196 (65) 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
スミ トモ タカシ住友 高(昭和3
医学博士 乙第991号平成元年2月17日
学位規則第5条第2項該当(博士の学位論文提出者)ラット下垂体門脈血中cortieotropin・releasing factor(CRF), vasopressin に関する研究 (主査)教授 鎮目 和夫 (副査)教授 平田 幸正,教授 武石 詞
論 文 内 容 の 要 旨
目的 下垂体前葉からのACTH分泌は,視床下部から下 垂体門脈血中へ分泌され,下垂体前葉にいたる分泌刺 激因子によって調節されている.この主たる因子は, corticotropin-releasing factor(CRF)であり,他にはarginine vasopressin(AVP)がある. AVPはそれ
単独でのACTH分泌促進作用は弱く,むしろCRFの
作用を増強する効果が主と考えられている,この視床 下部CRFの支配因子としては,日内リズム,ストレ
ス,negative feedback mechanismが知られている.
われわれはこれまでに,各種内分泌疾患及び内分泌負 荷試験に於けるヒト末梢血中CRFを測定し,この末 槍血CRFが,上記支配因子の影響下にあることを見 いだした,このことから末梢血中CRFの測定は視床 下部CRFの変動をある程度反映するものと考えられ るが,末梢組織由来のCRFの混在も否定できない.そ こで視床下部CRFの分泌動態を直接検討するため,
今回ラットを用いて下垂体門脈血中CRFおよび
AVPを測定し, negative feedback及びストレスの視
床下部CRFおよびAVP分泌への影響について検討
した. 方法 Wistar系雄ラットを用い,ベント・ミルビタール麻酔 下で,下垂体茎切断,下垂体切除法により,下垂体門 脈血を経時的に採取した.下垂体摘出により血中cor- ticosterone(B)濃度を減少させ,その後Bを補充し, 下垂体門脈血を採取して,negative feedbackの影響 を調べた.ストレスとして,0210%の低酸素刺激を加 えて,同様に採血した. 結果および考案 下垂体摘出後,75分で末梢血中B濃度は有意に低下 した.下垂体門脈血中CRF, AVPレベルは,105分ま で安定で,その後,それぞれ2及び3倍に増加した, この下垂体門脈血中CRF, AVPレベルの増加は, Bの 投与で抑制された.以上の結果から,下垂体摘出後105 分で認めた下垂体門脈血中CRF, AVPレベルの増加 は,negative feedbackによるものと思われた.これ は,ヒトにおいて,メトロピン投与2時間以後に,末 梢血中ACTH, CRF濃度の増加を認めることと一致 する.更にストレスとしての低酸素刺激により,下垂 体門脈血中CRF, AVPレベルはそれぞれ2.6及び1.8 倍に増加した.低酸素刺激を中止すると,それぞれ基 礎レベルに復した,以上の結果より,低酸素刺激における末梢血中ACTH濃度の増加反応は,視床下部
CRF, AVPを介しての反応であることが示唆された. 結論 Negative feedback及びストレスとしての低酸素刺 激は,視床下部レベルに働いてCRF及びAVP分泌を 増加させることを証明した. 一1086一197
論 文 審 査 の 要
旨 本論文は,negative feedback及びストレスとしての低酸素刺激の際,末梢血中ACTHが増加するのは,視 床下部CRF, AVPの増加を介しての反応であることを明らかにしたもので,医学上価値のある論文と認める. 主論文公表誌 ラット下垂体門脈血中corticotropin-releasing fac- tor(CRF), vasopressinに関する研究 東京女子医科大学雑誌 第58巻 第12号 1270~1274頁(昭和63年12月25日発行) 副論文公表誌1)Immunoreactive corticotropin-releasing fac・ tor in rat plasma(ラット末梢血中CRFに ついて)
Endocrinology 120(4)1391~!396(1987) 2)Immunoreactive. corticotropin・releasing fac・ tor圭n human plasma(ヒト末梢血中CRFに ついて)
JCIin Invest 76 (11) 2026~2029 (1985) 3)Ectopic adrenocorticotropin syndrome caused by lung cancer that responded to
corticotropin-releasing hormone(CRFに反
応した異所性ACTH産生肺癌例)
JCIin Endocrinol Metab 63(5)1047~1051
(1986)
4)A short negative feedback mechanism regulating corticotropin・releasing hormone
release(CRF分泌におけるショートフィー
ドノミック機構)
JChn Endocrinol Metab 64(5)909~913
(1987)
5)Insulin・induced hypoglycemia increases
proopiomelanocortin messenger ribonu・ cleic acid levels in rat anterior pituitary gland(インスリン低血糖刺激によるラット
下垂体前葉POMC mRNA.レベルの増加)
Endocrinology 122(4)1231~1235(1988)