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結核性股関節炎に於ける拡張性脱臼例

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Academic year: 2021

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〔離轡謄:藷黙黙講〕

結核性画商節炎に於ける擾張性脱臼例

東京女子讐學二二學校整形外科敏室

勲記 内.田 辰 雄

ウチ グ タツ テ (受付 昭禾0 16年12 月 10 日) a 關節の急性或は慢性炎:衝性攣化による病的脱臼は之を破壌性脆丁丁と横張性脱臼型との2型に大 別することが出來る。破壌性腕臼は關節を構成する三部の破壌により脱臼をおこした場合を意味 し,その骨破壊はレ線肇的に明かに誰明する事が三脚る。之に反して丁張性丁丁は關節を構成する 骨部には著明の骨下等はなく,骨節内滲出物及び關節嚢の丁張或は病的憂化により脱臼をおこした 場合を意味し,レ線楡査によるも骨破壊を認め難いものである。 結核性股下節炎:は日常の診療に於て多数に経験される慢性三三性關節疾患の一つであるが,その 中時として病的脱臼を惹起せる症例に遭遇する事のあるのは周知の事實である。これら病的脱臼は その大部分が破二三脱臼型に驕するものであって,援張性二三に驕するものは甚だ稀有であるとさ .れてるる。 文職上結核性二巴節炎に於ける丁張性脱臼をはじめて報告したのは1899年K:irmisson氏で,

氏はこの脱臼型にLuxation soudaine du debutといふ病名をつけた。その後l Berger, Jotion,

Broca・Nov6−Josserand氏等の追加報告があり・1928年にはLeFort氏が第10同フランス整形 外科學倉に於て本症に關する特別講演を行ひ,叉Sorrel氏(1928年)も本症の10例に就て報 告してみる。日本では大正‘15年(1926)松浦氏がはじめて本症の2例を報告し,一般の注意を喚 起したが,症例の稀有なるためか迫加報告少なく僅かに酒井,光安氏等の報告があるに過ぎぬ。 しかし乍ら昭和12年(1937)光安氏は九州帝大整形外科に於て結核性股關節炎230例に就きレ .線爲眞を槍査.した結果,振回性脆臼の4例を得たと述べてみる。師ち結核性股關節炎の約し7% に於て弓張性脱臼が認められてみる。叉Ombr6danne及しonget脳裡(1937)によれば種々の關 節疾患によって獲生せる横張性脱臼のうち結核性の場合が25%を占めてみるとの記載がある。こ れらの黙から考へると,本症は世入の云ふ如くそれ程稀有なものではないのかも知れなV・。 最近余も某瑚病院で診療した織難騰婦節炎10飴例中たまたま芳野灘臼の1例カミあったの で・ここに追加する次第である。

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臨康例 6歳♀ 家族歴及叡i往歴には特記すべき事なし。 現病歴及経過 昭和15年2月中旬何等誘因と思はれるものなしに右脚炉少しぐ蹟行ずるのを.母親が三見し た。潟脈面面を訴へる様子はな》・。氣になるので2月23日受診。 その當時の所見としで健絡榮養佳良,胸腹臓器に署憂を認めない。局所所見として右側股肢節部には腫脹獲赤. 塵痛隈なく,關節酒動も全く正常,唯速度の心行があるのみであった。レ線検査も行ったが病的所見はtm 1 ts o・ た。エキホス巴布を命じ,経過を魏寮することにした。. その後も充分注意して居たが少しも櫓悪する様子はない。畢氣で元氣一杯に近所の子供たちと遊んでみる。し かし主訴たる旧知の鞍行は漕失しない・非常に慢性の纏避示すところの容励らざる症例であることが充分想 像.出來る。 とζうが獲病から約8ケ月を糎た10月中和ふとしたはつみに右膝津ついて韓ろんだ。津が誘因となって今ま『 で沈静.してみた病勢蛾然濁性と畝斜行耀くな塑・叡關㈱に嚇を訴ふる峰つた・ こ、ρ時の所見としてお脚は股關節に方蚊少しく購外旋屈曲してみる・.10月?2畷影した嚇像では右側/l 大腿骨骨頭核の陰影がやや菲薄となってみるが,骨破壊等は認められない。(第1圖参照) 母親の希望竜あり,又外傷患者で混難してるる此種の病院ではとても充分な鹿置を施すことはむつかしいとい・ ふ課で,理想的な夜這をなし得る他の病院へ揺る.ことにした。その病院では暫く重錘牽引療法を行ひ,股關節の. 固定冤荷装具を製作,蒼用したる由。. その後どうなったらうと氣になってみたが;來聾せぬので,輕過を知るすべもなぐ4ケ月の月日が流れてしまつ.’ tg o 昭和16年4月23日になって思ひがけなく患児をだっこした母i親がひょっこり來更した。.話を聞くと.「固定二 冤荷装具は輕過さへよければ3−4ケ月たったら除去鵠贈るかも知れないと云はれてるましたので,素人考へか ら.,3月の末とりはつしてしまひました。でもちとも歩きません」と云ふ。母親の話から.計算すると装具を除去:・ してから既に3週聞以上もたってみる。しかも讐師の許可を得て除去したものではなく,全ぐの素人考へからだ 攣だなと思ひながら診察した。 患見の榮麹漉し.糠へては居ない。患pa・JD・fi側足部は尖足位にして僅かに地につき,左脚でのみ髄をさざ・

一てるる・歩け静・糊股曲部揃側及び外鰹や噸脹レ・脚は艦としてaxく醜し龍骨は瞬ぐ

外方に向ってみる。下節蓮動は屈曲は禺熾るがその他の方向には疹痛のため不能である。偉右脚の脚長は左側に= 上レし約2Cmの短縮を示してみる。レ雪像に於ては(第2圖参照)宏側大腿骨の骨萎縮高度,骨破壊はないが, 骨頭は完全に碑臼から脱鵠し後上方へ韓位してみる。EPち鑛張牲脱臼を示してみる。 折角完全な治療法を受けて居ながら,ちょっとした素人考への混入から,病的脱臼を惹起してしまった課であ る6・ やむなく再び第一歩からやり直すことを約し,町の:專門病院へ迭つた。その病院で整復を第一義としての療法 獄みられ認のたよ脈四過良好と知y喜んで妹が,約2胡してや病院を退院聯って來ためで,聴 診察することにした(7月8日)o成績は全く意外であった。 一一一 56 ’一一

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er7 所見として第一に病的脱臼はまだ整復出來てるない。且つ右側大腿上外側に患兇手掌大の腫脹があy,著明の 波動を詮明する・試験的穿刺によy結核性膿汁を得た。EPち伸展二部鯉性膿瘍の出現を認めた。レ三三に於ては 骨萎縮は盆々高変とな跳碑臼蓋にも大腿骨骨頭にも少しく骨破壊が認められる。 以上述べた様に面面はふとしたはつみに不幸にも病的脱臼を惹起し,途には整復さへ不能となり・ 加速度的に増悪の一路をたどって來たものと云ふことが出逢やう。

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結核性股清心炎に於ける病的脱臼のうち破壊性脱臼は其文字が示す如く關節を構成する恥部の破 壌を前提としての脱臼であるから疾病の全経過からみれば比較的後期に出現するものである。之に 反して嘉応性脱臼は晶晶の比較的初期に出現するとv・ふ事が一つの特長と高調されてるる。Koenig 斥は破行後2遡聞にして弧度のタ膓により特灘臼を試した例を述べてみるし・N・ve−」・s’・e・andL 氏の経験では多くの場合獲病第1ケ月目に嚢生すると述べてみる。松浦氏の例では獲病後2−3ケ 月にして,叉光安氏の例では護病後3−4ケ月にして獲生してみる。これから見ても弓張性脱臼が 画面の比較的初期に獲生するとV・ふ貼は大V一,・tc注目すべきである。余の例では,獲病からすれば1・ 年2ケ月飴を経過した頃に獲生してみるが,所謂随意破行期が可也長いといふ事を考慮する必要が’ あるから,その意味からすれば例外的とでも云ふべきで・あらう。 術光安氏の例では約3ケ月闇ギプス固定を受け,之を除去してから1ケ月忌の間に獲生してみる・ らしく,叉余の例でも固定免荷装具を除去してから約1ケ月の間に獲生してみると思はれるので, この黒占から考へると,病氣の初期に正しき虞置をうけたとしても之を何等かの理由によPl中止した 場合罹患關節に及ぼす周圏からの悪性島島により速かに増悪し援張血忌臼を惹起する危瞼があると 云ふことも出來やう。充分警戒留意すべき黒占と思ふ。 年齢的關係をみるにKirmisson氏は幼少なる年齢に於ける牌臼は融く,大腿骨頭は關節回忌關. 飾軟骨にてささへられてる.る爲に,股關節を構成する骨質部に大きな二化なくとも脱臼し易く,幼「 少なる結核性股關飾炎の患児は脱臼の素因あpiと蓮べ, NNovb−Josserand氏はユ0年聞に二二した 9例のうち4例は5歳以下なりと云ふ。松浦氏の例は10歳と11歳,光安氏の例は6歳,余の例: も6歳である。光安氏が九州帝大整形外科で調査した230例中の掻張性脱臼4例はいつれも10 歳以上であったと述べてみる。更に結核性股關節炎の好獲年齢が統計上15歳以下,,特に3−12 歳とされ,籏張性脱臼は嚢病の比較的初期に襲生するといふ特性を有する事等より考ふるも,振張・ 性脱臼の年齢的關係が奈邊:にあるか容易に推察出城るであらう。 次に此の結核性股關節炎に於ける撲張性二二の成立機轄に返してはKoenig氏は碑臼底に結核、 性肉芽組織を生じ大腿骨骨頭を外方に墜出することと,關節腔内に於ける多量の滲出物の爲に關節 嚢が弛緩し,輕度の外力によっても脱臼を惹起するのであらうと述べてみる。叉NOv6−Josserand 氏は關節高温關節軟骨に結核性浸潤を來たし是等の部分の破壌さるる爲に腕臼するのであらうと蓮 べてるる。 一57一

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dr8 結核性股關節炎の治療に於て早期診断及び早期の適當なる加療は最も望ましV・事ではあるが,同 1時に蹟張性睨臼の豫防に留意する事を忘れてはならぬ6上蓮の如くこの脆臼型は嚢病後比較的早期 に護生する特性があるし初期には適當なる治療法を施しても,何等かの理由で治療を中止した際に 嚢生することがあ、るといふ危瞼性から考へても,充分注意して讐師側と患者側とが近密なる蓮絡の 一もとに治療をなし,本症の畿生迄極力防止する様肇力しなければならぬ6 櫃張性脱臼そのものに封ずる療法としては重錘牽引療法を以て最良の方法と考へられてるる。之 により左程の困難もなく整復が出來る。しかしLehmbecher氏の報告の如く牽引により大腿骨骨 頭の骨端線離開を惹起したる例もあるし,叉余の例の如く,假令重錘牽引療法を行っても.病勢が加 速度的に進行する様な場合には整復が出來ぬごとがあるから,嚴重な警戒を要する。幸ひ整復出來 れば再脆臼のおこらぬ様留意しつつ法た從つ℃最適の:方法を以て治療を織績すべきは勿論である。 (16. 12. 5) 本 邦』交 獣 1) 訟浦湘飼郎=i陪核性段關節炎特獲脱臼二就テ.・肩整會誌.’1毬・.『73頁.’大15。 』2) 酒弁正嗣;・(抄)、Coxalgische:Luxation治験補遣・.日外會誌.33同・・304:頁・昭.70 ・3) 光蜜i萬夫:結核性膣關節炎に観られたる稀有なる病的脱臼死)2例.外科..4審.Uユ9:頁.昭150

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内川論文附圖

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第2圖

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参照

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