会員種別の工夫や施設のリノベーションなどクラブの経営努力により切り抜け、今もなお 市場規模を拡大している。Fitness Business(2018)によれば、フィットネスクラブは2013 年の4,163軒から2018年は5,818軒まで増加している。これは近年、生活者のライフスタイ ルに合わせた小規模目的型クラブの増加が影響していると考えられる。しかし、アメリカ やイギリスなどの先進諸国と比較すると日本の参加率は低調に留まっており、今後潜在的 な需要をいかに顕在化させるかが重要な課題となっている。 一方で、スクール事業も日本のフィットネス産業を支えてきた。経済産業省の特定サー ビス産業動態統計調査(2019)によれば、2018年の会員3,365,183人のうち850,923人がス クール会員になっており、およそ 4 分の 1 を占めている。フィットネス会員のみならず、 スクール会員の維持・獲得も今後のフィットネス産業の発展には欠くことができない。 スクール事業の対象は子どもから成人、高齢者に至るまで幅広い。少子高齢化が急激に 進行する社会の中で、高齢者への運動指導や介護予防事業をはじめ、フィットネスクラブ に求められる期待は大きい。他方、子どもを対象としたスクール事業も需要が多く、特に 保護者から依然として強い支持を得ている。ミキハウス子育て総研(2018)は、習い事に 通っている子どものうち「スイミング」が37.5%と最も多く、次いで「英語・英会話」が 16.2%、「ピアノ」が15.7%と報告しており、運動・スポーツ系の習い事の人気は根強い。 そのため、近年は教育費の中でもスポーツ活動に対して費用をかける保護者が多くなって いる(ベネッセ教育総合研究所,2017)。

(2)

ところで、保護者は子どもの習い事に何を期待しているのだろうか。ベネッセ教育総合 研究所(2009)によれば、スポーツ活動に対する保護者の期待は「じょうぶで健康な身体 になる」が70.3%、「自分の目標に向かって努力をする」が64.7%、「人に対する礼儀やマナー を覚える」が64.3%であると報告している。つまり、保護者はスクール事業を展開するク ラブに対してスポーツの技能向上ではなく、スポーツによる教育的機能を期待していると いえる。 しかし、佐藤(2009)は多くの保護者がそうした期待を抱きつつも、年収が低い世帯で はスポーツ活動費を支出することが難しく、経済状況により子どものスポーツ活動率に格 差が生じていることを指摘している。さらに、近年は教育不安から子どもの教育に介入す る保護者が多くなり、 スポーツ場面でも同様のケースが報告されている(井梅ほか, 2017)。したがって、子どもの習い事は本人の意思がすべて尊重されるわけではなく、入 会・継続・退会など一連の意思決定には保護者が強く関与していると考えられる。これま での研究では子どもの習い事を規定する要因が検討され、片岡(2010)や西島ほか(2012) は保護者の世帯年収や教育観、スポーツ経験との関係から分析している。また、小学生の 組織的な運動・スポーツ活動への参加阻害要因を保護者の意識から分析した宮本(2017) などがある。 日本では小学校高学年あるいは中学校への進学を機に、学校運動部活動に入部し、地域 のスポーツ活動から離れていく傾向が見られる。笹川スポーツ財団(2017)によれば、中 学校における運動部活動の加入率は 6 割を超えるという。しかし、近年は学校経営の立場 から運動部活動における顧問教員の負担が問題視され、スポーツ庁(2018)は地域のスポー ツクラブとの連携の必要性を主張している。このような中で、民間スポーツクラブが子ど ものスポーツ活動の受け皿となる可能性も少なくはない。いずれにせよ、子どもの習い事 の中でスポーツ活動は依然として人気が高く、子どものスポーツの場や機会を創出するこ とを目指す体育・スポーツ経営学の視点からも、スポーツクラブへの入会・継続・退会を めぐる要因を多角的に分析することが求められよう。そこで本研究では、民間スポーツク ラブに子どもを通わせる保護者を対象に定量的調査を実施し、満足度とベネフィット属性 評価の関係を解明することを目的とする。

Ⅱ 方法

1 .満足度に関する測定尺度の検討 保護者の満足度を測定する尺度として中路(2006)を参考にした。中路(2006)は、人 の満足判断は階層的な認知構造を持つとする Andrews and Withey(1976)に依拠し、スポー ツクラブに入会することで得られるベネフィットの属性評価と、それらを包括した総合満

(3)

足度が線形構造を成すものと捉え、自身の一連の研究(中路ほか,1995,1998)をもとに フィットネスクラブ会員の顧客満足尺度を開発した。本研究では保護者を対象とした調査 であるため、それらの成果を参考に修正し、ベネフィット属性評価を「子どもの成長」「指 導者」「プログラム」「運営システム」「施設・設備」「交友関係」の 6 次元(各 5 項目)か ら計30項目を設定した。調査項目の評価尺度は、現在の期待を評価基準に置いた期待不一 致度尺度を用い、「 1 .期待より良くない」∼「 5 .期待より良い」の 5 段階リッカート 尺度により測定した。総合満足度は、「 1 .非常に不満」∼「 7 .非常に満足」の 7 段階リッ カート尺度により測定した。 2 .調査対象および方法 調査は神奈川県にある民間スポーツクラブを対象に行った。当該クラブは 3 歳以上の幼 児から中学生までを主な対象として、子どもの習い事の中でも人気の高い体操・スイミン グ・サッカーの 3 つのスクール事業を展開している。各種目の中には年齢を基準としたク ラスがあり、子どもの能力に応じてグループが編成される。 5 ∼ 8 人程度のグループに対 して 1 人の指導者が配置され、3 ∼ 4 ヶ月を 1 タームとして定期的に指導が行われる。 調査は各クラス(体操・スイミング・サッカー)に参加している子どもの様子を観察し ている保護者に対面で質問紙調査を実施した。期間は2017年11月27日∼12月 8 日までの12 日間である。質問紙は78枚を配布し、78枚(100%)を回収した。中には複数の子どもを 通わせている保護者も存在したが、年齢の高い子どもの場合を想定して回答を得るよう求 めた。

Ⅲ 結果と考察

1 .子どもの基本属性 調査対象となった保護者の子どもの性別および年齢は表 1 の通りである。子どもの性別 は「男子」が46人(58.9%)、「女子」が32人(41.1%)となっている。年齢は 4 歳から13 歳まで幅広いが、おおよそ 6 歳から10歳に分布している。 表 2 では、 各種目における子どもの人数と継続期間を示している。「体操」 が48人 (61.5%)、「スイミング」が33人(42.3%)、「サッカー」が 6 人(7.7%)となっている。サッ カーは練習や試合に保護者が帯同しない場合が多く、調査に協力を得られる保護者が少な かったため、サンプルが か 6 人であった。なお、複数のクラスに参加している子どもが 12名いたため、表 2 の割合はサンプル数(78人)で除した値となっている。継続期間は「 1 年未満」が23人(29.5%)、「 3 年以上 4 年未満」が20人(25.6%)、「 2 年以上 3 年未満」 が16人(20.5%)の順に多くなっており、大きな偏りは見られなかった。

(4)

表 1 子どもの性別および年齢 男子 女子 合計 項目 n % n % n % 4 歳 1 2.2 0 0.0 1 1.3 5 歳 9 19.6 0 0.0 9 11.5 6 歳 8 17.4 4 12.5 12 15.4 7 歳 9 19.6 4 12.5 13 16.7 8 歳 7 15.2 6 18.8 13 16.7 9 歳 2 4.3 5 15.6 7 9.0 10歳 5 10.9 8 25.0 13 16.7 11歳 3 6.5 4 12.5 7 9.0 12歳 2 4.3 0 0.0 2 2.6 13歳 0 0.0 1 3.1 1 1.3 合 計 46 100.0 32 100.0 78 100.0 表 2 各種目における子どもの人数と継続期間 N=78 体操 スイミング サッカー 合計 項目 n % n % n % n % 1 年未満 11 14.1 10 12.8 2 2.6 23 29.5 1 年以上 2 年未満 6 7.7 5 6.4 0 0.0 11 14.1 2 年以上 3 年未満 9 11.5 6 7.7 1 1.3 16 20.5 3 年以上 4 年未満 13 16.7 6 7.7 1 1.3 20 25.6 4 年以上 5 年未満 2 2.6 3 3.8 1 1.3 6 7.7 5 年以上 7 9.0 3 3.8 1 1.3 11 14.1 合 計 48 61.5 33 42.3 6 7.7 2 .保護者の基本属性 調査に協力を得た保護者の基本属性を表 3 と表 4 に整理した。表 3 は保護者の性別およ び年代を示している。子どもの送迎などは母親が担当する場合が多いため、調査対象も 9 割近くが「女性」であった。年代は「40代」が52人(66.7%)、「30代」が21人(26.9%) と大半が「40代」である。その結果から、習い事としてスポーツ活動が子育て世代から支 持を得ていることが明らかである。 年収は「500万円以上」が26人(33.3%)と多く、次いで「300万円未満」が20人(25.6%) となっているが、23人(29.5%)が「不明」であるためデータの信頼性はきわめて低い。 総務省統計局(2018)によれば、30代∼40代のスポーツ月謝への年間支出額は平均で 2 万 5 千円と他の世代よりも 2 万円近く高いと報告している。先行研究で示されているよう に、保護者の年収も子どものスポーツ活動に大きく影響していることが予想される。

(5)

表 3  保護者の性別および年代 男性 女性 合計 項目 n % n % n % 20代 1 12.5 0 0.0 1 1.3 30代 1 12.5 20 28.6 21 26.9 40代 6 75.0 46 65.7 52 66.7 不明 0 0.0 4 5.7 4 5.1 合 計 8 100.0 70 100.0 78 100.0 表4 保護者の世帯年収 項目 n % 300万円未満 20 25.6 300万円以上399万円 4 5.1 400万円以上499万円 5 6.4 500万円以上 26 33.3 不明 23 29.5 合 計 78 100.0 3 .クラブまでのアクセス クラブまでの主な交通手段(表 5)は、「自家用車」が27人(34.6%)、「自転車」「徒歩」 がともに20人(25.6%)となっている。表 6 はクラブまでの所要時間を示している。結果 は「10分以上20分未満」が35人(44.9%)、10分未満が22人(28.2%)であり、7 割以上が クラブまで20分圏内に在住している。したがって、当該クラブが主なターゲットとする範 域は20分圏内と想定できるが、近隣地域には子どもを対象としたスポーツクラブが数軒あ るため、他のクラブにはない特色を生かした差別化が求められよう。 表 5  クラブまでの主な交通手段      表 6  クラブまでの所要時間 項目 n % 自家用車 27 34.6 自転車 20 25.6 バス 2 2.6 電車 5 6.4 徒歩 20 25.6 不明 4 5.1 合 計 78 100.0 項目 n % 10分未満 22 28.2 10分以上20分未満 35 44.9 20分以上30分未満 12 15.4 30分以上40分未満 6 7.7 40分以上50分未満 1 1.3 50分以上60分未満 1 1.3 不明 1 1.3 合 計 78 100.0

(6)

4 .スポーツ活動に対する保護者の期待 図 1 はスポーツ活動に対する保護者の期待を示している。複数回答により回答を得たた め、図で示した割合はサンプル数(78人)で除した値となっている。結果は「運動技能が 向上すること」(79.5%)、「体力が高まること」(74.4%)、「運動やスポーツが好きになる こと」(60.3%)の順に高くなっている。冒頭で述べた先行研究では保護者がスポーツに よる教育的機能を期待していると説明したが、「礼儀やマナーが身につくこと」(52.6%)、 「友達との交流が活発になること」(39.7%)は相対的に低くなっている。 当該クラブではスポーツ活動を通して「他者への配慮」「責任感」「尊敬」「誠実さ」を 子どもたちに身に付けさせることを使命(ミッション)として指導を行っているが、保護 者からはスポーツ技能や体力の向上など身体的効果が期待されており、そのジレンマをい かに超克していくのかが大きな課題となるであろう。 15.4 19.2 20.5 39.7 52.6 60.3 74.4 79.5 0.0 20.0 40.0 60.0 80.0 100.0 情緒が豊かになること クラブの考え方が身につくこと 運動が習慣化すること 友達との交流が活発になること 礼儀やマナーが身につくこと 運動やスポーツが好きになること 体力が高まること 運動技能が向上すること 図 1  スポーツ活動に対する保護者の期待 N=78 5 .ベネフィット属性評価の因子構造 ベネフィット属性評価の因子構造を把握するため、下位尺度30項目を最尤法による因子 分析にかけた(表 7)。因子数を固定した上でプロマックス回転を実施し、因子負荷量が0.4 未満の項目は除外し、再度分析を実施するという手順を繰り返した結果、最終的には25項 目 6 因子に収束した。 5 ∼ 7 因子で分析を実施したが、因子の解釈に最も妥当性があると 考えた 6 因子を採用した。各因子に対して高い負荷量を示した項目の内容から第 1 因子を 「プログラム」、第 2 因子を「指導者の行動」、第 3 因子を「子どもの成長」、第 4 因子を「受 付/運営システム」、第 5 因子を「施設・設備」、第 6 因子を「交友関係」と命名した。各

(7)

因子のα係数は0.8以上の値を得ることができ、比較的安定した構造(小塩,20011)になっ ていることが理解できる。 6 .総合満足度とベネフィット属性評価の関係 表 7 の通り、信頼性分析により内的整合性が確認できた各因子の質問項目の平均値を下 位尺度得点として算出し、総合満足度によりグループ化した「高位群」「中位群」「低位群」 の 3 群で一元配置分散分析を実施した(表 8)。その結果、「F1プログラム」「F2指導者の 行動」「F3子どもの成長」「F5施設・設備」の 4 因子で0.1%水準の有意差が確認され、「F4 受付/運営システム」の因子で 1 %水準の有意差が確認された。 特に、「F1プログラム」「F2指導者の行動」の因子では平均値が高く、3 群間で大きな差 が見られる。他の因子でも同様の傾向は確認できるものの、先述した 2 因子ほど顕著では ない。したがって、民間スポーツクラブに子どもを通わせる保護者の総合満足度とプログ ラムの内容や指導者の行動との間には、特に有意な関係があるといえる。

(8)

因子名 質問項目 因子負荷量 固有値 寄与率 累積寄与率 α 係数 F1 プログラム 段階 を 踏 んだ 適切 なプログラム 設定 0. 976 10 .567 42 .3 42 .3 0. 904 指導内容 の 分 かりやすさ 0. 733 子 どもの 能力 に 応 じたプログラム 0. 715 スタッフによる 情報 の 提供 0. 648 指導者 の 専門性 0. 571 多彩 なプログラムによる 指導 0. 479 F2 指導者 の 行動 指導者 の 子 どもに 対 する 接 し 方 0. 855 1. 536 6. 1 48 .4 0. 904 指導 に 入 っている 指導者 の 明 るさ 0. 795 指導者 との 話 しやすさ 0. 722 指導者 と 子 どもの 親密 さ 0. 501 指導者 の 礼儀正 しさ 0. 403 F3 子 どもの 成長 子 どもの 体力向上 0. 979 1. 916 7. 7 56 .1 0. 886 子 どもの 健康増進 の 効果 0. 663 子 どもが 成長 を 実感 できる 機会 の 創出 0. 624 子 どもの 運動技能 の 向上 0. 561 F4 受付 / 運営 システム 電話対応 の 丁寧 さ 0. 886 1. 134 4. 5 60 .6 0. 805 受付 スタッフの 対応 の 丁寧 さ 0. 761 電話 やメールによる 確実 な 連絡 システム 0. 567 システム( 予約 や 振 り 替 えなど)の 利便性 0. 475 F5 施設 ・ 設備 施設 ( 体育館 ・プールなど)の 広 さ 0. 924 0. 987 3. 9 64 .6 0. 801 施設 ( 体育館 ・プールなど)の 清潔 さ 0. 636 付帯施設 (トイレやシャワールームなど)の 清潔 さ 0. 473 子 ども 同士 の 中 の 良 さ 0. 462 F6 交友関係 他 の 保護者 への 親 しみやすさ 0. 915 0. 777 3. 1 67 .7 0. 813 保護者自身 の 交友関係 の 広 がり 0. 751 表 7 ベネフィット属性評価の因子構造

(9)

表 8 総合満足度による平均値比較(一元配置分散分析) 因子名 総合満足度 F 値 有意確率 低位群 中位群 高位群 F1 プログラム Mean 3.13 3.63 4.29 15.498 *** S.D. 0.58 0.58 0.70 n 21 40 14 F2 指導者の行動 Mean 3.53 4.00 4.74 18.200 *** S.D. 0.54 0.66 0.37 n 21 39 14 F3 子どもの成長 Mean 3.27 3.61 4.27 9.880 *** S.D. 0.49 0.68 0.77 n 21 40 14 F4 受付/運営システム Mean 2.77 3.10 3.62 5.948 ** S.D. 0.44 0.61 1.16 n 22 39 13 F5 施設・設備 Mean 3.08 3.31 4.00 11.128 *** S.D. 0.25 0.58 0.82 n 21 40 13 F6 交友関係 Mean 2.88 2.92 3.35 1.939 n.s. S.D. 0.44 0.70 1.11 n 21 39 13 *** p<.001 ** p<.01 * p<.05 n.s. 非有意

Ⅳ 結論

1 .子どもを対象としたスクール事業の発展に向けて 本研究では、民間スポーツクラブに子どもを通わせる保護者の満足度とベネフィット属 性評価の関係を解明することを目的にした。神奈川県にある民間スポーツクラブを対象と して、クラスに参加している子どもの様子を観察している保護者に対面による質問紙調査 を実施した。調査票の回答は78人/78人(100.0%)から得られた。 先行研究の検討から導出された 6 次元で構成されるベネフィット属性評価30項目を因子 分析にかけた結果、「F1プログラム」「F2指導者の行動」「F3子どもの成長」「F4受付/運 営システム」「F5施設・設備」「F6交友関係」の 6 因子が抽出された。特に、「F1プログラム」 「F2指導者の行動」の因子では下位尺度得点が高く、3 群間で大きな差が見られることか ら、保護者の総合満足度と有意に関係していると解釈できる。 中路(2006)では、会員の総合満足度に「運動効果」が強く影響を及ぼしているという

(10)

結果が示されていた。本研究では、「運動効果」に代わる因子を「F3子どもの成長」と想 定していたが、先行研究と符合する結果は得られなかった。子どもの成長が、プログラム の内容や指導者の行動と密に関係することは容易に想像できるが、本研究を通して新たな 知見を導出することができたといえよう。今後、子どもを対象としたスクール事業の発展 に向けて、子どもの成長(身体的・社会的・精神的)に繋がるようなプログラムの開発や 子どものスポーツ指導を専門とした指導者の養成(研修参加や資格取得の支援など)が求 められよう。 2 .今後の研究課題 本研究を通して、①調査対象の選定、②質問項目の整合性、③分析方法の選択の 3 つが、 今後の研究課題として挙げられよう。 まず、調査対象となったスポーツクラブが限定的であり、かつサンプル数が少なかった ことは明白である(①)。また、フィットネスクラブ会員を対象とした中路(2006)に依 拠して保護者向けに質問項目を修正・作成したが、削除項目が多く、その整合性が不十分 であったと考えられる(②)。先行研究では、総合満足度とベネフィット属性評価との関 係を重回帰分析により解明していたが、本研究では平均値比較でしか分析できておらず、 因果関係を解明するに至らなかった(③)。 今後、当該研究に関わる諸課題を解決し、理論的発展と同時にスポーツクラブの経営実 践への還元性を追求していくことが肝要な課題となるであろう。 ●引用参考文献および HP

Andrews, Frank M. and StephenB, Withey.(1976)Social indicators of well・being.Plenum Pregs:New York. ベネッセ教育総合研究所(2017)学校外教育活動に関する調査 2017―幼児から高校生のいる家庭を 対象に―. Fitness Business(2018)日・米・英の民間フィットネスクラブ産業市場データ. 井梅由美子・大橋恵・藤後悦子(2017)小学生のスポーツ活動における保護者の関わり:―スポー ツ・ハラスメントに着目して―.東京未来大学研究紀要11,pp1-11. 片岡栄美(2010)子どものスポーツ・芸術活動の規定要因―親から子どもへの文化の相続と社会化 格差,研究所報58,pp10-24. 経済産業省(2019)特定サービス産業動態統計調査. ミキハウス子育て総研(2018)通わせてますか?習い事. 宮本幸子(2017)小学生の組織的な運動・スポーツへの参加阻害要因に関する研究:母親の意識の 分析をもとにして.日本体育学会大会予稿集68,p81_3. 中路恭平・簗瀬歩(1995)フィットネスクラブにおける顧客満足の概念と測定法の検討:認知パ フォーマンスと期待不一致度の比較.体育学研究40(1),pp14-28.

(11)

中路恭平・簗瀬歩(1998)フィットネスクラブにおける顧客満足測定尺度の比較とその適用法に関 する研究スポーツ産業学研究 8(2),pp1-17. 中路恭平(2006)フィットネスクラブにおける会員の顧客満足と会員継続に関する縦断的事例分析. 体育・スポーツ経営学研究20,pp1-15. 西島央・木村治生・鈴木尚子(2012)小中学生の芸術・スポーツの活動状況に関する実証研究:地 域,性,家庭環境による違いに注目して.文化政策研究 6 ,pp97-113. 小塩真司(2011)SPSS と Amos による心理・調査データ解析[第 2 版].東京図書. 笹川スポーツ財団(2017)子ども・青少年のスポーツライフ・データ2017 12∼21歳のスポーツラ イフに関する調査. 佐藤暢子(2009)学校外教育活動に関する調査 第 1 章子どもの「運動格差」を生じさせるものは 何か?.ベネッセ教育総合研究所. 総務省統計局(2018年)家計ミニトピックス:スポーツ月謝への支出―家計調査(二人以上の世帯) 結果より―. スポーツ庁(2018)「部活=学校」である必要はない!?地域が主体となって子供たちのニーズに応 える 「総合型地域スポーツクラブ」視察レポート.スポーツ庁 Web 広報マガジン DEPORTARE デポルターレ. 渡辺泰弘・松本耕二・高橋季絵(2013)児童のスポーツ習慣形成に関する親の影響.2013年度笹川 スポーツ研究助成 採択研究一覧・研究成果(子ども・青少年スポーツの振興に関する研究), pp335-342.

(12)

表 1 子どもの性別および年齢 男子 女子 合計 項目 n % n % n % 4 歳 1 2.2 0 0.0 1 1.3 5 歳 9 19.6 0 0.0 9 11.5 6 歳 8 17.4 4 12.5 12 15.4 7 歳 9 19.6 4 12.5 13 16.7 8 歳 7 15.2 6 18.8 13 16.7 9 歳 2 4.3 5 15.6 7 9.0 10歳 5 10.9 8 25.0 13 16.7 11歳 3 6.5 4 12.5 7 9.0 12歳 2 4.3 0 0.0 2 2.
表 3  保護者の性別および年代 男性 女性 合計 項目 n % n % n % 20代 1 12.5 0 0.0 1 1.3 30代 1 12.5 20 28.6 21 26.9 40代 6 75.0 46 65.7 52 66.7 不明 0 0.0 4 5.7 4 5.1 合  計 8 100.0 70 100.0 78 100.0 表4 保護者の世帯年収 項目 n % 300万円未満 20 25.6 300万円以上399万円 4 5.1 400万円以上499万円 5 6.4 500万円以上 26 33
表 8 総合満足度による平均値比較(一元配置分散分析) 因子名 総合満足度 F 値 有意確率 低位群 中位群 高位群 F1 プログラム Mean 3.13 3.63 4.29 15.498 ***S.D.0.580.580.70 n 21 40 14 F2 指導者の行動 Mean 3.53 4.00 4.74 18.200 ***S.D.0.540.660.37 n 21 39 14 F3 子どもの成長 Mean 3.27 3.61 4.27 9.880 ***S.D.0.490.680.77 n 21 4

参照

関連したドキュメント

成績 在宅高齢者の生活満足度の特徴を検討した結果,身体的健康に関する満足度において顕著

学期 指導計画(学習内容) 小学校との連携 評価の観点 評価基準 主な評価方法 主な判定基準. (おおむね満足できる

さらに体育・スポーツ政策の研究と実践に寄与 することを目的として、研究者を中心に運営され る日本体育・ スポーツ政策学会は、2007 年 12 月

経済学研究科は、経済学の高等教育機関として研究者を

告—欧米豪の法制度と対比においてー』 , 知的財産の適切な保護に関する調査研究 ,2008,II-1 頁による。.. え ,

通関業者全体の「窓口相談」に対する評価については、 「①相談までの待ち時間」を除く