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骨シンチグラフィで肋骨転移を疑い合併切除を施行した肺癌の2例

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Academic year: 2021

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(1)

臨床報告

倭女驕69第臨62肇1言〕

骨シンチグラフィで肋骨転移を疑い合併切除を施行した肺癌の2例

ソ ネ 曽根 ケ イ

毛井

東京女子医科大学 第1外科 同 第1病理奉 ヤスユキ ヨコヤマ マサヨシ ナカジマ

康之・横山 正義・中島

ジユンイチ ワダ ジユロウ トヨダ

純一・和田 壽郎・豊田

(受付 昭和62年2月23日) ヒデツグ

秀嗣

チサト 智里串 はじめに 原発性肺癌は比較的早期より種々の機序で転移 をきたすことが多く,これらの転移巣を明らかに することは組織型や原発巣の大きさとともに治療 方針決定のため重要である.近年,転移巣に対す る診断技術の向上によりある程度的確に診断でき るようになってきたが,なお判断に迷う症例があ ることも事実である.また,遠隔転移を有する肺 癌症例の多くは外科治療の適応外であることは明 らかであるが,集学的療法という観点からみると 化学療法・放射線療法・免疫療法などと並行して 外科療法を施行する症例は皆無ではない. 最近われわれは骨シンチグラフィで肋骨転移を 疑い肋骨切除と肺葉切除を同時施行した原発性肺 癌の2例を経験したので報告する. 症 例 症例1:56歳,女性,主婦. 主訴:胸部異常陰影. 既応歴:12歳時,腸結核. 家族歴:特記すべき事なし. 喫煙歴:なし. 現病歴:昭和61年2月下旬より右側∼右前胸部 痛出現.3月12日近医受診し胸部X線と胸部CT にて右上葉の異常陰影指摘される.4月15日精査 目的にて当科入院となる. 入院時現症:体格中等度.表在リンパ節触知し ない,チアノーゼ,パチ状指なし.右側∼右前胸 部痛は鈍痛で移動性であったが,右第11肋骨側方 部に圧痛を認めた.その他胸腹部に異常は認めな かった. 検査所見:入院時一般血液生化学検査に異常は 認めなかった.心電図,肺機能は正常であった. 胸部X線(写真1)にて右上肺野に網状陰影を認 ヤ

写真1 症例1.入院時胸部X線.右上肺野に網状陰 影を認める.

Yasuyuki SONE, Ma8ayo8hi YOKOYAMA, Hidetugu NAK:AJIMA, Junichi KIEI, Juro WADA

〔D。p。,tm。nt・f S・・g・・y l, T・ky・W・m・㎡・M・di・a1 C・11・g・〕Chi・・t・TOYODA〔D・p・貢m・nt・f P・th・1・

。倒,T。ky・W・m・ガ・M・di・al C・ll・g・〕・Tw・ca駝・・f lung・ancer;L・bect・my・・mbi・的wi㎞・ib resection was carried out b㏄ause of rib metastasis suspected by bone scintigraphy.

(2)

めた.胸部CTにて,右S甕・S言に胸膜嵌入像を伴 なう直径2cmの腫瘤影を認めた.肺門・縦隔リン パ節腫脹や胸水は認めなかった.胸部断層でも同 様の所見であった.気管支鏡下キュレット細胞診

にてClass IV suspicious of adenocarcinomaで

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…i:勤 写真2 症例1.術前骨シンチグラフィ後面像.右第 11肋骨に異常集積橡を認める(O).

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写真3 症例1.術前骨X線.右第11肋骨に異常は認 めない, あった.頭部・腹部CTに異常は認めなかった. 骨シンチグラフィ(写真2)にて,右第11肋骨側 方部に異常集積像を認めたが,肋骨X線(写真3) では明らかな異常は認められなかった. 以上の結果より骨X線陰性であったが,外傷の 既応がなく圧痛があり,骨シンチ陽性であったの で,肋骨転移陽性と判断し,suspicious of adeno− carcinoma c・TINOMI stage IVと診断した.

4月28日 定型総懸上葉切除,R2リンパ節郭清 と右第11肋骨切除を同時施行した, 術中および術後病理所見:胸水,胸膜播種,肺 内転移は認めなかった.原発巣は,中心部に炭粉 沈着を伴なう線維化巣と胸膜嵌入を伴なう2.3× 2.2×1.8cmの中分化乳頭状腺癌であった(写真4 a).リンパ節転移はなかった.第11肋骨に転移巣

を認めた(写真4b). p−TINOMI pOpmO stage IV

であった.

a

b

写真4 症例1.術後病理組織像.a:原発巣 中分

(3)

術後経過:術後14油日にシスプラチン100mg・ ピンクリスチソ2mgの後療法を行ない,退院後は テガフルズポ750mgを連日投与している.現在術 後8ヵ月であるが再発・転移は認めていない. 症例2:61歳,男性,警備員. 主訴:胸部異常陰影. 既往歴:特記すべき事なし. 家族歴:特記すべき事なし. 喫煙歴:10本/日,30年間. 現病歴:昭和60年10月頃より咳漱出現.61年5 月健診にて右上肺野異常陰影指摘される.8月23 日精査目的にて当科入院となる. 入院時現症:体格中等度,表在リンパ節触知し ない.チアノーゼ,バチ状指認めない.胸腹部に 異常認めない, 検査所見:白血球9,000/mm3, ALP 11.1KAU と軽度上昇していたが,その他の血液生化学検査 では異常は認めなかった.胸部X線(写真5),断 層,CT上,右S蓋・S占に辺縁不整な6×4cmの腫瘤 影および#3リンパ節の腫脹(長径1.8cm)を認め た.経気管支肺生検で扁平上皮癌であった.頭部・ 腹部CTに異常は認めなかった.骨シンチグラ フィ(写真6)で右第1と第6肋骨に異常集積二 一漁・ コ磯∴’ 写真5 症例2.入院時胸部X線.右上肺野に腫瘤状 陰影を認める.

講席

写真6 症例2.術前骨シンチグラフィ.右第1と第 6肋骨に異常集積像を認める(φ). を認めたが,肋骨X線では異常は認あられなかっ た. 以上の結果よりALP軽度上昇,骨シソチ陽性 であったが,圧痛なく骨X線陰性であったので肋 骨転移陰性と判断し,扁平上皮癌。・T2N2MO stage IIIと診断した. 9月5日 定型的右上葉切除,R2リンパ節郭清 と右第1肋骨部分切除,第6肋骨切除を同時施行 した. 術中および術後病理所見:胸水,胸膜播種,肺 内転移は認めなかった.原発巣は,角化を伴なう 5×5×4cmの中分化扁平上皮癌であった(写真7 a).リンパ節転移はなかった.右第1・第6肋骨 はnon・neoplasticな線維性化骨であった(写真7

b).p・T2NOMO pOpmO stage Ia治癒切除であっ

た, 術後経過:術後21病日にシスプラチン100mg・ マイトマイシン3mg・ペプロマイシン5mgの後療 法を行なった.現在,外来にてfollow・up中であ る. 考 察 原発性肺癌の骨転移率は骨シンチグラフィで 30∼50%1)弼),剖検で約30%7}8}であり,組織型でみ

(4)

(a)

灘.

難欝譲

(b) 写真7 症例2.術後病理組.織像.a:原発巣 中分 化扁平上皮癌.b:線維性化骨 ると差がないという報告もあるものの,一般的に は小細胞癌や腺癌に比較的多い3》8)9)とされてい る.部位別にみると,肋骨,胸椎,腰椎,骨盤な どに転移頻度が高い. 骨シンチグラフィはわずかな代謝上の変化にも 反応する10川とされ,カルシウムの一定量以上の 変動が必要である単純X線や生化学検査に比べ骨 転移に対しsensitivityが高く,一度に全身骨を検 索できる利点もあり臨床的評価は高い.しかし, 欠点としてfolse posit量veの問題があり,外傷の 既応,骨の圧痛,血清カルシウムやALPの上昇な どとともにll総合的に判断されなけれぽならな い.骨転移の確定診断には生検による病理検査を 要する.われわれは骨の圧痛を比較的重視してお り,骨シンチ陽性,骨X線陰性の場合,外傷の既 応がなく圧痛のあるものは骨転移を強く疑ってい る.圧痛のある症例1においては骨転移あり,圧 痛のない症例2においては骨転移なしと判断し, 術後病理組織診断でも同じ結果であった. 骨転移を有する原発性肺癌症例において骨合併 切除の有意な長期予後改善を示す報告はないもの の,脳転移症例においては,原発巣の肺および転 移巣の脳に対する外科治療を二期的に施行し,多 くの例において短期間であるがquality of lifeの 改善を認め,少数ではあるが長期生存の症例が認 められることも事実である12)噌15).この様な遠隔転 移を有する原発性肺癌に対し,肺切除の適応とし て,1)全身状態が良好で術後集学的療法に耐えう ること,2)肺切除が比較的容易であること,3)遠 隔転移は1臓器で限局性であること,4)組織型は 扁平上皮癌,腺癌であり未分化癌は非適応とする. 一方,遠隔転移巣に対しては,1)単発性であり完 全に手術で切除できるか,たとえ多発性であって も1回の手術で処理できること,2)手術可能な部 位で比較的容易に切除できること,3)全身状態が 良好であることなどが挙げられている16).われわ れの経験した様な肋骨転移症例は良い適応となる ものと考えられ,また,症例2の様に肋骨転移を 少しでも疑われる症例も,積極的に肋骨合併切除 を施行すべきだと考える.しかし,遠隔転移を有 する症例では,たとえ原発巣と転移巣が完全に切 除できたとしても,全身疾患として全身臓器に潜 在性の転移巣が存在するという前提のもとに,後 療法や術後のfollow−upを行なわなけれぽならな い.つまり,化学療法や免疫療法を追加し,早期 に再発や転移巣を発見し,それらに対し外科療法 や放射線療法を考慮することは言うまでもない. おわりに 骨シンチグラフィで肋骨転移を疑い合併切除を 施行した肺癌の2例を報告した. 文 献 1)山本逸雄:99m・Tc標識リン酸化合物による骨シ ンチグラフィの臨床的検討(1)一転移性肺腫瘍.日 本日放会誌 38:862−878,1978 2)藤村憲治:骨シンチグラフィによる肺癌骨転移の 臨床的研究一重1報.日本医放会誌 38: 1054−1063, 1978 3)中野俊一ほか:骨シンチグラフィによる肺癌骨転 移の検討.核医学 20:37−43,1983

(5)

4)Hooper RG et al: Radioisotope scanning in

the inltial staging of bronchogenic carcinoma.

Am Rev Respir Dis 118:279−286,1978

5)Kelly RJ et al: Ef丑cacy of radionuclide scan− ning in patients with lung cancer. JAMA 242: 2855−2857, 1979

6)Donato AT et al: BQne scanning in the eva1− uation of patients with lung cancer. Ann Thor− ac Surg 27:300−304, 1979

7)Abrams HL et al:Metastases in carcinoma.

Analysis of 1000 autopsied cases. Cancer 3:

74−85, 1950

8)Strauss B, et al:Bronchogenic carcinoma. A

statistical analysis of two hundred ninety−six cases with necropsy as to relationships between cell type and age, sex, and metastasis. Arch Pathol 63:602−611, 1957

9)藤村憲治:骨シンチグラフィによる肺癌胃転移の 臨床的研究一第2報.日本医放会誌 39:627− 636, 1979

10)Subramanian G et al:Technetium−99m・

methylene diphosphonate a superioer agent for

skeletal imaging. Comparison with other tech− netium complexes. J Nucl Med 16:744−755, 1975

11)Quinn DL et al:Staging of non−small cell bronchogenic carcinoma. Relationship of the

clinical evaluation to organ scans. Chest 89: 270−275, 1986

12) Hendricks GL et al: Seven−year cure of lung

cancer with metastasis to the brain, JAMA

220:127, 1972

13)Mosberg WH:Twelve−year“cure”of lung

cancer with metastasis to the brain. JAMA

235:2745−2746, 1976

14)Salerno TA et al=Surgical treatment of bronchogenic carcinoma with a brain metas−

tasis. J Neurosurg 48:350−354,1978 15)宮沢直人:遠隔転移の外科療法.「臨床肺癌III」 (国立がんセンター編).pp156−166,講談社,東京 (1983) 16)富田正雄ほか:遠隔転移を有する肺癌に対する外 科療法.外科 48:1501−1505,1986

参照

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