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合成色素類の微生物分解に関する研究

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Academic year: 2021

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Title

合成色素類の微生物分解に関する研究( 内容の要旨

(Summary) )

Author(s)

伊藤, 清治

Report No.(Doctoral

Degree)

博士(工学) 甲第100号

Issue Date

1999-03-25

Type

博士論文

Version

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/1821

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

(2)

氏名(本籍) 学 位 の 学位記号番号 学位授与年月 日 専 攻 学位論文題 目 伊 藤 清 治(愛知県) 博 士(工学) 甲第100 号 平成11年 3 月 25 日 物質工学専攻 合成色素類の微生物分解に関する研究 (StudiesonMicrobialDegradationofSyntheticDyes) 学位論文審査委員 (主査)教 (副査)教 授 柴 田 勝 喜 教 授 長 澤 透 助教授 北 出 幸 夫

論文内容の要旨

化学工業では、多くの有用な化学物質が生産されているが、その中には化学的あ

るいは物理的に環境汚染をひきおこし、生態系に悪影響を及ぼす有害物質が含まれ ている0合成色素類もその一つであり、環境科学の観点よりそれらの遺伝毒性、変 異原性および発癌性や環境中での残留性が指摘されている。従って、有害な色素類 は、分解・無害化して処理することが望まれている。分解・無害化には、エネル ギーをそれほど必要としないで、自然の生態系へ組み込みやすい微生物処理法が注 目されている。 色素類の微生物処理法の検討は緒についたばかりであり、まず色素分解菌の検索 および分解経路や分解機構の解明に関する情報の蓄積が必須である。これらの情報 は、遺伝子工学的手法による完全分解菌の創製および基質選択性の拡大などを可能

にし、色素含有排水の微生物処理技術の開発への指針となる。これまで合成色素類

の微生物分解に関する研究は、主にアゾ色素が対象で、その他の化学構造の色素に

ついてはほとんど行われていない。本研究では、難分解性のアントラキノン色素お よびアクリジン色素を対象とし、これらの合成色素類に対して分解活性を有する微 生物の検索および微生物による色素類の分解生成物の構造決定と分解経路を明らか にすることにより、合成色素類の微生物による分解・無害化の可能性を検討してい る。 本論文は、これらの研究をまとめたもので、アントラキノン色素類の微生物分解

に関する第1章、アクリジン色素類の微生物分解に関する第2章および合成色素類

の微生物による完全分解に関する第3章から構成されている。 第1章では、細菌、酵母およびカビによるアントラキノン色素類の分解について 述べている。芳香族化合物の分解菌として検索された菌株の中から、アントラキノ ン色素類の分解菌としてぬc∴‖u55日bHリノ5IFO13719(細菌)、アブcムJ∂ a月00aJaIAM12210(酵母)およびCorJoJu5Ver5JcoJorIFO30388 (カビ)を検索し、これらの菌株によるアントラキノン色素類の分解・無害化に

(3)

-31-ついて新しい知見を得ている。且 5血日日5の増殖商および洗浄菌による反応で は、1,4-ジヒドロキシアントラキノン色素であるPigment Violet`12

伊V12)が効率よく脱色され、PV12の還元体である2,3-ジヒドロー9,10

-ジヒドロキシー1,4-アントラセンジオン(ロイコキニザリン)が生成するこ

とを明らかにしている。.ロイコキニザリンは、嫌気的条件では反応液中に蓄積する が、好気的条件では速やかに分解されることを見出している。一方、1,4-ジア ミノアントラキノン色素であるDisperse Violetlは、B.subtills によ る反応で全く脱色されず、本菌がPV12 を特異的に脱色・分解することを明らか にしている。f).aJ】0皿aJ∂の増殖商および洗浄菌による反応では、1-ヒドロキ シー4-アミノアントラキノン色素であるDisperse

Red15(DR15)が特異的

に脱色・分解し、DR15の還元体、PV12、PV12の還元体および1-ヒドロキシ

アントラキノン(1-HAQ)が生成することを明らかにしている。C.versJc。J。r

の増殖菌の反応では、16種のアントラキノン色素が脱色・分解された。本菌がア ントラキノン色素類の脱色・分解に対して、幅広い基質選択性を示すことを見出し ている。PV12は脱色に伴いフタル酸および安息香酸を生成し、安息香酸は速やか に分解されることから、PV12がC.ver5fcoJorにより分解・無害化される ことを明らかにしている。 第2章では、Ar拍roわac亡er gJobJfor皿J5IFO12137による3,6-ビス (ジメチルアミノ)アクリジン(アタリジンオレンジ(塩基))の分解について述 べている。月.gJoわJfor皿J5によるアクリジンオレンジの反応では、N- ホルミ ル体の生成を経てアクリジンオレンジのN-脱メチル体およびN,N,-脱メチル 体が生成し、これらの脱メチル体はさらに分解されないことを見出している。ま た、A・gJobJfor皿f5によるアクリジンの反応では、アクリジンの還元体および ヒドロキシル体が生成した。これらのことから、月.gJoムJfor皿J5はアクリジン オレンジおよびアクリジンを特異的に脱色・分解することを明らかにしている。 第3章では、単一菌により分解・無害化または完全分解されない色素類の完全分 解を目指して、2種以上の菌株による多段式リアクターの利用を提案している。多 段式リアクターの構築に向けた最初の試みとして、且 5U鋸∴=5をガラス多孔質 担体に固定化し、その固定化菌による色素溶液の連続脱色法を確立している。

学位論文等審査結果の要旨

本論文は、有害で難分解性物質であるアントラキノン色素およびアクリジン色素 を対象として、これらの合成色素類の分解菌の検索および菌株による分解経路を解 明し、微生物による合成色素類の分解・無害化について検討した結果をまとめたも

のである。研究の成果は以下のように要約される。

1・アントラキノン色素類の分解菌として βacJJJus5日如才ノブ5IFO13719

(細菌)、アブcムJa

a月00aJaIAM12210(酵母)、CorJoJu5Ver5ノc。J。r

IFO30388(カビ)を検索し、これらの菌株による、アントラキノン色素類の分

解・無害化について次の知見を待ている。

(4)

-32-且 5U如∴=5の増殖菌および洗浄菌による反応で、1,4-ジヒドロキシアン トラキノン色素であるPignent

Violet12(PV12)が効率よく脱色され、

PV12の還元体である2,3-ジヒドロー9,10-ジヒドロキシー1,4-アン トラセンジオン(ロイコキニザリン)が生成することを明らかにしている。この反 応で、ロイコキニザリンは、嫌気的条件では反応溶液中に蓄積するが、好気的条件 では速やかに分解されることを見出している。また、本菌がPV12を特異的に脱 色・分解することを明らかにしている。 P.a月00aJaの増殖菌および洗浄菌による反応で、1-ヒドロキシー4-アミ ノアントラキノン色素であるDisperse Red15

0R15)が特異的に脱色・分解

し、DR15の還元体、PV12、PV12の還元体および1-ヒドロキシアントラキノ

ン(1一弘Q)が生成することを明らかにしている。1-ⅡAQは変異原性を示さない

ために、DR15の変異原性は本菌による反応で低下することを見出している。 C・Ver5JcoJorの増殖菌による反応で、16種のアントラキノン色素が脱色 ・分解し、本菌がアントラキノン色素類の脱色・分解に対して、幅広い基質選択性 を示すことを見出している。また、PV12の脱色に伴う分解生成物として、フタル 酸および安息香酸を検出し、安息香酸はさらに分解されることから、PV12は、C. yer5JcoJorにより分解・無害化されることを明らかにしている。 2・3,6-ビス(ジメチルアミノ)アクリジン(アクリジンオレンジ(塩 基))の分解菌として力1血相ぬc=汀g′・0ムffo血5IFO12137を検索し、本 菌による酸化反応で、アクリジンオレンジはN-ホルミル体の生成を経てN一脱メチ

ル体および軋N'-脱メチル体を生成することを見出している。また、アクリジンの

反応で、アクリジンの還元体およびヒドロキシル体が生成することを見出してい る0月・gJoわJfor皿J5により特異的に脱色・分解されるアタリジンオレンジおよ びアクリジンの部分分解経路を明らかにしている。 3・且 5血亡fノブ5および月.gJoわJfor皿J5がPV12、アタリジンオレン ジ、メチルレッドおよびクリスタルバイオレットなどの色素類の部分分解に対して 幅広い基質選択性を示し、多機能性であることを明らかにしている。さらにこれら の色素類の完全分解を目指して固定化菌による多段式リアクターの構築を提案して いる0その一つの試みで、且 5U如∴=s をガラス多孔質担体に固定化すること に成功し、固定化菌による色素溶液の連続脱色法を確立している。

以上本論文は、微生物によるアントラキノン色素類(DR15,PV12)およびアク

リジン色素(アクリジンオレンジ)の完全分解経路および部分分解生成物の変異原 性の低下による無害化とその分解経路について初めて明らかにしたもので、学術上 および実用上寄与するところが少なくない0よって本論文は博士(工学)の学術論 文として価値あるものと認める。

参照

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