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博物館の調査収集活動を通じて地域の自然を伝える展示

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博物館の調査収集活動を通じて地域の自然を伝える展示

企画展「おきなわ∼ちょうちょのふるさと∼」開催報告

坂本昇

伊丹市昆虫館

Exhibition on nature of an area through collection activity

exhibition of museum

Exhibition on "Okinawa" at Itami City Museum of Insects

Noboru SAKAMOTO

Itami City Museum of Insects

問い合わせ先 〒 664­0015 兵庫県伊丹市昆陽池 3­1 伊丹市昆虫館        e-mail:[email protected] (2013 年 3 月 6 日受理) 1. はじめに  伊丹市昆虫館(以下「当館」)の展示は昆虫の生体展示 が中心であり、展示種の多くは沖縄県産である1)。2006 年度の企画展「おきなわ∼ちょうちょのふるさと∼」(以 下「本展」)は、展示している沖縄県産昆虫の故郷であ る沖縄県の自然を紹介した展覧会として開催した。  本展の特徴は、展示の主軸に当館学芸職員2)が沖縄県 で定期的に行う調査収集活動を据えたことである。展示 では見えにくい博物館の裏側や調査研究などの事業を一 般利用者に紹介することは、これまでも様々な博物館に て常設展示の一部として、またはバックヤード見学など の教育普及事業で行われている。博物館学芸員の業務内 容を題材にした一時的な展示としては、1997 年に開催 された滋賀県立琵琶湖博物館企画展示「博物館ができる まで」、近年では 2009 年から福岡県内の博物館で巡回し た福岡地域学芸員ネットワーク推進協議会の「学芸員の お仕事展」などの例がある。これらは博物館の業務につ いて理解を深めてもらう目的で開催された例が多いよう である。一方、特定のメッセージを伝えるために博物館 の活動を紹介するという方法を選択する例もある。その ひとつとして、林原自然科学博物館が 2002 年から約 4 年間パナソニックセンター東京にて開催していた、期間 限定の恐竜博物館「ダイノソアファクトリー」がある3) この展覧会は、化石発掘現場から調査研究までを紹介し て研究者の仕事を追体験しながら、恐竜について学ぶも のであった。  本稿では、後者と同様に本展を特定の内容を伝えるた めに博物館活動を紹介するという手法を用いた展示事例 のひとつとして取り上げ、展示内容やその反応を報告す る。 2. 企画の背景 2.1. 当館における沖縄県産昆虫の飼育と現地調査  当館で来館者に人気を誇っているのが生体展示であ る。チョウ温室は亜熱帯産植物が植裁された環境に常時 14 種 1,000 頭ものチョウが飛び交い、来館者は摂食や 求愛などの行動を間近に観察できる。生態展示室では、 外国産昆虫、ツダナナフシなどの亜熱帯産昆虫、タガメ などの周辺地域産の昆虫を展示している。これらの昆虫 は通年展示するために館内で繁殖させているが、冬季の 繁殖のしやすさなどにより、日本各地の昆虫館・園では 亜熱帯地域、特に沖縄県産の昆虫を繁殖させ常設展示し ていることが多く、当館でも開館当初より生体展示種の 多くを沖縄県産昆虫が占めている。継続的な繁殖には近

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親交配による繁殖率低下などの危険性を回避する必要が あり、当館では年に 1 度学芸職員が沖縄へ赴いて現地で 親となる個体を収集して持ち帰っている。現地に出向く 目的は収集だけではなく、生息環境を調査して飼育技術 や展示手法の向上にも役立てるほか、現地の大学や博物 館の協力を得ながら実施して生息情報の蓄積にも貢献し ている。 2.2. 当館における類似テーマ展示の実施状況  当館では、過去にも沖縄県の自然をテーマに展覧会を 開催してきた。1993 年度開催の第 5 回特別展「沖縄の 自然と昆虫」、および 1997 年度企画展「亜熱帯・山原(ヤ ンバル)の昆虫たち」の 2 回である。前者は沖縄の昆虫 相を中心に、その特徴、代表的な昆虫、近年の生息状況 などについて紹介した。後者は昆虫写真家の湊和雄氏に よる、沖縄島山原地域の昆虫を中心とした自然の様子を 撮影した写真展であった。本展は、およそ 10 年を隔て 沖縄県の自然に関する企画展となった。 3. 事業の概要 3.1 基本情報 【名称】 企画展「おきなわ∼ちょうちょのふるさと∼」 【期間】 2006 年 12 月 20 日から 2007 年 3 月 12 日 【場所】 伊丹市昆虫館 第 2 展示室 (128 m²)、チョウ温室 【ねらい】 「沖縄」の自然や文化を紹介することで、温 室のチョウをはじめとした昆虫についての理解を拡げて もらうこと 【主な対象者】 小学生から親子、3 世代の家族連れ。 【関連事業】 講演会:「沖縄の自然と貴重な生き物たち」2007 年 1 月 8 日 講師 琉球大学資料館 佐々木健志氏 公演会:沖縄民俗芸能 & 琉球舞踊公演会 2007 年 3 月 4 日 公演 玉城流玉扇会前田雅子琉舞道場 沖縄エイサー 琉鼓會 生態映像上映会:「世界最大の蛾ヨナグニサン」2007 年 1 月 20 日 映像借用 アヤミハビル館 販売:沖縄物産の販売 【展示協力者】 井上治彦、金城政勝、佐々木健志、佐藤優香、澤志泰正、 大工哲弘、田中良尚、久村真知子、アヤミハビル館、沖 縄県人会兵庫県本部、沖縄県立博物館、環境省西表自然 保護官事務所、環境省西表野生生物保護センター、環境 省那覇自然環境事務所、環境省やんばる野生生物保護セ ンター、有限会社らんの里沖縄、与那国町教育委員会、 琉球大学資料館、そのほか沖縄出身および関連のみなさ ま (50 音順、敬称略 ) 【展示制作者および出演者等】 担当 坂本昇、野本康太 企画制作 伊丹市昆虫館 ( 後北峰之、奥山清市、坂本昇、  野本康太、角正美雪、長島聖大 ) 展示デザイン 伊丹市昆虫館、株式会社日展 グラフィックデザイン 株式会社日展、ピコ・ピクチャー ズ バナーグラフィック印刷 株式会社ケンズプランニング 展示施工 伊丹市昆虫館、株式会社日展 関連行事 角正美雪、野本康太、坂本昇 関連グッズ 奥山清市 3.2 展示方針  本展は、沖縄県の自然の様子について、当館が展示し ている沖縄県産昆虫の故郷として紹介することによっ て、理解を深めてもらうことを展示の目的とした。  本展の企画は、生体展示している沖縄県産昆虫たちが 生息する自然環境をもっと知ってほしい、という学芸職 員の思いから始まった。当館の常設展示ではそのような 情報は僅かであり、当館のチョウ温室内の植栽も亜熱 帯産植物が多いとはいえ現地の植生とは全く異なってい る。そのため、実際の生息環境についての情報を提供し たいと考えた。  そして、当館の来館者の多くが近隣地域である兵庫県 および大阪府在住である4)。沖縄県の印象を知る手がか りとして、伊丹市在住の当館臨時職員たちへの聞き取り をおこなった。それによると、沖縄から連想するのは青 い空、美しい海、鮮やかな色の花、サンゴ礁など、観光 地としての印象であった。自然に関連する事象は出てく るものの、本展で主に扱う予定だった昆虫のような生物 については、なじみが少ないと考えられた。  そこで本展にて選択したのが、当館で毎年実施してい る沖縄県での調査を展示の軸とすることである。本展で 調査収集活動を展示したことは、以下の 3 点の狙いがあっ

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た。1 つ目は、当館の沖縄における調査収集活動は、昆 虫が生息地から博物館に来るまでの過程と捉えることが できるため、これを展示することで来館者の関心が生息 地から館内の沖縄県産昆虫展示へと自然に移行し、空間 的、時間的な隔たりを少なくすることを狙った。2 つ目は、 当館の学芸職員ら、つまり伊丹市から沖縄県へ赴いた者 の視点で展示を展開することで、当館の来館者の多くを 占める近隣地域の人々に展示内容を親しみやすく感じさ せる効果を目指した。3 つ目は、調査生物の生態に合わ せた調査法、道具、取り扱いの様子等を示すことによっ て、生物の生態や生息環境を伝えることだった。  このような内容とした理由として、沖縄県の自然環境 と一口に言っても空から海、山までと幅広く、生物も昆 虫のみならず哺乳類、魚類、鳥類をはじめ多種多様であ り、それらを網羅的に紹介することは限界があることが 挙げられる。当館の展示室は資料を網羅的に集め展示す るには小さすぎるうえに、毎年沖縄県に調査収集に出か けているものの他の生物群についての専門家はおらず、 資料や情報を十分に持ち合わせていないためである。資 料や情報が足りなくとも、他の機関や専門家の協力を得 て展示を実施することは可能であるが、筆者らはそれら を最低限に留めた。その理由は、来館者にとって実感を 持てる展示にするためには、ある程度限られた内容の展 示になったとしても当館の経験や蓄積された情報を基に 表現する方がよいと考えたためである。  筆者と野本康太学芸員が本展の担当者であったが、本 展では担当者を中心にしながらも学芸職員ら全員の会議 で展示内容や手法について検討をかさね、共通認識を 持った上で各々の専門分野や技術に応じて制作を分担し た。当館職員で作成できない造作物やデザインは展示会 社に制作を依頼した。 3.3. 展示内容 1)展示室の構成  会場となる約 128㎡の第 2 展示室は 2 階にあり、来館 者はチョウ温室に続いて利用する場合が多い。展示の配 置は、左回りに観覧すると調査出張が順を追って追体験 できるようになっているが、特に順路は定めず自由に観 覧できるようにした(図 1)。 2)展示室入口  展示室手前のスペースは導入として、関西圏の人から 見たステレオタイプの沖縄をイメージした内容とした (写真1)。赤い屋根瓦を造作で表現したほか、シーサー や琉球舞踊の色鮮やかな衣装、伝統的な着物などを展示 し、さらに沖縄の観光地の風景や事物の写真を配置した。 これらは、華やかな雰囲気を演出して来館者の心理的な ハードルを下げると同時に、関西圏からの来館者が主た ることから、既知のイメージを示すことによってテーマ を分かりやすく示す狙いがあった。さらに展示室内の展 図 1 企画展「おきなわ」展示配置案(株式会社日展の展示図面による)

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コーナータイトル 内 容 調査計画 調査出張の計画と装備。解説パネルなどは、手書きのコメントを加えた(写真3) 収集・調査 沖縄島、八重山諸島の自然と学芸職員らの活動を報告書風にまとめて紹介。内容は昆虫に限定せず、展示資料も生体、標本、映像など多様な形態とした(写真 4、5) 昆虫館にきたチョウ チョウ温室で飼育したことがある沖縄産のチョウの標本と、現地での生育環境について紹介 した。産地とチョウの写真が載ったリーフレットで、温室でチョウを探してもらえるように した(写真 6) 海岸での調査 西表島海岸のアダン林に生息するツダナナフシ、漂着種子、星砂など、沖縄の海岸のようすを紹介(写真 7) 沖縄の自然と昆虫 沖縄の自然環境の特徴や関西との違いを紹介した(写真 8) 整理・記録作業 学芸職員らは野外調査後も民宿でデータ整理や捕獲した虫の餌やりなどを行う。作業する民宿のようすそのままを再現した(写真 9) スタッフが見た沖縄 学芸職員らが出会った沖縄ならではの食べ物や民具を展示した(写真 10)。民具の一部は手に取って遊べるようにした ちょうちょのパタパタ をつくろう 遊びながら沖縄の昆虫に親しみを持ってもらうため、チョウをかたどったパタパタづくり コーナーを設置した(写真 11)。温室内で展示しているチョウ、オオゴマダラと姿や大きさ が似たものである(写真 12) 沖縄の貴重な生物 沖縄は貴重な生き物の宝庫でもある。天然記念物の標本・写真、注意喚起のポスターなどで 現地の状況や取り組みを紹介した。ポスターやチラシは特に興味深く見る様子が見られた(写 真 13) 表 1 展示室の各コーナーとその内容 写真 2 展示室内の様子 写真1 展示室入口 示内容とのギャップにより、展示内容をより強く印象付 けるという効果を狙った。 3)展示室内の様子  当館の調査出張報告を軸として構成した。雰囲気を演 出するためグラフィックパネルはフィールドノート風の デザインとし、要所で手書きのコメントを加えた。各コー ナーはその内容に応じ、グラフィック、実物資料、生体 資料、映像などで構成した。会場内では沖縄県無形文化 財(八重山古典民謡)保持者である大工哲弘氏の協力に より、八重山民謡を BGM として流した。展示各コーナー の概要は表1のとおりである。 4)チョウ温室  常設展示であるチョウ温室内にも、本展とデザインを 合わせた専用の解説パネルのほか石敢當、シーサーなど で雰囲気づくりをおこない、来館者が本展とチョウ温室 を関連づけて見られるように配慮した(写真 14)。

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写真4 収集・調査コーナー 写真 6 昆虫館にきたチョウコーナー 写真3 調査計画コーナー 写真5 収集・調査コーナー 写真 7 海岸での調査コーナー 写真 8 沖縄の自然と昆虫コーナー

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写真 11 チョウのパタパタコーナー 写真 12 チョウのパタパタ 写真 14 チョウ温室内の様子 写真13 沖縄の貴重な生物コーナー 写真 9 整理・記録作業コーナー 写真10 スタッフが見た沖縄コーナー

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4. 成果と課題  制作した展示は、来館者にどのように受け止められた のだろうか。その反応や、本展の成果と課題について、 いくつかの点を述べたい。 4.1. 来館者数とその様子  本展期間中の入館者数は表 2 のとおりである。入館者 数は昨年同時期に比べ 3%増であった。休日は親子連れ や 3 世代にわたる家族グループ、昆陽池公園での野鳥観 察をかねた大人グループなどが訪れ、平日は幼稚園や小 学校の団体でにぎわった。会場での来館者の様子につい て、学習室に常駐して展示室の状況確認や来館者対応、 メンテナンスをしている当館解説員への聞き取りによる と、本展は他の企画展と比較した印象として、熱心に観 覧する来館者が多く、滞在時間が長いという意見が得ら れた。 図2 アンケート回答者の企画展「おきなわ」の情報源  子どもたちには、チョウ温室に展示しているチョウ、 オオゴマダラをかたどった工作「ちょうちょのパタパタ をつくろう」が人気だった。週末には材料が無くなる事 態が相次ぎ、館内ではほとんどの来館者が完成品を手に していた。チョウ温室でこれを上下に揺すってはねを動 かす子どもや、第 2 展示室とチョウ温室間を行き来する 来館者が多数見られた。 4.2. アンケート調査からみた来館者の反応  展示の反応を知るため、アンケート調査を実施した。 2 月 10 日から 3 月 11 日の期間、展示室内にアンケー トコーナーを設置し任意で記入していただいた。回答者 数は 74 名であった。  来館者の本展の情報源は、「来館してはじめて」、つま り来館するまで開催を知らなかったという意見が 61%で あった(図 2)。本展では広報用ポスターやチラシなどを 作成しなかったものの、プレス資料をマスコミ各社に発 送し、計 17 件の掲載があった。しかし告知は十分だっ たとは言いがたい。自由記入欄にも「もっと広報で企画 展のインパクトを紹介して欲しい」という広報活動の不 備を指摘する意見があった。しかしこの結果は、当館に おける過去の特別展・企画展と比較して、極端に高い値 ではない。当館は、企画展よりも常設展示を主目的とす 12 月 1 月 2 月 3 月 合計 開館日数 8 28 24 11 71 来館者数 1,268 9,823 10,025 4,983 26,099 表 2 期間中(2006 年 12 月 20 日∼ 2007 年 3 月 12 日)の来館者数

Q.企画展「おきなわ」を何で知りましたか?

来館してはじめて 58% チラシで 4% 雑誌で 3% テレビで 3% インターネットで 5% 人から聞いて 15% 無回答 1% その他 13% 「その他」の具体的な回答 ・以前TVで見て来てみたいと思っていた。 ・通ったらあったので ・昆虫館横の掲示板で ・学校の見学で 「広報伊丹」「新聞」「ラジオ」に ついては回答欄を用意していた が回答者はなかった。

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表 3 アンケートの自由記入欄、「おきなわ」展の具体的な感想、印象に残ったコーナー、新たに知っ たことなどの主なコメント  項   目 代表的なコメント 沖縄への関心向上 ・ 日本なのに外国みたいな虫、 特にチョウにびっくり。 子供が虫好きになったので色々勉強して沖縄に行 ってみたい。 ・ 沖縄に行ってみたくなりました。 沖縄の知識の獲得や印象の変化 ・ チョウなども含め虫がけっこう身近にいるなと感じました。 ・ 同じ日本でも北から南。 沖縄は南にあって生物の違いがわかった。 ・ サソリモドキが一番びっくりした。 ・ 星の砂が生き物の殻だったこと。 ・ カエルもコウモリも大きい 当館の調査収集活動に対しての評価 ・ とても大変な仕事ですね。 感心しました。 ・ チョウに対するスタッフの方の熱意に感心しました。 ・ 沖縄のチョウを捕まえるのにこんなに道具がいるなんて知らなかった。 展示体験への評価 ・ 感銘をうけました。 親子で楽しい一時を送れました。 ありがとうございました。 ・ たまにしか来ませんがこういうイべントをしていてビックリ。 とても楽しかったです。 ・ どれもおもしろかった。 ・ いろんな虫がみれてよかった。 ・ 次も期待しています。 ・ なんかもっとインパクトがあればいいと思った。 特定の展示や事業への評価 ・ 温室の中に入りチョウの多さとそれからお花のきれいなことや草木の管理の行き届いたことに。 ・ 温室のチョウがほとんど沖縄だった。 ・ 手作りの楽器が子供が喜んでいた。 ・ 整理 / 記録作業のレプリカ宿 ・ むさい ? 部屋の再現がスーパーウルトラ good でした♡ ・ 沖縄での取材の時の部屋の様子がとっても印象に残った。 ・ パタパタチョウかんたんで良い。 子供と一緒に作りました。 ・ エイサー良かったです。 展示企画に対してへの評価 ・ 雰囲気作り、 学芸職員の行動を知れたのはマニア ( プロ ) さが伝わって楽しませてもらいました。 昆虫な どの配置が子供というところが感心できました。コメントも面白かった。他にないほど素人が入っていけました。 ・ 自分も調査員になった気になれるスペースだった。 ・ 調査の過程、 生活 ? までとてもよくわかり興味深かった。 民宿の再現までは感動です。 本当に良い展示 でした。 要望 ・ 外国の物もいけど日本各地まだまだ知らないことだらけ。 また企画してもらったらいいな、 と思います。 ・ もっと広報で企画展のインパクトを紹介して欲しい。 る来館者が多いため5)、企画展を事前認知して来館する 人が少ない傾向があるようだ。そのような中で「人から 聞いて」、すなわち口コミが 12%となっていることは、 常設展示だけでなく本展を高評価した来館者が少なから ずいたことを示している。  展示の全体的な評価としては、「面白かった」、「まあ 面白かった」の高評価が合わせて 90%を超えた(図 3)。 いっぽう「あまり面白くなかった」、「つまらなかった」 の低評価も 5%あり、好き嫌いが別れた。さらに本展で は沖縄県の自然をテーマにしながら、内容は博物館の調 査収集活動が全面に出ているため、沖縄(企画展タイト ルがひらがな表記のため、質問では「おきなわ」として いる)と昆虫館スタッフの仕事、それぞれに対する興味 の向上についても回答してもらった。これらには、どち らも 70%以上の回答で高評価を得た。しかし、展示の 全体的な評価における高評価の割合よりも、それぞれの 項目に対する高評価の割合は低かった。これは両方の項 目に高評価とした回答ばかりでなく、どちらか一方の項 目のみ高評価とした回答があったということを示してい る。展示の全体的な評価における高評価の回答のうち、 一方のみ高評価で他方が低評価だった回答が 6%あった。  アンケートの具体的な感想(表 3)では、来館者自身 の展示体験への評価だけでなく、沖縄への関心向上や知 識の獲得のほか、調査収集活動や展示企画に対しても具

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図4 アンケート回答者の属性 図3 来館者の企画展「おきなわ」の評価 Q.性 別 Q.伊丹市昆虫館へは どのくらい来られていますか はじめて たまに (年1回かそれ以下) 年に 何回も来る 48% 26% 26% Q.きょう来られた動機は? 自分の趣味で 子ども、 友人のため 家族のレジャー 昆陽池公園の ついでに 遠足またはグループ の行事で 20% 25% 19% 9% 19% 8% その他 (その他の内容) エイサーの講演会 3 暖かかったから  1 たまたま     1 35% 62% 無回答 3% 男性 女性 Q.年 代 小学校まえ(幼児) 小学 1 ∼ 3 年生 小学 4 ∼ 6 年生 中学生 中学卒業∼ 19 歳 20 代 30 代 40 代 50 代以上無回答 5% 28% 22% 3% 1% 7% 16% 10% 7% 1% Q.お住まいの地域 伊丹市内 伊丹の隣接市町 兵庫県内 大阪府内 その他の 地域 無回答 27% 28% 7% 19% 14% 5% Q.主な交通手段 徒歩 自転車 自家用車・バイク 公共交通機関 観光バス 無回答 8% 19% 50% 11% 4% 8% その他の地域の回答 和歌山、橋本、横須賀、静岡

Q.企画展「おきなわ」はいかがでしたか?

とても面白かった 61% まあ面白かった 32% あまり面白くなかった 1% つまらなかった 4% 無回答 1%

Q.以下のことには、どのくらい興味がわきましたか?

おきなわのことに 昆虫館スタッフの仕事に とても興味がわいた まあ興味がわいた あまり興味がわかなかった まったく興味がわかなかった 無回答 47%       28%     11%  4% 9%   42%           28%     9%  5%  15%

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体的な意見が寄せられた。物足りなさを感じたと考えら れるような意見も存在したが、多くは高い評価であった。  回答者の属性は図4のとおりである。年代としては小 学生とその親世代と思われる 30 代、40 代が多く、来館 者の居住地域は市内が 3 割、市外 7 割ほどであり、また 約半数が自家用車で来館していることが挙げられる。来 館経験が複数回以上のいわゆる「リピーター」は 50% を超え、その半分が年に何回も来館すると回答している。 4.3. 沖縄の自然を扱った展示について  当館では開館以来沖縄県産の昆虫を数多く展示してい るにもかかわらず、沖縄の自然を扱った常設展示はない。 展示している沖縄県産昆虫の背景に目を向けるきっかけ を作ったことが本展の目的であり、アンケートの自由記 述からも、「色々勉強して沖縄に行ってみたい」など関 心が向上しているとみられる意見が得られたことや、「同 じ日本でも北から南。沖縄は南にあって生物の違いがわ かった」など地域の違いに関心を持った意見があったこ とは、本展が目的に沿った効果を出したことを裏付けて いると考えられる。  当館の沖縄県産昆虫は、展示だけでなく様々な事業に おいて人々に昆虫と親しみ、理解や驚きをもたらす存在 として活躍してきた。しかしその活躍のさせ方は、生き た昆虫として、もしくはあるグループに属する昆虫の一 例としての場合がほとんどで、それぞれの種を生息環境 とのかかわりの中で紹介することは少なかった。当館は 伊丹やその周辺地域といった身近な自然を扱うことを最 重要とみなしているためである。地域密着型の活動を重 視し、利用者に身近な自然に関心を持ってもらおうとし ている当館にとってこれは当然のことだ。しかし伊丹と は全く異なる沖縄の生息環境を紹介することは人々に新 鮮な驚きや知識の広がりを持ってもらえると共に、地域 の自然の展示とうまくリンクさせることが出来れば身近 な自然を省みるきっかけともできるだろう。当館が沖縄 産の昆虫を数多く繁殖させている事実は、生きている昆 虫を用いて自然環境の紹介ができるという点で有利であ る。そう考えたとき、このテーマの展示は 1 回限りで終 わるのではなく、常設展示、またはこれまでのように定 期的に企画展などを開催してゆくべきだろう。常設展示 として、開催後も時折本展で展示した標本を特別展示室 などで展示しているが、まだ生体展示とのリンクがうま く図られているとはいえない。生体展示と効果的に結び つけると共に伊丹周辺地域の自然と比較できるようにす るためには、内容と手法をさらに検討してゆくことが必 要だろう。 4.4. 調査収集活動を展示すること  アンケート自由記入の回答のうち調査収集活動の展示 について、「沖縄のチョウを捕まえるのにこんなに道具 がいるなんて知らなかった」というような、調査状況を 通じて現地の環境を伝えるという筆者らの狙いに沿った 回答があった。それに加えて、「自分も調査員になった 気になれるスペースだった」、「調査の過程、生活 ? まで とてもよくわかり興味深かった」、「他にないほど素人が 入っていけました」など、調査収集活動を紹介するとい う展示そのものを好意的に捉えた意見が複数あり、この 手法が来館者にとって興味深く好意的に受け止められた と考えることができた。 4.5. 本展開催による当館事業への成果  過去に当館が沖縄をテーマに展覧会を開催してから、 本展までに 10 年近く経っていた。毎年沖縄で調査研究 活動を行っていたとはいえ、その間に学芸職員の多くが 替わり、過去に交流のあった現地の博物館などとも関わ りが薄くなっていた面は否めない。しかし、沖縄産昆虫 を繁殖させ展示している当館にとって、各種昆虫の情報 や現地の情報を得続けてゆくために、沖縄に関わる各種 機関との連携は欠かせない。本展はその結びつきを改め て強くするきっかけとなった。本展開催のために、筆者 らは沖縄県にある大学や博物館をはじめ、多くの方の協 力を得て情報や資料を集めた。伊丹近辺でも沖縄県人会 を中心に多くの方が本展に賛同し、宣伝や資料の提供な どの積極的な協力があった。これら、沖縄に関係する方々 とつながりが持てたことは、今後の当館のために有意義 なことであった。今後もこのつながりを継続し、当館が 交流の場のひとつとなってゆくことで、改めて資料や内 容を充実させた沖縄の展示の実施や、関連する事業の実 現につなげていきたい。 5. おわりに  本稿では、博物館の調査収集活動を通じて地域の自然

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を伝える展示として、沖縄の自然をテーマとした企画展 を報告した。その反応からは、博物館の裏側とも言える 調査収集活動を展示する手法は、地域の自然に対する関 心向上につなげられることや、展示自体が来館者の興味 関心を引き、支持を得られることが示唆された。博物館 の裏側を見せる活動は人気が高く、当館で実施している バックヤードツアーも毎回定員を超える人気の行事であ る。人気だけでなく、このような事業の意義として、人々 に博物館の活動について詳しく知っていただくことで、 博物館を身近に感じてもらうと共に理解者を増やすとい う点がある。加えて博物館の業務内容を紹介することは、 モノの扱い方や調べ方といった学びのプロセスとも言え る情報を提供する機会でもある。博物館は特定の知識を 学ぶだけではなく自ら学び続ける人を育てる場所でもあ る。これはそのための一手段としても意義があるだろう。  博物館が楽しんでもらうだけの場ではなく、楽しむこ とを通じて人々と共に学び成長してゆく場を目指すと き、博物館の諸活動を利用者に紹介し共有してゆく活動 が、博物館に集う仲間をふやすことに大きな効果をもた らすはずである。 謝  辞  本展を訪れて下さり、アンケートに回答して下さった 方々、前述した展示協力者の方々、また共に本展を担当 した野本康太主任学芸員をはじめ制作と運営に関わった 伊丹市昆虫館職員の方々に、御礼申し上げます。 註 1) 例として「伊丹市昆虫館報平成 15 年∼ 17 年度」に よると、平成 15 年から 17 年にかけて飼育展示した チョウ 27 種のうち、17 種が沖縄産である。 2) 博物館の専門的事項をつかさどるのは学芸員である が、当館には学芸員に相当する業務を行う職員として 学芸員と学芸研究員の 2 種があるため、本稿ではこ れらを総称する表現として学芸職員という名称を用い た。 3) 雨宮千嘉(2006)によると、林原自然博物館館長の 石井健一はダイノソアファクトリーのテーマについ て、「研究の過程を通じ、科学者が自然の事実から学 んでいることや化石の意味を伝える」と述べている。 4)報告書としてまとめられている当館企画展のアン ケート結果のうち、回答者の住所について比較すると、 平成 11 年度の特別展「ワクワクくぬぎ林」では兵庫 県と大阪府が合わせて 83%、平成 12 年度の企画展「お りおりムッシー展」では伊丹市か隣接地域からが合わ せて 51%、平成 14 年度の企画展「ちょうちょのふし ぎいっぱい」では伊丹市か隣接地域からが合わせて 63%であった 5) 平成 19 年の特別展「となりの森にくらす虫」のア ンケート結果(未発表)によると、来館目的として「昆 虫館全体」または「チョウ温室」の回答数の合計が 85%であった。 6) 報告書としてまとめられている当館企画展のアン ケート結果において情報源のうち「来館してはじめて」 の回答について比較すると、平成 11 年度の特別展「ワ クワクくぬぎ林」では 32%、平成 12 年度の企画展 「おりおりムッシー展」では 31%、平成 14 年度の企 画展「ちょうちょのふしぎいっぱい」では 44%であっ た。平成 19 年の特別展「となりの森にくらす虫」で は 56%であった。 参考文献 坂本昇(2001)ハンズ・オン展示の特別展「ワクワクく ぬぎ林」を実施して . 博物館研究 36(2):40-45. 伊丹市昆虫館編(2001)文部科学省「親しむ博物館づくり」 事業「折紙を用いた昆虫かんさつ」実施報告書 . 伊丹 市昆虫館 , 兵庫 . 伊丹市昆虫館編(2003)文部科学省事業「ちょうちょの ふしぎ いっぱい」実施報告書 . 伊丹市昆虫館 , 兵庫 雨宮千嘉(2006)「展示開発研究会『利用者の心を動か す展示づくりをめざして』レポート」. 月刊ミュゼ 75 :22-23.

表 3 アンケートの自由記入欄、 「おきなわ」展の具体的な感想、印象に残ったコーナー、新たに知っ たことなどの主なコメント  項   目 代表的なコメント 沖縄への関心向上 ・ 日本なのに外国みたいな虫、 特にチョウにびっくり。 子供が虫好きになったので色々勉強して沖縄に行 ってみたい。 ・ 沖縄に行ってみたくなりました。 沖縄の知識の獲得や印象の変化 ・ チョウなども含め虫がけっこう身近にいるなと感じました。 ・ 同じ日本でも北から南。 沖縄は南にあって生物の違いがわかった。 ・ サソリモドキが一番びっく

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