空間的に非一様なカイラル凝縮に対する
current quark mass の影響
東京高専 前段 眞治 東京理科大学セミナー
§1.Introduction
• 低温、高密度におけるQCDの振る舞い
• 中性子星、compact star、クォーク物質の
理解に重要
T ≈0 でのQCDの基底状態
μ
カイラル対称性の 破れた相 カラー超伝導相有限密度において、fermionic condensate が
空間非一様になる議論
• Deryagin & Grigoriev & Rubakov (1992) のQCD, g2 < 1 / N
C
• Schӧn & Thies (2000), Ohwa (2002)
(1+1)次元モデル; の chiral Gross-Neveu model • Nakano & Tatsumi (2005), Sadzikowski (2006)
NJL model ; 、 current mass = 0. • その他
課題の1つ; 4次元のモデルでは、current quark mass が有限値の 場合がほとんど調べられていない。
( Nickel(2009); scalar 型 condensate に限った 場合の研究あり )
今回の内容
• 4次元のモデルで、
current quark mass m
を有限値にとると基底状態にどんな影響を
与えるのか?
§2. current quark mass が0の場合
(Nakano & Tatsumi (2005) のreview)
QCD の強結合領域を調べるため、有効理論のNJLモデルを使う.
ここで
• 平均場を仮定
空間依存性をもつ点に注意 (ただし の極限では一様) ・・・ dynamical quark mass,
・・・ 波数ベクトル カイラル円;
• 手法
平均場近似で、thermodynamic potential を計算 (Proper-Time 正則化を使った)
の最小値を実現する 基底状態
• T=0 の場合の結果( Nakano & Tatsumi (2005):有限温度も計算実行 ) (i)高密度領域でも chiral condensate は
起こり、 は
空間非一様 となる。
(ii)バリオン密度は空間一様。 = constant
§3. current quark mass m が
有限の場合( T=0 )
• Current mass mが有限
有効ポテンシャルは
の方が下がって複雑な形
しかし、ここでは簡単のためカイラル円を考える
ansatz として
平均場近似後
ここで、
とおくと
もし m が0なら位置
に依存する項なし
計算可能
m が有限のとき、 に依存する部分が残って計算が困難。
摂動法を使う
で、
・・・・主要部
・・・・ 補正部分
とみなす。
ここで、
Note; ・chiral limit
では補正部分
• 非摂動項のプロパゲータ S
0は、4つのenergy pole をもつ;
負エネルギーの
は、Dirac sea ,
正エネルギーの
は、高密度でFermi sea
• Thermodynamic potential ω の中には、
Dirac sea からの寄与 ω
DFermi seaからの寄与 ω
Fなどが含まれる。
の摂動で1次までとる。
ここで
ω
D, ω
F・・・・・・ V
mの0 次
δω
D, δω
F・・・・・ ・ V
mの1 次の寄与
• Input parameter
の決定 ( T = 0, q = 0 )
以下を要請する;
(i)
を再現
(ii) 高密度になったときのカイラル相転移が1次
q = 0 のとき(空間一様)
の、
の振る舞いに注意が必要
が約 を超えると、 となってしまう。 物理的に不自然。 よって以下では の領域は扱わない補足
上記の の振る舞いは、Proper-Time 正則化の影響と考えられる。実際、 gap 方程式を調べると、 がある値 を超えると となる。 ( 3次元運動量正則化を使った場合、 とはならない )• 数値計算結果 ( T = 0 )
(1) 空間非一様なカイラル凝縮は起こらず
空間非一様なカイラル凝縮は起る
(2) バリオン密度(の 1/3 )は、高密度で空間非一様になる
振動の波数ベクトルはカイラル凝縮のそれと同じ
まず調べ易い、空間一様な場合を考えよう
( I ) homogeneous case
と置くと
ここで、
δωD は、 φ を 0 へ近づける働きをする。 ( current mass を導入した影響で
φ = 0 が favor される )
δωF は、μ が Mt を超えて大きくなる程、
δωD + δωF は、 φ を 0 へ近づける働きを する。 ただ、μ が大きくなる程、その働きは 弱くなる。 言い換えれば、ω の φ 依存性は、 μ が Mt を超えて大きくなる程、弱くなる。 以上より、current mass が有限値をとった場合でも、 μ が μc (約 0.7 Λ ) に近いような大きな値をとるときは、ω の φ 依存性はとても弱い。 inhomogeneous な場合に採ったansatz は高密度 μ ≈ μ では妥当であると期待できる。
( II ) inhomogeneous case ( q > 0 )
ansatz;
( i ) δωD + δωF m の寄与 ( ii ) – ( m / 2G ) Mtそれぞれの寄与を調べる
( i ) δωD + δωF の寄与 (a) 波数 q が小さい場合(Taylor 展開)δωD は、 q = 0 (空間一様) へ近づける 働きをする。
δωF は、μ が Mt を超えて大きくなる程、 q を 0 より大きくする働きが強くなる。
δωD + δωF は、 q を 0 へ近づける 働きをする。 (空間一様の方向) (b) 波数 q が小さくはない場合 ( 0 < q < 2 μ ) 数値計算の結果: δωD + δωF > 0 と、常に正の値 以上より、 δωD + δωF は、空間一様 ( q=0 ) にする方向に 働くことがわかった。
( ii ) – ( m / 2G ) Mt の寄与 任意の q に対して – ( m / 2G ) Mt は、任意の q に対して ω を押し下げる働きをする。 しかもMt の大きな値のところほど 大きく下げる。 よって、 – ( m / 2G ) Mt は、空間 非一様 ( q > 0 ) を起こりやすくさせる 可能性をもつ。特に大きな値の Mt で。
current mass が導入されると、カイラル凝縮は空間的に
非一様になりやすくなるのかどうなのか。
§5.まとめ
Current quark mass が、空間非一様なカイラル凝縮の
基底状態に与える影響を調べた。 • モデル NJL model • 手法 平均場近似 current mass を含む項を補正とみなして、1次まで摂動計算した • 結果 (1) current mass が有限値をとるときでも、空間的に非一様なカイラル凝縮は高 密度で起こり得る( 6.94 ≤ G Λ2 )。 (2) バリオン密度が高密度側で空間非一様になる。波数ベクトルはカイラル 凝縮のそれと同じ(カイラル極限 では空間一様)。
(3) current mass が 与える影響は、2つの部分にわけられる; ( i ) δωD + δωF 空間非一様なカイラル凝縮を起こりにくくする 方向に働く。 競合 ( ii ) – ( m / 2G ) Mt 空間非一様 ( q > 0 ) なカイラル凝縮を起こり やすくさせる可能性をもつ。 特に大きな値の Mt で。 ·課題 (a) カイラル円に乗った ansatz の妥当性 μc (約 0.7 Λ )に近い程、よいだろう。だが、もっと適切なansatzを みつける必要あり。 (b) 有限温度での計算