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乳牛のアカバネ病に関する獣医経済学的研究ならびにその流行予測

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(1)

Title

乳牛のアカバネ病に関する獣医経済学的研究ならびにその

流行予測( 本文(Fulltext) )

Author(s)

堀北, 哲也

Report No.(Doctoral

Degree)

博士(獣医学) 甲第180号

Issue Date

2005-03-14

Type

博士論文

Version

publisher

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/2234

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

(2)

乳牛のアカバネ病に関する

獣医経済学的研究ならびにその流行予測

学位論文:博士(獣医判甲l卵

(3)

目 次 序論---一---一一---一一…-一一--一一---…--…---1 第1章 乳牛のアカバネ病発生による乳量の損失---…--… 4

第1節緒言--一-一一---」---一一-一一---一一-一一一一一---4

第2節 材料および方法---一一---…---一一一一---一一- 4 2-1供試検体---一一---t一一--一---一一- 4 2-2 調査項目 ---一一---一一--一---一一---5 2-3 異常産による損失乳量および乳量損失率の算出方法--- 6 2-3-1泌乳期に流産し乳期が延長した場合の乳量損失率の算出法 一- 6 2-3-2乾乳期または分娩予定日前後に異常産し乳期が延長しな かった場合の乳量損失率の算出法一一--- 8 第3節 成績-一一---一一-…---一一---一一一---12 3-1異常産による乳量損失率---一一---一---12

3-ト1泌乳期に流産した場合の乳量損失率

---一一---12 3-ト2乾乳期または分娩予定日前後に異常産した場合の乳量 損失率叫一---一一---一一一叫--一叫-一一-t---12 第4節 考察---一叫----一一---16 ■第5節 結語---一一---一一一岬---18 第2章 乳牛のアカバネ病ワクチンの経済評価一---一一---20 第1節 緒言一---一一-一一一岬---20 第2節 材料および方法---一叫一叫--一一叩--一叫叫-一叫一---20 2-1調査対象地域、酪農家および乳牛---21 2-2 アカバネ病ワクチン接種状況調査--一一---一一叫----21

(4)

2-3 分娩状況調査---一一---一---一一---22 2-4 異常産による経済損失の算出-…----…----一---23 2-4-1死亡子牛の損失の算出方法---一一一…---一一---23 2-4-2 異常産に関わる治療費の算出方法---23 2-4-3 乳量の損失の算出方法---=---一-…---一一-……--26 2-5 アカバネ病ワクチンの経済評価方法--…-一叩--…---…-26 第3節 成績一一一---…---一一一---一一…-…---…---27 3-1異常産の発生状況---一-…一一一…---27 3-2 異常産による経済損失の算出成績---t---…---28 3-2-1死亡子牛の損失--=---…叫---一一---一---28 3-2-2 異常産に関わる治療費一---…叫---28 3-2-3 乳量の損失一一…-…一---……--…---叩---一---30 3-3 ワクチンの経済評価---一t---…---30 第4節 考察--一---一一---…---=30 第5節 結語---…--一一---…---36 第3草 生物季節であるウメの開花日を用いた牛のアカバネ病の流行予測-38 第1節 緒言---一--…--…一--…---…---一一---38 第2節 材料および方法---39 2-1調査項目----一山---39 2-2 調査方法---一疇-一一---一一---→--39 第3節 成績---叫---一一---…---40 3-1アカバネ病の発生と気象との関連性--一一-…---一叫---40 3-2 ウメの開花日と気象との関係---44 3-3 アカバネ病の発生とウメの開花日の関係---一---44 11

(5)

3-4 千葉県のワクチン接種率の推移---一一--一---一一---47

第4節 考察--一-t--…一---一---一---一一-一一-47 第5節 結語---一一--一---一---一叫一一一一-52

英文抄録---一一---一一---一一叫---一叫--64

(6)

序論 疫学とは、特定の集団における健康や疾病に関連する空間 的、時間的および宿主の特性別にみた分布を調査検討し、健 康や疾病の発生に影響を与える要因を究明する学問である [21]。獣医疫学において経済的問題を扱った分野は比較的新 しい領域で、動物の疾病の把握や衛生対策の選択あるいは評 価において、経済的な尺度をもとに判断する指標を与える学 問体系である[43,47]。欧米諸国においては動物の健康や疾 病について経済学的視点から行った疫学研究は比較的多く報 告されているが[2,22,23,36,37,46]、我が国では未だこの分 野に関する研究は少ないのが現状である[49]。 牛に異常産をもたらす感染症として、アカバネ病、アイノ ウイルス感染症、チュウザン病、牛ウイルス性下痢・粘膜病

(BVD-MD)、パラインフルエンザ3型感染症、牛伝染性鼻気管

炎およびネオスポーラ感染症などが知られている[3,4,18, 52]0 これらのうちアカバネ病、アイノウイルス感染症および チュウザン病は、吸血昆虫により媒介され、アルポウイルス (節足動物媒介性ウイ・ルス)感染症と称されている[24,53]。 これらアルポウイルス感染症の中でもアカバネ病は、ヌカカ によって媒介されるBunyavITjdae科buDyaVITuS属Simbu群 に属するアカバネウイルスを原因とする感染症で、季節性を 持って流行し異常産を引き起こす[10,15,16,17,19,53]。アカ バネ病による異常産は、流行期の初期(8∼9月)には流早産、 中期(10∼1月)には体型異常(四肢の関節や脊柱の湾曲)、 後期(2∼3月)には大脳欠損が多いという特徴がある[44]。 1

(7)

アカバネ病はオーストラリア、イスラエル、トルコ、キプ ロスおよび南アフリカ共和国など広く世界中で発生が確認さ れている[20,25,38]。我が国では 5∼10年間隔で大流行を繰 り返すことが報告されており、これまでにも1972年から1975 年にかけて、本病が流行し牛の異常産が全国的に大発生した [5,4,17,24,50,51]。この流行時には、いずれの発生年におい ても10月に早産および流産、翌1月には体型異常および大脳 欠損を伴う異常産が観察される発生パターンを示した [10,51]。そして近年では、1998年から1999年にかけて、36 道府県で本病による牛の異常産が流行し、千葉県においても 1979 年の流行以来、約 20年ぶりにアカバネ病の流行がみら れ、10市19町 2村の乳牛においてアカバネ病による異常産 の発生が観察された[9,27,32,33]。 アカバネ病に対しては、生ワクチンあるいはチュウザン病 およびアイノウイルス感染症との 3種混合不括化ワクチンが 開発され実用化されている[12]。アカバネ病による被害を予 防するためにはこのようなワクチン接種が不可欠である。し かし、本疾病の流行が頻繁ではないために、本病流行後の数 年間はワクチン接種率は高いが、その後次第に低下するとい う傾向がある。畜産は経済活動であり経済的合理性がなけれ ば、たとえ効果のあるワクチンでも接種されない傾向にある。 そのためアカバネ病ワクチン接種の評価は、経済的な側面か ら科学的根拠に基づいてなされる必要があるが、アカバネ病 のワクチン接種に関する経済評価はこれまで全く検討されて いない0

とくにアカバネ病ワクチンの経済評価を実施するた

2

(8)

めには、アカバネ病による乳量の減少を把握する必要がある が、このようなことを検討した研究は全くみられない。また、 アカバネ病は、前述したように毎年発生するわけではないた め、その発生がみられなくなるとどうしてもワクチン接種が おろそかになりがちである。もし本病の流行を事前に予測す ることが可能であれば、本病予防のために経済的かつ効果的 なワクチン接種が可能となる。 以上のことから、本研究では、まず1998から1999年にか けて千葉県北東部で発生した乳牛におけるアカバネ病の流行 時のデータをもとに、アカバネ病の異常産による乳量の損失 を、泌乳期、乾乳期および分娩予定日前後に異常産した場合 について求めた(第1章)。そして、アカバネ病による乳量の 損失程度を把捉した上で、1998年の千葉県におけるアカバネ 病流行時におけるアカバネ病ワクチン接種農家と非接種農家 の経済損失を調査し、アカバネ病ワクチン接種の経済評価を 行った(第2章)。そして最後に気象庁が生物季節として観測 しているウメの開花日に着目し、ウメの開花日をもとにした アカバネ病の流行予測を試みた(第3章)。 3

(9)

第1章 乳牛のアカバネ病発生による乳量の損失

第1節

緒言

乳牛のアカバネ病はウイルス感染時の妊娠目数によって病 変が異なることが知られている。すなわち、妊娠日数が 60∼ 120 日の妊娠初期に感染するとウイルス血症により胎子が死 亡し流産が引き起こされる。また、妊娠日数が120∼180 日の 時期に感染した牛は分娩予定日まで妊娠を維持するが、胎子 には関節湾曲などの奇形が生じる[14,34,38,52]。このように アカバネ病の流行時には、流産や奇形などの異常産が発生し、 本来健康な状態で生まれてくる予定であった子牛が異常とな ることで多大な経済損失が生じることは明らかである[8]。 しかし、アカバネ病の発生による経済損失を算出するに当り、 流産や奇形などの胎子の異常による経済損失だけでなく、そ の流産や奇形子分娩などの眞常産がどの程度乳量に影響し、 それによっていかなる経済損失が生じるのかも検討する必要 がある。しかし、疾病発生が乳量に及ぼす影響を調査した研 究として乳房炎、第四胃変位、乳熱、蹄葉炎およびケトーシ スと乳量の関係に関する報告[35,39,40]はあるが、アカバネ 病が乳量におよぼす影響を調査した報告はみられない。 よって本章では、1998年から1999年にかけて、千葉県北 東部で流行がみられた乳牛のアカバネ病の発生事例から、本 病発生による乳量の損失について検討した。 第2節

材料および方法

2-1

供試検体

4

(10)

1998年 9 月から1999年 3 月にかけて、千葉県香取郡多古 町の酪農家11戸において異常産し、家畜保健衛生所による病 性鑑定および臨床症状からアカバネ病と診断されたホルスタ イン種乳用牛38頭を供試検体とした。なお、病性鑑定として、 異常産胎子または母牛について、病理組織学的・免疫組織学 的検査、ウイルス学的検査(ウイルス分離およびRT-PCR法) ならびに血清学的検査(中和抗体測定)を実施した[29,33]。

さらに、これらの牛については全て乳廟牛群能力検定(以下、

牛群検定)が実施されており、この検定により毎月1回計測 されていた1日あたりの泌乳量を乳量計算に用いた。 なお、本研究において、牛の妊娠期間は 280 日とし、流産 とは妊娠日数 250 日未満で生存胎子あるいは死亡胎子が娩出 された場合、早産とは妊娠日数 250 日以上 280 日未満で生存 胎子が娩出された場合、死産とは妊娠日数 250 日以上で死亡 胎子が娩出された場合と定義し、異常産とは流産、早産、死 産および奇形子分娩の総称とした。 2-2

調査項目

供試検体38頭それぞれについて、診療カルテ、牛群検定成 績表および農場の管理簿により、異常産した産次とその年月 日、異常産の状態、妊娠期間、異常産した産次の乳量(牛群 検定成績)、異常産した産次の前後の正常分娩した産次の乳量 (牛群検定成績)および流産後に再受胎した授精年月日を調 べた。 5

(11)

2-3

異常産による損失乳量および乳量損失率の算出方法

損失乳量の算出方法は異常産が発生した時期によって異な る。なぜなら泌・乳期に異常産(流産)した場合は、その後再 授精することで再び受胎させるため泌乳期の延長が起こるが、 乾乳期および分娩予定日前後に異常産した場合(流産、早産、 死産または奇形子分娩)は、泌乳期が延長することはないか らである。よって、異常産による損失乳量および乳量損失率 は、泌乳期に流産し乳期が延長した場合(5 頭)と乾乳期ま たは分娩予定日前後に異常産し乳期が延長しなかった場合 (33頭)の2つにわけて算出した。なお、ここでは乾乳期は 妊娠日数220∼270日、分娩予定日前後は同 271日以降と定義 した。

2-3-1泌乳期に流産し乳期が延長した場合の乳量損失率の算

出法 図1に泌乳期に流産し乳期が延長した場合の泌乳曲線モデ ルを示した。図1の上段は、泌乳期に流産しその後再び授精 し受胎した場合の泌乳曲線を示しており、この場合は、最初 の授精の日(分娩を0日として‡日日)から再授精の日(同 Z日目)までの期間(Z一‡日)だけ泌乳期が延長し、その分遅 れて次回分娩予定日(Z十280日)を迎える。また、もし流産 していなければ、図1の下段に示したように、上記の次回分 娩予定日(Z+280日)以前の‡十280日に分娩し、この日か らZ+280日までの期間で図1のM3で表している量の牛乳を 6

(12)

uO芋巾ぢ巾lぎーてコPぎ三3一巾∈LOuq巾 -0のS巾U¢エlu〓¢PO∈¢ゝL⊃O uO…}巾}0巾」 叫uち罵〇一巾∈LOu-0のS3むエ} u〓むPO∈心ゝLコO uO芋q10巾」

P一旦妄≡

P一意三≡

TheestimatedperiodofmiIkloss Milk[oss=Ml-(M2+M3) Rate。freductionofm‖kIoss=(Ml-(M2+M3))/(M2+M3)

Fig.1Lactationcurvesincaseofabnorma]calvingduringIactationandin

caseofnormalcaIving

(13)

生産することができる。よって、もし流産しなければ、M2+ M3の乳量を生産することができたことになる。そこで、流産 による損失乳量を M卜(M2+M3)で、乳量損失率を(Mト(M2+M3)) /(M2+M3)で求めた。なお、乳量損失率は、損失のあった場 合にマイナスの符号を付けて表した。 Mlおよび M2 の乳量は、牛検成績から得た乳量をもとに林 らの方法[6]により泌乳曲線を描き、算出した。また M3は、 M2 と同じ泌乳曲線を描き、乳量を求めた後に、表1に示した 産次間乳量補正表をもとに補正して求めた。なお、この産次 間乳量補正表は、1998 年度乳用牛群能力検定成績のまとめ [11]の千葉県における1産から 7産までの各産次の平均乳 量から産次間の乳量比を求めたものである。たとえば、産次 別の平均 305日乳量は、1産(1,280頭)が8,263kg、2産(853 頭)が9,500kgおよび3産(677頭)が9,877kgであった。 よって、1産の平均 305 日乳量を100 とした場合の 2産およ び3産の平均305日乳量は、それぞれ115および120であっ た。逆に 2産の平均 305 日乳量を100とした場合は、1産お よび3産の平均305日乳量は87および104であった。このよ うにして、各産次間の乳量比を求めた。 2-3-2

乾乳期または分娩予定日前後に異常産し乳期が延長

しなかった場合の乳量損失率の算出法

異常産した産次の実際の乳量を305日実乳量、また、異常 産した産次において、もし異常産しなかったとしたらどれだ けの乳量が得られたかを予測した乳量を 305日予測乳量とし、 8

(14)

TabJel・Rectificationrateusedtoobtaintheexpectedmi.kyie■dattheabnorma[parity.

ThevaJuesresuJtedbyregardingthem‖kyie.dofadeterminedparityaslOOandsubsequent,yregardingthevariationinthe mifkyieldoftheotherparitiestovariationsofthisvaIue.

Paパty No.of Meanof

cowsa)mi[kyieIdl) (.D 1st 2nd 3rd 4th 5th 6th 7th 1,280 8,263 853 9,500 677 9,877 440 9,852 255 9,805 128 9,256 121 9,791 ParityandrespectiveregardedvaIuefbrthemiJkyiefd 1st 2nd 3rd 100 115 87 100 84 96 84 96 84 97 89 103 84

1)Thesedatawasoriginated什omAnnuaJ

97 120 104 100 100 101 107 101 4th 5th 119 119 104 103 100 99 100 100 100 100 106 106 101 100 112 118 97 103 94 99 94 99 94 100 100 106 95 100

ProductRecordbyLivestockImprovementAssociationofJapan(Ref16).

(15)

305 日実乳量から 305 日予測乳量を引いたものを損失乳量と した。また、損失乳量を 305 日予測乳量で除したものを乳量 損失率とした。なお損失乳量および乳量損失率は、損失のあ った場合マイナスの符号を付けて表した。 305 日実乳量は、異常産した産次の乳期が 305 日以上の場 合は牛群検定成績より得た。また異常産した産次の乳期が305 日に満たない場合は、林らの方法[6]により泌乳曲線を描き、 その曲線の積分値から 305 日実乳量を求めた。305 日予測乳 量は、異常産した個体の正常な分娩の他の産次の乳量から予 測して求めた。すなわち同個体の正常分娩産次の 305 日実乳 量を牛群検定成績あるいは林らの方法による泌乳曲線から得 た後、この 305 日実乳量を産次間補正表(表1)により補正 して異常産した産次の 305日予測乳量を求めた。 図 2に症例 Su167の泌乳曲線を計算例として示した。この 症例は1999年12月 5日、妊娠286日目に5産目として頚部 湾曲および四肢湾曲した奇形子を娩出し、家畜保健衛生所に よる病性鑑定の結果アカバネ病と診断された。この牛の異常 産した5産の305日実乳量は8,535kgであった。またこの牛

の正常分娩した3産および4産の305日実乳量は9,741kgお

よび12,500kgであった0表1の産次間乳量補正表により3産 の305日乳量を100とした場合の5産の305日乳量は99であ ることから、3産の305日実乳量から推測した5産の305日 予測乳量は9,644kgであった。同様にして4産の305日実乳 量から推測した5産の305日予測乳量は12,500kgで、3産と 4産の実乳量から推測した5産の305日予測乳量の平均値は 10

(16)

60

kg

O Calving

No.ofdaysaftercaJving

305day

(17)

11,072kg であった。よって異常産した 5 産の損失乳量は、5 産の 305 日実乳量(8,535kg)から 305 日予測乳量(11,072kg) を 引 い た -2,537kg と な り、乳 量 損 失 率 は -22.9 % (-2,537kg/11,072kg)と算出された。以上のような方法によ り、乾乳期または分娩予定日前後に異常産した場合の乳量損 失率を求めた。 第3節 成

3-1

異常産による乳量損失率

3-ト1泌乳期に流産した場合の乳量損失率

泌乳期に流産しその後再受胎した結果、乳期が延長した 5 頭の平均損失乳量および平均乳量損失率は、-3,468±1,646kg および-21.2±6.6%であった。また、平均流産産次は3.4±2.1 産(1∼6産)、流産時の平均妊娠期間は129.6±5.5 日(121 ∼136 日)、流産から再授精までの平均日数は 32.6±15.2 および平均乳期延長日数は144.8±44.3日であった(表2)。

3-ト2乾乳期または分娩予定日前後に異常産した場合の乳量

損失率

乾乳期または分娩予定日前後に異常産した 33頭の損失乳 量および乳量損失率を、3-1-1の泌乳期に流産した場合の結 果(5頭)とあわせて、表3および図3に妊娠期間別に示し た0調査した38頭全体の平均損失乳量および平均乳量損失率 は、-1,420±1,716kgおよびt12・7±14・2%であった。乾乳期

(妊娠期間220∼270日)に異常産した13頭の平均損失乳量

12

(18)

TabIe2

RateofreductioninmilkyieIdofcowsabortedduringIactation

No.of

COWS gestation

(Day) Fa,m Pa,ity Daysof

a㌫品㌫品l

1 0 2 S 3 A 4 A 5 0 Mean Standard deviation 1 121 5 130 2 136 3 129 6 132 3.4 129.6 2.1 5.5 Days什om re-insemination (Day) Extradays oflactation (Day)

MiIkyieldat Expectedmilk Lossof

theparity yieJd miIk withabortion (kg) 10,713 1吼192 8,213 12,494 13,903 (kg) (kg) 12,670 -1.957 19,4‖ -3,219 10.052 -1,839 16,473 -3.979 20,249 -6,346 12,303 15,771 -3,468 3,040 4,362 1,646 Rateof reductionin miIkyield (%) -15.4 -16.6 -18.3 -24.2 -31.3

(19)

Tab[e3

RateofreductioninmiIkyieIdaccordingtothegestationalage

Period

N乙:三ごS

冠望遠嘉)芸道諒訝

12l∼136

Lactation

5

210∼270

DⅣ

13

271∼301

Expectedparturitionday

20

-3,469±1,646

-1,810±1,770

-655±1,072

-21.2±6.6

-18.4±16.3

-6.9±12.3a

Tota1

38

-1,420±1,716

-12.7±14.2

a)Themeanrateofreductioninm眈yie[dwassignificantEyJowerfbrthoseanimaIs

withabnormaIparturitionatgestationa[ageof27卜301days

thanthatofat12l-136andat210-270(Pく0.05).

(20)

ーひ

P一¢盲室∈-OuO葛⊃P巴-○禦扇正

0

-60

Fig.3.

Rateofreductionofmifkyie[dcausedbyAkabanediseaseaccordingtothe

gestationa[agewhentheabnormaIparturitionoccurred

(21)

および平均乳量損失率は、-1,810±1,770kg および-18.4± 16.3%であった。また分娩予定日前後(妊娠期間 271∼301日) に異常産した 20頭の平均損失乳量および平均乳量損失率は、 -655±1.072kgおよび一6.9±12.3%であった。分娩予定日前後 の異常産における乳量損失の程度は、泌乳期ならびに乾乳期 における乳量損失の程度に比べて有意に少なかった(Pく0.05)。 なお、各妊娠期間別にみた奇形子の分娩割合は、乾乳期が 7.7%(1/13)、分娩予定日前後が70.0%(14/20)であった。ま た、産次別および乳量別にみた乳量損失率では、とくに傾向 は認められなかった。

第4節

考 察 本研究により、アカバネ病の感染による異常産で乳量がど のように変化したかを調べた結果、アカバネ病の異常産によ る平均乳量損失率は-12.7%であった。これまでアカバネ病に よる異常産がどの程度乳量に影響し、それによっていかなる 経済損失が生じるのかを検討した報告はないが、本研究によ りアカバネ病による異常産の影響で、約1割以上の乳量が失 われ、酪農家に経済的に大きな損失を与えていることが明ら かとなった。 アカバネ病による泌乳期の異常産では、調査できた頭数は 5 頭と少ないものの、乳量の損失は-21.2±6.6%で、分娩予 定日前後一に異常産したものに比べ、その損失割合は高かった。 また、乳期の延長日数が最も長かった個体が最も乳量の損失 割合が高かった0 これは、泌乳期にアカバネ病に感染し流産 16

(22)

すると乳期が延長するが、延長されるのは泌乳期後半の乳の 生産量の少ない時期であるためである。また、泌乳期に流産 した5頭のうち 3頭は流産後21∼23日で再授精され受胎して いた。このことはアカバネ病で流産してもとくに子宮に異常 がなければ、流産日を起点として次回の性周期で授精ができ 受胎が可能であることを示している。また残り 2頭の流産後 の再授精までの日数は40 日および56 日であったが、これら はそれぞれ、42日目および63日目といった21日間隔の性周 期の 2周期目および3周期目に近い日数であった。よって流 産した場合でも、性周期を目安にして、できるだけ早く再受 胎させることがアカバネ病による経済損失の程度を軽くする 上で重要であると考える。 異常産した時期別にみると、分娩予定日前後における異常 産は泌乳期や乾乳期の異常産より乳量の損失が小さかった。 これは、分娩予定日前後の異常産の場合、乳牛はすでに泌乳 の準備が出来上がっているため、前述したような泌乳期やま だ乳腺組織に泌乳の準備ができていない乾乳期[45]に比べ、 乳量の減少の度合いが低かったものと推測される。また、分 娩予定日前後に異常産した乳牛のうち70%は奇形子を娩出し ていた0 奇形子の娩出の状況については全ての事例について 詳細には記録されてはいないものの、奇形子の頚部が湾曲し ていたが比較的簡単に頸部を切断し短時間で助産が終了でき た事例や奇形の程度が軽く分娩が容易な事例がほとんどであ った0 したがって、これらのことから乳牛がアカバネ病の感 染で奇形子を妊娠し分娩すること自体は、奇形子を分娩する 17

(23)

際に切胎に手間取ったり、帝王切開が必要な重度の難産の症 例を除き、大きな乳量の損失を招かないことが推察された。 アカバネ病による異常産は時に全国的な発生をみるが [9,27,32,51]、その具体的な経済損失は未だに明らかにされ ていない。特に乳量の損失に関しては今までその実態が把握 されていなかった。本研究により、泌乳期、乾乳期および分 娩予定日前後の各時期におけるアカバネ病の異常産による乳 量の損失の程度が明らかになった。

第5節

結帝

1998年

9月から1999年 3月にかけて、千葉県北東部で流 行したアカバネ病により泌乳期、乾乳期および分娩予定日前 後に異常産したホルスタイン種乳用牛 38 頭について損失乳 量および乳量損失率を算出し、以下の成績を得た。 l・アカバネ病の異常産による平均損失乳量および平均乳量損 失率は、-1,420±1,716kgおよび-12.7±14.2%であった。 2.異常産した時期が泌乳期、乾乳期および分娩予定日前後に おける平均損失乳量および平均乳量損失率は、それぞれ、 -3,469±1,646kgおよび-21・2±6.6%(n=5)、-1,810±1,770kg および-18・4±16.3%(n=13)、および-655±1,072kg および -6・9±12・3%(n=20)で、分娩予定日前後に異常産した場合の 乳量の損失の程度は、泌乳期や乾乳期に眞常産した場合に比 べ小さかった。 3・以上のことから、アカバネ病による異常産により、約1割 以上の乳量が失われ、酪農家に大きな経済損失を与えている 18

(24)

ことが明らかとなった。

(25)

第2章

乳牛のアカバネ病ワクチンの経済評価

第1節-

j緒言

アカバネ病の主たる予防対策としては、アカバネ病の病原 体の媒介動物であるヌカカを駆除することとワクチンの使用 が挙げられるが、畜舎環境からヌカカを駆除することは実際 上かなり困難であることから、本病の発生予防にはワクチン の使用が推奨されている[52,53]。アカバネ病は発症すれば治 療困難であり酪農家にとって経済的な損失も大きい伝染性疾 患である。しかし、アカバネ病の流行は 5∼10年に1回程度

であり、ワクチン代も高いことなどから、飼育する乳牛にワ

クチン接種を実施していない酪農家が多いのが実情である。 そのため、ひとたび本病が流行すれば流早産や奇形子分娩な どの異常産が多発し、酪農家に甚大な経済的被害をもたらす。 本章では、1998年から1999年に千葉県北東部で発生した アカバネ病の流行事例から、本地域の乳牛におけるアカバネ 病ワクチンの接種群および非接種群での異常産の発生状況を 調査し、得られた成績から本ワクチンの予防効果を検討した。 またあわせて、獣医経済学の分野で用いられている partial farm budgeting(部分査定法)やCost-benefit analYSis(費 用便益分析法)といった手法[43,48]を参考にして、第1章で 得られた乳量損失率を用いてアカバネ病による異常産に起因 する経済損失を算出し、ワクチン接種群および非接種群の経 済損失を比較し、ワクチンの経済評価を試みた。

第2節

材料および方法 20

(26)

2-1

調査対象地域、酪農家および乳牛

調査対象酪農家として、千葉県八日市場市、匝瑳郡野栄町 および光町でホルスタイン種乳用牛を飼育する酪農家 25 戸 を選んだ。これら調査対象酪農家 25 戸の平均成乳牛頭数は 25.1頭(最小 5頭∼最大 56頭)であった。この 25戸のうち、 20戸で飼養されている成乳牛482頭はすべてアカバネ病ワク チンを接種され、これをワクチン接種群(以下、接種群)と した。この 20戸の平均成乳牛頭数は24.1頭(最小 5頭∼最 大39頭)であった。また、残り 5戸で飼養されている成乳牛 173 頭は全てワクチン非接種でこれをワクチン非接種群(以 下、非接種群)とした。この 5戸の平均成乳牛頭数は29.0頭 (最小17頭∼最大 56頭)であった。 2-2

アカバネ病ワクチン接種状況調査

接種群の接種時期は1998年5月で、ワクチンはアカバネ病、 アイノウイルス感染症およびチエウザンウイルス感染症の 3 種混合不括化ワクチン(京都微研牛異常産3種混合不括化ワ クチン、微生物化学研究所)を使用した。このワクチンは不 括化ワクチンなので、初めて接種する牛には1か月間隔で 2 回、前年に接種した牛には1回接種した。ワクチン接種の時 点で当該酪農家に飼育されている成乳牛すべてに、一斉にワ クチン接種を実施したのでワクチン接種時における繁殖ステ ージは、各個体により異なっていた。 ワクチン費用は、接種技術料を含めて1回接種分が1,900 円であった8接種群482頭のうち135頭が2回接種したので、 21

(27)

のべ接種頭数は 617頭であった。よってワクチン費用は総額 で1,172,300円(1,900円×617頭)であった。 2-3

分娩状況調査

ワクチン接種後、1年間(1998年 5月∼1999年 4月)の接 種群と非接種群における正常分娩頭数、眞常産頭数、異常産 の発生状況、子牛の種類および異常産時の妊娠日数を農場の 管理簿および診療所のカルテをもとに調査した。異常産は、 家畜保健衛生所の病性鑑定成績および臨床症状によりアカバ ネ病によるものとそれ以外のものに分けた。すなわち、病性 鑑定では、流産胎子からのウイルスゲノムを検出したもの、 流産胎子に非化膿性脳炎を認めたものや免疫染色により神経 細胞に陽性抗原を認めたもの、胎子・子牛・母牛の中和抗体 が陽性だったものを、臨床症状では胎子に頸部または四肢の 湾曲などの体型異常を示したものをアカバネ病と診断した [29,33]。 調査期間中の全分娩に占めるアカバネ病による異常産の割 合を異常産割合とし、以下の 3つの疫学指標を使ってワクチ ンの予防効果をみた。すなわち、非接種群は接種群に比べて どの程度異常産割合が高いかを表す相対危険を、非接種群の 異常産割合を接種群の異常産割合で除することで求めた。ま た、ワクチンを接種しないがために生じた異常産の割合を表 す寄与危険を、非接種群の眞常産割合から接種群の眞常産割 合を引くことで求めた。さらに、非接種群の異常産割合のう ち、どれくらいの割合をワクチン接種により防ぐことができ 22

(28)

たかを示す寄与危険割合を、寄与危険を非接種群の異常産割 合で除することで求めた[28]。 2-4

異常産による経済損失の算出

異常産による経済損失の項目として、死亡子牛の損失、異 常産に関わる治療費および乳量の損失の 3つの損失を調べた。 2-ト1

死亡子牛の損失の算出方法

死亡子牛の損失の算出の際の前提条件として用いた金額を 表 4に、算出方法を表 5に示した。 この地域の酪農家では、純粋なホルスタイン種子牛の生産 に加えて、ホルスタイン種の母牛に和牛の精液を交配したFl 種の子牛の生産も通常行われている。ホルスタイン種のオス 子牛、Fl種のオス子牛および同メス子牛は通常1カ月齢にな ると市場で販売される。一方、ホルスタイン種のメス子牛は 売らずに後継牛として飼育されたり、一部は、育成し受胎さ せ未経産妊娠牛として2歳になった時点で売却される。した がって、異常産での子牛の死亡による損失は、種別(ホルス タイン種とFl種)および性別(オスとメス)に分けて算出し た0 その後、両群について実際に異常産した頭数に1頭当た りの損失額を乗じたものを合計して死亡子牛の損失とした。 なお異常産胎子のオスとメスの比率は1:1と仮定した。 2-ト2

異常産に関わる治療費の算出方法

異常産に関わる治療費は、異常産の際に施した難産介助、 23

(29)

TabJe4

AdoptedvaJuesfbrestimatingcaIveJosses

VaIue Content Marketpriceofcaffatlmonthofage ¥10,000 HoJsteinmaIeca忙Theaveragef(ommarketresearch, ¥55,000 ¥25,000 Feedcostuntilsaleatlmontho.d ¥9,572 PersonnelexpensesfbrfbedinguntilsaJe ¥3,310 PriceofapregnantHo(steinheifbr

(2yearsoは)

Fll)mafecaJflTheaveragefrommarketresearch. FlfbmalecaJtTheaveragef(Ommarketresearch. Theaveragefromfarmresearch. 10min./day/headXlmonthx¥662/hour

(MinimumpaymentdecidedbyMinistryofLabor,1998)

¥450,000 Theaveragefromfarmresearch FeedcostofapregnantHoJsteinheiftr ¥226,922

¥9,572(fbedcostuntiIamonthofage)

+6,210kg(feedamountuntif2yearsofage,JapanFeed

Stand.)×¥35/kg(feedprice)

PersonneIexpensesfbr ¥80,544 ¥662/hourxlOmin./dayx2years apregnantHoJsteinheiftr AIcostofapregnantHoJsteinheifer ¥5,250 Datafromcliniccenterresearch

1)FlisacrossbreedofHofsteinandJapaneseBIack.

(30)

TabJe5

MathematicaJexpressionsfbrcaIculatingthe[ossesduetodead・caIf

asconsequenceof

abnormaJca[vIng.

」 Breed Ho[steinl) Fll・4) Male FemaJe Expression

Marketprice2)-(Feedcostunt‖saJe3)+PersonneJexpenses

fbrfeeding3))

Priceofapregnantheifer3)-(Feedcostunti(sale3)

+Personnelexpenses3)+AIcost3))

Male/FemaJe

Marketprice2)-(FeedcostuntiJ

sa(e3)+PersonneIexpenses3))

1)TheaverageofmaJeandf6male

2)Marketpriceswereresearchedfbreachsexbecausetheprice

WaSdependentonsex(cf.TabEe4).

3)ctTabJe4

4)AcrossbreedofHo[steinandJapaneseBlack

(31)

帝王切開および切胎などの治療費(薬剤費および獣医技術料) を家畜診療所の診療カルテから調査し、それらの金額を合計 して算出した。 2-4-3

乳量の損失の算出方法

乳量の損失は、異常産の時期を泌乳期、乾乳期および分娩 予定日前後の 3つ時期に分けて、第1章で得られたこれらの 時期ごとの乳量損失率を用いて算出した。 すなわち異常産した乳牛のいる酪農家ごとに、1頭当たり の平均乳量および3つの時期の異常産頭数を調べ、異常産時 期ごとに次式により損失乳量を算出し、それを合計した。 損失乳量=1頭当たりの平均乳量×異常産頭数×乳量損失 率 そして、接種群および非接種群ごとに損失乳量を合計し、 これに1998年時点での平均乳価85円/kgを乗じ、両群の乳 量の損失額を求めた。 なお、第1章の成績から、乳量損失率は、泌乳期-21.1%、 乾乳期-18・4%および分娩予定日前後-6・9%とした。また、本 章では乾乳期は乾乳開始から妊娠日数270日まで、分娩予定 日前後は妊娠日数271日以降と定義した。 2-5

アカバネ病ワクチンの経済評価方法

以上の結果をもとに、非接種群では乳量の損失、子牛の損 失および治療費の合計を求め、その値を非接種群全体の頭数 (173頭)で除して、非接種群1頭当たりの平均損失額を算 26

(32)

出した。また、接種群では、非接種群と同じ 3項目の損失額 にワクチン接種費用を加えて損失合計とし、この値を接種群 全体の頭数(482頭)で除して、接種群1頭当たりの平均損 失額を算出した。そして1頭当りで、非接種群の平均損失額 を接種群の平均損失額で除して得られた値を毎年ワクチン接 種する場合の損益分岐点(年)としてワクチン接種の経済効 果を調べた。 第3節

成績

3-1

異常産の発生状況

非接種群173頭は、調査期間中に141頭が分娩し、そのう ち45頭が異常産し、調査期間内における異常産割合は31.9% (45/141)であった8 この45頭の異常産のうち、39頭がアカ バネ病による異常産と診断され、全分娩に対するアカバネ病 の異常産割合は27・7%(39/141)であった。さらに、非接種群 のアカバネ病による異常産39頭の内訳は、泌乳期の異常産が 9頭(すべて流産、ホルスタイン種子牛4頭およびFl種子牛 5頭)、乾乳期の異常産が19頭(流産11頭および早産8頭、 ホルスタイン種子牛9頭およびFl種子牛10頭)および分娩 予定日前後の異常産が11頭(早産4頭および死産7頭、ホル スタイン種子牛4頭およびFl種子牛7頭)であった。 また、接種群482頭は、調査期間中に348頭が分娩し、そ のうち19頭が異常産し、異常産割合は5・5%(19/348)であっ た0この19頭の異常産のうち2頭がアカバネ病による異常産 と診断され、全分娩に対するアカバネ病の異常産割合は0.6% 27

(33)

(2/348)であった。異常産の時期は、全て分娩予定日前後であ った。非接種群および接種群ともに、アカバネ病以外の異常 産は助産の遅れや失宜による胎子の死亡であった。 以上の成績から算出した相対危険は46.2(27.7/0.6)、寄与 危険は 27.1%(27.7-0.6)および寄与危険割合は 97.8% (27.1/27.7)であった。 3-2

異常産による経済損失の算出成績

3-2-1

死亡子牛の損失

子牛1頭あたりの損失額は、ホルスタイン種子牛で平均 67,201円、Fl種子牛で平均27,118円であった(表6)。この 時点でのホルスタイン種オス子牛の市場価格が低額であった ため、ホルスタイン種オス子牛の販売利益は-2,882円と赤字 であった。 非接種群は、ホルスタイン種子牛17頭、Fl種子牛22頭を 異常産により失い、死亡子牛の損失合計は1,739,013円であ った0 また接種群は、Fl種子牛2頭を異常産により失い死亡 子牛の損失合計は54,236円であった。 3-2-2 異常産に関わる治療費 非接種群ではアカバネ病による異常産39頭中13頭が治療 され、異常産に関わる治療費の総額は350,832円であった。 主な単価は、帝王切開64,060円、切胎27,570円、難産介助 6,160円であった0接種群では治療された個体はいなかった。 28

(34)

TabJe6

Amountof.ossesduetodeadcaffasconsequenceofabnormaIcafving.

Breed Amountl)sex calculation2)

Horstein ¥67,201MaJe

¥10,000-(¥9,572+¥3,310)=-¥2,882

FemaJe

¥450,000-(¥226,922+¥80,544+¥5,250)=¥137,284

Fl ¥27,118 Male

¥55,000-(¥9,572+¥3,310)=¥42,118

FemaJe

¥25,000-(¥9,572+¥3,310)=¥12,118

1)MeanofmaJeandfemaJe

2)VaJuesofeachitemshowninTabfe4appJiedintheexpressionsshowni。TabIe5,

(35)

3-2-3 乳量の挽失 非接種群および接種群の異常産した時期ごとにみた酪農家 別の異常産頭数を表7に、また、損失乳量を表8に示した0 損失乳量は、非接種群で合計4r,262kg、接種群で合計1,087kg であった。乳量損失額は、接種群で3,507,270円、非接種群 で 92,395円であった。 3-3

ワクチンの経済評価

経済損失 3項目(死亡子牛の損失、異常産に関わる治療費 および乳量の損失)とワクチン費用をワクチンの接種群、非 接種群別に整理したものを表 9に示した。非接種群の損失合 計は5,597,115円、1頭当たりの損失は32,353円、また、接 種群のワクチン費用を含む損失合計は1,318,931円、1頭当 たりの損失は 2,736円であった。非接種群の1頭当たりの損 失は接種群のそれの11.8倍であった。 第4節 考察 人の場合、伝染病に感染するリスクがわずかでもあり、ワ クチン接種が予防に効果的であることが明らかであれば、経 済的な側面はほとんど考慮されることなく ワクチン接種が実 施されるが、産業動物の場合には、伝染病に対するワクチン 接種を行うか否かは、獣医師ならびに酪農経営者が経済的メ リ ットを考慮した上で実施されていることが多い。したがっ て、酪農家に乳牛へのアカバネ病ワクチン接種を推奨するた めには、ワクチン接種をすることの経済的メリ ットを科学的 30

(36)

TabIe7

Numberofcows・Ofthenon-VaCCinatedandvaccinatedgroup,Whichhad

abnormaJparturition

Period Non-VaCCinatedgroup Lactation DⅣ Expected Parturitionday Vaccinated grOuP

A-farm B-farm C-farm D-farm E-farm TotaJ トfarm

(37)

Table8

Lossesofmi[kyieldofnon-VaCCinatedgroupandvaccinatedgroup.

Rate of Period reductionof miJkyieJd

Non-VaCCinatedgroup

A-farm B-farm C-farm D-farm E-farm

(6,14け)(7,408)

(6,725)

(6,682)

(5,900)

TotaI Vaccinated grOuP F一ねrm

(7,879)

Lactation DⅣ -0.211 0 6,2522) -0.柑4 4,520 1,363

謡蕊。ay-0.069

424 -,022 2,838 2,820 9,899 6,147 1,856 1,383 1,245 13,155 1,086 23,015 407 5,092 Tぬ1 4,944 8,637 14,593 時350 2,738 41,262 1,087

1)305daysmi[kyieJd

2)LossofmiIkyieldwerecaIcuJatedby

No・OfabnormaJparturitionx305daysm‖kyieJd x reductionratioofmi]kyie[d

(38)

TabJe9

Lossesandvaccinationcostofnonrvaccinatedgroupand

VaCCinatedgroup

Loss orcost Non wcinatedgroup Vaccinatedgroup

(n=173)

(n=482)

Loss ofMilk Loss ofCaIves CostofTreatments CostofVaccination ¥3,507,270 ¥1,739,013 ¥350,832 0 ¥92,395 ¥54,236 0 ¥1,172,300 Totai ¥5,597,1j5 判,318,931 Lossperhead ¥32,353 ¥2,736

(39)

根拠に基づいて示す必要がある。そのためには、アカバネ病 発生のリスクとそれによりもたらされる経済損失を算出した 上で、ワクチン接種に要する費用を勘案して、どのく らいの 頻度でアカバネ病の流行が起こるならば、経済的にワクチン 接種のメリ ットがあるのかを判断する必要がある。 本研究では1998年から1999年に発生した千葉県北東部で の乳牛のアカバネ病の流行事例において、本地域の乳牛にお けるアカバネ病ワクチンの接種群および非接種群における異 常産の発生状況を調査し、得られた成績からアカバネ病にお ける異常産による経済損失の算出を試みた結果、ワクチン非 接種群1頭あたりの経済損失額は、接種群1頭あたりの経済 損失額の11.8倍であった。このことは言い換えると、アカバ ネ病の流行が11.8年以内に一度発生するならば、毎年ワクチ ンを接種した方が経済的には得であるということを意味して いる。我が国ではアカバネ病の流行周期は通常 5∼10年なの で[4,17,24,50]、毎年のワクチン接種の損益分岐点が11.8年 であるという本研究で得られた成績から考えると、少なくと も本調査地域では毎年アカバネ病ワクチンを接種することは 経済的にメリットがあることが示された。 本研究において、ワクチン接種群のアカバネ病による異常 産の発生割合は 0.6%と極めて少なかったのに対して、ワク チン非接種群では 27.7%と多く、ワクチン非接種群は接種群 に比べて、アカバネ病による異常産発生の発生割合は46.2倍 も高かった。また、寄与危険割合は97.8%であったことから、 ワクチン接種によりアカバネ病による異常産の97.8%は防ぐ 34

(40)

ことができたと考えられる。よって、加藤ら[12]の報告に もみられるように、今回使用したアカバネ病ワクチンの感染 予防効果は極めて高かった。これらのことから、アカバネ病 ワクチンは、単に経済的な面のみならず、アカバネ病の予防 効果の面からも極めて有効であるといえる。 本研究では、アカバネ病による異常産の経済損失として 3 つの項目(死亡子牛の損失、異常産に関わる治療費および乳 量の損失)を用いた。乳量の損失は酪農家にとって経営の根 幹に関わる極めて重要な経済損失であり、同様に子牛の損失 もその金額が大きく、酪農家の経営にとって大きな影響を与 えるものと考えられる。それゆえ、これら 2つの項目に異常 産に関わる治療費を加えた 3つの経済損失の項目は、アカバ ネ病による酪農家の経済損失の大きさを十分に包含しうる項 目と考えられた。これらの3項目のはかにも、流産後の再授 精費用、流産後受胎しなかった母牛の淘汰、異常産の病性鑑 定費用、異常産のための農家の手間や労賃ならびに異常産の 流行による農家の精神的苦痛なども、アカバネ病による経済 損失として考えることができる。しかし、これらについては 正確で客観的な数値を入手することが難しかったり、お金に 換算できなかったため、本研究では経済的な損失に計上しな かった0 もし、これらの項目もアカバネ病による経済損失に 加えるとするならば、ワクチン接種の経済的有効性はさらに 高まるものと思われる。 今回、死亡子牛の損失を算出する際にはホルスタイン種子 牛とFl種子牛に分けて検討した0 しかし、このFl種子牛の 35

(41)

子牛生産全体に占める割合は酪農家ごとにまちまちであるの で、酪農家の下1種を生産する割合の違いに応じてワクチン接 種の経済評価が違ってくる可能性も考えられる。また、異常 産の時期を泌乳期、乾乳期および分娩予定日前後の 3つにス テージに分類した。この 3つのステージごとに乳量の損失を 算出する方法で十分に乳量損失を把握できると考えられる。 しかし、厳密に考えると泌乳期のなかでも泌乳最盛期や泌乳 末期などの異常産したステージによって乳量の損失は変わっ てくるものと思われるが、今回はそこまで把握することはで きなかった。今後、アカバネ病による経済損失に関わる要因 については、さらにデータを収集・蓄積し、アカバネ病によ る経済損失をより正確に把握できるよう検討していきたい。 本研究は、家畜届出伝染病であるアカバネ病の発生の影響 を経済的側面から捉えようとする新しい試みであり、まだ経 済損失の項目の設定などいくつかの不十分な点はあるが、お おむね、千葉県で発生したアカバネ病の経済損失を数量化し、 得られた結果からワクチン接種の経済的有効性を示せたと考

えられる。今後は、本研究で得られた成績をもとに、アカバ

ネ病ワクチンの接種を酪農家に啓蒙していくために、本研究 の成果が千葉県のみならず、他地域でも普遍的に当てはまる か否かを検証していく必要があろう。

第5節

結静

千葉県匝瑳郡内の酪農家(25戸)の飼養するホルスタイン 種乳牛ノ(655頭)を対象に、1998年5月から1999年4月にか 36

(42)

けてアカバネ病ワクチン接種群と非接種群でアカバネ病によ る異常産の発生状況を調査し、得られた成績から本ワクチン の予防効果を検討するとともに、アカバネ病における異常産 による経済損失の算出を試み、以下の成績を得た。 1.接種群および非接種群の分娩に占めるアカバネ病による 異常産の割合は、それぞれ、0.6%(2/348)および 27.7% (39/141)であった。また、これらの成績から算出した相対 危険は 46.2、寄与危険は 27.1%、寄与危険割合は 97.8%で あった。

2.アカバネ病による経済損失を、3つの項目(死亡子牛の損

失、異常産に関わる治療費および乳量の損失)から試算した 結果、ワクチン非接種群では1頭あたり 32,353円の損失であ ったのに対し、ワクチン接種群では、1頭あたり 2,736 円の 損失であり、乳牛1頭当りのワクチン非接種群の損失は接種 群の損失の11.8倍であった。このことから、5∼10年周期で アカバネ病が流行する日本では、ワクチン接種は経済的に有 効であると考えられた。 37

(43)

第 3草

生物季節であるウメの開花日を用いた牛のアカバネ

病の流行予測

第1節

緒言

第1章および第 2章の研究により、アカバネ病ワクチン接 種は、アカバネ病の予防に有効であるのみならず、経済的に も十分に採算が合うものであることが明らかとなった。しか し、アカバネ病は 5-10 年周期で しか発生がみ ら れず [4,5,17,24,50,51]、毎年ワクチンを接種することを蹄躇する 酪農家もいる。また、アカバネ病は夏にヌカカを介して牛に ウイルスの伝播が起こるので、それ以前の春にワクチンを接 種しなければならない。よって、夏に本病の流行が起こるか 否かをその年の冬から春に予測することができれば、より効 果的かつ経済的なワクチン接種を行うことが可能となる。 これまでにも千葉県ではアカバネ病の流行が何回か報告さ れている[8,32,33,51]が、これらの流行を経験した臨床獣医 師や酪農家には、流行が夏にみられた年に先行する冬は暖冬 であったと記憶している人がおり、また、暖冬の年にはウメ の開花が早いことも知られている。そこで、本章では、アカ バネ病の流行予測を行うことを目的に、千葉県における過去 のアカバネ病発生年や初越夏牛のアカバネ病ウイルスの中和 抗体陽性率が上昇した年の気象状況ならびに気象庁により生 物季節として観測されているウメの開花日を調べ、アカバネ 病流行とその年の気象状況ならびにウメの開花日との関連性 について検討した。 38

(44)

第2節 材料および方法 2-1 調査項目 千葉県のアカバネ病発生状況(1972∼1998年)については アカバネ病発生事例に関する論文・報告など[31,32,51,52] から、千葉県におけるワクチン未接種初越夏牛のアカバネ病 中和抗体陽性率(1982∼1998年)については家畜伝染性疾病 発生予察事業牛疾病成績報告(千葉県)から、また、千葉県 北東部の月別平均気温、月別平均最高気温および月別降水量 (1970∼1998年)については千葉県気象年報(銚子気象台) から、千葉県北東部(銚子市)のウメ開花日(1972∼1998年) については生物季節観測値報告(気象業務支援センター)か ら、千葉県のワクチン(牛異常産 3種混合不括化ワクチンは 除く)接種頭数(1982∼1999年)については牛疾病発生予防 事業報告(千葉県家畜畜産物衛生指導協会)から、ならびに 千葉県の乳牛の雌と繁殖和牛の雌の飼育頭数(1982∼1999年) については畜産統計からデータを収集した。 なお本調査で用いた気温、降水量およびウメ開花日の平年 値は、1968年から1990年の31年間の平均値とした。 2-2 調査方法 2-1で収集した各調査項目に関するデータを元に、以下の 関連性を調べた。 1)アカバネ病の発生と気象状況の関連性 アカバネ病と暖冬、およびアカバネ病とヌカカが活動する 時期の降水量との関係をみるために、1970∼1998年の 29年 39

(45)

間で、千葉県のアカバネ病の発生およびワクチン未接種初越

夏牛のアカバネ病に対する中和抗体の陽性率の動向と、アカ

バネ病流行のみられた年の気象状況(1月および 2 月の平均 気温と平均最高気温ならびに 3∼10月の合計降水量)との関 連性をスチューデントの 亡検定により調べた。 2)ウメの開花日と気象状況の関連性 1970∼1998 年の 29 年間で、千葉県銚子市のウメの開花日 の平年差(銚子のウメの開花日の平年値 2月 2 日から各年の ウメの開花日を引いた目数)とこの地域の1月および2月の 平均気温の平年差との相関をピアソンの相関係数の検定によ り調べた。 3)アカバネ病の発生とウメの開花日の関連性 1982∼1998年の17年間で、千葉県でのワクチン未接種初

越夏牛のアカバネ病抗体陽性率とウメの開花日の平年差の関

連性、および1970∼1998年の19年間で千葉県においてアカ バネ病が流行した年またはワクチン未接種初越夏牛のアカバ ネ病に対する中和抗体陽性率が15%を超えた年とウメの開花 日との関連性をスチューデントのと検定により調べた。 第3節 成練 3-1 アカバネ病の発生と気象との関連性 千葉県では、1972年、1979年および1998年にアカバネ病 の大流行があったQ1972年は、県内4カ所の気象台または測 候所(銚子、館山、勝浦および千葉)の1月の平均気温はそ れぞれ8・4℃、8・1℃、8・6℃および6.9℃であった。これは4 40

(46)

地域の平年値 5.8℃、6.0℃、6.1℃および4.9℃に比べて、そ れぞれ 2.6℃、2.1℃、2.5℃および2.0℃高く、いずれの気象 台または測候所とも1月の平均気温としては、1915年に気象 観測を開始して以来最も高い値であった[1]。また、1979年 は、上記 4地域の1月の平均気温は、それぞれ 7.5℃、6.9℃、 7.4℃および 5.8℃で、平年値に比べそれぞれ1.7℃、0.9℃、 1.3℃および0.9℃高かった。さらに 2月の平均気温も、それ ぞれ9.7℃、9.2℃、9.4℃および8.2℃で、2月の平年値6.1℃、 6.4℃、6.2℃および5.1℃に比べて、3.6℃、2.8℃、3.2℃お よび 3.1℃高かった。これは 2 月の平均気温としてはいずれ の気象台または測候所とも観測史上最高値であった。1998年 も上記 4カ所の1月の平均気温は、それぞれ 6.7℃、6.2℃、 6.5℃および5.3℃、また2月の平均気温は、それぞれ6.9℃、 7・4℃、7・4℃および 6.7℃で、やはり平年値に比べ高い値で あった(表10)。 記録のとられている1970年から1998年の29年間で、千葉 県でアカバネ病の流行があった年(1972、1979 および1998 年)および千葉県の家畜保健衛生所が実施している家畜伝染 性疾病発生予察事業において、ワクチン未接種初越夏牛のア カバネ病に対する中和抗体陽性率が15%を超えた年(1982、 1983、1984、1989、1992、1993および1997年)の計10年と その他の19年における1月の平均気温(銚子)の平年差(平 均±標準偏差)は、それぞれ1.14±1.29 および-0.08±1.15 で、前者は後者に比べ有意に高かった(f)く0.05)(図 4)。し かしこれら10年(1972、1979、1982、1983、1984、1989、1992、 41

(47)

TabJe10MeantemperatureoffburregionsinChibaprefbctureonJanuaryandFebruary.

Year

Temperature(℃)ofJanuary

ChoushiTateyama

Temperature(Oc)ofFebruary

Katsuura

Chiba

ChoushiTateyama

Katsuura

Chiba

1972

8・4

8・1

(+2.6)1)(+2.1)

1979

7.5

6.9

(+1.7)

(+0.9)

1998

6.7

6.2

(+0.9)

(+0.2)

8.6

6.9

(+2.5)(+2.0)

7.4

5.8

(+1.3)(+0.9)

6.5

5.3

(+0.4)(+0.4)

7.2

6.8

(+1.1)

(+0.4)

9.7

9.2

(+3.6)

(+2.8)

6.9

7.4

(+0.8)

(+1.0)

6.6

5.3

(+0.4)(+0.2)

9.4

8.2

(+3.2)(+3.1)

7.4

6.7

(+1.2)(+1.6)

Ave.ofTemp. 如m1961to

5・8

6.0

6.1

4.9

6.1

6.4

6.2

5.1

1990

1)():thevariationfromtheaverage.

(48)

A∽

0

5

0

5

0

5

0

5

0

50

■ -■ ■ ■ ■ ■ ■

3

2

2

1.1.〇

1

12

意2。u冨」コ盲監㌃「--l -・.ノ こ声 与 さ∼ 亨⊥ ーて1 ′てJ 一-; 主・ ゝ÷ -_三;:二 _1盲ノi-ぞヰ'号 ;三1≦■ ⊥=_- 護三≡-喜売三 きごナー し・一→_- ゝ■・-rユニ 耳:空_三 立モ 纂 十十+ 賢 llIlll lllll】 顎 ナ 喜 葱 塾 r二 ∩ n 題 ♪て 毒 撥 ー■ ・1ニニ 一・∴ 一-〝tヽ ーこ ∵二▲ 二∴7= ▲、こふ・: 宣⊥貪 塑 ヂ .・ゴ.. ;■.空: rh†:き ま二 i・言1 き ニニ 註 恕 ≡]ぎ 泰 キ⊥ l l l l う 萎 筆 裏 十 ニ プ† n ■妄 尋 寿 撃 ■苫 てし ▼▼ llt √ 巨王 変: u ノ十 l I l l u I l l 丁壱 已1 三べ 悠苧 墓 +十 .■去 一票慧≡莞 ◆7憬シ 苧I 崇三 言 控 ニ稟 j・. 一二÷ 臨■▲L 歪三 三,≡ニ ≡さ≦ ≡彗 闇 ㍗■3這 一一方ケ 豪華藁 ン唇霊三二 ミ 蓉 亮 ≡}亨 毒 ニ壬】 下r 云 ヒ二 ?1-、,ヒ 与 -冠■・ 妻 壷 髪 挙 R毒萱′ も 皇ニー竪二ご莞ミ 顎 領 袈 宴 蓋 ≦苧 毒 墓芳一. 還 ++十 :ゝ三 ′▼ヾ 拶喜≡ :密雲

≡喜≡≡芸≡冨E冨冨喜喜冨冨蓋冨冨喜冨冨冨喜≡冨蓋冨冨喜

+:TemperatureanomaJy=averagetemperatureofJanuaryofeachyear-aVerage

temperatureofJanuary什om1961to1990(5.8℃).

冨空

:YearswithAkabanediseaseoutbreaks,OrWithincreaseofantibodytitersagainstAkabanedisease inmorethan15%oftheanimals,Whichindicatesinfectionwithoutc=nicaIsigns,atChibaprefbcture

Fig・4Temperatureanoma[yincomparisontotheaveragetemperatureonJanuaryand

yearswithAkabanediseaseoutbreaks,OrWithincreaseofantibodytitersagainst

Akabanediseaseinmorethan15%oftheanimaJsatChibapref6cture

(49)

1993、1997および1998年)とその他の19年の月平均最高気 温(平均±標準偏差)は、1月がそれぞれ10.5±1.2および9.6 ±1.1、また 2 月がそれぞれ10.2±1.8 および 9.6±1.1で、 両者間には有意な差はみられなかった。これら10年のうち、 1972、1979、1983、1984、1989、1992、および1993年の 7年 では、その前年の 3 月から10 月の合計降水量が平年値より 250mm以上多かった(表11)。 3-2

ウメの開花日と気象との関係

千葉県銚子市における1月の平均気温の平年差(各年の1 月の平均気温から1月の平均気温の平年値 5.8℃を引いたも の)と銚子のウメの開花日の平年差の間には有意に強い相関 (r=0・725)が認められた(pく0.01)(表11)。なお2月の平 均気温とウメの開花日との間に相関はなかった。 3-3

アカバネ病の発生とウメの開花日の関係

1982年から1998年の千葉県でのワクチン未接種初越夏牛 のアカバネ病抗体陽性率の経年変化とウメの開花日の経年変 化を比べるとこ 抗体陽性率が上昇した年とウメが早く開花し ていた年との間には有意な関連がみられた(pく0.05)(図5)。 また1970年から1998年の29年間で、千葉県でアカバネ病の 流行があった年(1972、1979および1998年)およびワクチ ン未接種の初越夏牛のアカバネ痛に対する中和抗体陽性率が 15%を超えた年(1982、1983、1984、1989、1992、1993およ び1997年)の計10年とその他の19年におけるウメの開花日 44

(50)

TabJellRateofAkabaneantibodypositivecowswithoutvaccination,temPerature,PreCipitationandb.00mingdayofLhnei Year Akabaneantibody POSitiveratio 1970 1971 Outbreak 1974 1975 1976 1977 1978 1985 1986 1987 1988 1990 1991 1994 1995 358 683 1996 8.7 A∽ Temp・OfJanuarY Max・temP・OfJan・Max..temp.ofFeb. Temp.variationl) (℃) 4.9 -0.9 5.7 -0.1 4.1 -1.7 5 -0.8 ・5.4 -0.4 3.9 -1.9 6.7 0.9 8.6 0.8 4.3 -1.5 ー1.4 -1.1 Temp.variationl)Temp.variationl) (℃) 9.6 -0.3 10.7 -0.1 10.6 0.7 8.4 -1.5 9.0 -0.9 10.0 0.1 7.4 -2.5 10.8 0.9 10.6 0.7 8.4 -1 8.2 -1.7 8.2 -1.7 0.8 10.1 0.2 2.4 11.9 2.0 (℃) 11.1 1.3 11 0.0 11.4 Precipitationf(omMarch to October Amount variationl) (mm) り04.5 -78.3 1,527.0 344.2 2フ6.8■∑ 9.3 -0.5 1.191.0 8.9 -0.9 10.5 0.7 8.9 -0.9 8.9 -0.9 8.9 -0.9 5 -0 10.5 0.7 7.2 -2.6 10.4 0.6 8.2 -1.6 1.7 1.8 _10. 9.1 -0.8 0.8 10.2 0.3 6.3 0.5 9.7 -0.2 10.0 0.1 9.6 -0.3 10.9 1.1 10.5 0.7 9.6 -0.2 9.5 -0.3 8.3 -1.5 Mean3) 1,131.0 1,229.5 1,254.5 1,824.5 1,388.0 914.0 1,068.0 1,181.5 1,341.5 1,644.0 8.2 -51.8 46.7 71.7 641.7 205.2 -268.8 ー114.8 -1.3 158.7 461.2 ,915.5謹;970.5 -212.3 1,987.0 804.2 1,038.0 -144.8 1,337.5 154.7 978.0 -204.8 Bloomingdayof 肋e Blooming Variationl・2) day 4.Feb. -2 19.Feb. -17 2.Feb. 21.Feb. 5.Feb. 17.Feb. 15.Feb. 25.Jan. 三rゝ一、1 26.Jan 19.Jan. 10.Feb. 93538 1-11 一 一 】 8 24.Jan. 9 14.Jan. 19 13.Jan、 20 29.Jan. 4 27.Jan. 6 10」Jah: 4.Feb. -2 25.Jan. 8 4.Feb. -2 7二Jan. :theyearsofAkabaneoutbreakatChibaprefecture 1)Variationfrommean 2)+‥thebJoomingearlier,-:thebJoominglater 3)Meanisaverage舟・Om1961to1990 UTtV・ヽ′、} ¶▼ UヽIU.0 一 ㌫始点+十王1如.7一 1,182.8 OrtheyearsofAkabaneantibodypositiverateover15%. 2.Feb.

(51)

%・Day Aの

ゝ巾Pぎ篭0〇一qむご5む5-OuO焉てQ>

S一句∈篭ご0温度u告Lむd

0 0 0 6 5 4 3 2 1 0 0 0 0 -30 19821983198419851986198719881989199019911992199319941995199619971998 Year 1)Theaverageofb]00mingdayofLh7efrom1961to1990is2ndFebruary;+:thebloomingearIier,-:theblooming

Fig.5

PercentageofanimaJswithAkabaneantibodypositiveandvariationof

the助77ebJoomingday,

(52)

の平年差は、17.9±13.3 日および 0.7±11.5 日で、前者は後 者に比べてウメが有意に早く開花していた(p〈0.01)(表11)。 3-4

千葉県のワクチン接種率の推移

千葉県のワクチン接種率は、1982年∼1998年までは8.5∼ 12.8%と約10%程度で推移していたが、1998 年秋∼1999年 冬のアカバネ病流行後の1999 年春におけるワクチン接種率 は 37.2%で著しく増加していた(表12)。

第4節

考察

本研究により、1月の平均気温が高い年にアカバネ病の発 生またはワクチン未接種初越夏牛の抗体陽性率の上昇がみら れたことから、千葉県でアカバネ痛が発生した年は暖冬であ ったことが示された。我が国でアカバネ病を媒介していると 考えられているウシヌカカは、成虫の一部はウイルスを体内 に保有したまま越冬すると言われている[18,26,30,41,42]。 また、通常は幼虫で越冬するが、気温が12.6℃以上あれば活 動できるため、暖冬の場合、冬季でもヌカカの成虫は活動が 可能で、越冬する個体が増え、そのため暖冬の年のあとの夏 には多数のヌカカが出現するのではないかと推測された。そ こに何らかの条件によりアカバネ病ウイルスが介在しアカバ ネ痛が発生しやすい状況になるものと考えられた。また、ア カバネ病が発生した年またはワクチン未接種初越夏牛の抗体 陽性率が上昇した年の前年の3月から10月の合計降水量も多 い傾向にあった0 これは多雨がヌカカの活動や増殖を助長し 47

(53)

Table12Vaccinationratioagainst

AkabanediseaseinChibap・refecture・

Year No.ofvaccinatedcattle Popu]ation Vaccinationratio

1982 1983 1984 1985 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 199ヰ 1995 1996 1997 1998 1999 8.755 8,448 9,409 7,802 9,969 10,098 10,107 10,809 10.568 9,124 8,194 7,751 6.659 6,952 6,765 6,284 5,926 23,560 91,680 93,260 93,050 91,825 91,500 89,750 88,070 84,550 82,665 81,080 77,580 74.680 73,080 71.345 69,710 67,880 64.460 63,370

(54)

[30]、さらに続いて暖冬になると、増加したヌカカ成虫がそ のまま越冬するため、前述したようにアカバネ病の発生やワ クチン未接種初越夏牛の抗体陽性率が上昇につながったもの ・と思われる。また、さらに、エルニ ニヨの年は、暖冬や多 雨が一緒に出現することが多い[13,54]ので、エルニ ニヨの 年もアカバネ病発生の危険性が増すものと推測される。これ らの成績から、千葉県においてはアカバネ病流行と暖冬との 間には関連があることが示唆された。 しかしながら、アカバネ病発生と暖冬との間には調査期間 全体としては関連性が認められるものの、たとえば1987年や 1998年のように、暖冬でかつ多雨であった年でもアカバネ病 の発生のみられない年もあり、個々の年についてみると必ず しも両者間で関連がみられないケースもみられた。これらの ことから、アカバネ病発生には暖冬や多雨以外の要因も関与 している可能性も考えられ、今後、発生に関与する要因につ いて検討するとともに、アカバネ病発生と気象などの要因と の関係について、多変量解析などの手法を用いてさらに詳細 に解析していきたい。 アカバネ病発生と暖冬の間には関連がみられることから、 暖冬であることがわかれば、すなわち、1月の平均気温が高 い場合にはその年の夏にアカバネ病が発生する可能性が高い と考えられるが、正確な1月の平均気温を知るためには、気 象庁や気象台などに問い合わせて気象データを収集する必要 がある。しかし、酪農家に多忙な日常業務の中で、定期的に 気象データを確認してもらうということは困難であり、また、 49

(55)

そのような気象データを臨床獣医師が酪農家を示したとして もワクチン接種の必要性まで理解してもらうのはなかなか困 難である。そこで、酪農家の身近にあるものの中から暖冬の 指標となるものを選び、その変化で暖冬であることを理解し てもらえれば、あわせてアカバネ病ワクチンの接種を啓蒙す ることが可能であると考え検討した結果、その指標としてウ メを選んだ。その理由として、1.ウメは、12月または1月の 気温が高いときに早く開花する[7]。2.ウメは、開花の早晩 の変動幅が大きく、平年値に比べ30日以上も早く開花するこ とがある。3.ウメはワクチン接種時期(4月、5月)の前に開 花するので、ウメの開花時期をみてその年のアカバネ病の流 行を予測し、ワクチンを接種することができる。4.ウメは、 気象台で標本木が設定され、生物季節として毎年観測されて いる。5・ウメは農家の庭先にも植えられていることが多く身 近な植物である、といったことがあげられる。 ウメの開花日と気象データとの間で関連性をみたところ、1 月の月平均気温の高低とウメの開花の早晩が密接に関連して いることが確認できた。さらに、ウメの開花日の早晩とアカ バネ病の動向をみると、千葉県ではアカバネ病が発生した年 およびワクチン未接種初越夏牛の抗体陽性率が上昇した年は ウメが早く開花していた。これは、アカバネ病が流行したり、 抗体陽性率が上昇した年は暖冬で、そのためウメが早く開花 したことを意味している。したがって、ウメの開花日の早晩 を知ることでアカバネ病発生予測を行うことができる可能性 が示唆された0 実際、1998年の千葉県でのアカバネ病流行時 50

参照

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