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デザイン思考の背後に見え隠れするもの(<特集>デザイン思考)

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Academic year: 2021

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(1)

Japanese Society for the Science of Design

NII-Electronic Library Service

Japanese  Sooiety  for  the  Soienoe  of  Design

デ ザ イ

思 考

背 後

見 え 隠 れ す

Appears

 

and

 

Disappears

 

of

 

What

 

Design

 

Thinking

 

Behind

 徹      

YOSHIDA

 

Toru

建 築 家      

Architect

株 式 会 社ユ ウ プラ ス  代 表取締役       ∪ +

lnc

 

CEO

1

イン の

現 場

での

経 験

 私

建 築 家 北 川

原 温の もとで

建 築

デザ イン を 実 践 して き た

独 倉1」的な スタン ス で取 組 む 建 築 家のデ ザ インの現 場 に お け るデ

イン の創 造 プロセス は 大 変 複 雑で

皆 が 苦 悩し デザイ ン を 行っ ていた

多 くのプロジェ ク トの実 務 経 験 は してき た もの の

とて つ も な く 大 き な 山 に 挫 折 感 を 持 ち な がら独 立 と なっ た

当 時バブ ル 経 済 が 破 綻 して いた

仕 事の獲 得のた めに理

武 装し さ まざ まに プ レ ゼンテ

シ ョ ン を 行い

自 由 な 時 間 を活 用 して

建築

デ ザ イン コ ン ペ な どへ も応 募 して いた

こ の経 験 は デザ イン を 理 論 的 に 捉 え

経 験 的 に

評価

を 生 むデザイ ン の 創 造 プロセス のトレ

ニ ングとなっ て い た

時も い くつか の 結 果 を 出 し

仕 事

にも あ りつ い てき た

 

1997

故 郷の 石川 県

と い う 地域へ 経 活 動の拠 点を 移 すこと と なっ た

故 郷

拠 点

と す る と い う

に後ろ向 き な 思 い はな く

むし ろ建 築のデザイ ン の枠を 飛 び出して

あ ら ゆ る デ ザ インの 実 践 と 理 論で地 域へ 貢 献 す ること に 目 を 向 けて いた

2

イ ン 思

の 現

 

デザ イン思 考 (

Design

 

Thinking

いう

言 葉

築 家

ー ・

ロ ウ (

Peter

 

G

 

Rowe

)の著 書 『

Design

 

thinking

邦 題 『ザ イン の 思 考 過 程 』1))において

初め て

著作 物

のタイ トルとして登 場 している

ロウ は

建 築 家 や 都 市 計画立 案 者に よっ て利 用 さ れてき た 問 題 解 決 プロセスを シス テム 思 考 に基 づ いて 説 明を試みてお り

デザ イン の創 造 プロセスと して の言 葉 で は な か っ た

建 築

市 計 画 の 言 語 と して のデ ザ イン思 考 は

ロ ル フ

フ ァス テ (

Rolf

 

Faste

)によっ て

デ ザ インの創

プロ セ ス と して定

さ れていっ た

スタン フォ

ド大 学の機

工学

に は

Visual

 

Thinking

」 とい う

ロバ

マ ッキ ム

Robert

 

McKim

に よ

60

年 代 に 開 始 さ れ た クラ スが 存 在す る

こ の ク ラ ス は

視 覚 的に考えるた めの様々な 訓 練 を 通 じて

創 造

激 すること を目

と し

フ ァ ス テは

,80〜

90

年 代

の大

で の

教 育

に お い て

マ ッキム のコ ンセブ トを 拡 張 し

デザイ ン 思

念を 定義 し

普 及さ せ た

 IDEO

の設 立

デ ィ ビッド

ケ リ

David

 

Kelly

) は

フ ァ

ス テ の ス タン フ ォ

ド大 学 時 代の 同 僚でケ リ

彼の著 書

The

 

Art

 of 

lnnovation

邦 題 ; 『発 想 す る 会 社』2 )) に おい て

lDEO

に お け る デ ザ イ ンプ ロセスを説 明し

 

IDEO

の 現

CEO

ある テ ィム

ブラ ウン

Tim

 

Brown

 

Harverd

 

Business

Review

の彼の記 事 (『

Design

 

Thinking

に お い て

デザイ ン 思

を 定

し デザイ ンプロ セ ス につい て

明し て い る

書 『

CHENGE

 

BY

 

DESING

題 :『デザイン思

が世 界を変え る』

3)で イ ノベ

ションを

く デザイ ン思

と し て

及さ せ た

 

デザイ ン 思考は

ベ ン チャ

経 営

再 生を試み る 企業に

用 さ れ

前述

IDEO

は アッ プル のマ ウス の デ

インを 創

したこ と で

,一

躍注目 さ れ た デザインファ

ム と しての 企業で ある

同 時

デザイン思

の成 果 が

きく

目された

デザイ ン の研

究 実

践の現 場でデ ザ イン思 考 は な くては な ら ない創 造プロセス と考え られ る様になっ て きて い る

 

突 に デ ザ イン思 考 につ いて参 考 文 献 を 引 き な が ら

論 を 進 め た が

私 にとっ てデ ザ イン思 考の現 場の経 験 は

これ く らい 唐 突 な もの であ り

当 時の私 に 多 くの 「気 づ き 」 を 与 えて いた こと に現 在 気づ く

 

2000

東 京

倉庫

をリ ノ ベ

シ ョ ンし 映 画 制 作 配 給 会 社の本

と ス タジオ を デ ザ インす る機 会を突 然に得た

ク ラ イ アン トの

望 も あ り

ア メ リ カへ

視 察

の ため に

かっ た

察地

の サ ン フラン シ スコの スタ ジ オ はベエ リ ア の 缶 詰工場 を

造し た も ので

新 しい ス タ イ ルの インテ1丿 ア デザ イン である こ と は

事前

籍 よ り情 報 を得てい た

ア の地 味 な 風 景の

に ス タ ジ オ は あ り

その外 観と は デザ インが異 な り

ス タ ジ オ から望む そ の風

さ ま

まに デ

イン さ れ たスタ

オの空間 に 目 を奪わ れ た

験が

でも鮮 明な記 憶と な っ て い る

そ こが が

サン フ ランシ スコの

IDEO

の スタ ジ オであっ た

 

パ ロ ア ル トの スタン フォ

ド大

の 近 く の ス タジオ も訪 問し た

に近

デザイ ナ と研

究者

との

が よ り近 図

1

サン フ ラ ン シ ス コ の IDEOの スタジオ (

2000

7

筆 者 撮 影 )

56

デ ザ イン学 研 究 特 集 号 /デ ザ イン思考deSlgnthlnklng Special Iss

eofJapaneseS

 

ie電yforthe ScienceofDesigm Vol

20

1 No

77 2012

(2)

Japanese Society for the Science of Design

NII-Electronic Library Service

Japanese  Sooiety  for  the  Soienoe  of  Design

いと感 じた

この近 さこそデザ イン創 造の大 き な 秘 密 を 握ると今では 考 えている

インタ

ネットが 人の距 離 感 を 変 え た か も し れ ないが

そこに は

IT

で は 変 え ら れ ない人 と 人の触 れ 合いが ある

個 性 豊 か なデザ イ ナのブ

スは 自 由そ のもの で

デザ イン思 考のプロセスを 実 践 し な が ら も

いつ 何 時 訪 れ ると わ からない デザイ ン の創 造 プロセスを 知 り尽 く し たスタ ジ オの

環境

デザ インが

予 見

さ れ た

 

イン思

現 場

は デザイ ナ の

き な 「

づ き」 を

え た

2000

年 当時

の私は

デザイ ン 思考と い う言

を まっ た く

らな かっ たこと を

け 加え てお く

3

メ タ レ

デ ザ イ

ンにつ い て

 

デザイ ン の語源やデザイ ン につ い て の定 義の研 究は

現 在

定義

づ け が さ

てい る

では

図案

意 匠

な ど と

されて

単に表 面を飾り 立 て

美し く み せ る こ と と

さ れ る こ とも あった が

では

意 味

く理

つ つある

 

方で

現 在 デ ザ インという 対

う 領

多岐

に わ た り

デ ザ インは 形 態 を 伴 う 結 果 を 表 出さ せ ること だ けでは な く

形 態 を 伴 わ ない結 果 を

くこ と にも 関

そ れら は

複 雑

な関

性で捉 えられ る

今 や デ ザ イン は メタ

考)

レベ ル で定

し な け れ ば そ れ を 理 解 す ること が 不 可

に なっ て いる。 デ

イン をメタレベ ルで捉 え る 研 究は既に存 在し

田 浦ら によって

デ ザイ ン の再 定 義 が な さ れている

「デザ インと は

未来

かっ て

あるべ き 姿 を

成 す ること」3 } と さ れている が

レベ ル を 少し後退 させ

行 為の レベ ル で以下 の

3

つ に整 理 する

1.

問 解 を 捉 え 抽 出 す る 行 為

2 ,

問 題 解 決のた めの概 念 組 み 立て行 為

3 ,

善 (美 ) を 創 造 し

イ メ

を 喚 起 させる 行 為

4.

イ ン 思

 「ザ イは 基 本 的 に個 人 自 己表 出動 機な く

そ の 端は社 会の側にある

社 会の多 くの人 々 と 共 感できる問 題 を 発 見 し

そ れ を 解 決して い くプロセスに デ ザ イン の本 質が あ る

」 [

4

]とデザイナの原 研 哉 が 述べ るよ う に

会 や 大

に 問 題の起 点 が あ る 多 く の 現 代 の デ ザ イン

建築

都 市

マ ス プロダ ク ト さ ら に 情 報 や 社 会

コミュ ニ テ ィ の デ ザ イ な ど

も とも と 社 会 や 大

の 問 題 を

抽 出

問 題

解 決

の た め に デ ザ イン を 行 うこ と が前 提となっ て いる と考え ら れ る

問題 の

出の行 為 も デ ザ インであ る か ら

問 題の

抽 出

その も のが

デザ イン ソリュ

ショ ン の価 値 に 直 接 的 な 影 響を及 ぼ す

如何

に問 題 を抽 出 するか が

デザ イン創 造に欠か せないもの と なっ ている

つ ま りデザ イン の創 造プロセ ス に おい て

め て

期 の段 階で

デザ イン対

況 や

景に

注視

し思

で きるか

ま た

理 念 や ビ ジョンを 如 何 に 見つけ 出 し問 題 と して いくのか が

重 要 だと言 え る

しか し デ ザ インは

プロジェ ク トの初 期 の段 階で従 来 的 な 手 法が

使

わ れ る 場 合 も

ま た

だに デ ザ イ ナ の 能 力 に 委 ね ら れ る ケ

スも

いの が 現 状であ る

や そ のよ う な 創 造 プロセスでデ ザ イン し

社 会 や 大 衆に受 入 れら れ る価 値 を 伴っ た デ ザ インを 創 造 す ることは 難 し く なって いる

 このよ う に

デ ザ イン の概 念 が 解 明 さ れ

デ ザ イン の対 象が 拡 張 さ れ る ほ ど

デ ザ イ思 考 」 が 私 た ち に 必 要 と なっ て いる

4.

デザ イン思

え る もの

デ ザ イン

 

デザ イン思 考 とい う

念 は

近 年 研 究 が 進 み

体 系づけ ら れ 理 論 化 されてきてい る

ま た 世 界 に 大 き な 影 響 を 及 ぼ し たこれ までに ないプロダ ク トの デザ インも

こ のデ ザ イン思 考の アブ ロ

チ か ら 創 造 さ れてき た 事 例 が すでに 多 く存 在 している

 

世 界

に は プ リミティブ

初 源 的

な 事 物

的な事

な どに も

善い

美し い)デザイ ンが 存 在し ている こと も

十 分

認 識

する必

が ある

ま た

やアジア のよ う に

多種 多様

価 値

を 認める

伝 統や 継

承 を

んじ

物を修 練し て い く よ う な

造プ ロ セ ス か ら

造さ れ る デザ イ ン も

存 在

し ている

今 後

それら の デザ イン の

造 プロセス を研

す る こ と は

デザイ ン の

造 プロ セ ス におけ る デザイ ン 思

し い アプロ

チ となるだろ う

ま た

デザイ ナ である

が よ り人 間的 な

経験

を 通 し て 形成さ れ た感

がデザイ ン の アイ デ ア を

表 出

しデ

イン

創造

の具

体 的 な

プロセ ス の

き な

割 が あ ることを 内 部 視 点か ら捉え る まで も な く

覚 的に了

し ている

IDEO

のスタ

オで得 た 「

づ き

ン フ ァ

ム と いう デ

イン環

の発 見であった の で は

いだろ う か

 

これまで

デ ザ イン思

に よっ て

い デザイ ンが

造さ れ

私た ち に明る い

ら しをも た ら し て

デザイ ンやデザイ ン 思

の現 場で の経 験の先に

デザイ ン 思考 が

す ぐれ たデザ イ ン

環 境

合 わ

ては じ めて

有 効

機 能

するという

仮 説

を 立て る こ と が出

る の で は な いだろ う か

デザイ ン創 造の 研究 の

たな

方 向性

がそこに垣 間 見えて いる

参 考文 献】

1

Peter

 

G

 

Rowe

奥 山 健二 訳 (

1990

『デザイ ン の思

  

原 題 :『

Design

 

thinking

鹿 島 出 版 会

2

David

 

Kelly

 

Jonathan

 

Litman

 

鈴 木

主 税

秀 岡 尚 子

   

1990

発 想 する会 社』 (原 題 :『

The

 

Art

 of 

Innova

   

tion

書房

3

 

Tim

 

Brown

2009

CHENGE

 

BY

 

DESING

 

HARPER

   

BUSINESS

千 葉

敏 生訳

邦 題 :『デザイ ン思 考 が 世 界 を

    変

え る』

早 川

4

浦 俊 春

永井 由佳 里 (

2010

デザ イン の

   

念 生 成

認知 科 学

Vol

17

 

No

1

 

p66

p82

5

) 原 研 哉 (

2007

ザ イン の デザ イ

Special

 

Edition

  

p24 ,

岩 波書 店

参照

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