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腟内容より破傷風菌を分離し得たる破傷風の一例に就て

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Academic year: 2021

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へ 鼠1塗

膣内容より破傷風菌を分離し

得元ろ破傷風の一例に敵て

〔畿摺蕊1繍讐講}

東京女子二二専門學校細菌學敏室(指導李野憲正博士)

中 西 清 子

ナカ、 :シ キヨ コ 同 産婦入科籔:室(指導堤辰郎博士)

竹 内、正 子

クケ ウチ マサ コ (受付昭和・6年2月25日)

緒 言

産褥性破騒の中・正規雑後鰍搬1羅即するものは極めて少く・門札.・特噸胎に關卜

し嚢閉するもの其大平を占む。我國に於ける流産後の破傷風の症例を見るに林,鈴木,松岡,下r㍉ 矢島,小川,渡邊及高村,塚田等の報告あり。外物に於ても其例多くMelnert, Walko, Freund;.

Sizn6n, Schneider, Auvray, Auvray u. IFranz, StanislaW, IEfouel, Otto, Rothestein, lmholz, Lavergne, H。:Porges, Blumberg, E.:Petersen, E・Bernhard, K. Jaroschka等による記載あpt。此等

の文職を見るに流産の原因不明のもの多しと難も堕胎に依りて本病を招來せるもの亦甚だ多く,其 堕胎に使用せる器具に破傷風菌の附着せるもの,叉は混在せる事を:推察するに難からざる例少から す。堕飴に使用せられたる器物を基ぐれば渡邊及高村の酸漿の根,Schneiderの臨く創りたる木片 等あり。叉Stanislawは田舎の産婆が野良仕事よ嬉詫し,清洗せざる手にて流産後の婦人を診察 せし爲,其婦人をして破傷風に罹患せしめたる例を報じ,Blumbergは患者自身が馬鈴薯の容器に 充たせる水を以って陸を洗回したる後,破傷風を起じたる例を述べ7−Schneiderは石鹸液:に依って 膣を洗蘇せる後・獲病せる破傷風を記載せ夢。余目は麟に昭和15年6月・流産後の出血と腹痛の 主訴を有する患者が當病院産婦人科を訪れ,入院後,破傷風の症歌を惹趨し,途に死亡せし1例を 報告せんとす。 實 験 側 患者小0某子,27年,1同糎産婦。 家族歴及既往歴特記すべき事なく,25歳にて結婚し,夫は健在,16歳に初潮し以後順調,持績は5口,量 は申等量,経時苦痛なし。最:終月趣は4月下旬,5日間綾き其後來潮せず。 現症歴及主訴昭和15年4月下旬に來配し其後,無月輕にて6月18日よyの子宮晦血及腹痛の主訴を以つ 一 6 一

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]’ 53 て6月21日に當病院産婦人科を訪れたり。 現由良格小,榮養不良,予宮は驚卵大にて強度の醸痛あy。子宮口は2指開大し膿汁多量に流出するを認 む。 経過及治療 6月21目嘗病院に入院し,以來騰温は37。Cよy390Cを示し,腹痛は時により其程度に輕重 あるも纒御せPo子宮口より褐色を帯べる悪臭ある膿汁の流出を認む。治療としては熱性流産に封ずるものとし て膣洗,Jo〔if・)rmgazeの挿入,:Regionの注射等奉行ひたり。6月26日午前7時頃患者は下顎の疹痛の爲爾を 磨く事の困難となりし事と,會話の不自由になりし事を訴へたり。依って耳下腺炎の疑のもとに氷嚢を耳下に用 ひたP。途に食物婿取不能となれり。6月27日午前8時痙攣獲作起P次第に其頻度強 唾液は喉に溜η喘鳴あe。 故に5%葡萄糖を5QOqα皮下に注射,其他強心彌を用ひたbo同日午繭9時破傷風の診蜘を下k“ Vo次で牙騨 緊急起PたVo帥ち咀嚇筋強度に張直し,濃く開口不能となb,顔貌は苦笑Risus sardonicusを呈し,頸蔀強 直及後弓反張あYo腹壁は緊張す。:FUssklenus, Bebinskis’PhEnornen共に陰性,膝蓋反射は冗進す。手は空を つかみ,足は伸張したる儘にて痙攣し,動かす時疹痛を訴ふ。各獲作の綴綾は約7秒なVo同日午後護作次第に

櫓嘱し且つCyanr)se.;來る。 Lumitropin, Mvgaesol, Can・pfer61,抱水「クロラールll等を用ひたり。同日午後6

時破傷風冤疫甘子12000軍靴4・c.Ctを野馬,ユ6叩を大腿内側に注射せyo同同午後ヂ時40分, Cyanosc強く なり,痙攣は長々頻繁に起P1次第に脹搏弱ηて同日午後8時50分途に鬼籍に入れり。 細菌學的検査 患者の死後ii内容よ.り以下蓮ぶる槍査法によりて破傷風菌を槍出し其分離菌株に 就て詳細なる實瞼を行ひたるを以って其槍査成績を附加せんとす。 先づ膣内容の塗抹標本を作りて破傷風菌の有無を樵せるも芽胞型の破傷風菌を槍出し得す。次に 膣内容を牛肝臓浸Ml液にて作れる葡萄糖血液寒天斜面培養基上に37℃に於て嫌氣性に培養し,他 方に於ては動物試験として5匪の「マウス」を用ぴ尾部よ夢約2c叫上方の脊部に膣内容の皮嚢接 種:を試みた)}。分離培養に於ては24時国後に破傷風菌の菌苔に類似せる笹葉を得,これより肝臓 「ブイヨン」に純培養を行ひたり。動物試験に於ては「マウス」は5匹共,接種後24時聞より48 時間後に定型的の破傷風症状を呈し驚死せり。 分離菌株に就て染色平筆せるに本菌は鈍端翼直の繊細なる桿菌にして「グラム」弱陽性レ.フレル 氏鞭毛染色法により多数の周圏性鞭毛を認め,固形培養基.上に於て既に2日後に定型的の端黒正卜 形の芽胞を形成す。 分離菌株の生物學的性歌を知る爲に次の諸種培養基に嫌氣性に培養せPl。脚ち葡萄糖寒天斜面培 養基に於ては無色透明なる菌苔を生じ,培養基上部に於て毛髪の縮れたる形をなし孤立せる集落を 生ぜす。葡萄糖1鮭液面天斜面培養基に隔ても其菌苔は血液を加へざるものに於けると同様なれども 誤納育度旺盛なり。猫溶血の有無を見る爲普通の方法にて作Plし葡;萄糖血液寒天斜面培養基に培養 せるに微弱なる溶血を認む。葡萄糖塞天高麿培養基に穿刺培養を試みしに培養基表面より約1・ cm 下方に於て樹枝欺に襲冠し瓦斯を護生す。葡萄糖肝臓「ブ・fヨンJに出ては培養後48時闇にして 獲育極度IZ達し,漏濁及瓦斯の獲生を認む。「ゲラチン」培養基に於ては水解陽性にして菌は管底 に雲架状に沈澱し上半は透明なpi。牛乳培養墓に於ては之を凝固せしめす。凝固血清培養基に予て は培養基全罷が淡墨色を呈し試験管を振糧する事により凝固野営の表面が細片とな1液中に浮游す るも沿化せられす:。購粥培養基に於ては培養基表面に近き部分に於て微弱なる黒色を呈し少量の瓦 斯創生を認む。 一一 7 一

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含水炭素分解試験としてはヒス心血清水を「ラクムス」にて着色し, Glucose, Galactose,

Lnvulose, Saccharose, Lactose,Maltose等を1%の割合に加へしものに本菌を移植し流動「パラ

ヒン」を重壁し37℃に於て2週聞観察せるに本菌は執れの糖をも分解せす・猫5%「ペプトン」 水に37℃に於て本訴を1週間培養せしものに就てエールリツヒ氏法にて「インドール」反憲を槍 越せるに陽性を示せり。 更に毒素の産生を見るために普通「ブイヨン」/00G。.c・を充たせる「コルベン」に本菌を移植し 流動「パラヒン」を重富せるものを37℃に10日間培養せり。其培養液の濾液に於ける1000倍 稀繹液0.5c.e.は10gの「マウス」に定型的の破傷風症状をあらはし3日後に致死せしめたり。 免疫肇的性状に就ては嚢に余の土壌中より分離せる破傷風菌7種類の生菌家兎免疫血清に黙し本 菌生菌の凝集反鷹を行ひたるに最も多数の菌株を包含せる徳島3株の血清に800倍迄凝集し他の6 株の血溝には全く凝集せす。依って本内は徳島3株に愛するものと信ず。 以上の細菌漉油動転に依りて膣内容よりの分離菌は形態,生物學的性1伏,動物試験,免疫蜜蝋性 駄等に於て破傷風菌の性状と全く一致せしを以て妓に破傷風菌の診断を下せり。 考

産辱性破傷風は緒言に於て述べし如く正規分娩或は普通の流産後に遭遇する事は稀にして堕胎行 爲,或は流産後の不潔なる虚置によるもの多し。本訴に於ては如何なる原因にて流産せしかは不明 なれども破傷風菌の侵入の機會ありし事は膣内容より破傷風菌を蒲焼し得たる故明らかなり。 潜伏期ぼ一般創傷破傷風の感染後12日以内に罹患する事は稀なるに反し産褥性確傷風に於ては 甚だ短きを常とし早きは感染後4日にして既に症猷の現れるありOSpiegelに依れば潜伏期は手均 9日なりと云へり。本例に於ては6月18日に子宮出血ありて6月26日に破傷風の症状現れしを 以って其潜伏期は8日以内と算し得。 徴候は一般破傷風と全く同一にして脚ち牙關緊急頸部強直を以て稜鳴し特有なる痙攣獲作を舷燈 各部の筋肉群に惹起す。膿温は37・5DCよりtJ9℃,重症なるものは4()’C以上に上昇する事あり。 本例に於ても特有なる破傷風の症状を具へ,艦温も39℃より40・5℃を示したり。 診断は臨床所見上破傷風の定型的症歌を適する事により黍易なれども・細菌學的に本菌を詮明す る事は其分離法号輩ならざる爲比較的困難なり。故に細菌睾的診断は此場合参考とすべきものにし て宜しく臨床的診断によるべきなり。本例に於ては臨床的にも診噺を下し且つ細菌粟窪にも幸ひに 破傷風菌を乗出し其分離菌に激て詳細なる實験を行Ptたり。 療法としては破傷風に血清療法の必要なる事は論を侯たざるも産褥性破傷風に於ても亦然り。而 も多量の破傷風血清を早期に注射する必要あり。血清は皮下,筋肉内,静脹内等に1同12000軍強 力を2−3時間を隔て≦2同注射するを良しとす。然れども症状甚だしきものには此より多量を反 覆注射し,且つ腰椎内注射1同20c.c.を注射すべきものとす。本例に於ても12000面魂のものを 20e.c.注射せるも重症の爲藁筆を奏せざりしは遺憾なり。其他繋症療法として各種麻醇一雨硫酸「マ 一一 8 一

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グネシウム」等の注射を賞用するも本例に於ても亦Lumitropin,抱水「ク・プール」, Magnesol N

等を用ひしも著効を認めざりき。更に産褥性破傷風の特殊療法として子宮捌除術がH.Porges,

Imholz, Auvray u・Franz等により賞用され我國に於ても渡邊及高村は本手術を癒用せる一治験例.

を報告せり。然し之は理論上優れし方法なれども其手術期を失する事多く一般に行はれ難き憾あ り。 豫後は産褥性破傷風に於てな特忙不良にしてSpiege1に依れば其死亡率は90%なpl o概ね潜伏 .期の短きもの程其豫後不良なり。判例も不幸なる恥部をどりし例なり.。 結 論 本例は流産後勘起せる産褥性破傷風の1例にして破傷風曲晴注射,封症療法等を行ひたるも重症 なりし爲鬼籍に入りし例にして,其膣内容より破傷風菌を尋出し,其分離菌に就て詳細なる實瞼を 試みたるを以って臨床経過並びに細菌二二二二成績を報告し,舷に二二敷を仰ぐ次第なり。 略筆に際し御懇篤なる御指導と御校閲を賜はPし堤先生,亭野先生に謹謝し,何回助力を賜りし大村講師並 び:に産婦人科教室諸姉に深謝す。 交 1)赫 信齊:日本婦人科學3巻2號 2)鈴木宴代治=近畿婦人科並々報,大正4年,1號 3) 「下軍 淑:ラピテー,昭和8年,108號,477頁 4)矢島 壽:近畿婦人科會々報,昭和10年, 18巻12號,2137頁 5)松岡 秀夫:産科と婦人科,昭和10年,3巻2號,.10S頁 、の 小川 修:産科と婦人科,昭和11年,4巷6號,450頁.7)’渡邊冨明1高封縫夫:診薗と治療,昭和12年, 24巻7號,1043頁 8)塚田清:産科と婦人科,昭和14年,7管4號,283頁 9)聡e加e爲

:Zbl. f. Bakt,. j SS5, Bd. 16, S: 522. 10) Walko:Z bl. f. Bakt. 1895, Bd. 18, S. 601. ID

piYha:ZbLf. Bakt.1899, Bd.26, S.468. 12) Freuna, Hermann:Zb1. f. Bakt. R.エ912,:Bd. 一55, S. 492. 13) Simon, walter:Zbl・ f, Bakt・ B・ 1925, Bd. 78, S. 6{. 14) Schneider, G. H,=Kユln .. Wschr.エ925, S.2438L 15)AUvray:Zbl. f. Gyn.1927, S.2893. /6)Anvyay意 Fra且z:Zbl. f. Gyn.192S, S.595. 17) Stnaislaw :Zbl. f. Gyn.1928, S..ユ48. .18) Otto:Zbl.

f. Gyn. 1928, S. .“661. 19) Rotn’ estein:Zbl・ f. GyD. 1928, S. 1314. 20) Houel, IEIdesini u・

rW・ra・a・Zb旦e f・Gy・・1929,・S・3085・21)Xm・h・1・・Zbl・f・師・1929, S・816・22)エ・Vergn・, Georges Zew”y u. gylorentin:Zbl・ f. Gyn・ 1930, S・ 1912. 23) ff. ?orges: Zbl. f. Gyn. 1930,

;S. 7e’3. 24) Blumberg:Dtsch. med. Wschr. 1933, S. 16. 25,) E. Petersen:Zbl, f: Gyn. 1937, S. 2090. 26) E. Bernhard−Kreis (Basel):Zbl. f. Gyn.一193S,S. 328. 27) X. ja’rosehka

:Zb], f. Gyn. 1938, S. 78.

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