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植野先生の「読む」姿勢

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Academic year: 2021

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植野先生の「読む」姿勢

猪熊 作巳

私が実践女子大学に就いてからの6年間――といっても不届きな私は研究 休暇のため最後の1年間をご一緒できなかったのですが――、植野先生との 思い出を振り返ってみると、いつも「読む」というキーワードが浮かびあが ります。学内外のさまざまな文書の作成や校閲にあたっては、その言葉遣い や表記のゆれ、句読点の有無、それによって生じる解釈上の曖昧さといった 細部にまでこだわり、私が気づいていなかった問題に気づかされることもし ばしばでした。 もちろん英語を読む際にもその姿勢は変わりません。むしろ母語でない分、 植野先生の注意力がより顕著に現れていたように感じます。テキストに登場す る構文について先生に質問され、それに対して満足のいく説明を与えられな かったどころか、そもそもその構文がはらむ問題にすら気づいていなかった 際には、文法を専門にしているものとして穴があったら入りたいほどでした。 丁寧な読みを大切にする植野先生の姿勢は、日々の授業はもちろんのこと、 関心のある学生を集めて開かれていた読書会や、オープンキャンパスでの模 擬授業などを通じ、学生にも伝えられています。また、即場面的な英会話能 力や「コミュ力」が過度に重視される昨今にあって、我々の学科は精読や内 容把握といった、いわば古典的な授業を重視しています。読解力や想像力と いった能力は地味かもしれませんが、間違いなく学生の将来にとって大きな 意味を持ちます。このようなカリキュラムを英文学科が維持できているのは、 植野先生が築いてこられた、言葉を大切にする態度があってのことでしょう。 特にここ数年はさまざまな校務に追われ、読むものといえば味気ない書類 や学生の書いたレポートの添削が大半、という生活を送られてきたこととお 察しします。今後はぜひ、自分の好きなものを、好きなだけ、好きなように、 読む生活を楽しんでください(目に入れても痛くないお孫さんにも、読む 楽しみを伝えられますように!)。 121

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