自立管 製管工法(ら旋巻管)
に関する技術資料
-2018 年8月-
公益財団法人 日本下水道新技術機構
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は じ め に
わが国の下水道普及率は平成 29 年度末で 78.8%(福島県の一部除く),公共下水道を使用して いる人々は1億 31 万人に達し,国民の日常生活に不可欠な役割を果たしています。また,日本全 国の下水道管きょの総延長は約 47 万 km に達し,そのなかでも布設から 50 年以上経過した下水道 管きょは約 1.4 万 km(約3%)となっています。今後,高度経済成長期に整備された下水道管きょ が次々と 50 年以上経過することとなり,その延長は 10 年後には約 5.7 万 km(約 12%),20 年後 には約 14 万 km(約 30%)と急激に増加することが見込まれています。 そのような背景の中,下水道管きょの更生工法は,開削工法と比較して車両交通や地下埋設物, 地元住民の生活環境への影響を低減できること,短期間,低コストで施工できることといったメリ ットを活かし,多種多様な工法が普及しています。 今回,自立管 製管工法(ら旋巻管)について,地方公共団体等へアンケート調査を実施したと ころ,高い関心が示され,本工法に対する大きなニーズを確認しました。一方で,本工法について は要求性能や設計の考え方が整理されておらず,普及促進における課題となっておりました。そこ で,本研究ではそれらを明確化するとともに,施工管理に関する内容も整理し技術資料としてとり まとめました。このことにより,地方公共団体等が更生工法を施工環境に合わせて採用する選択肢 を増やし,下水道事業の促進に資することが可能であると考えています。 本技術資料のとりまとめにおいては数回にわたり,専門分野の学識経験者や地方公共団体等の実 務経験者等で構成する「管路技術共同研究委員会(小泉委員長)」および上部委員会である技術委 員会で審議を行い,公平中立で専門技術的な観点から指導・助言をいただき,発行できる運びとな りました。 また,今後とも多種多様な更生工法における新たな研究課題に積極的に取り組み,成果の普及の ための PR 活動により一層努力し,「技術の橋わたし」としての役割を果たしていくよう努めていく 所存であります。平成 30 年8月
公益財団法人 日本下水道新技術機構
理事長 江藤 隆
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委 員 の 構 成
技 術 委 員 会
(順不同・敬称略) (平成 30 年8月現在) 委 員 長 京都大学名誉教授 松井 三郎 委 員 東北大学未来科学技術共同研究センター教授 大村 達夫 〃 九州大学高等研究院特別顧問・名誉教授 楠田 哲也 〃 北海道大学大学院工学研究院環境創生工学部門教授 高橋 正宏 〃 京都大学名誉教授 津野 洋 〃 東洋大学情報連携学部教授 花木 啓祐 〃 室蘭工業大学理事・副学長 船水 尚行 〃 日本大学総合科学研究所教授 前田 正博 〃 国土交通省水管理・国土保全局下水道部長 森岡 泰裕 〃 国土交通省国土技術政策総合研究所下水道研究部長 井上 茂治 〃 地方共同法人日本下水道事業団技術戦略部長 細川 顕仁 〃 東京都下水道局流域下水道本部長 中島 義成 〃 大阪府都市整備部下水道室長 稲垣 勝伸 〃 名古屋市上下水道局技術本部計画部長 松葉 秀樹 〃 公益社団法人日本下水道協会常務理事 黒住 光浩 〃 公益社団法人全国上下水道コンサルタント協会専務理事 尾﨑 正明 〃 一般社団法人日本建設業連合会土木工事技術委員会委員 山本 彰 〃 一般社団法人日本下水道施設業協会専務理事 堀江 信之 〃 下水道研究会議代表幹事(横須賀市上下水道局技術部長) 長谷川 浩市 〃 全国町村下水道推進協議会(聖籠町上下水道課長) 高橋 美紀夫 特別委員 水処理・資源化技術評価共同研究委員会委員長 齋藤 利晃 〃 汚泥処理・資源化技術評価共同研究委員会委員長 金子 栄廣 〃 雨水対策共同研究委員会委員長 古米 弘明 〃 管路技術共同研究委員会委員長 小泉 淳 〃 システム共同委員会委員長 滝沢 智 旧委員 地方共同法人日本下水道事業団技術戦略部上席調査役 兼技術開発企画課長 橋本 敏一 〃 東京都下水道局流域下水道本部長 神山 守 〃 全国町村下水道推進協議会 谷口 裕司 旧特別委員 汚泥処理新技術実用化評価委員会委員長 船水 尚行 〃 水処理技術共同研究委員会委員長 味埜 俊 〃 新技術設計手法等共同研究委員会委員長 小団扇 浩 〔旧委員の職名は委嘱当時のもの〕管路技術共同研究委員会
(順不同・敬称略) (平成 30 年8月現在) 委 員 長 早稲田大学名誉教授 小泉 淳 委 員 日本大学生産工学部土木工学科教授 森田 弘昭 〃 国土交通省水管理・国土保全局下水道部下水道事業課 事業マネジメント推進室課長補佐 栗原 崇晃 〃 国土交通省国土技術政策総合研究所下水道研究部 下水道研究室研究官 平出 亮輔 〃 東京都下水道局建設部設計調整課管路再構築事業推進 専門課長 大岡 隆志 〃 千葉市建設局下水道建設部下水道整備課長 森 春仁 〃 広島市下水道局施設部管路課長 原田 和秋 〃 福岡市道路下水道局管理部下水道管理課長 宮﨑 幸雄 〃 熊本市上下水道局維持管理部管路維持課長 藤本 仁 〃 公益社団法人日本下水道協会技術研究部技術指針課長 内田 博之 〃 公益社団法人全国上下水道コンサルタント協会 下水道委員会下水道管渠設計小委員長 竹内 章博 旧委員 九州大学大学院工学研究院社会基盤部門教授 濵田 秀則 〃 国土交通省水管理・国土保全局下水道部下水道事業課 事業マネジメント推進室課長補佐 村岡 正季 〃 東京都下水道局建設部設計調整課長 中井 宏 〃 千葉市建設局下水道建設部下水道再整備課長 屋代 正志 〃 神戸市建設局下水道部管路課長 脇本 英伸 〃 広島市下水道局施設部管路課長 紙田 斉 〃 熊本市上下水道局維持管理部管路維持課長 白岩 武樹 〃 一般社団法人全国上下水道コンサルタント協会 下水道委員会下水道管渠設計小委員長 梶川 努 〔旧委員の職名は委嘱当時のもの〕(ii)
ま え が き
わが国の下水道管きょの総延長は約 47 万 km に達し,布設から 50 年以上経過した老朽管が増加 の一途をたどっている。これにともない下水道管路施設に起因する道路の陥没事故も年間 3,000 件 以上発生しており,市民の日常生活や社会活動に重大な影響を及ぼす懸念が増加してきている。 これに対応するため,平成 27 年の下水道法の改正において,維持修繕基準が創設されるととも に,事業計画についても維持・修繕および改築に関する事項を含めたものに拡充された。これにと もない,平成 27 年 11 月には国土交通省から「下水道事業のストックマネジメント実施に関するガ イドライン-2015 年版-」が発行された。また,平成 20 年度に創設された「下水道長寿命化支援制 度」もその一部が見直され,平成 28 年度には新たに「下水道ストックマネジメント支援制度」が 創設され,自治体が適切にストックを管理できるように財政的支援が行われているところである。 また,平成 29 年7月に公益社団法人 日本下水道協会より「管きょ更生工法における設計・施工 管理ガイドライン-2017 年版-」が発行され,管きょ更生工法に関する調査・設計・施工管理に関す る指針がとりまとめられた。 今回,全国の地方公共団体等へのアンケート調査を実施し,既設管の残存強度が期待できない管 きょの更生工事において,従来の自立管(反転・形成工法)では水替えが必要となり供用下の施工 が困難である点,限られた施工時間内での施工が困難である点,また従来工法では既設管呼び径 800mm 以上の中大口径に対応できる工法が限られる点等の課題を見出した。 本技術資料は,これらの課題に対応可能な製管工法(ら旋巻管)による自立管に関する各種の検 討結果をとりまとめたものである。具体的には,同工法の耐荷性能や耐震性能等の要求性能を整理 するとともに,更生材料の形状に着目した補正係数を導入することで適切な構造計算手法を確立し, 耐震設計の考え方についても整理している。さらに,本工法特有の施工管理に関する留意点等につ いてもとりまとめている。 本技術資料が全国の地方公共団体等で活用されることで,更生工法を施工環境に合わせて採用 する選択肢を増やすことに寄与し,ストックの適切な維持管理の一助となって,市民の日常生活 や社会活動の安全,安心が担保され,持続可能な社会が実現できることを期待している。平成 30 年8月
管路技術共同研究委員会
委員長 小泉 淳
目 次 (i)
目 次
第1章 総 則
第1節
目
的
§1 目 的... 1第2節
適用範囲と用語の定義
§2 適用範囲 ... 4 §3 用語の定義 ... 6第3節
技術資料の構成
§4 技術資料の構成 ... 8第2章 工法の概要
第1節
工法の概要
§5 工法の概要 ... 9 §6 工法の特長 ... 9 §7 工法の選定 ... 10第2節
要求性能
§8 要求性能 ... 12第3章 設 計
第1節
設計の手順
§9 設計の手順 ... 19第2節
使用材料と適用条件
§10 使用材料 ... 20 §11 適用条件 ... 20第3節
設計条件
§12 考慮する荷重状態 ... 21 §13 常時の荷重 ... 21 §14 地震時の荷重 ... 26 §15 材料定数の設定 ... 26 §16 許容たわみ率の設定 ... 27 §17 補正係数の設定 ... 27目 次 (ii)
第4節
常時の構造計算
§18 照査項目および照査方法 ... 32 §19 常時の構造計算の考え方 ... 33 §20 常時の構造計算 ... 33第5節
耐震設計
§21 耐震設計の考え方 ... 36 §22 耐震設計の検討項目・計算方法 ... 38 §23 管軸方向の耐震性能の実験による照査方法 ... 44第6節
流下能力
§24 流下能力の照査 ... 46第4章 施 工
第1節
施工計画
§25 施工計画書の確認 ... 47 §26 準備工... 48 §27 既設管きょの前処理 ... 51 §28 評価項目の事前確認 ... 54 §29 施工手順 ... 56第2節
施工管理
§30 施工管理一般 ... 60 §31 材料の品質管理 ... 61 §32 施工時の品質管理 ... 64 §33 しゅん工時の品質管理 ... 65 §34 出来形管理 ... 66 §35 安全衛生管理 ... 69(iii)
資 料 編
1.はじめに ... 81
2.アンケート調査 ... 82
2.1
調査概要 ... 82
2.2
調査結果 ... 83
3.SPR-SE工法の概要 ... 90
3.1
工法概要 ... 90
3.2
特長と基本仕様 ... 94
3.3
従来工法との比較 ... 99
4.実証実験 ... 101
4.1
補正係数に関する偏平試験 ... 101
4.2
長期疲労試験 ... 111
5.構造計算例(常時・地震時) ... 118
5.1
常時の構造計算 ... 118
5.2
耐震計算(例)-管きょと管きょの継手部- ... 129
5.3
耐震計算(例)-鉛直断面の検討- ... 142
6.SPR-SE工法の要求性能と性能照査結果 ... 161
7.特記仕様書(例) ... 164
8.施工事例 ... 174
9.その他 ... 181
9.1
スチール部材の耐食性 ... 181
9.2
表面部材(プロファイル)の座屈 ... 183
10.問い合わせ先 ... 185
第1節 目 的 (1)
第1章 総 則
目 的
§1 目 的 本技術資料は,下水道管きょの改築に適用される管きょ更生工法のうち,自立管に分類さ れる製管工法(ら旋巻管)に関する設計手法や施工計画および施工管理の考え方を示すこと を目的とする。 【解 説】 我が国に下水道が導入されてからすでに100年以上が経過し,その整備が着実に進む一方で,大 都市をはじめとして,古くから下水道整備に着手してきた都市においては,耐用年数を超えて老朽 化した下水道管きょが増加している。また,耐用年数以内であっても使用環境等から腐食等が進行 している下水道管きょも数多く見られ,これらに起因した破損の発生やひどい場合には道路陥没等 の事故が引き起こされており,下水道管きょ更新の必要性が年々高まってきている。 下水道管きょの更新は,交通問題,地下埋設物の問題等から開削工法で更新を進めることが困難 な場合が多く,非開削工法である管きょ更生工法が採用されるケースが多くなっている。 平成29年7月には公益社団法人 日本下水道協会より「管きょ更生工法における設計・施工管理 ガイドライン-2017年版-」(以下,「ガイドライン」という)が発刊され,下水道管きょ更生工法 に関する新たな考え方が示された。改築工法の分類を図1-1に示す。 ※1 ゴシック体はガイドラインの適用対象を示す。 図1-1 改築工法の分類(「ガイドライン」p1-7一部加筆) 改 築 更 生 工 法 布 設 替 工 法 自 立 管 複 合 管 反 転 工 法 形 成 工 法 さや(鞘)管工法 製 管 工 法 製 管 工 法 反 転 工 法 形 成 工 法 二層構造管 開 削 工 法 改築推進工法 等 工 法 分 類 構 造 形 式 ※1 ※1 ※1第1章 総 則 (2) 自立管 製管工法(ら旋巻管)は,既設管きょ内に表面部材となる硬質塩化ビニル樹脂材やポリ エチレン樹脂材等をら旋状にかん合して製管し,製管させたパイプと既設管きょの間隙にモルタル 等の間詰め材を注入することで,自立管として更生管きょを構築する方式である。(図1-2,図1 -3,写真1-1参照) ※1 自立管の更生材は,更生材単独で自立できるだけの強度を有する。 ※2 間隙部に充填する材料 図1-2 自立管 製管工法(ら旋巻管)の概念 図1-3 製管工法(ら旋巻管による更生)の施工概要(例)(「ガイドライン」p1-12) 写真1-1 自立管 製管工法(ら旋巻管)の一例 既設管きょ 表面部材,二次製品等 間詰め材※2 更生材 ※1
第1節 目 的 (3) 現在,自立管 製管工法(ら旋巻管)は,使用材料の特性に応じた要求性能や構造計算手法等が 確立されていないため「ガイドライン」の適用対象外となっている。 一方,多くの管きょ更生工法が開発され実用化されているが施工条件や対応できる管径によって 制約がある等,実務上,施工できない条件がある。特に800mm以上の中大口径管路が劣化している 場合,複合管として更生するのが現在の主流であるが,管路の劣化が著しく複合管としての設計が 困難な場合が近年増加傾向にある。このような場合には,これまで布設替えにより管きょの改築を 行う必要があったが,供用中の下水を止められないこと,また,国道等の主要幹線や繁華街等の環 境条件から開削が困難であることにより,非開削で下水を流しながら施工可能な工法開発が求めら れてきた。 今回,自立管 製管工法(ら旋巻管)について,自治体にアンケート調査を行った結果,95%の自 治体で採用を検討したい,あるいは必要があれば検討したいという回答があった。自立管 製管工 法(ら旋巻管)は,上述した課題を解決する次の特長を併せ持ち,年々採用実績を伸ばしている。 ①下水を流しながら施工できること。 ②施工を途中で中断できること。 ③自立管として中大口径管きょに対応可能であること。 本技術資料は,新しい更生工法である自立管 製管工法(ら旋巻管)について,使用材料の特性に 応じた要求性能や構造計算手法,および施工計画や施工管理の考え方をとりまとめたものである。
(4)
適用範囲と用語の定義
§2 適用範囲 本技術資料は,管きょ更生工法の自立管 製管工法(ら旋巻管)に関する設計や施工に適 用でき,その適用範囲は以下に示すとおりである。 (1)既設管きょの管種 自立性能を要求されるすべての既設管きょを対象とする。 (2)既設管きょの断面形状 既設管きょの断面形状は,円形,矩形,馬蹄形および管軸方向に断面形状が変化する ものを対象とする。 (3)更生管きょの性能 ら旋状に製管される更生管きょであり,スチール部材により更生材単独で可とう性が あり自立管としての性能を有するものを対象とする。 (4)更生管きょの断面形状 更生管きょの断面形状は円形のみとする。 (5)施工条件 既設管きょが破損により閉塞していない管きょで,作業時に安全性が確保できる管き ょを対象とする。 【解 説】 (1)既設管きょの種類 更生材(かん合部材)単独で自立管としての性能が担保できることから,既設管きょの劣化 状況や管種,断面形状による適用制限を受けない。このため,自立性能を要求されるすべての 既設管きょに対して適用可能である。既設管きょが強化プラスチック複合管やコルゲート管等 で複合管として設計ができない場合にも適用可能である。 (2)既設管きょの形状 既設管きょの内側に新しく管きょを構築するため,既設管きょの断面形状は,円形,矩形, 馬蹄形,管軸方向で断面が変わるものも対象にできる。図1-4は適用可能な既設管きょの断 面形状を示したものである。 (矩形きょ) (馬蹄きょ) (管軸方向で断面が変わる場合) 図1-4 既設管きょの形状 既設管きょ 更生管きょ第2節 適用範囲と用語の定義 (5) (3)更生管きょの性能 更生管きょは製管機をもちいてら旋状に製管される。このため,更生材はかん合機構による 水密性能を有し,かつ,更生材単独で常時および地震時に対して自立できる性能を有する。 (4)更生管きょの形状 既設管きょの形状に対する制限は受けないが,更生断面は円形となる。このため,水理性能 等で円形による更生が許容できる管きょに対してのみ適用が可能である。 (5)施工条件 既設管きょが破損等により閉塞していない管きょで,施工にあたり十分な安全が確保できる 管きょの場合に適用できる。 本技術資料は,管きょ更生工法の自立管 製管工法(ら旋巻管)に関するものであるが,参考 として,SRP-SE工法の適用範囲を以下に示す。 既 設 管 種 :鉄筋コンクリート管,陶管,強化プラスチック複合管,コルゲート管等 既 設 管 径 :呼び径 450~1650mm 既設管きょの形状:円形きょ,矩形きょ,馬蹄きょ,管軸方向に断面が変わる場合も適用可 土 被 り :0.6※1~5.0m ※1 活荷重 T-14 の場合も含む 最 大 段 差 :20mm(既設管呼び径 500 以下)までの継手部 25mm(既設管呼び径 600~1000 および 1200)までの継手部 35mm(既設管呼び径 1100 および 1350~1650)までの継手部 屈 曲 角 :5°までの継手部 隙 間:120mm までの継手部 水 深:既設管呼び径 30%以下 流 速:1.0m/秒以下 ※なお,最大段差,屈曲角,隙間,水深,流速の適用範囲については,過去の施工実績から設定したものであ り,適用範囲外の場合でも現場の状況に応じて検討することができる。
(6) §3 用語の定義 本技術資料における用語の定義は,以下に示すとおりである。 (1)管きょ更生工法 既設管きょに破損,クラック,腐食等が発生し,耐荷性能や耐久性能,流下能力等が保持 できなくなった場合,既設管きょの内面に新たに管を構築する工法をいう。 (2)自立管 自立管は,更生材単独で自立できるだけの性能を発揮し,新管と同等以上の耐荷性能およ び耐久性能等を有するものをいう。施工方法上の分類として,工場で樹脂等を配合し,既設 管きょ内部で更生材を硬化させる反転工法や形成工法,また,工場で製作した二次製品を更 生材にするさや(鞘)管工法,既設管きょの内部で表面部材等をもちいて製管する製管工法等 がある。 (3)製管工法 既設管きょの内側に表面部材となる硬質塩化ビニル樹脂材やポリエチレン樹脂材等をかん 合して製管し,製管された更生管きょと既設管きょの間隙にモルタル等の充填材を注入して 更生管きょを構築する施工法で,複合管として既設管きょと一体化した更生管きょ,あるい は単独で自立管として構築できる更生管きょがある。 (4)形成工法 硬化性樹脂を含浸させた材料や熱可塑性樹脂で成形した材料をマンホールから引込み,加 圧拡張し,既設管きょと圧着させた後に硬化や冷却固化することで更生管きょを構築する工 法をいう。形成工法は,更生管きょを構築する方法の違いによって熱硬化タイプ,光硬化タ イプ,熱形成タイプに分類される。 (5)反転工法 熱で硬化する樹脂を含浸させた筒状の更生材料をマンホールから既設管きょ内に反転加圧 しながら挿入し,更生材の内部から空気圧や水圧等により既設管きょの内面に密着させ,加 圧状態のまま温水や蒸気等で樹脂を硬化させて更生管きょを構築する工法である。含浸用基 材にはガラス繊維または有機繊維等がもちいられる。 (6)ら旋巻管 工場で成形された帯状の更生材(かん合部材)を,既設管きょ内部でら旋状に巻いて連続 的な管を既設管きょ内に形成し,既設管きょとの隙間に間詰め材を注入して,既設管きょに 固定させることで新たな管を構築する製管工法の施工法の一つである。 (7)表面部材 かん合機構を有した硬質塩化ビニル樹脂製やポリエチレン樹脂製の帯状の更生部材をい う。
第2節 適用範囲と用語の定義 (7) (8)スチール部材 更生材(かん合部材)の表面部材に組み込まれた鋼材であり,主に荷重を負担する部材を いう。 (9)更生材(かん合部材) スチール部材と表面部材が一体となった帯状の部材をいう。 (10)間詰め材 既設管きょと更生管きょの隙間に充填し,更生管きょの固定を行うとともに,スチール部 材の防錆性を向上させる材料をいう。 (11)更生管きょ 製管機により更生材(かん合部材)をら旋状に製管して造る管きょのことをいう。 (12)JSWAS
日本下水道協会規格(JSWAS:Japan Sewage Works Association Standard)であり,本技術 資料に関連する JSWAS は以下のとおりである。 ・下水道用硬質塩化ビニル管(JSWAS K-1) ・下水道用強化プラスチック複合管(JSWAS K-2) ・下水道用鉄筋コンクリート管(JSWAS A-1) (13)剛性管 剛性が高く荷重に対する変形が比較的小さい管きょをいう。鉄筋コンクリート管,レジン コンクリート管,陶管等が剛性管として取り扱われる。 (14)可とう性管 剛性が低く荷重に対する変形が比較的大きい管きょをいう。硬質塩化ビニル管,ポリエチ レン管,強化プラスチック複合管,ダクタイル鋳鉄管,鋼管等が可とう性管として取り扱わ れる。 (15)製管機 更生材(かん合部材)をら旋状に巻いて更生管きょを連続的に構築する機械のことであ る。
(8)
技術資料の構成
§4 技術資料の構成 本技術資料は,本編である「総則」,「工法の概要」,「設計」,「施工」の4章と資料編から 構成される。 【解 説】 本技術資料は,「ガイドライン」を参考に,下水道の設計者,施工者,施工管理者が行うべき自立 管 製管工法の設計から施工までの内容を記述するものである。 図1-5の自立管 製管工法(ら旋巻管)の調査,設計,施工管理の作業の流れを示したフロー図 である。なお,現時点で本技術に分類されるのはSPR-SE工法のみであるため,資料編にはS PR-SE工法についての実証実験の結果,構造計算の例,施工事例等を記載している。 図1-5 自立管 製管工法(ら旋巻管)の流れ …ガイドライン第2章参照,第4章 §26 準備工 第2章 工法の概要,第3章 設計,資料編 第4章 施工 …第1節 施工計画 第1章 総則 …第2章,資料編3.SPR-SE工法の概要 スタート 調査結果の評価 施工条件との適合性の確認 調 査 更生工法の設計 更生工法の選定 設計図書の作成 工事の発注 工事の施工管理 竣工および引き渡し(検査) …第3章 設計,資料編5.構造計算例(常時・地震時) …資料編7.特記仕様書(例) …第2節 施工管理(9)
第2章 工法の概要
工法の概要
§5 工法の概要 自立管 製管工法(ら旋巻管)は,帯状の更生材(かん合部材)を既設管きょ内にら旋状 に製管し,既設管きょとの隙間に間詰め材を充填する工法である。 【解 説】 本工法にもちいる帯状の更生材(かん合部材)は,スチール部材と表面部材が一体となったも のであり,これを既設管きょの内部で製管機をもちいてら旋状に製管する。既設管きょと更生管 きょ(製管した管)の隙間には間詰め材を充填して,新しい管きょを構築する管きょ更生工法で ある。 §6 工法の特長 自立管 製管工法(ら旋巻管)の特長は,次のとおりである。 (1) 下水供用中の施工が可能であること。 (2) 施工途中で中断が可能であること。 (3) 中大口径管きょに適用可能であること。 (4) 更生材(かん合部材)は工場製品のため,品質が安定していること。 【解 説】 これまでの自立管の管きょ更生工法は,流下下水のない状況で施工する工法が多く,施工時に は水替えが必要であった。本技術は下水を流しながら施工できるので,水替えができない現場で も自立管の管きょ更生工法が採用できる。 (1)下水供用中の施工が可能であること 施工機材が耐水仕様であることや更生材(かん合部材)が水中でかん合可能なこと,間詰め 材が滞水を押し出しながら充填ができること等から,一定条件下のもとで下水供用中でも施工 が可能である。ただし,水深や流速には制限があり,例えば,水深は60㎝以下,あるいは,管 径の30%以下の低い方で,かつ流速は1m/秒以下である必要がある。 (2)施工途中で中断が可能であること 更生材(かん合部材)は途中接続が可能であることから,施工時間制限を受ける場合でも作第2章 工法の概要 (10) 業を途中で中断して翌日以降に引き続き作業を行うことが可能である。 (3)中大口径管きょに適用可能であること 反転・形成工法の自立管は既設管きょφ800mm未満を適用対象とする工法が多い中で,自立管 製管工法(ら旋巻管)は,その施工上の特長から既設管きょφ800mm以上の管径にも適用が可能 である。 (4)更生材(かん合部材)は工場製品のため,品質が安定していること 更生材(かん合部材)は工場製品であり,適切な管理下において製造されていることや,施 工においても加熱や接着等を行わないため品質が安定している。 §7 工法の選定 工法の選定は,既設管きょの調査結果や施工条件を考慮して,適切に選定する。 【解 説】 自立管 製管工法(ら旋巻管)は,次の条件で採用されることが多い。 ①自立管で更生する。 ②更生断面は円形である。 ③下水の通水状態で施工する場合 ④時間制約等の理由により施工途中で中断が必要な場合 工法を選定したのち,強度計算,耐震計算,流下能力,経済性の検討を行い,工法の妥当性 を検証する。本工法の特長を考慮した工法選定フローの例を図2-1に示す。
(11)
第2章 工法の概要 (12)
要求性能
§8 要求性能 自立管 製管工法(ら旋巻管)の要求性能は,以下のとおりである。 (1) 耐荷性能 主として道路下の埋設物として施工されるため,施工現場における荷重(土圧,水圧, 活荷重)に対し安定した耐荷性能を有すること。 (2) 耐久性能 改築施設として所定の耐用年数の間,必要な耐久性能を確保できること。 (3) 耐震性能 必要な耐震性能を有すること。 (4) 水理性能 必要な水理性能を有すること。内面の平滑化,内空断面の確保が重要な要素となる。 (5) 環境安全性能 管きょ更生工法で使用される多くの工法は現場で構築されることから,施工時には, 一般に要求される騒音・振動・大気汚染の各対策に加えて臭気対策,防爆対策等の工法 の特性に応じた安全性能を有すること。 (6) その他 既設管きょの内面状況,延長,管種,断面形状に対して施工可能であること。また, 間詰め材は硬化後の体積収縮が小さく,流動性を有し,水よりも大きな比重をもつこと。 【解 説】 下水道管きょが有すべき基本的な機能は土圧・水圧・地震動等に対する十分な強度の保持,下水 および地下水に対する十分な水密性の保持,流下させる下水量に対する十分な断面の保持等である。 また,品質確保においては,施工技術が現地条件に適合するとともに,適切な施工が行われるこ とが重要である。このため,「ガイドライン」では,下水道の更生管きょに求められる要求性能と して,耐荷性能,耐久性能,耐震性能,水理性能,環境安全性能があげられている。本工法に求め られる要求性能についてもこれらと同様の性能を考慮することとした。これらの性能は使用場所や 施工条件等を踏まえた上で,適切に評価される必要がある。 本工法はスチール部材を強度部材とした工法であり,表2-1に示すとおり,「ガイドライン」の 自立管と材料特性や構造特性が異なる。このため,以下には本工法の要求性能のそれぞれについて 詳述する。第2節 要求性能 (13) 表2-1 「ガイドライン」の自立管と本工法の材料特性および構造特性の違い 「ガイドライン」 自立管 自立管 製管工法(ら旋巻管) 工法分類 反転工法・形成工法 製管工法 主要な 強度部材 繊維強化プラスチック 硬質塩化ビニル樹脂 高密度ポリエチレン樹脂 スチール部材 材料特性 主要な強度部材が樹脂であるため, クリープ特性を有する 主要な強度部材がスチール部材で あるため,疲労特性を有する 構造特性 一体構造(マンホール間で1スパ ンが一体的な構造) かん合構造(差し込み継手と同様 の柔軟な構造) (1) 耐荷性能 1)偏平強さ 自立管 製管工法(ら旋巻管)の偏平強さは,「下水道用硬質塩化ビニル管(JSWAS K-1)-2010」 (社団法人 日本下水道協会)(以下,「JSWAS K-1」)および「下水道用強化プラスチック複 合管(JSWAS K-2)-2017」(公益社団法人 日本下水道協会)(以下,「JSAWS K-2」)による偏平 試験方法を準用し,許容たわみ率時の偏平強さが申告値以上であることを確認する。 2)スチール部材の耐力 自立管 製管工法(ら旋巻管)はスチール部材を強度部材とした工法であるため,スチー ル部材の強度確認を行う。スチール部材の耐力は,金属材料の試験として一般的である金属 材料引張試験方法(JIS Z 2241)により求め,申告値以上であることを確認する。 なお,一般にスチール部材はクリープによる長期的な強度低下を考慮する必要がないので, 短期の耐力のみを確認する。 3)スチール部材の引張弾性係数 スチール部材の引張弾性係数は,金属材料の試験として一般的である金属材料引張試験方 法(JIS Z 2241)により求め,申告値以上であることを確認する。耐力と同様に,クリープ による長期的な強度低下を考慮する必要がないので,短期の引張弾性係数のみを確認する。 (2)耐久性能 1)耐薬品性 耐薬品性は,表面部材に対して JSWAS K-1 に示す耐薬品性試験方法に基づき,規格値以内 (質量変化度が±0.2mg/cm2以内)であることを確認する。
(14) 2)耐摩耗性 耐摩耗性は,プラスチック-摩耗輪による摩耗試験方法(JIS K 7204)による試験に基づ き,硬質塩化ビニル管(新管)の摩耗試験結果と表面部材の摩耗量を比較し,同等程度の耐摩 耗性であることを確認する。 3)水密性 水密性は,JSWAS K-2 による試験に基づき,内外水圧に対するかん合部の水密性(0.1MPa を3分間保持し漏水がないこと)を確認する。 4)耐劣化性 耐劣化性は,スチール部材に対し,金属材料の疲れ試験方法通則(JIS Z 2273)にしたが って 50 年相当の繰り返し疲労試験を実施したのちに引張試験を実施し,基準強度を上回る ことを確認する。 5)接合部の引張強さ 接合部の引張強さは,下水道用プラスチック製管きょ更生工法(JIS A 7511)による試験 に基づき,申告値以上であることを確認する。試験はかん合方向とかん合直交方向で行う。 (3)耐震性能 耐震性能は,耐震計算の結果として必要となる性能であり,「下水道施設の耐震対策指針と解 説-2014 年版-」(公益社団法人 日本下水道協会)(以下,「耐震指針」という),「下水道施設耐 震計算例-2015 年版-管路施設編前編」(公益社団法人 日本下水道協会)(以下,「耐震計算例」 という)に準じて行う。更生された管きょの構造に関する耐震計算には,耐荷性能から確認され た物性値(スチール部材の耐力およびスチール部材の引張弾性係数等)をもちいて行う。耐震性 能の照査は,耐震指針における差し込み継手管きょの考え方に基づき行い,既設管継手部の屈曲 角および抜け出し量が許容値以内であることを確認する。 「耐震計算」による継手部の照査が困難な場合には,実験によって表面部材等の継手部の照査 を行う。この場合には,地盤の永久ひずみ 1.5%による抜け出しに加えて,スパン長 30m で沈下 量 30cm を想定した変形を発生させ,内水圧 0.1MPa の条件下で 3 分間保持する。その結果,かん 合部のかん合が外れず,かつ水密性を保持することを確認する。 (4)水理性能 水理性能は粗度係数で評価し,更生管きょの流下能力を確認する。粗度係数は水理試験等によ り求め,0.010 以下であることを確認する。
第2節 要求性能 (15) (5)環境安全性能 1)粉じん対策 材料の搬入,間詰め材の注入,更生管きょの端材処理,清掃等に際しては,粉じんを発生 させないような対策を講じて,「大気汚染防止法」等の関連法や条例等を遵守する。 2)臭気対策 作業帯内にあっては「労働安全衛生法」に定める悪臭物質の濃度限度の遵守,施工現場周 辺の敷地境界(通常は道路端)にあっては「悪臭防止法」および条例等に準ずる措置を講じ る。 3)騒音・振動対策 発電機やコンプレッサー等の騒音・振動が,施工現場周辺の環境基準に適合することを確 認する。また,振動源となる機器が配置される場合も同様である。 4)その他 余剰な間詰め材を排出する場合には,排出される水質が法令で規定する水質基準に適合す ることを確認するとともに,所定の排出先に放流する。また,高圧洗浄水を使用する場合に は,取付管から逆流して各戸に対して影響が出ないようにする。 (6)その他 1)既設管きょの内面状況に対する確認 表面部材内面の平滑性の確保や確実な施工性能の確保のために,既設管きょの内面状況 (既設管きょの段差,ずれ,曲がり,継手隙間,破損状況,腐食状況,浸入水圧,浸入水量, たるみ,滞水深)が,本技術の適用範囲内であることを確認する。 2)施工可能な延長の確認 制限された時間内に,完了または仮通水が可能な施工条件(既設管きょの口径,延長,取 付管箇所数,土被り,周辺環境等)であることを資料等で確認する。 3)管種と管の断面形状の確認 下水道管きょとして採用されている既設管きょの管種(陶管,鉄筋コンクリート管等),お よび管の断面形状(円形管,矩形きょ等)に対する適用性を資料等で確認する。 4)間詰め材に関する確認 自立管 製管工法(ら旋巻管)は,スチール部材のみを強度部材とするため,間詰め材の 強度は規定しない。間詰め材は,既設管きょと更生管きょの隙間を充填することで更生管き ょの固定を行うとともに,スチール部材の防錆性の向上を期待するものである。したがって, 間詰め材に要求される性能は,既設管きょと更生管きょの隙間の細部まで充填できる流動性 を有し,硬化後の体積収縮がないことである。 また,自立管 製管工法(ら旋巻管)は水を流しながら施工できることを特長とするもの であるから,充填した際に,既設管きょと更生管きょの隙間の滞水が間詰め材に置換される 必要がある。そのため,間詰め材は水よりも大きな比重をもつことが要求される。
(16) 以下,参考としてSPR-SE工法における間詰め材の要求性能を示す。 表2-2 間詰め材の要求性能(SPR-SE工法) フロー値 210mm 以上 比重 1.1 以上 表2-3はスチール部材を強度部材とする本工法に特有な評価項目と要求性能をとりまと めたものである。
第2節 要求性能 (17) 表2-3 自立管 製管工法(ら旋巻管)の評価項目と要求性能(1/2) 要求 性能 試験方法 項目 要求性能 試験 方法 要求性能 試験方法 備考 偏 平強さ(基準 たわ み 量時の線荷重 )が 新 管と同等以上 J SWAS K-1 (φ 600mm以 下 ) 既設管き ょの劣化状態 等を反映 し,限界 状態設計法に より終局 耐力を評 価 基 準たわみ外圧 及び 破 壊外圧が新管 と同 等以 上 J SWAS K-2 (φ 700mm以 上 ) 鉄筋コン クリート管( 新管)を 破壊状態 まで載荷後更 生し, JSWAS A-1 による破壊荷 重試験 を実施 短 期 最 大荷重時の曲 げ応 力 度が申告値以 上 J IS K 7171 (試験速度 2mm/min) 短 期 申 告値以上 金属材 料引張試験方 法 ( JIS Z 2241 ) 金属 材料強度の試験 方法とし て引 張試験が一般的 長 期 試 験結果に基づ く, 5 0 年後の推定値 が申 告 値以上 J IS K 7115 又 は J IS K 7116 (水 中 1 000時 間 ) 長 期 -- 金属 材料の長期性能 は繰り返 し疲 労試験にて確認 する。 「( 2 ) 耐久性 能」で評価 短 期 申 告値以上 J IS K 7171 (試験速度 2mm/min) 短 期 申 告値以上 金属材 料引張試験方 法 ( JIS Z 2241 ) 金属 材料強度の試験 方法とし て引 張試験が一般的 長 期 試 験結果に基づ く, 5 0 年後の推定値 が申 告 値以上 J IS K 7116 (水 中 1000時 間 ) 長 期 -- 金属 材料の長期性能 は繰り返 し疲 労試験にて確認 する。 「( 2 ) 耐久性 能」で評価 質 量変化度 ± 0.2mg/cm 2以下 J SWAS K-1 又は JSWAS K-14 質量変化 度 ± 0.2mg/ cm 2以下 JSWAS K-1 (表面( 塩ビ)部材) 質 量変化度 ± 0.2mg/cm 2以下 JSWAS K-1 (表面 部材) 表面 部材は複合管製 管工法と 同じ 硬 質塩化ビニル 管 ( 新管)と同等 程度 J IS K 7204 又は JIS A 1452 等 硬質塩化 ビニル管 (新管) と同等程度 JIS K 72 04 等 (表面( 塩ビ)部材) 硬 質塩化ビニル 管 ( 新管)と同等 程度 JIS K 7204 等 (表面 部材) 同上 ガラス 繊維を 使用し て い な い ため 該当しない 内 外 水 圧 0.1MPa で 漏 水がないこと ( 3 分間保持) J SWAS K-2 内 外 水 圧 0.1MPa で 漏 水がない こと (3 分間保 持) JSWAS K-2 (かん合 部の水密性) 内 外 水 圧 0.1M Pa で 漏 水 がないこと ( 3 分間保持) JSWAS K-2 (かん 合部の水密性 ) 表面 部材は複合管製 管工法と 同じ 申 告値以上 繰り返 し疲労試験( JIS Z 2273 ) にて長期性能 (5 0 年)を 評価 金属材 料の長 期性能 は 繰 り 返 し疲 労試験が一般的 申告値以 上 JIS A 75 11 附属書J B 申 告値以上 JIS A 7511 附属書 J B 表面部 材は複 合管製 管 工 法 と 同じ (塩ビ材料をか ん合) 既設管きょ と充填材が 界面剥離し ないこと JIS A 11 71 に準ずる 既設管 の強度 を考慮 し な い の で一 体性は不要 曲げ 強さ 短 期 [ 最 大荷重時の曲 げ 応 力度] 申告値以 上 J IS K 7171 金属 材料強度の試験 方法とし て引 張試験が一般的 引張 強さ 短 期 申 告値以上 (た だし2 0 M P a 以上) J IS K 7161 ス チール部材 の耐 力 短 期 申 告値以上 金属材 料引張試験方 法 ( JIS Z 2241 ) 鉛直 断面方向の発生 応力照査 に利 用 引張 弾性 率 短 期 申 告値以上 (た だし1 . 2 G P a 以 上 ) J IS K 7161 ス チール部材 の 引張弾性 係数 短 期 申 告値以上 金属材 料引張試験方 法 ( JIS Z 2241 ) 同上 引張 伸び 率 短 期 7 0 %以上 J IS K 7161 圧縮 強さ 短 期 申 告値以上 J IS K 7181 圧縮 弾性 率 短 期 申 告値以上 J IS K 7181 要求性能 項目 管きょ更生 工法における 設計・施工管 理 ガイドラ イン 自立 管(密着管( 硬質塩化ビニ ル)の場合) 複合管 項目 項目 自立管 製管工法(ら 旋巻管) (1) 耐荷性能 管体の強 度 偏 平強さ 又は 外 圧強さ 複合管断 面 の破壊強 度・外圧 強 さ 申告値以 上又は 新管と同 等以上 更 生管きょの偏 平 強さ 充填材ヤ ン グ率 申告値以 上 JIS A 11 49 ス チール部材 の 引張弾性 係数 2 ) 耐摩耗 性 3)耐 ストレイ ンコ ロージョン性 -- 許 容たわみ率時 の 偏 平強さが申告 値 以上 JSWAS K-1 及び K-2 によ る 偏平試 験方法を準用 - 材料強度 曲げ 強さ 充填材圧 縮 強度 申告値以 上 JSCE-G 5 21 又は JSCE-G 5 05 等 ス チール部材 の耐 力 曲げ 弾性 率 6 ) 接合部 引 張強さ - 7 ) 一体性 - - 4 ) 水密性 5 ) 耐劣化 性 長期曲 げ強さと共通 - 繰 り返し疲労特 性 - 金属 材料強度の試験 方法とし て引 張試験が一般的 - - - - (3) 耐震性能 材料強度 - - - - - - (2) 耐久性能 1 ) 耐薬品 性
(18) 表2-3 自立管 製管工法(ら旋巻管)の評価項目と要求性能(2/2) 要 求性能 試験方法 項目 要求性能 試験方法 要求性 能 試 験 方 法 備 考 継 手部の屈曲角と 抜け出 し 量が許容値以内 「下水道 施設の耐震対策 指針と解 説」にお ける「差し込み 継手管 きょ」「 ボックスカルバ ート」等の 考え方を 勘案し,性能照 査を行う 継手部の 屈曲角と抜け出 し量が許 容値以内 「下水道施設 の耐震対策指針 と 解説」におけ る「差し込み継 手 管きょ」「ボ ックスカルバー ト」等の考え 方を勘案し,性 能 照査を行う 表面 部材は複合管製 管 工法と同 じ 接 合部が外れず, かつ, 水 密性を保ってい る (地盤の 永久ひずみ1.5% による抜け 出し)+ (スパン長30m,沈 下量30cm) を想定し た変形を発生さ せ,内水圧 0.1MPaの 条件下で3分間保 持する 接合部が 外れず,かつ, 水密性を 保っている (地盤の永久 ひずみ1.5%によ る 抜け出し)+( スパン長30m,沈 下 量30cm)を想 定した変形を発 生 させ,内水圧 0.1MPaの条件下 で3 分間保持する 同上 原則とし て0.010以下 粗度係数確認試 験 原則とし て0.010以下 粗度係数確認 試験 表面 部材は複合管製 管 工法 と 同 じ( 塩ビ材料) 申告値以 下 成形後の軸・ 周方向収縮性試 験 収縮 する部材では無 い ため非該 当 引火・爆 発性を有する溶 媒等を使 用する材料の場 合,施工 中に爆発等事故 が発生し ないこと 技術的な裏付け を技 術検討書等で確 認 引火 ・爆発性を有す る 溶媒等を 使用 しないため非該 当 自治体の 条例等を遵守で きること 施工計画書等で 確認 自治体の 条例等を遵守で きること 施工計画書等 で確認 - 現場条件 に適用可能であ ること( 既設管きょの内 面状況) 現場条件 に適用可能であ ること( 既設管きょの内 面状況) 現場条件 に適用可能であ ること( 施工延長) 現場条件 に適用可能であ ること( 施工延長) 現場条件 に適用可能であ ること( 適用管種・管断 面) 体積収縮 が小さく,流動 性を有し ,水よりも大き な比重を もつこと。 水密性 - 項目 技術保有者の 資料又は審査証 明 等の資料で確 認 - 2)施工 可 能 延長 (3 ) 耐 震性能 自立管 製管工法(ら 旋巻管) 3)適用 管 種 ・管 断 面 技 術保有者の資料 又 は 審査証明等の資 料 で確認 同左 要求 性能項目 管きょ更 生工法における 設計・施工管理 ガイドライン 自立管(密 着管(硬質塩化 ビニル)の場合 ) 複 合管 項目 4)間詰 め 材 (6 ) その 他 1) 適用許 容範 囲(段 差 , ずれ, 曲が り ,継手 すき 間) 4)防爆 性 - - 5)その 他 (温水 対策 等) 同左 - 2)臭気 対 策 3)騒音 ・ 振 動対 策 (5 ) 環 境安全性 能 1) 粉じん (塵) 対策 関連法お よび 条例を遵 守できること 施工計画書等で 確認 同 左 関連法お よび 条例を遵 守できること 施工計画書等 で確認 (4 ) 水 理性能 1)粗度 係 数 同左 2)成形 後 収縮 性 - -
第1節 設計手順 (19)
第3章 設 計
設計の手順
§9 設計の手順 自立管 製管工法(ら旋巻管)の設計では,次の各項を整理し検討する。 (1)要求性能 (2)使用材料 (3)適用条件 (4)考慮する荷重 (5)材料定数 (6)許容たわみ率 (7)補正係数 (8)照査項目および照査方法 (9)流下能力の照査 【解 説】 自立管 製管工法(ら旋巻き管)は,更生材にスチール部材,塩化ビニル樹脂等を使用した可と う性管であることから,JSWAS K-1,JSWAS K-2 および日本工業規格(JIS)に準じた設計を行う。自立管 製管工法(ら旋巻管)の設計の手順を図3-1に示す。 図3-1 自立管 製管工法(ら旋巻管)の設計の手順 …第2章 第2節 要求性能 使用材料の把握 更生管きょの強度照査 要求性能の把握 考慮する荷重状態の設定 適用可能な条件の把握 材料定数・補正係数・許容値の設 流下能力の照査 …§11 適用条件 …§10 使用材料 …§12 考慮する荷重状態~§14 地震時の荷重 …§15 材料定数の設定~§17 補正係数の設定 …第3章 第4節 常時の構造計算,第5節 耐震設計 …§24 流下能力の照査 [基本性能] [設計条件] [設計・照査]
第3章 設 計 (20)
使用材料と適用条件
§10 使用材料 自立管 製管工法(ら旋巻管)の更生材料は,スチール部材と表面部材,間詰め材に区分さ れる。スチール部材は鋼材,表面部材には硬質塩化ビニル樹脂等,間詰め材はモルタル等が もちいられる。 【解 説】 自立管 製管工法(ら旋巻管)は,スチール部材と表面部材が一体となった帯状の更生材(かん 合部材)をら旋状に製管し,既設管きょとの隙間に間詰め材を充填させる工法である。 使用材料には,鋼材,硬質塩化ビニル樹脂等,空隙充填および更生管きょの固定のための間詰め 材がある。各材料の特長等については,建設技術審査証明(公益財団法人 日本下水道新技術機構) 等を参考とする。 §11 適用条件 調査や構造評価の結果に基づき,以下に示す適用範囲を考慮し工法を選定する。 (1)既設管きょの管種,管径および断面形状 (2)施工延長 (3)既設管きょの劣化状況(段差やずれ,曲がり,継手の隙間,浸入水や滞留水の有無) (4)施工条件 (5)施工現場の環境 【解 説】 自立管 製管工法(ら旋巻管)は,更生材単独で自立できる強度を発揮するため,強度計算上は 既設管きょによる制限を受けないが,既設管きょ内の限られたスペース内に更生管きょを構築する ものであり,厳しい施工条件下での施工となる。したがって,既設管きょの管種,管径,断面形状, 施工延長のほか,上下流の人孔の形状,施工可能な時間,既設管きょの劣化状況や施工条件等を総 合的に評価し,施工の可否を判断する。 各工法の評価項目については,建設技術審査証明(公益財団法人 日本下水道新技術機構)等の 資料を参考に検討する。第3節 設計手順 (21)
設計条件
§12 考慮する荷重状態 自立管 製管工法(ら旋巻管)の構造設計においては,次の荷重状態を考慮する。 (1)常 時 (2)地震時 【解 説】 自立管 製管工法(ら旋巻管)の構造設計では,常時荷重,地震時荷重等の外力を設定する。常時 の構造設計では,活荷重,土圧等を考慮する。耐震計算で考慮する地震時の荷重は,施設の重要度 等により定める必要な耐震性能に応じ,応答変位法に基づく地震時荷重を設定し照査する。また, レベル2地震動に対しては地震の液状化に伴う地盤の変状についても考慮する。 §13 常時の荷重 自立管 製管工法(ら旋巻管)に作用する常時の荷重は,JSWAS K-1,JSWAS K-2 に準拠し, 次の各項の荷重を考慮する。 (1)土 圧 (2)活荷重 (3)外水圧 【解 説】 自立管 製管工法(ら旋巻管)は,更生材(かん合部材)が塩化ビニル管や強化プラスチック複合 管と類似した可とう性管であることから,JSWAS K-1,JSWAS K-2 および JIS 等に準じた設計を行 う。このため,自立管に作用する常時の荷重は,JSWAS K-1 および JSWAS K-2 に準拠し,土荷重と 活荷重による鉛直土圧および外水圧とする。土圧公式は,地盤条件,埋設条件等を考慮し採用する。 また,周辺工事による地盤の乱れの影響等についても留意することが望ましい。 なお,荷重計算にもちいる土被りは,管きょ更生工法を適用する路線の土被り範囲を考慮し,安 全側の設計条件となるよう設定する。また,設計にもちいる土被りは,更生管きょの管頂までとす る。また,周辺工事の影響等についても留意することが望ましい。 (1)土圧 土荷重による鉛直土圧の算定は,管上部の掘削の有無や,推進工法等の非開削工法で既設管 きょが施工されたか等の条件に応じた土圧公式による。なお,JSAWS K-1,JSWAS K-2 の可とう 性管では,変形に伴う水平土圧(受働)が考慮されているため,自立管にもこれを適用する。第3章 設 計 (22) 1)管周辺の地盤が乱されていない場合 管布設後数十年経過すると,布設時の埋戻し土と周辺地盤とがなじみ,管と地山が安 定して,鉛直土圧公式相当の大きな荷重がかからないことが想定される。そのため,管 に作用する土圧の算定は,自立管が長期にわたって受ける土荷重を想定して見込むこと を原則とする。 例えば,水道,ガス,電信・電話,電力等の他事業による管上部の掘削が更生前後に 予定されていない場合は,管上部の土荷重に対して周辺地盤からの上向きの粘着力また は摩擦力を見込むものとする。 硬質塩化ビニル管に作用する鉛直土圧の算定は,「下水道用硬質塩化ビニル管・道路埋 設指針 平成5年3月」(財団法人 国土開発技術研究センター)では,図3-2に示す 直土圧公式またはマーストン溝型公式をもちいている。このマーストン溝型公式は,可 とう性管を対象とした式であり,ヤンセン公式のf(埋戻し土の粘着力)をゼロとした場 合と同様の鉛直土圧算定式となる。したがって,自立管に作用する鉛直土圧の算定は, 現場の土質状況等により決まるBd(仮想掘削幅)および f(埋戻し土の粘着力)を反映で きるヤンセン公式を基本とする。図3-3にヤンセン公式を示す。なお,仮想掘削幅は, 施工後時間が経過し地盤が安定しているとみなせる場合には更生管きょの外径としても よいが,現場条件も考慮して設定することが望ましい。また,埋め戻し土の粘着力を考 慮することにより,数式上では鉛直土圧の算定結果がマイナスとなることがあるため, その場合は粘着力をゼロとして算定する。 (管周辺の地盤が乱されない場合) (管周辺の地盤が乱される場合) 図3-2 鉛直土圧公式の適用例(「ガイドライン」p3-13 一部加筆) 鉛直土圧公式 鉛直土圧公式 (kN/mm2) (kN/mm2)
第3節 設計手順 (23) 2)管周辺の地盤が乱されている場合 自立管の上部等で水道,ガス,電信・電話,電力等の他事業により管周辺の地盤が乱 されている場合の鉛直土圧の算定は,「下水道用更質塩化ビニル管・道路埋設指針 平成 5年3月」(財団法人 国土開発技術研究センター)に準じた鉛直土圧公式をもちいる。 土被りの適用の範囲は現場条件等を考慮して定める。図3-4はその鉛直土圧公式であ る。土被りが 2.0m 未満の場合は鉛直土圧公式を,2.0m 以上の場合はヤンセン公式をも ちいる。ただし,土被りが 2.0m 以上の場合でヤンセン公式で求めた鉛直土圧が,2.0m の 鉛直土圧公式で求めた値より小さい場合は,2.0m の鉛直土圧公式で求めた値を採用する。 3)推進工法等で布設された既設管きょ 推進工法等で布設された既設管きょを更生する場合の鉛直土圧の算定は,一般的に開 削工法の鉛直土圧算定式としてもちいるヤンセン公式および鉛直土圧公式の適用が過大 であると考えられるので,管布設時に採用した公式(テルツァギーの緩み土圧公式等)を もちいる。なお,この場合であっても管周辺の地盤が乱されている場合の鉛直土圧の算 定は,2)によることとする。
第3章 設 計 (24) 𝑞 = 𝛾 ∙ 𝐵 2 − 𝑓 ∙ 1 − 𝑒 ∙ ∙ / 𝐾 ∙ 𝜇 ここに、 q :土荷重による鉛直土圧(kN/mm2) γ :土の単位体積重量(kN/mm3) Bd:仮想掘削溝幅(mm)(※時間経過とともに地盤 が安定している場合は Bc としてもよい) μ :埋戻し土と側壁との摩擦係数=tanφ φ :埋戻し土の内部摩擦角(°) K :埋戻し土の主働土圧係数 𝐾 = 𝜇 + 1 − 𝜇 𝜇 + 1 + 𝜇 H :土被り(mm)(更生管きょの土被りとする)
f
:埋戻し土の粘着力(kN/mm2) :管にかかる荷重 図3-3 ヤンセン公式(「ガイドライン」p3-14 一部変更) (直土圧公式説明図) q=γ・H ここに, q :土荷重による鉛直土圧(kN/mm2) γ :土の単位体積重量(kN/mm3) H :土被り(mm)(更生管の土被りとする) :管にかかる荷重 図3-4 鉛直土圧公式(「ガイドライン」p3-14 一部変更) 既設管きょ 更生管きょ Bc 粘着力 摩擦力 Bd 側土の支 持力 H 既設管きょ 更生管きょ H Bd (ヤンセン公式説明図) *間詰め材の強度は見込まない *間詰め材の強度は見込まない第3節 設計手順 (25) (2)活荷重 活荷重による鉛直土圧の算定は,JSWAS K-1 等に準じ,式(3・1)により計算する。 なお,設計荷重p(T荷重,後輪荷重)は,「道路橋示方書・同解説 平成 29 年 11 月」(公益 社団法人 日本道路協会)に基づくものとする。その他の荷重を考慮する場合は,別途検討す る。 𝑝 = 2 ∙ 𝑃 ∙ (1 + 𝑖) ∙ 𝛽 𝐶 ∙ (𝑎 + 2 ∙ 𝐻 ∙ 𝑡𝑎𝑛 𝜃) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(3・1) ここに, p : 活荷重による鉛直土圧(kN/m2) P : 後輪荷重(kN)(T-25 の場合は 100kN) C : 車体占有幅 2.75(m) a : タイヤの接地長さ 0.20(m) H : 更生管きょの土被り(m) θ : 荷重の分散角 45° β : 低減係数 i : 衝撃係数(Hによって下表の値をとる) H(m) H≦1.5 1.5<H<6.5 H≦6.5 i 0.5 0.65-0.1H 0 図3-5 輪荷重の分布 (3)外水圧 外水圧は,地盤条件や地下水位の変動等を考慮して適切に設定する必要がある。特に更生管 きょが地下水位以下に設置される場合には,断面設計にあたり水圧を考慮しなければならない。
第3章 設 計 (26) §14 地震時の荷重 自立管 製管工法(ら旋巻管)に作用する地震時の荷重は,耐震設計手法の特性により地盤 の変位が構造物に伝達され作用する荷重として考える。応答変位法で求めた地盤の水平振幅 により管本体には水平荷重が伝達される。応答変位法で求める地盤の水平振幅は,施設の重 要度等に応じて,次の各項について検討する。 (1)レベル1地震動 (2)レベル2地震動 【解 説】 自立管 製管工法(ら旋巻管)に作用する地震時の荷重は,「耐震指針」に従い応答変位法による ことを標準とし,地盤の変位振幅が構造物に伝達され作用する荷重として考える。また,地震動の ほか,地盤の液状化に伴う地盤の変状についても外力として考慮する。 §15 材料定数の設定 自立管 製管工法(ら旋巻管)により構築される自立管の常時の構造計算および耐震計算で もちいる材料の材料定数には,次の各項目がある。 (1)スチール部材の耐力 (2)スチール部材の引張弾性係数 (3)安全率 【解 説】 自立管 製管工法(ら旋巻管)の更生材料の設計にもちいる強度および弾性係数は,§8 要求性 能に示される各種試験により得られる材料特性値を基準に,品質のばらつき等の安全率を考慮し設 計値を定める。ただし,工法によって試験値および設計値の考え方が様々であることから,詳細検 討ではそれら数値の取扱いや設計と施工管理での強度における相関性等について十分整理し,更生 管きょの計算に反映させることが重要である。試験により得た値は,各工法別に建設技術審査証明 に記載されているので参考されたい。 安全率の考え方は,本来,構造物の重要度,構造形式,使用する材料の組成や製作工程,計算手 法,試験方法等により異なるものであり,各工法の特長を踏まえた値とするのが望ましい。
第3節 設計手順 (27) (1)スチール部材の耐力 スチール部材の耐力は,JIS 等に規定されている材料を使用する場合は基準強度とし,JIS 等で規定されていない材料を使用する場合は,金属材料引張試験 JIS Z 2241 に基づき試験を 行い,設計値を設定する。 (2)スチール部材の引張弾性係数 スチール部材の引張弾性係数は,金属材料引張試験 JIS Z2241 の試験結果に基づき設計値を 設定する。 (3)安全率 スチール部材の許容応力度は,基準強度を安全率で除した値とする。 参考にSPR-SE工法の安全率は「道路橋示方書 鋼橋編 平成 24 年3月」(社団法人 日 本道路協会)を参考に,1.7 を基本とする。スチール部材の基準強度は 295MPa であり,1.7 で 除すると許容応力度は 173.5MPa となる。 §16 許容たわみ率の設定 自立管 製管工法(ら旋巻管)の許容たわみ率は,弾性領域内の値とする。 【解 説】 自立管 製管工法(ら旋巻管)は可とう性管である。可とう性管の設計にあたっては,その変形 が弾性領域内であることが必要である。なお,SPR-SE工法の許容たわみ率は,1.5%としてい る。 §17 補正係数の設定 自立管 製管工法(ら旋巻管)の埋設強度計算には,以下に示す補正係数をもちいるものと する。 (1)曲げ剛性補正係数 α:曲げ剛性EIを補正する係数で,たわみ率の計算にもちいる。 (2)断面変形補正係数 β:断面係数zを補正する係数で,曲げ応力度の計算にもちいる。 (3)補正係数は,偏平試験を実施してリング公式との対比により設定する。 【解 説】 自立管 製管工法(ら旋巻管)の偏平試験を実施した結果,その偏平強さや試験時に発生する応 力が理論値(リング公式)と比べて差異が生じることがわかった。この差異の原因は,自立管 製
第3章 設 計 (28) 管工法(ら旋巻管)が,塩ビ管等の一般的な均一的な円筒管と異なり,ら旋構造であることやスチ ール部材が異形断面であること,ら旋管の長さが影響すること,偏平時にら旋の角度が変わること による曲げ剛性 EI※やスチール断面の微小変形により断面係数が変化すること等によると考えら れる。 現状では,これらの詳細を明確に解明するには至っていないことから,試験結果と理論値の差異 を構造計算へ反映させるため,強度計算には補正係数をもちいるものとした。 ※本技術資料は,想定する使用状態ではクリープ特性を有しないスチール部材を強度部材とした 工法を対象としているため,短期的な評価にて補正係数を設定しているが,クリープ特性を有 する樹脂材料を強度部材とする工法を検討する際には,長期的な特性も考慮した上での検討が 別途必要である。 表3-1 管構造と材料断面 JSWAS K-1,K-2 自立管 製管工法 管構造 均一円筒管 ら旋構造 材料断面 一様断面 異形断面※1 ※1 SPR-SE工法の場合の材料断面である。
第3節 設計手順 (29) (1)曲げ剛性補正係数α たわみ率の計算において,曲げ剛性を低下させ,発生するたわみ率を実態に合わせて補正する。 表3-2には曲げ剛性補正係数の強度計算への適用例を示す。 表3-2 曲げ剛性補正係数α JSWAS K-1,K-2 自立管 製管工法 たわみ率の 計算 ここに, δ: 土荷重と活荷重によるたわみ量の和(mm) K1: 土荷重による鉛直方向のたわみ係数 K2: 活荷重による鉛直方向のたわみ係数 q: 土荷重による鉛直土圧(N/mm2=103kN/m2) p: 活荷重による鉛直土圧(N/mm2=103kN/m2) r : 管厚の中心半径=スチール部材の中立軸半径(mm) α: 曲げ剛性補正係数 EI: 管長1㎜当たりの設計曲げ剛性(N・mm2) EI’ : 補正後の管長1㎜当たりの曲げ剛性(N・mm2) V : たわみ率(%) 𝛿 = (𝐾 ・𝑞 + 𝐾 ・𝑝)𝑟 𝐸𝐼 𝛿 = (𝐾 ・𝑞 + 𝐾 ・𝑝) 𝑟 𝐸𝐼’ 𝑉 = 𝛿 2𝑟× 100 = (𝐾・𝑞 + 𝐾 ・𝑝) 𝑟 𝛼𝐸𝐼 𝑉 = 𝛿 2𝑟× 100
(30) (2)断面変形補正係数β 曲げ応力度の計算において,断面係数を低下させ,応力度を実態に合わせて補正する。表3-3に断面変形補正係数の強度計算への適用例を示す。なお,この適用例はスチール部材の断面形 状がSPR-SE工法の場合の検討であり,他の断面形状となる場合には別途検討が必要である。 表3-3 断面変形補正係数β JSWAS K-1,K-2 自立管 製管工法 応力の計算 ここに,M : 土荷重と活荷重による曲げモーメントの和(N・mm) σ : 曲げ応力(N/mm2) k1 : 土荷重による曲げモーメント係数 k2 : 活荷重による曲げモーメント係数 q : 土荷重による鉛直土圧(N/mm2=103kN/m2) p : 活荷重による鉛直土圧(N/mm2=103kN/m2) r : 管厚の中心半径=スチール部材中立軸半径(mm) β : 断面変形補正係数 z : 管長1㎜当たりの断面係数(mm3) z’ : 補正後の管長1㎜当たりの断面係数(mm3) 断面の照査は,上記,補正係数(α,β)をもちいた強度計算の結果から,たわみ率および応 力度が許容値以内であることを確認することにより行う。 (3)について 補正係数(α,β)は,偏平試験と理論値(リング公式)との差異を補正するものであるため, 補正係数を定めるにあたっては偏平試験を実施し,理論値と対比することにより決定する。また, 偏平試験は,補正係数がそれぞれ安全側に設定できるような供試管をもちいて行う。 1)曲げ剛性補正係数αについて 更生管きょの偏平試験を実施し,実測の偏平強さとリング公式に基づく設計荷重との対比に より曲げ剛性補正係数αを求める。なお,求めた値は少数第2位以下の整数を切り捨てた値と する。以下に,曲げ剛性補正係数αの算出フローを示す。 𝑀 = (𝑘 ・𝑞 + 𝑘 ・𝑝) × 𝑟 𝜎 =𝑀 𝑧 𝑀 = (𝑘 ・𝑞 + 𝑘 ・𝑝) × 𝑟 𝜎 = 𝑀 𝑧′= 𝑀 𝑧/𝛽