伝えるための工夫を発見し自らの表現に生かすNIE
学習 : 「日本語表現法I」における記事文集『にほ
んご』制作を例として
著者
大滝 一登
雑誌名
ノートルダム清心女子大学紀要. 外国語・外国文学
編, 文化学編, 日本語・日本文学編
巻
36
号
1
ページ
1-16
発行年
2012
URL
http://id.nii.ac.jp/1560/00000165/
二 大滝一登 伝えるための工夫を発見し自らの表現に生かす NIE 学習 いても NIE 導入のあり方を検討する価値は高いと考えられる。 そこで本稿では、国語科﹁書くこと﹂における NIE 学習の一試 みとして、新聞記事に凝らされた書き手の工夫を発見し自らの表現 に生かす学習を取り上げ、その意義と課題について考察する。考察 に当たっては、 具体的な実践例として筆者が今年度大学で行った ﹁日 本語表現法 Ⅰ ﹂の授業を挙げる。大学でのこの実践は、国語科教育 に向けた参考事例と大学教育における NIE 実践との両面を有して いるが、ここでは前者をあくまでも中心的に、後者を補足的に取り 扱うこととしたい。 二、国語科における NIE 学習 前述のとおり、国語科においても新聞を使った学習が新学習指導 要領に取り上げられている。小学校では﹁ C 読むこと﹂の言語活動 例として ﹁編集の仕方や記事の書き方に注意して新聞を読むこと。 ﹂ ︵第五学年及び第六学年︶が、 また中学校でも同じく﹁ C 読むこと﹂ の言語活動例として﹁新聞やインターネット、学校図書館等の施設 などを活用して得た情報を比較すること。 ﹂︵第二学年︶ 、﹁論説や報 道などに盛り込まれた情報を比較して読むこと。 ﹂︵第三学年︶が、 高等学校﹁国語表現﹂でも﹁新聞﹂という言葉こそ使われていない が、言語活動例として﹁話題や題材などについて調べてまとめたこ とや考えたことを伝えるための資料を、図表や画像なども用いて編 集 す る こ と。 ﹂ が 示 さ れ て お り、 新 聞 は 国 語 科 の 授 業 で 積 極 的 に 活 用すべき価値ある教材とみなされている。 ところで、国語科では新聞を使ってどのような授業実践がなされ てきたのだろうか。 NIE の授業実践は日常的に新聞に報道され、 そ の 実 践 を 数 え 上 げ る こ と は 困 難 だ が、 た と え ば 小 田 迪 夫・ 枝 元 一 三 編 著﹃ 国 語 教 育 と N I E ︱ 教 育 に 新 聞 を!﹄ ︵ 4 ︶ に は、 吟 味 さ れ た 次 の 一 一 の 事 例 が 掲 載 さ れ て い る。 ︵ た だ し A ∼ K の 記 号 は 筆 者が便宜的に付けたもの︶ A 新聞の読み方を考えさせる︻小学校︼ 見出しをきっかけとして B 情報を生かして確かな表現力を育てる︻小学校︼ 作文学習と NIE を関連させて C 発達段階に応じた情報のよみ︻中学校︼ 写真をよむ D 新聞の楽しみ方︻中学校︼ 新聞の導入から発展へ E この人に学ぶ︻中学校︼ 新聞記事から人の生き方を探る F 異文化理解を深める︻中学校︼ 教科書教材で学んだ力を新聞︵国際面︶で定着させ る G 教室から社会へ︻中学校︼ テーマを新聞に求め、主体的な学習態度を育てる H 情報を﹁受信﹂し、意見を﹁発信﹂する︻高等学校︼ グループ学習で記事を受信し、投書で意見を発信す る NIE I 生徒の問題意識を喚起する︻高等学校︼ 進路・小論文指導としての NIE J 古典と新聞の接点をさぐる︻高等学校︼ 古文教材による新聞づくり K ﹁論語﹂の今日的意義を考える︻高等学校︼ 新聞投書を出発点として 大滝一登 伝えるための工夫を発見し自らの表現に生かす NIE 学習 一 紀 要 第三十六巻 第一号︵通巻四十七号︶一∼一六︵二〇一二︶
伝えるための工夫を発見し自らの表現に生かす
NIE
学習
﹁日本語表現法
Ⅰ
﹂における記事文集﹃に
ほ
んご﹄制作を例として
大
滝
一
登
一、はじめに ︱ NIE をめぐる動き︱ 昨 今 教 育 界 で N エヌ I アイ E イー ︵ Newspaper in Education ︶ へ の 関 心 が し だ い に 高 ま り つ つ あ る。 N I E は﹁ 教 育 に 新 聞 を ﹂﹁ 教 育 に お け る 新聞活用﹂などと訳され、新聞を活用した教育活動を進めている。 ﹃情報読解力を育てる NIE ハンドブック﹄ ︵以下 ﹁ハンドブック﹂ ︶ には NIE のこれまでの経緯について次のような記述 ︵ 1 ︶ がある。 NIE を牽引してきた日本新聞教育文化財団︵新聞財団︶の ホームページによれば、 NIE は一九三〇年代にアメリカで始 まり、日本では一九八五年、静岡で開かれた新聞大会で提唱さ れたといわれる。この財団は、社団法人日本新聞協会が基金を 拠 出 し て 一 九 九 八 年 に 設 立 し た も の で、 ﹁ 教 育 界 と 新 聞 界 が 協 力し、社会性豊かな青少年の育成や活字文化と民主主義社会の 発展﹂を期すことを目的に掲げている。同財団が日本新聞協会 から引き継いだ﹁新聞提供事業﹂と﹁研究・ PR 事業﹂のうち 前者の事業を受けて﹁ NIE 実践校制度﹂が展開されている。 ︵中略︶二〇〇五年三月、こうしたこれまでの NIE 実践校の 取り組みをさらに継承・発展させ、また、 NIE の理論と実践 を深化させる意図を掲げて、日本 NIE 学会が発足した。会員 数三〇〇名余を擁し、毎年、全国大会を開催し、機関誌﹃日本 NIE 学会誌﹄を発行してきている。 なお、実際的な NIE 活動の中核となる実践校の指定は、各都道 府県に設けられた NIE 推進協議会あるいは NIE 連絡会 ︵以下 ﹁推 進 協 議 会 ﹂︶ に よ る 推 薦 を 経 て、 日 本 新 聞 協 会 に よ り 決 定 さ れ る。 推進協議会は岡山県の場合、新聞社、教育委員会、小・中・高等学 校、大学の各関係者によって構成されており、地域の NIE 活動の 推進・調整等を一手に担っている。 近年、新学習指導要領に﹁各教科等における言語活動の充実﹂が 謳われ、各教科等の言語活動や学習指導要領の解説書の記述に﹁新 聞﹂が数多く盛り込まれたことから、 NIE の活動への理解も進み つつあるようにみえる。岡山県においても、山陽新聞社と県内全教 育委員会との協定締結 ︵ 2 ︶ や、 NIE 推進協議会大学部会の設置 ︵ 3 ︶ など今年度新たな動きを見せている。 N I E は 校 種 や 教 科 等 を 問 わ ず 多 様 な 教 育 活 動 を 展 開 し て い る が、言語を扱う国語科とはとりわけ関係が深いといえよう。また、 大学も教育の場である以上、小・中・高等学校のみならず大学にお二 大滝一登 伝えるための工夫を発見し自らの表現に生かす NIE 学習 いても NIE 導入のあり方を検討する価値は高いと考えられる。 そこで本稿では、国語科﹁書くこと﹂における NIE 学習の一試 みとして、新聞記事に凝らされた書き手の工夫を発見し自らの表現 に生かす学習を取り上げ、その意義と課題について考察する。考察 に当たっては、 具体的な実践例として筆者が今年度大学で行った ﹁日 本語表現法 Ⅰ ﹂の授業を挙げる。大学でのこの実践は、国語科教育 に向けた参考事例と大学教育における NIE 実践との両面を有して いるが、ここでは前者をあくまでも中心的に、後者を補足的に取り 扱うこととしたい。 二、国語科における NIE 学習 前述のとおり、国語科においても新聞を使った学習が新学習指導 要領に取り上げられている。小学校では﹁ C 読むこと﹂の言語活動 例として ﹁編集の仕方や記事の書き方に注意して新聞を読むこと。 ﹂ ︵第五学年及び第六学年︶が、 また中学校でも同じく﹁ C 読むこと﹂ の言語活動例として﹁新聞やインターネット、学校図書館等の施設 などを活用して得た情報を比較すること。 ﹂︵第二学年︶ 、﹁論説や報 道などに盛り込まれた情報を比較して読むこと。 ﹂︵第三学年︶が、 高等学校﹁国語表現﹂でも﹁新聞﹂という言葉こそ使われていない が、言語活動例として﹁話題や題材などについて調べてまとめたこ とや考えたことを伝えるための資料を、図表や画像なども用いて編 集 す る こ と。 ﹂ が 示 さ れ て お り、 新 聞 は 国 語 科 の 授 業 で 積 極 的 に 活 用すべき価値ある教材とみなされている。 ところで、国語科では新聞を使ってどのような授業実践がなされ てきたのだろうか。 NIE の授業実践は日常的に新聞に報道され、 そ の 実 践 を 数 え 上 げ る こ と は 困 難 だ が、 た と え ば 小 田 迪 夫・ 枝 元 一 三 編 著﹃ 国 語 教 育 と N I E ︱ 教 育 に 新 聞 を!﹄ ︵ 4 ︶ に は、 吟 味 さ れ た 次 の 一 一 の 事 例 が 掲 載 さ れ て い る。 ︵ た だ し A ∼ K の 記 号 は 筆 者が便宜的に付けたもの︶ A 新聞の読み方を考えさせる︻小学校︼ 見出しをきっかけとして B 情報を生かして確かな表現力を育てる︻小学校︼ 作文学習と NIE を関連させて C 発達段階に応じた情報のよみ︻中学校︼ 写真をよむ D 新聞の楽しみ方︻中学校︼ 新聞の導入から発展へ E この人に学ぶ︻中学校︼ 新聞記事から人の生き方を探る F 異文化理解を深める︻中学校︼ 教科書教材で学んだ力を新聞︵国際面︶で定着させ る G 教室から社会へ︻中学校︼ テーマを新聞に求め、主体的な学習態度を育てる H 情報を﹁受信﹂し、意見を﹁発信﹂する︻高等学校︼ グループ学習で記事を受信し、投書で意見を発信す る NIE I 生徒の問題意識を喚起する︻高等学校︼ 進路・小論文指導としての NIE J 古典と新聞の接点をさぐる︻高等学校︼ 古文教材による新聞づくり K ﹁論語﹂の今日的意義を考える︻高等学校︼ 新聞投書を出発点として 大滝一登 伝えるための工夫を発見し自らの表現に生かす NIE 学習 一 紀 要 第三十六巻 第一号︵通巻四十七号︶一∼一六︵二〇一二︶
伝えるための工夫を発見し自らの表現に生かす
NIE
学習
﹁日本語表現法
Ⅰ
﹂における記事文集﹃に
ほ
んご﹄制作を例として
大
滝
一
登
一、はじめに ︱ NIE をめぐる動き︱ 昨 今 教 育 界 で N エヌ I アイ E イー ︵ Newspaper in Education ︶ へ の 関 心 が し だ い に 高 ま り つ つ あ る。 N I E は﹁ 教 育 に 新 聞 を ﹂﹁ 教 育 に お け る 新聞活用﹂などと訳され、新聞を活用した教育活動を進めている。 ﹃情報読解力を育てる NIE ハンドブック﹄ ︵以下 ﹁ハンドブック﹂ ︶ には NIE のこれまでの経緯について次のような記述 ︵ 1 ︶ がある。 NIE を牽引してきた日本新聞教育文化財団︵新聞財団︶の ホームページによれば、 NIE は一九三〇年代にアメリカで始 まり、日本では一九八五年、静岡で開かれた新聞大会で提唱さ れたといわれる。この財団は、社団法人日本新聞協会が基金を 拠 出 し て 一 九 九 八 年 に 設 立 し た も の で、 ﹁ 教 育 界 と 新 聞 界 が 協 力し、社会性豊かな青少年の育成や活字文化と民主主義社会の 発展﹂を期すことを目的に掲げている。同財団が日本新聞協会 から引き継いだ﹁新聞提供事業﹂と﹁研究・ PR 事業﹂のうち 前者の事業を受けて﹁ NIE 実践校制度﹂が展開されている。 ︵中略︶二〇〇五年三月、こうしたこれまでの NIE 実践校の 取り組みをさらに継承・発展させ、また、 NIE の理論と実践 を深化させる意図を掲げて、日本 NIE 学会が発足した。会員 数三〇〇名余を擁し、毎年、全国大会を開催し、機関誌﹃日本 NIE 学会誌﹄を発行してきている。 なお、実際的な NIE 活動の中核となる実践校の指定は、各都道 府県に設けられた NIE 推進協議会あるいは NIE 連絡会 ︵以下 ﹁推 進 協 議 会 ﹂︶ に よ る 推 薦 を 経 て、 日 本 新 聞 協 会 に よ り 決 定 さ れ る。 推進協議会は岡山県の場合、新聞社、教育委員会、小・中・高等学 校、大学の各関係者によって構成されており、地域の NIE 活動の 推進・調整等を一手に担っている。 近年、新学習指導要領に﹁各教科等における言語活動の充実﹂が 謳われ、各教科等の言語活動や学習指導要領の解説書の記述に﹁新 聞﹂が数多く盛り込まれたことから、 NIE の活動への理解も進み つつあるようにみえる。岡山県においても、山陽新聞社と県内全教 育委員会との協定締結 ︵ 2 ︶ や、 NIE 推進協議会大学部会の設置 ︵ 3 ︶ など今年度新たな動きを見せている。 N I E は 校 種 や 教 科 等 を 問 わ ず 多 様 な 教 育 活 動 を 展 開 し て い る が、言語を扱う国語科とはとりわけ関係が深いといえよう。また、 大学も教育の場である以上、小・中・高等学校のみならず大学にお四 大滝一登 伝えるための工夫を発見し自らの表現に生かす NIE 学習 こうしてみると、新聞を使って実に多様な学習活動が展開されて いることが分かる。先述のハンドブックでは NIE 学習の目標とし て、①読解力、②情報活用力、③メディアリテラシー、④自己学習 力、 ⑤シティズンシップ、 ⑥問題発見力の六つが挙げられている ︵ 5 ︶ が、国語科でもこれらの ほ とんどが重要な学習目標であることがう かがえよう。 しかし、工夫されたこれらの事例においても、やはり記事の内容 ︵テーマ︶を重視した実践が比較的多いことに気付く。興味関心の 高い社会問題やテーマを扱った記事を選んだり記事の内容に対する 考えを深めたりする学習活動が中心的なのである。そうした意味で は先の六つの目標のうち、とりわけ①、④、⑥がこれらの事例では 主に目指されているといえる。 だが、互いのメッセージを的確に伝え合うためには、何が述べら れているかという内容面だけでなく、どのように述べられているか という形式面にも着目することが重要である。そういう意味では② 情報活用力や③メディアリテラシーを育成する実践も NIE では非 常に重要である。特に新聞は、見出しやレイアウトなど多様な形式 性を有する恵まれた情報伝達媒体といえる。こうした新聞の形式的 な特徴に着目したとき、国語科ではどのような実践の可能性がみえ てくるだろうか。 そこで今回はその一試みとして、伝えるための工夫を新聞記事か ら発見し自らの表現に生かす NIE 学習を筆者の授業において行う こととした。 三、 ﹁日本語表現法 Ⅰ ﹂における NIE 実践 筆者が担当する﹁日本語表現法 Ⅰ ﹂は、学科の三年次生以上を対 象とし、社会人、中学・高校国語科教師、日本語教師として求めら れる文章表現力や音声言語活用能力の向上を図る科目︵ Ⅰ 期︶であ る。報告文や手紙など実用的な文章表現の練習と相互評価を中心に 行 っ て き た が、 今 年 度 は N I E 学 習 を 取 り 入 れ、 ﹃ に ほ ん ご ﹄ と 題 した記事的要素の強い文集作りに取り組ませることとした。 ︵図 1 ︶ 文集作り自体は 以前から行ってい るが、これまでは 各々の学生がイン タビューを聞き書 きの形にまとめる ものが中心であっ た。この取り組み をベースとし、さ らにインタビュー以外の内容も取り入れることで複合的な文章表現 の練習の場としようと考えたとき、参考になったのが新聞という表 現媒体であった。 ⑴ 実践の概要 ○受講学生 三 年 次 生 二 一 名︵ 教 職 課 程 履 修 者 を 含 む ︶、 四 年 次 生 一名、留学生二名 ○実践時期 二〇一一年六月から八月までの授業六回 図1 記事文集『にほんご』 大滝一登 伝えるための工夫を発見し自らの表現に生かす NIE 学習 三 これらの事例を新聞の活用方法という視点からまとめてみると次 のようになる。 育成したい力 活用箇所 新聞に関する主な学習活動 A 見 出 し の 重 要 性の理解力 見出し 隠 さ れ た 見 出 し の 一 部 を 考 え る。 写 真 の 見 方 や 読み比べる力 写真 撮 影 す る 角 度 や 位 置 の 異 な る 記事の写真を比較する。 B 事 実 へ の 問 題 意識 記事 ︵内容︶ 書 き た い 問 題 を 収 集 し た 新 聞 記事からさがす。 根 拠 を 示 し な がら書く力 記 事︵ 文 章 構成︶ テ ー マ に 基 づ き 意 見 文 を 書 く 。 C 情 報 を 主 体 的 によむ力 比較読みの力 写真 一面記事の写真を比較する。 D 情報選択能力 記事 ︵内容︶ ﹁ お 薦 め 記 事 ﹂ を ス ク ラ ッ プ する。 総 合 的 な 言 語 能力 記事 ︵内容︶ 記事 ︵形式︶ ﹁ お 薦 め 記 事 ﹂ を 色 画 用 紙 に 新聞形式にまとめ発表する。 E 新 聞 に つ い て の基礎知識 新 聞 の 製 作 過程 ビ デ オ﹁ 新 聞 の で き る ま で ﹂ をメモをとりながら見る。 情報選択能力 人 物 記 事 ︵内容︶ 感 動 し た 人 物 記 事 を 切 り 抜 き、プリントに貼る。 取材能力 記者の技能 記者に取材の仕方を学ぶ。 情 報 を 編 集 し 表現する力 新聞の形式 個人新聞にまとめる。 F 情報選択能力 記事 ︵内容︶ 新 聞 記 事 か ら さ ま ざ ま な 国・ 地 域・ 民 族 の 文 化・ 風 習 等 を 読み取る。 文章表現力 記事 ︵表現 ・ 形式︶ 選 ん だ 記 事 を 日 本 の 立 場 か ら 書き直す G 情報選択能力 記事 ︵内容︶ 関 心 の あ る テ ー マ 記 事 を 切 り 抜 き、 要 点 を カ ー ド に 記 入 す る。 取材能力 記者の技能 生 徒 が 記 者 と な り、 ﹁ 知 事 会 見﹂を取材する。 H 情 報 選 択 能 力 表現力 記事 ︵内容︶ 関 心 の あ る 記 事 を 切 り 抜 き、 理 由 や 意 見 を プ リ ン ト に 記 入 す る。 発 表 の 後、 ク ラ ス 討 議 を行う。 文章表現力 投書 投 書 欄 の 分 析 の 後、 投 書 を 書 いて投稿する。 I 情 報 選 択 能 力 文章表現力 連載記事 連 載 記 事 の う ち 印 象 に 残 っ た も の を 選 び、 選 ん だ 理 由 を 書 く。 J 新 聞 に つ い て の基礎知識 新聞 ︵内容 ・ 形式︶ 新聞がどんなものか調べる。 情 報 を 編 集 し 表現する力 新聞の形式 ﹁ 花 山 天 皇 の 出 家 ﹂ を 新 聞 に する。 K 情 報 選 択 能 力 表現力 投書 投書を選び発表する。 その後、 内 容 に つ い て ク ラ ス で 討 議 す る。
四 大滝一登 伝えるための工夫を発見し自らの表現に生かす NIE 学習 こうしてみると、新聞を使って実に多様な学習活動が展開されて いることが分かる。先述のハンドブックでは NIE 学習の目標とし て、①読解力、②情報活用力、③メディアリテラシー、④自己学習 力、 ⑤シティズンシップ、 ⑥問題発見力の六つが挙げられている ︵ 5 ︶ が、国語科でもこれらの ほ とんどが重要な学習目標であることがう かがえよう。 しかし、工夫されたこれらの事例においても、やはり記事の内容 ︵テーマ︶を重視した実践が比較的多いことに気付く。興味関心の 高い社会問題やテーマを扱った記事を選んだり記事の内容に対する 考えを深めたりする学習活動が中心的なのである。そうした意味で は先の六つの目標のうち、とりわけ①、④、⑥がこれらの事例では 主に目指されているといえる。 だが、互いのメッセージを的確に伝え合うためには、何が述べら れているかという内容面だけでなく、どのように述べられているか という形式面にも着目することが重要である。そういう意味では② 情報活用力や③メディアリテラシーを育成する実践も NIE では非 常に重要である。特に新聞は、見出しやレイアウトなど多様な形式 性を有する恵まれた情報伝達媒体といえる。こうした新聞の形式的 な特徴に着目したとき、国語科ではどのような実践の可能性がみえ てくるだろうか。 そこで今回はその一試みとして、伝えるための工夫を新聞記事か ら発見し自らの表現に生かす NIE 学習を筆者の授業において行う こととした。 三、 ﹁日本語表現法 Ⅰ ﹂における NIE 実践 筆者が担当する﹁日本語表現法 Ⅰ ﹂は、学科の三年次生以上を対 象とし、社会人、中学・高校国語科教師、日本語教師として求めら れる文章表現力や音声言語活用能力の向上を図る科目︵ Ⅰ 期︶であ る。報告文や手紙など実用的な文章表現の練習と相互評価を中心に 行 っ て き た が、 今 年 度 は N I E 学 習 を 取 り 入 れ、 ﹃ に ほ ん ご ﹄ と 題 した記事的要素の強い文集作りに取り組ませることとした。 ︵図 1 ︶ 文集作り自体は 以前から行ってい るが、これまでは 各々の学生がイン タビューを聞き書 きの形にまとめる ものが中心であっ た。この取り組み をベースとし、さ らにインタビュー以外の内容も取り入れることで複合的な文章表現 の練習の場としようと考えたとき、参考になったのが新聞という表 現媒体であった。 ⑴ 実践の概要 ○受講学生 三 年 次 生 二 一 名︵ 教 職 課 程 履 修 者 を 含 む ︶、 四 年 次 生 一名、留学生二名 ○実践時期 二〇一一年六月から八月までの授業六回 図1 記事文集『にほんご』 大滝一登 伝えるための工夫を発見し自らの表現に生かす NIE 学習 三 これらの事例を新聞の活用方法という視点からまとめてみると次 のようになる。 育成したい力 活用箇所 新聞に関する主な学習活動 A 見 出 し の 重 要 性の理解力 見出し 隠 さ れ た 見 出 し の 一 部 を 考 え る。 写 真 の 見 方 や 読み比べる力 写真 撮 影 す る 角 度 や 位 置 の 異 な る 記事の写真を比較する。 B 事 実 へ の 問 題 意識 記事 ︵内容︶ 書 き た い 問 題 を 収 集 し た 新 聞 記事からさがす。 根 拠 を 示 し な がら書く力 記 事︵ 文 章 構成︶ テ ー マ に 基 づ き 意 見 文 を 書 く 。 C 情 報 を 主 体 的 によむ力 比較読みの力 写真 一面記事の写真を比較する。 D 情報選択能力 記事 ︵内容︶ ﹁ お 薦 め 記 事 ﹂ を ス ク ラ ッ プ する。 総 合 的 な 言 語 能力 記事 ︵内容︶ 記事 ︵形式︶ ﹁ お 薦 め 記 事 ﹂ を 色 画 用 紙 に 新聞形式にまとめ発表する。 E 新 聞 に つ い て の基礎知識 新 聞 の 製 作 過程 ビ デ オ﹁ 新 聞 の で き る ま で ﹂ をメモをとりながら見る。 情報選択能力 人 物 記 事 ︵内容︶ 感 動 し た 人 物 記 事 を 切 り 抜 き、プリントに貼る。 取材能力 記者の技能 記者に取材の仕方を学ぶ。 情 報 を 編 集 し 表現する力 新聞の形式 個人新聞にまとめる。 F 情報選択能力 記事 ︵内容︶ 新 聞 記 事 か ら さ ま ざ ま な 国・ 地 域・ 民 族 の 文 化・ 風 習 等 を 読み取る。 文章表現力 記事 ︵表現 ・ 形式︶ 選 ん だ 記 事 を 日 本 の 立 場 か ら 書き直す G 情報選択能力 記事 ︵内容︶ 関 心 の あ る テ ー マ 記 事 を 切 り 抜 き、 要 点 を カ ー ド に 記 入 す る。 取材能力 記者の技能 生 徒 が 記 者 と な り、 ﹁ 知 事 会 見﹂を取材する。 H 情 報 選 択 能 力 表現力 記事 ︵内容︶ 関 心 の あ る 記 事 を 切 り 抜 き、 理 由 や 意 見 を プ リ ン ト に 記 入 す る。 発 表 の 後、 ク ラ ス 討 議 を行う。 文章表現力 投書 投 書 欄 の 分 析 の 後、 投 書 を 書 いて投稿する。 I 情 報 選 択 能 力 文章表現力 連載記事 連 載 記 事 の う ち 印 象 に 残 っ た も の を 選 び、 選 ん だ 理 由 を 書 く。 J 新 聞 に つ い て の基礎知識 新聞 ︵内容 ・ 形式︶ 新聞がどんなものか調べる。 情 報 を 編 集 し 表現する力 新聞の形式 ﹁ 花 山 天 皇 の 出 家 ﹂ を 新 聞 に する。 K 情 報 選 択 能 力 表現力 投書 投書を選び発表する。 その後、 内 容 に つ い て ク ラ ス で 討 議 す る。
六 大滝一登 伝えるための工夫を発見し自らの表現に生かす NIE 学習 共通テーマは日本語日本文学科学生として共通基盤となるもので あり、自身の学びを深めるとともにその魅力を外部に発信する際に もっとも身近なものだと考えた。また、グループ別テーマは教職課 程履修者、日本語教員養成課程履修者、留学生といったさまざまな 受講者の問題意識に対応する多様性とともに、グループでの企画や 表現における自由度を確保できる抽象性とを担保できるものとして 設定した。 さらに、各グループ一六頁を担当することは指示したが、原稿の 体裁の指示については余白や頁番号位置など最小限にとどめ、でき る限り学生に委ねることとした。一方で、インタビューイーや写真 の掲載許諾や引用のルールについては必要な指導を行った。 ︻新聞記事の工夫を発見する学習︼ 決定したテーマに基づいた編集会議と並行して、原稿作成を効果 的に進めるために新聞記事の工夫に着目する学習を一時間行った。 当日の流れは次のとおりである。 ﹁説得性﹂ ﹁その他﹂ ・ 記事を切り抜いて台紙に貼り、観点とともに気づいた点を 記述し、発表資料を作成する。 ︵各グループ四枚以上︶ ・ 新聞記事からの学びを自分たちの記事にどう生かせばよい か意見を交換し、まとめる。 ■各グループ代表者による発表︵三〇分︶ ・ 資 料 に 基 づ き、 ﹁ 記 事 の 工 夫 ﹂ と﹁ そ の 生 か し 方 ﹂ に つ い て発表する。 ︵一グループ五分間︶ ■担当教員による講義﹁新聞記事に学ぶ﹂ ︵二〇分︶ ・本時のねらい ・新聞記事の特性︵加瀬雄二、小田迪夫︶ ・活動の説明 ■グループで新聞記事の工夫を発見し合う︵四〇分︶ ・ 当日︵六月二九日︶の朝刊四紙︵朝日、山陽、毎日、読売 各紙︶を各グループに配付。 ・記事からうかがえる工夫を次の観点に基づいて発見する。 ﹁インパクト﹂ ﹁文章表現﹂ ﹁レイアウト﹂ ﹁企画﹂ ﹁図や写真﹂ 授業者が観点を提示したのは発表内容を効率よく整理させるた め で あ る。 必 ず し も 作 業 時 間 が 十 分 与 え ら れ て い た わ け で は な かったが、 学生たちは話し合いながらさまざまな工夫を発見した。 次の表に、 実際に学生たちが発表した内容の一部をまとめてみた。 な お、 表 中 の ① ② ③ の 内 容 は そ れ ぞ れ﹁ 取 り 上 げ た 記 事 ﹂﹁ 工 夫 の内容﹂ ﹁自分たちの記事に生かしたい点﹂を示す。 ■観点﹁インパクト﹂ ①﹁男も UV カット﹂ ︵読売新聞一六面︶ ②見出しが興味を惹く内容。男も紫外線対策をするのかという 独特で斬新な企画でもある。 ③見出しから読み手の興味が引ける。 タイトルも斬新にしたい。 ■観点﹁文章表現﹂ ①﹁ 居 座 り 招 い た〝 北 風 作 戦 〟 大 型 検 証・ 6 月 政 局 ﹂︵ 山 陽 新 聞一面︶ 大滝一登 伝えるための工夫を発見し自らの表現に生かす NIE 学習 五 表現の工夫を発見し企画・計画する段階 ■第一回︵六月二二日︶ ・文集制作の概要説明︵テーマ、条件、スケジュールなど︶ ・グループと担当テーマの決定 ■第二回︵六月二九日︶ ・新聞記事の工夫を発見する学習 ・記事原稿企画案提出 取材を行い情報を整理して表現する段階 ■第三回︵七月六日︶ ・編集会議 Ⅰ ︵取材計画の決定から取材へ︶ ■第四回︵七月一三日︶ ・編集会議 Ⅱ ︵取材結果の検討、原稿化︶ 自らの表現を見直し完成する段階 ■第一次原稿提出︵七月一九日︶ ■第五回︵七月二〇日︶ ・赤井康浩氏︵山陽新聞社読者局副主管︶による特別講義 ﹁伝えるための記事原稿とレイアウトの工夫﹂ ■第二次原稿提出︵八月二日︶ ■第六回︵八月三日︶ ・編集会議 Ⅲ ︵記事原稿の検討・修正︶ ・赤井康浩氏による指導助言 ■最終原稿締め切り︵八月五日︶ ⑵ 実践の具体 ①表現の工夫を発見し企画・計画する段階 ︻目標・テーマ・条件等の 明 示︼ NIE 学習はそれ自体を行うのが目的ではなく何のために取り入 れるかを明確にすることが重要である。小田︵一九九八︶は﹁国語 科教育が新聞の教材化によって育てようとする学力の中心は︿情報 活用能力﹀である﹂と述べたうえで、 NIE 学習に当たり﹁意欲的 な学習のためには、まず、教材の学習にとりくむ以前に言語活動目 的の設定が必要なのである﹂と、教材に対する目的・目標の優先性 を指摘している。 ︵ 6 ︶ そこで今回は、まず記事文集制作という ゴ ールを示すとともに、 文章表現力、情報活用能力の向上を第一義の目的とすることを学生 に伝え、目標意識を持たせた。また、個人での制作ではなくグルー プでの活動であること、外部の専門家などへのインタビューや取材 活動を条件とすることを示し、コミュニケーション能力の向上も目 指すことを伝えた。 ま た﹁ に ほ ん ご ﹂を 共 通 テ ー マ と す る と と も に 、次 の グ ル ー プ 別 テ ー マ を 示 し 、取 り 組 み た い テ ー マ を 中 心 に 四 人 組 の グ ル ー プ を 作 ら せ た 。 1 班 ﹁ に ほ んごのいろいろ﹂ 2 班 ﹁ に ほ んごの楽しさ﹂ 3 班 ﹁ に ほ んごの奥深さ﹂ 4 班 ﹁ に ほ んごで伝える﹂ 5 班 ﹁ に ほ んごを教える﹂ 6 班 ﹁ に ほ んごを学ぶ﹂
六 大滝一登 伝えるための工夫を発見し自らの表現に生かす NIE 学習 共通テーマは日本語日本文学科学生として共通基盤となるもので あり、自身の学びを深めるとともにその魅力を外部に発信する際に もっとも身近なものだと考えた。また、グループ別テーマは教職課 程履修者、日本語教員養成課程履修者、留学生といったさまざまな 受講者の問題意識に対応する多様性とともに、グループでの企画や 表現における自由度を確保できる抽象性とを担保できるものとして 設定した。 さらに、各グループ一六頁を担当することは指示したが、原稿の 体裁の指示については余白や頁番号位置など最小限にとどめ、でき る限り学生に委ねることとした。一方で、インタビューイーや写真 の掲載許諾や引用のルールについては必要な指導を行った。 ︻新聞記事の工夫を発見する学習︼ 決定したテーマに基づいた編集会議と並行して、原稿作成を効果 的に進めるために新聞記事の工夫に着目する学習を一時間行った。 当日の流れは次のとおりである。 ﹁説得性﹂ ﹁その他﹂ ・ 記事を切り抜いて台紙に貼り、観点とともに気づいた点を 記述し、発表資料を作成する。 ︵各グループ四枚以上︶ ・ 新聞記事からの学びを自分たちの記事にどう生かせばよい か意見を交換し、まとめる。 ■各グループ代表者による発表︵三〇分︶ ・ 資 料 に 基 づ き、 ﹁ 記 事 の 工 夫 ﹂ と﹁ そ の 生 か し 方 ﹂ に つ い て発表する。 ︵一グループ五分間︶ ■担当教員による講義﹁新聞記事に学ぶ﹂ ︵二〇分︶ ・本時のねらい ・新聞記事の特性︵加瀬雄二、小田迪夫︶ ・活動の説明 ■グループで新聞記事の工夫を発見し合う︵四〇分︶ ・ 当日︵六月二九日︶の朝刊四紙︵朝日、山陽、毎日、読売 各紙︶を各グループに配付。 ・記事からうかがえる工夫を次の観点に基づいて発見する。 ﹁インパクト﹂ ﹁文章表現﹂ ﹁レイアウト﹂ ﹁企画﹂ ﹁図や写真﹂ 授業者が観点を提示したのは発表内容を効率よく整理させるた め で あ る。 必 ず し も 作 業 時 間 が 十 分 与 え ら れ て い た わ け で は な かったが、 学生たちは話し合いながらさまざまな工夫を発見した。 次の表に、 実際に学生たちが発表した内容の一部をまとめてみた。 な お、 表 中 の ① ② ③ の 内 容 は そ れ ぞ れ﹁ 取 り 上 げ た 記 事 ﹂﹁ 工 夫 の内容﹂ ﹁自分たちの記事に生かしたい点﹂を示す。 ■観点﹁インパクト﹂ ①﹁男も UV カット﹂ ︵読売新聞一六面︶ ②見出しが興味を惹く内容。男も紫外線対策をするのかという 独特で斬新な企画でもある。 ③見出しから読み手の興味が引ける。 タイトルも斬新にしたい。 ■観点﹁文章表現﹂ ①﹁ 居 座 り 招 い た〝 北 風 作 戦 〟 大 型 検 証・ 6 月 政 局 ﹂︵ 山 陽 新 聞一面︶ 大滝一登 伝えるための工夫を発見し自らの表現に生かす NIE 学習 五 表現の工夫を発見し企画・計画する段階 ■第一回︵六月二二日︶ ・文集制作の概要説明︵テーマ、条件、スケジュールなど︶ ・グループと担当テーマの決定 ■第二回︵六月二九日︶ ・新聞記事の工夫を発見する学習 ・記事原稿企画案提出 取材を行い情報を整理して表現する段階 ■第三回︵七月六日︶ ・編集会議 Ⅰ ︵取材計画の決定から取材へ︶ ■第四回︵七月一三日︶ ・編集会議 Ⅱ ︵取材結果の検討、原稿化︶ 自らの表現を見直し完成する段階 ■第一次原稿提出︵七月一九日︶ ■第五回︵七月二〇日︶ ・赤井康浩氏︵山陽新聞社読者局副主管︶による特別講義 ﹁伝えるための記事原稿とレイアウトの工夫﹂ ■第二次原稿提出︵八月二日︶ ■第六回︵八月三日︶ ・編集会議 Ⅲ ︵記事原稿の検討・修正︶ ・赤井康浩氏による指導助言 ■最終原稿締め切り︵八月五日︶ ⑵ 実践の具体 ①表現の工夫を発見し企画・計画する段階 ︻目標・テーマ・条件等の 明 示︼ NIE 学習はそれ自体を行うのが目的ではなく何のために取り入 れるかを明確にすることが重要である。小田︵一九九八︶は﹁国語 科教育が新聞の教材化によって育てようとする学力の中心は︿情報 活用能力﹀である﹂と述べたうえで、 NIE 学習に当たり﹁意欲的 な学習のためには、まず、教材の学習にとりくむ以前に言語活動目 的の設定が必要なのである﹂と、教材に対する目的・目標の優先性 を指摘している。 ︵ 6 ︶ そこで今回は、まず記事文集制作という ゴ ールを示すとともに、 文章表現力、情報活用能力の向上を第一義の目的とすることを学生 に伝え、目標意識を持たせた。また、個人での制作ではなくグルー プでの活動であること、外部の専門家などへのインタビューや取材 活動を条件とすることを示し、コミュニケーション能力の向上も目 指すことを伝えた。 ま た﹁ に ほ ん ご ﹂を 共 通 テ ー マ と す る と と も に 、次 の グ ル ー プ 別 テ ー マ を 示 し 、取 り 組 み た い テ ー マ を 中 心 に 四 人 組 の グ ル ー プ を 作 ら せ た 。 1 班 ﹁ に ほ んごのいろいろ﹂ 2 班 ﹁ に ほ んごの楽しさ﹂ 3 班 ﹁ に ほ んごの奥深さ﹂ 4 班 ﹁ に ほ んごで伝える﹂ 5 班 ﹁ に ほ んごを教える﹂ 6 班 ﹁ に ほ んごを学ぶ﹂
八 大滝一登 伝えるための工夫を発見し自らの表現に生かす NIE 学習 く、 ウ ェ ブ サ イ ト か ら の 情 報 収 集 を 行 っ た り facebook な ど の S N S︵
Social Networking Service
︶を用いて他大学の留学生にアンケー トを行ったりする学生もおり、原稿作成に有効に機能したと考えら れる。 また、編集会議と並行してグループの代表者等へのヒアリングを 随時行った。企画・編集の進捗状況を確認するとともに、適宜指導 助言を行った。 ③自らの表現を見直し完成する段階 ︻外部講師の招聘による特別講義 と 指導︼ 編集会議を経て、第一次原稿の提出に併せて赤井康浩氏による特 別講義を行った。この時期に行ったのは、企画・編集をある程度進 捗させた段階で新聞制作に携わる専門家による直接の講義・指導助 言を受けることによって、効果的な記事にするためのより具体的な 観点を獲得させたかったからである。 講義では当日の朝刊をもとに、まず﹁新聞を使おう﹂と題した説 明が行われた。新聞にある記事の種類、見出し ・ リード ・ 本文の﹁逆 三角形﹂になっている記事の優先順位、一日一〇分新聞を読む習慣 の大切さ、メディアリテラシーなど新聞を読むうえでの基本的な理 解を促す内容であった。次に﹁新聞づくり講座﹂と題して、インタ ビューの方法、新聞の構成の活用、記事を書く基本、見出しの付け 方についての解説が行われた。 続いて、教材提示装置を用いてグループごとに第一次原稿と進捗 状況に関する発表を行った。赤井氏には各グループの発表が終わる たびに改善点を直接指導していただいた。 一例として一班の原稿に対する指導の具体の一部を示したい。一 班はテーマ﹁に ほ んごのいろいろ﹂に基づき、 ﹁名づけと名前﹂ ﹁早 口ことば﹂など複数のコーナーを設けるとともに、日本文学を研究 する本学綾目広治教授へのインタビュー記事﹁言葉の選び方﹂を企 画していた。 たとえば原稿 A ︵図 2 ︶、原稿 B ︵図 3 ︶、原稿 C ︵図 4 ︶に対し ては次のような指摘がなされた。 ︻原稿 A へのコメント︼ ・もう少し読者の目を惹いた方がよいので、目次の文字フォン トは ゴ シック体で。 ・﹁ 名 づ け と 名 前 ﹂ と い う タ イ ト ル は 中 央 の 方 が 目 立 つ。 中 央 にあっても読者は読んでくれるので、もう少し大きめの文字に した方がよい。 図2 原稿A(1班第1頁) 大滝一登 伝えるための工夫を発見し自らの表現に生かす NIE 学習 七 ②﹁北風作戦﹂とはおそらく童話﹁北風と太陽﹂から作り出し た見出しであり、この童話を皆が知っているという前提に基づ いて付けられた巧みな表現であると感じた。 ③読み手を惹きつけるために、見出しや文章表現を工夫して効 果的なものにしたい。 ■観点﹁レイアウト﹂ ①天気予報欄︵山陽新聞一面︶ ②岡山県、近隣の県のみ一週間後まで示している。また、表の 一番上が地元で人口の多い岡山南部になっており、配置に工夫 がなされている。 ③強調したいもの、ピックアップしたいものをうまく配置して いる。ニーズに合わせたチョイスもなされている。 ■観点﹁企画﹂ ①﹁しつもん! ドラえもん﹂ ︵朝日新聞一面︶ ②カラーのイラストに加えて、新聞のどこに答えがあるのか分 からないため、新聞を読ませる工夫になっている。新聞イコー ル大人の読み物というイメージの払拭に役立っている。 ③読者を限定するのではなく、どんな人でも読もうと思える記 事にしたい。 ■観点﹁図や写真﹂ ①﹁自民、抗戦か協調か﹂ ︵読売新聞四面︶ ②自民党内での各人の立場が図を用いて示されているので分か りやすい。視覚的効果もある。 ③難解な内容、専門的表現を含む場合は図や模式で見やすいよ うに工夫する︵フローチャートや軸グラフも︶ 。 ■観点﹁図や写真﹂ ①﹁ B 型肝炎和解調印﹂ ︵読売新聞一面︶ ②和解の様子が最もよく表されている。会議中でなく、握手し 約束している写真のチョイスがいい。 ③どのシーンの写真を使うか、写真のチョイスやトリミングに も注意する。 ■観点﹁説得性﹂ ①新聞全体 ②具体的な例や数字を示すことで説得力が高まっている。 ③正確さが大切。具体的な数はその点で説得性を持たせる。 ②取材を行い情報を整理して表現する段階 ︻コンピュータ教室を使った編集会議︼ 次の段階では、目的に応じて情報を収集し整理する活動として二 時間を使ってグループ別に編集会議を二回開かせた。場所は通常の 教室ではなくコンピュータ教室︵学内 OPIT 教室︶で行った。話 し合ったことを即座に編集作業に反映させることができたり、メン バ ー全員が編集中のコンピュータ画面を見ながら具体的な意見交換 ができたりするなど限られた会議の時間を効率的に活用することが できる。実際には、単に編集作業にコンピュータを用いるだけでな
八 大滝一登 伝えるための工夫を発見し自らの表現に生かす NIE 学習 く、 ウ ェ ブ サ イ ト か ら の 情 報 収 集 を 行 っ た り facebook な ど の S N S︵
Social Networking Service
︶を用いて他大学の留学生にアンケー トを行ったりする学生もおり、原稿作成に有効に機能したと考えら れる。 また、編集会議と並行してグループの代表者等へのヒアリングを 随時行った。企画・編集の進捗状況を確認するとともに、適宜指導 助言を行った。 ③自らの表現を見直し完成する段階 ︻外部講師の招聘による特別講義 と 指導︼ 編集会議を経て、第一次原稿の提出に併せて赤井康浩氏による特 別講義を行った。この時期に行ったのは、企画・編集をある程度進 捗させた段階で新聞制作に携わる専門家による直接の講義・指導助 言を受けることによって、効果的な記事にするためのより具体的な 観点を獲得させたかったからである。 講義では当日の朝刊をもとに、まず﹁新聞を使おう﹂と題した説 明が行われた。新聞にある記事の種類、見出し ・ リード ・ 本文の﹁逆 三角形﹂になっている記事の優先順位、一日一〇分新聞を読む習慣 の大切さ、メディアリテラシーなど新聞を読むうえでの基本的な理 解を促す内容であった。次に﹁新聞づくり講座﹂と題して、インタ ビューの方法、新聞の構成の活用、記事を書く基本、見出しの付け 方についての解説が行われた。 続いて、教材提示装置を用いてグループごとに第一次原稿と進捗 状況に関する発表を行った。赤井氏には各グループの発表が終わる たびに改善点を直接指導していただいた。 一例として一班の原稿に対する指導の具体の一部を示したい。一 班はテーマ﹁に ほ んごのいろいろ﹂に基づき、 ﹁名づけと名前﹂ ﹁早 口ことば﹂など複数のコーナーを設けるとともに、日本文学を研究 する本学綾目広治教授へのインタビュー記事﹁言葉の選び方﹂を企 画していた。 たとえば原稿 A ︵図 2 ︶、原稿 B ︵図 3 ︶、原稿 C ︵図 4 ︶に対し ては次のような指摘がなされた。 ︻原稿 A へのコメント︼ ・もう少し読者の目を惹いた方がよいので、目次の文字フォン トは ゴ シック体で。 ・﹁ 名 づ け と 名 前 ﹂ と い う タ イ ト ル は 中 央 の 方 が 目 立 つ。 中 央 にあっても読者は読んでくれるので、もう少し大きめの文字に した方がよい。 図2 原稿A(1班第1頁) 大滝一登 伝えるための工夫を発見し自らの表現に生かす NIE 学習 七 ②﹁北風作戦﹂とはおそらく童話﹁北風と太陽﹂から作り出し た見出しであり、この童話を皆が知っているという前提に基づ いて付けられた巧みな表現であると感じた。 ③読み手を惹きつけるために、見出しや文章表現を工夫して効 果的なものにしたい。 ■観点﹁レイアウト﹂ ①天気予報欄︵山陽新聞一面︶ ②岡山県、近隣の県のみ一週間後まで示している。また、表の 一番上が地元で人口の多い岡山南部になっており、配置に工夫 がなされている。 ③強調したいもの、ピックアップしたいものをうまく配置して いる。ニーズに合わせたチョイスもなされている。 ■観点﹁企画﹂ ①﹁しつもん! ドラえもん﹂ ︵朝日新聞一面︶ ②カラーのイラストに加えて、新聞のどこに答えがあるのか分 からないため、新聞を読ませる工夫になっている。新聞イコー ル大人の読み物というイメージの払拭に役立っている。 ③読者を限定するのではなく、どんな人でも読もうと思える記 事にしたい。 ■観点﹁図や写真﹂ ①﹁自民、抗戦か協調か﹂ ︵読売新聞四面︶ ②自民党内での各人の立場が図を用いて示されているので分か りやすい。視覚的効果もある。 ③難解な内容、専門的表現を含む場合は図や模式で見やすいよ うに工夫する︵フローチャートや軸グラフも︶ 。 ■観点﹁図や写真﹂ ①﹁ B 型肝炎和解調印﹂ ︵読売新聞一面︶ ②和解の様子が最もよく表されている。会議中でなく、握手し 約束している写真のチョイスがいい。 ③どのシーンの写真を使うか、写真のチョイスやトリミングに も注意する。 ■観点﹁説得性﹂ ①新聞全体 ②具体的な例や数字を示すことで説得力が高まっている。 ③正確さが大切。具体的な数はその点で説得性を持たせる。 ②取材を行い情報を整理して表現する段階 ︻コンピュータ教室を使った編集会議︼ 次の段階では、目的に応じて情報を収集し整理する活動として二 時間を使ってグループ別に編集会議を二回開かせた。場所は通常の 教室ではなくコンピュータ教室︵学内 OPIT 教室︶で行った。話 し合ったことを即座に編集作業に反映させることができたり、メン バ ー全員が編集中のコンピュータ画面を見ながら具体的な意見交換 ができたりするなど限られた会議の時間を効率的に活用することが できる。実際には、単に編集作業にコンピュータを用いるだけでな
一〇 大滝一登 伝えるための工夫を発見し自らの表現に生かす NIE 学習 を回避するため、第一次原稿を全グループにコピーして配付した。 これは、グループどうしの緊張感を高めるねらいも含んでいる。 ︻改善点の確認 と 推敲による原稿のブラッシュアップ︼ 三回目の編集会議は同じくコンピュータ教室を会場とし、赤井氏 や授業者の指導などを反映させた第二次原稿をもとに、各グループ でさらなる推敲に向けた協議が行われた。第二次原稿は前回と同じ く全グループに配付し、他グループ原稿の改善された点を確認し、 自らのグループに取り入れさせることをねらいとした。 また、引き続き赤井氏が指導に参加してくださり、各グループメ ン バ ー 全 員 へ の ヒ ア リ ン グ の 際 に 直 接 指 導 助 言 を 行 っ て く だ さ っ た。 原 稿 が か な り 完 成 形 に 近 づ い て い る と 考 え て い た グ ル ー プ も あったが、赤井氏や授業者の指摘を受け、表現の仕方にさらなる工 夫を凝らす必要性などを引き続き協議した。 最終的な提出原稿は写真製版印刷を行う関係上、紙媒体での提出 を指示した。これは先述したとおり、表現の制約を緩和することに よって、手書きも含めた多様な表現形態を模索して ほ しいという授 業者の意図による。 Ⅰ 期終了直前の八月上旬に全グループの最終原稿が提出された。 四、成果 と 課題 実践の成果と課題を、原稿の推敲結果、最終原稿からうかがえる 工夫、アンケート結果、授業後の感想文の四点において考察してい くこととする。 ⑴ 原稿の推敲結果から 編集会議、外部講師や授業者による指導を経て原稿はどのように 変更されたのか。先に示した一班の頁を代表例として取り上げる。 ①原稿 A ︵図 5 ︶ 図5 原稿Aの最終原稿 見出しに視覚的な工夫が加わりインパクトの強いガイドページと なっている。また、頁風の囲みや手書き文字、イラストなど興味を 誘う工夫も加わった。さらに見出しの大きさ、問いかけなど読み手 をより意識した工夫が凝らされた。強調したい点がより明確になっ ており、読ませようという工夫が多数うかがえるようになった。目 次や記事に担当者名が入り、責任の所在も明らかになった。 ②原稿 B ︵図 6 ︶ 第一次原稿では文字中心で情報のカテ ゴ リやレベルが分かりにく か っ た が、 ﹁ 名 づ け の 基 礎 知 識 ﹂ と い う カ テ ゴ リ に﹁ 名 づ け 文 化 の は じ ま り ﹂﹁ き ま り と 注 意 点 ﹂ が 含 ま れ る 構 成 が 明 確 に な っ た。 見 出しの大きさ、 フォント、 配置が工夫され、 一覧性が高まっている。 大滝一登 伝えるための工夫を発見し自らの表現に生かす NIE 学習 九 ︻原稿 B へのコメント︼ ・見出しをもっと目立たせる。二行にしてもよいし、もっと簡 潔にしてもよい。 ・読者は﹁名づけと名前﹂というタイトルは知っているので、 ﹁名づけには次のようなきまりがある。 ﹂という一文は不必要。 一足す一は二をすべて言わないのが新聞のセオリー。 ・ Ⅱ ・ Ⅲ の見出しの表現も、 ﹁長さは自由﹂ ﹁簡単にできない変 更﹂だけでよいのではないか。文字が少なくなると活字を大き くすることもできる。 ・イラストの類いが入るとより分かりやすくなる。 ︻原稿 C へのコメント︼ ・似顔絵のようなマークを示してインタビューの内容を読ませ る方法はよい。 ・写真を、話している場面などもっと動きの見えるものに。大 きさもより大きく。 ・どんなインタビューだったのか見出しで示すとよい。 この講義の感想を読むと、学生たちはそれまで記事を読まれるの が当然だと考えていたことを反省させられたようである。講義を通 して、読み手の視点に立つことの大切さとその具体的な方法に気付 くことができたのではないだろうか。 またこの講義の際、他のグループの進捗状況の把握や企画の重複 図3 原稿B(1班第2頁) 図4 原稿C(1班第12頁)
一〇 大滝一登 伝えるための工夫を発見し自らの表現に生かす NIE 学習 を回避するため、第一次原稿を全グループにコピーして配付した。 これは、グループどうしの緊張感を高めるねらいも含んでいる。 ︻改善点の確認 と 推敲による原稿のブラッシュアップ︼ 三回目の編集会議は同じくコンピュータ教室を会場とし、赤井氏 や授業者の指導などを反映させた第二次原稿をもとに、各グループ でさらなる推敲に向けた協議が行われた。第二次原稿は前回と同じ く全グループに配付し、他グループ原稿の改善された点を確認し、 自らのグループに取り入れさせることをねらいとした。 また、引き続き赤井氏が指導に参加してくださり、各グループメ ン バ ー 全 員 へ の ヒ ア リ ン グ の 際 に 直 接 指 導 助 言 を 行 っ て く だ さ っ た。 原 稿 が か な り 完 成 形 に 近 づ い て い る と 考 え て い た グ ル ー プ も あったが、赤井氏や授業者の指摘を受け、表現の仕方にさらなる工 夫を凝らす必要性などを引き続き協議した。 最終的な提出原稿は写真製版印刷を行う関係上、紙媒体での提出 を指示した。これは先述したとおり、表現の制約を緩和することに よって、手書きも含めた多様な表現形態を模索して ほ しいという授 業者の意図による。 Ⅰ 期終了直前の八月上旬に全グループの最終原稿が提出された。 四、成果 と 課題 実践の成果と課題を、原稿の推敲結果、最終原稿からうかがえる 工夫、アンケート結果、授業後の感想文の四点において考察してい くこととする。 ⑴ 原稿の推敲結果から 編集会議、外部講師や授業者による指導を経て原稿はどのように 変更されたのか。先に示した一班の頁を代表例として取り上げる。 ①原稿 A ︵図 5 ︶ 図5 原稿Aの最終原稿 見出しに視覚的な工夫が加わりインパクトの強いガイドページと なっている。また、頁風の囲みや手書き文字、イラストなど興味を 誘う工夫も加わった。さらに見出しの大きさ、問いかけなど読み手 をより意識した工夫が凝らされた。強調したい点がより明確になっ ており、読ませようという工夫が多数うかがえるようになった。目 次や記事に担当者名が入り、責任の所在も明らかになった。 ②原稿 B ︵図 6 ︶ 第一次原稿では文字中心で情報のカテ ゴ リやレベルが分かりにく か っ た が、 ﹁ 名 づ け の 基 礎 知 識 ﹂ と い う カ テ ゴ リ に﹁ 名 づ け 文 化 の は じ ま り ﹂﹁ き ま り と 注 意 点 ﹂ が 含 ま れ る 構 成 が 明 確 に な っ た。 見 出しの大きさ、 フォント、 配置が工夫され、 一覧性が高まっている。 大滝一登 伝えるための工夫を発見し自らの表現に生かす NIE 学習 九 ︻原稿 B へのコメント︼ ・見出しをもっと目立たせる。二行にしてもよいし、もっと簡 潔にしてもよい。 ・読者は﹁名づけと名前﹂というタイトルは知っているので、 ﹁名づけには次のようなきまりがある。 ﹂という一文は不必要。 一足す一は二をすべて言わないのが新聞のセオリー。 ・ Ⅱ ・ Ⅲ の見出しの表現も、 ﹁長さは自由﹂ ﹁簡単にできない変 更﹂だけでよいのではないか。文字が少なくなると活字を大き くすることもできる。 ・イラストの類いが入るとより分かりやすくなる。 ︻原稿 C へのコメント︼ ・似顔絵のようなマークを示してインタビューの内容を読ませ る方法はよい。 ・写真を、話している場面などもっと動きの見えるものに。大 きさもより大きく。 ・どんなインタビューだったのか見出しで示すとよい。 この講義の感想を読むと、学生たちはそれまで記事を読まれるの が当然だと考えていたことを反省させられたようである。講義を通 して、読み手の視点に立つことの大切さとその具体的な方法に気付 くことができたのではないだろうか。 またこの講義の際、他のグループの進捗状況の把握や企画の重複 図3 原稿B(1班第2頁) 図4 原稿C(1班第12頁)
一二 大滝一登 伝えるための工夫を発見し自らの表現に生かす NIE 学習 留学生の学生生活や、アジア圏の漢字に対する考え方など、国際的 な視野をもつ記事に仕上げている。 ②効果的な言語表現 見出しの文言にも読み手を意識した効果的な表現が用いられた。 たとえば﹁次の名前、いくつ読めますか?﹂といった問いかけ、 ﹁ 3 分 回 文 ク ッ キ ン グ ∼ こ れ で あ な た も 言 葉 の 匠 ∼﹂ ﹁ や め ら れ な い とまらない しりとりゲーム﹂といったパロディ的要素を含む もの、 ﹁探しにいこう、 オノマトペ/オノマトペの森に遊ぶ﹂といっ た冒険物の企画になぞらえたもの、 ﹁ ︵中国+台湾+韓国︶×漢字﹂ といった解釈的要素を含むものなどである。 これらは第一次原稿には見られなかったものが多く、推敲過程で 生まれたアイディアが反映されたものである。 ③魅力的な表現形式 ⑴ に述べた工夫以外にも内容を効果的に伝えるための形式に関す るかも!﹂と題した聞き取り調査の結果として得られたアイディア をもとに、古典の克服法を﹁徒然草﹂を例に挙げながら文章とマン ガを用いてステップ形式で示したものである。 ﹁原文を読む﹂ ﹁現代 語 訳 を 読 む ﹂﹁ 4 コ マ に ア レ ン ジ!﹂ と い っ た 三 段 階 は 国 語 科 の 学 習法としても一考の価値があり、 読んで楽しめる記事となっている。 図9 文章とマンガによるステップ形式 図8 クロスワードクイズ形式 るさまざまな 工夫がうかが えた。 たとえば図 8 は、 ﹁ 慣 用 句イズ﹂と題 して慣用句に 関するクイズ をクロスワー ドの形式でまとめたものである。 また図 9 は 、古典嫌いを解消するために、 ﹁こうすれば楽しく読め 図 10でも同じくマンガが用いられているが、この記事では表現形 式としてマンガを中心的に扱っている。 ﹁ゆびきり﹂ のジェスチャー が日本と英語圏とではまったく異なる意味に受け取られることを、 文字ではなく主に視覚的なイメージで伝えるマンガを用いることで 効果的に伝えている。 表 情 と 台 詞 に よ っ て 場 面 が シ ン プ ル か つ 的 確 に 使 用 さ れ て い る こ と に 加 え 、最 後 の コ マ が 共 通 し た 一 つ の コ マ に ま と め ら れ て い る 点 に も 工 夫 が う か が え る 。下 欄 の 文 章 に よ る 説 明 は マ ン ガ を 補 足 す る 役 割 と 大滝一登 伝えるための工夫を発見し自らの表現に生かす NIE 学習 一一 記事の内容に合わせて古風なイラストを見出しに含めるなど視覚的 効果が高まった。 全体として、人物に取材するインタビュー記事の導入としての工 夫が多数うかがえる頁となった。 レイアウトも横書きの記事と縦書きの記事を バ ランスよく収めて い る。 ﹁ き ま り と 注 意 点 ﹂ の 記 事 の 文 章 も 簡 潔 な 分 量 に ま と め、 読 み手に確実に読んでもらえるよう配慮がなされている。 ③原稿 C ︵図 7 ︶ 第一次原稿では文字中心の平板な印象のインタビュー頁であった が、 見出しが大きくなり、 視覚的なインパクトが強くなった。また、 巻物風の囲みの中にインタビューイーの氏名が入り、企画内容も明 確になっている。さらに写真が大きくなるとともに動的なショット に変更され、人物の魅力を読み手に伝えようという意図を反映した ものとなった。加えてインタビューイーの全身のイラストも挿入さ れ、親しみのもてる導入頁となった。 図6 原稿Bの最終原稿 図7 原稿Cの第2次原稿 ⑵ 最終原稿からうかがえる工夫 ①斬新な企画内容 グループ別に担当テーマは異なるが、いずれのグループについて も斬新で魅力的と思われる企画が生まれている。 ﹁ に ほ ん ご の い ろ い ろ ﹂ で は 最 新 の ネ ッ ト 語 を 取 り 上 げ、 使 用 者 で な け れ ば 決 し て 読 み 解 け な い 用 語 な ど 言 語 使 用 の 実 態 を イ ン タ ビューを交えながら明解に示した。 ﹁に ほ んごの楽しさ﹂ では回文、 なぞなぞといった言葉遊びや、快感的なオノマトペといった象徴的 な 素 材 に ス ポ ッ ト を 当 て た。 ﹁ に ほ ん ご の 奥 深 さ ﹂ で は 慣 用 句 や 古 典に加え、ダブルミーニング、若者言葉と死語、辞書の定義の違い と い っ た 興 味 深 い 内 容 に 着 目 し た。 ま た、 ﹁ に ほ ん ご に 学 ぶ ﹂ で は
一二 大滝一登 伝えるための工夫を発見し自らの表現に生かす NIE 学習 留学生の学生生活や、アジア圏の漢字に対する考え方など、国際的 な視野をもつ記事に仕上げている。 ②効果的な言語表現 見出しの文言にも読み手を意識した効果的な表現が用いられた。 たとえば﹁次の名前、いくつ読めますか?﹂といった問いかけ、 ﹁ 3 分 回 文 ク ッ キ ン グ ∼ こ れ で あ な た も 言 葉 の 匠 ∼﹂ ﹁ や め ら れ な い とまらない しりとりゲーム﹂といったパロディ的要素を含む もの、 ﹁探しにいこう、 オノマトペ/オノマトペの森に遊ぶ﹂といっ た冒険物の企画になぞらえたもの、 ﹁ ︵中国+台湾+韓国︶×漢字﹂ といった解釈的要素を含むものなどである。 これらは第一次原稿には見られなかったものが多く、推敲過程で 生まれたアイディアが反映されたものである。 ③魅力的な表現形式 ⑴ に述べた工夫以外にも内容を効果的に伝えるための形式に関す るかも!﹂と題した聞き取り調査の結果として得られたアイディア をもとに、古典の克服法を﹁徒然草﹂を例に挙げながら文章とマン ガを用いてステップ形式で示したものである。 ﹁原文を読む﹂ ﹁現代 語 訳 を 読 む ﹂﹁ 4 コ マ に ア レ ン ジ!﹂ と い っ た 三 段 階 は 国 語 科 の 学 習法としても一考の価値があり、 読んで楽しめる記事となっている。 図9 文章とマンガによるステップ形式 図8 クロスワードクイズ形式 るさまざまな 工夫がうかが えた。 たとえば図 8 は、 ﹁ 慣 用 句イズ﹂と題 して慣用句に 関するクイズ をクロスワー ドの形式でまとめたものである。 また図 9 は 、古典嫌いを解消するために、 ﹁こうすれば楽しく読め 図 10でも同じくマンガが用いられているが、この記事では表現形 式としてマンガを中心的に扱っている。 ﹁ゆびきり﹂ のジェスチャー が日本と英語圏とではまったく異なる意味に受け取られることを、 文字ではなく主に視覚的なイメージで伝えるマンガを用いることで 効果的に伝えている。 表 情 と 台 詞 に よ っ て 場 面 が シ ン プ ル か つ 的 確 に 使 用 さ れ て い る こ と に 加 え 、最 後 の コ マ が 共 通 し た 一 つ の コ マ に ま と め ら れ て い る 点 に も 工 夫 が う か が え る 。下 欄 の 文 章 に よ る 説 明 は マ ン ガ を 補 足 す る 役 割 と 大滝一登 伝えるための工夫を発見し自らの表現に生かす NIE 学習 一一 記事の内容に合わせて古風なイラストを見出しに含めるなど視覚的 効果が高まった。 全体として、人物に取材するインタビュー記事の導入としての工 夫が多数うかがえる頁となった。 レイアウトも横書きの記事と縦書きの記事を バ ランスよく収めて い る。 ﹁ き ま り と 注 意 点 ﹂ の 記 事 の 文 章 も 簡 潔 な 分 量 に ま と め、 読 み手に確実に読んでもらえるよう配慮がなされている。 ③原稿 C ︵図 7 ︶ 第一次原稿では文字中心の平板な印象のインタビュー頁であった が、 見出しが大きくなり、 視覚的なインパクトが強くなった。また、 巻物風の囲みの中にインタビューイーの氏名が入り、企画内容も明 確になっている。さらに写真が大きくなるとともに動的なショット に変更され、人物の魅力を読み手に伝えようという意図を反映した ものとなった。加えてインタビューイーの全身のイラストも挿入さ れ、親しみのもてる導入頁となった。 図6 原稿Bの最終原稿 図7 原稿Cの第2次原稿 ⑵ 最終原稿からうかがえる工夫 ①斬新な企画内容 グループ別に担当テーマは異なるが、いずれのグループについて も斬新で魅力的と思われる企画が生まれている。 ﹁ に ほ ん ご の い ろ い ろ ﹂ で は 最 新 の ネ ッ ト 語 を 取 り 上 げ、 使 用 者 で な け れ ば 決 し て 読 み 解 け な い 用 語 な ど 言 語 使 用 の 実 態 を イ ン タ ビューを交えながら明解に示した。 ﹁に ほ んごの楽しさ﹂ では回文、 なぞなぞといった言葉遊びや、快感的なオノマトペといった象徴的 な 素 材 に ス ポ ッ ト を 当 て た。 ﹁ に ほ ん ご の 奥 深 さ ﹂ で は 慣 用 句 や 古 典に加え、ダブルミーニング、若者言葉と死語、辞書の定義の違い と い っ た 興 味 深 い 内 容 に 着 目 し た。 ま た、 ﹁ に ほ ん ご に 学 ぶ ﹂ で は