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日本人中学生の英語学習における不安と自己調整 : 第二言語動機づけ自己システムの視点から

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(1)Title. 日本人中学生の英語学習における不安と自己調整 : 第二言語動機づけ自 己システムの視点から. Author(s). 菅原, 健太; 村上, 凌雅; 高橋, 菜月; 加川, 裕花; 小野澤, 夢樹乃; 平石, 暁史. Citation. 北海道教育大学紀要. 人文科学・社会科学編, 71(2): 77-91. Issue Date. 2021-02. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/11726. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) 北海道教育大学紀要(人文科学・社会科学編)第71巻 第2号 Journal of Hokkaido University of Education(Humanities and Social Sciences)Vol. 71, No.2. 令 和 3 年 2 月 February, 2021. 日本人中学生の英語学習における不安と自己調整 ― 第二言語動機づけ自己システムの視点から ―. 菅原 健太・村上 凌雅・高橋 菜月・加川 裕花・小野澤 夢樹乃・平石 暁史* 北海道教育大学函館校第二言語習得論研究室 *. 北海道教育大学附属函館中学校. Japanese Junior High School Students’ Anxiety and Self-Regulation in learning English ― The perspective of L2 Motivational Self System ―. SUGAWARA Kenta, MURAKAMI Ryoga, TAKAHASHI Nazuki, KAGAWA Yuuka, ONOZAWA Yukino and HIRAISHI Akifumi* Department of Second Language Studies, Hakodate Campus, Hokkaido University of Education *. Hakodate Junior High School, Hokkaido University of Education. 概 要 本研究の目的は,日本人中学生の英語学習における動機づけの理解に向けて,第二言語動機 づけ自己システム(Dörnyei, 2009)の視点から,英語不安と自己調整力の関係性について明 らかにすることである。そのために,自由記述による項目を含むワークシートと,6段階のリッ カート尺度を用いた項目から成る複合質問紙を開発し,中学生101名から質的・量的データを 収集した。収集した記述データの分析は,グラウンデッド・セオリー開発のカテゴリー化の手 順を取り入れて実施した。また,数値データの分析は,ステップワイズ法による重回帰分析等 を用いて行った。その結果,英語使用者としての理想自己や,現実自己を踏まえた中間目標, また,それぞれの目標から起こる英語不安のカテゴリーが浮上した。さらに,英語不安の強さ からコミットメント制御とメタ認知力への影響力が確認できた。結果の考察から,本研究では, 英語学習に辛抱強く取組める条件の一部が明確になった。. 1.はじめに 学習指導要領の改訂にある通り,学校教育において「主体的・対話的で深い学び」や「生きる力」の養成 が益々求められている(文部科学省,2017a)。中でも,外国語科では,中等教育において「授業は英語で行. 77.

(3) 菅原 健太・村上 凌雅・高橋 菜月・加川 裕花・小野澤夢樹乃・平石 暁史. うことを基本」とし,生徒が将来的に国際共通英語としてのグローバル英語(Global English as an international language)の使用者に到達できる素地の育成に向けた方針が示されている(文部科学省,2017b)。これら の要領が示す通り,グローバル英語力のような複雑な技能の修得には,その目標の達成に向けて目の前の活 動・タスクに集中して取り組めている状態であるエンゲージメント(engagement)の持続(Sugawara, 2019)や,自らの学びを継続できる動機づけ(motivation)の維持力(persistence)の強化が欠かせない。 近 年, 教 育 心 理 学 に お け る 生 徒 の エ ン ゲ ー ジ メ ン ト や 動 機 づ け の 維 持 に 関 す る 知 見(Reschly & Christenson, 2012,他)は,第二言語習得(SLA)における動機づけ研究を促進するものとして応用言語学 でも注目されており,中でも,日本人英語学習者に顕著な動機づけの減退(demotivation)に対し,動機づ けの回復(re-motivation)を促す要因・条件をより明確するものである(Dörnyei, 2020)。本研究では,日 本人中学生を対象者とし,この要因・条件と関わる「第二言語動機づけ自己システム」(L2 motivational self system: L2 MSS)(Dörnyei, 2005, 2009)に英語不安(English anxiety)と自己調整力(self-regulation capacity)の概念を加え,英語学習における動機づけ現象の理解促進を目指す。本研究から,対象者層の動 機づけを促す条件が一部,明確になることが見込める。. 2.先行研究 2.1 L2 MSSモデル L2 MSSは,L2動機づけの発生・維持メカニズムを全人的な視点からシンプルに説明した理論であり, 「L2 理想自己」 (ideal L2 self) , 「L2義務自己」 (ought to L2 self) ,及び「L2学習経験」 (L2 learning experience) の要素を持つ(Dörnyei 2005, 2009)。これらの要素のうち,L2理想自己とL2義務自己は,可能自己理論 (possible selves theory) (Markus & Nurius, 1986)と自己不一致理論(self-discrepancy theory) (Higgins, 1987)をもとにしたL2学習を動機づける将来の自己イメージである。L2理想自己とは,L2の使用者として 将来,自分が心からなりたいと思う(例えば,国際コミュニティーで英語を使って仕事をしている)自己イ メージである。この自己イメージが鮮明・詳細である人ほど,現在の自分(現実自己)との不一致を減らそ うとする行動が持続する。一方で,L2義務自己とは,L2の使用場面で義務としてこうあるべきと信じる自 分の姿であり, 他者からの期待に応じられ,失敗の回避に向けた行動を導く。これらの自己指針(self-guides) に対し,L2学習経験には, (例えば,教師・クラスメート,または,授業内容・カリキュラムによる影響や, 自らの成功体験など)その場の学習環境や経験から起こる状況動機が関りを持つ。なお,L2 MSSを用いて 動機づけモデルの検証を試みた実証研究が,日本での外国語としての英語(English as a foreign language: EFL)学習コンテクストを含め,世界中で数多く行われており,そのモデルの妥当性は確認されている(Boo, Dörnyei, & Ryan, 2015; Csizér, 2019; Dörnyei & Ryan, 2015, Dörnyei & Ushioda, 2011; Taguchi, Magid, & Papi, 2009) 。 2.2 L2 MSSの拡張・再概念化 L2 MSSを用いた実証研究の中でも,構造方程式モデリング(structural equation modeling:SEM)を用 いた量的研究では,このモデルの3要素とこれらに影響をもたらす動機づけ要因から,動機づけ強さ(主に, L2学習における意図的努力[intended effort])への影響力をもとに,L2動機づけの構造を提示している。 その動機づけ要因には,主にL2理想自己に関わる「国際的志向性」 (international posture)(Csizér & Kormos, 2009; Yashima, 2009)や「道具的促進」(instrumentality promotion),L2義務自己に関わる「道具 的防衛」 (instrumentality prevention) (Taguchi et al., 2009)や「両親からの奨励」 (parental encouragement). 78.

(4) 日本人中学生の英語学習における不安と自己調整. (Csizér & Kormos, 2009)などがある。また,ほぼすべての研究において,L2理想自己のほうがL2義務自 己よりも「L2学習への態度」(attitudes towards learning the L2)面からみたL2学習経験に強い関わりを持 つことや,L2理想自己とL2学習経験の方がL2義務自己よりも意図的努力に強い影響力を持つ結果が一貫し てみられる(Csizér, 2019; Dörnyei, 2009; Dörnyei & Ryan, 2015, Dörnyei & Ushioda, 2011)。 上述に加え,L2 MSSに関わる感情面の特定に向けた研究も行われている。特に,一連の量的研究(Papi, 2010, Sugawara et al., 2013)では,SLA研究においてL2学習プロセスを妨げる要因として認められている不 安との関りを指摘しており,L2理想自己はL2不安を低下させる一方で,L2義務自己はL2不安を高める可能 性を提示した。日本人大学生を対象としたSugawara(2015)では,L2義務自己と現実自己の(過度の)不 一致が,英語不安の高まりと英語コミュニケーション力に関する自己評価の低下を招く可能性を示した。ま た,同じく日本人大学生を調査したSugawara & Sato(2020)の結果から,英語学習におけるエンゲージメ ントの体験が,英語不安を引き起こすことなく,意図的努力を促すことが考えられる。 さらに,L2MSSの構成要素のうち,動機づけの維持に関わる行動(motivated behavior)面に関して,意 図的努力に限定せず,他の指標変数を含めてより詳細に捉えた研究も存在する。例えば,これらの動機づけ 要因と,実際にL2で談話が起こっている場面に自ら入れるかを直接決定づける「L2で自発的にコミュニケー ションを図る意志」(willingness to communicate in an L2:L2 WTC)(MacIntyre, Clément, Dörnyei, & Noels, 1998)の関係性を調査した研究(Sugawara et al., 2013; Sugawara, 2017; Teimouri, 2017; Yashima, 2009)である。これらの研究からは,L2理想自己が,教室内・外におけるL2 WTCの高まりをもたらす要因 であることが一貫して確認できる。また,Kormos & Csizér(2014)では,L2理想自己の領域と,Tseng, Dörnyei, & Schmitt(2006)らが扱った自己調整力に基づく「自律的な学習行動」(autonomous learning behavior)との関係性について,SEMを用いて調査した。その結果,L2理想自己から起こる意図的な学習 努力が,L2を使用できる機会を積極的に探し出す行動や,特定のタスクをやり遂げるための興味の持続や 時間の管理をもたらす「メタ認知能力」 (meta-cognitive ability)を促し,L2学習に自ら取り組める習慣を 導く可能性が浮上した。 以上の先行研究のレビューから,L2 MSSの拡張・深化に向けた研究は,L2動機づけの維持を促すメカニ ズムの更なる理解に貢献するものと考えられる。特に,L2理想自己が強力な動機づけ要因として機能する ためには,その理想像と現実自己との比較に基づく学習への取り組みができていること(Dörnyei 2005, 2009)であるため,現実自己に関しても捉える必要がある。しかし,L2理想自己と現実自己を伴に探る試 みは十分とはいえず(Al-Hoorie, 2018; Csizér, 2019),特に,この面に関して日本人中学生を対象とした研 究は極めて少ない。そのため,本研究では,生徒たちの最終目標であるL2理想自己に加え,その達成を促 す中間目標を意識化させ,現実自己を振り返ることが容易になるように試みた。また,最終目標や中間目標 を立てる中で,現実自己との比較の中で起こる状況的な英語不安に注目した。さらに,英語不安が英語学習 にコミットメントできる力やメタ認知能力から成る自己調整力にもたらす影響を調査したうえで,動機づけ の維持に関わる要因を包括的に捉えることを目指した。. 3.本研究の目的と問い 本研究の目的は,日本人中学生を対象に,L2 MSSの視点から,英語不安と英語学習における自己調整力 の関係性を明らかにすることである。そのために,先行研究のレビューを踏まえ.以下の研究の問い(RQ) を立てた。 RQ1:日本人中学生は,どんな英語使用者としての理想自己(最終目標)と,その到達に向けた中間目標を. 79.

(5) 菅原 健太・村上 凌雅・高橋 菜月・加川 裕花・小野澤夢樹乃・平石 暁史. 描けるか? RQ2:RQ1の最終目標と中間目標に加え,現実自己の回想から,対象者はどんな英語不安を感じるか? RQ3:英語不安の強さが,英語学習における自己調整力にどんな関りを持つか?. 4.研究方法 4.1 対象者 コンビニエンス・サンプリングにより,地方の国立大学法人が運営する中学校1校からの生徒101名が対 象者である。これらの対象者全員が2年生(平均年齢が13.8歳)であり,そのうち男子が60名(59.4%)で,女 子が41名(40.6%)である。なお,対象者全員が,日本語を母語とする英語学習者である。 4.2 素 材 本研究では,その目的に沿って自由記述による項目を含む授業実践で用いるワークシートを考案した。ま た, 質問紙作成法の手順(Dörnyei, 2010,他)に沿って,6段階のリッカート尺度(「1.全くそう思わない」 から「6.非常にそう思う」までの範囲)を用いた複合質問紙を開発した。各領域で用いた評価項目と作成 手順は,下記の通りである。 4.2.1 自由記述による項目内容 「自分の将来の夢について設計図を作ってみよう」のテーマをもとに,本調査では自らの将来の目標を英 語力の面から記述する項目を最初に設定した。次に,その最終目標からみて,現在の自分について英語力の 面から評価する項目を設けた。続いて,これらのリフレクションを踏まえ,その最終目標への到達に必要な 中間目標と,その目標を立てる中で起こる不安について記述する項目を設けた。最後に,最終目標に関して 再び振り返り,その実現可能性を考える中で起こる自らの不安について記述する項目を設けた。 4.2.2 質問紙 4.2.2.1 英語不安 本調査では,FLCAS(foreign language classroom anxiety scale)(Horwitz et al., 1986)を日本人英語 学習者向けのものに修正した「外国語教室不安尺度」(Yashima et al., 2009)の項目を中学生向けに一部修 正し,使用した。具体的には,「英語の授業で話す自信のなさ」(lack of confidence in speaking English in class)の領域から3項目(例: 「英語の授業で自分から進んで答えるのは恥ずかしい」)と,「公の場で英語 を話す怖さ」 (fear of speaking English in public)から3項目(例:「準備なしに英語を話さなければなら ないとき,心配になる」 ,そして, 「授業で教えられたことをすべて理解できない不安」(anxiety about not understanding everything taught in class)から3項目(例:「授業中に先生が話している英語が理解でき ないととても不安になる」)をそれぞれ抽出・修正した。 4.2.2.2 英語学習における自己調整力 SRCVOC(self-regulating capacity in vocabulary learning scale)(Tseng et al., 2006)の一領域を測定 する項目を日本人中学生に向けた英語学習における自己調整力を図るものに修正し,本調査では使用した。 具体的には, 「コミットメント制御」 (commitment control)の領域から3項目(例:「予想しているよりも 早く,目標を達成できると信じている」)と, 「メタ認知制御」(metacognitive control)から3項目(例:「学. 80.

(6) 日本人中学生の英語学習における不安と自己調整. 習を後回しにしないための,自分に合った方法がある」)をそれぞれ抽出・修正した。 4.3 手続き 本調査では,上記の自由記述項目を含むワークシート,授業案,及び,質問紙を第1著者から第5著者ま でが作成した。続いて,授業実践を担当した第6著者が加わり,前者のワークシートと授業案を研究の目的 に沿って一部修正した(完成版に関しては,付録1と付録2を参照のこと)。その後,この授業案をもとに した実践と質問紙の投与を2019年12月に中学校の英語の授業(計3クラス)で実施した。なお,調査開始前 に研究倫理を踏まえ,研究の目的をすべてのクラスで説明し,各生徒から署名入りの同意書を得た。データ 収集の開始後,第6著者による授業の中で,その他の著者は対象者のワークシートを用いた活動をサポート した。 4.4 データの分析 本研究では,収集した記述・数値データの入力を第2著者と第3著者が行った。その後,これらの著者が 記述データの分析・解釈を才木クレイグヒル(2013)による「グラウンデッド・セオリー」(grounded theory)開発の概念化・カテゴリー化の手順を一部取り入れて実施し, それを第1著者が再解釈した。また, 数値データの入力・分析は,第1著者と第2著者,及び第3著者が統計解析ソフト(IBM SPSS Statistics, version 25.0)を用いて行った。初めに,各尺度の信頼性を確認するため,クロンバックのアルファ(α) 係数による信頼性検証を行った。続いて,尺度ごとの合計スコアを用いてピアソンの積率相関分析を実施し, 各変数間の関係の強さをみた。さらに,英語不安から自己調整力への影響力をみるため,ステップワイズ法 による重回帰分析を実施した。最後に,すべての結果の解釈・統合を本論の記述を担当した第1著者が行っ た。. 5.結 果 5.1 最終目標として描かれる英語使用者としての理想自己 自由記述から得たデータを分析した結果,本研究では,英語使用者としての理想自己について,表1の通 り24項目が浮上した。その中で,最も多くの回答を得た項目は, 「海外で生活し,外国人と働きたい」と「外 国人とコミュニケーションが図れるようになりたい」であった。続いて,「外国人患者を救いたい」や「外 国人とスポーツで関わりたい」,そして, 「世界中に友達を作りたい」などの項目を複数の回答から抽出した。 さらに,興味のある職業や具体的なボランティア活動に関り,外国人と英語で交流できる自分や特定目的の 英語力に関する回答を幅広く得た。その他,海外旅行や趣味,または,ノーベル賞受章など社会的な価値を 伴う活動と関わる回答もみられた。 5.2 最終目標への到達に必要な中間目標 自由記述によるデータから,本研究では,中間目標について,表2の通り21項目が浮上した。その中で, 最も多くの回答から成る項目は, 「外国人と積極的にコミュニケーションを取る」であった。続いて,数多 くの回答を含む項目は,現在の自分を踏まえて「語彙を増やす」や「リスニング力を高める」であった。さ らに,授業での学習に関り「復習」や「すべて理解」,そして「勉強を継続」するなど学校内で学んだ内容 を確実に身につける意志から, 「ニュース・ラジオを聞く・洋画を観る」といった学校外にあるリソースの 活用や「簡単な日常会話ができる」場面の想起まで,英語力の向上への関わる様々な項目を抽出した。その. 81.

(7) 菅原 健太・村上 凌雅・高橋 菜月・加川 裕花・小野澤夢樹乃・平石 暁史. 他,留学や友人との会話,または洋楽・海外のサイトを通じた学習や,「英語を好きになる,または嫌いに ならない」といった感情を得ることに向けた回答を抽出した。 表1 自由記述から抜粋した英語使用者としての理想自己(最終目標) 分類項目 1.海外で生活し,外国人と働きたい 2.外国人とコミュニケーションが図れるようになりたい 3.英語を駆使して,外国人患者を救いたい 4.外国人とスポーツで関わりたい 5.世界中に友達を作りたい 6.世界中で楽しまれるゲームを作りたい・したい 7.(英語の論文など)難しい英文が読めるようになりたい 8.外国人と音楽で関わりたい 9.英語を使って技術交流がしたい 10.世界で様々な(動物・森林などの)保護活動に関わりたい 11.世界中の貧しい人たちを助けたい 12.外国人向けの雑誌を英語で書きたい 13.海外で活躍する弁護士になりたい 14.海外で家を建ててみたい 15.海外で英語でプレゼンができるようになりたい 16.海外で日本語を教えたい 17.(同時翻訳ができる程度の)高い英語力を身につけたい 18.世界に日本の農業を広めたい 19.ハリウッド映画に出演したい 20.ノーベル賞を取りたい 21.海外旅行に行きたい 22.日本のよさを海外に広めたい 23.洋画を観られるようになりたい 24.外国人と結婚したい 合計. 抜粋した数 20 19 11 8 6 5 4 3 3 3 2 2 2 2 2 2 2 1 1 1 1 1 1 1 103. 表2 自由記述から抜粋した最終目標の到達に必要な中間目標 分類項目 1.外国人と積極的にコミュニケーションを取る 2.(専門的な英単語など)語彙を増やす 3.英語の教材を用いてリスニング力を高める 4.英語のニュース・ラジオを聞く・洋画を観る 5.英語力の向上への勉強を継続する 6.英語で簡単な日常会話ができるようになる 7.授業を復習も含め,しっかり受ける 8.中学校レベルの英語を全て理解する 9.文法を完璧にする 10.留学をする 11.洋楽を歌う 12.友達と英語で話せるようになる 13.伝えたいことを英語に変換できるようにする 14.ライティングの練習をする 15.英語を好きになる,または,嫌いにならない 16.リーディングの練習をする 17.英語でプレゼンができるようになる 18.英語の本・海外のサイトを読めるようになる 19.英語に自信を持つ 20.二か国(英語・日本語)で小説を書く 21.発音をよくする 合計. 82. 抜粋した数 37 22 19 13 12 10 9 8 7 7 6 5 5 4 4 2 2 2 1 1 1 177.

(8) 日本人中学生の英語学習における不安と自己調整. 5.3 英語使用者としての理想自己(最終目標)から起こる英語不安 自由記述によるデータから,本研究では,理想自己から起こる不安について,表3の通り14項目が浮上し た。その中で,英語学習者としての現在の自分を踏まえ,最も多くの回答から成る項目は,「英語で話すこ とに対する不安」であった。これに続き,多数の回答を含む項目は,目標の達成に必要な「英語力が身につ くかどうか」であった。次に,同じく語彙力の低さや聞き取りなど英語力に対する不安と,目標の達成力で ある「努力を継続できるかどうか」に関わる回答が数多くみられた。その他にも,目標の達成力に関り, 「消 極的な方向へ変わらないか」や「進路と英語が結びつくか」,または目標そのものの「不明瞭」が不安の誘 因として浮上した。さらに,英語の技能ごとにそのパフォーマンスや学習方法,または外国人との交流が少 なく,その仕方が不明瞭であることから起こる不安に関する回答も得た。 表3 自由記述から抜粋した英語使用者としての理想自己(最終目標)から起こる英語不安 分類項目 1.自分の気持ちや考えを英語で話すことに対する不安 2.今後,目標の達成において必要な英語力が身につくかどうか不安 3.(専門用語など)語彙力の低さに対する不安 4.英語での会話において,その内容が聞き取れるかどうか不安 5.今後,目標への到達に向けた努力を継続できるかどうか不安 6.目標が消極的な方向へ変わらないか不安 7.外国人との交流が少なく,どのように交流すればよいか不安 8.英語で文章を正しく書けるかどうかに対する不安 9.進路と英語が結びつくかに対する不安 10.目標そのものが大きく・不明瞭で不安 11.英文法が正しく理解できるか不安 12.英語の文章が読めるかどうか不安 13.英語力の向上への勉強方法がわからず不安 14.最終目標を達成できた後に,どうすればよいか不安 合計. 抜粋した数 57 22 13 13 12 6 5 5 4 4 3 2 1 1 148. 5.4 最終目標への到達に必要な中間目標から起こる英語不安 自由記述によるデータから,本研究では,中間目標から起こる英語不安について,表4の通り13項目が浮 上した。その中で,英語学習者としての現在の自分を踏まえ,最も多くの回答から成る項目は,英語の使用 場面で「自ら進んで英語で話せるか」を思い描く中で起こる不安であった。これに続き,多数の回答を含む 項目は,目標の達成に向けて「集中力を維持できるか」であった。次に,「語彙力を高める方法」が不明瞭 であることや「会話におけるリスニング力」に対する不安,または「目標が達成できるか」の見込みを振り 返る中で起こる不安に関する回答が数多くみられた。さらに,「英語で話す機会」が少ないことや,「目標へ の到達を促す勉強方法」が不明確であることが不安の誘因として浮上した。その他にも,英文法の理解度や ライティングの正確性に関わる意識により起こる不安から,留学を含めて進路が不明瞭であること,あるい は,英語学習と他の活動の両立ができる見込みがあるかから起こる不安まで,幅広くその誘因を抽出した。. 83.

(9) 菅原 健太・村上 凌雅・高橋 菜月・加川 裕花・小野澤夢樹乃・平石 暁史. 表4 自由記述から抜粋した中間目標から起こる英語不安 分類項目. 抜粋した数. 1.自ら進んで英語で話せるか,その実践に対して不安 2.目標への到達に向けた取り組みにおいて,集中力を維持できるか不安 3.語彙力を高める方法がわからず不安 4.英語の会話におけるリスニング力に不安 5.英語力の向上に時間を要しており,目標が達成できるか不安 6.外国人が身近にいないため,英語で話す機会が少なく不安 7.目標への到達を促す勉強方法がわからず不安 8.英文法が正しく理解できているか不安 9.英語を正しく書けるかどうか不安 10.目標の達成に向けた英語学習と,その他の活動が両立できるか不安 11.どうすれば英語に慣れることができるか不安 12.留学すべきかわからなく不安 13.進路が不明瞭なので,目標が変わらないか不安. 42 39 27 23 16 12 10 6 4 3 2 2 2. 合計. 188. 5.5 欠損値と信頼性検証 質問紙尺度から収集した数値データ(全体で1515個の変数)のうち,欠損値は1箇所(0.07%)のみであり, 極めて僅かであった。そのため,本研究では,その欠損値を同一尺度における平均値で代用した。 各尺度の内的一貫性の評価に関り,本研究では,クロンバックのα係数による信頼性検証を行った。その 結果,英語不安の2つの尺度とコミットメント制御におけるα係数が,一般的に容認可能な境界値であると みられるα=.70(Hair, Black, Babin, & Anderson, 2010)を下回った(表5を参照のこと)。そのため,こ れら3つの尺度は,それぞれの領域の測定において感度がよいものであると評価できなかった。しかし,本 研究の目的からみて欠かせない領域を測るものであるため,以後の分析においても引き続き用いた。 表5 各尺度におけるクロンバックのα係数 変数. M(SD). α. 95% CI. 1. 授業で話す自信のなさ. 4.08 (2.93). .57. 3.49. 4.84. 2. 公の場で話す怖さ. 3.56 (3.73). .76. 2.95. 4.21. 3. 授業で理解できない不安. 3,31 (3.49). .65. 2.61. 3.85. 4. コミットメント制御. 3.56 (3.10). .67. 3.00. 4.31. 5. メタ認知制御. 3.44 (3.50). .75. 3.26. 3.61. 5.6 各尺度間の関係性 各尺度間の関係性をみるために,本調査では,尺度ごとの合計スコアを用いてピアソンの積率相関分析を 実施した。その結果,授業で理解できない不安とメタ認知制御の関係以外において,すべての英語不安と英 語学習における自己調整力の変数間に負の相関がみられた(表6を参照のこと)。. 84.

(10) 日本人中学生の英語学習における不安と自己調整. 表6 各変数間のピアソンの相関係数 1. 2. 3. 1. 授業で話す自信のなさ. 2. 公の場で話す怖さ. .60**. 3. 授業で理解できない不安. .35**. .54**. 4. コミットメント制御. -.51**. -.49**. -.24*. 5. メタ認知制御. -.33**. -.37**. -.15*. 注.*p<.05;. 4. 5. .69**. **. p<.01.. 5.7 英語不安の3要素と英語学習における自己調整力の関係性 本調査では,英語不安の3要素(授業で話す自信のなさ・公で話す怖さ・授業を理解できない不安)を予 測変数とし,コミットメント制御とメタ認知制御それぞれを基準変数としたステップワイズ法による重回帰 分析を行った。その際に,各重回帰式への変数投入における有意水準をp<.05に設定した。その結果,コミッ トメント制御に関して,この基準変数に有意な負の影響力を持つ予測変数は,授業で話す自信のなさと公の 場で話す怖さであることが示され,授業で理解できない不安には,予測力がみられなかった。この重回帰式 では,合計で基準変数に占める32%の分散が確認できた(表7を参照のこと)。一方で,メタ認知制御に関 しては,この基準変数に有意な負の影響力を持つ予測変数は,公の場で話す怖さのみであり,他の変数には 予測力がみられなかった。この重回帰式では,合計で基準変数に占める14%の分散が確認できた(表8を参 照のこと) 。 表7 コミットメント制御のステップワイズ法による重回帰分析の結果 変数. B. SE B. β. 授業で話す自信のなさ. -.36. .11. -.34*. 公の場で話す怖さ. -.24. .09. -.29*. R2.  .32* 2. 7.84*. F for change in R 注.*p<.01;. **. p<.001. B, 回帰係数; SE B, 標準誤差; β, 標準化係数; R2, 重相関係数の2乗; F, F 変化量. 表8 メタ認知制御のステップワイズ法による重回帰分析の結果 変数 公の場で話す怖さ. B. SE B. β. -.35. .09. -.37**. 2. R. .14. F change in R 注.*p<.01;. 2. 15.57**. **. p<.001. B, 回帰係数; SE B, 標準誤差; β, 標準化係数; R2, 重相関係数の2乗; F, F 変化量. 6.考 察 6.1 英語使用者としての理想自己と中間目標(RQ1) 自由記述から得たデータを分析した結果,本研究では,対象者が「海外で生活し,外国人と働きたい」な ど職業やボランティア活動をはじめ,学術または芸術的活動,趣味やスポーツ,海外旅行,そして,友人作. 85.

(11) 菅原 健太・村上 凌雅・高橋 菜月・加川 裕花・小野澤夢樹乃・平石 暁史. りなど特定の場面における英語話者との交流願望からL2理想自己を想起することが明らかになった。L2理 想自己の想起に関わるこれらの要素は,先行研究が主張する国際的志向(Yashima, 2009; Csizér & Kormos, 2009)や道具的促進(Taguchi et al., 2009),そして,将来の自分に関わる想像力(Dörnyei, 2009; Markus, & Nurius, 1986)らの概念領域に含まれるものである。これらの要素に加え,「外国人とコミュニケーショ ンが図れるようになりたい」など,L2理想自己と関りを持つL2 WTCの要素も先行研究(Sugawara et al., 2013; Yashima, 2009)と同様に抽出できた。以上の結果から,日本人中学生にとってもL2理想自己は,英 語学習を促す様々な動機づけ要因や英語使用への自由意志に関り,包括的な説明を可能にする上位概念であ ると考えられる。 続いて,中間目標に関り「外国人と積極的にコミュニケーションを取る」行動をはじめ,学校内で学んだ 内容の理解や学校外にあるリソースの活用に努め,語彙力やリスニング力の強化,または,簡単な日常会話 力の向上への目標に向けて,英語学習の継続に関わる様々な項目が抽出された。その他,友人との会話や楽 しめる身近な海外リソース,もしくは留学を通じて,英語と自分の結びつきを深め,英語学習においてポジ ティブな感情を得る試みに関する回答も存在した。これらの目標は,各対象者が現実自己を振り返る中で浮 上したものであり(本論,4. 2を参照のこと),L2理想自己の想起に関わる要素よりも,実際に実行できる・ できそうな行動計画である。そのため,これらの計画は,学習にコミットメントできる見込みやメタ認知能 力とも関りを持ち,自己調整力の要素として集約できる可能性が高い。ゆえに,本研究は,L2理想自己と 自己調整力の関係に注目した他の研究(e.g., Kormos & Csizér, 2014)とともに,現実自己に注目して可能 となるL2 MSSの拡張・深化に貢献するものである(Al-Hoorie, 2018とCsizér, 2019の指摘を参照のこと)。 6.2 英語使用者としての理想自己と中間目標から起こる英語不安(RQ2) L2理想自己から起こる不安に関して,現実自己を振り返る中で,多くの対象者が意識したその誘因は, 英語で話す行為をはじめ,語彙力・聴解力,英語力向上への見込み,そして,努力の維持力に関わるもので あった。これらに続き,数多くの回答から,消極的な目標への変化や,進路と英語の結びつき,または,目 標そのものの不明瞭さが浮上した。さらに,技能ごとのパフォーマンスや学習方法,または外国人との交流 の仕方における不明瞭さも得られた。これらの要素をさらに集約し,英語不安が起こる仕組みについて自己 不一致理論(Higgins, 1987)に基づき解釈すると,対象者は,L2理想自己と現実自己の過度の不一致を認 識した場合,目標達成における自信の低下や,その到達を促す学習方法が不明瞭であることから不安が高ま る。この知見は,先行研究(Papi, 2010; Sugawara, 2015; Sugawara et al., 2013)におけるL2理想自己から 起こる不安の低下やL2義務自己から起こる不安の高まりに関する説明には含まれておらず,本研究を通じ て対象者に現実自己やL2学習経験に関わる状況不安を想起させることで抽出できたものである。 上述に加え,現実自己を踏まえ,中間目標から起こる英語不安の誘因について,最も多くの回答から成る 項目は特定の実践場面で「自ら進んで英語で話せるか」であり,また,多くの回答から会話の中でのリスニ ング力も浮上した。これらの面は,L2でのコミュニケーションへの行動を直接決定づけるL2 WTCの概念 (MacIntyre et al, 1998)が捉えており,この自由意志の高まりは,話し手の談話に加わることへの自信や 不安,そして,相手の特徴により変化するものである。続いて,多くの回答から,目標達成に向けた取組み に関り,集中力の維持をはじめ,到達への見込みや他の活動との両立,語彙力強化に向けた勉強方法,そし て, 英語を使用する機会の確保が抽出でき,対象者にとってこれらの自己調整力の不十分感が不安誘因であっ た。言い換えると,これらの自己調整力が現実自己に十分に備わっているとの認識が,先行研究(Sugawara & Sato, 2020) での主張通り,英語学習におけるエンゲージメントの維持を促し,不安を抑える可能性がある。 この仕組みについてより詳細に捉えるために,自己調整力とエンゲージメントの要素,そして,不安をL2. 86.

(12) 日本人中学生の英語学習における不安と自己調整. MSSに加え,このモデルの拡張・深化を目指す今後の研究が必要である。 6.3 英語不安の強さと自己調整力の関係(RQ3) 英語不安の強さと英語学習における自己調整力の関係性について,本研究では,授業で理解できない不安 とメタ認知制御の関係以外,すべての不安と自己調整力の変数間に負の相関がみられた。続いて,重回帰分 析から,授業で話す自信のなさと公の場で話す怖さが,コミットメント制御に負の影響力をもたらすこと, また,公で話す怖さに関しては,メタ認知制御にも負の影響力をもたらすことが確認できた。以上の結果か ら,対象者は,教師などが話す英語を十分に理解できず不安になる状況が,目標の達成に向けて計画通りに 集中して学習活動を遂行できる自信の低下を招くとは認識していないと考えられる。一方で,英語での発言 を求められた状況や,自ら進んでする状況を想像する中で起こる不安が高い対象者ほど,学習活動を継続し て目標を達成できる自信が低下し,また,後者の状況における不安が高い場合,計画通りに集中して学習活 動を遂行できる自信の低下も合わせて招く可能性がある。これらの特定の活動をやり遂げる自信(自己効力 感:self-efficacy)は,実際にエンゲージメントできる力と関りを持つ(Schunk & Mullen, 2012; Sugawara & Sato, 2020)ため,この面の回復を促す自己調整力の強化が動機づけの維持において効果的である。 6.4 本研究の限界,今後の研究,及び,教育への示唆 本研究の限界として,第一に,対象者の選定は,コンビニエンス・サンプリングに基づき,地方国立大学 付属の中学校一校で行われた。そのため,本研究の結果は,日本人中学生の特色の一部を反映したにすぎな い。第二に,質的データの収集に関り,本研究では,授業実践を通じて対象者に調査対象である心理現象の 意識化を図ったうえで実施したが,一回の自由記述によるものに留まった。そのため,豊かな質的データが 得られているとまではいえない。第三に,英語不安と自己調整力を測る各尺度に関して,その内的一貫性を 示すα係数の値からみても,また,構成概念妥当性の確認に向けた因子分析の実施には至らなかったことか ら考えても,各尺度の感度がよい水準に達しているとは判断できない。そのため,本研究では,これらの心 理面を十分に抽出できていない可能性がある。最後に,数値データの分析は,重回帰分析による因果推論に 依存しており,英語不安と自己調整力の相互作用から起こる動機づけ現象についての説明が十分ではない。 以上の限界を踏まえ,日本人中学生の英語学習における動機づけの更なる理解に向けて,先行研究(AlHoorie, 2018; Csizér, 2019, Dörnyei, 2020; 他)での主張通り,L2 MSSの拡張・深化を目的とした今後の研 究が求められる。特に,L2自己指針の領域に関して,対象者層への理論的サンプリング(戈木クレイグヒル, 2013)を行い,収集した質的データの概念・カテゴリー化を継続する必要がある。また,L2学習経験に関 して,英語不安・自己調整力ともに構成概念の精緻化に努め,測定尺度の精度を高めたうえで,これらの領 域とL2自己の形成との関りについて探ることが求められる。その中で,英語学習において動機づけの減退 やネガティブな感情が起こっても,この状態を克服できる要因・条件について説明できれば,動機づけの維 持メカニズムの理解に向けた研究領域への貢献が見込める。 上記の学術的貢献に加え,英語学習における動機づけの維持力の理解に向けた研究は,その学習に辛抱強 く取組める学習者の育成を目的とした教育介入への枠組みを提供するものである。辛抱強く取組める行動の 維持には,その中でたとえ挫折や逆境に出くわしても,目標の達成に向けた活動に再び取組める回復力 (resilience or academic buoyancy)を要する(Dörnyei, 2020; 他)。この種の回復力は,本研究で注目した L2自己指針を描く力や現実自己と向き合える力の強化,そして,エンゲージメントの持続を促す学習環境 によって育つ可能性がある(Sugawara, 2019)。また,エンゲージメントの持続には,自己効力感の強化が 欠かせない(Schunk & Mullen, 2012; Sugawara & Sato, 2020)。そのため,L2理想自己に加え,その最終目. 87.

(13) 菅原 健太・村上 凌雅・高橋 菜月・加川 裕花・小野澤夢樹乃・平石 暁史. 標への到達を導く段階的な目標(sub-goals)に沿った日々のタスクに集中でき,それらをやり遂げること で自らの成長について実感を得る行動の習慣化を促す動機づけストラテジーの導入が必要である。これらの 働きかけから育つ動機づけの維持力は,集中力を要する主体的・対話的で深い学びを促進し,現代社会で強 く生きる力の要素であるグローバル英語使用者としてのビジョンの養成において欠かせないものである。. 謝 辞 本研究において,ご協力頂いた研究対象者の皆様に感謝申し上げます。また,本研究は,第1著者が日本 学術振興会の科学研究費補助金(基盤研究(C)19K00844)の助成を受けて行われています。. 引用文献 Al-Hoorie, A. (2018). The L2 motivational self system: A meta-analysis. Studies in Second Language Learning and Teaching 8, 721-754. doi: 10.14746/SSLLT.2018.8.4.2 Boo, Z., Dörnyei, Z., & Ryan, S. (2015). L2 motivation research 2005-2014: Understanding a publication surge and a changing landscape. System. 55, 145-157. doi: 10.1016/j.system.2015.10.006 Csizér, K. (2019). The L2 motivational self system. In M. Lamb, K. Csizér, A. Henry, & S. Ryan (Eds), The Palgrave handbook of motivation for language learning (pp.71-93). Switzerland: Palgrave Macmillan. Csizér, K., & Kormos, J. (2009). Learning experiences, selves and motivated learning behaviour: A comparative analysis of structural models for Hungarian secondary and university learners of English. In Z. Dörnyei & E. Ushioda (Eds.), Motivation, language identity and the L2 self (pp.98-119). Bristol, UK: Multilingual Matters. Dörnyei, Z. (2005). The psychology of the language learner: Individual differences in second language acquisition. Mahwah, NJ: Lawrence Erlbaum. Dörnyei, Z. (2009). The L2 motivational self system. In Z. Dörnyei & E. Ushioda (Eds.), Motivation, language identity and the L2 self (pp.9-42). Bristol, UK: Multilingual Matters. Dörnyei, Z. (2010). Questionnaires in second language research: Construction, administration, and processing (2nd ed.). London: Routledge. Dörnyei, Z. (2020). Innovations and challenges in language learning motivation. London: Routledge. Dörnyei, Z., & Ryan, E. (2015). The psychology of the language learner revisited. New York: Routledge. Dörnyei, Z, & Ushioda, E. (2011). Teaching and researching motivation (2nd ed.). Harlow, UK: Pearson Education. Kormos, J., & Csizér, K. (2014). The interaction of motivation, self-regulatory strategies, and autonomous learning behavior in different learner groups. TESOL quarterly, 48, 275-299. doi.org/10.1002/tesq.129 Hair, J.F., Black, W.C., Babin, B.J., & Anderson, R.E. (2010). Multivariate data analysis (7th ed.). Upper Saddle River, NJ: Pearson Education. Higgins, T.E. (1987). Self-discrepancy: A theory relating self and affect. Psychological Review, 94, 319-340. doi:10.1037/0033-295X.94.3.319 Horwitz, E.K., Horwitz, M.B., & Cope, J. (1986). Foreign language classroom anxiety. The Modern Language Journal, 70, 125-132. MacIntyre, P.D., Clément, R., Dörnyei, Z., & Noels, K.A. (1998). Conceptualizing willingness to communicate in a L2: A situational model of L2 confidence and affiliation. Modern Language Journal, 82, 545-562. doi: 10.1111/j.1540-4781.1998. tb05543.x Markus, H.R., & Nurius, P. (1986). Possible selves. American Psychologist, 41, 954-969. doi:10.1037//0003-066X.41.9.954 Reschly, A.L., & Christenson, S.L. (2012). Jingle, Jangle, and conceptual haziness: Evolution and future directions of the engagement construct. In S.L. Christenson, A.L. Reschly, & C. Wylie (Eds.), Handbook of research on student engagement (pp.3-19). New York: Springer. Papi, M. (2010). The L2 motivational self system, L2 anxiety, and motivated behavior: A structural equation modeling. 88.

(14) 日本人中学生の英語学習における不安と自己調整. approach. System, 38, 467-479. doi: 10.1016/j.system.2010.06.011 Schunk, D.H., & Mullen, C.A. (2012). Self-efficacy as an engaged learner. In S.L. Christenson, A.L. Reschly, & C.Wylie (Eds.), Handbook of research on student engagement (pp. 219–235). New York: Springer. Sugawara, K. (2015). Willingness to communicate and self-discrepancy among Japanese Learners of English. ARELE -Annual Review of English Language Education in Japan, 26, 13-28. doi: 10.20581/arele.26.0_13 Sugawara, K. (2017). Toward an ecological systems understanding of motivational dynamics among Japanese learners of English. ARELE -Annual Review of English Language Education in Japan, 28, 65-80. doi: 10.20581/arele.28.0_65 Sugawara, K. (2019). Intensive motivational drive supports vision and motivated behavior in Japanese learners of English. ARELE -Annual Review of English Language Education in Japan, 30, 33-48. doi:10.20581/arele.30.0_33 Sugawara, K., Sano, A., Kawai, Y., Yokoyama, Y., Nakamura, K., & Mitsugi, M. (2013). Influences of international attitudes and possible selves on willingness to communicate in English: A comparative analysis of models for Japanese high school and university learners of English. JACET Journal, 57, 21-40. https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/10501797/1 Sugawara, K & Sato, M. (2020). Future self-guides, engagement-specific learning experiences, and emotional states support motivated behavior in Japanese learners of English. ARELE -Annual Review of English Language Education in Japan, 31, 17-32. Taguchi, T., Magid, M., & Papi, M. (2009). The L2 motivational self system among Japanese, Chinese and Iranian Learners of English: A comparative study. In Z. Dörnyei & E. Ushioda (Eds.), Motivation, language identity and the L2 self (pp. 66-97). Bristol, UK: Multilingual Matters. Teimouri, Y. (2017). L2 selves, emotion, and motivated behaviors. Studies in Second Language Acquisition, 39, 681-709. doi: 10.1017/S0272263116000243 Tseng, W.-T., Dörnyei, Z., & Schmitt, N. (2006). A new approach to assessing strategic learning: The case of self-regulation in vocabulary acquisition. Applied Linguistics, 27, 78-102. doi:10.1093/applin/ami046 Yashima, T. (2009). International posture and the ideal L2 self in the Japanese EFL context. In Z. Dörnyei & E. Ushioda (Eds.), Motivation, language identity and the L2 self (pp.144-163). Bristol, UK: Multilingual Matters. Yashima, T., Noels, K., Shizuka, T., Takeuchi, O., Yamane, S., & Yoshizawa, K. (2009). The Interplay of classroom anxiety, intrinsic motivation, and gender in the Japanese EFL Context. Kansai University Journal of Foreign Language Education and Research, 17, 41-64. KU-1100-2009300-.pdf 文部科学省(2017a).「学習指導要領(平成29年告示) 」(1384661_5_4.pdf) (2018年9月23日アクセス) 文部科学省(2017b).「中学校学習指導要領(平成29年告示)解説」外国語編(1387018_010.pdf) (2018年9月23日アクセス) 戈木クレイグヒル 滋子(2013).「質的研究法ゼミナール 第2版―グラウンデッド・セオリー・アプローチを学ぶ」 .東京: 医学書院.. 89.

(15) 菅原 健太・村上 凌雅・高橋 菜月・加川 裕花・小野澤夢樹乃・平石 暁史. 付録1:本研究で用いたワークシート「将来設計と英語不安」 付録1:本研究で用いたワークシート「将来設計と英語不安」 【Lesson2】 】 What do you want to be? 1.あなたの夢(最 最終目標としての英語の力 ) ※自分の英語力を考えて,将来の目標 を立ててみよう! 5.最終目標を立てるときに不安に思ったことは? たとえば… ・本当に実現できるだろうか? ・目標がぼやっとしてあいまいだ ※テストの点数についての不安は、 今は考えないようにしてください。. 3.中間目標 たとえば… ・外国人観光客と話してみたい ・授業の内容は完璧にマスターしたい. ※最終目標に向かって頑張る方法を 考えよう!. 4.中間目標を立てるときに不安に思ったことは? たとえば… ・この中間目標で大丈夫? ・達成できなかったらどうしよう… ※テストの点数についての不安は、 今は考えないようにしてください. 2.今の自分は?(夢に対しての英語の力) たとえば… ・英語は半分以上は聞き取れる ・教科書レベルの文章ならわかる ・英語で会話は難しい. 90.

(16) 日本人中学生の英語学習における不安と自己調整. 付録2:教育実践で使用した授業案 指導内容. 活動内容. 留意点. 1.ウォームアップ(5分). 前回の授業を復習する。また,本日 の新出単語を学習する。. 2.導入(5分). 英語の重要性・価値・実用性を回想 生徒に様々な職業や社会の変化を例 し,自分の将来像と英語学習との関 示し,英語使用者としての将来像の りを意識化する。 意識化を促す。. 3.展開(25分). ⑴ ワークシート「将来設計と英語 不安」(付録2)を用いて,英語 使用者としての将来像とその最終 目標から起こる不安を記述する。 また,最終目標への到達に必要な 中間目標と,その目標の達成に関 り起こる英語学習における不安や 現在の自分について記述する。 ⑵ ⑴をもとに,5名前後から成る グループ活動を通じて,メンバー 間で将来像や英語不安に関して意 見交換する。. 授業実施者(第6著者)に加え,本 プロジェクトの実施学生(第2著 者・ 第 3 著 者・ 第 4 著 者・ 第 5 著 者)も,本活動に取り組む生徒をサ ポートする。. 4.振り返り(5分)及び質問紙調 上記,展開⑴⑵をもとに,将来像と 査(10分) 英語不安について,数名の生徒が発 表し,本日の内容をクラス全体で共 有する。この活動をもとに,本日の 内容を振り返り,その後,質問紙調 査を実施する。 質問紙調査の目的と,本質問紙の テーマについて説明する。. . (菅原 健太 函館校准教授) . . (村上 凌雅 函館校地域協働専攻令和元年度卒業生). . (高橋 菜月 函館校地域協働専攻令和元年度卒業生). . (加川 裕花 函館校地域協働専攻令和元年度卒業生). . (小野澤夢樹乃 函館校地域協働専攻令和元年度卒業生). . (平石 暁史 附属函館中学校教諭) . 91.

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参照

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