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連載 DDS の ちょっとした 技術 知識 クローニング 第 6 回 およびゲノム編集の際の塩基配列検索 Sequence search for cloning and genome editing 目的遺伝子のクローニングのための塩基配列検索 核酸のデリバリーシステムの開発 においては 発現の検出

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Academic year: 2021

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クローニング

およびゲノム編集の際の塩基配列検索

第 6 回

Sequence search for cloning and genome editing

 核酸のデリバリーシステムの開発 においては、発現の検出が簡便であ ることからルシフェラーゼや GFP といったレポーター遺伝子を用いて 実験することが多いと思うが、有用 なデリバリーシステムを開発し、い ざ目的の遺伝子を標的とした実験を 行う際にその遺伝子の塩基配列がな かなか検索できないということがあ る。また、目的遺伝子の塩基配列を 検索できてもどこからどこまでがタ ンパク質のコード配列かわからない ということもある。 1.遺伝子の塩基配列の検索方法   筆 者 は、 遺 伝 子 の 塩 基 配 列 を 調 べ る と き に は、 基 本 的 に National Center of Biotechnology Information(NCBI)のデータベー スを利用して検索している(URL: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/)。 多くの人が論文を検索する際に、こ の NCBI の PubMed を使用してい ると思うが、図1に示すように検索 ワードを入力する場所の横にあるド ロップダウンリストをクリックする と、論文以外にもデータベースを用 いてさまざまなことが検索すること ができることがわかる。遺伝子の塩 基配列を検索するには、まず NCBI

■ 連載 “DDS の「ちょっとした」技術・知識”

ある。うまく目的の遺伝子が検索で きない場合は、Google や Yahoo な どの検索エンジンで遺伝子名を調べ ると大抵の場合はわかる。  例としてTP53を検索した結果の ページ画面の一部を図2に示すが、 このように遺伝子名や生物種が一覧 表記されたページに移動する。こ れらのうち、自分が目的とする生 物種(ヒトであればHomo sapiens、 マウスはMus musculus、ラットは Rattus norvegicus)の遺伝子名をク リックするとその遺伝子のページ に移動できる。このページの下方 にスクロールしていくと図3に示 すように「Genomic」、「mRNA and Protein(s)」と書かれている部分があ る。

目的遺伝子の

クローニングのための

塩基配列検索

鈴木哲矢*1) *1) 広島大学 大学院医系科学研究科(薬) のトップページでもPubMedのペー ジでも構わないが、このドロップダ ウンリストの中から Gene を選択し ておく(図1)。次に、自分が塩基配 列を調べたい遺伝子の遺伝子名を検 索ワードの入力欄に入力し、検索す ればよい。このときに注意したいこ とは、例えばがん抑制遺伝子である p53のヒトでの遺伝子名はTP53で あるなど、よく使用されている名称 が正式な遺伝子名称ではない場合が 図1 NCBI Gene による遺伝子検索 図2 TP53遺伝子の検索結果 ヒトの   遺伝子であればここをクリックTP53

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 まず、mRNA の配列を調べると きには、「mRNA and Protein(s)」の NM_[番号]の部分をクリックする と mRNA の塩基配列のページに移 動できる。移動したページを下にス クロールしてくと、TP53遺伝子の 場合、CDS 143..1324と記載されて いる。CDS とはコード配列(coding sequence)のことであり、これは ページ最下方にある塩基配列の143 ~1324までの塩基が、タンパク質 に翻訳される開始コドンから終始コ ドンまでの塩基配列であることを示 している。したがって、プロモー ターとポリ A シグナルを有してい るベクターを用いるのであれば、必 要に応じて kozak配列(真核生物の mRNA で開始コドン近傍に見られ る共通配列であり、主に翻訳の開始 に関与)を付加するなどして、この コード配列をベクターにクローニン グすればよい。また、5′や3′非翻訳 領域が必要であれば、その上流ある いは下流域を含めた配列を用いるこ とになる。また mRNA には、遺伝 子によっては複数のスプライシング バリアントがあり、各isoform の配 列を調べることもできる。これらの isoform には、5′や3′の非翻訳領域の 配列が異なるだけで、開始コドンか ら終始コドンまでのタンパク質に翻 訳されるコード配列は同じ場合や コード配列の一部が異なる場合もあ る。図3の description の欄にどの ような isoform であるのか簡単な説 明があるので、調べるときに参考に するとよいが、いずれの isoform が 自身の実験に適しているかはあらか じめ文献などで調べておく必要があ る。特にどのバリアントを使用する のがよいのか不明な場合は、最も主 要とされるバリアントの配列を用い れば問題ないと思うが、用いる細胞 や組織によっては目的のバリアント が転写されていない場合もあるので 注意を要する。  次に、目的遺伝子のゲノム DNA の塩基配列を調べたい場合は図3 に 示 す「Genomic」の download の 箇所かページ上方にある「Genomic regions, transcripts, and products」 の箇所にある GeneBank あるいは FASTA をクリックするとゲノム DNA の塩基配列のページに移動で きる(塩基配列の情報のみ必要であ れ ば FASTA を 選 ぶ )。 移 動 し た 画面を下にスクロールしていくと mRNA や CDS と記載されている場 所の横に、join(数字..数字, 数字..数 字 ・・・)とある。これはページ最 下方にある塩基配列の、これらの 数字から数字の塩基配列をすべて 結合させると示された isoform の mRNA あるいは CDS の塩基配列と なることを意味している。また、ペー ジの上から順に exon1から各exon の塩基番号も同様に示されている。 最後に、これらのデータベースで検 索できる配列はあくまで登録されて いる配列なので、自分が使用してい る細胞やマウスやラットの系統に よっては遺伝子多型などにより必ず しも一致しない場合もある。また、 アレルごとで配列が違う場合もある ので、そのような可能性があること をクローニングの際には頭に入れて おき、配列が一致しない場合には、 クローニング時の変異なのか、もと もとの多型なのかを見極める必要が ある。 2.塩基配列情報のダウンロード方法  検索した遺伝子のゲノム DNA や mRNA の塩基配列のページの 右上にある Send to のドロップダ ウンリストをクリックすると図4 に 示 す 画 面 が 開 く の で 必 要 に 応 じて Complete Record や Coding sequences を選択し、File を選ん で Create File をクリックすれば検 索した遺伝子の情報をファイルと してダウンロードできる。ファイ ルのフォーマットはいくつかある が、筆者は GeneBank形式のファ イルをダウンロードすることが多 い。GeneBank形式のファイルは、 A plasmid Editor(ApE、URL: https://jorgensen.biology.utah.edu/ 図3 遺伝子のページ ゲノムDNAの配列 mRNAの配列 mRNAのtranscript variantの情報が記載 図4 ファイルのダウンロード

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Tetsuya Suzuki*1)

*1) Graduate School of Biomedical

and Health Sciences, Hiroshima University

CHOPCHOP v3 を用いた

CRISPR-Cas9 の     

標的配列検索方法

塚本智仁*2) 酒井英子*2) 櫻井文教*2) 水口裕之*2) *2) 大阪大学 大学院薬学研究科 り、これまでに多数の Cas9が同定 されているが、PAM配列は Cas9 の種類によって異なっている。現 在、 ゲ ノ ム 編 集 に 汎 用 さ れ て い るStreptococcus pyogenes由来Cas9 (SpCas9)の PAM配列は NGG であ る(N は任意の塩基を示す)。すなわ ち、標的遺伝子上にある NGG の上 流5’側の配列20塩基が、gRNA の 標的配列候補となる。NGG配列が あれば標的遺伝子の切断は可能では あるが、Cas9は極わずかな確率で はあるものの、標的配列以外の類似 した塩基配列部分を切断してしまう ことが知られている(オフターゲッ ト効果)。したがって、実際に Cas9 を用いてゲノム編集を行う際、全ゲ ノム配列中で類似配列が少ない標的 配列(オフターゲット効果が出にく い標的配列)を選択する必要がある。 標的遺伝子上のすべての PAM配列 を検索したうえで、それぞれの標的 配列に対してオフターゲット配列を 手動で検索することは極めて煩雑で あることから、Cas9の標的配列候 補を探索する際には、専用のプログ ラムを用いて最適な候補配列を検索 するのが一般的である。そこで、本 稿では CRISPR―Cas9を利用する際 に必須となる gRNA の候補配列の 検索方法について解説したい。 1.gRNA の設計プログラム   現 在、gRNA の 設 計 プ ロ グ ラ ム と し て は、CHOPCHOP v 31)

CRISPR direct2)、CRISPR―DT3)

ど、さまざまなものが無料で公開さ れており、目的や好みに応じてプ ログラムを使い分けることができ る。中でも CHOPCHOP v3は、プ ログラム自体にヒトやマウス等、さ まざまな生物の遺伝子配列がすでに 登録されているため、標的遺伝子の 塩基配列を所持していなくても、ゲ ノム編集を行いたい遺伝子名を入力 するだけで gRNA候補配列を選出 してくれるうえに、gRNA候補配列 の選出結果を視覚的に表示してくれ る。また、オプション機能を利用 することで細かい条件設定も可能 であることから、初心者から経験 豊富な研究者まで使いやすい非常 に優れたプログラムである。今回 は、初めて gRNA候補配列を選出 する方を対象に、ヒトの内在性遺伝 子である DNA methyltransferase 1(DNMT1)遺伝子を標的とする場 合を例にあげて、CHOPCHOP v3 (https://chopchop.cbu.uib.no/)によ る gRNA候補配列の選出方法につ いて解説する。 2. CHOPCHOP v3による gRNA 候補配列の選出  CHOPCHOP v 3の ホ ー ム ペ ー ジへアクセスすると、図5のよう なページが表示される。図5内の BOX①には、標的とする遺伝子名 を入力する(例:DNMT1)。もしく は、Gene ID や標的遺伝子の領域 を直接指定してもよい。BOX②は、 ゲノム編集の対象となる生物を指定 する(今回はヒトであるため、Homo sapiens(Hg38/GRCh38)。BOX③ は、使いたい Cas タンパク質の種類 を選択できるが、初期設定は Cas9 になっているため、基本的には変 更は不要である。もし、Cas9ニッ カーゼ(二本鎖DNA の一方の鎖の みに切れ目を入れる改変型Cas9) や Cas12a(Cpf1)を使いたい場合は ここを変更する。BOX④はゲノム 編集の目的を指定できる。標的配 列に indel(insertion and deletion) を入れたい場合は、“Knock-out”を 選択すると検索結果にフレームシ フト変異が入る効率(図6の BOX⑭ Efficiency)を gRNA毎に予測して くれる。一方、ドナー DNA を用 いて正確に遺伝子を挿入したい場 wayned/ape/)と い う フ リ ー の ツールで開ける。ApE を使用して GeneBank形式のファイルを開けば 塩基配列の他CDS や mRNA など の Gene Feature も確認でき、それ 以外にも制限酵素サイトの検索、逆 向き相補配列への変換および検索、 タンパク質への翻訳、塩基配列のア ライメントなどが行えるので、ベク ターの塩基配列情報があれば、パソ コン上で仮想のクローニングを行っ たり、クローニングした遺伝子の塩 基配列に変異がないかの解析などが できたりするので非常に便利であ る。  CRISPR―Cas9を用いたゲノム編 集技術は、今や分子生物学のみな らず多くの研究領域で欠かせない 研究ツールとなっており、これか ら本技術を導入予定の研究室も多 いと思われる。Cas9は、標的遺伝 子と相補的な塩基配列をもつガイ ド RNA(gRNA)と複合体を形成す ることで、ゲノムの任意の箇所を二 本鎖切断させることが可能な酵素 である。しかしながら、実際には 切断可能な塩基配列に制限があり、 PAM(Protospacer adjacent motif) とよばれる認識配列が標的配列の 下流3’側に必要である。Cas9は原 核生物由来の DNA切断酵素であ

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合(相同組換えによる Knock-in)は、 “Knock-in”を選択すると相同組換 えに必要な Homology arm を自動 的に設計してくれる。BOX⑤では、 オプションで細かい条件設定が可 能である。例えば、PAM配列が異 なる改変型Cas9を使いたい場合や、 エキソン上だけでなくイントロン上 にも gRNA を設計したい場合など、 研究者の要望に応じて設定を変更す ることができる。  すべての入力を完了させて、⑥

“Find Target Site!”をクリックす ると、検索結果の画面に遷移する (図6)。結果画面の上部には標的遺 伝子のエキソン(開始コドン ATG)、 イントロン、スプライシングバリ ア ン ト が 視 覚 的 に 表 示 さ れ て お り、下部にはプログラムに基づいて RANK付けされた標的配列の候補 一覧が表示される。内容は以下のと おりである。 ⑦ RANK:候補配列のプログラム に基づいた順位 ⑧ Target sequence:標的の塩基配 列と PAM配列 ⑨ Genomic location:ゲノム上の場 所 ⑩ Strand:標的となる配列が DNA のプラス鎖側かマイナス鎖側か ⑪ GC content(%):標的配列内の GC率 ⑫ Self-complementarity:標的候補 配列内で相補的となる箇所の数 ⑬ M M(M i s s M a t c h)0、M M 1、 MM2、MM3:ゲノム内全体に おいてオフターゲットとなりう る類似配列の数 (MM0がヒットする場合は標的 遺伝子にホモログが存在する可 能性がある) ⑭ Efficiency:プログラムによるゲ ノム編集効率の評価  標的候補の配列をクリックする と、図7に示すように標的候補配列 の近傍が拡大されて表示され、ゲノ ム編集により標的配列に変異が導入 されたことを確認するためのプラ イマーも自動で設計、表示される 図5 CHOPCHOP v3 ホームページ 図6 検索結果の画面 ⑭ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩ ⑪ ⑫ ⑬ ⑥ ①標的遺伝子 ②種(ヒト、マウス、etc.)③Casの種類 ④編集目的 ⑤詳細設定

(5)

(図7⑮)。また図には載せていない が、下にスクロールするとオフター ゲットとして切断される可能性のあ る遺伝子候補の詳細も表示される。 3.候補配列の選択  多数の候補配列がヒットするた め、どの配列を選べばよいか悩む か も し れ な い が、 基 本 的 に は ⑦ RANK が高いものを選択すればよ い。ただし、PolⅢプロモーター(例; U6、H1プロモーター)で gRNA を 発現させる場合、候補配列内に T が4個以上連続する配列は転写の停 止シグナルとなるため避ける必要 がある。特定のエキソンを標的に したいといった特別な事情のため RANK上位から選択できない場合 本連載は、「私たちの研究グループでは、このように行っている」という内容を記述するものであり、記述内容が標準であるこ とを保証するものではありません。 図7 標的候補配列の画面 は、オフターゲット配列が少ない ものを最優先で選び、次いで GC率 に極端な偏りがないもの、自己相 補性が低いものを選ぶとよい。選 んだ候補配列を Cas9と gRNA の 共発現プラスミドである pX330や pX459 v2(Addgene より購入可能、 #42230、62988)等にクローニング する場合は、⑧Target sequence の 右側3塩基の PAM配列部分を除い てクローニングを行う(gRNA内に PAM配列を入れてはいけない)。最 後に、⑭Efficiency はあくまでプロ グラムでの予測にすぎないため、実 際のゲノム編集効率と解離している 可能性がある。そのため、候補配列 は複数個(2~5個程度)選択し、標 的遺伝子の発現低下やゲノム編集効 Tomohito Tsukamoto*2) Eiko Sakai*2) Fuminori Sakurai*2) Hiroyuki Mizuguchi*2)

*2) Graduate School of Pharmaceutical

Sciences, Osaka University

文献

1) Labun, K., et al., Nucleic Acids Res. , 47, W171-W174 (2019)

2) Naito, Y., et al., Bioinformatics , 31, 1120-1123 (2015)

3) Zhu, H., et al., Bioinformatics , 35, 2783-2789 (2019) 率を実際に確認したのち、最適な gRNA を選択することを推奨する。 筆者らは、多くの場合、4つの候補 配列をチェックするようにしてい る。 PAM配列 gRNA候補配列 ⑮ ⑮ 二本鎖切断部位 PAM 配列

参照

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