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幼児期のきょうだい関係 : きょうだい間の認知像と関係の質

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(1)Title. 幼児期のきょうだい関係 : きょうだい間の認知像と関係の質. Author(s). 伊藤, 則博; 平手, 智子; 伊藤, 由美子. Citation. 北海道教育大学紀要. 第一部. C, 教育科学編, 35(1): 73-84. Issue Date. 1984-09. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/4959. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) . 幼児期のき ょ う だい関係 -- きょうだい間の認知像と関係の質 --. 伊藤 則博 o平手 智子 イ署藤由美子. 〈は じ め に〉. 近年, わが国の一世帯あたりの子ども数が減少を続け, いまやその平均の数値が2人を割ってし まっ た. 子どもがいない夫婦だけの家庭やきょ うだいを持たない独りっ 子が増えている 2人きょ . うだいでも, 同性でない場合や年齢間隔が大きく開いた場合には, 独りっ 子が2人いるようなもの だという主張もある。. わが国で時代とともに急速に進行しているこのような出生 児数やきょうだい数の変化が その中 , で育つ子どもの心身の発達にどのような影響を与えているかという問題の究明は勿論であるが こ , のことが親たちあるいはまだ親 ではないが家庭を構成している人や未婚のまま成熟した人たちの成. 長に, どのような影響をもたらすのかということも興味のある課題であろう 最近, 世情で取沙汰 。 されている親や大人の側の諸問題とりわけ育 児のできない母親や子ども を虐待する父親の出現 子 , どもと附合えない若い教師や保母の増加の成因のひとつに, 産み育てる経験の不足や 子ども時代の きょうだいとの接触の限定という問題が想定されるのである。 しかし, この種の問題に実証的なメ スを 入れた研究は, 従来ほとんどない. それどころか, 親子関係や仲間関係の研究に比べて, きょ うだいに関する研究は非常に少く, その上きょうだい研究が近年減少の傾向にあることは 非常に , 残念である。 若井が指摘するように, 『一 家族あたりの子ども数が激減し, きょうだい関係にさま ざ まな歪みが現われてきている現実的問題を考える上でも, きょう だい関係 についての研究がもっと ( 1 〉であ る 為さ れ る べ き』 。. 19世紀後半に, ア ドラーがきょうだい関係が性格形成に 及ぼす影響を強調した 彼は, きょ うだ 。 い間に生じる競争や敵対の態度が, 人間一般に対する態度を規定すると考えた すなわち,伸子ども 。 は大きさ・強さ・知恵において圧倒的に優勢であるおと .なに対して, 無力感と劣等感を抱く が, 子 どもは最初にこの動機を充足する機会をきょう だいの中に見出すのである そして, きょうだい関 。 係の中で一度確立されたこの傾向は, 彼の生涯にわたって他者に対する態度を決定しつずけるとい 2 ) う の で あ る.(. ア ドラーほど強い理論的主張 でなくとも, きょうだい関係のあり方 が子どもの人格発達に何らか の影響力を持つことは, わが国でも諸家が強調するところであるし, われわれ自身の経験に照らし. ても首肯できるところであろう. しかし, この分野における実証的研究が, 前述したようにわが国 において極めて少い, きょう だいに関す る見方や価値づけは, 社会文化的要因の影響を強く受け, 国や民族によ って著しく異るから, 諸外国の研究知見をただちにわが国に適用するわけにもいかな. し、 .. 73.

(3) . 伊藤 則博・平手 智子・伊藤由美子. このような場合には, まず自国の対象に関した研 究知見をできるだけ積み上げることが重要であ り, その次に比較文化的研究が必要になるという順序であろう.. 〈調査1………きょうだい間の対人認知像の特徴〉 子どもの態度や行動, とりわけきょう だいにおけるような関係 的行動ないし状態に関する手がか. り を どの よ う に し て 得 てく る か. こ れに は, いく つ か の ア プロ ー チ が 考 え ら れ る だろ う. そ の 第 1. は, 第3者からみたきょうだいの態度又は行動 をそのまま記述していく場合である. 第2の方法は, 兄又は弟 である本人自身の報告又は回答を資料とする場合であるが, 従来のきょ うだい研究はこの いずれかの方法にもとづいて行われたものである・ しかし, もうひとつのア プローチが考えられる だろう. それは, 子どもが認知 した相手きょうだ. いの態度又は行動を描写させることによ って, きょう だい研究を深める方法である. 人の行動を左 右するのは, 外側から他者がみた客観的な状況ではなく, 個 人が経験し知覚したことが直接 的に個 人の行動を規定するとする現象学的立場と対 人認知論の立場に立っ て, きょ うだい関係を考えよう. とする時, 新しい研究の方向が見えてくるだろう. 林らは, 親子関係を子どもの側から, 子どもが認知 している親の像を捉えることを通 して明らか 3 )を作 成 ionofParents ldredsCoきmi t ) テ ス ト( に できると考え, CCP (A Testfor Measuring Chi. した. このテストで示されるものは, 観察者の側あるいは親の側から報告さ れ記述された親子関係 ではなく, 子の側が描き出した親のあり方であり親子関係なのである. きょう だい関係も, このような立場から研究してみる 必要があるし, その結果が従来の方法によ. る結果と一致するか どうか検討するのも興味ある課題 であろう。 このようにして, われわれはきょ う だいの一方が他方に対して抱いている認知像を手がかりとしてア プローチしようと考えたのであ る. 本人ではなくきょうだいの相手が認知 した姿を描き出し, それを分析することから出生順位お よ び性別構成と性格行動特性の関係の問題にア プローチしようと企図した.. 〈調査の方法〉 1. 対象児 ケイ ガンは,『きょ うだいが子どもの人格発達に及ぼす心理的影響の大きさは, 3歳から9歳の間 ( 4 )と述べている われわれは 調査の対象として1人以上のきょう でもっ とも強いように思われる』 , .. だいを持つ4歳~6歳の長子 又は次子を選んだ. 長子である子どもが持つきょ うだいの年齢の下限 を3歳0ヵ月, 次子である子どもがもつきょ うだいの上限を9歳6 ヵ月としたが, 最も大きく開い. たきょう だいの年齢間隔が5歳2 ヵ 月 と な っ た. . 対象児を, ⑪弟(弟のいる兄を意味する) , ⑭妹, ⑩弟……, ⑩姉の8 グループに分けて分析する 予定なので, それぞれの グループがほぼ同数となるよう配慮した. 調査対象児は, 旭川市内の3つ の保育所に在籍する健常幼児85名 であり,彼らの年齢区分およ び長子・次子別の数を表1に示 した. なお, この8 5名は分析可能であった児童数であり, 調査を実際に施 した数は92名 であっ た.. 74.

(4) . 幼児期のきょうだい関係. 2. 資料の収集 5 }を参考に して 村瀬らが作成した自己像尺度( ,. 年少児の性格 4テ動特性を表わすものとして使用 可能であり, さらに幼児がその評価のための手が かりを報告することが できると考えた7因子, 各. 2項目からなる項目を抜き出した。 次に, それぞ れの項目内容を忠実に反映すると思われる日常的 な場面を想定し, 幼児が自分 のきょうだいに関す る認知像を表出しやすくす るための調査図版と質 問内容を, 各項目に対応させ て作成した. この図 版 は, P - F ス タ ディ や CCP と ほ ぼ 同 様 に ハ ー. フトーンで描いてある。 場面の設定, 図版の内容 ならびに教示は, すべて予備調査を経て作成した もの である。 因子と項目の内容は, 次に示すよう な も の であ る.. 表1 対象児. 決. 4歳. 5歳. 6歳. 計(人). 男. 7. 19. 17. 43. 女. 5. 12. 25. 42. 合計( N. 12. 31. 42. 85. き. ょ. う. だ. い. 弟. 妹. 計(人). 11. 11. 22. 12. 10. 次1男 子1女. 兄. 妹. 11. 10. \\\ \ 21. 10. 10. 20. 合計(~. 44. 41. 85. 串. \. 22. 1 ( )意欲・強靭性因子 0項目1 (我慢強い vs , 諦めやすい) ブ ロ ッ ク で遊 ん でい る 2 人きょうだいの場面 教示『 S .(被検児)と K.(S .のきょうだい, 以下同じ)がブロッ . ク でオウ チをつく ろう と 頑 張っ て いる け ど, なか なか でき ませ ん S . .がもう や め よう と 言 っ た ら, K.は何 て 言. うだろう?』 0項目2 (自主的 v s . 依存的). K.が砂山をつく っ て いる 傍に, S .が立 っ て いる 場面. 教示『K.が大き な 砂の 山 をつく ろう と して いま す. あ な た が手伝おう か と 言 っ た ら, K.は 何 と 言う だろう ?』. ( 2 )情動性因子 0項目3 (活発 vs . 不活発) 晴れた日の玄関先に2人が立っている. 教示『きょうは, とても天気が良いので, みんな外で遊んでいます . あなたが家の中で本を読もうと言ったら K.は どう す る でしょ う ?』 0項目4 (暖かい vs . 冷た い) 2 人でいるところに捨てられた小猫が近づいてくる場面 教示『捨てられてお腹のすいた小猫が あな たと K, . , の とこ ろへ 近 づ い て 来ま した. K.は どう す る で しょ う ?』 ( 3 )社会性因子 0項目5 (にぎやかな vs . 静かな) S.がレ コー ドをか け て踊 っ て いる 場面 そ ばに K.がい る 教示『あ な た が レ コー ドをか け 歌 い な がら踊 っ て . , . い ます. そこ へ K.が来た の で, い っ しょ に 踊 ろう と 言 いま した. K.は どう す る で し ょ う ?』. 0項目6 (社交的 v s , 非社交的) S .の友達が遊びに来て K,と出会う場面. 教示『家にあなたの友達があそびに来たので, K.に一緒にあそぼう と 誘 いま した. K.は どう する で しょ う ?』. ( 4 )徳性因子 o 項 目7 (正直な v s .不正直な). S .の留 守中に K.が S ,の オ モ チ ャ を壊 し, S.に 発 見さ れ た場面. 教示『あ なた の留 守中 に, K.があ そ ん でい て あ なたの オ モチ ャ を壊 して しま いま した. あ な たは, そ れを みつ け て K.に 文 句 を言 っ て います K.は どう す . る で しょ う ?』. o項目8 (約束を守る vs .約束を守らない). オ モチ ャ の貸 し借 りの 場 面. 教示『き のう 約 束 して いた の で, あ なた が K.か ら オ モ チ ャ を約 束 だ か ら貸 して と. 言っています. K.はどうしますか?』. 75.

(5) . 伊藤 則博・平手 智子・伊藤由美子 )緊張性因子 ( 5 0 項 目 9 (まじめな v s . 不まじめな) 2人であそんだ積木の後片づけの場面. 教示『お母さんに, あそんだ積木を2 人 で, き ち ん と 片づ け なさ いと 言われました. K.はどうするでしょう?』 o項目10(気が長い vs .気が短い) ブランコに乗るための順番待ちの場面. 教示『ブランコであそぼうと2人で公園へ行きました. お友達がたく さん順番を待って並んでいました. K.はどうしますか?』. ( )理知性因子 6 0項目1 1(冷静な vs . 感情的な) 項 目 7と逆の場面で, S .のオモチャを壊し .が K.のオモチャを壊した場面. 教示『あなたが, あそんでいて K て しま いま した. K.は どう す る でしょ う ?』 0項目12(物分りのよい vs . 物分りのわるい) ドライ ブに行く予定の日, S .が発熱してドライ ブがとりやめになった場面設定. 教示『ドライ ブの約束でした が, あなたが風邪で熱を出して, 取り止めになりました. K.はどうするでしょう?』 { 7 )価値性因子 0項目13(好きな vs . きらいな) 2人が同じ布団で寝る場面. 教示『あなたが K.の布団で一緒に寝たくなって, 一緒に寝せてと言ったら, K.は 何と言うでしょう?』 0項目14(強い vs . 弱い) K.と K.の友達が喧嘩している場面. 教示 『K.が友達と喧嘩をしています. さて, どうなるでしょう?』. 写るための配慮として, ラポート樹立 この調査に対する子どもの自発的で自由な反応をたくさん才 0分 のために 一週 間ほど費し, 調査は個別法で時間に充分余裕を持たせて実施したが, 所要時間は1 ~25分の範囲 であっ た. 図版の呈示順は, 対象児ごとにラン ダムにし, 子どもの言語反応はすべて テー プに収録した. なお, 調査時に行動観察記録をつけたことは言うまでもない. 3. 資料の分析方法 テー プに収録した子どもの言語反応を再生し, 観察記録の解読とあわせて3名の評定者が独立に 評定していく. 評定尺度は, 前述の14項目それぞれに対し5段階極性尺度とした. すなわち, 両端 次いで 『やや……』 が 『非常に…… , 中央が 『どちらでもない』 という尺度である. 評定者には,. この評定に 入る前に各項目について20名の子どもの言語反応 (これは無作為に選んだ) を聴取させ て全体の傾向をつかませたあと, 評定の分布が正規型に なるよう留意してもらいながら評定を実施. した. 評定の結果は, 中央を 0 点 と し て, ポ ジ テ ィ ヴ な 方 向 へ プ ラ ス 1 点, プ ラ ス 2 点, ネ ガ ティ ヴな方向にマイナス1点, マイナス2点を与えて得点化した. こうして得られた3人の評定者の得 点が, 相互に1点の差以内の場合に評価が等 しいとみなし, 3名の 内2名以上がこの範囲内で一致 した時の得点を合計し, それをその評定者数で割った値を求め, それを特定の子の特 定項目の得点 とした. 3名の評定者の得 点が前記条件を満たさない場合には, その子のその項目に 関する得点は 割愛することにした. しかし, これに該当した人数は最も 多いもので1項目につき3例 であり, 殆 どは0~1例の範囲に あったので分析上問題はないだろう.. 〈結果と考察〉 1. 分析の観点 個人が特定の行動様式をとるのは, 既に行動様式を取得している 他の個 人との相互交渉において 76.

(6) . 幼児期のきょうだい関係. であり, その交渉は成人および年長者側の賞賛・激励・叱責・指導というかたちで展開する。 子ど もの側から言うと, 他人が自分に対して抱く性別あるいは出生順位による期待に外的行動を適合さ せていくこと である。 わが国では, 一般に女子に対しては, やさ しさ・同情・親切o優雅・控え目・ 愛情を期待し, 男子に対しては独立・指導力・積極性・勇敢さなどを期待しているといわれる. また, 兄という存在は意志が強い・落着いている・指導性がある・勇気がある などの特性を持つ. ことを期待され, いばりたがる o 怒りっ ぽい・気むずかしいなどの性格を持つことが許容されてい る。 姉 は, 落 着 い て いる o おとなしい・控え目である・世話好き であるなどの性格が期待されるが, 姉には好ましくない特性で持つことが許容されたものはない。 弟は, 勇気がある・楽天的である o 冒険好き であるなどの特性が期待され, 粗野 である・強情であるという 特性が許容さ れる. 妹に対 して期待される特性はなく, おしゃべり・依存性・ちゃっ かり・我儀などが許容された特性だとい 6 } ( 7 ) わ れ る{ .. このように,わが国では出生順位と性別に関して世間の人が固定的に考えているイ メージがあり, 一般にはこのイメージに合うように性格の形成が促進されるのであろう. それゆえ, 出生順位と性 別の違いによ って行動特徴が異なり, さらにそこから相手きょう だいに対する認知の中味も異って 8 ( )によると 幼児後期には くることが予想されるのである. 筆者らの『性別判断の手がかりの研究』 , 行動的手がかりを用いて性別判断が可能に なってくることが示さ れており, この点から考えても子 どもの相手きょうだいの行為に対する認知的判断は, かなり早期から可能であるよう である.. そこで,14枚の図版に対する幼児の回答の評定得点の処理から, 次のようないくつかの視点から の分析を実施してみた。 2. 結果と考察 最初に, 各因子内の2項目が互に独立したものであると考 えてよいかどうか検討するために, 因. 子を構成する 2 つ の 項 目 間 の 相 関係 数 を 算 出 し た と こ ろ,-0,02~ 十0.30 の 範 囲 に あ っ た. さ ら に, 各因子間の相互相関係数が-0 .45~十0.25の簡囲にあっ た. 以上のことから, 本研究で使用した項. 目およ び因子は, 互に比較的独立したものだと考えてよいだろう。. 衷2 長子→次子, 次子→長子の因子別認知得点. 曇 子. 4) (N;4 次. 垂 6) (N;4. 緊. 理. 価. 張. 知. 値. 性. 性. 性. 性. 体. 0.77. 0,59. 0.16. 0.34. 0.40. 0.39. 0,78. 0,86. 1.20. 1,12. 1.13. 1.07. 0.49. 0.02. 0.41. 0.28. 0,48. 0,93 -0.09. 0,79. 0,39. 1.00. 1,04. 0.98. 1.13. 1.04. 1.06. 0,42. 意 欲 ・ 強叡. 情. 社. 動. 会. 性. 性. 性. -0,23. 0.79. SD. 0,92. ×. SD. ×. 徳. 1.16. 全. 77.

(7) . 伊藤 則博・平手 智子・伊藤由美子. ( 1 )長子→次子, 次子→長子の認知像の特徴. 長子からの次子に対する認知 (長子→次子) , 次子から長子への認知 (次子→長子) の各因子別評. 価得点の平均と標準偏差を示すと表2のようになっ た. 全体の傾向として, 5段階評定で各段階の間隔を1点として処理して得た数値であることから考. えると, 平均が0の周辺に集中していて各因子間の差があまり明確に出ていないこと, 標準偏差の 大きさからみて子どもの反応にちらばりが大きいことがうかがわれる. 従っ て, 以下の記述は傾向 を指摘したという程度のものとしておきたい. 表2から, 長子の次子に対する認知像として, 次の4点が言えそう である. ①長子は次子をやや 好ましい性格の持ち主とみている. ②性格特徴の中で, 特に活発さ・に ぎやかさ・社交性・冷静さ. がす ぐれているとみている. ③真面目さと気の長さがあまりす ぐれていないとみている. ④長子は,. 次子を弱い存在であるとみている. これに対して, 次子から長子への認知の特徴としては, 次の4点が指摘できそう である. ①次子. も長子の性格全体をやや好ましいものとみている. ②長子は次子から, 真面目さ・気の長さが特に すぐれているとみられている. ③活発さ・に ぎやかさ・社交性・冷静さがあまりないとみられてい る. ④次子は長子が強い存在 であると認めている. ( 2 )きょ うだいの性構成と認知の特徴. きょう だい相互の認知像は, 性別の構成の如何 で異っている可能性がある. この点を明らかにす るために, 長子→弟又は妹, 次子→兄又は姉, 兄→次子, 妹→姉等のこまかい組み合わせ で分析し てみた. その結果, どの組合せの場合も長子ご次子関係 で認められた内容と大差のないものであっ. た. さらに, 同性きょう だいと異性きょう だい間で, 認知像の差異もほとんどないということが分っ た. こ れ ら の 特 徴 は, 幼 児期 を 中 心 と した 年 少 期. 豊麗奏 き徽 翠 達 轟 喜醤 減そ. ( 3 ) きょう だい相互の認知像の特徴的な差異 14の項目について, 長子→次子, 次子→長子の. 評価得点の平均と標準偏差そして両者の差を検討 するために平均値の差 (tの値) を算出して, 表 3 に 示 し た.. こ の 表 か ら, 項 目 2の自主性, 項目9の真面目. さ, 項 目 11 の 冷 静 さ, 項 目 14 の 強 さ の 4 項 目 に. おいて有意差が認められた. 冷静さを除き, これ らの特 寺性が長子において顕著 であるという結果で あ っ た. 項 目 6の社交性では, 有意ではないが次. 子が長子より社交的である傾向がみえる. これらの諸特徴は, 従来の研究で長子又は次子. に顕著だとさ れている特性と一致するが, 冷静さ. が次子において優るという点は従来の結果と異る 点 で あ る.. 78. 長子と次子の認知像の差. 表3. 次す長 子 4 ) 4 1 )t ぷ r警4 … 喜 長子→次子( 4 次子→長子{ I n=4 n=4 ×. 意強 I 欲靭 ・性 2 情 動性3. -0.79. 4. 0.35. SD. ×. 0.18. 1.64. 0.48. 0.66 -0.18. 1.20. 2.81. 0.55. 1,24. 0.17. i,49. 1.23. 0.89. 1.00. 0.80. 1.23. 0.36. 0.31. 1.29 -0.03. 1.37. 1.13. 6 1,22 L24 0,61 志 ′ 心 7 -0 01 1.64 0.02 . ← ” ” 十 十 十 十 十化 J 8 1.05 1.52 0.93. 1.50. 1,97. 1.64. 0.08. 1.44. 0.36 3.17 1.00. 社 会 5 性. 1,52. + L. SD. 緊 張 9 性. -0,27. 1.73. 0.91. 1.55. 理 知 11 性. 0.59. 1.58. 0.94. 1,51. 0.58. 1.30 -0.29. 1.31. 12. 0.15. 1.51. 0.21. 1.48. 2.95 0.09. 13. 0.90. 1,48. 0.47. 1.51. 1.27. 14 -0.11. 1.76. 1.13. 1.30. 3.52. 10. 価 値性. ※※ P<0.0 1. ※ P<0 .05.

(8) . 幼 児期のきょうだい関係. 次に, もう少し細かい組み合せで検討してみると, 長子ご弟の組み合わせ では, 長子は弟より自 主性と強さ で優り, 弟は長子より冷静である。 長子ご妹の組み合わせ では, 項目9, 14で有意差が あり, 長子は妹より真面目さや強さにおいて優るとみられていた. 次子ご兄では, 項目13 ,14で差 があり, 兄は次子より強さと好意において優れている。 次子ご姉の組み合わせ では, 項目 2, 9,. 1 1 , 14で差があっ た. 姉は次子より, 自主性, 真面目さ, 強さ で優り, 次子は姉より冷静であると いう結果になった。 兄ご弟, 姉ご妹, 兄ご妹, 姉ご弟という組み合わせ では, 姉が妹より真面目で, 弟が姉から冷静だと見られ, 姉は弟を自主性と強さ で優れているとみているという程度の結果が出 ているが, 性別構成の差異による認知像の特徴的な差の存在は, 必ずしもはっきりと指摘するほど の も の は なか っ た。 3. 結. 論. 長子は, 次子の活発さ 斗こぎやかさ駿社交性・冷静さが優れていることを認め, 一方次子は長子 の真面目さ o 気の長さ o 強さ を 認 め て い る と いう こ と が 分 っ た. こ れ ら は, わ れ わ れ と 違 っ た 方 法. を用いて示された長子又は次子の性格特徴の内容とほぼ一致していた。 このことは, 出生順位にと もなっ て性格行動上の特性が, 第3者からみたものであっても, また自己判断による場合も, さら. にはわれわれが示したような対人認知像の上でも, 同様に認められることを示すもの である。 しか しながら, われわれの結果は, より年長の子どもたちを用いた研究の結果に比べて, 部分的でかつ 不鮮明なものであることは否めない。 これは, 幼児や年少のきょうだいにおいては, まだ性格行動 上の差異がそれほど明確に現われないか, あるいは明確には認知されていないことを意味している の か も し れな い。. ともあれ, 結果をもう少し細かくみていくと, 次に述べるような傾向も示さ れている. ①長子は, 次子を諦めやすいとみているが, 姉は弟を他きょう だいと比較して最も我が強いとみている. ②男 児は女児より依存的だとみられている。 ③兄と弟は, 互いに暖かいと見ているが, 姉と弟は互いに. 暖かさを他のきょう だいほど意識していない。 ④男児が女のきょうだいを, やや静かだと見ている.. ⑤兄と弟妹は正直さという点で互いに厳しい見方をしている. ⑥兄は妹を, やや嘘をつく傾向があ るとみている。 ⑦兄姉は, 互いに同性のきょうだいをやや不真面目だとみている。 ⑧兄姉は, 共に. 妹よりも弟を好ましい性格の持ち主とみており, 弟妹は同性のきょ うだいを異性きょ うだいよりも 好ましい性格の持主とみている。 以上の研究結果も, 概ね従来の研究と一致しているが, 次の3つの事柄については従来の結果と. 一致していない。 それは, 第1に長子の性格特徴として感情的であるという傾向が認知されている こと。 第2に, 男児が女児よりもきょうだいに依存的だとみられていること. 第3に, 女児は男児 のきょうだいからやや静かだと見られていること, である. これらは, われわれが対象とした幼児 期という時期の特質と考えてよいのか, それとも現代のきょ うだいの特徴なのか, あるいは偶然に あらわれた結果なのか, 今後の検討が必要だろう。 さらに, 長子と次子の認知を比べると, 強さと いう特性に大きな差が認められるが, これも幼児期の特徴であるかもしれない。. 方法論的な意味でも, 今後の課題としていくつか考えられる. 対象児数を増やすことと, 実のきょ うだいから資料を得て分析することの必要性, 因子 o 項目と図版・質問内容との一致や整合性への. 工夫, 年長児を対象とした調査, 等である。 最後に, ここで示した結果は幼児が認知したきょうだいに関する予想行動を, われわれが抽象し 概念化したものであり, かれらがきょ うだいを概念的に把握しているわけ ではないことを強調して おこう. きょうだいが, 日常の濃厚な具体的交渉経験を通じて, 互いに相手の個々の行動傾向を認. 79.

(9) . 伊藤 則博・平手 智子・伊藤由美子. 知 し, そ れを評価し, 総合し, それに対して行動的に対処していく プロセスそれ自体は, 大変興味 ある研究課題ではある.. 〈調査1 1……幼児期のきょうだい関係の特質〉 依田明は, 小学4年から中学3年ま での年齢段階の2人きょう だいを対象に して, TAT 形式の きょう だいとおぼしき人物を描いた図版を呈示し, 作話させるという, いわゆる投映法の手続を用 いてきょ うだい関係の資料を収集し, その資料を次のような関係分析のための4つの類型, すなわ 9 } ①全体として きょうだい ち調和・対立・専制・分離を用いて整理して, 次のよう な結果を行た( , . 関係の基調は対立 である. ②女児が男児より調和的である. ③長子は次子より専制的でかつ対立的. 傾向がある. ④⑱弟 (○印は兄からみた弟を意味する) は極めて対立的だが, 兄⑳は分離的である. ⑤◎妹は調和的で, ⑥姉(◎は対立と調和が等しい程度である等……. 1で幼児期にある2人きょう だいを対象に研究を行い, 性別構成・出生順位と われわれは, 調査1 きょ うだい関係の関連を検討し, 依田の結果と比較しようと考えた.. く調査の方法〉 1. 対 象 巳. 19組)の幼児期にある2人きょうだいを選び出 旭川市内の1幼稚園, 2保育園に通園する38名( した. 性別の構成と年齢を表4に示したが, このうち同性同 士のきょう だいは13組で異性同士の きょうだいが6組, 兄 (⑭・M 又は⑭・F) 群8名, 姉 (⑰・F又は⑲・M) 群11名, 弟 (M・⑰ 又 は F .⑭) 群1 2名, 妹 (M’⑰又はF・⑰) 群7名と なっ た. 対象児の家庭状況は,母親在宅が5組のみ で母子家庭4組を含めて14組の母親は何らかのかたち で家庭外で稼働していた. 父親の平均年齢が34.3齢, 母親が32.8歳. 両親の学歴は, 7割が高卒 以上 であ っ た. 父の職業は, 公務員・会社員・技術労働者 で9割を占め, 母の職業は公務員・会社 員 ・ 店 員 ・ パ ー ト な ど 多岐 に わ た っ て い た.. 表4 性別の構成. 数. 組. M,M. 7. F. M. 5. F. M. F F. . ,. 計.平均. 対. 象. 長子 の年 齢. 児 次子 の年 齢. 年 齢 間 隔. 6.5歳 6.5. 4.9歳 5.O. 1.6歳 1.5. 6. 6.4 6.I. 4.8 4.7. 1.6 1.4. 19. 6.4. 4.9. 1.5. I. 2, 調査用図版 依田の調査で使用された図版を参考にして, B 4版大の線画6枚を作成した. 各図版には, 2 人 の子どもの関係場面が描かれているが, それらは幼児が日常よく体験する内容 である. 登場人物は. ハーフ・トーンで描かれ, 性別が分る程度のものとし, 自己投映や回答内容の自由度を最大限にす 80.

(10) . 幼児期のきょうだい関係. るよう配意した。 図版は, 対象児のき ょうだいの性別構成に合わせるため, MoM登場, F・F登 場, M・F登場図版を考えたの で, 合計1 8枚準備することになった。 調査は, 個別法で行い幼児1 人に つ き 6つの物語を得たが 調査の所要時間は 1人平均1 5分程度で, 子どもたちは全員喜んで参 ,. 加してくれた. 子どもたちに与えた教示の内容と各図版に描いた場面状況を次に示す. (教示). ④この絵の2人はきょ うだい です。 これがあなたで, これがあなたの00 (兄弟姉妹別) です . ◎ こ の 2 人は, 今 何 を し て い る の で しょ う どん な こ と を 考 えて い る の で し ょ う . 。. ⑭これからあと, どうなる でしょ う。 (場面状況) (図版1):ブランコあそび. 公園 の ブラ ン コに 乗 っ て いる 子 と そ ばに 立 っ て いる 子 がい る ブラ ン コは 1つ しか な い 画 中 に 乗 りす てた 自 . .. 転車がある. この図版は, 遊びの場面でのきょうだいの力関係をみようとする. 具体的には1つしかないブラ ンコをめぐり, ゆずりあう又は奪いあう等の反応をみようとした. (図版2):木のぼり 家の近くの木に登っている子と, 下にいて手をあげているような姿勢の子がいる. これは木登りという活動的 なあそびの中でのきょうだい関係をみるためのものである.図版を縦に使って,子どもの位置を上下に分けた . 男児と女児の登場の場合は, 女の子を上にし, 活動的な役割を女児がどう認知するかも見ようとした . ◆:物の破壊 (図版3) 一方の子の手からすべり落ちた食器が, 床で壊れている. もう一方の子どもがそれに手を伸ばしている これ . は, 失敗に対する圧力が加わる場面であるが, その中でおこるきょうだいの間の緊張を子どもがどうとらえて いるか見ようとした. ドアを書き入れたことで, 第3者登場の可能性を暗示した. (図版4):人形あそび 大きな人形を持っている子と小さな人形を持っている子が登場する. 小さな人形を持つ子が相手に何事か話し かけている場面. これは, 人形という女児玩具を媒介させた場合のきょうだい関係の有様をみようとしたもの である.. (図版5):喧嘩 散らかした積木とぬいぐるみがあり, 部屋の中央で向い合って手をつかみあう 2 人の子がいる 一人は顔がか . くれて見えない. この図版は, 攻撃欲求や支配欲求などを誘発しやすくしたものである. この図版にも ドアを 書き入れて第3者の登場を暗示した. (図版6):テレビ テ レ ビに 触 れて いる 子 と, そ れ を横 に 見て いる 子と が登場 テレ ビと いう 現 代 の 必 需品 をめ ぐる き ょ う だい の .. 競争意識や支配欲求などを確かめようとした.. 〈結果と考察〉 6枚の図版に対する幼児の言語的反応を収録したテー プを再生しながら, 3名の評価者が次のよ うな5つの類型に子どもの反応を独立して分類していった。 ④調和…いわゆる仲良し関係 で, 親和的な雰囲気が認められるもの。 協同・ゆずりあい。奉仕な ど。. ◎対立…特に一方の優位が認められず, 相互に張り合っ ている関係。 奪いあい。喧嘩・口論・競 争 な ど。. ⑭専制…きょうだいのどちらかが, 明らかな優位に立っ た関係. 独占。命令・指示・圧迫など 。 e粉 離…相互の積 極的な交渉が認められない関係。 傍観・無関心り排斥。独りあそびなど。 81.

(11) . 伊藤 則博・平手. 智子・伊藤由美子. ◎その他…上記4類型に分離できない反応, 又は無反応. 評価の結果, 3名のうち2名以上の者が一致して分類したものをも ってその子の反応としたが,. 3者3様の評価となっ たものは, 『その他』 の分類に含めた. 分類の具体例を, 図版1に関して次にあげておこう.. 『親和』 に分類した例…M.⑭ 『ブランコであそんでいる. 自分は立っている. お兄チャンが乗っている. かわり 人 て も 楽 しく あ ばん こ に 乗る の』 , ⑭.M 『ブラン コ を こ い でい る. 弟 がこ げ ない か ら, 僕 が押 して や る. 2 でと そ ん でい る』 …… ….. 『対立』に分類した例…⑭・M 『弟が乗っている. 僕は弟を押っけて乗る. 弟がおこってけんかになる』 , ⑭・M『弟 が ブラ ン コに 乗 っ て いる. 僕 は 乗せ てく れと言 っ た. 20 数え て も 降り な い. 僕 は ち がう ブラ ン コに 乗 っ て, 弟 が 乗せ て と た の ん でも 降 り な い』 …… ….. 『専制』 と分類した例…⑰.F 『ブランコであそんでいる. 自分は乗っている. 妹が乗せてと言っている, ダメと 言う』 , F.⑭ 『お姉チャンが乗せてと言ったら, ダメと言う. 自転車かしてと言ってもダメと言う. お姉チャン がお 母さ ん に 言 いつ け に 行く』 … … ….. 『分離』 と分類した例…⑭・M 『ブランコと自転車がある. 僕は黙って立っている』 , F・⑭ 『ブランコに乗ってい る. 姉 は 乗せ て と 言 っ て いる. あ とは 分 らな い』 … …….. このような基準と手続で, 幼児の物語を分類し整理した結果は, 表5のようになっ た. 対象児は 出生順位と性別の構成に従っ て8つの グルー プに分けられる.表中で○印を付したのが調査対象児, 1字目が長子, 2字目が次子である. 先ず, 調査図版により幼児の物語の分類範噂にちがいがある. これは, 当初から予想していたこ とであっ たが, 例えば図版1の ブランコには全体の6割が, 調和関係に回答しているのに対し, 図. 82. \. 対象児. M十 F. 38. M. 20. F. 18. 長 子. 19. 次 子. 19. ⑭・M. 7. M・⑭. 7. ⑭・F. I. F・⑭. 5. ⑥.M. 5. M・⑰. I. ⑰・F. 6. F・⑰. 6. 表5. きょ う だい構成とき ょ う だい関係. 調 和. 対 立. 専 制. 分 離. 67 % 29.9 27 % 22,9 40 % 37.7 35 % 31.0 32 % 29.1 5 % 11.9 11 % 27,5 4 % 66,6 7 % 23.1 6 % 20.0 4 % 66.6 20 % 55.5 10 % 29.4. 32 14.3 26 22.O 6 5.7 20 17.5 12 11.O 16 38.I 7 17.5 O. 86 38.4 46 39.O 40 37.7 47 41.2 39 35,5 18 42,9 12 30.O I 16,7 15 50.O 19 63.3 I 16.7 9 25.O 11 32.4. 39 17,4 19 16.I 20 18.9 12 10.3 27 24.2 3 7,I 10 25.O I 16.7 5 16.7 3 10,O I 16.7 5 14,O 11 32.4. 3 10,O 2 6.7 O 2 2. 5.5 5.5. その他. 合 計. 4. 228. 2. 120. 2. 108. O. 114. 4. 114. O. 42. 2. 42. O. 6. O. 30. O. 30. O. 6. O. 36. 2. 36.

(12) . 幼児期のきょうだい関係. 版5に対するこの種の回答は皆無であるし, 図版3になると専制関係への回答が多く なる これは 。 , 同じくきょう だい関係といっても どのような場面を問うかという ことで この年代でも反応が変動 , すること, すなわち場面によってきょうだい関係の 質も変わってくる可能性があることを示してい る。 ここに, このような投映法的技法で人間関係を把握することの限界があるのかもしれない 。 ともあれ, 本調査は依田の示した小・中学生と比較することが主目的なので ここ では設定した , 6つの場面がいろいろな状況を含めたものと考 え, 全体的傾向について考察しようと思う . 1。 全体としてみると,専制関係が最も多く,全体の約4 0%を占めた。次いで,調和関係が約30%, 分離17%, 対立14%の順であった. これは, 幼児ではきょうだい関係を専制的関係であると認識し. ている者が多いことを示していて, 依田の研究結果とは大幅に異っ ている 。. 専制関係は,自分を優位であると位置づける場合と相手を優位であるとす る場合に分けられるが, 長子は自分を優位と し, 次子は相手を優位としていることは, 物語の内容から明らか であった 。 2. 調和関係の出現率30%というのは, 依田の研究報告とほぼ同率であるので, 専制関係が高率 であることは明らかに幼児期の特徴 であると考えてよいだろう. 依田が対象とした小学 4年~中学. 3年の子どもたちに比べ ると, 幼児期にあるきょ うだいの場合, 1歳~2歳の年齢の開きが体力や 能力の大きな差となってあらわれる。 このことが, 専制関係の優位をもたらしたと考えられるが , 成 長 に 伴 っ て こ の き ょ う だ い の 体 力 や 能 力 差 が縮 ま っ て く る に つ れて “互 い に 張り 合う” と こ ろ の ,. 対立関係に移行していくの ではないかと予想される. この点も こっいては, 調和関係の変動のなさの 問題とあわせて, 縦断的に追跡してみる価値のある課題だろう。 3. 性差をみると, 姉妹は兄弟より調和的程傾向が強く, 兄弟は対立傾向 が強い 姉妹が調和的 。 であることは, 依田の対象児でも 見出さ れており, 男児同士の対立傾向の存在とあわせて, これら はわが国では年齢を越えた 特徴であるかもしれないが, 米国の青年女子を対 象とした研究で姉妹に. おいて強い対立傾向が存在するという報告もあ るので, 比較文化的な研究と青年期 ” 成 人期 の き ょ うだい関係の研究が期待される.. 4. 出生順位では, 長子は次子より専制的 で対立的であるが, 一方 で調和的傾向も少なく ないと いうように多様な特徴を見せていた。 次子は, 長子より分離傾向が強い。 5. 同じきょう だい関係といっ ても, 男児であるか女児であるか, 又長子か次子かによって関係 に対する認知は異なる. そこで, より細かく長子・次子×男児り女 児の8つの組合わせ で検討して みた. ⑱.Mは, 専制的でしかも対立的である. M。⑬は, 兄の優位を認めた専制が多く, 兄に比 べて調和的で, 非常に分離傾向が強かっ た。 MoF関係は, データ不足なの で解釈は控える ◎・ 。 Mは, 他のどの グルー プよりも専制傾向が強く, 姉と弟の成長速度の差が典型的に顕われた感があ る. ⑪。Fは, 極めて調和的。 Fe⑰は, 姉の優位を認めた専制と分離およ び調和の3つの関係に 分 散 し て い た。. 83.

(13) . 伊藤 則博・平手 智子・伊藤由美子. 〈お わ り に〉. 本論文は, 大きく 2つの柱で構成さ れている. 調査1では, 対人認知論の手法を使ってきょうだ いの出生順位・性別構成と性格特徴の関係を研究したが, 結果は概ね従来の諸知 見を支持するもの となり, き ょう だい関係を通じての特性の形成は幼児期という早期から始まっ ていること, さらに それらの特性は異なった研究方法を用いて調べても共通した一貫性を持っ たものであることが示さ れ た.. 調査1 1では, 幼児期にある2人のきょう だいを対象に, 投映法的手法を用いて関係の質を描き出 そうとした. 結果は, 従来の小・中学生を対象にした研究結果との間に興味のある差異と共通点が 見出さ れた.. ここ で行っ た2つの調査は, いずれも事象の実態を明らかにするための記述的水準にあるもので. ある. 研究というものは, 事象の実態に関してかなりの側面が明らかになってはじめて, 次の段階 すなわち要因の探究や成立機序の究明をめ ざした, いわゆる説明的水準へと 進むことができるわけ であるが, きょ うだい研究の現段階は多様な角 度から多様な方法を用いた記述的研究の積み上げが 求められていると考えたことが, 本研究の動機の1つである. 1 0 } ⑫ 調査1 1の結果の要点は, 日本教育心理学会第19回総会において報告した{ .. く注〉 1 ( ) ( 2 ) ( 3 ) ( 4 ) 5 ( ) ( 6 ) ( 7 ) ( 8 ). 6 若井邦夫, 家族関係と社会化, 児童心理学の進歩19 8 0年版, p 7 .1 , 金子書房. アドラー, A. 6 1 問題児の分析と教育 , 19 , 誠信書房. , 高橋堆治訳, 子どもの劣等感 9 林勝造・一谷彊・小嶋秀夫, 親に対する子どもの認知像の検査法, 1 97 , 大成出版牧野書房. ケーガン, J 82 79 . .1 ,三宅和夫監訳, 子どもの人格発達, p , 19 , 川島書店. 村瀬孝雄・村瀬嘉代子, 自己像尺度作成の試み, 臨床心理学の進歩19 66年版, p 78~1 8 6 .1 , 誠信書房. 波多野誼余夫・依田明, ひとりっ子・すえっ子, 1 大日本図書 967 , . 詫摩武俊, きょうだいと性格, 1 97 0 , 国土社. 伊藤則博・谷村美方子, 幼児が用いる性別判断の手がかり, 北海道教育大学紀要 (第1部C)32巻2号, p .. 191~204 , 1982 .. ( 9 ) 依田明, きょうだいの性構成ときょうだい関係, 日本教育心理学会第7回総会発表論文集,p 2一2 63 96 5 .26 ,1 . ( l o ) 伊藤則博・五十嵐智子, 幼児期のきょうだい関係 -- 2人きょうだいの場合 --, 日本教育心理学会第1 9回 総会発表論文集, p 9 5 8-15 9 7 7 .1 ,1 . (本学教授・旭川分校)(砂川市立中央小学校教諭) (道立鷹栖養護学校教諭). 84.

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