56 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
(11) トミ マツ マサ ピコ富松昌彦(昭和2
医学博士 乙第825号昭和62年6月19日
学位規則第5条第2項該当(博士の学位論文提出者) ヒト肝細胞癌の電子顕微鏡的観察 一組織型による微細構造の比較検討 (主査)教授 小幡 裕 (副査)教授 梶田 昭,教授 滝沢 敬夫論 文 内 容 の 要 旨
目的 肝細胞癌の手術標本を透過電顕で観察し,その微細 構造を組織型(索状型・充実型・偽腺八型・硬化型) により比較検討した. 対象および方法 対象は,1983年1月から1985年4月までに当院消化 器外科にて手術を受けた肝細胞癌33例(男24,女9例) である.このうち肝硬変合併は18例で,HBs抗原持続 陽性は8例であった. 摘出標本は,電顕用に2.5%グルタールアルデヒドと 2%オスミウム酸にて二重固定し,エタノール系列に て脱水後Epon812に包埋した. Porter Blume MT1型 Ultramicrotomeにて超薄切片を作製し,ウラン・鉛二 重染色後日立HU12A型電子顕微鏡にて観察した. 成績 索状型は多層性の索状構造をとり,毛細胆管様構造 と類洞様構造を有していた.充実型は索状型に比べる と,lateral surfaceのmicrovilliが発達し細胞間隙が 拡大しているものが多かった.索状型,充実型の一部 に見られた腺管形成部分では,2つのpatternが認め られた.一つは拡張した毛細胆管を肝細胞的な腫瘍細 胞が取り囲み基底側に内皮細胞を有するもので,他の 一つは胆管上皮的な腫瘍細胞が腺管を形成するもので 基底側には連続した明瞭なbasement membrane-like substanceとその外側に膠原線維と茄roblastが認め られた.硬化型も毛細胆管様構造を有し,Disse腔に相当する部分に豊富な膠原線維と共にHbroblastや
myo丘broblastが認められた.間質部には類洞のcapil- larizationや他の組織型には見られない特徴的な細動 脈が認められた. 考察 肝細胞癌を光顕にて観察すると4つの組織型に分類 されるが,電顕的観察では4つの組織型は種々のvari- ationはあるものの毛細胆管様構造と類洞様構造を有 し基本的には同じ構造であった.転移性肝癌や胆管細 胞癌の中には光顕観察だけでは肝細胞癌との鑑別が不 可能なものもあるが,電顕にて毛細胆管様構造と類洞 様構造の有無を確認すれば鑑別が容易となり臨床的に も有用と思われる. 結論 肝細胞癌の光顕による組織分類は微細構造の観察か ら基本的に共通している面の存在することが明らかに され,肝細胞癌の構築様相に示唆を与えるものと思わ れる, 一720一57
論 文 審 査 の 要 旨
肝細胞癌は病理組織学的に4型(索状型,充実型,偽腺管型,硬化型)に分類されている.本論文はこれらの各型における電顕的観察から基本的に共通所見として毛細胆管様構造と類洞様構造とが
認められること,とくに従来明らかにされていなかった硬化型においても同様の基本構造を有するこ とを明らかにしたものである.学術上価値ある論文と認める. 主論文公表誌 ヒト肝細胞癌の電子顕微鏡的観察 一組織型による微細構造の比較検討 肝臓 第28巻 第1号 76~83頁 (昭和62年1月25日発行) 副論文公表誌 1)特集 肝癌最近のトピックス 診断総論 内科 52(3)449~452(1983)2)Hepatitis viruses in Southern Taiwan -Mass survey of 2985 inhabitants一(台湾
南部の肝炎ウイルスー2985例の集団検診一)
Gastroenterol Jpn 19(4)344~350(1984) 3)HBワクチン接種後のanti-HBs responseと HLA抗原に関する研究
肝月蔵 26 (2) 157~164 (1985)
4)Natural history of hepatocellular carcinoma and prognosis in relation to treatment(肝
細胞癌の自然経過と治療による予後)
Cancer 56 (4) 918~928 (1985)
5)Hepatocellular carcinoma not associated
with cirrhosis. A clinicopathological study in 41 patients including 29 resected cases
(肝硬変非合併肝細胞癌,41例(切除29例を含 む)の臨床病理学的研究)