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文学教育の課題をめぐって

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Academic year: 2021

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二 〇 一 五 年 秋 季 集 会 基 調 報 告

︱︱SEALDs

若 者 の イ メ ー ジ が 変 わ っ た 私 は 、 普 段 、 高 校 生 や 大 学 一 年 を 対 象 に し て 、 授 業 を し て い る の で す が 、 今 年 は 、 こ の 年 代 の 若 者 た ち に 対 す る イ メ ー ジ が 大 き く 変 わ り ま し た 。 そ の き っ か け を 与 え て く れ た の は 、 シ ー ル ズ (SEALDs= 自 由 と 民 主 主 義 の た め の 学 生 緊 急 行 動 ) で す 。 シ ー ル ズ が 立 ち 上 が っ た の は 、 今 年 ( 二〇 一 五 年 ) の 五 月 だ そ う で す が 、 私 が シ ー ル ズ の 存 在 を 知 っ た の は 、 安 保 関 連 法 案 反 対 運 動 の 中 で 、 大 き な 役 割 を 果 た し て い る そ の 姿 が 、 新 聞 や テ レ ビ で 報 道 さ れ 始 め て か ら で す 。 そ れ か ら 、 朝 日 新 聞 ・ 東 京 新 聞 ・ 神 奈 川 新 聞 に 載 っ た シ ー ル ズ 関 連 記 事 や 、 シ ー ル ズ の メ ン バ ー の ス ピ ー チ 、 ま た 、 ﹃ 時 代 の 正 体 権 力 は か く も 暴 走 す る ﹄ (神 奈 川 新 聞 ﹁ 時 代 の 正 体 ﹂ 取 材 版 編 / 二〇 一 五 年 / 九 月 刊 ) や ﹃SEALs 民 主 主 義 っ て こ れ だ ! ﹄ (SEALs 編 著 / 大 月 書 店 / 二 〇 一 五 年 一〇 月 刊 ) 等 の 著 書 を 読 み 漁 り ま し た 。 正 直 に 言 い ま す が 、 び っ く り し ま し た 。 現 在 の 、 十 代 後 半 か ら 二 十 代 前 半 の 若 者 た ち の 中 か ら 、 政 治 の 問 題 を 、 あ そ こ ま で 真 剣 に︱︱ シ ー ル ズ 的 に 言 え ば ︿ 自 分 ご と ﹀ と し て 考 え 、 新 し い 民 主 主 義 を 実 現 す る た め に 、 そ れ を 破 壊 し よ う と す る 安 倍 政 権 の 政 治 に 正 面 か ら 向 か い 合 い 闘 っ て い こ う と す る 、 そ ん な 集 団 が 生 ま れ て く る な ど と は 、 私 は ま っ た く 予 想 し て い な か っ た の で す 。 自 分 の 目 の 前 に い る 若 者 た ち を 、 授 業 を 通 し て 見 て い る と 、 こ れ だ け 日 本 社 会 の 反 動 化 が 進 ん で い る の に 、 反 応 が す ご く 鈍 い と い う か 、 牙 を 抜 か れ ち ゃ っ て い る と い う 印 象 が 強 か っ た 。 だ か ら 、 大 学 の 授 業 で は 、 ﹁ 政 治 の 問 題 に ついて も 、 社 会 の 中 で 一 番 鋭 敏 に 反 応 し 、 そ の 問 題 に つ い て 思 索 し 議 論 し 行 動 す る の が 大 学 生 の 本 来 の 姿 だ と 思 う け

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れ ど 、 君 た ち は 本 当 に 静 か だ ね え ⋮ ⋮ ﹂ な ど と 嫌 味 を 言 っ て い た の で す 。 ま た 、 六〇 年 代 ∼ 七〇 年 代 前 半 ま で は 、 高 校 生 ・ 大 学 生 は 社 会 問 題 に も っ と 向 い 合 い 、 討 論 や デ モ に 参 加 し て い た と い う こ と を 、 私 自 身 の 経 験 を 話 し た り 、 文 献 や 映 像 な ど を 使 っ て 、 授 業 で 紹 介 す る と い う こ と も し て い ま し た 。 で も 、 だ い た い の 反 応 は 、 ﹁ 昔 は そ ん な こ と が あ っ た ん で す ね ﹂ と い う も の で 、 そ れ を 紹 介 し て い る 私 自 身 も 、 こ ん な こ と が 日 本 社 会 で 復 活 す る こ と な ん て あ る の か 、 あ っ た と し て も ず っ と 先 だ ろ う な と 思 っ て い た わ け で す 。 で も 、 そ う い う 思 い 込 み を 、 シ ー ル ズ は ふ っ と ば し て く れ た 。 や っ ぱ り 、 立 ち 上 が る べ き 時 に は 立 ち 上 が る 、 そ れ が 若 者 な の だ と 改 め て 思 っ た の で す 。 そ れ と 同 時 に 、 私 は 、 シ ー ル ズ の 若 者 た ち が 自 分 の 思 い を 語 っ て い る そ の 言 葉 ・ 文 章 の 在 り 方 に 、 す ご く 生 き 生 き し た も の を 感 じ た 。 こ の 点 について は ま た 後 で も う 少 し 詳 し く 触 れ る つ も り で す が 、 一 人 一 人 に 訴 え ず に お れ な い も の が あ り 、 し か も 、 そ れ が 、 自 己 満 足 的 な 発 散 で は な く て 、 対 話 の 場 を 創 り 出 し て い き た い と い う 切 実 な 思 い と つ な が っ て い る 。 そ れ が 読 ん で い る と ぐ ん ぐ ん 伝 わ っ て く る 。 だ か ら 、 彼 ら の 文 章 を 読 み あ げ て い る と 、 目 頭 が あ つ く な っ て く る 。 こ の 前 も 、 女 子 高 の 授 業 で 読 み 上 げ て い た ら 涙 が 出 て き て 、 生 徒 に ち ょ っ と 笑 わ れ て 、 さ す が に 恥 ず か し か っ た の で す け れ ど 。 ま あ 、 そ れ は と も か く と し て 、 私 が 言 い た い こ と は 、 民 主 主 義 を 再 定 義 ・ 再 発 見 し て い く と い う 活 動 の 中 で 、 本 当 の 意 味 で 個 性 的 な 新 し い 文 体 が 生 ま れ つ つ あ る の で は な い か 、 と い う こ と で す 。 シ ー ル ズ の メ ン バ ー は 、 だ い た い 一 九 九〇 年 代 に 生 ま れ て い ま す 。 も ち ろ ん 、 九 〇 年 代 に 生 ま れ た 人 た ち も 様 々 で あ っ て 、 全 体 か ら 見 れ ば 、 彼 ら は ま だ 少 数 で し ょ う 。 し か し 、 九〇 年 代 に 生 ま れ た 人 た ち の 中 か ら 、 シ ー ル ズ に 参 加 し て い く よ う な 若 者 た ち が 出 て き た と い う こ と は 、 シ ー ル ズ に つ な が っ て い く よ う な 土 壌 が 、 私 が 授 業 し て い る 生 徒 ・ 学 生 た ち の 中 に も あ る と い う こ と で は な い の か 。 彼 ら の 中 に あ る そ う い う 可 能 性 を 探 し 出 し て 、 そ こ に つ な が っ て い く 。 ま た 、 そ こ に 向 け て 作 品 を 教 材 化 し て い く と い う こ と が 必 要 な の で は な い か 。 ま た 、 シ ー ル ズ の 若 者 た ち が 創 造しつつ あ る 文 体 ・ 文 体 的 発 想 と 対 話 す る こ と を 通 し て 、 現 代 に お け る 文 学 教 育 の 課 題 も さ ら に 明 ら か に な っ て く る の で は な い か 。 そ う 思 っ て い る わ け で す 。 シ ー ル ズ の 若 者 た ち が 育 っ た 時 代 (1 ) こ こ で 、 配 布 し た 年 表 ﹁ 戦 後 70 年 日 本 の 政 治 ・ 社 会 と 国 民 の 運 動 ﹂ ( ﹃経 済 ﹄ 二〇 一 五 年 一 一 月 号 ) を ち ょ っ と 見 て

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く だ さ い 。 年 表 に 書 き 込 ん で あ る よ う に 、 シ ー ル ズ の メ ン バ ー は 、 一 九 九 〇 年 代 に 生 ま れ て い る わ け で す 。 ど ん な 社 会 状 況 の 中 で 彼 ら は 育 っ て き た の か 。 主 要 な 社 会 事 象 を 読 み 上 げ ま す 。 ま ず 、 ﹁ 政 治 と 経 済 ﹂ の 欄 か ら 。 九〇 年 一 〇 月 ・ 東 証 株 価 二 万 円 割 。 バ ブ ル 経 済 崩 壊 。 ﹁ 労 働 ・ 社 会 保 障 ﹂ の 欄 か ら 。 九 三 年 四 月 ・ ﹁ 就 職 氷 河 期 ﹂ 時 代 へ 。 九 五 年 五 月 ・ 日 経 連 ﹁ 新 時 代 の ﹃ 日 本 的 経 営 ﹄ ﹂ 九 八 年 ・ ﹁ ホ ー ム レ ス ﹂ 問 題 、 自 殺 者 三 万 人 超 え る 。 ﹁ 平 和 ・ 憲 法 ・ 教 育 ﹂ の 欄 か ら 。 九 一 年 一 月 ・ 湾 岸 戦 争 開 始 。 九 一 年 四 月 ・ 自 衛 隊 ペ ル シ ャ 湾 へ 派 遣 。 九 二 年 六 月 ・ P K O 協 力 法 成 立 。 九 六 年 四 月 日 米 共 同 宣 言 ( 安 保 再 定 義 ) 。 九 七 年 九 月 ・ 日 米 ガ イ ド ラ イ ン 改 定 (有 事 想 定 ) 。 九 九 年 五 月 ・ 周 辺 事 態 法 。 八 月 ・ 国 旗 ・ 国 歌 法 。 次 に 二 〇 〇 〇 年 代 について 同 じ よ う に 見 て い く と 。 ﹁ 政 治 と 経 済 ﹂ の 欄 か ら 。〇 一 年 九 月 ・ 米 ・ 同 時 多 発 テ ロ / 十 月 ・ 米 ・ ア フ ガ ニ ス タ ン 空 爆 。〇 三 年 三 月 ・ 米 ・ イ ラ ク 侵 攻 、 占 領 。〇 四 年 六 月 ・ 有 事 法 制 関 連 七 法 。 / 一 一 月 ・ 月 例 経 済 報 告 ﹁ 景 気 拡 大 ﹂ い ざ な ぎ 超 え 。〇 八 年 一 月 ・ ト ヨ タ 、 生 産 台 数 G M 抜 く 。 一 一 年 三 月 ・ 東 日 本 大 震 災 ・ 福 島 原 発 事 故 。 一 三 年 一 二 月 ・ 安 倍 首 相 、 靖 国 神 社 に 参 拝 。 一 四 年 一 二 月 ・ 衆 院 選 、 自 公 で 三 分 の 二 議 席 。 一 五 年 七 月 ・ 安 保 法 制 関 連 法 、 衆 議 院 強 行 採 決 。 ﹁ 労 働 ・ 社 会 保 障 ﹂ の 欄 か ら 。〇 二 年 ・ 失 業 率 五 % 超 に 突 入 。〇 四 年 三 月 ・ 派 遣 法 、 製 造 業 へ 拡 大 。〇 六 年 ・ ﹁ ワ ー キ ン グ ・ プ ア ﹂ 広 が る 。〇 八 年 一 二 月 ・ ﹁ 年 越 し 派 遣 村 ﹂ 。〇 九 年 ・ 厚 労 省 、 貧 困 率 一 五 ・ 七 % 。 一 一 年 九 月 ・ 原 発 な く せ 六 万 人 集 会 。 ﹁ 平 和 ・ 憲 法 ・ 教 育 ﹂ の 欄 か ら 。〇 三 二 月 ・ イ ラ ク 反 戦 デ モ 、 世 界 六〇 ヵ 国 で 。〇 三 年 七 月 ・ イ ラ ク 復 興 支 援 特 別 措 置 法 。〇 四 年 ・ 九 条 の 会 結 成 。〇 六 年 五 月 ・ 日 米 安 保 協 議 、 普 天 間 基 地 移 設 合 意 。 同 年 一 二 月 ・ 教 育 基 本 法 改 正 。〇 七 年 一 月 ・ 防 衛 省 発 足 。 一〇 年 四 月 ・ 沖 縄 ・ 県 内 移 設 反 対 集 会 。 / 五 月 ・ 日 米 共 同 声 明 、 普 天 間 基 地 の 移 転 先 を 辺 野 古 に 。 一 一 年 ・ 九 条 の 会 、 全 国 で 七 五〇〇 を 超 え る 。 一 二 年 ・ 自 民 党 、 憲 法 改 正 草 案 。 / 六 月 ・ 原 発 再 稼 働 反 対 ・ 官 邸 前 行 動 に 二〇 万 人 。 一 三 年 一 二 月 ・ 特 定 秘 密 保 護 法 。 一 四 年 七 月 ・ 集 団 的 自 衛 権 容 認 の 閣 議 決 定 。 一 五 年 八 月 ・ 戦 争 法 案 反 対 デ モ 、 国 会 前 に 一 二 万 人 、 全 国 一〇〇 ヵ 所 。 渡 辺 治 さ ん ( 一 橋 大 学 名 誉 教 授 ) は 、 こ の 時 期 の 特 徴 に つ い て 次 の よ う に 指 摘 し て い ま す 。 (以 下 、 ﹁戦 後 安 保 体 制 の 大 転 換 と 安 倍 政 権 の 野 望 ﹂ / 前 掲 、 ﹃経 済 ﹄ に 拠 る 。 ) 六〇 年 代 か ら 八〇 年 代 末 ま で の 時 期 、 日 本 は ア メ リ カ の 極 東 戦 略 と ア ジ ア に お け る 戦 争 の 基 地 と な っ た が 、 当 時 の 強 い 反 対 運 動 の も と で 、 米 軍 の 手 足 と し て 自 衛 隊 を ア メ リ カ の 戦 争 に 加

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担 さ せ る 試 み は 実 現 し な か っ た 。 だ が 、九〇 年 代 に 入 り 、 い わ ゆ る 冷 戦 終 焉 の も と で ア メ リ カ は 世 界 の 自 由 主 義 秩 序 の 盟 主 と な り 、 ﹁ 世 界 の 憲 兵 ﹂ と し て 自 由 市 場 秩 序 の 維 持 と 拡 大 を の ぞ む 新 た な 戦 略 を 立 て る 。 そ の な か で 日 本 に 対 し て も 、 基 地 貸 与 に と ど ま ら ず に 、 自 衛 隊 に よ る 人 的 加 担 を 強 く 求 め る よ う に な っ た 。 し か し 、 憲 法 九 条 と 政 府 解 釈 が 立 ち は だ か っ て 、 日 本 政 府 は ア メ リ カ の 圧 力 に 応 ず る こ と が で き な か っ た 。 以 後 政 府 は 、 自 衛 隊 に 科 せ ら れ た 制 約 を 打 破 し て ア メ リ カ の 戦 争 に 直 接 加 担 す る た め の 努 力 を 強 い ら れ る 。 明 文 改 憲 は ﹁ 九 条 の 会 ﹂ を は じ め と し た 大 き な 国 民 運 動 に よ っ て 挫 折 を 余 儀 な く さ れ る 。 そ こ で 長 年 に わ た る 制 約 打 破 を め ざ し た の が 、 第 二 次 安 倍 政 権 に よ る 集 団 自 衛 権 行 使 容 認 の 閣 議 決 定 で あ り 、 戦 争 法 案 な の だ 。 要 す る に 、 ア メ リ カ が 長 年 、 直 接 に は九〇 年 の 冷 戦 終 焉 後 、 四 半 世 紀 に わ た っ て 求 め て き な が ら 実 現 を み な か っ た ﹁ 宿 願 ﹂ 、 日 本 を ﹁ 軍 事 大 国 ﹂= ﹁ 戦 争 す る 国 ﹂ に す る と い う 宿 願 を 、 今 度 こ そ 実 現 す る 期 待 を 担 っ た 政 権 と し て 、 安 倍 政 権 は 登 場 し て い る 。 そ の た め に は 、 戦 後 七〇 年 、 国 民 の 運 動 と の 攻 防 で つ く ら れ た 諸 制 度 を 根 本 的 に ひ っ く り 返 そ う と し て い る 。 そ の 第 一 の 柱 が 改 憲 に よ り 自 衛 隊 の 海 外 で の 自 由 な 出 動 態 勢 を つ く る こ と 。 第 二 の 柱 は 、 大 企 業 の 競 争 力 を 拡 大 す る ﹁ 新 自 由 主 義 改 革 ﹂ に よ っ て 、 ﹁ 強 い 経 済 ﹂ を つ く り だ し 、 そ れ で 軍 事 大 国 化 を 支 え る と い う こ と で あ る 。 新 自 由 主 義 改 革 は 、九〇 年 代 以 降 、 特 に 小 泉 政 権 に よ っ て 強 行 さ れ 大 企 業 は 史 上 未 曾 有 の 利 潤 を 上 げ た が 、 貧 困 、 格 差 と い う 形 で そ の 矛 盾 が 顕 在 化 し 、 そ れ に 対 す る 反 対 運 動 が 高 揚 し て 、 停 滞 を 余 儀 な く さ れ た 。 し か し 安 倍 政 権 は 、 新 自 由 主 義 改 革 の 第 二 段 階 と し て 、 大 企 業 の グ ロ ー バ ル な 市 場 で の 競 争 力 を 、 国 家 の 財 政 的 、 制 度 的 な 全 面 的 な 支 援 に よ っ て サ ポ ー ト し よ う と し て い る 。 渡 辺 さ ん の 指 摘 を ふ ま え て 、 再 度 、 年 表 を 読 み 直 し て み る と 、九〇 年 代 か ら 現 在 ま で の こ の 時 期 が 、 ﹁ 戦 争 す る 国 ﹂ づ く り と 、 新 自 由 主 主 義 改 革 ( グ ロ ー バ ル 大 企 業 の 利 潤 を あ く ま で 優 先 し 、 貧 困 ・ 格 差 を 拡 大 す る ) と が 一 体 と な っ て す す ん で き た 二〇 年 間 で あ っ た こ と が は っ き り し ま す 。 シ ー ル ズ の 若 者 た ち が 育 っ た 時 代 (2 ) 渡 辺 さ ん は 、 ﹁ 戦 争 す る 国 ﹂ づ く り の 第 三 の 柱 と し て ﹁ 国 民 意 識 の 改 変 ﹂ を あ げ て い ま す 。 こ の 点 について 、 特 に 、九〇 年 代 以 降 の 教 育 の 在 り 方 について 、 佐 貫 浩 さ ん (法 政 大 学 教 授 ) の 指 摘 を 紹 介 し ま す 。 (﹁ 戦 後 70 年 と 日 本 の 教 育 の 行 方 ﹃戦 後 社 会 ﹄ の 根 本 的 改 変 と 新 自 由 主 義 教 育 改 革 ﹂ / 前 掲 、 ﹃経 済 ﹄ に 拠 る 。 ) 佐 貫 さ ん は 、 最 初 に 、 ﹁ 戦 後 70 年 の 教 育 を 巡 る 時 期 区 分

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表 ﹂ の 中 で 、 一 九 四 五 年 か ら 一 九 九 三 年 ま で を ﹁ 戦 後 社 会 ﹂ 期 (第 一 期 一 九 四 五 ∼ 五 五 ・ 戦 後 改 革 と そ れ へ の 逆 流 の 対 抗 期 / 第 二 期 一 九 五 五 ∼ 一 九 九 三 ・ 五 五 年 体 制 と 高 度 成 長 期 ) と し 、 そ れ 以 降 を 、 第 三 期 ﹁ 戦 後 社 会 ﹂ の 根 本 的 改 変 期 ( グ ロ ー バ ル 化 の 下 で の 新 自 由 主 義 の 展 開 / 一 九 九 三 ∼ 二〇〇 六 ・ ﹁ 市 場 化 、 規 制 緩 和 ﹂ 期 / 二〇〇 六 ∼ 公 教 育 の 下 で の 新 自 由 主 義 の 展 開 ) と 位 置 づ け て い ま す 。 第 三 期 について 区 分 表 を 見 て い く と 、 ﹁ 教 育 と 研 究 の 関 係 ﹂ の 欄 ( 二〇〇 六 年 教 育 基 本 法 改 悪 ・ 教 育 の 目 標 管 理 体 制 ・ 教 育 委 員 会 法 改 定 ︿首 長 権 限 の 強 化 ﹀ ) 、 ﹁ 雇 用 ﹂ の 欄 ( 日 経 連 ﹁ 新 時 代 の 日 本 的 経 営 ﹂ 方 針︱︱ 格 差 と 非 正 規 雇 用 の 拡 大 ) 、 ﹁ 教 育 矛 盾 の 性 格 ﹂ の 欄 ( 若 者 の 社 会 的 排 除 ・ 格 差 と 貧 困 の 教 育 と の 悪 循 環 ・ 命 と 平 和 の 危 機 ・ 公 教 育 の 格 差 化 と 貧 困 、 自 由 の 剥 奪 ) と な っ て い ま す 。 そ し て 、 次 の よ う に 指 摘 し て い ま す 。 こ の 第 三 期 に 、 教 育 基 本 法 が 改 悪 さ れ 、 ﹁ 教 育 の 目 標 ﹂ 規 定 (第 二 条 ) が 置 か れ る 。 そ し て 、 企 業 的 目 標 達 成 シ ス テ ム を 応 用 し て 、 緻 密 か つ 強 権 的 な 国 家 管 理 シ ス テ ム が 作 り 出 さ れ て い く 。 そ の 支 配 は 、 資 本 と 権 力 の 利 潤 に 沿 っ て 人 格 と そ の 行 動 を 管 理 す る 目 標 管 理 権 力 と 呼 ぶ こ と が で き る 。 そ の 下 で の 今 日 の 教 育 統 制 の 特 質 は 、 そ の 剥 き 出 し の 権 力 性 と と も に 、 教 育= 学 習 活 動 の す べ て の プ ロ セ ス に 、 上 か ら の 目 標 を 実 現 す る 忠 誠 と 自 発 的 創 意 を ど れ だ け 注 ぎ 込 ん で い る か を 緻 密 に 評 価 す る 仕 組 み を 埋 め 込 ん だ こ と に あ る 。 そ し て そ の 評 価 の 目 に よ っ て 、 教 師 と 学 校 の 一 挙 手 一 投 足 が 監 視 ・ 管 理 さ れ る 状 況 が 生 ま れ て い る 。 こ う し て 、 教 育 に お け る 民 主 主 義 を 破 壊 す る 仕 組 み が 強 力 に 構 築 さ れ て き た 。 時 代 の 重 圧 の 中 で︱︱ 自 己 責 任 論 と 無 力 感 渡 辺 さ ん と 佐 貫 さ ん の 指 摘 を 読 む と 、 今 、 私 た ち が ど れ ほ ど 危 機 的 な 状 況 に い る か と い う こ と が 改 め て 明 確 に な っ て く る わ け で す 。 と こ ろ で 、 で は 、 こ の 第 三 期 に 生 ま れ 、 十 代 か ら 二 十 代 へ と 成 長 し て い っ た 人 た ち は 、 こ の よ う な 日 本 社 会 の 現 状 を ど ん な ふ う に 受 け 止 め た の か 。 ま た 、 こ う し た 現 実 の 中 か ら 、 シ ー ル ズ で 活 動 す る よ う な 若 者 た ち が 生 れ て き た の は な ぜ か 。 こ の 点 について 考 え て い く う え で 、 雨 宮 処 凛 さ ん の ﹁ 戦 後 七〇 年 、 ﹃ 政 治 の 禁 止 ﹄ と い う く び き か ら 解 放 さ れ た 若 者 た ち ﹂ と い う 文 章 ( ﹃ 現 代 思 想 ﹄ 一〇 月 臨 時 増 刊 号 / 二〇 一 五 年 九 月 刊 ) が 重 要 な 指 摘 を し て い る の で 紹 介 し ま す 。 雨 宮 さ ん は 、 一 九 七 五 年 生 ま れ な の で 、 シ ー ル ズ の 若 者 た ち よ り 二 十 歳 く ら い 年 上 で す が 、 こ の 文 章 の 中 で 、 両 者 の 体 験 の 共 通 面 を 具 体 的 に 指 摘 し て い ま す 。 ﹁ そ も そ も 、 こ の 国 の 若 者 は ず っ と 政 治 に 無 関 心 だ っ た わ け で は な い 。

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六〇 年 代 に は 学 生 運 動 の 嵐 が 吹 き 荒 れ 、 ﹃ 政 治 の 季 節 ﹄ な ん て 言 わ れ た 。 高 校 生 も 立 ち 上 が っ た 。 し か し 、 そ ん な 学 園 紛 争 花 盛 り の 六 九 年 、 旧 文 部 省 が 通 達 を 出 す 。 高 校 生 の 学 校 外 で の 政 治 活 動 を ﹃ 教 育 上 望 ま し く な い ﹄ と し た の だ 。 / 七 五 年 、 ﹃ 若 者 に 政 治 が 禁 止 ﹄ さ れ て か ら 生 ま れ た 私 も 、 ﹃ 若 者 が 政 治 と か に 興 味 を 持 つ と ロ ク な こ と に な ら な い ﹄ と い う 空 気 の 中 、 育 っ て き た 。 の ち に 知 る こ と だ が 、 そ の 背 景 に は 、 七 二 年 の 連 合 赤 軍 事 件 の ト ラ ウ マ な ど も あ っ た だ ろ う 。 ﹂ ﹁ あ ら か じ め 社 会 や 政 治 へ の 回 路 が 閉 ざ さ れ て 常 態 と な っ た 世 界 。 そ ん な 場 所 で 、 一 体 何 が 起 き る の か 。 一 言 で 言 う と 、 自 ら の 身 に 起 き る 不 条 理 す べ て は ﹃自 己 責 任 ﹄ と さ れ た 。 / 例 え ば 、 学 生 時 代 に ﹃受 験 戦 争 ﹄ の 辛 さ を 口 に し た と す る 。 も し く は 社 会 に 出 て か ら 非 正 規 雇 用 の 厳 し さ な ど を 愚 痴 る と す る 。 そ の た び に 私 に 投 げ つ け ら れ た の は ﹃社 会 の せ い に す る な ﹄ と い う 言 葉 だ っ た 。 個 人 の 問 題 を 、 社 会 や 政 治 と 関 連 づ け て 考 え る こ と そ の も の が ﹃自 ら の 努 力 不 足 ﹄ と 棚 上 げ し て 何 か の せ い に す る 卑 劣 な 行 為 で あ る ︱︱ ず っ と ず っ と 、 そ う 思 い 込 ま さ れ て き た 。 大 人 た ち も 友 人 た ち も そ う 言 っ た 。 ⋮ ⋮ だ け ど 、 本 当 に そ う な の だ ろ う か ? そ ん な 疑 問 を 、 何 度 も 何 度 も 飲 み 込 ん で き た 。 ﹂ ﹁ し か し 、 自 分 の 中 に 巨 大 な 矛 盾 を 飲 み 込 み 、 す べ て 自 分 の せ い だ と 思 い 続 け る こ と は 心 を 膿 ま せ る 。 政 治 や 社 会 に 回 路 が 開 か れ る 以 前 、 二〇 代 前 半 ま で の 私 が 自 傷 行 為 を 繰 り 返 し て き た こ と と 、 旧 文 部 省 の 通 達 に は 、 密 接 な 関 係 が あ る と 思 う の だ 。 な ぜ な ら 、 ど ん な に ﹃ 社 会 の せ い に す る な ﹄ と 言 わ れ よ う と も 、 私 は 社 会 に 大 い な る 矛 盾 を 発 見 し て い た か ら で あ る 。 そ う し て そ れ は 純 度 の 高 い 怒 り と な っ て 、 自 分 の 中 に 燻 っ て い た か ら で あ る 。 し か し 、 そ れ を ぶ つ け る 先 な ど な く 、 ぶ っ け る 方 法 も わ か ら な か っ た か ら 、 自 分 自 身 に ぶ つ け て い た の で あ る 。 ﹂ ﹁ も う ひ と つ 、 私 の 生 き づ ら さ に お い て 結 構 な 比 重 を 占 め て い た の は ﹃無 力 感 ﹄ だ 。 自 分 は 何 を 思 お う と も 何 を し よ う と も 、 こ の 矛 盾 だ ら け の 世 界 を 一 ミ リ た り と も 変 え ら れ な い と い う 感 覚 。 こ れ は じ わ じ わ と 私 を 蝕 む も の だ っ た 。 ﹂ 七〇 代 後 半 か ら 、 と り わ け九〇 年 代 以 降 の 社 会 状 況 が 、 逃 げ 場 の な い 自 己 責 任 論 と 無 力 感 に よ っ て 、 若 者 た ち を い か に 蝕 ん で い っ た か を 、 雨 宮 さ ん は 、 自 身 の 体 験 を 通 し て 語 っ て い る わ け で す 。 自 己 責 任 論 と 無 力 感 に 支 配 さ れ て い れ ば 、 仲 間 と 連 帯 し て 社 会 や 政 治 の 在 り 方 を 変 え て い こ う な ど と い う 発 想 は 生 ま れ て こ な い 。 社 会 の 現 状 に 適 応 し て 何 と か 生 き 残 ろ う と い う 方 向 に お い た て ら れ て い く 。 し か し 、 そ の 中 で も 、 疑

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問 や 不 満 は 内 面 で く す ぶ り 続 け る 。 そ の は け 口 と し て 、 ま た 、 ﹁ そ の 矛 盾 を 覆 い 隠 す た め に 、 国 民 の 声 が 政 治 に 反 映 す る 民 主 主 義 の 回 路 を 封 じ 、 国 民 統 合 の イ デ オ ロ ギ ー と し て ナ シ ョ ナ リ ズ ム を 強 力 に 利 用 し 操 作 す る よ う に な っ た 。 ﹂ (前 掲 、 佐 貫 氏 ) 。 ﹁ 戦 争 す る 国 ﹂ づ く り は 、 こ の よ う な メ ン タ リ テ ィ ー づ く り 、 ﹁ 人 づ く り ﹂ と 一 体 の も の と し て 進 め ら れ て き た と い う こ と で す 。 時 代 の 重 圧 の 中 か ら︱︱ 保 守 性 の な か の 革 新 性 し か し 、 ﹁ 今 、 若 者 と 政 治 の 回 路 は 繋 が り つ つ あ る ﹂ と 雨 宮 さ ん は 指 摘 し て い ま す 。 で は 、 ﹁ 自 己 責 任 論 と 無 力 感 ﹂ と い う 壁 を 突 破 し て い く 契 機 は 何 で あ っ た の か 。 ﹁ 戦 争 法 案 に 反 対 の 声 を 上 げ る 若 者 た ち に ﹃ 政 治 に 興 味 を 持 っ た き っ か け は ? ﹄ と 尋 ね る と 、 必 ず と 言 っ て い い ほ ど ﹃ 三 ・ 一 一 ﹄ と い う 答 え が 返 っ て く る 。 小 中 高 生 と い う 多 感 な 時 期 に 経 験 し た 東 日 本 大 震 災 と 原 発 事 故 。 ⋮ ⋮ / ﹃あ の 時 、 政 治 に 任 せ る だ け だ と こ の 先 生 き て い け な い な っ て 思 い ま し た ﹄ 。 そ う 語 る 大 学 生 も い れ ば 、 ﹃震 災 が あ っ た 年 、 中 二 か ら 脱 原 発 デ モ に 参 加 し て き た ﹄ と い う 大 学 生 も い る 。 ﹃私 た ち は こ の 四 年 以 上 、 考 え る 訓 練 を し て き た ん で す ﹄ 。 そ う 語 る 高 校 生 も い る 。 ﹂ 三 ・ 一 一 と と も に 、 若 者 た ち と 政 治 と を 繋 い で い っ た も う 一 つ の 契 機 は 、 日 本 社 会 に お け る 格 差 と 貧 困 の 拡 大 で す 。 ﹁ 物 心 つ い た 頃 か ら ﹃ 失 わ れ た 一〇 年 ﹄ と 言 わ れ 、 そ れ が ﹃失 わ れ た 二〇 年 ﹄ と な り 、 大 学 生 に な れ ば な っ た で 二 人 に 一 人 が ﹃学 生 を 食 い 物 に す る 貧 困 ビ ジ ネ ス ﹄ と 悪 名 高 い 奨 学 金 を 数 百 万 円 背 負 わ さ れ 、 ブ ラ ッ ク バ イ ト を 掛 け 持 ち し な が ら 生 活 苦 に 喘 ぎ 、 な ん と か 大 学 を 卒 業 し て も 就 職 難 の 中 、 正 社 員 に な る の は 至 難 の 業 。 低 賃 金 で 不 安 定 な 職 に し か 就 け ず 、 や む を 得 ず 月 数 万 円 の 奨 学 金 返 済 を 滞 納 し て し ま う と 、 文 科 省 の 有 識 者 会 議 で は ﹃ 防 衛 省 で イ ン タ ー ン さ せ た ら ど う か ﹄ な ん て 話 に な っ て い る 。 ﹃ こ れ っ て ア メ リ カ の 経 済 徴 兵 制 と 同 じ じ ゃ な い の ? ﹄ そ う 思 っ て い た 矢 先 に 出 て き た の が 安 保 関 連 法 案 だ 。 ﹂ 三 ・ 一 一 と 格 差 ・ 貧 困 の 拡 大︱︱ こ の 状 態 を つ く り 出 し て き た 政 治 、 そ れ に 従 っ て き た 大 人 た ち へ の 不 信 。 ま た 、 こ ん な 状 態 を 放 置 し て い た の で は 、 こ れ か ら 先 、 自 分 た ち は ﹁ 生 き て い け な い ﹂ と い う 切 実 な 思 い 。 そ れ が 、 ﹁ 政 治 の 禁 止 ﹂ と い う く び き か ら 、 若 者 た ち が 、 自 ら を 解 放 し て い く 契 機 に な っ た 、 と 雨 宮 さ ん は 指 摘 し て い ま す 。 そ れ で は 、 次 に 、 こ の プ ロ セ ス を 、 シ ー ル ズ の メ ン バ ー が 、 自 分 の 個 人 的 な 体 験 に 即 し て 語 っ て い る 文 章 を 紹 介 し ま す 。 そ れ は 、 大 澤 茉 実 さ ん の 、 ﹁ S E A L D s の 周 辺 か ら-保 守 性 の な か の 革 新 性 ﹂ (前 掲 、 ﹃現 代 思 想 ﹄ ) と い う

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文 章 で す 。 大 澤 さ ん は 、 こ の 中 で 、 自 分 が シ ー ル ズ に 参 加 し て い く 過 程 を 次 の よ う に 書 い て い ま す 。 昨 年 の 一 二 月 、 S N S を 通 し て S A S P L (特 定 秘 密 保 護 法 に 反 対 す る 学 生 有 志 の 会 / シ ー ル ズ の 前 身 ) の 存 在 を 知 っ た が 、 そ の 時 は 、 彼 ら の 言 う ﹁ こ の 当 た り 前 の 日 常 を 守 り た い ﹂ と い う ス ピ ー チ に 私 は 共 感 で き な か っ た 。 ﹁ は や く 、 誰 か 、 こ の 日 常 を ぶ ち 壊 し て く れ 、 と 願 い な が ら 、 頭 か ら 布 団 を か ぶ り 、 こ こ で は な い ど こ か を 夢 想 ﹂ し て い た の が 当 時 の 私 だ っ た 。 だ が 、 そ う い う 私 を 変 え 、 動 か し た の は 週 に 二 度 出 勤 す る ア ル バ イ ト だ っ た 。 そ こ に は 私 に 似 た 女 の 子 が た く さ ん い た 。 離 婚 で 心 を 病 ん だ 母 親 が 失 踪 し 、 暴 力 を ふ る う 兄 と 二 人 き り に な っ て し ま っ た 女 の 子 。 奨 学 金 の 返 済 に 追 わ れ 、 お な か の 子 ど も を 堕 ろ し た 女 の 子 。 家 に 帰 っ て も 食 事 が 出 な い た め 、 お 菓 子 ば か り 食 べ て い る 女 の 子 ⋮ ⋮ 。 ﹂ 大 澤 さ ん は 、 彼 女 た ち が 自 分 と 同 じ よ う に 絶 望 を 抱 え な が ら 必 死 に 生 き て い る 姿 を 発 見 す る 。 そ し て 、 明 日 の 命 を 探 す の に 必 死 な 彼 女 た ち が 国 会 の 議 論 な ど に 興 味 が も て る は ず が な い と 思 う 。 し か し 、 大 澤 さ ん 自 身 は 、 彼 女 た ち と の 出 会 い を 通 し て 、 日 本 政 治 の 歪 み 、 そ の 歪 み を つ く り だ し て い く 根 源 に 目 を む け て い く 。 ﹁ 私 は 、 命 を 馬 鹿 に す る 政 治 が 許 せ な か っ た 。 安 保 法 案 だ け で は な い 。 高 学 費 の 問 題 、 労 働 者 派 遣 法 の 改 正 、 女 性 が 輝 く (笑 ) 政 策 。 少 し だ け 彼 女 た ち よ り 時 間 と お 金 に 余 裕 の あ る 私 は 、 本 を 読 む 、 勉 強 す る 。 そ し て 社 会 が 抱 え 込 ん だ 矛 盾 や 理 不 尽 さ を 知 る 。 政 権 が 見 て 見 ぬ ふ り を す る 無 数 の 人 々 の 行 く 末 を 想 い な が ら 。 ﹂ ﹁ シ ン グ ル マ ザ ー が 生 き づ ら い 社 会 の 仕 組 み や 、 奨 学 金 に 頼 ら ざ る を え な い 貧 困 家 庭 に 育 っ た こ と の 、 ど こ に 彼 女 の 責 任 が あ る の か 。 彼 女 が 彼 女 ら し く 生 き る こ と を 社 会 保 障 制 度 の 欠 陥 に よ っ て 諦 め ね ば な ら な い の な ら 、 そ れ は 命 を 差 し 出 し て い る こ と と な に も 変 わ ら な い 。 彼 女 が 産 み た か っ た 子 ど も は 、 も う 死 ん だ 。 た っ た 一 人 の 子 を 産 み 育 て る こ と を 許 さ な か っ た 政 治 が 、 い ま 安 全 保 障 関 連 法 案 を 成 立 さ せ よ う と し て い る 。 す で に 数 え き れ な い ほ ど の 命 を 見 殺 し に し て き た 政 権 が 、 ﹃安 全 ﹄ を ﹃保 障 ﹄ す る と 謳 う 法 案 に 無 邪 気 に 賛 成 で き る ほ ど 、 私 を と り ま く 世 界 は す で に 安 全 で は な い 。 ﹂ 大 澤 さ ん は 、 自 己 責 任 論 を 明 確 に 批 判 し て い る 。 と 同 時 に 、 ﹁ 少 し だ け 彼 女 た ち よ り 時 間 と お 金 に 余 裕 の あ る 私 ﹂ だ か ら こ そ 、 社 会 の 抱 え 込 ん で い る 矛 盾 ・ 不 条 理 と は 何 か を 、 本 を 読 み 勉 強 し て 知 ろ う と す る 。 ﹁ 政 権 が 見 て 見 ぬ ふ り を す る 無 数 の 人 々 の 行 く 末 ﹂ に 思 い を は せ る か ら こ そ 、 そ の た め に 、 自 分 に 与 え ら れ て い る 条 件 を ど う 生 か す べ き

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か を 真 剣 に 考 え る 。 そ こ か ら 生 ま れ て く る 、 本 を 読 み 勉 強 し よ う と い う 思 い 。 こ う し た 真 剣 な 思 索 ・ 学 び の 中 か ら 、 ﹁命 を 馬 鹿 に す る 政 治 ﹂︱︱ ﹁ ﹁ す で に 数 え き れ な い ほ ど の 命 を 見 殺 し に し て き た 政 権 ﹂ と い う 、 日 本 の 政 治 の 本 質 を 暴 き 出 す 言 葉 、 借 り 物 で は な い 自 分 の 言 葉 も 生 ま れ て く る 。 そ ん な ふ う に 思 え て き ま す 。 大 澤 さ ん は 、 こ う し た 体 験 を 経 て 、 シ ー ル ズ に 関 わ り は じ め る こ と に な り ま す 。 ﹁ 彼 ら の な か に 飛 び 込 ん で 、 は じ め て 気 づ い た の は 、 S E A L D s は 個 人 の 集 ま り で あ る と い う こ と だ 。 そ こ で は 、 沖 縄 出 身 の 子 も 、 東 北 か ら 来 た 子 も 、 在 日 の 子 も 、 ﹃わ た し ﹄ と し て 法 案 に 反 対 す る 理 由 を 語 っ て い た 。 ﹂ 大 澤 さ ん は 、 そ こ に 、 ﹁ 彼 ら と 共 に 運 動 を 創 っ て い け る と い う 手 応 え ﹂ を 感 じ る 。 そ し て 、 以 前 は 、 共 感 で き な か っ た ﹁ こ の 当 た り 前 の 日 常 を 守 り た い ﹂ と い う 言 葉 の 意 味 を 捉 え な お し て い く こ と に な り ま す 。 運 動 に 参 加 し て い る 若 者 の 内 的 衝 動 に は 、 原 発 事 故 に よ る 価 値 観 の 転 換 に 加 え 、 ﹁ 今 日 よ り 明 日 は よ く な ら な い 停 滞 の 時 代 を 生 き る た め の サ バ イ バ ル 的 人 生 観 が あ る 。 だ か ら 、 若 者 が 運 動 に 参 加 す る と き 、 基 本 的 な 目 標 は ﹃ こ れ 以 上 状 況 を 悪 化 さ せ る な ﹄ と な る し 、 そ れ は 保 守 性 を 帯 び る こ と に な る 。 私 は 、 そ の 表 面 的 な 部 分 に 抵 抗 感 を 持 っ て い た わ け だ が 、 運 動 に 飛 び 込 ん で 、 そ の 保 守 性 の な か に は 、 同 時 に 私 た ち の 世 代 が 持 つ 革 新 性 が 編 み 込 ま れ て い る と 感 じ る よ う に な っ た 。 ﹂ ﹁ 経 済 の 停 滞 が 形 成 し た 私 た ち の サ バ イ バ ル 的 な 人 生 観 は 、 な に よ り も ま ず 日 々 を 生 き 抜 く こ と を 至 上 命 題 と す る 。 そ の た め 、 表 面 的 に は 若 者 は 保 守 的 で 政 治 に 無 関 心 に 映 る か も し れ な い が 、 現 実 に は さ ま ざ ま な 試 行 錯 誤 を 経 験 し な が ら 熾 烈 な ﹃政 治 ﹄ を 生 き て い る 。 / そ の こ と が 、 民 主 的 で 柔 軟 な 組 織 を つ く る た め の 創 意 工 夫 に つ な が る 。 そ し て そ れ は 、 与 え ら れ た 現 実 の な か で よ り 賢 く 生 き る た め に 私 た ち が 持 ち は じ め た 強 か な 革 新 性 な の だ 。 そ の 実 感 が あ る か ら こ そ 、 私 は 運 動 に 一 片 の 希 望 を 抱 く 。 ﹂ ﹁ 一 緒 に 生 き た い 人 た ち が い る 。 取 り 戻 し た い 私 自 身 の 人 生 が あ る 。 そ ん な 私 が 、 オ ド オ ド し な が ら 運 動 に 加 わ る の も ま た カ ッ コ 良 い じ ゃ な い か と 、 去 年 ま で の 布 団 の な か に い た 自 分 を 慰 め た い 。 一 緒 に 働 く 女 の 子 た ち の ﹃生 ﹄ を 肯 定 す る と 同 時 に 、 自 分 自 身 の ﹃生 ﹄ を も 肯 定 し た い の だ 。 ﹂ ﹁ あ の 頃 も 今 も 、 繰 り 返 し 聞 く ア イ ド ル の 曲 の 歌 詞 を 引 用 し て 結 論 に 代 え る 。 /︱︱ マ イ ナ ス か ら の ス タ ー ト 舐 め ん な ( で ん ぱ 組inc. ﹃W.WD ﹄ ) 。 ﹂ 日 本 社 会 の 反 動 化 が 急 速 に 進 ん で い く 現 実 の 中 か ら 、 な ぜ 、 シ ー ル ズ に 参 加 す る 若 者 た ち が 登 場 し て き た の か 。 そ の 点 について 考 え る う え で 、 運 動 に 参 加 し て い る 若 者 た ち

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の 保 守 性 と 革 新 性 と の 関 係 について 、 大 澤 さ ん が 指 摘 し て い る こ と は 非 常 に 重 要 な 点 だ と 思 い ま す 。 私 は 、 今 ま で 、 こ う い う 視 点 で 、 目 の 前 の 若 者 た ち を 見 る と い う こ と が な か っ た 。 ﹁ 今 日 よ り 明 日 は よ く な ら な い ﹂ こ と を 、 日 々 を 生 き 抜 く た め の 様 々 な 試 行 錯 誤 の な か で 実 感 せ ざ る を え な い 絶 望 的 現 実 、 矛 盾 だ ら け の 現 実 。 雨 宮 さ ん は 、 さ っ き 紹 介 し た 文 章 の 中 で 、 こ う し た 現 実 に 対 す る 疑 問 を 何 度 も 何 度 も 飲 み 込 ん で 、 そ の 結 果 、 自 分 自 身 に 怒 り を ぶ つ け る し か な く な っ た と 語 っ て い ま し た 。 し か し 、 大 澤 さ ん た ち の 場 合 は 、 そ う い う 現 実 を 生 き 抜 こ う す る な か で 、 奪 わ れ て は な ら な い も の 、 踏 み に じ ら れ て は な ら な い も の を 、 実 感 と し て っ か ん で い く 。 そ し て 、 そ の 実 感 か ら 、 民 主 主 義 を 、 ま た 、 ﹁ す べ て の 国 民 は 、 個 人 と し て 尊 重 さ れ る ﹂ (﹁ 日 本 国 憲 法 ﹂ 第 十 三 条 ) と い う 言 葉 の 意 味 を 、 ま さ に ︿ 自 分 ご と ﹀ と し て 発 見 し て い く と い う こ と に も な っ た の で は な い か 。 言 い 換 え る と 、 人 間 ら し く 生 き て い く た め に 、 共 通 の 土 台 と な っ て い る も の 、 当 た り 前 の 日 常 の 土 台 と な っ て い る も の を 、 発 見 し て い く 。 共 通 の 土 台 と な っ て い る も の を あ く ま で 大 事 に し 、 さ ら に 、 土 台 そ の も の を よ り 豊 か な も の に 変 え て い こ う と す る 姿 勢 、 そ れ が 、 大 澤 さ ん の 言 う ﹁ 保 守 性 の な か に 編 み 込 ま れ た 革 新 性 ﹂ と い う こ と で は な い か 。 現 実 の 壁 が ど ん な に 厚 い か と い う こ と も よ く 知 っ て い る か ら こ そ 、 こ こ で 創 る こ と が で き た 集 団 の 大 切 さ が 実 感 で き る 。 だ か ら 、 シ ー ル ズ の 若 者 た ち は 、 反 体 制 の 程 度 ( ﹁ 革 新 性 ﹂ の 程 度 ) を 競 い あ っ て 決 裂 す る な ど と い う こ と は し な い 。 ま た 、 だ か ら こ そ 、 土 台 を 破 壊 し よ う と す る 政 治 に 対 し て 、 粘 り 強 く 闘 っ て い く た め に 、 ﹁ 民 主 的 で 柔 軟 な 組 織 を つ く る た め の 創 意 工 夫 ﹂ を 積 み 重 ね て い く 。 展 望 が 見 い だ せ な い よ う な 状 況 の 中 か ら 、 そ れ と の 格 闘 、 そ の 中 で の 様 々 な 葛 藤 を 通 し て 、 現 実 を 変 革 し よ う と す る 新 し い 主 体 が 生 れ て き た 。 歴 史 の 弁 証 法 と い う の は こ う い う こ と か と 思 い ま す 。 ま た 、 彼 ら の 姿 を 通 し て 、 戦 後 七〇 年 の な か で 、 い ろ い ろ な 弱 点 を 伴 い な が ら も 、 多 く の 人 々 の 努 力 の 中 で 培 わ れ て き た 民 主 主 義 の あ り 方 、 そ の 価 値 を 、 私 た ち は 再 発 見 で き た 。 こ れ は 、 中 野 晃 一 さ ん ( 上 智 大 学 教 授 ) の 表 現 を 借 り れ ば 、 ﹁ 敷 布 団 ﹂ の 価 値 の 再 発 見 と い う こ と で も あ り ま す 。 中 野 さ ん は 、 労 働 運 動 や 平 和 運 動 な ど の 長 年 の 地 道 な 闘 い (﹁ 敷 布 団 ﹂ ) が あ っ た か ら こ そ 、 シ ー ル ズ な ど の 新 し い 市 民 運 動 が 出 現 し た の で あ り 、 こ の 新 し い 市 民 運 動 が ﹁ 掛 け 布 団 ﹂ と な っ て 、 ﹁ 敷 布 団 ﹂ に も 、 活 力 を 与 え た と 指 摘 し て い ま す 。 こ の ﹁ 敷 布 団 ﹂ の 中 に は 、 文 教 研 も そ の 一 員 で あ る 、 日 本 の 民 間 教 育 運 動 も 入 っ て い る は ず で す 。 ﹁ 掛 け 布 団 ﹂ が 活 力 を 与 え て く れ た と い う の は 本 当 で

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す ね 。 シ ー ル ズ を 知 っ て か ら 、 私 自 身 も 、 教 育 ・ 研 究 活 動 に や る 気 が 出 て き た 。 ま た 、 文 教 研 の 例 会 で も 、 最 近 、 シ ー ル ズ を め ぐ っ て 熱 い 議 論 が 展 開 さ れ て 、 そ こ で 、 私 が ﹁ 感 動 し た 、 感 動 し た ﹂ と 連 呼 し た ら 、 ﹁ そ う い う 紋 切 り 型 で 、 シ ー ル ズ について 語 る べ き で は な い ﹂ と い う 批 判 を 受 け て 、 や っ と 冷 静 に な っ た と い う こ と な ど も あ っ た の で す が 、 シ ー ル ズ を 話 題 に す る と ど う し て か 熱 く な っ て し ま う の で す ね 。 私 の 中 の 共 鳴 板 私 は 、 今 年 ( 二〇 一 五 年 ) で 六 十 歳 に な っ た の で す が 、 そ う い う 私 の 中 に あ る 共 鳴 板 は 何 か 。 六 十 年 代 の 末 か ら 七〇 年 代 に 、 一〇 代 の 後 半 か ら 二〇 代 前 半 を 過 ご し た わ け で す が 、 高 校 で も 大 学 で も 、 学 問 と 政 治 について 熱 く 語 り 合 う と い う こ と が あ っ た 。 ゼ ミ が 終 わ っ た あ と も 、 飲 み 会 で さ ら に 討 論 を 続 け る 。 も ち ろ ん 、 デ モ に も 参 加 し ま し た 。 私 は 、 法 政 大 学 の 日 本 文 学 科 に 入 学 し た の で す が 、 明 星 学 園 高 校 の 先 生 た ち か ら は 、 ﹁ 文 学 を 研 究 す る た め に も 、 大 学 で は き ち ん と ﹃資 本 論 ﹄ を 読 む よ う に ﹂ と い う ﹁ 教 育 的 指 導 ﹂ を う け て い た の で 、 入 学 後 、 す ぐ 、 経 済 学 部 の 掲 示 板 で 、 潜 り 込 ま せ て く れ そ う な ﹁ 資 本 論 ゼ ミ ﹂ を 探 し た の で す 。 そ う し た ら ﹁ 学 部 ・ 学 科 ・ 大 学 の 内 外 を 問 わ ず 、 ﹃資 本 論 ﹄ を 学 び た い 者 は 来 た れ ﹂ と 書 い て あ る ゼ ミ が あ っ て 、 そ こ に 入 れ て も ら い ま し た 。 こ ん な ﹁ ゼ ミ 生 募 集 ﹂ な ん て 、 今 で は 考 え ら れ な い で し ょ う 。 で も 、 こ の ゼ ミ の 先 輩 た ち は 、 こ れ が 当 た り 前 だ と 思 っ て い る し 、 私 も 、 当 然 こ う あ る べ き だ と 思 っ て い た 。 そ う い う 雰 囲 気 の 中 で 、 自 分 た ち の 生 き る 方 向 性 、 あ る べ き 方 向 性 について 考 え る こ と と 関 連 づ け て 、 ﹃資 本 論 ﹄ について 学 べ た こ と は 、 本 当 に 良 か っ た 。 し か し 、 そ う い う 雰 囲 気 、 社 会 ・ 政 治 について 、 ま た 、 そ の 現 状 を ど う 変 革 す べ き か について 、 議 論 す る 文 化 が 、 社 会 全 体 か ら 、 特 に 若 者 の 世 界 か ら 、 ど ん ど ん 消 え て 行 っ た 。 も ち ろ ん 、 そ の 中 で も 、 新 し い 世 代 の 人 た ち の 発 言 に 学 ぶ べ き も の は い ろ い ろ あ っ た わ け で す 。 し か し 、 今 回 の よ う に 、 そ れ を 聞 い て 熱 く な る と い う よ う な こ と は ほ と ん ど な か っ た 。 し か し 、 大 月 書 店 の ﹃ 民 主 主 義 っ て こ れ だ ! ﹄ を 読 む と 、 こ れ は 私 の 勝 手 な 思 い 込 み か も し れ な い け れ ど 、 当 時 、 私 た ち が 共 有 し て い た 雰 囲 気 、 若 者 た ち の 雰 囲 気 と 何 か つ な が り 合 う も の 、 な つ か し さ み た い な も の を 感 じ る 。 し か し 、 も ち ろ ん 、 過 去 が そ の ま ま 繰 り 返 さ れ て い る わ け で は な く 、 さ っ き か ら 話 題 に し て い る よ う に 、 ﹁ 保 守 性 に 編 み 込 ま れ た 革 新 性 ﹂ と い う 言 葉 が 象 徴 し て い る よ う な 新

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鮮 さ 、 一 人 一 人 が 個 性 的 な 結 節 点 と な っ て 、 新 し い つ な が り を 創 り 上 げ て い こ う と す る 柔 軟 性 が あ る 。 政 治 に 対 し て 正 面 か ら 向 か い 合 っ て い て 、 し か も 同 時 に そ こ に 、 ユ ー モ ア ・ 愛 嬌 が あ る 。 私 は 、 最 近 、 シ ー ル ズ の メ ン バ ー か ら 直 に 話 を 聞 く 機 会 が あ っ た の で す が 、 特 に そ う 感 じ ま し た 。 民 主 主 義 を 自 分 の 言 葉 で こ こ で 、 先 ほ ど 紹 介 し た 大 澤 さ ん の 文 章 の 中 に あ っ た ﹁ ﹃わ た し ﹄ と し て 法 案 に 反 対 す る 理 由 を 語 っ て い た 。 ﹂ と い う こ と に 話 題 を 移 し ま す 。 シ ー ル ズ の 若 者 た ち の 言 葉 ・ 文 体 について 、 ﹁ 私 ﹂ を 主 語 と し て 語 っ て い る と い う こ と が 言 わ れ ま す 。 そ の ﹁ 私 ﹂ と は ど ん な ﹁ 私 ﹂ な の か と い う 点 について 少 し 見 て い き た い と 思 い ま す 。 さ っ き 紹 介 し た 大 澤 さ ん の 文 章 も そ う で す け れ ど 、 シ ー ル ズ の 若 者 た ち の 文 章 ・ ス ピ ー チ に は 、 社 会 問 題 ・ 政 治 問 題 を ︿ 自 分 ご と ﹀ と し て 受 け 止 め ら れ る よ う に な っ て い く 過 程 が 語 ら れ て い ま す 。 例 え ば 、 佐 竹 美 紀 さ ん は 、 ﹃ 民 主 主 義 っ て こ れ だ ! ﹄ の 中 で 、 首 相 官 邸 前 抗 議 行 動 に 参 加 し て 声 を あ げ る に 至 る 過 程 を 次 の よ う に 語 っ て い ま す 。 ﹁ 毎 日 、 新 聞 に 目 を 通 し て 、 本 を 読 み 、 知 識 を 蓄 え て 自 分 で 考 え る 。 そ し て 、 人 と 対 話 し 考 え を 深 め 、 行 動 す る 。 こ う し て 自 分 の 信 じ る " 正 し い も の " を 見 出 し て い く 。 い ま 自 分 が や る べ き 闘 い を 、 日 常 に 投 影 す る と い う こ と で す 。 / で も 、 私 の 中 の い ろ ん な 欲 求 に 邪 魔 さ れ て 、 こ れ が な か な か で き ま せ ん で し た 。 / だ か ら 私 は 思 い ま し た 。 た だ 政 治 家 に 敵 対 す る こ と が 趣 旨 で は な い ん だ と 。 ﹂ ﹁ 私 は 甘 え て い ま し た 。 政 治 は 難 し い と 言 い な が ら 、 政 治 家 の 言 葉 と ち ゃ ん と 向 き あ っ て こ な か っ た 。 大 人 た ち は わ か っ て く れ な い と 、 反 抗 期 の 子 ど も の よ う に 反 発 す る ば か り で 対 話 を し て こ な か っ た 。 批 判 さ れ る の が 怖 く て 、 み ず か ら の 声 や 言 葉 で 考 え て 主 張 し て こ な か っ た 。 忙 し さ を 理 由 に し て 勉 強 す る こ と か ら 逃 げ て い た 。 / 人 々 が 闘 い 、 勝 ち 取 っ て き た 自 由 の も と に 生 か さ れ て い な が ら 、 自 分 で は 闘 う こ と を 放 棄 し て い た 。 ﹂ ﹁ 先 生 が 言 い ま し た 。 い ま 目 の 前 に ぶ つ か っ て い る 問 題 と 向 き 合 う こ と が い ち ば ん 大 切 で 、 難 し い と 。 / で も 、 そ れ を 実 現 さ せ て い る 人 を 私 は た く さ ん 知 っ て い ま す 。 こ こ に い る 仲 間 や 学 校 の 先 生 、 旅 で 出 会 っ た 人 た ち で す 。 彼 ら は 、 彼 ら 自 身 の 正 し さ を 見 出 し て 、 ま た 、 そ れ を 追 い 求 め つ づ け て い ま す 。 / そ し て 私 に 教 え て く れ ま し た 。 / 平 和 は 勝 手 に 歩 い て は こ な い ん だ と 。 / そ れ ぞ れ の 正 義 や 欲 求 は ぶ つ か り あ う ん だ と 。 / だ け ど 、 民 主 主 義 と は 、 そ れ ぞ れ の 正 義 や 欲 求 を ぶ つ け あ い 、 私 た ち 自 身 が 考 え 、 訴 え 、

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国 を つ く り あ げ て い く こ と を そ の も の な ん だ と 。 ﹂ ﹁ 私 は も う 二 度 と 、 こ こ に 立 つ こ と を 恐 れ ま せ ん 。 / 私 は 、 私 の 中 で 学 び 考 え 、 行 動 し つ づ け ま す 。 ﹂ 大 澤 さ ん も 、 佐 竹 さ ん も 、 そ れ ぞ れ 自 分 の 言 葉 ・ 自 分 の 文 体 で 語 っ て い る 。 本 当 に 重 要 な 社 会 問 題 、 そ れ を 考 え れ ば 考 え る ほ ど 、 様 々 な 葛 藤 が 生 れ 、 ま た 、 自 分 の 問 題 に な っ て い な い の で は と い う 後 ろ め た さ を 感 じ ざ る を え な い 問 題 が あ る 。 し か し 、 そ こ で 逃 げ る ん じ ゃ な く て 、 そ れ を ︿ 自 分 ご と ﹀ に し て い こ う と す る 格 闘 を 通 し て 、 そ の 格 闘 の 中 で こ そ 行 わ れ る 対 話 (自 他 の 対 話 ・ 自 己 内 の 対 話 ) を 通 し て 、 本 当 の 自 分 の 文 体 と い う の は 、 生 ま れ て く る の で は な い か 。 重 要 な 社 会 問 題 を 、 自 分 の 問 題 と し て 実 感 ぐ る み に つ か ん で い く 回 路 は 、 多 様 な 対 話 を 通 し て 、 一 人 一 人 が 自 分 で 発 見 し て い く わ け だ か ら 、 そ れ は 同 時 に 、 一 人 一 人 が 自 分 の 文 体 を 創 造 し て い く 過 程 に も な っ て い く 。 ま た 、 大 澤 さ ん と 佐 竹 さ ん の よ う に 、 そ う い う 過 程 を 言 葉 に よ っ て 対 象 化 し て い く こ と 自 体 が 、 自 分 の 文 体 を 創 造 し て い く こ と に も な る 。 ま た 、 そ れ は 、 民 主 主 義 と は 何 か を 自 分 の 言 葉 で 語 れ る よ う な 自 分 ・ 私 に な っ て い く こ と で も あ る 。 ﹃民 主 主 義 っ て こ れ だ ! ﹄ を 読 む と 、 一 人 一 人 が 、 自 分 の 言 葉 で 、 民 主 主 義 を 語 り 、 定 義 し て い ま す ね 。 例 え ば 、 佐 竹 さ ん は 、 ﹁ 民 主 主 義 と は 、 そ れ ぞ れ の 正 義 や 欲 求 を ぶ つ け あ い 、 私 た ち 自 身 が 考 え 、 訴 え 、 国 を つ く り あ げ て い く こ と そ の も の な ん だ と ﹂ と 、 自 分 の 言 葉 で 定 義 し て い る 。 私 た ち は 、 国 語 教 育 ・ 文 学 教 育 の 目 的 は 、 優 れ た 文 体 ・ 文 体 的 発 想 を 生 徒 た ち の 中 に 培 っ て い く こ と だ と 、 ず っ と 主 張 し て き た の で す が 、 シ ー ル ズ に 学 ん で 言 え ば 、 民 主 主 義 を 自 分 の 言 葉 で 語 る こ と が で き る よ う な 、 そ う い う 発 想︱︱ 文 体 的 発 想 を 生 徒 た ち に 培 っ て い く と い う こ と が 、 今 日 の 、 文 体 づ く り の 国 語 教 育︱︱ 文 学 教 育 の 重 要 な 課 題 に な っ て い る 、 と 言 え る の で は な い か と 思 い ま す 。 私 自 身 、 今 ま で 、 辞 書 的 な 定 義 、 あ る い は 他 人 の 定 義 を な ぞ っ て す ま し て い た 面 が あ っ た の で 、 こ れ は 、 私 自 身 の 課 題 で も あ る わ け で す 。 今 回 、 こ の 集 会 で 、 み ん な で 読 ん で い く こ と に な っ て い る 井 上 ひ さ し さ ん の ﹃ 父 と 暮 ら せ ば ﹄ は そ う い う 意 味 で も 、 ぜ ひ 教 材 化 す べ き 作 品 だ と 思 い ま す 。 孤 独 に 思 考 す る と は こ こ で 、 ま た 、 ﹃民 主 主 義 っ て こ れ だ ! ﹄ に 話 題 を も ど し ま す が 、 こ の 中 に 、 ﹁ 参 議 院 特 別 委 員 会 公 聴 会 ﹂ に お け る 奥 田 愛 基 さ ん の ﹁ 意 見 陳 述 全 文 ﹂ が 収 録 さ れ て い ま す 。 終 わ り の 部 分 で 、 ﹁ ど う か 、 ど う か 、 政 治 家 の 先 生 た ち も 個 人 で い て く だ さ い 。 政 治 家 で あ る 前 に 、 派 閥 に 属 す る 前

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に 、 グ ル ー プ に 属 す る 前 に 、 た っ た 一 人 の 個 で あ っ て く だ さ い 。 自 分 の 信 じ る 正 し さ に 向 か い 、 勇 気 を 出 し て 孤 独 に 思 考 し 、 判 断 し 、 行 動 し て く だ さ い 。 み な さ ん に は 一 人 ひ と り 考 え る 力 が あ り ま す 。 権 利 が あ り ま す 。 ﹂ と 奥 田 さ ん は 訴 え て い ま す 。 こ の ﹁ 意 見 陳 述 全 文 ﹂ も 、 私 は 、 全 体 と し て 素 晴 ら し い 文 章 だ と 思 う し 、 高 校 の 授 業 で も 、 全 文 を コ ピ ー し て 配 布 し ま し た 。 た だ 、 私 は 、 こ の 中 の ﹁ 孤 独 に 思 考 し ﹂ と い う 表 現 に は ち ょ っ と ひ っ か か っ た の で す 。 と い う の は 、 ﹁ 孤 独 ﹂ と い う 言 葉 に 対 し て 、 七〇 年 代 に 若 者 だ っ た 私 は 、 ﹁ 人 間 は 結 局 一 人 だ ﹂ と 思 い こ ま せ 、 仲 間 と の 連 帯 を 創 ろ う と す る 意 欲 に 水 を 差 す よ う な 言 葉 だ と い う ﹁ 偏 見 ﹂ ( ? ) を 持 っ て い る か ら で す 。 も ち ろ ん 、 奥 田 さ ん は 、 一 人 の 個 人 と し て 徹 底 的 に 自 分 の 頭 で 考 え て ほ し い と い う 意 味 で ﹁ 孤 独 ﹂ を 使 っ て い る わ け で 、 こ の ﹁ 孤 独 ﹂ は 、 本 当 の 仲 間 と し て お 互 い が つ な が っ て い く た め の ﹁ 孤 独 ﹂ で す 。 こ う い う ﹁ 孤 独 ﹂ の 使 い 方 は 、 前 に 話 題 に し た シ ー ル ズ の 若 者 た ち の 体 験 と つ な が っ て い る の か も し れ ま せ ん 。 配 布 し た 資 料 の 中 に 、 ﹁ そ の 後 の シ ー ル ズ ③ ﹂ ( ﹃神 奈 川 新 聞 ﹄ ( 二〇 一 五 年 一〇 月 二 八 日 ) と い う 記 事 が あ り 、 そ こ に 、 大 澤 茉 実 の ス ピ ー チ が 載 っ て い ま す 。 (安 全 保 障 関 連 法 に 反 対 す る 学 者 の 会 と シ ー ル ズ が 共 催 す る シ ン ポ ジ ウ ム で の 発 言 。 ) そ の 中 で 、 彼 女 は 、 厳 し い 同 調 圧 力 の 中 で 、 ﹁ 空 気 を 読 ﹂ み 続 け 、 ﹁ 私 は 言 葉 を 自 分 の 中 に 押 し 込 め て 黙 る こ と を 覚 え 、 そ う や っ て ひ た す ら 教 室 に 、 こ の 社 会 に 順 応 す る こ と が 普 通 ﹂ だ と 思 っ て き た と 語 っ て い ま す 。 ﹁ 空 気 ﹂ と い う 同 調 圧 力 の 中 で 、 ﹁ 孤 独 ﹂ で あ る こ と を 許 さ れ な か っ た と い う 体 験 、 そ れ が 、 ﹁ 孤 独 に 思 考 し ﹂ と い う 言 葉 を 選 ぶ こ と に つ な が っ て い っ た の か も し れ な い 。 ま た 、 そ う い う 同 調 圧 力 に 抵 抗 し て 、 本 気 で 仲 間 を 求 め よ う と し 努 力 す る な か で 孤 独 を 痛 感 し 、 し か し 、 そ れ で も 諦 め な か っ た こ と で 本 当 の 仲 間 と 出 会 え た と い う 体 験 が 、 こ の 言 葉 に 反 映 し て い る の か も し れ ま せ ん 。 大 澤 さ ん は 、 さ ら に 次 の よ う に 語 っ て い ま す 。 ﹁ 空 気 を 読 ん で い て は 空 気 は 変 わ ら な い ん で す 。 そ の こ と を デ モ を す る た び 、 街 宣 を す る た び に 、 一 緒 に 声 を 上 げ る 名 前 も 知 ら な い 人 が そ の 勇 気 で も っ て 教 え て く れ ま し た 。 武 器 を 持 ち 人 を 殺 す こ と が 普 通 の 国 だ と い う な ら 、 私 は そ の 普 通 を 変 え た い ん で す 。 ﹂ ﹁ 私 は 手 触 り と 沈 黙 を 大 切 に し 、 私 の 言 葉 で 私 を 語 り 続 け ま す 。 ﹂ ﹁ 私 は ほ ん の 数 年 前 ま で 新 聞 の 中 だ け に あ っ た 沖 縄 を 、 東 北 を 、 こ ん な に も 近 く に 感 じ た こ と は な か っ た 。 彼 ら の 息 づ か い が 、 怒 り の 声 が 、 い ま の 私 に は 聞 こ え ま す 。 ﹂ 奥 田 さ ん は 、 ﹁ 勇 気 を 出 し て 孤 独 に 思 考 し ﹂ と 語 っ て い

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ま し た が 、 孤 独 に 思 考 す る 勇 気 が 本 当 に 生 ま れ る の は 、 共 通 の 課 題 ・ 目 標 ・ 理 想 に 、 肩 と 肩 を 並 べ て 取 り 組 ん で い る 一 人 一 人 の 仲 間 を 発 見 し た と き だ と 思 い ま す 。 そ れ は 、 大 澤 さ ん が 語 っ て い る ﹁ 一 緒 に 声 を 上 げ る 名 前 も し ら な い 人 ﹂ た ち で も あ る 。 ま た 、 そ う い う ﹁ 私 た ち ﹂ は 、 ﹁ 私 ﹂ が 一 人 で 沈 黙 の な か で 思 索 す る と き も 、 ﹁ 私 の 中 の 私 た ち ﹂ と し て 、 ﹁ 私 ﹂ を 支 え 、 ﹁ 私 ﹂ に 問 い か け る 存 在 と な っ て い く 。 ﹁ 彼 ら の 息 づ か い が 、 怒 り の 声 が 、 い ま の 私 に は 聞 こ え ﹂ て く る わ け で す 。 同 調 圧 力 に 追 い 詰 め ら れ な が ら 考 え て い る 時 に は 、 ﹁ こ の 空 気 を 壊 す な 、 こ の 社 会 に 順 応 せ よ ﹂ と 命 令 す る も の が ﹁ 私 ﹂ を 支 配 し て い る 。 ﹁ 私 ﹂ の 内 部 を 、 そ う し た 命 令 -従 属 関 係 が 支 配 し て い る 。 し か し 、 ﹁ 私 の 中 の 私 た ち ﹂ が 対 等 な 関 係 、 徹 底 的 に 対 話 で き る フ ォ ー ラ ム を 形 成 し て い っ た と き 、 奥 田 さ ん の 言 う 意 味 で の 、 孤 独 に 思 考 す る 勇 気 も 生 ま れ て く る の で は な い か と 思 い ま す 。 ﹁ 私 ﹂ を 主 語 と し て 語 る と い う 場 合 の ﹁ 私 ﹂ と は 何 か に ついて 話 題 に し て き ま し た が 、 シ ー ル ズ と い う 集 団 を 創 っ て く 過 程 で 、 一 人 一 人 が そ う い う ﹁ 私 ﹂ に 成 長 し て き た し 、 そ の 中 で 、 一 人 一 人 の 言 葉 も 磨 か れ て い っ た と い う こ と だ と 思 い ま す 。 こ の こ と も 、 文 学 教 育 の 課 題 を 考 え る 上 で も す ご く 大 事 な 問 題 で は な い で し ょ う か 。 ﹁私 ﹂ を 主 語 に し た 教 材 化 を ! 最 近 、 私 は 、 高 校 二 年 生 (女 子 校 ) と 高 校 三 年 生 (男 子 校 ) の 授 業 で 、 丸 山 真 男 の ﹁ ﹃ で あ る ﹄ こ と と ﹃す る ﹄ こ と ﹂ を 扱 い ま し た 。 い い 機 会 だ と 思 っ て 、 丸 山 さ ん や シ ー ル ズ 、 原 発 反 対 の デ モ な ど に 関 す る 資 料 を 配 布 し 、 ま た 、 録 画 し た 映 像 な ど も 見 て も ら い 、 ﹁ 丸 山 さ ん の 言 う 民 主 主 義 を 実 践 し て い る の が 、 君 た ち と ほ ぼ 同 年 代 の シ ー ル ズ で は な い か ﹂ な ど と 、 涙 ぐ み な が ら 語 っ た り し た の で す が 、 多 く の 高 校 生 た ち は シ ー ル ズ を 知 ら な か っ た の で す 。 テ レ ビ な ど で も 報 道 さ れ て い る し 、 ほ ぼ 同 年 代 な ん だ か ら 、 賛 成 ・ 反 対 は と も か く と し て 、 シ ー ル ズ に 興 味 を 持 っ て い て 、 あ る 程 度 の こ と は 知 っ て い る は ず だ と 思 い こ ん で い た の で す が 、 そ う で は な か っ た 。 で 、 と も か く 、 そ う い う 授 業 を し て 感 想 文 を 書 い て も ら い ま し た 。 少 し 紹 介 し ま す 。 あ る 女 子 高 生 は 次 の よ う に 書 い て い ま す 。 ﹁ 安 保 法 案 が 世 の 中 を 騒 ぎ 立 て て い る 。 私 は 正 直 あ ま り 自 分 と は 関 係 な い 事 だ と 思 っ て い た 。 政 治 に 意 見 す る と い う こ と は 過 激 で 、 時 代 遅 れ だ と 考 え て い た 。 若 者 が 政 治 思 想 を 持 つ の は 七〇 年 代 に 廃 れ た 。 最 近 出 現 し た シ ー ル ズ に 関 し て も 、 ダ サ イ だ と か 、 犯 罪 者 予 備 軍 だ と 思 っ て い た 。 将 来 彼 ら が 過 激 組 織 へ と 転 身 し 、 浅 間 山 荘 事

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件 の よ う な テ ロ を 起 こ す の で は な い か と 。 し か し 、 そ れ は 私 の 知 識 不 足 で あ っ た 。 シ ー ル ズ は 暴 力 的 な こ と も せ ず 、 き ち ん と 自 分 の 考 え も 持 っ て い る 。 ⋮ ⋮ 私 た ち は そ れ を 踏 ま え て 、 民 主 主 義 を 創 造 し な け れ ば い け な い 。 ﹂ そ れ か ら 、 授 業 で 見 せ た 映 像 の 中 で 、 そ の 最 後 に 、 ﹁ 民 主 主 義 が 完 了 し た 国 は 一 つ も な い 、 あ ら ゆ る 国 は 民 主 化 の 過 程 に あ る ﹂ と い う 丸 山 さ ん の 言 葉 が 紹 介 さ れ て い る の で す が 、 授 業 が 終 わ っ た ら 、 一 人 の 生 徒 が 私 の と こ ろ に 来 て 、 ﹁ 私 は こ の 言 葉 す ご く い い 言 葉 だ と 思 う 。 で 、 こ れ か ら 勉 強 し た い ん だ け ど 、 全 然 何 も 勉 強 し て い な い 、 何 か 、 こ れ か ら 読 ん だ 方 が い い も の を 教 え て く れ ま せ ん か 。 ﹂ と 言 う ん で す 。 そ れ で 、 ﹃ 父 と 暮 ら せ ば ﹄ を 薦 め ま し た 。 彼 女 は ち ゃ ん と 読 ん で 、 ﹁ 本 当 に 深 い 作 品 で い ろ い ろ 考 え さ せ ら れ た 。 み ん な に も 読 ん で ほ し い ﹂ と い う 感 想 を 聞 か せ て く れ ま し た 。 ﹁ さ ら に 、 読 む べ き も の は ? ﹂ と 聞 く の で 、 ﹁ ぜ ひ 、 シ ー ル ズ 関 係 の 本 を 読 ん で ほ し い ﹂ と 言 っ た ら 、 ﹁ 必 ず 読 み ま す 。 ﹂ と い う 返 事 で し た が 、 ま だ そ の 感 想 は 聞 い て い ま せ ん 。 こ の 程 度 の こ と し か 、 私 に は で き な か っ た の で す が 、 と に か く 、 ﹁ 知 ら な い ﹂ と い う 状 態 の ま ま で は ど う に も な ら な い 。 い ろ い ろ 工 夫 し て 、 ︿ 繋 い で い く ﹀ と い う こ と が 大 事 だ と 思 い ま す 。 教 育 学 者 の 佐 藤 学 (学 習 院 大 学 教 授 ) さ ん も 次 の よ う に 指 摘 し て い ま す 。 (﹁ 戦 争 法 廃 止 に む け て 新 し い 民 主 主 義 の 前 進 と 社 会 変 革 ﹂ / ﹃ 経 済 ﹄ 二〇 一 五 年 一 二 月 号 ) ﹁ シ ー ル ズ や テ ィ ー ン ズ ソ ウ ル (T-nsSOWL ) の 学 生 、 高 校 生 た ち は 本 当 に 頑 張 っ て い ま す 。 し か し 参 加 し て い る 部 分 は ま だ 少 数 で す 。 そ れ は 、 学 生 や 高 校 生 た ち は た い へ ん 厳 し い 状 況 に お か れ て い る か ら で す 。 ﹂ ﹁ さ ら に い う と 、 と く に 一 番 厳 し い 状 況 に お か れ て い る の は 教 師 た ち で す 。 教 師 た ち の 市 民 的 自 由 が な い の で す 。 そ の な か で 18 歳 選 挙 権 が 言 わ れ て い ま す 。 下 手 を す れ ば 、 ? 歳 に 教 育 を す る 教 師 が ク ー デ タ ー の 片 棒 を か つ が せ ら れ る 危 険 す ら あ り ま す 。 そ の 教 師 の 後 ろ に は ﹃ モ ノ 言 わ ぬ 子 ど も た ち ﹄ が い ま す 。 私 は 、 ﹃も の 言 わ ぬ 子 ど も た ち ﹄ と ﹃も の 言 え ぬ 教 師 た ち ﹄ が 教 育 現 場 の 現 状 だ と 言 っ て い ま す 。 子 ど も の 貧 困 は 深 刻 で す 。 / ⋮ ⋮ こ の 状 態 を 変 え な い と 日 本 の 教 育 は 本 当 に 駄 目 に な っ て し ま い ま す 。 ﹂ ﹁ も の 言 わ ぬ 子 ど も た ち ﹂ と ﹁ も の 言 え ぬ 教 師 た ち ﹂ と い う 構 造 は 、 今 に 始 ま っ た こ と で は あ り ま せ ん 。 し か し 、 前 に 紹 介 し た 佐 貫 さ ん の 指 摘 に あ っ た よ う に 、 今 日 の 教 育 統 制 は 、 剥 き 出 し の 権 力 性 と と も に 、 上 か ら の 目 標 を 実 現 す る た め に 、 忠 誠 と 自 発 的 創 意 を ど れ だ け 注 ぎ 込 ん で い る か を 緻 密 に 評 価 す る 仕 組 み に よ っ て 、 教 師 を 徹 底 的 に 管 理 し よ う と

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し て い る わ け で す 。 そ う い う 状 況 の 中 で は 、 国 語 教 育 に お い て も 、 教 科 書 に 載 っ て い る か ら と か 、 受 験 に 役 立 つ か ら だ と か 、 そ ん な 理 由 で 作 品 を 選 び 、 ま た 、 そ ん な 姿 勢 で 授 業 す る こ と に 根 本 的 な 疑 問 を 持 た な い よ う に 教 師 が ど ん ど ん 飼 い な ら さ れ て い く こ と に も な る 。 そ し て 、 そ れ は 、 ク ー デ タ ー の 片 棒 を か つ ぐ こ と に も つ な が っ て し ま う 。 し か し 、 ﹁ も の 言 わ ぬ 子 ど も た ち ﹂ と し か 見 え な か っ た 子 ど も た ち の 中 か ら 、 シ ー ル ズ の 担 い 手 た ち が 登 場 し て き た わ け で す 。 だ か ら 、 私 た ち は 、 ﹁ 必 然 性 と 可 能 性 に お け る 生 徒 た ち の 内 的 要 求 を さ き ど り す る か た ち で 、 そ の 要 求 を 満 た す よ う な 作 品 の 選 択 を お こ な い 、 指 導 手 順 を く む ﹂ と い う 姿 勢 (教 材 化 の 視 点 ) を 失 っ て は な ら な い し 、 そ の た め に 、 ﹁ 教 師 は め い め い に 、 こ れ が 自 分 の 教 材 だ 、 と い う 教 材 と 教 材 体 系 を も つ 必 要 が あ る ﹂ (熊 谷 孝 ﹃言 語 観 ・ 文 学 観 と 国 語 教 育 ﹄ / 明 治 図 書 / 一 九 六 七 年 刊 ) わ け で す 。 そ れ は 、 シ ー ル ズ 的 に 言 え ば 、 一 人 一 人 の 教 師 が 、 私 を 主 語 に し た 教 材 化 を 目 指 す 必 要 が あ る と い う こ と だ と 思 い ま す 。 ( 明 治 大 学 )

参照

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