「ねらい」は,幼稚園教育全体を通して幼児に育つことが期待される生きる力の基礎となる心情,意 欲,態度などであり,「内容」は,「ねらい」を達成するために教師が指導し,幼児が身に付けていくこ とが望まれる事項である。 - 幼稚園教育要領から -
■ 教育課程の編成
1 幼稚園教育要領・保育所保育指針に基づく教育 <幼稚園教育要領・保育所保育指針> 幼稚園・保育所(以下,幼稚園等という。) は,就学前の教育・保育の専門施設であり, 人間形成の基礎を培う極めて重要な役割 を担っている。 両施設は,相互に内容の整合を図って策 定されている幼稚園教育要領及び保育所 保育指針(以下,教育要領等という。)に 基づいて,教育・保育を行うこととなる。 教育要領等は5領域で構成され,それぞ れに「ねらい」と「内容」が示されている。 【5領域のねらいと内容】 領 域 ねらい(発達を捉える視点) 内項目数容 健 康 Ⅰ 明るく伸び伸びと行動し,充実感を味わう。 Ⅱ 自分の体を十分に動かし,進んで運動しようとする。 Ⅲ 健康,安全な生活に必要な習慣や態度を身に付ける。 9 人 間 関 係 Ⅰ 幼稚園生活を楽しみ,自分の力で行動することの充実感を味わう。 Ⅱ 進んで身近な人とかかわり,愛情や信頼感をもつ。 Ⅲ 社会生活における望ましい習慣や態度を身に付ける。 12 環 境 Ⅰ 身近な環境に親しみ,自然と触れ合う中で様々な事象に興味や関心をもつ。 Ⅱ 身近な環境に自分からかかわり,発見を楽しんだり,考えたりし,それを生活に取り入れようと する。 Ⅲ 身近な事象を見たり,考えたり,扱ったりする中で,物の性質や数量,文字などに対する感覚を 豊かにする。 11 言 葉 Ⅰ 自分の気持ちを言葉で表現する楽しさを味わう。 Ⅱ 人の言葉や話などをよく聞き,自分の経験したことや考えたことを話し,伝え合う喜びを味わう。 Ⅲ 日常生活に必要な言葉が分かるようになるとともに,絵本や物語などに親しみ,先生や友達と心 を通わせる。 10 表 現 Ⅰ いろいろなものの美しさなどに対する豊かな感性をもつ。 Ⅱ 感じたことや考えたことを自分なりに表現して楽しむ。 Ⅲ 生活の中でイメージを豊かにし,様々な表現を楽しむ。 8 計 50 ・心身の健康に関する領域:「健康」 ・人とのかかわりに関する領域:「人間関係」 ・身近な環境とのかかわりに関する領域:「環境」 ・言葉の獲得に関する領域:「言葉」 ・感性と表現に関する領域:「表現」 ― 幼稚園教育要領から ― 3 保育所の持つ機能のうち,教育に関 するものは,幼稚園教育要領に準ずるこ とが望ましいこと。このことは,保育所 に収容する幼児のうち幼稚園該当年齢の 幼児のみを対象とすること。 ― 文部省・厚生省共同通知(昭和 38 年)一部抜粋 ― 5領域 幼稚園と保育所の関係 健 康 人間関係 環 境 言 葉 表 現 文部科学省 厚生労働省 幼 稚 園 教 育 要 領 保 育 所 保 育 指 針 5領域 幼稚園教育要領と保育所保育指針2 教育課程の編成と評価 (1)教育課程の編成と改善 教育課程は,各幼稚園の教育理念や目標をより具体的に明示したものであり,それぞ れの園の実情に応じて独自に編成するものである。 各幼稚園では幼稚園教育要領や幼児教育の動向等を踏まえ,教育課程をより実効ある ものとするための改善に取り組む必要がある。 ※保育所では,幼稚園の教育課程と同様に保育計画が作成される。 (2)指導計画の作成と改善 指導計画は,教育課程を具体的に実施していくための計画であり,長期と短期の指導 計画があるが,その形式や内容は各園で独自に工夫し,発達の期や幼児一人一人の生活 に応じて適切に機能するよう作成する必要がある。 編成にあたっての 基本的な考え方の共通理解 教育目標の設定 教育週数,教育時間の設定 ねらい及び内容の組織化 環境構成の在り方の検討 幼児の実態の把握 保護者や地域の実態の把握 教育課題の把握 幼児の発達過程を見通す 教育目標達成の道筋の予測 具体的ねらいと内容の設定 年間を見通した環境構成の在り方の検討 各学年・時期等に応じた時間等の検討 幼児期の発達理解 幼児期から児童期への発達理解 関 係 法 令 ・ 幼 稚 園 教 育 要 領 ・ 幼 稚 園 教 育 要 領 解 説 等 実践 評 価 改善 計画 教育課程編成の手順(例示) 長期の指導計画は,各幼稚園の作成す る教育課程に基づいて幼児の生活を長期 的に見通しながら,具体的な指導の内容 を大まかにとらえたものである。 作成に当たっては,それまでの実践の 反省や蓄積された記録などを生かし,そ れぞれの時期にふさわしい生活が展開さ れるよう作成することが大切である。 短期の指導計画は,教育課程に示され たねらいや内容を,幼児それぞれの発達 の時期にふさわしい生活を展開する中で 達成されるようにするための具体的な計 画である。 作成に当たっては,毎日の幼児の生活 する姿に応じて,ねらいや内容,環境の 構成,活動の展開などについて具体的に 作成する必要がある。 教 育 課 程 長期の指導計画 短期の指導計画 ※保育所では,幼稚園と同様に指導計画が作成される。
指導計画も教育課程と同様に,計画の作成(P),指導の実際(D),反省や評価(C), 新たな指導計画の作成(A)というマネジメントサイクルによって,教育活動の一層の充 実に向けた改善を図らなければならない。そのため,教員は,保育記録を基に幼児一人 一人の内面を見取り,一人一人の発達の状況を評価する必要がある。 また,多くの教員の見方を参考にし,保育の在り方や幼児へのかかわり方などについ て協議しながら,絶えず計画の修正や環境の再構成を行い,幼児にとってより楽しく充 実した園生活が展開される計画を探らなければならない。そして,この評価・改善の積 み重ねを長期の指導計画や教育課程の評価・改善につなげることが必要である。 (3)指導と評価 幼稚園等での教育は,教育要領等に基づいて,意図的・ 計画的に行われるものであり,常に計画と実践に対する評 価がなされることによって展開される。 幼稚園等における評価は,幼児の育ちの評価であると同 時に,指導の評価でもあり,自らの保育を振り返ることに より,保育と幼児の発達との関係を分析し,指導の改善を 図ることが大切である。 そのためには,教育課程・指導計画に設定したねらいや内 容が,教育要領等の5領域に示されているねらいを総合的に 達成するよう具体化したものであることを踏まえ,指導の過 程で幼児に身に付きつつある力を日や週・期のねらいに即し て適宜評価していく必要がある。 また,5領域のねらいが幼稚園修了までにはぐくむこと が期待される心情,意欲,態度などであることを踏まえ, 幼児の発達の姿を5領域のねらい・内容から評価する必要 があり,これが指導要録に総括されなければならない。 (4)保護者への説明 幼稚園等における教育・保育は,「遊びを通しての総合的 な指導」によってなされるという特色があり,保護者には 保育や子どもの育ちの実際について理解しにくい面もある。 また,そのことが,小学校就学前の教育に対する不安を生 んでいることも考えられる。 幼稚園等においては,その教育・保育の充実を図る意味 から,また,家庭との連携を図った取組みを進める上でも, 教育要領等に基づく指導の実際と幼児の発達の状況につい て分かりやすく説明する責任がある。 評価の流れとポイント 日々の保育の実践は,その日の 保育のねらい・内容に基づき,具 体的な幼児の育ちの姿を評価す ることとなる。 その際,予想される具体的な幼 児の育ちの姿を評価項目として 設定するなどし,育ちを適切に見 取る必要がある。 中期の計画は,幼児の発達を見 通してねらい・内容を設定し,評 価することとなる。 その際,学期ごとの幼児の育ち の変化・状況について具体的に評 価し,育ちの変化を集約していく 必要がある。 幼児の育ちを長期で評価する 場合,教育要領のねらいに基づい た評価をすることとなる。 学期ごとの幼児の育ちの変化 や特徴のまとめを総括し,発達の 姿を捉える必要がある。 その際,発達の状況や指導上参 考となる事項を明らかにするこ とが大切である。 教育要領のねらいに基づく評価 日のねらいに基づく評価 期のねらいに基づく評価 幼稚園教育要領 教育課程 指導計画
家
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3 幼児の育ちの課題に基づく取組み 幼稚園等における教育・保育は,幼児期の発達の特性を踏まえ,幼児期から児童期への 発達を促す営みであり,幼児期の生活体験や学びが小学校以降の教育の基盤となっていく ことを踏まえ,小学校教育への連続性を図る視点からの取組みが強く求められる。 本県教育委員会が県内の年長児を対象に実施した「幼児教育調査」では,幼児の育ちの 課題として大きく二つのことが明らかになった。 ①他者との関係を結ぶ基礎となる「コミュニケーション」が苦手である。 ②生活の基盤である“睡眠”“食事”等の「基本的生活習慣」の定着が不十分である。 これらの課題は,社会性の育成や個の自立を図る上での基となるものであり,家庭との 連携も図りながら,より綿密で具体的な取組みを進める必要がある。 また,調査では,保育者と保護者の間に子どもに対する見方にギャップがあることも分 かった。幼稚園等と家庭では幼児の生活する場面や環境が異なることを考慮しても,見方 のギャップがあることは,家庭と連携した取組みを困難にすることも考えられる。その意 味で,幼稚園等においては,自園の教育・保育の方針や具体的な子どもの姿等をていねい に伝え相互理解を図ることが大切である。 基本的生活習慣,とりわけ毎日の生活 のリズムである“睡眠”“食事”等は,健 康・体力,生活の意欲等,生活に大きな 影響を及ぼすものである。幼児期にその 定着を図ることは,大きな課題である。 これは,主として家庭教育による部分 が大きいが,幼稚園等においても家庭と の連携により取組みの充実を図ることが 大切である。 基本的生活習慣 人とコミュニケーションする力は,他 者との豊かな出会いとかかわり合いの中 で身に付くものである。 日々の保育では,友達同士が深くつな がりあって,ともに遊びを創り出す「協 同的な学び」や聞く・話すなどの「伝え 合う力」の育成を念頭においた指導を心 がける必要がある。 コミュニケ―ション 伝 え 合 う 力 協 同 的 学 び 食 事 睡 眠 幼児教育調査では,教育要領と保育指針のねらいや内容を踏まえ,5つの領域ごとに設問を構成し,年長幼児の育ち の状況について把握した。 各幼稚園等においても,この調査を活用するなどして,幼児の育ちの状況を把握し,小学校以降への接続を見通した 取組みを進める必要がある。 家 庭 連 携 参照:http://www.pref.hiroshima.jp/kyouiku/hotline/youji/01_hoiku/h15_y_chosa/kekka/index.html 健 康 人 間 関 係 環 境 言 葉 表 現 5 領 域 情報公開子
ど
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幼 稚 園 教 育 要 領 保 育 所 保 育 指 針 指 導 計 画 保 育 計 画幼
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教 育 課 程 (計画)Plan Action (改善) Check (計画) Do (実践) 相互理解 幼児教育調査 自己点検・自己評価4 就学前教育と小学校の連携 (1)連携教育の必要性 これからの幼児教育においては,生きる力の基礎をはぐくみ,一人一人の個性を最大限に 生かす教育を展開していくことが求められている。そのためには,幼稚園等と小学校の幼児 児童の発達段階や学びの連続性を踏まえ,幼稚園等と小学校が子どもの発達特性や教育・保 育内容及び指導方法等を相互に理解し,より連続性のある魅力ある教育活動を展開すること が必要である。 とりわけ,学力の定着・向上及び生活指導の充実に向け,校種間連携を図り,就学前教 育から小・中・高等学校までを見通した教育課題を検討し たり,幼児児童生徒や教職員の交流を図るなど,具体的 な取組みの推進が求められる。 なお,保育所についても,幼稚園と同様に就学前教育 を担う観点から小学校との連携を推進する必要があり, 中学校や高等学校も視野に入れた,地域ぐるみでの系統 的・組織的な取組みが求められている。 (2)連携教育のポイント 幼稚園等での教育・保育内容や方法等は,小学校とは大きく異なっており,小学校第1 学年に入学した時点で,小学校での生活や学習に適応できにくい状況も生じている。その 意味で,保育者は,幼児が小学校に行けば「新たな生活」に出会うことを見通した教育・ 保育を行う必要がある。また,小学校教員は,「環境を通して行う」幼児教育をしっかりと 理解した上で小学校教育を行うことが大切である。このことが子どもの発達や学びの連続 性を確保し,遊びを通して学ぶ幼児期の教育活動から教科学習が中心の小学校以降の教育 活動への円滑な接続と双方の教育の質の向上につながるのである。 幼稚園においては,幼稚園教育が, 小学校以降の生活や学習の基盤の育 成につながることに配慮し,幼児期 にふさわしい生活を通して創造的な 思考や主体的な生活態度などの基礎 を養うようにすること。 ― 幼稚園教育要領から - 小学校教育との連携について ○各市町においては,幼稚園・保育所,併せて,それぞ れ公立・私立といった幼児教育の施設があることを踏ま えて,小学校関係者等を含めた連絡協議会を設置するな ど共通理解の場をもつことが必要である。 ○幼稚園から小学校への移行を円滑にするとは,小学校 教育の先取りをすることではなく,就学前までの幼児期 にふさわしい教育を行うことである。なお,就学に近い 時期には,小学校生活に対して期待をもてるようにする 指導や小学校での学習や生活を念頭に置いた指導も必 要である。 ○具体的な取組みを通して,幼児や児童にどのような変 化や成長が見られたか,教職員の意識や認識の変化を大 切にすることが必要である。 推進上の留意点 具体的取組み(例) 本県における小学校入学前の幼児は,そのほとんどが幼稚園または保育所に就園しており,小学校入学と同時に同 じ教育を受けることとなる。幼稚園・保育所・小学校は,相互にこの現実を踏まえた連携を進める必要がある。 幼稚園・保育所と小学校を結ぶカリキュラム開発。 (生活規律や挨拶,道徳性や社会規範,聞く・話す力等。) 教育内容の連携 合同の行事や招待行事等を実施することにより,小学 校入学への不安を取り除き,希望をもたせる。 幼児と児童の交流 保護者同士の交流の場を設け,情報交換などにより小 学校生活を見据えた子育てを支援する。 保護者の交流 教育内容や指導方法について合同で研修を行ったり保 育体験などを通して相互理解を深める。 教職員の交流