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情報知識学会誌 2014Vol.24,No.2 第 22 回年次大会予稿 FRBR に基づく件名 分類管理システムの試作 : 教科書分類を例として A Work/SubjectRelationshipManagement SystemBasedonFRBR Model:ACaseofTextbook

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Academic year: 2021

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(1)

第22回年次大会予稿

FRBR

に基づく件名・分類管理システムの試作

:

教科書分類を例として

A Work

/SubjectRe

lat

ionsh

ipManagement SystemBasedonFRBR

Mode

l:ACaseofTextbookC

lass

ificat

ion

田辺浩介

1∗

,

江草由佳

2

,

高久雅生

3

KosukeTANABE

1∗

,YukaEGUSA

2

, MasaoTAKAKU

3

1物質・材料研究機構 科学情報室 NationalInstitutefor MaterialsScience E-mail:TANABE.Kosuke@nims.go.jp 2国立教育政策研究所 教育研究情報センター

NationalInstituteforEducationalPolicyResearch E-mail:yuka@nier.go.jp

3筑波大学 図書館情報メディア系 UniversityofTsukuba

E-mail:masao@slis.tsukuba.ac.jp *連絡先著者CorrespondingAuthor

本研究では,FRBRモデルに基づく件名・分類管理システムを試作した.本システムは,FRBR のWork情報に対し,図書館やコミュニティごとに独自の件名標目や分類標目を作成し,他の図書館 やコミュニティと共有することができる.この発表では,本システムを用いて教科書の件名・分類情 報を作成し,それらの情報を他の図書館システム上で共有できることを示す.

キーワード: FRBR,疎結合,件名管理

Keywords:FRBR,loosecoupling,subjectheadingmanagement

1

はじめに

現在の書誌情報は,AACR2(Anglo-American CataloguingRules2ndedition;英米目録規則)[1]

や NCR(日本目録規則)[2]などの目録規則に よって作成されてきた.しかし,それらの書誌 情報は,資料のデジタル化の進展や多メディア 化に伴い,その利用に限界が見えてきたと指摘 されている [3].多メディア化によって,新た な検索ニーズが生まれたが,AACR2などの既 存の目録規則では,それを満たすことが困難に なってきた[3].たとえば,AACR2は資料の内 容種別とキャリアタイプの区別がついていない ため,同じ内容の作品を異なるメディアでほし いといったニーズに対応することが困難である. また,書誌間の関連情報を記述することができ ないため,たとえばある映画の原作の図書を探 そうとして,原作のタイトルが映画と大きく異 なっている場合の検索も同様に困難である. これらの新しいニーズに基づく調査と議論の 結果から生まれたのが FRBR(Functiona lRe-quirementsforBibliographicRecords,「書誌レ コードの機能要件」;以下「FRBR」と呼ぶ)[4]

(2)

である.FRBRにおける書誌情報の新しい概念 モデルは,内容とキャリアの区別,また資料と資 料の間や資料と件名の関連を記録できるように なっており,1997年にIFLA(Internationa lFed-erationofLibraryAssociationsandInstitutions; 国際図書館連盟)が最終報告として発行して以 来,多くの研究や分析の報告が行われている[5] FRBRは利用者指向の書誌情報の作成を目指 して開発されたモデルだが,その中でも件名 (Subject)は,主題アクセスをもとにした資料の 発見や選択において用いられる存在として扱わ れている.また,件名典拠レコードの機能要件を 定めることを目的としたFRSAD(Functiona lRe-quirementsforSubjectAuthorityData)が,FRBR を拡張するモデルとして開発されている.しか し,FRBRの最終報告では,件名の扱いは詳細 な分析が行われておらず,また FRBRをもと に作成された目録規則である RDA(Resource DescriptionandAccess)[6]においても,件名に ついての記述方法は2014年4月時点ではまだ 策定されていない[7].また,FRBRモデルにお いて導入された,著作物の件名を表すConcept・ Event・Object・Placeを,目録システム上でどう 扱うかについても,多くの研究があるわけでは ない. 筆者たちはこれまで FRBRの Workと Ex-pressionのエンティティを別システムで扱う, 疎結合モデルによるFRBRの実装を提案してき た[8].本システムでは,その実装モデルを拡張 した,FRBRモデルに基づく件名情報の作成・ 共有方法を提案する.

2 FRBR

FRBRは書誌レコードを表すために,エン ティティ-リレーションシップモデルを採用して いる.FRBRモデルでは10個のエンティティ が定義されている. まず,以下の4つが資料について記述するた めのエンティティである.これらはFRBRにお いてGroup1として定義されている. •Work(著作) ひとつの作品を表す •Expression(表現形) あるWorkの文字や音声として表現を表す •Manifestation(体現形)

あるExpressionが本やCD,コンピュータ 上のファイルのように流通するための形状 を表す

•Item(個別資料)

個人や図書館によって所有されているある Manifestationの複製のうちの1部や1枚を 表す 次に,以下の2つが人物・団体について記述す るためのエンティティである.これらはFRBR においてGroup2として定義されている.  •Person(個人):個人を表す •CorporateBody(団体):組織や団体を表す 最後に,以下の4つが件名について記述する ためのエンティティである.これらはFRBRに おいてGroup3として定義されている. •Concept(概念):抽象的な概念を表す •Event(出来事):時代や出来事を表す •Object(物):物質を表す •Place(場所):場所を表す FRBRにおいて,Group3の各エンティティ は,Group1のWorkエンティティに対してのみ 関連を作成できるようになっている.図1はそ の例で,「ハリー・ポッターと賢者の石」とい うWorkに対して,「魔法使い」というConcept, 「クィディッチワールドカップ」というEvent, 「ほうき」というObject,「イングランド」とい うPlaceが,それぞれ件名として関連づけられ ている.

(3)

図1 FRBRのGroup3エンティティの関連

3

対象データ

本研究では,教育図書館が明治期から現在使 用されている教科書まで網羅的に収集している 約10万冊の教科書コレクション[9]のうち,教 育図書館が NACSIS-CATに登録している明治 初期の教科書分14,083件の書誌レコードを使用 した.よってこの教科書の書誌レコードについ ては,CiNiiBooksやWebcatPlusを通じた検索 も可能となっている. また,教育図書館が維持管理している教科書 のための分類「教科書分類」を使用した.この 分類は複数の図書館の教科書の所蔵目録をまと めた明治以降教科書総合目録 [10]が刊行された 1967年に登場することから,少なくとも47年 以上使用され維持され続けている分類である. これは,学校種別,教科書の採用制度,教科書・ 教授書,教科を元にした特殊分類なため,基本的 には,分類記号の先頭の3桁をみればどの時代 のどの学校種別かがわかり,一の位の桁で教科 書か教授書かがわかり,小数点以下で科目がわ かるようになっている.例えば,K120.1であれ ば,明治検定教科書の時代の小学校の教科書で, 科目が修身であることを表し,K121.1であれ ば,明治検定教科書の時代の小学校の教授書で, 科目が修身であることを表す.例えば,K130.1 であれば,国定教科書の時代の小学校の教科書 で,科目が修身であることを表し,K131.1であ れば,国定教科書の時代の小学校の教授書で, 科目が修身であることを表す.

4

システムの構成

本研究で提案するシステムは,WEシステム とSC3システムで構成される.システムの全体 図を図2に示す. WEシステムは,FRBRのGroup1に相当す るエンティティであるWorkとExpressionの管 理を行うためのシステムである[8]WEシステ

ムは,MIハブ(CiNiiBooksやNDLサーチな どの,Manifestationに相当する書誌情報とその パーマリンクを提供するシステム)から書誌情報 を取得し,WEシステム上で作成されるWork・ Expressionと,MIハブ上のManifestationとの間 に関連を設定することができる.作成された関 連はハイパーリンクとして表現されるため,ユー ザはWEシステム上のWork・Expressionと,そ れに関連づけられたMIハブ上のManifestation

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図2 システムの全体図 図3 WEシステム上のWorkの表示例 の間を,ハイパーリンクを介して移動すること ができる. SC3システムは,FRBRの Group3,つまり 件名に相当するエンティティである Concept・ Event・Object・Placeの管理を行うためのシス テムである.本研究では,教科書分類の情報を ConceptエンティティとしてSC3システムに保 存している. SC3システムは,各件名レコードのパーマリ ンクを提供していなければならない.また,SC3 システムに保存されている件名の情報をWEシ ステムなどの他のシステムで利用するために, 件名のエンティティの情報をJSONやXMLで 提供するWebAPIを備えていることが強く望ま れる. また,本研究では WE システムに対して, SC3システム上のGroup3エンティティを関連 づけるための拡張を行った.Workと Group3 エンティティの関連を作成する際,WEシステ ムは SC3システム上のGroup3エンティティ のURLを取得する.また,WEシステムはダ ミーのGroup3エンティティを作成し,取得し たGroup3エンティティのURLをそのエンティ ティの属性値として,WEシステムに保存する. WEシステム上のWorkに対して,SC3シス テム上のConceptエンティティを追加する手順 を示す. まず,Conceptを登録する対象のWorkをWE システム上で開く(図3). 次に,SC3システムを呼び出すためのブック

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JavaScriptのコード ✓ ✏ javascript:window.location.href=’http://sc3-system.example.jp/ subjects?work_url=’+encodeURIComponent(location.href); ✒ ✑ WEシステムのURLをブックマークレットで呼び出す例 ✓ ✏ http://sc3-system.example.jp/subjects?work_url=http%3A%2F% 2Fwe-system.example.jp%2Fworks%2F2453 ✒ ✑ 図4 WEシステム上において動作させるブックマークレットのコードとリンク先URLの例 図5 SC3システム上のConceptの一覧 図6 追加するConceptの選択 マークレットを開く.ブックマークレットの内 容は図4のようになっており,WEシステムの WorkのURLを引数にとっている. テムに遷移し,SC3システムに登録されている Conceptの一覧が表示される(図5). 図7 WorkとConceptの関連種別の入力 図8 WorkとConceptの関連の作成完了画面 この一覧から,追加するConceptを検索し, 「追加」リンクを選択すると(図 6),再度WE システムに戻り,選択したWorkと,そのWork に追加するConceptとの関連の種別を入力する 画面が開く(図7).関連種別を入力して「関連 を作成」ボタンを選択すると(図8),Workと Conceptの間の関連が作成され,WEシステム

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図9 Conceptとの関連が作成されたWorkの表示例 の Workの詳細表示画面に SC3システム上の Conceptが表示される(図9). SC3システムから追加した Conceptの情報 は,WEシステムでの検索に利用することがで きる.図10では,SC3システムで追加した「修 身」という Conceptを用いて,検索を行って いる. 図 10 SC3シ ス テ ム の Conceptを 用 い た Workの検索 WEシステムのWorkの詳細画面には,SC3 システムで追加した件名である「修身」が表示 される.件名の表示部分にはSC3システム上の 件名情報へのハイパーリンクがあり,そのリン クをたどることで,SC3システムに保存されて いる関連する件名を取得し,さらにその件名を 用いて,WEシステムで別のWorkの情報を検 索することができる(図11). 図 11 SC3システムの Conceptの表示例. WEシステムへのリンクがある

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考察

SC3システムは他のシステムから独立して動 作し,他のシステムとはデータを直接共有せず, ハイパーリンクのみで接続される.このため, 既存の目録システム上で件名標目のデータを保 持することなく,書誌情報に対して件名の情報 を追加することができる.SC3システムとWE システムの連携により,WEシステムで作成さ れるWorkエンティティに対して,SC3システ ム上の件名情報を用いた検索が可能となる.ま た,SC3システム上で件名間の関連が管理され ていれば,関連する件名を利用したWorkの検 索を行うこともできる. なお,SC3システムとして動作する最低限の 要件は,件名情報のパーマリンクを提供してい ることであるため,WebNDLAuthorities[11]

ような既存の件名典拠システムも,SC3システ ムとして利用することができる.

6

おわりに

本研究では,FRBRモデルのConcept・Event・ Object・Placeのエンティティを,既存の運営母 体によって作成・管理された書誌・所蔵データ

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と連動して扱える,疎結合構成の実装モデルを 提案した.提案したモデルに基づいたシステム を開発し,教科書データベースの書誌情報を利 用して,FRBRモデルのGroup3エンティティ の情報の登録や検索,既存の図書館システムの 該当する資料ヘの書誌情報や所在情報までのナ ビゲーションを行えることを示した.本研究で は今後,FRSADに基づく件名典拠管理のため の手法を開発する予定である.

参考文献

[1]Joint Steering Committee for Revision of AACR; AmericanLibrary Association; Canadian Library Association; Chartered InstituteofLibraryandInformat ionPro-fessionals: “Anglo-American Cataloguing Rules,SecondEdition,2002Revision,2005 Update(Kit)”. AmericanLibraryAssoc ia-tion,750p.,2005.

[2]日本図書館協会目録委員会:「日本目録規 則」.日本図書館協会,1987年版,改訂3版, 445p.,2006.

[3]Tillett,BarbaraB.:“Keepinglibrariesre l-evantintheSemantic Web withresource descriptionandaccess(RDA)”, Serials, Vol.24,No.3,pp.266–272,2011.

[4]IFLA Study Group onthe Functional Requirementsfor Bibliographic Records: “Functional requirements for bibl io-graphicrecords: finalreport”, 1998.

http://archive.ifla.org/VII/ s13/frbr/frbr_current_toc.htm (2014年4月18日参照).

[5]FRBR Review Group: “FRBR Bibl iog-raphy,version13.3(2010-05-14)”,2010. http://www.ifla.org/node/881 (2014年4月18日参照).

[6]JointSteeringCommitteeforDevelopment ofRDA:“RDA:ResourceDescriptionand Access”,2010.

[7]“GENERALGUIDELINESONRECORD-ING ATTRIBUTES OF CONCEPTS, OBJECTS, EVENTS, AND PLACES”. http://access.rdatoolkit.org/ rdachp12_rda12-12.html(2014年 4月17日参照). [8]田辺浩介;高久雅生;江草由佳:「疎結合 構成によるFRBRモデルに基づく目録シ ステムの試作」,情報知識学会誌,Vol.23, No.2,pp.219–228,2013. [9]江草由佳:「戦前期教科書の電子化・保存と その応用」,情報知識学会誌,Vol.17,No.4, pp.225–234,2007. [10]鳥居美和子:「明治以降教科書総合目録」. 教育文献総合目録/国立教育研究所編,第3 集1,2.小宮山書店,1967.

[11]“Web NDL Authorities”. http://id. ndl.go.jp/auth/ndla(2014年4月 17日参照).

図 1 FRBR の Group3 エンティティの関連 3 対象データ 本研究では,教育図書館が明治期から現在使 用されている教科書まで網羅的に収集している 約 10 万冊の教科書コレクション [9] のうち,教 育図書館が NACSIS-CAT に登録している明治 初期の教科書分 14 ,083 件の書誌レコードを使用 した.よってこの教科書の書誌レコードについ ては, C iN i iBooks や Webca tP lus を通じた検索 も可能となっている. また,教育図書館が維持管理している教科書
図 2 システムの全体図 図 3  WE システム上の Work の表示例 の間を,ハイパーリンクを介して移動すること ができる. SC3 システムは, FRBR の Group3 ,つまり 件名に相当するエンティティである Concep t ・ Even t ・ Ob jec t ・ P lace の管理を行うためのシス テムである.本研究では,教科書分類の情報を Concep t エンティティとして SC3 システムに保 存している. SC3 システムは,各件名レコードのパーマリンクを提供していなければ
図 9  Concep t との関連が作成された Work の表示例 の Work の詳細表示画面に SC3 システム上の Concep t が表示される(図 9 ). SC3 システムから追加した Concep t の情報 は, WE システムでの検索に利用することがで きる.図 10 では, SC3 システムで追加した「修 身」という Concep t を用いて,検索を行って いる. 図 10 SC3 シ ス テ ム の Concep t を 用 い た Work の検索 WE システムの Work の

参照

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