• 検索結果がありません。

組織培養による熱帯・亜熱帯果樹の栄養繁殖に関する研究 I. 組織培養によるパパイヤの繁殖-香川大学学術情報リポジトリ

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "組織培養による熱帯・亜熱帯果樹の栄養繁殖に関する研究 I. 組織培養によるパパイヤの繁殖-香川大学学術情報リポジトリ"

Copied!
4
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

香川大学農学部学術報告 第38巻 第2号 7∼10,1987

組織培養による熱帯・亜熱帯果樹の

栄養繁殖に関する研究

Ⅰ 組織培養によるパパイヤの繁殖

片 岡 郁 雄, 井 上

Studies on the clonalpropagation for troplCaland subtropICal

fruit tr・eeS by tissue culture

IIn vitY・O prOpagation of papaya

Ikuo KATAOKA and HiroshiINOUE

A proceduLe for the rapid clonalpropagation of papaya(Carica papaッa L)by tissue culture was developed

1EnlArgement andleaf expantion of the shoot tip explants occulred on the medium containing BA (05−3ppm),Kinetin(05−5ppm)or2iP(05−10ppm),Whereas higher concentrationof BA or Kinetin stimulated degreening and ca11us formation olthe explants

2 The greatestincLeaSeinshoot number was found on the medium containing O5ppm BA Theaddition

O董NAA,however,SupPreSSed the shoot multiplication

3 Rooting wasinduced most satisfactorilywith the shoots placed on the hormone−free MS medium after dipping the basalendintoIBA solution at 2000ppm Auxins added to the medium caused severe callus

foImationwith poor rooting of the shoots

組織培養によるパパイヤの大鼓繁殖を目的として,培養条件の検討を行った。結果の概要は以下のとおりである。 1)BA,Kinetinおよび2iPについて:05−10ppmの濃度範囲で初代培養を行ったところ,BAおよびKinetinの高波 度区では,組織の退色とカルス化が起こったが,その他の区では頂芽の肥大が認められた。 2)BAとNAA竜:周合わせて添加した培地でのlンユー・ト増殖ほ,BAO5ppm単独区で最も良好であった。NAAの 添加は,シュート増殖に対してむしろ抑制的に作用した。 3)増殖したンユーt・の発根には,IBA高濃度浸潰処理後ホルモンフリーの培地へ置床する方法が最も有効で あった。培地へのオーキンソの添加は,シュート基部のカルス化を招き,発根を抑制した。 緒 ロ これまで,パパイヤの繁殖は,−−般に種子繁殖によってきたが,選抜された自殖系統(Solo等)は別にして,雌雄異 株の系統でほ,幼苗時における雌雄性の判別が困難なため,普通,教本の苗木を一・か所に植え付け,数か月を経た 後,雌雄性を確認したうえで,雌株のみを残す方法がとられており,肥培管理に余分な労力が費やされている:7)。 パパイヤの栄養繁殖は,挿し木や接ぎ木によっても可能とされているが,本来強い頂芽優勢の性質をもつことか ら,挿し穂や接ぎ穂の確保が量的に困難であり,この点で,組織培養による増殖法の利用価値は極めて大きいものと 考えられる。 一・力,今日のパパイヤ栽培においてほ,パパイヤリンクスポットウイルス(PRV)を初めとするウイルス病感染によ る生育不良や収品低下が重大な問題となっている‖2)。この間題の回避のためには,抵抗性品種の育成が急がれるがこ3), 育成された品種の特性を維持し,且つ大量の増殖を図るには,組織培養は,やはり有力な手段となり得るであろう。

OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ

(2)

香川大学農学部学術報告 解38巻 節2号(1987) 本実験では,パパイヤの優良系統の大壷繁殖を目的とLて,組織増益による繁殖法粟ついて検討な行った。 材料および方法 パパイヤの1年生実生苗(雌雄不評)を鮎、,頂弄および脳芽より2【3節までのえき芽を切り取り,70タ首エタ ′−ルに2…3秒間浸掛軋 アンチかレミン(有効規索1%)で15分間滅菌した後,滅蘭水で引鴎洗浄した。これを 2m前後に切漸⊥1培明ポ瀾掴した。なお,基本培地濫服MS基本榊也を鮎、,ショ糖3%および寒天0・8%を添加し た。 初代定着培地におけるサイトカイエンの種類と濃度の影響 BA,Ki王1etinおよび2iPについて各々0・5−10ppI汀を含む 培地で,初代の定着の良否を検討した。 増殖段階における培地条件の検討 初代培養により肥大した頂芽な(置床30日後),BAO句)i)m,NAAO・2ppmを含 む培地に継代培養して得た多芽体を分割して,BA(0.ト0.5ppl′n)およびNAA(0−1・Oppm)を含む培地で増殖率を 比較した。一方,同様にして得た冬芽体を用いて,ミネラル成分を1/4−射普に調盤Lた培地に植え付け,シュート増 夕如こ及ぼすミネラル漉度の影響を調査した。 発根段階における培地条件の検討 継代培養後2【3週間後の増殖したシュートのうちから,長さ1cm以上に伸長 したものを選び,第4表に示した条件で培養し,発根率を調査した。その際IBA高濃度(2000ppm)浸漬処動ま,50% エタノール溶液にシュートの基部を浸漬して行い,それをホルモンフリーのMS培地あるいはMS液体培地を加えた バーミキエライ=こ匿床した。また,IBA5ppm+KinetilllppmおよびNAAIppmは,予め培地に添加しておき,そ こに切り出したシュートを置床した。 結果および考察 初代定着培掛こおいて,BAおよびKhetinの南淡度区でほ,組織の退色とカルス化が起こったが,その他の区では, 同程度の頂芽の肥大が認められた(第1表)。しかし,えき芽の仲良ほ,いずれの培地においても認められなかった。

Tablel.Effecis of severalcytokinins on explant establishment of papaya after30days. C)′tO主くinin O.5 1 3 〇 10 p王)】¶ C/D C/′D + C/D 十 + EnlaI■gement Of explant Callus formation Degreeni王1g Of exphnt +CD

Table2.Effect of BA with NAA on shoot multipiiM cation ofl〕a主)aya after30days

BA pl)m NAA ppm 0.1 0.5 1.0 5.0 3.5Z 18.6 5.5 8.5 4.4 7.8 8.5 1.2 7.6 2.4

7.5 2.2 Fig.1.Effect of BA with NAA on shoot multiplication of papaya after30days・ Z:Average shoot number

(3)

片岡摘l;維,井l二宏:姐織培養によるパパイヤの繁殖 9 このことは,外植体の培地への順応期間の必変性と称時に,本来パパイヤの持っている強い頂芽優勢の影響を示して いるものと思われた。LitzとConover∼5}ほ初代培養での外椎体の定着は,50FLMKinetinと10ノノMNAAを含む培地で最 も優れたことを経営しているが,本実験の結果からは,サイトカイニンの種類間での差異は明らかでほなかった。 尚,植え付けたえき芽の肥大は頂芽のそれに比べて著しく劣っていた。 シュMトの増殖に対するBAとNAAの効果についてほ,BA O.5ppm区で最も多くのシュートの発生が認められた が,それ以上の漉度区でほ,逆に増殖率は低下した。一プ上BAO.5ppI面区では,NAAの添加ほ,シェ…トの増殖を低 下させ,また,その他の区でも,シュー トの増殖にはほとんど効果を示さなかった(第1園,第2表)。Litzと ConoverlS,は,シュー トの増殖段卿こおいて,BA2FJMおよびNAAIFLMを含む培地で最も良好な結果を待ており, NAAを添加しない場合には,2−20〃Ⅸrの範囲のBA濃度ではカルス形成も,シュートの増殖も見られなかったこと を報告している。d九MehdiとHogar;6〉は,SoioNo思について,Kinctinl−10ppmとIAA,IBAおよびNAAを組合わ せた培地でほ,ⅠくinetinlpI)m区で,シェ…トの増殖は赦も強く促進されたと述べている。本実験の結果からは, シュートの増殖に対してNAAの添加は,全く必要ないものとみられたが,この相違が,供試した材料の速いに基づく ものか否かほ明らかでほない。 尚,本実験においては,継代培養期間中(10代)に,増殖率の低下は全く認められなかった。 シュ…ト増殖に対する培地中のミネラル漉度の影響についてほ,MS培地の基本淡度で最もシュートの発生数が多 かった。これに対して,ミネラル濃度を1/2および1/4に下げた場合,あるいは,2および4倍に上げた場合のいずれ においてもシュート数ほ減少した(第2臥 節3表)。組織培衣による果樹魔の繁殖においては,MS去妄本培地のミネ ラル浪度,特にN浪度を1/2程度下げた培地せ用いて良好な結果を得ている例が多いが,本実験でほそのような結果 は得られなかった。これには,パパイヤが半草本鮭であること,あるいほ∴本来,比較的放い耐肥性を持つことなど が開係しているのかもしれない。 Table3・Effectofrineralconcentrationonshoot

multiplicat10n Of papaya after30days,

Mineralconcn l/41/2 1 2 4MS

Average shoot no.1.5 4.5 15 8 4 Fig.2.Effect of mineraIconcentration on shoot

mu】tiplication of papaya after30(ほys.

次に,先般のための培地条件に関しては,IBA2000ppm浸漬処理後,ホルモンフリーのMS培地に匿床したシュー トで,最も高い発根率と多数の発根がみられた。柑A浸毎■亘処理後,バーミキュライトに置床Lたシュートの発根率は 比較的高かったが,椒の伸長潰は著しく少なかった。NAAIppmおよびKinetinlppm+IBA5ppmを含むMS培地で ほ,シ。、−一卜基部のカルス化が著しく,発触率も低かった(第3乳第4表)。−プ∴」普地中のショ糖濃度に関して は,発根率,仲良ざl圭ともに3%区二で般も大きかった(第4臥第5表)。これまでの報焦では,培養条件下でのパパイ ヤの発根ほりほ漬あるいほNAAなどのオ…キノンを培地に添加Lて行1)ている15−G)。しかし∴本実妹の筑」f果より,妻明ら かなように,1B在浸漬後すルキンフリー一打増他に粗末するフィ法でより良好な発根が得られるものと且tわれた。 シュートの発根状磯は,その後の柳本の,外弘環境に対する馴化の成衝こ大きく影響するが,本実験でも,カーーキ シソ添加培地で得られた発根個体は,シュート基部償カルス形成が著しく,馴化ヰ叩こその部位からの雑歯の感染によ る枯死が多発した。また,IBA浸漬法に止り得られた発根個体についても,カルス化の認められたものは,ほとんど の場合,雑菌の感染を受けた。したがって,馴化過種での歩留りを高めるためにほ,先般段階でのシュート基部のカ ルス化をノできる限り抑えることが必要であると思われた。この点で,IBA浸浮至処理後,バーミキュライトに置床L

OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ

(4)

香川大学農学部学術報告 第38巻 算2号(1987) 10

Fig.4.Effectofsugarconcentrationon rootingof

multiplicatedI)al)ayaShootafter30days・

Table4,Effects of severaltreatments on rooting of

multlPlicated papayashoot after30daysL

Fig.3.Effectsof severaitreatmentson rooting of rnuitipiicated papayashoot after30days・ A:IBA2000ppm,MS Basalmedium

B:IBA5ppm+Kinetinlppm

C:NAAlp‡)m

D:1BA2000ppm,Vermiculite Treatment Rooting% Remarks Good root elongation

(20−50mm)

Abnormal root growth and much ca11us formation IBA2000ppm MS Basalmedium IBA 5ppm KiIletinlppm NAA lppm IBA 2000ppm Vermiculite Table5Sion 忠霊震諾笠:だ芯㌶

papaya shoot afほr30days・ 10 Poorrootingpndsevere callus format1011 80 Short root growth(1−3mm)

but no callus formation

Sucrose concn% 1 2 3 Rooting% 41 45 62 たシュートについてほ,十分な発根尉ま得られなかったものの,発根率ほ尚く,さらに去摘!;のかレス化もほとんど起 こらなかった。したがって養水分の補給や培養掛巨の湿度の維持方法に改善を加えれば,カルス化を防ぐとともに, 発根最も増大できるものと考えられた。

IBA浸海−…法により得られた洛根良好な個体についてほ,恭留水で十如こ洗浄し寒天を取除いた後,バーミキェライ

トを月‖二として∴鉢に植え付けた。植え付け後2週間はポリエチレンフィルムで覆い,その後徐々に開放し3週間後 フィルムを完全に灘除いた。これを屋外に搬出し,2週間50%遮光F一で馴化させた軋自然条件下に置き,苗を完成 させた。 引用文献 Culture.vol.2Macmilian

(5)Litz.R.E.and Conover,R.A.In vitro propaga tion of papaya.HortScience・13:241…242.(1978) (6)Mehdi,A.A.and Hogan,L.Tissue culture of

Cartca paPaya.HortSciencell:311(Abstr.) (1976)

(7)農林省熱帯虚業研究センター.東南アジアの果臥 376−381.蔦林統計協会(1974)

(1986年10月31日 受理) (1)Conover,R,A.Distortion ringspot,a SeVere Virus

disease of papayain Florida.Proc・Fla・State Hort・ Soc.77:440−444(1964),

(2)Conover,R.A.A program for devclopment of papayas toiera押し to the distortion rlngSPOt VirusL Proc∴n五State Hort.Soc.89:229r231(1976).

(3) Conover,R.A.,Litz,R.Eリ and Malo,S.E. Cariflora−a PaPaya rlngSPOt Virus−tOlerant壬)aPaya for south Florida and the Caribbean▲IiortScience:

1072(1986).

(4) Litz,R.E.Papaya.Handbook of Pla王1t Cell

参照

関連したドキュメント

参考資料ー経済関係機関一覧(⑤各項目に関する機関,組織,企業(2/7)) ⑤各項目に関する機関,組織,企業 組織名 概要・関係項目 URL

このたび牡蠣養殖業者の皆様がどのような想いで活動し、海の環境に関するや、アイディ

While Team Bear had some teammates who don’t enjoy heights, Team Lion seemed to have no fear at all. You finished the challenge quicker than Team Bear, but you also argued more

[r]

・vol.1 養殖施設を 1/3 にして売上 1.5 倍!?漁村の未来は戸倉にある 10 月 31 日(土) 15:00~16:30. カキ漁師

経済学研究科は、経済学の高等教育機関として研究者を

格納容器圧力は、 RCIC の排気蒸気が S/C に流入するのに伴い上昇するが、仮 定したトーラス室に浸水した海水による除熱の影響で、計測値と同様に地震発

3 学位の授与に関する事項 4 教育及び研究に関する事項 5 学部学科課程に関する事項 6 学生の入学及び卒業に関する事項 7