Title
ヒト子宮内膜および骨盤内子宮内膜症における細胞内
SHBG mRNA,CBG mRNA, の発現レベルからの細胞増殖に
関する研究( 内容の要旨(Summary) )
Author(s)
操, 良
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(医学)甲 第283号
Issue Date
1994-03-16
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/14843
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氏名(本籍) 学位の種類 学位授与番号 学位授与日付 学位授与の要件 学位論文題目 審 査 委 員 操 長(岐阜県) 博 士(医学) 甲第 283 号 平成 6
年
3 月16 日 学位規則第4条第1項該当ヒト子宮内膜および骨盤内子宮内膜症における細胞内SHBG
mRNA, CBG mRNALの発現レベルからの細胞増殖に関する研究 (主査)教授 玉舎
輝 彦 (副査)教授 鶴 見介
登 教授 安 田 圭 吾 論 文内 容
の 要旨
性ステロイドホルモンの結合蛋白として知られているsex hormone binding globulin(SHBG)および corticosteroid bindingglobulin(CBG)は,従来,肝で合成され,血清中にのみ存在すると考えられてきたが, 近年の免疫組織学的検討により性ステロイドホルモンの標的組織においてSHBGやCBGが局在することが明ら かになり,また,標的組織の細胞膜にSHBGおよびCBGの膜受容体の存在も報告されてきている。これらの事 実は性ステロイド結合蛋白が標的細胞の性ステロイド効果発現に直接関わりをもつ可能性が考えられる。 そこでヒト子宮内膜および骨盤内子宮内膜症組織を用いて,SHBG mRNAおよびCBG mRNAの検出とその 発現レベルの解析,さらに遺伝子発現と内分泌環境との関連について検討した。 研究方法
(1)正常ヒト子宮内膜よりpolyadenylated RNAを抽出し,Northern blot analysisを用いてSHBGmRNA
およびCBG mRNAの検出を試みた。
(2)正常ヒト子宮内膜および骨盤内子宮内膜症組織よりpolyadenylatedRNAを抽出し,reVerSetraLnSCriptiQn-polymerasechain reaction(RT-PCR)法を用いて,SHBG mRNAおよびCBG mRNAの検出を試みた。 (3)増幅DNAを同定するために,PCR産物をTベクターにクローニングし,シークエンス解析を行い,そ
の塩基配列を決定した。
(4)各月経周期における正常子宮内膜のSHBG mRNA,CBG mRNAの発現レベルを検討した。つまりcDNA の倍数希釈系列でSHBG,CBGおよびhouse-keeping geneとしてglyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase
(G3PDH)のPCRを施行し,デンシトメトリー解析を行うことによって,増幅効率の1inealityを確認し,G3P DHレベルで補正したSHBGおよびCBG RT-PCR productの量を相対的に評価した。また,これらのmRNA 発現レベルと内分泌環境[血清エストラジオール17β(E2■)値,プロゲステロン値]との関連について検討し た。 (5)骨盤内子宮内膜症のmRNA発現を正常子宮内膜と同様に,RT-PCRによる遺伝子発現定量によって解析 し,正常子宮内膜と骨盤内子宮内膜症とのSHBG mRNA,CBG mRNA発現レベルを比較検討した。 結 果 (1)正常ヒト子宮内膜および子宮内膜症組織においてSHBG mRNA,CBG mRNAが検出された。 (2)正常子宮内膜におけるSHBG mRNAの発現レベルは増殖期よりも分泌期に高く認められた。 (3)正常分泌期子宮内膜におけるSHBG mRNAレベルは血清Ez値および血清プロゲステロン値と正の相関 を示したが,血中E2/プロゲステロン比とは負の相関を示した。このことから,子宮内膜でのSHBG合成促進 はプロゲステロン優位に行われていると考えられる。 (4)正常子宮内膜におけるCBG mRNAの発現レベルは増殖期よりも分泌期で高く認められた。 (5)正常分泌期子宮内膜におけるCBG mRNAレベルは血清E2値と相関は認められなかったが,血清プロゲ 41
ステロン値と負の相関を示した0また,血清E2/プロゲステロン比はCBGmRNAレベルと正の相関を示した。 このことから・子宮内膜でのCBG合成促進はエストロゲン優位に行われていると考えられる。 (6)子宮内膜症組織において・SHBGmRNAの発現レベルは正常分泌期子宮内膜より高く,CBGmRNAは 増殖期子宮内膜と同程度の低いレベルを示した。また・SHBGmRNAレベル/CBGmRNAレベル比は正常子 宮内膜に比べて有意に高かった。このことから子宮内膜症ではS=BGが優位に合成され,エストロゲン貯蔵効 果が働き,エストロゲン優位な環境にさらされていると考えられる。 以上の成績より・ヒト子宮内膜および子宮内膜症組織においてSHBG,CBGがiT"itu合成され.ステロイド 作用発現機構の一部に関与していることが示唆された0また・これらステロイド結合蛋白の制御機構にE2やプ ロゲステロンが係わっていると考えられた。子宮内膜症組織におけるSHBG/CBG比の上昇は,エストロゲン 優位なステロイドホルモン環境を形成し・ステロイド受容休の面以外のエストロゲン感受性の増加に関連してい ると考えられる。 論文審査の結果の要旨 申請者 操 良は・正常ヒト子宮内膜および骨盤内子宮内膜症組織において,これらの細胞内でSHBG,CB Gの性ステロイド結合蛋白の存在を明らかにし,これらの生合成が性ステロイド作用下にあることを明らかにし たと考えられる0本研究の成果は性ステロイドホルモンの標的細胞における作用発現機構の解明に少なからず寄 与するものと認める。