2009年の世界の不登校研究の概観 : PSYCHOLOGICAL ABSTRACTSの文献から

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2009年の世界の不登校研究の概観

-PSYCHOLOGICAL ABSTRACTS の文献から- 佐藤正道 要約 日本の不登校の問題を考えるうえで,常に世界の研究に目を向け続けることは必要である。 筆者は 1980 年から 1990 年までの研究の概観を行い,その継続研究として 1991 年から 毎年, ERIC および PSYCHOLOGICAL ABSTRACTS の,2003 年以降は PSYCHOLOGICAL

ABSTRACTS の不登校との関連が考えられるキーワード school attendance,school dropouts, school phobia ,school refusal を持つ文献を分類してきている。その継続研究として 2009 年の 文献 73 件について取り上げ分類し検討を加えた。

Key words : school attendance, school dropouts, school phobia, school refusal

Ⅰ はじめに

筆者(1992a)は,諸外国と日本における不登校の初期研究を踏まえた上で,ERIC および PSYCHOLOGICAL ABSTRACTS の school attendance, school dropouts, school phobia, school refusal をキーワードとする 1980 年から 1990 年の 400 件あまりの文献を中心に各国別,年代順 別に分類し,不登校研究の概観を行った。不登校の問題を考える上で,日本国内ばかりではな く世界の研究に常に目を向け続け,1 年毎の形式で蓄積していくことは意味があると考え,1991 年からそれぞれの年の文献について継続研究を行ってきた (1992b,1993,1994,1995,1996,1997,1998,1999, 2000,2001,2002,2003,2004,2005,2006,2007,2008,2009)。 本研究は,2009 年の文献についての継続研究である。今回の研究では,これまでの研究と同 様,ERIC データベースと DIALOG データベースの PSYCHOLOGICAL ABSTRACTS (PsycINFO データベース)を用い,文献検索を行おうとした。しかし,ERIC データベースは 2003 年の文 献以降,データベースの検索方法を変更したため,2003 年以降の文献については,年毎の検索 ができなくなった。2009 年の文献についても検索方法が変更のままで,同様の形態の検索がで きない状態のままである。したがって,2009 年の文献については,PSYCHOLOGICAL ABSTRACTS のみとなる。検索方法は,インターネット経由での作業を行った。これらの中か ら不登校との関連が考えられるものについて,キーワード毎に分類した。筆者の作業(1992a) に続くこの継続研究は,今回で 19 年目に当たるが,同一規準で 19 年分の作業をし,世界での 傾向を把握する基礎研究の 2009 年分である。なお,PSYCHOLOGICAL ABSTRACTS での検索

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形態が変更になった段階でこの基礎研究は終了することとする。

なお,ERIC データベースについては,キーワードでの検索については,佐藤の行ってきて いる経年変化という形態での活用はできないが,費用が発生しないこともあり,現在も更新さ れ続けている,有用な活用のできるデータベースである。

DIALOG データベースでの PSYCHOLOGICAL ABSTRACTS では,school attendance に関する 文献が 678 件,school dropouts に関する文献が 230 件,school phobia に関する文献が 342 件, school refusal に関する文献は 208 件であった。 PSYCHOLOGICAL ABSTRACTS データベース 1,558 件の文献の中で不登校との関連が考えら れる 73 件について,キーワード毎に分類し,研究の概観をする。 Ⅱ 各キーワード毎の研究の概観 ここで取り上げる研究は,2010 年 6 月現在,PSYCHOLOGICAL ABSTRACTS(PsycINFO デ ータベース)において検索し,不登校との関連が考えられる 2009 年分として収録されている文 献である。ここでは,日本の幼稚園・保育所から高等学校に対応する学年までの不登校との関 連が考えられる文献を取り扱っている。 1 school attendance に関する研究の概観 2009 年の school attendance をキーワードに持つ文献は 678 件が見いだされる。これらのうち, ここでは 19 件を概観する。国別では,アメリカ合衆国が 10 件,オーストラリアが 1 件,英国 が 3 件,マルタが 1 件,アイスランドが 1 件,中華民国が 2 件,インドが 1 件である。 Gavin ら(2009)は,アメリカ合衆国の 4,918 人の国家を代表するサンプルでの成人期の大うつ 病の生涯にわたる広がりと児童期の家族構造の間の関係があるかどうかを調査研究している。 (1)実の両親の存在,(2)一人の実の親と継父母,(3)一人の実の親,(4)実の親がいないという 4 つの家族構造の形態に基づいて,家族構造とうつ病性障害の間の関係が異なっているかどうかに ついて研究を行った。使われているデータは,アメリカの生涯国家調査から得られた。調節され た分析法では,すべての回答者の間で,成人期の大うつ病のより高い確率は,実の両親のもとで 成長した人々と比較すると,一人の実の親と継父母のもとで成長していることと関係していた。 性別によって層化される分析法では,児童期の間に一人の実の親と継父母と一緒に暮らした女性 だけには,成人期にうつ病性障害の増加したリスクが見られた。結論として,一人の実の親と継 父母と一緒に家庭で成長することは,黒人女性の間では,成人期のうつ病性障害と明らかに関係 していた。将来的研究として,うつ病性障害の長期の結果に児童期に家族の構造とつながる経路 とを調べ続けなければならない。 Gerdes と Schneider(2009)によると,ADHD に有効な治療処置をサポートするデータを通して, 民族的に少数である家族のこれらの治療介入を調査する研究はほとんどない。ここでのケース研 究では,スペイン語を話すラテンアメリカ系家族に焦点を当て,証拠に基づく治療処置を実行し ている大学ベースの ADHD クリニックで評価され,治療がなされている。治療処置の過程を論

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じることに加えて,ケース研究では,民族的に少数である家族を治療している時に直面する挑戦 の幾つかを取り上げ,児童の心理療法での民族性と治療処置の結果を十分に展開するのに必要な 研究の幾つかの道筋を特定している。 Chen ら(2009)は,中華民国での全国を代表する対象者を用いて,中華民国での校内暴力の悪 行の広がりを記述しようとしている。ここでは,アジアの文化的関係で生徒が暴力行為を犯す ことに性別,年齢,学校の形態がどのように関連するかを研究している。対象者は,4 年生か ら 12 年生の初等学校から高等学校の 14,022 人の生徒が含まれていた。生徒は学校での暴力行 為を報告する匿名の質問紙に回答した。この研究に表される調査結果は,級友に対する暴力行 為を行う理由に関する洞察を提供している。調査結果からは,悪行の広がりが環境の違いで変 化するかも知れないが,暴力に関する年齢,性別,学校形態の影響は中華民国においては理論 的に西洋の文化でなされている研究に基づいて予測されるものと同様の傾向があることを示唆 している。大多数の実行者は,無鉄砲な遊びから,あるいは先ず最初に楽しんでいた状況から 生じる暴力行為に関与していると報告していた。 Crocker ら(2009)から,日常的な要求に応える能力,適応行動が,重篤な出生前のアルコール 暴露 の影 響 に特 に敏 感 であ るか も 知れ ない 。 類似 の適 応 機能 障害 は 注意 欠陥 多 動性 障害 (ADHD)を含むその他の発達障害にも一般的である。ADHD は出生前にアルコールにさらさ れた子どもにしばしば現れ,臨床症状のこの重複はアルコールにさらされた子どもの特定を困 難なものにしている。出生前のアルコール暴露と ADHD の子どもの直接的な比較は,認知的行 動的達成の異なった形態を与え,出生前のアルコール暴露の神経心理学的行動的プロフィール の発達する知識を加えるかも知れない。したがって,目下の研究のねらいは,重篤な出生前の アルコール暴露の履歴のある子ども(ALC),アルコールに暴露されていない ADHD の子ども (ADHD),典型的な発達上の統制群(CON)での適応行動を比較することである。ALC が 22 人,ADHD が 23 人,CON が 20 人,計 65 人の子どもが,アルコールの行動先天異常誘発性の 比較的大きな進行中の研究から選択された。アルコールにさらされた群と統制群は年齢,性別, 社会経済的状況,人種的民族的に ADHD の対象者と一致していた。介護者は,Vineland 適応行 動評価尺度,半構造的面接がなされ,適応機能の 3 つの領域に関して子どもの行動を評価する よう求められた。データは回帰的技術で分析された。結果として,統制群と比較して,ALC と ADHD 群の子どもは,3 領域すべてにおいて適応行動の欠損を示し,ALC 群の子どもでは,日 常生活のスキルの領域で ADHD 群よりもかなり損なわれていた。ALC 群内では,社会化標準 得点が比較的高い年齢で低かった。以前の研究結果では報告されていなかったが,ALC 群での 年齢と標準得点の間の否定的関係はコミュニケーション領域でも観察された。結論として,出 生前のアルコール暴露と ADHD の子どもは,統制群と比較して,適応機能での障害があるが, 障害の形態はこれらの臨床群の間で異なっていることを示唆している。社会性とコミュニケー ション得点での年齢による改善の欠如によって示されているように,出生前のアルコール暴露 の子どもの適応能力は,発達上の停止によって特徴づけられる。一方,ADHD の子どもは,統

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制群の子どものレベルにはないが,年齢とともに得点が改善され,適応能力の発達上の遅れを 示している。アルコールにさらされた子どもに存在する欠損の形態を説明することに焦点化し た継続研究は改善された鑑別診断と効果的な治療介入につながるものである。 Ciarrochi ら(2009)は,青年男女が彼らの仲間の性格特性とは異なった応答をする可能性を探 っている。381 人の男子と 389 人の女子の生徒が 7 年生から 10 年生まで(平均年齢 12.28 歳) に人格尺度を測定し,9 年生から 10 年生に調整と嗜好の仲間評価を行った。分析から,女子の 調整評価が同意可能性,良心的であること,Eysenck のサイコティシズムの男子のレベルに影 響を与え,男子の評価は女子のこれらの特性によっては比較的影響を受けなかった。男女は同 性が好きだったよりも反対の性でのエクストラバージョンを好んでいた。仲間関係と性別の違 いを理解するためにこれらの研究結果の意味を論じている。 El Ansari ら(2009)によると,適切で許容できるヘルスケアへのアクセスの不平等は,黒人と 少数民族のコミュニティ(BME)出身の人々の間のよりひどい健康状態,短命,ヘルスケアのも のすごい不満につながっている。言語は,アクセスに対する更なる障害につながっている。BME コミュニティ出身の人々がヘルスケアの必要性を適切に満たしておくことができることを確実 にするために,バイリンガル擁護の発展は,2 つの鍵となる機能-解釈と擁護-を融和させて いる。バイリンガル擁護の発展について,100 以上の異なる言語を話す非常に多様な人々がい るイースト・ロンドンで調査を行っている。NHS 大学病院トラストによるバイリンガル擁護サ ービスの発展,発展に影響を与えた要因とこれらのサービスの局地的な体験を考察している。 Scheel ら(2009)は,school attendance にも関連するが,school dropouts で取り上げる。

Spencer(2009)は,8 年生の無断欠席者と特定される都会の生徒の登校状況の年代順の形態と 学業成績を調査研究している。入学から 8 年生までの 42 人の生徒の年代順の登校記録から,高 頻度の長期欠席と入学後すぐの学業成績上の問題があり,多くの場合に,小学校と中学校の年 度にわたって,この問題は続いていた。結果によれば,学校組織内の登校状況の進行中の分析 から,小学校高学年と中学校の学年での怠学につながる長期欠席の初期の形態が特定される。 学校で奮闘している子どもに対する早期の適切な照会と評価と同様に社会情緒的なサポートの 必要性を示唆しており,小学校の児童の中での長期欠席と低い学業成績への対応として,原級 留置と進級の実践に異議を唱えることになる。 Durell ら (2009)に よ る と , ア フ リ カ 系 ア メ リ カ 人 の 児 童 青 年 で の 注 意 欠 損 多 動 性 障 害 (ADHD)の管理に関するデータは限られている。2 カ所のマルチセンターの非盲検試験の事後 下位群分析を行うことによって,アフリカ系アメリカ人の児童青年での ADHD の管理において, 塩化アトモキセチンの耐性,安全性,効果を評価しようとした。有害な事象のため治療処置を 継続しなかったアフリカ系アメリカ人と白人は 3.0%以下であり,アトモキセチンは安全で十 分通用するものであった。白人のかなりの割合が,嘔吐(7.2%対 1.2%,P=.037),疲労(6.1%対 0 %P=.012)を含む 1%以下の治療処置と現れた有害な事象を報告していた。重大な安全への懸念 は観察されなかった。高さ,重さ,血行力学的変数での基準値からの変化は,両方の下位群で

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穏やかであり,類似していた。調査者が管理得点する平均 ADHD 尺度Ⅳ-親版(ADHDRS-Ⅳ-P ・I)では,基準値から終点まで,アフリカ系アメリカ人と白人ではかなりの改善が見られた。重 要な下位群間の差がないまま,得点はアフリカ系アメリカ人で 20.1,白人では 19.55 だけ減少 した。両方の人種群での患者は ADHDRS-IV-P・I の不注意,多動衝動的兆候,臨床的全体的印 象 ADHD 重篤度,Conners の親得点尺度改訂縮刷版で,類似のかなりな改善を体験していた。 アトモキセチンは,ADHD のアフリカ系アメリカ人と白人での類似した耐性のある,安全な, 効果的プロフィールを示していた。 Cefai と Cooper(2009)は,教育的な体験の様々な側面で自分の考えを展開している社会的, 情緒的,行動的困難さ(SEBD)を抱えているマルタの高校生と行っているいくつかの最近の研 究の概観を行っている。この地域で利用できる研究が少ないということは,学校での生徒の声, とりわけ SEBD の生徒の声に対する注意の不足が反映している。 Wood ら(2009)によれば,注意欠陥多動性障害(ADHD)に対する治療介入への教師の推奨に 関する生徒の性別と民族性の影響に関して,168 人の小学校と中学校の教師が調査研究に参加 した。参加した教員は,民族分類と性別を記載した生徒写真が添付してある ADHD の生徒が記 述されているシナリオを読んだ。その後に,どれくらい強く一般的な治療介入を推薦するかを 尋ねられた。調査結果から,白色人種よりも少数民族の生徒に対して,親ではない関係を必要 とする治療介入を推奨している。小学校と特別支援学校の教師は,中学校や通常学校の教師よ りも多くの経験的なサポートのある治療介入を推薦しようとしていた。学校での治療介入選択 に対する結果と将来の調査研究に対する示唆が概観される。 Kristjansson ら(2009)は,一人当たりが高収入の北欧の国,アイスランドの青年男女の親のサ ポート,親の助言,親と費やす時間,学業成績との関係を調査研究している。学校での努力の 間接的な役割についても調査研究している。7,430 人の 9 年生と 10 年生のデータが分析された。 構造式モデルから,親の要因は,すべて男女とも学業成績と関連していた。男女ともこれらの 関係は学校の努力を通しては大部分は間接的であった。親の要因と学業成績の関係は男女とも 強さの点では同様であった。男子は親のサポートと助言は女子より少なかった。 Crawley ら(2009)によると,不安兆候は慢性疲労症候群や筋痛性脳症(CFS/ME)の子どもで 一般的に記述されているが,現在まで,不安のある子どもの体験のタイプや不安,登校状況, 障害,疲労との関係に関する情報はほとんどない。第 1 に通常のヨーロッパの人々と比較して CFS/ME の子どもでの不安兆候の広がりとタイプを記述すること,第 2 に,小児科の CFS/ME での年齢,性別,登校状況,疲労,身体機能との不安兆候との関係を調査研究することをねら いとした。データは,大規模な専門の CFS/ME サービスに照会された CFS/ME の子どもと若者 から収集された。CFS/ME の 164 人の子どもについては Spence 子ども不安尺度に対する完全な データであった。十代の女子は,通常のヨーロッパ の人々のトップ 10%のカットオフの 38%(95%,CI27-49)の全体の不安兆候の最も高い割合であり,それぞれの下位尺度で兆候がかな り高い割合となっていた。比較的若い女子は,分離不安(37%,19-40)と社会恐怖(39%,25-47)で

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のカットオフにわたる得点となった。すべての不安の兆候と学校での時間,評価に対する時間, 痛みや年齢との関係についての証拠はなかった。他の変数の調整後,疲労と身体的機能との関 係は希薄化された。不安兆候は,特に十代の女子において,CFS/ME では高いけれども,登校 状況や障害のその他の尺度と関係が見られるかも知れない。分離不安と社会恐怖は小児科で最 も明らかに上昇した。 Daley ら(2009)は,就学前児童での注意欠損多動性障害(ADHD)についての表現,病因学, 治療の概説をしている。親の訓練治療介入の概観は,就学前児童の ADHD の症状を減少させる 十分に有効な証拠があるということが示され,3 つの治療介入,新しい森の親訓練プログラム (NFPP),トリプル P 肯定的親プログラム,素晴らしい年・親訓練プログラム(IY)が評価されて いる。トリプル P と IY プログラムは,現在まで,行為上の問題と,併発する ADHD を抱えて いる子どもにのみ表わされているが,NFPP の評価は ADHD の就学前児童に対する有効性を示 す強い証拠を提供している。親の訓練は,ADHD のサインを現す就学前児童に対する最初の選 択された治療処置であり,親の訓練が有効ではない子どもに対してのみ持ち出される薬物であ るべきである。親の ADHD を除いては,これらの治療介入に対して,結果の仲介者はほとんど 特定されなかった。治療介入と実施の忠実度に対する障碍は,登校状況,完了,有効性の高水 準を達成するために対処する必要がある。IY プログラムは,アドレス指定忠実度問題に対して, 治療介入に対する障碍を解決するための良いモデルである。 Tang ら(2009)によると,学校での通常の治療処置(TAU)と比較することによって,自殺の危 険性のある抑うつ状態にある青年男女に対する集中的な人間関係療法(IPT-A-IN)の治療介入の 効果を調査研究することを目的として研究を行っている。中華民国南部の高等学校の学級の 1/9 から 347 人の生徒が,自殺の危険性のふるい分けのために,Beck 抑うつ尺度Ⅱ,Beck 自殺念 慮尺度,Beck 不安尺度,Beck 自殺の危険性に対するふるい分けによる絶望尺度を行った。被 験者の中で,ふるい分けで自殺の危険性がある 73 名の抑うつ状態にある生徒が,IPT-A-IN か TAU にランダムに配置された。抑うつ状態,自殺念慮,不安と絶望の重篤さの軽減に対する IPT-A-IN の効果を調べるために,共分散分析(ANCOVA)が,実行された。共変量として,治療 介入前得点を用い,IPT-A-IN 群は,TAU 群より抑うつ状態,自殺念慮,不安と絶望の治療介入 後の低い重篤さであった。集中的な学校ベースの IPT-A-IN は,結論として,自殺の危険性のあ る抑うつ状態にある青年男女の抑うつ状態,自殺念慮,不安と絶望の重篤さを軽減するのに有 効であった。 Don と Glen(2009)によると,第三の行動サポートの効果を支持している文献があるが,大部 分の研究は一つの主題のデザインで実施されてきている。予防教育強化(PTR)モデルは,学校 を基盤とする第三の治療介入の標準化されたモデルである。PTR モデルが典型的な教職員によ って実行されるものとして,例えば通常のサービスのような,典型的に用いられる治療介入よ りも効果的であるかどうかに関わらず,比較する無作為対照化実験から,最初の結果を報告し ている。現在まで,K8 の 245 人の生徒が研究に登録され,予備調査結果から,通常通りのサー

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ビスを受けた生徒と比較して,PTR 治療介入を受けた生徒は,かなり高いソーシャルスキル, 学業に関わる時間,かなり問題が少ないということが分かった。教師は治療介入に対して高い 社会的に妥当性のある評価を与えている。 Plank ら(2009)は,学校を社会的障害の環境と認識であると考えている。学校が,障害や物 理的なリスクによって特徴づけられるとき,基本的な教育目標と過程が危うくされる。窓ガラ スの破損,貧弱な建物状況のような物理的障害,恐怖,総体的な有効性,社会的障害の間の関 係を調査するために,中部大西洋の大都市の 6~8 年生に該当する 33 校の公立学校からの調査 データを用いている。総体的な有効性の事前のレベルが統制されている時でも,経路分析は物 理的障害と社会的障害の間の直接的な関係を明らかにし,研究結果は,伝統的な割れ窓理論と 一致している。さらに,物理的障害の影響は,恐怖が増加し,総体的な有効性が減少すること を通して,物理的障害の影響が,人々の間で脅威や暴力的関係と感じることに影響を及ぼすこ とになる証拠が存在している。 Logan ら(2009)は,主として白人の青年女性の慢性的な痛みをかかえた患者の,登校状況, 成績,自認できている学力,教師の評価した学校適応を含む,抑うつ兆候と学校機能の関係を 調査研究している。12~17 歳の臨床的に照会された 217 名の青年女性と親について,痛みの特 徴,抑うつ状態,学校機能の調査を行った。更なるデータは,成績の記録と教師の報告から集 められた。抑うつ状態の兆候は,強く学校機能指標との相関が見られた。線形回帰分析におい て,抑うつ状態のより高いレベルが,より多くの学校障害を予測していた。抑うつ状態が,目 下の痛みの強さと学校機能に関する痛みの治療介入への親の認識との間の関係を媒介するかど うかがデータによって支持されていた。抑うつ状態の兆候は,慢性的な痛みのある青年女性で の学校の障害の範囲に影響を与える鍵となる役割を演じている。抑うつ状態を軽減する治療介 入はこれらの人々の学校機能を改善するようにデザインされた治療処置を強化するかも知れな い。 Konantambigi ら(2009)によると,教室で,学習上問題のある生徒を教える際,数学指導への 特別な対応に際し,学習上問題のある子どもを特定する基準に関し,教師が用いる指導戦略を 展開している。この目的のため,ムンバイの 12 校のサンプルが用いられた。グレードⅣの 10 名の子どもが各校で特定され,これらは,教師が特定した 5 名の学習上問題のある子どもと, 学籍から任意に選択された問題のない 5 名の子どもであった。学習上問題があると教師が特定 した子どもと教師の関わりを撮影したビデオの観察を行った。学習上の問題は,学習障害に対 する行動チェックリスト,学習障害診断テスト,教師の面接によってもチェックされた。結果 によれば,教師と同様に両方のテストによっても問題が明らかになった。教室で学習上の問題 を取り扱うことに関する教師の訓練の必要性があるという研究結果が導き出された。 2 school dropouts に関する研究の概観 2009 年の school dropouts をキーワードに持つ文献 230 件のうち,関連の考えられる 15 件に

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ついて概観する。国別では,アメリカ合衆国が 9 件,ベルギーが 1 件,スペインが 1 件,エジ プトが 1 件,カナダが 2 件,英国が 1 件を取り上げることとする。 Scheel ら(2009)によると,中途退学は,個人的かつ社会的に悲惨な結末を伴う問題である。 驚くべきことではなく,中途退学する生徒は一般に学習上の動機づけがなされていない。この 現象学的な研究では,主として,カウンセリングを用いる中途退学防止プログラムに参加して いる間に,生徒が学習上の動機づけを形成する意味を調べている。20 のインタビューがなされ, 筆記された。6 つのテーマが,172 の重要な発言と自己有効性,学校の目的,家族の影響,学校 での関係,カウンセラーの影響,学校の構造と学校での活動という対応する意味単位から現れ た。調査結果は,そのような動機づけを育てることでの関係の重要性という学習上の動機づけ の本質を明らかにした。カウンセリングを用いた中途退学予防プログラムによって育てられる 鍵となる要因として愛情深い関係に焦点を当てている。将来の方針を形成する職業介入の活用, 家族の影響,学習上の自己有効性を得るための援助の必要性が含まれる。 Tyler と Lofstrom(2009)は,生徒が高等学校を修了しない時に起こる問題の詳細な観察を行っ ている。中途退学の問題がどれほど一般的かという進行中の時々白熱する議論を論じることか ら始めている。適切な生徒のデータの有効性を考慮している。Tyler と Lofstrom 自身は,40 年 前に高校を卒業しているが,学校自体は現在とだいたい同様に機能していると結論づけている。 しかし,グローバル経済と関連する競争的圧力は,常に教育を個人的および国家的な幸福を決 定する際に重要となる。 Claes ら(2009)によると,主に無断欠席が危険な行動や犯罪,薬物濫用と関係しているという 議論に基づき,近年,様々な政府と教育機関は無断欠席のレベルを減らす比較的厳しい施策を 作成している。個人,学校,地方レベルの間を識別する多水準分析を用いて,無断欠席の原因 と結果の一般的な形態を見いだすために,14 才での大規模な,28 カ国比較調査を用いている。 分析から,学校が親との関係を促進し,支えとなり信頼できる環境を提供することによって, 無断欠席のレベルに学校が大きな影響を与えるということが示されている。社会経済統制変数 一式を含んだ後の分析でも,学校の高い無断欠席レベルが生徒のテストの点数を減らすことが 証明される。結論として,学校の長期欠席を減らす努力を抑圧的な無断欠席の掃討には限定で きないが,学校の雰囲気と,生徒,親,学校との間の相互作用も考慮しなければならない。特 に比較的低い家族背景の子どもたちの間で,無断欠席以来の法と秩序の問題が教育的な達成に 重要な影響を及ぼすものと,無断欠席を減少させることが見られてはならない。 Gaitens(2009)は,「接続プログラム」と名付けた実地研究をオンライン指示を用いて行い, 18 歳以上の危機的状況にある若い成人の卒業率と中等学校後の機会を増加させるため,高等学 校の中途退学予防についての伝統的な研究に基づいて行った。2005 年後半に,接続プログラム の実施に資金を供給するというアリゾナ州教育省への提案書を提出している。4 ヵ月後に,接 続プログラムの実地研究を実行するために,ほぼ 200,000 ドルの補助金を受けた。 Werblow と Duesbery(2009)は,数学の成績と中途退学率の増加という学校規模が学校効果研

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究で一般的に用いられる二つの重要な生徒の成績に影響をする道筋を調査研究している。過去 の研究によれば,比較的小規模の高等学校が生徒に対して利益が増加できることを示唆してい る。2002 年の教育的縦断研究(ELS)の最初の 2 つの波の多水準分析的モデルが,小規模校の 効果における要因の媒介となることを理解するのに用いられる。結果は,小規模校の利益を支 持しており,小規模校の生徒は,大規模校の生徒と比較して中途退学をしない。高等学校の学 校規模と数学の得点との関係は曲線的であり,小規模校(生徒数が 674 人未満)あるいは大規模 校(生徒数が 2592 人以上)の生徒では最大の数学得点増加となっているが,中規模校の生徒で は比較的小さな数学得点の増加となっている。学校規模の意志決定への意味が,これらの結果 を考慮して論じられる。 Sharaf ら(2009)は,階層的重回帰分析を用いて,849 人の潜在的な高等学校中途退学者の自 尊心と自殺の危機的行動の間の関係に関する家族のサポートによる緩和効果を調査している。 家族のサポートは,自尊心の自殺に対する危機への影響を和らげ,自尊心の改善の効果は,低 い家族のサポートと高い家族のサポートの中で比較的強かった。高い家族のサポートと同様に 低い家族のサポートの若者に対して,自尊心は,青年期の自殺の危機的行動に影響を与えてい る。自尊心とサポート資源の双方を強化するようにデザインされた治療介入が適切である。 Renk ら(2009)によると行為障害はかなりの数の子どもに影響を与え,これらの子どもの情緒 的,行動的機能と同様に,社会関係に対する重篤な結果に終わる。関連する問題行動の予測さ れる長期の軌跡と同様に行為障害の広がりが示されれば,この障害を理解し,これらの障害を 特定する最も有効な手段を特定し,最も強力な証拠による治療処置を実行することが,行為障 害の子どもを持つ家族とともにある精神健康の専門家にとってきわめて重要である。結果とし て,精神疾患診断統計マニュアル第 4 版(APA,2000)から行為障害を診断するのに用いられる診 断基準を調査研究し,行為上の問題と関連する病因の要因を概説し,行為障害の診断を行う上 で関連する評価手段を焦点化し,行為障害と診断された子どもの最良の社会心理学的行動的結 果を促進するのに用いられる治療処置を特定しようとするものである。 Langenkamp(2009)は,学校での社会的統合の生徒のレベルがどのように高等学校での成績に 影響を及ぼすことができるかを分析することによって,高等学校へ移行する青年男女の学業上 及び社会上の分岐点の研究を展開している。全国的に代表的なデータを用いて,3 本の異なる 経路が,高等学校への生徒移行として現れ,高等学校入学に関する新しい社会的関係に対する 混乱と機会の量を変えることによって特徴づけられた。調査結果から,生徒が高等学校に入学 するとき,中学校の社会的な統合の要素が,教師の結びつき,人気,課外活動への参加を含み, 学業成績に影響を及ぼすことが示唆される。しかし,学校への統合と学業成績の間の関係は, 生徒がたどる経路に左右されるように考えられる。 Moreno-Ger ら(2009)によると,教育でゲームを使うという考え方は,ゲーム自体と同じくら い古い。デジタル・ゲーム産業によって開かれる大きい市場は,教育において特定の可能性に 関して大きな関心を引き起こした。この関心は,時々テクノロジーの強化された学習とデジタ

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ル・ゲームに対して,伝統的な教育環境の抵抗により妨害されている。将来的には,それどこ ろか,e ラーニング領域はますます有望である。この領域は進化と再発明の過程にあり,学習 経験を改善するための新機能とアイデアを求めている。教育的なゲームが e ラーニングでのこ れらの新しい方向性の完璧な媒体であると考えられる。 Dupere ら(2009)によると,自殺は不利な条件に置かれた地域に集中する傾向があり,地域的 な不利益は若者の自殺の多くの重要なリスク要因と関係している。先に存在している脆弱さを 統制して,地域的な貧困と若者の自殺行動の間の関係を直接研究しているものはない。貧しい 地域に住んでいることが背景となる脆弱さに加えて,後期青年期に自殺企図と自殺の試みとに 関係しているかどうか,この関係が後期青年期の心理社会的リスク,すなわち抑うつ状態,社 会的支援,否定的な人生の出来事,非行行動,薬物乱用,自殺へのエクスポージャーによって 説明されるかどうかを決定することを目的に研究を行っている。地域的な貧困の潜在的な緩和 の役割についても調査されている。2,776 人の参加者の下位群が,児童と若者についてのカナ ダの国家的縦断調査から選択された。後期青年期の自殺行動とリスク要因は,自己申告であっ た。2001 年の国勢調査が初期中期青年期の間の地域を特徴づけるのに用いられた。後期児童期 の家族と個人の統制が,親の報告を通して評価された。結果として,二変量のレベルでは,報 告される自殺企図の確率は,貧困ではない地域よりも,貧困の地域で,2 倍の高さであり,自 殺を試みる確率は約 4 倍高かった。背景の脆弱さを統制後に,地域の貧困は,自殺企図と自殺 の試みとにかなり関係したままであった。これらの関係は,後期青年期の心理社会的リスクに よっては説明されなかった。むしろ,貧しい地域に住んでいる若者は,不利な条件に置かれた 地域でのその他のリスク要因の拡大を通して,より大きな危機になるかも知れない。 Mistry ら(2009)によれば,短期縦断研究によって,3 年の間隔をおいて,若者の学校での達 成(GPA)に関して,標準的なテストの点数と教師の成績評価の若者の成績と,同時の母親と教 師の教育的期待の影響を調査研究している。参加者は,T1 で 6 歳から 16 歳の 426 人の低収入 の都会に住む民族的に多様な若者であった。交差遅れ自己回帰パス分析から,大人の期待,若 者の標準テスト得点,母親ではなく教師の交差遅れの影響,時間にわたっての期待,T2 での大 人の期待に関する若者の成績の結果での安定性が示された。全体的に調査結果のパターンから, 大人の教育的期待はダイナミックであり,若者が学校でどのようにやっていき,時間にわたっ て成績での変化に敏感であることが分かった。 Trampush ら(2009)は,児童期 ADHD の有無で,都会の青年男女での高等学校中途退学と関 連する認知的,心理社会的要因を調査することを目的に研究を行っている。縦断研究には,中 途退学あるいは卒業した 49 人の児童期 ADHD の青年男女か若い成人と,44 人の統制群の者が 含まれていた。中途退学の潜在的関連として調査されたリスク要因は,知性,読む技術,社会 経済的状況,マリファナ使用,父親との接触であった。低い IQ,読む能力,社会経済的状況, 頻繁なマリファナ使用,限られた父親との接触が,児童期 ADHD と関わりなく,かなり卒業と 中途退学を識別していた。追跡調査の分析から,IQ,マリファナ使用,父親の接触は,独立し

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て,中途退学の可能性に関与することを確定した。選択された認知的心理社会的要因は,ADHD に関わりなく,高等学校中途退学の可能性と独立に関連していると考えられる。特に児童期 ADHD は,このリスクを増加させず,ADHD のために中途退学が増加したという先行研究は類 似した地域社会の統制と一致させたとき,都会の地域では否定されるかも知れないことを示唆 している。 Mallinson(2009)は,移行,サポート,中途退学に関して,脆弱な生徒と教師のサンプルの考 え方を継続教育から展開している。教育,雇用,訓練には置かれていない(NEET)若者につい ての最近のスコットランドの法律に関心があった。質問は焦点化された集団で行われ,記録さ れ筆記された。データは,良い情報,積極的な態度,学習と教育,機会というテーマに導かれ る基本理論を用いてコード化された。イントロダクション,コースとの一致,社会的,財政的, 未熟さ,学習上の問題に関連する中途退学の理由を生徒は示唆していた。中途退学を減少させ, 効果的な学習を促進する目的で,生徒の反発力を高める移行とサポート過程を改善する方法に 関して提案がなされた。訓練を提供し,行動研究を進める際に,学校,継続教育大学,その他 の機関と協働する際に,教育心理学者が戦略的に関与する領域にこれらは存在する。 Pagani(2009)によれば,学校契約の概念は大部分の中途退学理論で顕著に表れるが,その性 質,コース,更に重要なことに,中途退学との関連でなされる経験的な研究はほとんどなされ ていない。学校契約の本来の発達に関する情報は,青年期の間に生徒の疎外を防ぐことに興味 がある人々に大いにためになるものである。11,827 人のフランス系カナダ人の高校生の縦断的 研究のサンプルを用いて,別々に,そして,全体的な構成概念として,契約についての行動的, 感情的,認知的指標をテストした。因子分析と構造式モデルを用いて,中途退学を将来を占う ものとして,その貢献を評価した。全体的な契約は,確実に中途退学を予測していた。3 つの 特定の次元の中で,行動上の契約のみが予測方程式での重要な貢献をしていた。研究結果から, 認知的心理社会的特徴を反映する学校契約の全体的多次元構成概念の堅固さが確認され,青年 期の間に基本的な学校教育を完了しないリスクを確実に評価する際に,基本的な参加と応諾に 起因する重要性を強調している。 3 school phobia に関する研究の概観 2009 年の school phobia をキーワードに持つ文献 342 件のうち,関連の考えられる 21 件を取 り上げる。国別では,アメリカ合衆国が 16 件,カナダが 1 件,オランダが 2 件,スイスが 1 件,アラブ首長国連邦が 1 件をここでは取り上げることとする。 Leigh(2009)は,現在の診断基準に基づく精神医学的症候群の最近の遺伝神経科学的研究を概 観し,より適合する多軸的な患者指向の診断モデルを展開している。DSM-I は,1952 年に刊行 されているが,精神医学的疾患をストレスの多い環境的要求に対する患者のパーソナリティの 適応反応あるいは両極端と考えている。パーソナリティそのものは,体質と精神力学的展開に より測定された。生物学的研究に対する患者の『純粋培養』を得るための研究診断基準に基づ

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き,1980 年には,この連続体モデルは理論的に明確な診断基準(DSM-III)に変わった『純粋 培養』を用いた引き続く研究は,精神医学的症候群が児童期の養育,教育,目下の社会的サポ ートによって軽減される遺伝,児童期の心的外傷,最近のストレスにより決定される表現型連 続体を表すということを示唆している。特定遺伝子xと児童期虐待xの最近のストレス相互作 用が見いだされてきており,個々人の発達史と目下のストレスにより,相互作用をする脆弱遺 伝子がどのように結果として精神医学的症候群になる,あるいはならないかのモデルとして提 示される。マイナーではあるが持続的症状(神経症)あるいは行動の不適応形態(人格障害) を表すかも知れない脳状態に結果としてなるストレスや養育の早期の体験と相互作用している 遺伝子によって連続体モデルが提案される。最近あるいは現在のストレスの付加は,大きな精 神医学的症候群を促進するかもしれない。突然変異のような重篤な遺伝子の素因が大きな症候 群を引き起こすのに十分かもしれない一方で,大きな精神医学的症候群は不安や警戒のような 進化上適応可能な脳機能の調節不全として最も概念化されている。精神医学的診断の新しい多 軸モデルが,このモデルに基づいて,次のように提案されている。例えば抑うつ症候群,精神 病のような大きな精神医学的症候群,神経症,人格障害と孤立の徴候を含む現象学的な診断に 対する第 I 軸,例えば,遺伝,特定の脳形態学,研究所とイメージング研究に基づく特定の脳 領域の機能的状態を幾つかが表す遺伝神経科学的診断に対する第Ⅱ軸,医学的疾患と条件に対 する第Ⅲ軸,児童期,最近,目下のストレスに対する第Ⅳ軸,過去 5 年間及び現在にわたる知 性,教育,学校と仕事,社会的サポート,機能の総合評価のような心理社会的資産に対する第 Ⅴ軸である。 Nandi ら(2009)によると,臨床上のエビデンスから,形態の異質性が,気分障害と不安障害 の共通の予測因子であるかもしれないことを長い間,示唆してきているが,疫学研究からは通 常,これらの結果を同種の実体とみなしてきている。一般的な人々の人生では,気分障害と不 安障害の共通の異質性の潜在的パターンについて,疫学的なエビデンスを組織的に概観するこ とを目的として研究を行っている。時間とともに(「徴候軌道」),体験される(「徴候症候 群」)徴候の性質あるいは徴候の広がりの形態により異質性を調査している疫学研究を概観し ている。含まれるべき症候群の研究では異なった徴候のサブタイプを確認することが求められ, 軌道の研究では追跡調査の少なくとも 3 つの流れの中で徴候の異なった縦断的形態を確認する ことが求められた。臨床に基づく研究や患者に基づく研究は,除外された。この分野の研究は, 幼児期にある間は,気分障害と不安障害が徴候症候群と軌道とによって区別されるばかりでな く,これらの障害に伴う要因がこれらのサブタイプ間で変化するかもしれないという発達上の エビデンスが見いだされた。個人によって体験される徴候あるいは軌道のサブタイプの特性に 遺伝的,環境的要因が影響を与える原因となる経路にこのことが反映するか,あるいは異なる サブタイプの個人が様々な環境要因に対する感染性において異なるかは,決定できなかった。 一般的疾患の間での徴候において,併発疾患あるいは移行の問題には,ほとんどの研究は対処 していなかった。これらの状況の多様性を理解することは,これらの一般的疾患のいくつかの

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サブタイプと関係しているだけである予防可能な要因を特定することになるかも知れない。 Nakamura ら(2009)によると,治療処置結果の研究は,治療技術がいかに,なぜ機能するかを 調査者にはほとんど断言させてきてはいない。そのような変化過程を理解する最初の段階とし て,不安縮小に対する認知行動療法のコースの間に典型的に達成される肯定的な変化のタイミ ングを調査している。選択的不安障害と診断された 4 人の児童の相互多面基準デザインを用い て,子どもたちが 4 つの演繹的な断固とした治療処置シーケンスを進むにつれ,不安レベル, 認知の誤り,治療結果が,繰り返し評価された。結果は,報告者,従属変数,各々の治療処置 技術が達成された命令全体にわたって変化していた。児童の報告傾向は,親によって報告され た傾向よりわずかに明らかであり,エクスポージャーが自己モニタリングと心理教育技術を完 了した後に若干の,しかし,すべてではない肯定的な変化を誘発するための鍵となる要素であ ったことを示唆されるよりわずかに明白であった。 Dozois ら(2009)は,うつ病と不安の予防に対する診断横断的なアプローチの妥当性を述べて いる。予防的介入は一般的に個別に展開され,独立した構成概念としてうつ病または不安にし ばしば焦点を当てている。それでも,これらの障害は,しばしば同時に起こり,いくつかの危 険と脆弱さの要因を共有している。(1)否定的な認知内容と認知過程,(2)親の精神病理学と 育児,(3)ストレスと対処,(4)行動禁止と回避の 4 つの修正可能な危険因子を概説し,予防的 戦略を提案している。これらの戦略の多くが既存の予防プログラムで適用されたが,予防的介 入で強調することで重要かもしれないいくつかの危険因子は通常は目標とされていない。さら に,これらの障害を横断する修正可能な脆弱さの要因を理解し,目標とする予防に対する診断 横断的なアプローチを採用することによって,予防的介入の有効性,概括と費用効果が,強化 されるかもしれない。 In-Albon ら(2009)によると,認知のゆがみは,認知の偏り,機能不全であり不適応な生成物 を生じる認知過程に関連するものである。情報処理の自動的側面は考慮される必要があり,こ れらの側面を調査することは自己報告以外の評価の形態が必要である。児童期の不安障害の異 なるタイプにわたる認知の偏りの特性に焦点を当てる研究はほとんどない。画像刺激による強 制された選択的反応時間の枠組みは,不安な状態にある子どもにおけるオンラインの解釈の偏 りを評価するのに用いられた。分離不安障害(SAD)の 71 人の,社会恐怖の 31 人の,精神障害 のない 42 人の,5~13 歳の子どもの障害に特有の解釈の偏りを調査研究している。結果による と,不安のない子どもよりも SAD の子どもは,かなり不快で刺激的なものとして,曖昧な分離 画像を評価していた。SAD で社会恐怖の子どもが不安のない子どもよりも更に否定的な仕方で 曖昧な分離あるいは社会的画像を解釈しているということは支持されていない。あらゆる画像 のカテゴリーに対しての反応時間での集団間の差異は見られなかった。 Bubier ら(2009)は,児童青年の不安障害と破壊的行動障害の間の関係の基礎となり,部分的 に評価する過程を調べる発達上の展望を用いている。併発する不安障害と破壊的行動障害の進 行を理解する一つの方法は,不安兆候と反応攻撃性のようなこれらの症候群に対する前駆ある

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いは一部である兆候を調べることであると提案している。これらの問題を最初は例えば不安障 害や破壊的行動障害の症候群や障害レベル,次には例えば不安兆候や反応攻撃性のような兆候 レベル,最後には不安兆候や反応攻撃性と関連する要因のような危険因子レベルで考える枠組 みを用いている。不安障害と破壊的行動障害が共に起こる,反応攻撃性と不安兆候が共に起こ る心理学的症候群の併発疾患を理解するために提案された様々な枠組みを適応している。より 一般的な不安障害と破壊的行動障害と同様に不安と反応攻撃性に関する文献での相違を特定し ている。不安と反応攻撃性の関係がどのように臨床的に特定できる併発する不安障害と破壊的 行動障害に進行するかを記述する概念的モデルを最後に提供している。 Nelson ら(2009)は,典型的に肯定的で過大でさえある自己認知を持つことは,4,5 歳の就学 前の児童にとっては,発達上は普通であるとしている。しかし,すべての子どもたちが早期児 童期に肯定的な自己認知であるというわけではないので,早期児童期に自己認知,特に低い自 己認知の発達に影響を与える要因を理解することは重要である。したがって,ここでは,社会 的行動,引きこもりの下位群の自己認知と教師の評価との関係,就学前の児童での受容と拒否 について,仲間の評価を調査研究している。参加者は,アメリカ合衆国西部の中規模の地域社 会の二つの早期児童期のプログラムに参加した 107 人の男子,92 人の女子,計 199 人であった。 主な研究結果は,仲間よりも低い能力についての自己認知である早期児童期の児童が,より多 くの寡黙,孤独な受動的引きこもり,孤独の活動的な行動に関わりがちであるということであ った。 Simon ら(2009)によれば,不安障害は非常に一般的であり,個々のレベルと社会のレベルで, 否定的な結果が起こる。ここでは,小学生の不安障害に対するスクリーニングの有効性を調査 研究している。より詳しくいえば,不安障害を識別し予測するスクリーニング法の価値を研究 している。子どもの情緒障害に関する児童不安スクリーニング(SCARED-71)のスクリーニン グ質問紙での自己報告が上位 15%以内か次の 2 つのポイントから(中間不安の)中央値以上の 2 ポイントまでの得点であれば子どもとその親を選択した。183 人の高い不安の子どもと親,80 人の中間不安の選択された子どもと親が,不安障害面接尺度(ADIS)の診断面接に参加した。 高い不安の子どものうち,60%は不安障害であるのに対し,中間不安の子どもでは 23%であっ たが,集団としては気分変調症や抑うつ状態,注意欠陥多動性障害の割合には差はなかった。 不安障害を一般化した診断がどのような下位尺度でも予測されない一方で,対応するスクリー ニング質問紙の下位尺度によって分離不安障害,社会恐怖,特定の恐怖症の診断が特に予測さ れた。上位 15%の分離を適用すると,不安障害の有無により子どもを識別する有用性をスクリ ーニング法が証明している。さらに,分離不安障害,社会恐怖,特定の恐怖症は,一般的で, 児童不安障害を衰弱させるものと知られているが,スクリーニングの手段の対応する下位尺度 によって予測することができる。 Dubi と Schneider(2009)は,児童のために立案され,新しく開発された絵画不安評価,絵画 不安テスト(PAT)の心理測定特性を調査研究している。臨床的には不安状態で健康面では統制

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された 71 人の 5~7 歳の児童が,他の刊行されている不安尺度と PAT を比較する評価に参加し た。子どもたちの評価は,親の内在化された,また外在化された問題の評価とも比較された。 PAT は高い内的一貫性,関連する構成概念を伴う高い収束有効性,診断群と事前事後の治療処 置の間の高い判別妥当性に対する節度を含むこれらの対象者での好ましい心理測定特性を示し ていた。最初の研究結果によれば,幼い児童での児童不安と回避を評価する心理測定的にしっ かりとした手段であり,不安を抱えた児童と共にいる臨床医に対する既存の診断手段に対する 価値ある付加手段である。 Micco ら(2009)は,不安障害とうつ病性障害を現す子どもたちの間で全体的なリスクを決定 することを目的として,不安障害の親を持つ子の間での精神病理学の広がりを調査研究するメ タ分析を行っている。危機的状態にある子どもの間でのこれらの障害に対する蓄えられた確率 比率が,精神医学的,非精神医学的に統制された子どもと比較され計算された。3 件の追跡調 査を含む 16 件の文献が特定され,4~25 歳の 1,892 人の子どもが含まれていた。結果から,(1) 不安障害の親の子どもは,非精神医学的統制群の子どもよりも不安障害とうつ病性障害につい てより多くのリスクがあり(それぞれ OR=3.91,2.67),精神医学的統制群よりも不安障害に対 してより多くのリスクが存在する(OR=1.84)。(2)不安障害の親の子どもは,非精神医学 的統制群の子どもと比較して不安障害の各タイプと MDD であるかなり高い確率がある(OR が 1.96~8.69 の範囲)。(3)不安障害のみ,不安障害と MDD,MDD のみの親の子どもは,障 害のない親の子どもよりも不安障害とうつ病性障害である同程度の確率であるがかなり高い確 率であった。結果から親の不安障害は子どもの不安障害とうつ病性障害にかなり高いリスクを 与えていることを示唆している。特定の親の不安障害の間に差異があるかどうかを調査するに はさらなる研究が必要である。 Knell(2009)によると,認知行動遊戯療法(CBPT)は特に幼児のために立案された発達上の適 切な治療処置である。CBPT は,認知療法(CT)の申し子である。CT は行動の基礎となる思考 や認識を変えることによって個々人が行動を変えるのに役立つ構造化され焦点化されたアプロ ーチとして,発達したものである。CT はことばの介入を強調し,遊戯療法は遊びに焦点を当 てており,多くのものには相容れないように思われていた。CBPT は,場面緘黙,不安や恐怖 症,失禁のような広範囲の診断のある子ども,性的虐待のような外傷的な人生の出来事を体験 したような子どもに用いられる。CBPT では,セラピストが子どもに学ぶことを望んでいる行 動を示しているおもちゃによって,子どもに適応可能な対処技術をモデリングが示すのに用い られる。CBPT 治療介入は,行動か認知のいずれかとして分類される。行動の方法は通常,活 動での変更と関係し,認知の方法は思考での変化に関係する。CBPT もモデリングのように経 験的にサポートされた技術を取り入れている。治療での子どもの関係を強調し,統制,支配, 自分自身の行動の変化に対する責任の問題に対処する。CBPT は構造化され目的指向のある活 動を提供し,子どもがセッションに自然発生的な材料を持ち込むことをさせるものである。 Drewes 編(2009)によると,遊戯療法と認識行動療法を合わせ,遊戯療法と認知行動療法の統

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合に焦点化させ,証拠に基づきその他の効果的治療処置と技術を論じている。児童青年の治療 処置における多くの必要性について述べ,個人の知識と技術開発を増し,遊戯療法と認知行動 療法を効果的に合わせられる遊び,遊戯療法,ベースとなる戦略の利点のより大きな認識を示 している。 Cohen と Mendez(2009)は,年度をまたがっての未就学児の仲間との遊びの行動の安定性と 感情規制,受容的語彙,社会的能力欠損の軌跡との関係を調査研究している。参加者は,Head Start に参加している 331 人の未就学児で,主としてアフリカ系アメリカ人であり,低い社会経 済的背景の出身であった。仲間との遊びの行動は,秋から春まで適度に安定していた。分析か ら,秋の感情的な不安定さは一貫した不適応と減少している社会的能力に関連していた。更に, 安定した不適応行動を示した子どもは,一貫した適応行動を示した子どもより,秋において比 較的低い受容的言語技能と感情規制であった。仲間との遊びの間,外在化された行動と内在化 された行動を併存する未就学児は,仲間と比較して,その年度のコースにわたって,一貫した 仲間との遊びの困難さと減少する社会的能力に対する最も大きな危機を抱えていた。ここでは, 幼児教育体験登録の直後に危機的状態にある未就学児を特定する実践を示すものである。更に, 研究結果によれば,効果的な治療介入がなければ,危機的状態にある子どもは,時間と共に, 一貫した貧弱な社会的能力を示すことになる。 Feifer(2009)によると,子どもを悩まし,学校や社会でのスキルの困難さにつながる無数の不 安のもととなる状況がある。子どもの双極性障害,双極性障害の神経的基礎,反応攻撃性と双 極性障害,双極性障害に対する治療処置の不随事故,小児不安障害,社会不安障害,強迫性障 害,心的外傷後ストレス障害,ボトムアップとトップダウンの不安障害を調査研究している。 McCloskey ら(2009)は,認識,感情,認知,行動,情緒障害にどのように実行機能が関係す るかにきっかけを与え方向づけをする際の実行機能の役割を論じるための枠組みを提供する実 行機能のすべてに関わるモデルを表そうとしている。情緒障害を呈している子どもの実行機能 欠損を表す治療介入戦略と,情緒障害を体験している子どもの実行機能欠損の評価に対する実 行機能関係と方法の見通しから情緒障害の診断を論じている。子どもの情緒の様々な表現と情 緒障害に関すると考えられる感情と情緒障害を構成し,その実行機能を表す特定の前頭葉神経 回路についての議論を取り上げている。 Leyfer ら(2009)は,ウィリアムズ症候群(WS)の子どもの不安障害の広がり,年齢の最も近 い兄弟と母親について,これらの集団の不安の予測因子と同様に調査研究している。不安障害 の広がりが評価され,一般的な人々と比較された。WS の子どもは,一般的な人々の子どもよ りも,特定の恐怖症,全般性不安障害(GAD),分離不安障害の広がりがとりわけ高い。母親は 統制群よりも高い全般性不安障害の広がりがあるが,WS の子どもの誕生後の発症があった母 親により,過剰が説明された。兄弟は一般的な人々と同様の割合であった。調査結果のこの形 態は,欠損が不安障害の素因となる WS 領域の遺伝子の存在を示唆している。WS で欠損とな る遺伝子と不安障害にそれ以前に関係する遺伝子の関係を調査することも価値がある。

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Davis ら(2009)によると,精神疾患の分類と診断の手引き第 4 版(DSM-Ⅳ-TR,アメリカ精神 医学会(2000))には,子どもにおいて診断される 1 ダース以上の不安障害と恐怖症が存在する。 大部分のこれらの障害には,当惑や仲間の必要性からの広場恐怖,治療介入の場合のように(参 照 DSM-IV-TR),社会的状況や学校での状況での治療介入を必要とする基準を含んでいる。診 断群として,これらの障害は,社会的引きこもり,内気,問題のある仲間関係,親子関係の困 難 さ , ス キ ル の 欠 損 , 認 知 の ゆ が み を 含 む 様 々 な 社 会 的 困 難 と 関 係 し て い る (Elizabeth ら ,2006;Ollendick と Hirshfeld-Becker,2002;Rapee と Spence, 2004;Spence, Donovan, と Brechman-Toussaint, 1999)。不安障害は,これらの障害の子どもに否定的な汚名も投げつけてい る(Jorm と Wright,2008)。さらに,不安障害の子どもは,差別と犠牲にも苦しめられている(例 えば,Storch ら,2006)。結果として,不安障害の子どもの社会的スキルと社会的行動での困難 さの評価と治療処置は,社会恐怖以外では,相対的に小さな注目を受けたことは驚くべきこと である。例えば,子どもの不安に対する証拠に基づく治療処置の最近の概観では,ソーシャル スキルトレーニングには,概観に対して選択された 18 の治療処置選択の最小に含まれた成分, 治療処置プロトコールの 10%未満しか含まれていなかった(Chorpita と Southam-Gerow,2006)。 ここでは,不安障害の相互作用と社会恐怖に特定の関心を伴うソーシャルスキルの困難さを調 査している。概観された話題には,不安障害の子どもでのソーシャルスキルの欠損の評価と治 療処置と同様に不安障害の子どものソーシャルスキルの問題の独特の影響が含まれている。 Jewell ら(2009)は,子どもが体験する様々な発達障害や心理学的障害を概観している。初め にこれらの障害の関連する兆候を,次にソーシャルスキルがどのようにその障害に関連するか を理解しようとしている。ソーシャルスキルの欠損が病因学的に理解されるかどうか,あるい はこれらの欠損がむしろ障害の行動的結果であるかどうかを問題としている。特に,ソーシャ ルスキルの欠損はしばしば特定の障害の診断基準か障害自体の直接的な結果のいずれかあるい は双方である。ソーシャルスキルの欠損は,障害とともに起こる。しかし,場合によっては, 先のソーシャルスキルの欠損が障害の兆候に先行し,障害の病因の一部であることを示唆する 証拠がある。これは鶏が先か卵が先かと同様に,障害が先かソーシャルスキルの欠損が先かと いうことである。第 2 のテーマは相互関係である。ソーシャルスキルの欠損と障害の間の指向 性の関係にもかかわらず,これらの欠損は障害の維持を通常支えることになる。したがって, 多くの障害で,社会的領域での能力の欠如は,障害の重篤さ,併発する障害のより大きな危険 性,より劣った予測に関連する。たとえば,抑うつ性のエピソードに先行するより大きな社会 的ネットワーク,行動への頻繁な関与,社会的能力のより多くのレパートリーのある抑うつ性 のエピソードに入る青年男女は,長さとしては比較的短く,慢性的にはならなそうな比較的穏 やかな抑うつ性のエピソードを体験する。この場合,抑鬱性のエピソードの始まりより前の個 人のソーシャルスキルは,障害に対する保護的要因として用いられる。特定の障害に関連する ソーシャルスキルの欠損を理解することは,同様に防止と治療介入プログラムを計画する際に 重要である(Spence, 2003).。ソーシャルスキルトレーニングが,様々な障害を治療するのには

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単独では十分ではないと結論づけられる一方で,ソーシャルスキルはしばしば様々な多面的な 方法の予防的治療介入プログラムの要素である。どの特定のソーシャルスキルが指定される必 要があるかどうかを理解することは,治療処置あるいは予防しようとしている特定の障害によ るものである。いくつかの積極的ソーシャルスキルが実際にいくつかの障害を同様に維持させ る一方で,障害に関連があると仮定されたいくつかのソーシャルスキルが相対的に関連がない と示唆されるいくつかの驚くべき直観に反した結果を記述する調査研究も概観している。 Jaju ら(2009)によると,アラブ世界の青年男女と若者の間では精神障害の程度を調査してい る調査研究が不足している。オマーンでの第 2 段階の調査研究は,生涯にわたってと生後 12 ヵ月以上での DSM-IV の精神障害の広がり,発症の年齢分布を決定し,世界保健機構の統合国 際診断面接(WMH-CIDI)を用いて過去 12 ヵ月間の重篤さを決定する最初の国家を代表する学 校ベースの研究である。多段階で,多層化された任意にサンプリングされたデザイン(第 1 段階) による第 2 段階の任意の下位サンプルを形成する 1,836 人の生徒から合計 1,682 人(91.61%)の 生徒が WMH-CIDI3.0 のアラブ版を用いた面と向かっての構造化された面接に参加した。一般 健康検査(GHQ-12)と児童抑うつ尺度(CDI)を用いた第 1 段階の結果から,5,409 人の青年男女 と若者の比較的大きなサンプルで,抑うつの兆候が 17%の広がりが示された。このサンプルか らの第 2 段階の回答者の 13.9%には,少なくとも一つの DSM-Ⅳ診断表記が見られた。大うつ 病性障害(MDD)の生涯にわたる広がりは,3.0%であった。すなわち,双極性気分障害(BMD) は 1%,特定の恐怖症は 5.8%,社会恐怖は 1.6%であった。女性では,MDD(OR3.3,95%CI 1.7-6.3,p = 0.000)の生涯にわたる危険性の強い予測因子であった。すなわち,任意の気分障 害(OR2.5,95%の CI 1.4-4.3,p = 0.002)であり,特定の恐怖症(OR1.5,95%の CI 1.0-2.4,p = 0.047)であった。12 ヵ月の DSM- IV 障害で診断されるケースに対する疾患の重篤さは,女 性では 80%以下であることが分かった(OR0.2,95%CI 0.0-0.8)。生涯にわたる広がりと比較 すると,以前の 12 ヵ月の期間にわたる評価は,MDD,特定の恐怖症,任意の不安障害(ADD), 任意の気分障害(AMD)に対して,25%から 40%以下を示し,その割合は,分離不安障害と成 人の分離不安(SAD/ASA)に対して 80%以下であった。気分障害は,比較的年齢の高い集団と 比較して,14 歳から 16 歳の集団ではかなり低く(70%以下),AMD は年齢が増加している集団 にわたって,1 次関数的な増加を示していた(p=0.035)。この調査研究の結果の意味は明確では ないが,精神障害が人生の早い時期に開始するという成人の CIDI の研究結果を支持するもの である。DSM-Ⅳのうつ病性障害の比較的低い発症率は,同じ期間での同一サンプルの中で,抑 うつ症状だけの排他的な研究に基づく誇張された結果についてのどのような断定的解釈に対し ても警告を発することになる。女性では,MDD,任意の気分障害,特定の恐怖症の生涯にわた る危険性の強い予測因子であることが分かった。男性やその他の性別による特定要因による過 小報告が,そのような矛盾に貢献したかも知れない。12 ヵ月の DSM-IV 障害によるケースに対 する疾患の重篤さの確率は,女性ではかなり低いものであった。

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般的な不安障害のうちの 1 つである。文献の現在の状態は,SAD に対する個別の,また集団の 認知行動療法(CBT)の効果を裏付けるものである。更に,投薬試験では,一般の児童不安障害 の治療処置において,特定の薬理学的エージェント,特に SSRI の有効性の証拠が得られた。 これらの最近の臨床上の進歩にもかかわらず,若者の集団は,依然としてその兆候によって苦 しめられたままであり,相前後して CBT と薬物治療の療法を取り入れる併用療法アプローチの 考察を正当化している。いくつかの親子の要因が,手に負えない病気のコースと,伝統的な CBT による治療処置に対する貧弱な反応となると経験的に特定されてきた。これらの研究結果から, 特に手に負えないケースを伴う継続的な研究と臨床試験の必要性が見いだされた。クライエン トにより特有の治療処置計画を手直しし,これらの若者に対する最終的には治療処置の結果を 改善する際に用いられる新しい治療処置技術を明らかにするものである。 Schoenfield と Morris(2009)によれば,近年,児童青年での不安障害を治療する認知行動の方 法の有効性を調査している研究の急速な増加が見られた。調査研究によれば,不安障害がさま ざまな仕方で,子どもの日常的な機能に影響を及ぼし,成人期に否定的な結果に潜在的につな がることになることを示唆している。児童期不安障害に対する治療処置の方法の有効性を評価 した多数の調査研究が発表されている。かなりの共通部分が不安の多くの条件の病因学と徴候 学に存在するが,治療処置に対する意味のある重要な識別もある。たとえば,CBT の方法が社 会不安障害,分離不安,全般性不安の兆候を扱う際に,おそらく有効であるとわかっているけ れども,特定恐怖に対する効果的な CBT 治療介入では,限られた経験的なサポートとなってい る。CBT 治療介入の主な目的は,子どもが自分の不安のサインと兆候を認識することを学ばせ, 兆候を減らすか,排除する対処戦略を用いることである。文献で論じられるすべての CBT 治療 介入の徹底的な概観を提供することは,この範囲を超すものであるが,学校,臨床,地域社会 環境で実行する見込みを示す 4 つの特定の治療介入の徹底的な概観を提供している。 4 school refusal に関する文献 2009 年の school refusal をキーワードに持つ文献 208 件のうち,関連の考えられる 18 件を取 り上げる。国別では,アメリカ合衆国が 11 件,カナダが 1 件,オランダが 2 件,日本が 2 件, アイルランドが 1 件,英国が 1 件,ここでは取り上げることとする。 Weeks ら(2009)によると,社会不安は社会的状況で他人によって否定的に評価されることへ の恐怖である。児童期の社会不安の大部分の先行研究は,10 才以上の子どもたちの臨床サンプ ルを用いてきている。ここでは,児童の任意抽出サンプルにおける社会不安の相関物を探査し ている。関係者は,7~8 歳の 2 年生 178 人の小学生たちであった。子どもたちは,社会不安尺 度改訂児童版(SASC-R)を,社会適応尺度と同様に個別に行った。教師は,児童の社会的感情 的問題と学校適応の尺度を行った。結果によると,社会不安が自己申告の孤独,学校回避と内 在化している対処とに明らかに関係し,否定的に学校嗜好に関連することが示された。しかし, 社会的不安は,大部分は先生に評価される結果とは無関係であった。調査結果は,この種の人

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