民法177条の「第三者」範囲論
著者
小林 秀年
著者別名
Hidetoshi Kobayashi
雑誌名
東洋法学
巻
35
号
2
ページ
43-63
発行年
1992-01
URL
http://id.nii.ac.jp/1060/00003518/
Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja民法一七七条の﹁第三者﹂範囲論
小
林
秀
年
はじめに 民法一七七条は、 ﹁不動産二関スル物権ノ得喪及ヒ変更ハ登記法ノ定ムル所二従ヒ其登記ヲ為スニ非サレハ之ヲ以 テ第三者二対抗スルコトヲ得ス﹂と規定しており、登記がなければ対抗できない﹁第三者﹂の範囲については、何ら 制限を設けていない。ちなみに、旧民法財産篇三五〇条は、 ﹁名義上ノ所有者ト此物権二付約束シタル者又ハ其所有 者ヨリ此物権ト相容レサル権利ヲ取得シタル者二対抗スルコトヲ得ス﹂と規定して制限を設けていたのである。 民法起草委員の梅謙次郎は、 ﹁第三者﹂の範囲について制限的に解することは立法者意思に反する旨を強調して、 不動産登記法四条・五条は例外であるとし、穂積陳重は、登記は公益に基づく制度である以上、絶対的なものでなけ まレ れば効を奏することができないと考えたから、善意とか悪意とかいう形容詞を付さなかった旨を述べている。 一般に﹁第三者﹂とは、当事者およびその包括承継人以外の者をいうのであるが、本条においても同様に解するこ東洋法学
四三民法 七七条の﹁第三者﹂範囲論 四四 とができるのであろうか。たとえば、A所有の未登記建物がBに譲渡されたが依然未登記のままであったところ、本 件建物を勝手に自己名義で所有権保存の登記をしたC︵無権利者︶、本件建物を殿損したD︵不法行為者︶は、A・ B間の譲渡に関しては﹁第三者﹂となることから、Bは自己に所有権があることを主張してCに対し登記の抹消請求 を、Dに対し損害の賠償請求をなした場合であろうとも、Bは登記を具備していないことからこれらの請求は退けら れることになる。このような結果を不合理であるとするならば、これらの者は民法一七七条の﹁第三者﹂の範囲から 除外すべきであるという考え方によらざるをえなくなる。 そこで今臼では、民法一七七条の﹁第三者﹂の範囲を制限的に解することが判例・学説の一般的な態度であるが、 制限的に解する規準をめぐって議論が展開されるに及んでいる。 本稿は、民法一七七条の﹁第三者﹂の範囲について、 ﹁第三者﹂に該当するか否かにつき、その者の有する権利も しくは法的地位という客観的側面からの問題と、客観的側面を満たす者の主観的態様による制限をめぐる主観的側面 からの間題という二つの側面から、判例そして学説の状況を概観するものであり、今後の理論の展開を研究するうえ でのプロローグとしたい。
二 判例の状況 ⑭ ﹁第三者﹂の範囲について 当初の判例は、すべての第三者に対して登記が必要である︵不動産登記法四条および五条に該当する者は除いて︶ と解して無制限説をとっていた︵大判明治三八年一〇月二〇日民録一一輯=二七四頁︶。それは、一七七条が単に﹁第 三者﹂とのみ規定しており、これを制限するような字句が存在しないことや、公示の原則から不動産に関する一切の 権利関係は、登記によって画一的に取り扱うべきであることなどの理由によっていた。その結果、民法一七七条の﹁第 三者﹂の範囲につき判例は、 ﹁物権得喪ノ原因タル行為ノ当事者及ビ其一般承継人以外ノ者ヲ汎ク指示シ第三取得者 タルト普通債権者ナルトハ因ヨリ問フ所ニアラズ﹂ ︵濁点および句続点は筆者。以下同じ︶ ︵大判明治四〇年七月三 〇日民録二二輯八三五頁︶、不動産の原所有者の一般承継人を除いて﹁不動産上ノ権利ノ譲渡人ト他ノ者トガ同一不 動産二付キ為シタル行為ガ真実ナル場合ト虚偽ナル場合トニ依リ区別アルコトナシトス﹂として同一不動産について 利害関係を有するすべての者であるとしている︵大判明治四〇年二月二七日民録一三輯一八八頁︶。 明治四一年一二月一五日、大審院民事連合部は、従来の判例が民法一七七条の﹁第三者﹂の範囲について無制限説 をとっていたのを改めて、制限説をとる旨を明らかにしたのである。事実の概要は、Aから本件家屋を譲り受けたと 主張するXが、本件家屋を建築し所有していると主張するY︵第三者︶に対して所有権確認を求めたものである。原 審は、Yの主張がどのようなものであろうとも、Xが登記を具備しないかぎりYに対抗することができないとした、 東洋法 学 四五
民法一七七条の﹁第三者﹂範囲論 四六 従来の判例の立場にたつものであった。大審院は、 ﹁物権ハ本来絶対ノ権利ニシテ待対ノ権利ニハ非ズ。 中略 −其条文ニハ特二第三者ノ意義ヲ制限スル文詞ナシト錐モ其自ラ多少ノ制限アルベキコトハ之ヲ字旬ノ外二求ム ルコト豊難シト言フベケンヤ。何トナレバ対抗トハ彼此利害相反スル時二於テ始メテ発生スル事項ナルヲ以テ不動産 二関スル物権ノ得喪及ビ変更二付テ利害関係アラザル者ハ本条第三者二該当セザルコト尤著名ナリト謂ハザルヲ得ズ。 又本条制定ノ理由二視テ其ノ規定シタル保障ヲ享受スルニ値セザル利害関係ヲ有スル者ハ亦之ヲ除外スベキハ蓋疑ヲ 容ルベキニ非ズ。﹂したがって、本条にいう﹁第三者﹂とは、 ﹁当事者若クハ其包括承継人二非ズシテ不動産二関ス ル物権ノ得喪及ビ変更ノ登記欠鉄ヲ主張スル正当ノ利益ヲ有スル者﹂を指称するといわなければならないとして制限 説を示して、Yを民法一七七条の﹁第三者﹂の範囲から除外したのである。さらに、本判決は﹁第三者﹂の範囲につ いて具体的例示として、該当する者としては同一不動産について所有権・抵当権などの物権または賃借権を正当の権 限によって取得した者、差押債権者、配当加入債権者であり、該当しない者としては同一不動産について正当の権原 によらないで権利を主張する者、不法行為者などをあげている︵民録一四輯一二七六頁︶。 その後、判例は、 ﹁第三者﹂の範囲について制限説をとるとともに﹁正当ノ利益ヲ有スル者﹂を具体的事案に即し て検討していくのである。 口 客観的側面からの ω 第三者に該当する者 ﹁第三者﹂る範囲
①同一不動産上の物権取得者 二重譲渡における第二譲受人が典型的な例︵大判昭和九年五月一日民集一三巻七 三四頁︶であり、競落人︵大判昭和一四年五月二四日民集一八巻六二三頁︶および競落人からの転得者︵大判昭和一 七年一二月一八日民集二一巻二九九頁︶、信託的譲渡の譲受人︵大判昭和四年四月一二日民集八巻四一二頁︶、共 有持分譲渡における他の共有者︵大判大正五年一二月二七日民録二二輯二五二四頁︶、共有持分の譲受人︵大判昭和 一九年九月二八日民集壬二巻五五五頁︶も該当する。その外にも、所有権を取得した者が未登記のあいだに他物権を 取得した者︵抵当権者について、大判昭和七年五月二七日民集二巻ごモ九頁︶、他物権の設定を受けた者が未登 記のあいだに所有権を取得した者︵地役権について、大判天正一〇年一月二四日民録二七輯二二一頁︶などがある。 以上述べた所有権取得者において、その間に相続が介在している場合でも同様である︵大連判大正一五年二月一日 民集五巻四四頁︶。以前の判例は、被相続人は第一譲受人に譲渡したので、すでに無権利者となっているから相続人 の相続登記は不正なものであり、この者からの第二譲受人は﹁第三者﹂に該当しないとしていたが︵大判明治四一年 一〇月二七日民録一四輯一〇五二頁、大判明治四四年九月二六日民録︸七輯五二頁︶、本判決により見解を変更し た。さらに、被相続人と第一譲受人間の譲渡が贈与の場合にも認めている︵最判昭和三三年一〇月一四日民集一二巻 一四号三一三頁︶。また、第一譲受人の取得が遺贈の場合︵大判昭和八年一二月六日新聞三六六六号一〇頁︶、死 因贈与の場合︵大判昭和ご二年九月二八日民集一七巻︸八七九頁︶も同様に解せられている。 ② 当該不動産について物的支配を取得した債権者 前掲明治四一年﹁第三者﹂制限判決は、 ﹁同︸ノ不動産ヲ差 押エタル債権者若クワ差押二付テ配当加入ヲ申立テタル債権者﹂は一七七条の﹁第三者しに該当すると判示しており、 東 洋 法 学 四七
民法一七七条の﹁第三者﹂範囲論 四八 判例も早くから不動産の差押債権者は第三者に該当するとし︵大判明治三八年五月一日民録二輯六四七頁︶、最高 裁判所も同様に認めている︵最判昭和三一年四月二七日民集一〇巻四号四一七頁︶。仮差押債権者︵最判昭和三八年 レ 三月二八田民集一七巻二号三九七頁︶、仮処分債権者︵最判昭和三〇年一〇月二五日民集九巻二号一六七八頁︶、 破産債権者︵大判昭和八年二月三〇日民集一二巻二七八一頁︶、限定承認をした場合の相続債権者︵大判昭和九年 一月三〇日民集一三巻九三頁︶、詐害行為取消権を行使した債権者︵大判昭和二年七月三一日民集一五巻一五八七 頁︶なども﹁第三者﹂であるが、債権者代位権を行使した債権者は第三者ではない︵大判明治四三年七月六臼民録一 六輯四六頁︶。 ③ 賃借権者 賃借権の認否の場合には、賃借権は債権ではあるが物権化により︵民法六〇五条、建物保護法、借 家法、借地法︶、実質的には当該不動産上に物的支配を有していることから、賃借権者は第三者に該当するとしてい る︵大判昭和六年三月三一日新聞三二六一号一六頁︶。賃料請求につき賃借権者は第三者に該当するし︵大判昭和八 年五月九日民集二春二二 二頁︶、解約申入れについても同様である︵最判昭和二五年二月三〇日民集四巻二 号六〇七頁︶。 ⑭第三者に該当しない者 ①実質的無権利者およびその者からの転得者 実質的無権利者︵名目上の権利者︶は登記を具備していても、真 実の物権取得者の登記欠歓について主張するだけの正当な利益を有しなく、その者からの転得者も登記の公信力の欠 如から保護されないのである。判例に現われた例としては、所有者不知の間に当該土地を自己名義に変更した者およ
びその買得人︵大判明治三二年六月七日民録五輯六巻一七頁︶、不正に登記名義を得た者およびその譲受人︵大判大 正三年一〇月二臼刑録二二輯一七七一頁︶、表見相続人およびその譲受人︵大判昭和二年四月二二日民集二二巻二六 〇頁︶、譲渡が錯誤により無効である場合の譲受人︵大判昭和六年四月二日新聞三二六二号一五頁︶、虚偽表示によ る取得者︵大判昭和五年四月一七日新聞三一二一号二頁︶およびその者からの転得者護悪意の転得者は虚偽表示の 無効を対抗されるが︵大判明治四二年一月二六臼民録一五輯二八頁︶、善意の転得者は登記なくして権利取得を主張 できる︵最判昭和四四年五月二七日民集壬二巻六号九九八頁︶、被担保債権が消滅した後の抵当権の譲受人︵大判大 正一〇年三月一二日民録二七輯五三二頁︶およびその転得者︵大判昭和七年七月二一二日新聞三四四九号一四頁︶など がある。 ②不法行為者・不法占拠者 不法行為者は、前掲明治四一年﹁第三者﹂制限判決により﹁第三者しに該当する者 ではなく、不法占拠者も同様に当該不動産に関してなんら権利を有する者ではないので、物権者は登記なくして損害 賠償の請求︵大判昭和二年二月二一日新聞二六八O号八頁︶や、明渡の請求︵最判昭和二五年一二月一九日民集四巻 一二号六六〇頁︶が認められる。 ③一般債権者前掲明治四一年﹁第三者﹂制限判決は、﹁第三者﹂に該当する債権者を制限的に例示しており、 判例も﹁未ダ差押又ハ配当加入ヲ為シタルニアラズシテ単二債権者タルニ過ギザル者﹂は、一七七条の﹁第三者﹂に 該当しないとしている︵大判大正四年七月一二日民録二一輯一二一六頁︶。 ④転々譲渡の前主と後主 不動産がA←B手Cと譲渡された場合、一般的にはA←Bの譲渡につき後主C、B← 東洋法学 四九
民法一七七条の﹁第三者﹂範囲論 五〇 Cの譲渡につき前主Aは第三者であるが、この場合AはB手Cの権利移転を否定してもなんら有効となる権利を有す る者ではなく︵最判昭和四三年二月一九日民集二二巻一二号二六九二頁︶、また、CはBの権利に基づいて権利を 取得した者であるから、Bと同一不動産上の物的支配を争う者とはいえないことから︵大判昭和一二年一二月二一日 法学七巻五三二頁︶、転々譲渡の前主あるいは後主は、一七七条の﹁第三者﹂には該当しないとしている。 国 主観的側面からの﹁第三者﹂の範囲 ω 背信的悪意者 従来、判例は、公示の原則は外形により画一的に規律されるべきであって、当事者の主観的態様すなわち内心的事 情により区別することは取引の安全を害することになるし、一七七条が法文上﹁第三者﹂の善意・悪意を区別してい ないことなどから、善意・悪意を問わないとしてきた︵善意悪意不問説とか悪意者包含説といわれている︶。しかし、 常に悪意者を保護していたわけではなく、必要に応じて原則論を維持しつつ論理的に矛盾しない概念構成を用いて悪 意者を﹁第三者﹂から除外してきたのである。たとえば、登記の欠歓を主張する正当の利益を有しないことを理由と して︵大判昭和九年三月六日民集一三巻壬二〇頁︶、不動産登記法四条・五条に準ずる者として︵最判昭和三一年四 月二四日民集一〇巻四号四一七頁︶、公序良俗違反を理由として︵最判昭和三六年四月二七日民集一五巻四号九〇一 頁︶など、実質的には背信的悪意者を﹁第三者﹂から除外してきたのである。なお、戦後の下級審は、不動産登記法 四条・五条の類推、信義則、権利濫用の法理などを用いて背信的悪意者を﹁第三者﹂から除外してきたのであった。
最高裁判所も、下級審の判例推移や学説の理を認めて、 ﹁民法一七七条にいう第三者については、一般的にはその 善意・悪意を問わないものであるが、不動産登記法四条または五条のような明文に該当する事由がなくても、少なく ともこれに類する程度の背信的悪意者は民法一七七条の第三者から除外されるべきである﹂ ︵最判昭和四〇年一二月 二一日民集一九巻九号二二一二頁︶とか、 ﹁物権変動について登記の欠歓を主張することが信義則に反するものと認 められる事情がある場合には、かかる背信的悪意者は登記の欠歓を主張するについて正当の利益を有しない﹂ ︵最判 レ 昭和四三年八月二日民集二二巻八号一五七一頁︶としてきている︵背信的悪意者排除説︶。これらを契機として判例 ハゆレ は、背信的悪意者の具体例を明らかにしつつある︵最判昭和四三年二月一五日民集二二巻一二号二六七一頁、最判 昭和四四年一月一六日民集二三巻一号一八頁、最判昭和四四年四月二五日民集二一二巻四号九〇四頁、最判昭和四五年 二月二四日判時五九一号五九頁、最判昭和四八年四月一二日金商三六九号八頁など︶。 ⑭ 背信的悪意者からの転得者の地位 背信的悪意者からの転得者の地位につき、最高裁判例としては︸件もないが、下級審では、転得者自身が背信的悪 意者に該当しないかぎり﹁第三者﹂として第一譲受人の登記の欠歓を主張できるとしている︵広島高裁松江支判昭和 四九年一二月一八日判時七八八号五八頁︶。
東洋法 学
五一民法一七七条の﹁第三者﹂範囲論 五二 三 学説の状況 8 ﹁第三者﹂の範囲について ハらレ 当初の学説は、判例と同様に消極的な文理解釈論により無制限説にたっていたが、前掲明治四一年﹁第三者﹂制限 判決︵民法一七七条の第三者とは、登記の欠鉄を主張する﹁正当ノ利益﹂を有する者としている。︶以降、判例の態 度を支持するものが多くなり︵ただし、鳩山博士は、前掲明治四一年﹁第三者﹂制限判決に反対して、一定の理論的 レ 根拠に基づく積極的な無制限説を説かれたのであった︶、 ﹁第三者﹂の範囲を制限する基準を明確にしようと努めて きている。たとえば、当該の﹁物権変動を認めるとすれば内容がこれと両立せざるが為め論理上当然に否認されねば アロ レ ならぬ権利を有する者しに限るとする説、﹁当該不動産に関して有効な取引関係に立てる第三者﹂に限るとする説︵登 記をもって、個々の取引関係の安全を図る制度としている︶、 ﹁物的支配を相争う相互関係に立ち、かつ登記に信頼 ハ ロ して行動すべきものと認められる者﹂に限るとする説︵背信的悪意者を自覚的にとらえている︶、 ﹁対抗問題を生ず レ る関係にある第三者﹂に限るとする説︵登記が要求せられるのは、二重譲渡の両譲受人の場合のような、切り札とし ての登記なしには解決しえない場合に限られるとする︶、そして﹁もし、物権変動の前主自身が目的物につきある請 求をしたならば、この請求に屈伏しなければならないような者は、一七七条の第三者ではなく、かかる者に対しては、 むレ 物権変動の後主は、登記なくして、同じ請求をなしうる﹂とする説︵特定債権保全のために債権者代位権を行使する ことが許されている現在、制限説と無制限説との実質的な差異がほとんどなくなったことを前提としている︶、さら
に、判例が説く制限説の不備を背信的悪意者の法理の導入と民法九四条二項の類推適用を認めることにより、 ﹁制限 説と無制限説とを﹁正当性﹂という考慮の下に使い分けることにより、より正当な者の権利主張が許されるという柔 のレ 軟で正義にかなった解決を導くことが可能になる﹂とする説などがある。 口 客観的側面からの﹁第三者﹂の範囲 ω 第三者に該当する者 ①同一不動産上の物権取得者 学説上、同一不動産について所有権または他物権を有効に取得した者が、﹁第三 者しに該当することについて異論はない。 ②当該不動産について物的支配を取得した債権者 学説は、判例同様に、当該不動産について物的支配を取得し た債権者が﹁第三者﹂に該当することについては異論なく認めてきたが、近時、差押債権者について、第三者として のレ 扱うか否かを利益衡量に基づいて制限する見解が現われた。特定物債権者については、一般債権者を一七七条の﹁第 ハリレ 三者﹂に含める学説では特定物債権者も﹁第三者﹂に含めるが、一般債権者を﹁第三者﹂から除外する学説では、特 ハおレ おレ 定物債権者を一般債権者と区別することなく除外する見解と、特定物債権者のみ﹁第三者しに含める見解とに分かれ ている。 ③ 賃借権者 賃借権の認否をめぐる両者間の優劣が問題とされる場合の賃借権者が、 ﹁第三者﹂に該当すること につき、学説も判例同様に異論はないが、賃借権の存在を前提としたうえでの賃料請求については争いがある。すな
東洋法学
五三民法一七七条の﹁第三者﹂範囲論 五四 わち、この場合の両者間には対抗問題は生じていないのであるが、賃料請求について登記が必要なのか否かは別問題 である。二重譲渡がなされた場合の賃借人の地位が不安定になることなどを理由に、権利主張をする場合は常に登記 なレ が必要であるとする見解︵登記必要説︶と、賃借権の存在を前提としていることから、物的支配関係の認否や優劣が 争われているわけではないので対抗問題は生じないことから、賃借権者は登記の欠映を主張できる第三者には該当し ハルレ ないとする見解︵登記不要説︶の対立がある。なお、不動産の所有権の移転と賃貸人の地位の移転に分けて考察する ロ 見解もある。 ㈲第三者に該当しない者 ① 実質的無権利者およびその者からの転得者 実体法上の権利関係を反映しない登記は無効であるから、名目上 の権利者は、真実の物権取得者の登記欠敏を主張するだけの正当な利益を有する者ではないことから、実質的無権利 者およびその者からの転得者は、 ﹁第三者﹂に該当する者ではなく、この点について判例・学説ともに異論はない。 ② 不法行為者・不法占拠者 不法行為者・不法占拠者が﹁第三者﹂に該当しないことについては、判例・学説と もに異論はない。 パ レ だヤ ハぬレ ③一般債権者肯定説と否定説に分かれているが︵多数説は否定説︶、近時、一般債権者が純然たる一般債権者 の資格で登記欠敏を主張することに利益を有することはありえないことを理由に、 ﹁第三者﹂に該当するか否かの議 ハめロ 論には実益がないと指摘する見解が出されている。 パぬロ ④転々譲渡の前主と後主 学説も判例と同趣旨である。
日 主観的側面からの﹁第三者﹂の範囲 ω 背信的悪意者 当初の学説︵通説︶は、判例と同様の趣旨で﹁第三者﹂の善意・悪意不問説にたつものが多数を占める一方、悪意 の第三者は保護に値しないこと、公示の原則も結局は取引の安全に資すべきものであること、そして法文上の根拠と ぱロ しては不動産登記法四条・五条の趣旨が類推されるべきこと、などを理由に悪意者排除説もあった。善意・悪意不問 説は、登記に公信力を認めないという立場にたちながら、取引の安全という見地から善意者・悪意者のいかんを問わ ずに画一的な処理を図ろうとするものであることから、結果において登記に公信力を認める以上の保護を第三者に与 えるという欠陥を含んでいるのである。そのために判例は、前述のごとく他の法理を用いることによって同説を補強 していたのである。 その後、善意・悪意不問説の欠陥を克服した背信的悪意者排除説が登場したのである。背信的悪意者を民法一七七 条の﹁第三者﹂から除外する理由として、対抗要件主義が資本主義的自由競争の原理に立脚している以上、第二譲受 人が第一譲受人のいることを単に知っているだけでは法的保護を排除される理由はなく、有利な条件で第二譲受人が 第一譲受人と競うことは許されるべきことであり、自由競争社会では、自己の権利を保全することを怠った第一譲受 人が結果的に権利を失うことになってもやむをえないのである。しかし、だからといって、社会生活上正当な自由競 争の範囲を逸脱したことによって信義則に反する悪意者︵擁背信的悪意者︶は、 ﹁第三者﹂から除外して保護すべき ぱロ のレ ではない、とするものである。この説は、現在では多数の支持を得ているが、その根拠とするところは多様である。 東洋法 学 五五
民法一七七条の﹁第三者し範囲論 五六 背信的悪意者排除説の長所は、第二譲受人側の知・不知といった事情だけでなく、第一譲受人の未登記という帰責 ハぬレ ハぱレ 事由をも考慮に入れて判断できるところにある。しかし、その反面、次のような指摘がある。 ﹁背信性し概念の不明 確さ。すなわち、登記上や不動産の現状確認のみからは十分に知りえない第一譲受人側の帰責事由の有無によって第 二譲受人の地位が脅かされることは、かえって、取引の安全を害するとともに登記の機能を不当に弱める結果になる のではないか。つぎに、二重譲渡に自由競争の原理を持ち込む点。すなわち、二重譲渡は、二重債権契約︵債権関係 の段階では対抗問題は生じない︶と異なり、物権関係に移行した段階で捉えなければならないものであるから、自由 競争原理の適用余地はないのではないか。 このような疑問が生ずるのは、背信的悪意者排除説自体にいろんな問題が含まれているのではないかとして、第三 へみレ 者が悪意・善意有過失のときは、権利取得を認めないとする公信力説︵鑓悪意者排除説︶が台頭してきている。その, 他にも、民法九四条二項類推適用論を民法一七七条に導入して処理すべきであり、その場合は善意の過失者も背信的 むレ ぬレ 悪意者に入る可能性があるとする見解、取引利益と利用利益の観点から類型化を試み、問題を処理しようとする見解、 おレ そして、新たな視点︵英米法の公益信託法理︶から、無償の譲受人は﹁第三者﹂に該当しないとする見解などがある。 ⑭ 背信的悪意者からの転得者の地位 民法一七七条の﹁第三者﹂の範囲について判例・通説は、背信的悪意者は除外されるという見解をとったのである が、その後の議論は、前述のごとき批判そして背信的悪意者からの転得者の地位の問題を中心に展開してきている。 後者が問題となる例としては、Aが不動産をB・C︵背信的悪意者︶に二重譲渡し、さらにCがDに譲渡していた場
合のD︵転得者︶の法的地位である。この場合、Bが権利取得するので、Cは無権利者となり、Dは所有権を取得し えないのではないかということから、背信的悪意者排除論を前提に次のような理論構成が示されている。債権者取消 権の受益者や転得者の悪意の問題につき判例が認めている解釈理論と同様に、Dが背信的悪意者のときはBは登記な むレ くして対抗できるが、Dが善意あるいは単純悪意のときは対抗できないとする見解︵債権者取消権的構成説︶、Cの 物権変動も一応は有効であるが、Bに対する関係で信義則違反があるため登記欠敏の主張が許されないという相対的 カレ 無効にすぎず、Dが背信的悪意者でないかぎり権利取得できるとする見解︵相対的無効説︶、Bは信義則違反を理由 に、Cに対して所有権移転・登記移転などを求める対人的・債権的請求権をもつと解し、DはBに対して信義則違反 ハ レ と評価される事情がないかぎり完全な物権を取得するとする見解︵債権的請求権説︶、Dは未登記のBに対してAB 間の物権変動を否認することができ、これによりBに移転した権利はAに戻り、Cを経由してDに移転し、Dは登記 むレ をすることによって完全な権利者になるとする見解︵否認権説︶、Dが善意であれば﹁第三者﹂に該当し、その後D から譲渡を受けた者は悪意者であってもすべて一七七条の﹁第三者﹂としての保護を受ける。しかし、Dが悪意者︵単 なる悪意︶であれば、背信的悪意者としての地位を承継するから、登記欠鉄を主張する正当の利益を有する第三者で レ はないとする見解︵九四条二項類推適用説︶などがある。公信力説は、二重譲渡の理論がそのまま妥当すること︵C の登記を信頼したDが、善意・無過失であれば保護される︶から、論理的一貫性を保ちうるが、背信的悪意者排除説 に立つかぎり善意転得者の保護にはかなりの技巧的な解釈論をとらざるをえず、このことは背信的悪意者排除説それ ハ レ 自体にかなり問題が含まれていることを示唆するとして、背信的悪意者排除論を批判している。 東洋法 学 五七
民法一七七条の﹁第三者﹂範囲論 五八 四 むすびにかえて 民法一七七条の﹁第三者しの範囲について、判例・学説の状況を概観してきたが、ここでは紙面の関係上、概観で きなかった点と最近における議論を紹介して、今後の方向性をみてみたい。 明治四一年一二月一五日大審院民事連合部は、同臼、異なる事件で一七七条の解釈における重要な二つの判決、す なわち、既述の如く﹁第三者﹂の範囲について制限説を採る旨の判決と、登記を必要とする物権変動の原因について ﹁其原因ノ如何ヲ問ハズ総テ﹂登記なくして対抗しえないとする物権変動無制限説を採る旨の判決︵民録一四輯一三 〇一頁︶を出したのである。現在に至るまで判例は、 ﹁第三者﹂の範囲について制限説を、物権変動の一般論として 無制限説を原則として踏襲してきている。判例理論の展開を考えるうえでは、第三者制限説・物権変動無制限説のも つ個別的な検討のみではなく、両説の関係から検討してみると、対抗要件としての登記の要否は、 ﹁第三者﹂との関 ロ ハボロ 係で重要になってくるのであって、物権変動の原因の一般論から決まるものではないとも考えることができよう。判 例も、法律行為の取消や契約の解除後の第三者との関係、時効完成後の第三者との関係などについて、対抗問題とし ぬレ て、当事者の一方を一七七条の﹁第三者﹂に含めているのである。すなわち、不動産物権変動の効力に関する問題は、 いったんはすべて一七七条の問題となるが︵物権変動無制限説から︶、登記の欠歓を主張する者が﹁正当の利益﹂を 有する第三者に該当する場合にのみ︵第三者制限説から︶、それが適用されることになるのである︵具体的妥当性の レ 確保︶。そこで、論者の多くは、 ﹁第三者﹂の範囲について具体的に検討するようになったのである。
その基本的な考え方については、民法一七七条は意思主義のもとで不可避的に生ずる二重譲渡あるいはこれに類す る関係すなわち対抗問題にのみ適用される規定であるとして、対抗関係に立つ者のみが第三者に該当するのであって、 がレ 対抗関係にないものは制限をするまでもなく、もともと第三者にあたらないとする見解︵対抗問題説︶と、登記には 対抗要件としての機能のほかに、権利の存在についての証明的機能もあるのであるから、その機能に即して具体的に レ ロ 一七七条の適用について検討すべきであるとする見解の対立がある。 最近の民法一七七条の﹁第三者﹂の範囲に関する議論は、とりもなおさず、背信的悪意者排除説と悪意者排除説︵公 信力説︶の対立︵王・ω 参照︶である。吉原教授は、背信的悪意者排除論は前掲明治四一年﹁第三者﹂制限判決と 連結ないしは統合されていると位置づけをして、背信的悪意者排除論と九四条二項類推適用論は、民法の体系的理解 としてそれぞれ別個な適用範囲をもつものであるから、九四条二項類推適用の拡張を論拠に一七七条の﹁第三者﹂に つき善意無過失論を主張することは当を得ないと言われる。そして、公信力説から技巧的と批判されている背信的悪 意者からの善意転得者の保護についても、同じ理論構成で一元的に説明され、さらに、背信的悪意者排除論は、物権 びレ 変動の対抗問題全般に適用できるが、公信力説では二重譲渡以外の対抗問題の説明が因難であると指摘されている。 鎌田教授によれば、従来便宜的に対抗問題として処理されてきた問題を、九四条二項類推適用などにより公信問題と しての処理の場面に引き戻そうとする動き︵対抗問題と公信問題との振り分けの問題︶が顕著にみられるが、これは 一七七条の﹁第三者﹂の範囲についても背信的悪意者排除論が採られ、要件・効果の両面において九四条二項類推適 用の場合と著しく近似するに至っており︵両説の差があまり無くなってきていると指摘される︶、この点からも公信 東洋法 学 五九
民法一七七条の﹁第三者﹂範囲論 ︵紹︶ 力説の現代的意義があるといわれている。 六〇
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︵3︶ ︵4︶ ︵5︶ ︵6︶((
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背信的悪意者の類型については、北川弘治慣民法一七七条の第三者から除外される背信的悪意者の具体的基準︵i︶ を問う信義則違反がないかどうかが中心的課題となってきている﹂と指摘している。 の焦点であったのに対し、背信的悪意者論においては、右が第二次的問題となって、第三者の行為の客観的側面である態様 九巻二・三合併号三九頁以下︵昭和四〇年︶において、 ﹁悪意者排除論が行為の主観的側面を問うのがよいかどうかが議論 ﹁民法一七七条の﹁第三者﹂の範囲と信義則の適用 いわゆる背信的悪意者をめぐる判例・学説の検討1﹂東洋法学 川井 健慣不動産の二重売買における公序良俗と信義則﹂ 判例タイムズ一二七号一五頁以下︵昭和三七年︶、三和一博 二頁︶。 仮処分債権者であれば﹁第三者﹂に含まれるというものではない︵最判昭和四三年一一月一九日民集二二巻 二号工六九 立法の経緯等については、鎌田 薫﹁対抗間題と第三者﹂民法講座2 物権①七一頁以下︵昭和五九年有斐閣︶。 ︵4・完︶﹂判例評論∼二〇号乃至一二三号︵昭和四四年︶、松坂佐一・民法提要 物権法︹第四版︺七七頁以下︵昭和五 五年 有斐閣︶参照。 梅謙次郎・訂正増補 民法要義 巻之二物権編︵明治四四年復刻版︶一七頁以下︵昭和五九年 有斐閣︶、富井政章・民 法原論第二巻物権︵大正一二年復刻版︶六 頁以下︵昭和六〇年有斐閣︶。 鳩山秀夫﹁不動産物権の得喪変更に関する公信主義及び公示主義を論ず﹂ ︵債権法における信義誠実の原則 所収︶六二 頁以下︵昭和三〇年 有斐閣︶。 末弘厳太郎・物権法上巻 ∼六六頁以下︵大正一〇年 有斐閣︶。 我妻 栄・物権法︵民法講義∬︶ 九六頁以下︵昭和二七年 岩波書店︶。︵9︶ ︵10︶ ︵難︶ ︵鴛︶ ︵13︶ ︵M︶ ︵15︶ ︵鐙︶ ︵貿︶ ︵娼︶ ︵19︶ ︵20︶ ︵溢︶ ︵22︶ ︵23︶ ︵2 4︶ ︵25︶ 船橋諄丁物権法︵法律学全集綿︶ 一八二頁以下︵昭和三五年 有斐閣︶。 於保不二雄・物権法︵上︶ ︸二九頁︵昭和四一年 有斐閣︶。 鈴木禄弥・物権法講義︵三訂版︶ 一〇九頁︵昭和六〇年 創文社︶。 川井 健﹁不動産物権変動における公示と公信 背信的悪意者論と民法九四条二項類推適用論の位置づけi﹂私 法学の新たな展開︵我妻 栄先生追悼論文集︶ 三二〇頁以下︵昭和五〇年 有斐閣︶、同・不動産物権変動の公示と公信 三七頁以下︵平成二年 日本評論社︶。 鈴木︵禄︶・前掲書二〇頁。 我妻・前掲書九八頁。 船橋・前掲書二〇〇頁、半田正夫﹁民法一七七条における第三者の範囲﹂叢書民法総合判例研究⑦七四頁以下︵昭和五二 年 一粒社︶。 糠木馨縫高木多喜男・判例物権法総論︵補訂版︶ 二二二頁︵昭和四七年有斐閣︶。 判例および我妻・前掲書一〇〇頁、末川 博・物権法一〇九頁︵昭和三一年 日本評論社︶。 船橋・前掲書一八九頁、鈴木︵禄︶・前掲書二〇頁。 半田・前掲書六九頁以下。 我妻・前掲書九八頁。 船橋・前掲書一九九頁以下、鈴木・前掲書一一〇頁、半田・前掲書六九頁。 吉原節夫・注釈民法6物権① 三三四頁︵昭和四二年 有斐閣︶。 鎌田・前掲書二八頁。 船橋・前掲書二〇一頁。 岡村玄治﹁民法一七七条二所謂第三者ノ意義ヲ論シ債権ノ不可侵性排他性二及フ﹂法学志林一七巻六号・七号︵大正四年︶。 東 洋 法 学 六一
︵26︶ ︵27︶ ︵28︶ ︵29︶ ︵30︶ ︵雛︶ ︵3 4︶ ︵33︶ ︵3 4︶ ︵35︶ 民法 七七条の﹁第三者し範囲論 六二 船橋・前掲書一八三頁。 鈴木重信﹁民法一七七条と背信的悪意者﹂不動産登記の諸問題︵上︶四八三頁以下︵昭和四九年 帝国判例法規出版社︶、 鈴木︵禄︶・前掲書二三頁、吉原節夫コ七七条における背信的悪意者 ﹁第三者﹂の範囲 し民法の争点九八頁︵昭 和五三年 有斐閣︶など多数。なお、背信的悪意者排除説は、現在においては、背信的悪意の内容を提示できなくなってい ると指摘するものとして、湯浅道雄﹁背信的悪意者論﹂不動産法の課題と展望︵石田喜久夫・西原道雄・高木多喜男先生還 暦記念論文集︶上︵平成二年 日本評論社︶。 半田・前掲書一〇四頁以下。 注︵4︶参照。 半田・前掲書 〇七頁以下、篠塚昭次・論争民法学1︸四頁以下︵昭和四五年 成文堂︶、石田喜久夫﹁対抗問題から公 儒力へ﹂物権変動論一七五頁以下︵昭和五四年 有斐閣︶、米倉 明﹁債権譲渡禁止特約の効力に関する一疑闘﹂北大法学 論集⋮二巻三号二九頁、鎌田 薫﹁不動産二重売買における第二買主の悪意と取引の安全ーフランスにおける判例の ﹃転換﹄をめぐって﹂比較法学九巻二号二八頁以下︵昭和四九年︶など。なお、公信力説には、三タイプがあり、その対 比について鎌田 薫﹁背信的悪意者﹂民法1︵判例と学説 2︶二一五頁以下参照 ︵昭和五二年 固本評論社︶。 川井・前掲書一五頁以下。 水本 浩﹁不動産物権変動における利益衡量﹂私法学の新たな展開︵我妻栄先生追悼論文集︶二六九頁以下︵昭和五〇年 有斐閣︶。 谷口知平﹁所有権の移転時期﹂新民法演習2物権四〇頁︵昭和四二年 有斐閣︶、松岡久和・物権法︵林 良平編︶七〇 頁︵昭和六∼年 青林書院︶。 船橋・前掲書一八五頁以下。 川井・前掲論文︵注3と二頁。
︵36︶ ハ 40 39 38 37 ) ) ) ) ︵岨︶ ︵姐︶ ︵囎︶ ︵44︶ ︵45︶ ︵妬︶ ︵47︶ ︵48︶ 好美清光﹁不動産の二重翅分における信義則違反等の効果﹂手形研究五七号一二頁︵昭和三七年︶、同﹁民法一七七条の 背信的悪意者にあたらぬ例等し民商法雑誌五五巻二号九九頁参照。 柚木■局木・前掲書二四九頁。 鈴木︵重︶・前掲論文五〇七頁。 半田・前掲書一〇四頁以下、諸説の問題点を指摘。 第三者制限説と物権変動無制限説との関係については、原島重義・注釈民法6物権①二七三頁以下︵昭和四二年 有斐閣︶、 半田・前掲書一八頁以下、船橋・前掲書∼五四頁以下など。 鎌田 薫﹁不動産物権変動論 3完﹂法学教室二一号四三頁︵平成元年︶、そのような指摘には一定の正当性があるが、 両者の問題は相当に性質の違う議論があるので、二つに分けて論ずることには︸定の実益がある、としている。 本田純∼﹁民法一七七条における第三者﹂争点ノート民法王二云ハ頁︵平成元年法学書院︶。 敢えて具体化などしない見解としては、柚木⊥爵木・前掲書二︸六頁、末川・前掲書 〇五頁以下。 船橋・前掲書︸五四頁以下、かつては、対抗問題への批判者であったが、自覚的に対抗問題説に接近されている。 川井・前掲書一頁以下。 鎌田・前掲論文︵注項︶三六頁、この論争は見かけ上の激しさに比べ具体的結論には大差は生じていないと指摘する。 吉原節夫こ七七条における背信的悪意者﹂民法の争点一〇一頁︵昭和五三年 有斐閣︶。 鎌田・前掲論文︵注項︶四四頁。 東 洋 法 学 六三