スポーツ施設のあり方について(答申素案)
~ 屋外系スポーツ施設について ~
札幌市スポーツ振興審議会
目 次
1 札幌市における屋外系スポーツ施設の体系 ・ ・・・・・・ P1 2 答申における想定年限 ・・・・・・・・・・・・・・・・ P1 3 屋外系スポーツ施設の現状と評価 (1)複合型(スタジアム) ・・・・・・・・・・・・・・・ P2~8 (2)野球場(ソフトボールを含む) ・・・・・・・・・・・ P9~15 (3)サッカー場・ラグビー場 ・・・・・・・・・・・・・ P16~21 (4)庭球場 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P22~27 (5)パークゴルフ場・ゲートボール場 ・・・・・・・・・・ P28~30 (6)陸上競技場・ウオーキング用施設 ア 陸上競技場 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P31~32 イ ウオーキング用施設 ・・・・・・・・・・・・・・ P33 (7)その他 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P34~36 4 屋外系スポーツ施設の総括 ・・・・・・・・・・・・・・・ P371
1 札幌市における屋外系スポーツ施設の体系
屋外系スポーツ施設は、屋内系スポーツ施設(体育館、プール)のように行政区域(区 という単位)ごとに配置されているわけではない。したがって、屋内系スポーツ施設と同 様に施設規模、競技会の開催規模、利用者の志向性(競技志向、健康志向など)などで分 類し、評価することは困難である。また、屋外系スポーツ施設は、冬季スポーツ施設とも 異なり種目数が多いだけでなく、多用途・多目的の施設も存在する。 よって屋外系スポーツ施設については、多用途・多目的で観戦者の収容能力が高い施設 を複合型(スタジアム)として切り分けるとともに、他の施設(単体型)を屋外系スポー ツの種目特性から表 1 のとおり分類した。 表 1:屋外系スポーツ施設の分類 屋 外 系 ス ポ ー ツ 施 設 複合型(スタジアム) 複数種目を対象として設置され、1,000 席以上の観客席を有する施設 他の施設 (単体型) ベースボール型 野球場(ソフトボールを含む) フットボール型 (ゴール型) サッカー場、ラグビー場 (アメリカンフットボール、フィールドホッケー、ラクロスを含む) ネット対戦型 庭球場 ゴルフ型 パークゴルフ場、ゲートボール場 *ゴルフ場は除く 陸上型 陸上競技場、ウオーキング用施設 その他 弓道場(アーチェリーを含む)、エクストリームスポーツ施設、 サイクリング施設、自由広場など2 答申における想定年限
平成 22(2010)年~平成 42(2030)年までのおよそ 20 年間とする。 【理由】・ 今後のスポーツ施設のあり方について検討を行う上では、人口規模やそれに伴う 利用者の年齢層、ニーズの変化を把握することが重要であり、その基礎資料となる 人口推計は、平成 42(2030)年度まで示されていること。 ・ スポーツ部所管施設のうち、近い将来、耐用年数(注 1)を迎える施設には、月寒 体育館、美香保体育館(平成 44(2032)年度)があり、この 20 年の間に何らかの対応 が必要となること。 注1:耐用年数 市有建築物の資産管理基本方針から、経年劣化が進みつつある市有建築物を適切に維持し、 延命化を図るため、事後的な保全から計画的な保全への移行を主眼とする基本方針であり、 耐用年数は 60 年となっている。
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3 屋外系スポーツ施設の現状と評価
(1)複合型(スタジアム) 【現状】 札幌市内には、複数種目を対象として設置された 1,000 席以上の観客席を有する 複合型施設(スタジアム)に、札幌市の所管である「札幌ドーム」「スポーツ交流施 設(つどーむ)」「円山総合運動場」「厚別公園競技場」の 4 施設と、北海道の所管で ある「真駒内屋外競技場(現ネーミングライツ(命名権):セキスイハイムスタジア ム)」の合計 5 施設がある。 「札幌ドーム」は、平成 13 年 6 月に「内外の優れたスポーツ、展示会その他の催 物の開催の場を提供すること等により、スポーツの普及振興及び市民文化の向上並 びに地域経済の活性化に寄与するため設置する。」との目的のもとに完成し、今日で は市民のスポーツ活動のみならず、Jリーグやプロ野球の本拠地としても活用され ている。また、「札幌国際スキーマラソン」のスタート・ゴール会場としても用いら れており、札幌市の「する」「みる」スポーツの中心的役割を担っていると言える。 また、スポーツ以外のイベントでも多く利用され、コンサートやイベント、あるい は展示場としての用途も確立している。さらに、施設には「屋外天然芝サッカー練習 場」「屋外人工芝サッカー練習場」のほか、高校生以上であれば予約をしなくても利用 することができる「トレーニング室」も付設されており、アスリートから一般利用者 までの幅広い層に対応している。 「スポーツ交流施設(つどーむ)」は、平成 9 年 6 月に「スポーツ等を通して市民の 交流の促進を図ることにより、市民の健康増進及び市民文化の向上に資する」ために 建設された。現状では、軟式野球やフットサル、テニスやランニングなどのスポー ツのほか、フリーマーケット会場などのスポーツ以外のイベントも多く実施されて いる。また、公共交通機関とのアクセスもいいことから、2009 年より「さっぽろ雪 まつり」の会場としても活用されている。施設内は、シャワーやレストランなどの付 帯設備も充実しており、来場者数は増加傾向にある(図 1 参照)。 「円山総合運動場」は、「都市に居住する住民全般の運動、休息、鑑賞、散歩、遊 戯等の総合的な利用に供すること」を目的として昭和 10 年 7 月に整備され、それ以 降数度の補修・改修を経て現在に至っている。総合運動場自体は「野球場」と「競技場」 「補助競技場」そして「庭球場」から構成されているが、利便性の良さや、隣接する「北 海道神宮」や「札幌市円山動物園」「アスレチック遊具場」などと相まって、「市民の憩 いの場」としての地位を確立している。 「厚別公園競技場」は、昭和 61 年 11 月に「都市に居住する住民全般の運動、休息、 鑑賞、散歩、遊戯等の総合的な利用に供すること」を目的に整備され、「はまなす国 体秋季大会」の主会場としても使用された。公園競技場自体は「競技場」と「補助競技 場」「トレーニング室」で構成されている。 「真駒内屋外競技場(現セキスイハイムスタジアム)」は、「都市に居住する住民全 般の運動、休息、鑑賞、散歩、遊戯等の総合的な利用に供すること」を目的に昭和 45 年に完成し、札幌五輪時にはスピードスケート会場として使用された。現在、冬 期間はスケート施設として全国規模の大会(真駒内選抜)が年に一回開催され、スノ ーボードの国際大会(TOYOTA BIG AIR)も開催される。また、それ以 外の季節はテニスやフットサルなどへの開放、マラソン大会のスタート・ゴール施 設としても用いられている。さらに、会議室などの屋内施設を用いた運動教室など も開催されている。3 表2:設置年月日・改修履歴・所管・アクセス 施設 設置年月日・改修履歴 所管 アクセス 札幌ドーム 平成 13 年 6 月 札幌市 (スポーツ部) ・地下鉄東豊線「福住」下車 徒歩 10 分 ・プロ野球・サッカー・コンサートなどの開催 時には、地下鉄・JR等と札幌ドーム間を結 ぶシャトルバス運行 ・新千歳空港から札幌都心を結ぶ空港連絡 バス スポーツ交流施設 (つどーむ) 平成 9 年 6 月 ・地下鉄東豊線「栄町」下車 徒歩 8 分 ・中央バス「つどーむ前」下車 徒歩 1 分 円山総合運動場 昭和 10 年 7 月 【改修履歴(野球場)】 ・昭和 58 年 5 月 全面改修 ・平成 9 年 3 月 改修 【改修履歴(競技場)】 ・昭和 49 年 5 月 全面改修 ・平成 9 年 改修、エレベーター設置 【改修履歴(軟式庭球場)】 ・昭和 34 年 7 月 4 面増設 ・昭和 57 年 12 月 4 面増設、夜間照明設備 ・平成 13 年 下段暗渠及びサーフェイス、 観覧スタンドの全面改修 ・地下鉄東西線「円山公園」下車 徒歩 15 分 ・JR バス「総合グラウンド前」下車 厚別公園競技場 昭和 61 年 11 月 札幌市 (みどりの推進部) ・地下鉄東西線「大谷地」下車 徒歩 20 分 ・中央バス「平岡 9 条 3 丁目」下車 徒歩 5 分 真駒内屋外競技場 昭和 45 年 北海道 ・自家用車で市内中心部から約 25 分 ・じょうてつバス「真駒内競技場」下車 徒歩 1 分
4 表3:施設規模・付帯設備・バリアフリー 施設 施設規模 付帯設備 バリアフリー 札 幌 ド ー ム クローズド アリーナ 【面 積】 14,460 ㎡ 両翼 100m、中堅 122m 【観客席】 41,580 席 ・レストラン、グッズショップの 場外飲食売店が設置 ・イベント時の場内飲食売店 が設置 ・AED設置 ・身障者用駐車場 ・貸出用車いす ・車いす専用席 ・観客席用エレベーター ・音声誘導装置 ・身障者用トイレ ・オストメイト対応トイレ ・ユニバーサルシート付きトイレ 2 カ所 屋外天然芝 サッカー練習場 【広 さ】 105m×68m 屋外人工芝 サッカー練習場 【広 さ】 105m×68m トレーニング室 【面 積】 330 ㎡ ス ポ ー ツ 交 流 施 設 (つ ど ー む ) 屋内アリーナ 【面積】 11,484 ㎡ 【野球使用時】 両翼 81m、中堅 101m 【観客席】 1,200 席 【駐車場】 306 台※施設全体 【アリーナ内】 ・ランニングコース (1周 400m) ・シャワー(有料) ・レストラン ・売店 ・幼児コーナー ・AED設置 ・身障者用駐車場 ・車いす専用席 ・エレベーター ・身障者用トイレ トレーニング室 【面積】 240 ㎡ 庭球場 砂入り人工芝 4 面 パークゴルフ場 天然芝 18 ホール 円 山 総 合 運 動 場 野球場 【面積】 14,133 ㎡ 両翼 98m、中堅 117m 【観客席】 25,000 人 【駐車場】 50 台※施設全体 ・売店、レストラン (イベント実施時) ・車いす専用席 10 席 ・観客席用エレベーター ・身障者用トイレ 競技場 第二種 公認陸上競技場 【全天候型舗装トラック】 1 周 400m 8 コース 【フィールド】 100m×64.5m 【観客席】 12,000 人 ・売店、レストラン (イベント実施時) ・冬期間は屋外スケート開放 ・利用種目としては陸上競技 が主。 ・AED設置 ・車いす用リフト 補助競技場 1周 250m シンダー走路 バックネットあり 庭球場 【コート】 クレーコート 12 面 【観客席】 1,350 人程度収容可
5 施設 施設規模 付帯設備 バリアフリー 厚 別 公 園 競 技 場 競技場 第一種公認陸上競技場 ◎競技場 【全天候型トラック】 1 周 400m 9 コース 【フィールド】 105m×70m 【観客席】 20,861 人 ◎補助競技場 【トラック】 ・1周 400m 6 コース ・110m直線 3 レーン 【フィールド】 100m×70m 【駐車場】 119 台 ・屋内練習走路 (距離:約 64m 4 レーン) ・AED設置 ・身障者用駐車場 ・貸出用車いす ・スロープ ・ユニバーサルトイレ 補助競技場 トレーニング室 真 駒 内 屋 外 競 技 場 【アリーナ面積】 15,900 ㎡ 【フットサルコート】 最大 4 面 【テニスコート】 最大 8 面 【観客席】 17,324 席 【駐車場】 296 台(有料) ・サーキットトレーニング室 ・シャワー室 ・食堂 ・AED設置 ・車いす専用席 ・身障者用トイレ 図1:アリーナ(屋内)来場者数推移 図2:スタジアム来場者数推移 (札幌ドーム、つどーむ) (円山、厚別、真駒内) ※札幌市スポーツ部「事業概要」より ※円山総合運動場、厚別公園競技場は、 ※観客含む 札幌市スポーツ部「事業概要」より 真駒内屋外競技場は札幌市スポーツ部調べ ※観客含む 0 50 100 150 200 250 300 350 H18 H19 H20 (万人) 札幌ドーム つどーむ 0 2 4 6 8 10 12 14 16 H18 H19 H20 (万人) 円山総合運動場 厚別公園競技場 真駒内屋外競技場
6 図3:庭球場利用者数推移 図4:サッカー練習場利用者数推移 (つどーむ、円山) (札幌ドーム) ※札幌市スポーツ部「事業概要」より ※札幌ドーム「事業報告書」より 表4:事業実施の概要・コメント、特徴 施設 実施事業の概要 コメント、特徴 札 幌 ド ー ム クローズド アリーナ ・トップスポーツの実施 ・各種規模の大会の実施 ・イベント利用 ※スポーツ以外含む ・観光来場(ドームツアー) ・一般開放(予約制) 市民のスポーツ活動のみならず、プロスポーツチームの 本拠地としても活用されており、「する」「みる」スポーツの 場として活用されている。また、スポーツ以外のイベントも 多く利用されている。 ただし、クローズドアリーナの市民利用は年 14 日(5%) となっており、プロスポーツや、スポーツ以外のイベントな どでの使用以外と制限されている。 来場者数は増加傾向にある。 屋外天然芝 サッカー場 屋外人工芝 サッカー場 トレーニング室 ・運動教室や無料開放の実施 ・一般開放 ス ポ ー ツ 交 流 施 設 ( つ ど ー む ) 屋内アリーナ ・全国レベルまでの大会の実施 ・スポーツ以外のイベントの実施 ・一般開放 ・指定管理者主催の各種教室の実施 軟式野球、フットサル、テニス等のスポーツのほか、スポ ーツ以外のイベントも多く実施されている。 施設内には、シャワー、レストラン等の付帯設備が整っ ていることから、利用者が気持ちよく利用する環境が整っ ている。また、比較的公共交通機関の利便もいいことか ら、2009 年より「さっぽろ雪まつり」の会場としても活用され ている。 規模の大きな多目的な交流施設であり、スポーツの市 民利用にも供しており、来場者数は増加傾向にある。 トレーニング室 庭球場 ・一般開放(予約制) ・指定管理者主催の各種教室の実施 大会等の利用は想定しておらず、一般市民向けの開放 を行っている。 比較的公共交通機関の利便もよく、交通アクセスに優 れている上、駐車台数が豊富であることから、利用しやす い。利用者数は、ほぼ横ばいである。 パークゴルフ場 ・一般開放 ・用具貸出(有料) 比較的公共交通機関の利便もよく、交通アクセスに優 れている上、駐車台数も豊富で用具の貸出も行っているこ とから、利用のしやすい施設である。 利用者数は、減少傾向である。 0 5 10 15 20 25 30 35 40 H18 H19 H20 (千人) つどーむ 円山 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 H18 H19 H20 (千人) 天然芝サッカー練習場 人工芝サッカー練習場
7 施設 実施事業の概要 コメント、特徴 円 山 総 合 運 動 場 野球場 ・トップスポーツの実施 ・各種レベルの大会の実施 ・一般開放(予約制) ・指定管理者主催の各種教室、イベ ントの実施 道央圏のアマチュア野球のメッカとされ、ほとんどが大 会利用である。市民開放は極めて少ないが、朝夕、草野 球の大会で利用されている。 競技場 ・ 各種 レベ ルの大 会や 学 校の 運動 会、記録会で使用 ・一般開放 ・指定管理者主催の各種教室、イベ ントの実施 学校の体育大会や競技会が数多く実施されており、一 般開放も含めた利用者数は年々伸びている。また、主に 全道、全市規模の大会も数多く実施されており、道央圏の 陸上競技にとって重要な役割を果たしている。 また、冬期間はスケート場としても開放されており、通年 にわたり屋外でスポーツのできる施設として活用されてい る。 補助競技場 ・学校の運動会 ・一般開放(予約制) 学校の運動会やソフトボール、少年野球で利用されて いる。 庭球場 ・軟式テニスのみの開放 ・全国レベルまでの大会の実施 ・一般開放(予約制) ・指定管理者主催の各種教室、イベ ントの実施 市内で唯一のソフトテニス専用コートで、面数が 12 面あ り、観客席も有することから各種大会も多く実施されてい る。一般愛好者にも開放され、ソフトテニス振興に欠かせ ない施設となっている。 また、冬期間は雪合戦場としても開放しており、通年に わたり屋外でスポーツのできる施設となっている。 利用者数は、ほぼ横ばいである。 競 技 場 厚 別 公 園 競技場 ・ 各種 レベ ルの大 会や 学 校の 運動 会、記録会で使用 ・一般開放 ・指定管理者主催の各種教室、イベ ントの実施 市内で唯一の第一種公認陸上競技場であるが、大会 等の実施種目を見るとサッカーでの利用が最も多く、陸上 の利用では、円山競技場より少ない現状である。 平成 22 年度に第一種公認陸上競技場の更新時期とな っている。利用者数は、ほぼ横ばいである。 補助競技場 トレーニング室 真駒内屋外競技場 ・各種大会 ・一般開放 ・スポーツ以外のイベントの実施 ・指定管理者主催の各種教室、イベ ントの実施 テニスやフットサル等に開放され、会議室等では運動 教室が行われている。 冬期間は、スケート施設としての全国規模の大会が行 われているが、老朽化が著しい施設である。 【評価】 「札幌ドーム」は、わが国で唯一、J リーグとプロ野球、両方の本拠地となって いることもあり、利用者と観戦者を合わせた来場者数は増加傾向にある(図 1 参照)。 また、現状ではワールドカップクラスの「メガスポーツイベント」を誘致できる市内 で唯一の施設でもあり、定期的な設備等の更新や修繕を行い、現状の機能を維持・ 向上していくことが重要と思われる。 また、これまでに無いような斬新な使用法も考える必要がある。2007 年に開催さ れた「FISノルディックスキー世界選手権札幌大会」時には、世界初となるドーム 内でのクロスカントリー女子・男子スプリント決勝が開催された。2008 年にはWR C世界ラリー選手権のRd14 となる「パイオニア・カロッツェリア ラリージャパ ン」の一部が同じくドーム内で行われた。このような活用法などは格好の事例にな ると思われる。
8 課題点としては、立地的条件が挙げられよう。駐車台数に限りがあるため、多く の来場者は公共交通機関を利用するが、最寄り駅となる地下鉄福住駅からは徒歩で 10 分程度かかる。プロスポーツのゲームや、大きなイベント時には警備員や誘導員 などを配置しスムーズな来場を図っているが、約 4 万人の導線をより快適なものに するためには、新たなルートの確保も含め、さらなる対策を講ずる必要があろう。 「スポーツ交流施設(つどーむ)」は、利用者層が限定されるスポーツだけではな く、それ以外のイベント会場として多く使用されることで来場者数を伸ばしており、 稼働率の点では評価に値する。また、スポーツ以外の利用であっても施設が市民の 身近なものになり、個々のスポーツライフへの貢献に繋がるきっかけを提供するこ とも可能となることから、これからも「大規模多目的交流施設」として役割を果たし て行くことが期待される。 「円山総合運動場」は、平日、週末ともに良好な利用状況と言える(図 2、3 参照)。 雪のない季節はもとより、冬期間は「陸上競技場」が「スケート場」に、また「庭球場」 が近年では「雪合戦場」としても活用されており、年間を通した利用方法も確立され てきている。 しかし、それぞれの施設の老朽化が進行しており、世界的ないしは全国的スポー ツイベントを誘致する際には、その脆弱性は否定できないものがある。現状の使用 を継続していくのであれば相応の補修をして、耐用年数を延伸していくだけでいい かもしれないが、将来的にオリンピックやワールドカップクラスの「メガスポーツイ ベント」誘致を視野に入れる場合は大規模な増改築が必要不可欠となろう。 「厚別公園競技場」は、J リーグチームの本拠地となっており、昨年度の開催試 合数は「札幌ドーム」を上回っている(厚別公園競技場 13 試合、札幌ドーム 11 試合)。 また、現在、市内のみならず道内で唯一の第一種公認陸上競技場でもあり、陸上競 技会の開催数は「円山競技場」に次ぐ多さとなっており、来場者数もほぼ横ばいであ る。利用状況は良好と言えよう(図 2 参照)。 しかし、最寄り地下鉄駅(大谷地)からは徒歩で 20 分かかり、アクセスの悪さは問 題点と言える。 「真駒内屋外競技場(現セキスイハイムスタジアム)」は、利用者が減少傾向にあ る(図 2 参照)。老朽化が著しい施設であるため、競技会やイベントの誘致はかなり 厳しい。現状を鑑みれば見込まれる来場者数も限られ、収益面でも低調にならざる を得ない。然るべき整備を行い、年間で複数種目の競技会やイベントを誘致できる 施設にしていくのか、あるいは、このままフェードアウトしていくのか、道立施設 ではあるが、通年にわたり、複数種目で利用可能な屋外スタジアムとして貴重なも のであることから、今後の対応を注視したい。
9 (2)野球場(ソフトボールを含む) 【現状】 札幌市内には、大小合わせて 130 を超える野球場がある。このうち全市レベル以 上の大会に関して開催実績のある施設は、前述したスタジアム(「札幌ドーム」「円 山総合運動場」の野球場(以下「円山球場」という。)を除くと「麻生球場」「美香 保公園野球場」「川下公園」の 3 施設である。 「麻生球場」は、「旧中島球場」に代わる施設として設置され、「円山球場」とと もに、道央圏のアマチュア野球のメッカとして小・中学生から成人まで市民に限ら ず多くの人々に利用されている。平成 20 年度も、全国レベル・全道レベルの大会 が複数開催(延べ 70 日)され(表 7 参照)、利用者からのランクでは「円山球場」 の次に位置づけられている。過去 3 年間の利用者数はほぼ横ばいであるが、観客数 は僅かながら減少傾向にある。1 時間あたりの利用料金は、他の野球場(市内)に 比べて高く設定されている(円山球場、麻生球場:3,900 円、他の野球場:1,200 円)。 「美香保公園野球場」は、3 面の球場を有し、小・中学生から成人まで多くの人々 に利用されている。全国レベルの大会や全道レベルの大会も開催されているが、全 市レベルの大会開催が圧倒的に多い(利用件数は昨年度のべ 563 件であり、早朝は 毎日のように大会やリーグ戦が行われている)。特に、B球場は夜間照明設備があ り、仕事帰りに利用することが可能であるため、社会人を中心に多くの市民に利用 されている。また、冬期間は、雪合戦の開放も行っており、通年にわたる屋外スポ ーツ施設として活用されている。過去 3 年間の利用者数は、ほぼ横ばいであるが、 平成 20 年度の利用率(利用日数/開放日)は 100%である。 「川下公園」は、札幌市中体連の大会を開催しており、小・中学生を中心にしな がら、広く市民に利用されている。隣接する「リラックスプラザ」内に温浴施設、 プール、レストランを有しており、付加価値の高い施設である。しかしながら、一 昨年(平成 19 年度:10,069 人)から昨年(平成 20 年度:6,858 人)にかけて利用 者数が減少している(図 7 参照)。 「麻生球場」「美香保公園野球場」「川下公園」に次ぐ規模の施設は、「手稲稲積 公園」「農試公園」「平岡公園」「前田森林公園」「モエレ沼公園」「屯田西公園」の 6 施設である。これらの施設は、主に全区レベルの大会を中心に、小・中学生から 成人まで広く利用されている。 上記以外に「一般野球場」が 23 施設、「少年野球場」が 102 施設あるが、利用実 態に関するデータはない。
10 表5:設置年月日・改修履歴・所管・アクセス ※札幌ドーム、円山総合運動場はP3 参照 施設 設置年月日・改修履歴 所管 アクセス 麻生球場 昭和 55 年 8 月 札幌市 (スポーツ部) ・地下鉄南北線「麻生」下車 徒歩 7 分 ・JR 学園都市線「新琴似」下車 徒歩 8 分 美香保公園野球場 昭和 26 年 8 月 【改修履歴】 ・昭和 29 年 8 月 国体ラグビー会場としてクラブ ハウス(現在の管理事務所) 新築 ・昭和 34 年 7 月 ラグビー場改修(現美香保体育 館の位置) C 球場新設(現在と場所は同じ だが向きが異なる)以後随時バ ックネット・スコアボード等設置 ・平成 14~18 年 土木部河川 課流域貯留浸透 事業により球場グランド排水設 備等改修 札幌市 (スポーツ部) ・地下鉄南北線「北 24 条」下車 徒歩 10 分 川下公園 平成 7 年 3 月 札幌市 (白石区土木部) ・中央バス「川下公園」下車 徒歩 1 分 ・中央バス「白石高校」下車 徒歩 5 分 手稲稲積公園 昭和 56 年 7 月 札幌市 (みどりの推進部) ・JR 函館本線「稲積公園」下車 徒歩 2 分 ・JRバス「ていねプール前」下車 徒歩1分 農試公園 昭和 50 年 2 月 札幌市 (西区土木部) ・地下鉄東西線「琴似」下車 徒歩 20 分 ・中央バス「八軒 6 条西 5 丁目」下車 徒歩 1 分 平岡公園 平成 3 年 3 月 札幌市 (みどりの推進部) ・中央バス「平岡公園東 2 丁目」下車 徒歩 1 分 前田森林公園 昭和 62 年 8 月 札幌市 (手稲区土木部) ・JR 函館本線「手稲」下車 徒歩 15 分 ・中央バス「前田森林公園」下車 徒歩 1 分 モエレ沼公園 平成 7 年 3 月 札幌市 (みどりの推進部) ・中央バス「モエレ公園東口」下車 徒歩 1 分 屯田西公園 昭和 51 年 3 月 札幌市 (北区土木部) ・中央バス「屯田西公園」下車 徒歩 1 分 一般野球場(23 施設) 札幌市 (区土木部等11部) 少年野球場(102 施設) 札幌市 (区土木部等 9 部)
11 表6:施設規模・付帯設備・バリアフリー ※札幌ドーム、円山総合運動場はP4 参照 施設 施設規模 付帯設備 バリアフリー 麻生球場 両翼 92m、中堅 111m 【観客席】 12,000 人 【駐車場】 150 台 ・AED設置 ・身障者用トイレ 美香保公園野球場 【A球場】 両翼 84m、 中堅 96m 【B球場】 ※夜間照明設備あり 両翼 84m、 中堅 94m 【C球場】 両翼 80m、 中堅 85m 【観客席】 A・B球場それぞれ 50 人 【駐車場】 30 台 ・隣接する体育館内にAED設置 ・車いす用水飲台 ・身障者用トイレ 3 カ所 川下公園 両翼 92m、中堅 110m 【駐車場】 公園内合計 100 台 【リラックスプラザ(屋内施設)内】 ・温浴施設 ・レストラン、売店 ・プール ・公園内にAED設置 ・身障者駐車場 ・貸出用車いす ・ユニバーサルトイレ 手稲稲積公園 両翼 90m、中堅 110m 【駐車場】 公園内合計 1,250 台 ・公園内にAED設置 ・身障者用駐車場 4 台分 ・貸出用車いす ・身障者対応型水飲台 ・ユニバーサルトイレ 2 カ所 農試公園 両翼 80m、中堅 100m ※2 面あり ※内 1 面夜間照明設備あり 【駐車場】 公園内合計 125 台 ・公園内にAED設置 ・身障者用駐車場 2 台分 ・貸出用車いす 2 台 ・ユニバーサルトイレ 1 カ所 平岡公園 両翼 95m、中堅 120m 【駐車場】 公園内合計 170 台 ・公園内にAED設置 ・身障者用駐車場 6 台分 ・貸出用車いす 7 台 ・身障者対応型水飲台 ・ユニバーサルトイレ 7 カ所 前田森林公園 両翼 80m、中堅 100m ※2 面あり 【駐車場】 公園内合計 789 台 ・公園内に売店あり ・公園内にAED設置 ・身障者用駐車場 13 台分 ・貸出用車いす 4 台 ・身障者対応型水飲台 ・スロープ 3 カ所 ・ユニバーサルトイレ 4 カ所 モエレ沼公園 両翼 90m、中堅 110m 【駐車場】 公園内合計 1,500 台 ・公園内に売店、レストランあり ・公園内にAED設置 ・身障者用駐車場 32 台分 ・貸出用車いす ・身障者用トイレ 屯田西公園 両翼 85m、中堅 110m ※夜間照明設備あり ダッグアウトシェルター×2 【駐車場】 公園内合計 76 台 ・車いす用水飲台 ・身障者用トイレ
12 施設 施設規模 付帯設備 バリアフリー 一般野球場 (23 施設) 23 施設:37 面 ※うち 3 面夜間照明設備あり 【内訳】 ・10,000 ㎡以上:8 面 ・6,600~9,999 ㎡以上:23 面 ・6,599 ㎡以下: 6 面 少年野球場 (102 施設) 102 施設:103 面 【内訳】 ・6,600~9,999 ㎡以上: 6 面 ・6,599 ㎡以下:97 面 図5:野球場利用者数推移 図6:野球場観客数推移 (円山、麻生、美香保) (円山、麻生) ※札幌市スポーツ部「事業概要」より ※札幌市スポーツ部「事業概要」より 図7:野球場利用者数推移 (その他公園) ※市スポーツ部調べ 0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 H18 H19 H20 (千人) 円山 麻生 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 H18 H19 H20 (千人) 円山 麻生 美香保A 美香保B 美香保C 0 2 4 6 8 10 12 14 H18 H19 H20 (千人) 川下公園 手稲稲積公園 農試公園(2面) 平岡公園 前田森林公園(2面) 屯田西公園
13 表7:平成 20 年度大会等規模別利用日数 ※美香保公園野球場は件数 区分 札幌ドーム 円山総合運動場 野球場 麻生球場 美香保公園 野球場 プロ・実業団 100 日 13 日 0 日 0 件 全国レベル 4 日 11 日 12 日 8 件 全道レベル 3 日 42 日 58 日 23 件 全市レベル 7 日 53 日 44 日 563 件 全区レベル 0 日 0 日 3 日 1 件 表8:事業実施の概要・コメント、特徴 ※札幌ドームはP6、円山総合運動場はP7 参照 施設 実施事業の概要 コメント、特徴 麻生球場 ・全国レベルまでの大会の実施 ・一般開放(予約制) ・指定管理者主催の大会の実施 旧中島野球場に代わる施設として設置され、円山球場 とともに、道央圏のアマチュア野球のメッカとして活用され ている。利用者からのランクでは円山球場の下に位置され ている。利用者数は、ほぼ横ばいである。 美香保公園野球場 ・全国レベルまでの大会の実施 ・一般開放(予約制) ・指定管理者主催の教室、大会の実施 3 面の球場を持ち、特に早朝は毎日のように大会・リー グ戦が行われており、B球場は夜間照明設備があり、仕事 帰りに利用することが可能であるため、多くの市民に利用 されている。 また、冬期間は、雪合戦の開放も行っており、通年にわ たる屋外スポーツ施設として活用されている。 利用者数は、ほぼ横ばいである。 川下公園 ・札幌市中体連大会の実施 ・市レベルまでの一般草野球から少年野 球の大会、リーグ戦 ・一般開放(予約制) 市内一般のチームの利用が多く、園内施設リラックスプ ラザには、浴室・プール・レストランもあり、疲れた体を癒せ る。利用者数は、減少傾向である。 手稲稲積公園 ・市レベルまでの一般草野球から少年野 球の大会、リーグ戦 ・一般開放(予約制) 水はけが良く、雨上がり後でも使用できる。 また、平成 19 年にダッグアウトシェルターを設置した。 利用者数は、ほぼ横ばいである。 農試公園 ・西区民軟式野球選手権大会 ・西区アマチュアベースボールリーグ大会 ・西区少年軟式野球連盟主催大会 ・市レベルまでの一般草野球から少年野 球の大会、リーグ戦 ・一般開放(予約制) 近年グラウンド整備に力を入れており、外野の芝生は毎 週刈り込みを行っているため好評である。 市の中心部に近いが、利用者数は増減が見られる。 駐車場が狭いと不評である。 平岡公園 ・市レベルまでの一般草野球から少年野 球の大会、リーグ戦 ・一般開放(予約制) 利用は夏期のみであり、冬期は利用されていない。 利用者数は、ほぼ横ばいであるが、平日の日中の利用 は極めて少ない。
14 施設 実施事業の概要 コメント、特徴 前田森林公園 ・市レベルまでの一般草野球から少年野 球の大会、リーグ戦 ・一般開放(予約制) ホームベース、ピッチャープレートは設置しているが、各 塁ベースは利用者の持参となっている。 利用者数は、増加傾向である。 モエレ沼公園 ・市レベルまでの一般草野球から少年野 球の大会、リーグ戦 ・一般開放(予約制) 屯田西公園 ・一般開放(予約制) 屯田防風保安林に隣接した住宅地にある平地の公園 で、昭和 50 年札幌で最初の運動公園としてオープンし た。陸上競技場や野球場、庭球場など数多くのスポーツ 施設が設置されている。 夏にはウォータースライダーが子供に人気であり、冬期 間はスキー山でスキーやソリ遊びなど、季節を問わず楽し むことができる。※札幌市みどりの推進部「みどりのページ」より 利用者数は、やや増加傾向である。 一般野球場 (23 施設) 利用形態は夏期のみであり、冬期は利用されて いな い。 利用料金は、有料・無料が混在しており、主に大学 生・一般の利用となっている。利用状況は不明。 少年野球場 (102 施設) 利用形態は夏期のみであり、冬期は利用されて いな い。 利用料金のほとんどは無料であり、主に少年野球チ ームによって利用されており、使われていない時は一般利 用も垣間見られる。利用状況は不明。 【評価】 わが国における「ベースボール型」のスポーツは、主に硬式野球(準硬式を含む)、 軟式野球、ソフトボールに分類することができる。これらのスポーツは、「ベースボ ール型」のスポーツに共通する特性を有しながらも、使用する施設の規模や質(安全 管理上の基準)が異なり、「野球場」という施設において「ベースボール型」のスポ ーツすべてが行えるわけではない。特に硬式野球は、使用するボールの特性(堅くて 重い)から、その安全管理上、使用できる施設の制約が多い(公園の野球場は軟式の み利用可)。 札幌市における野球の競技団体登録者数は、25,930 人(硬式:6,921 人、軟式:19,009 人)である。また、団体数は、1,026 団体(硬式:191 団体、軟式:835 団体)で、 一団体の平均登録者数は 25.3 人(硬式:26.2 人、軟式:22.8 人)である。登録者の 内訳を見ると、硬式野球は、大学生(準硬式を含む)と高校生で 59.4%(高野連: 37.0%)、軟式野球は、小中学生と社会人で 94.0%(小中学生:69.0%、社会人:25.0%) である(資料 3 参照)。 札幌市において硬式野球を行うことができる「野球場」は、スタジアム(「札幌ド ーム」「円山総合運動場」の球場)を除くと「麻生球場」のみである。硬式野球にお いては、ほとんど全ての競技者が競技団体に登録しており、そのうちおよそ 7 割が高 校生、大学生、社会人である。このことは、それぞれの選手が所属する企業、学校の グラウンドを練習および試合会場として使用することができることを意味している。 しかしながら、近年は、社会人野球の低迷に伴い、硬式野球に使用できる企業保有の
15 野球場(札鉄、拓殖銀行、北洋銀行、NTT、サンワードなど)が減少しており、シ ニアリトルおよびリトルリーグを含めた硬式野球愛好者のための施設について、実態 を詳細に把握した上で、改善に向けて検討を進める必要がある。 硬式、軟式を問わず、社会人が野球場を利用するためには、早朝や夕方以降の利用 が可能であること、自家用車による利用が可能であることなどが重要である。札幌市 においては、夜間照明設備のある野球場が 137 施設(157 面)中、6 施設(6 面)と 学校開放施設(29 面)であり、必ずしも多いとは言えない。また、夜間照明設備を 有する「美香保公園野球場」「農試公園」において、駐車場が狭いという現状があり、 社会人の利用を考える上では改善の余地がある。 施設の現状に関しては、著しく老朽化した施設は見受けられないものの、「麻生球 場」および「美香保公園野球場」のユニバーサルデザイン化が十分とは言えず、改善 を進める必要がある。 利用者の現状に関しては、ほとんどの施設で昨年度の利用率がほぼ 8 割以上である が、「モエレ沼公園」(45.4%)「前田森林公園」(57.8%)の利用率が低い。現時点で は、これらの施設の利用率が低い原因は明確ではないが、交通アクセスの問題、付帯 施設(夜間照明設備、駐車場)、情報提供のあり方などを総合的に検証する必要があ る。 野球(「ベースボール型」のスポーツ)人口は、必ずしも競技団体登録者(硬式・ 準硬式野球、軟式野球)だけではない。わが国において野球人口の裾野は広く、本調 査では具体的な数字を盛り込まなかったソフトボールの競技団体登録者を含め、イン フォーマルな愛好者も多い。彼らの活動場所としては、利用実態に関する情報が無い 市内の「一般野球場」(23 施設)、「少年野球場」(102 施設)などが考えられるが、そ れらの野球場の多くは、トイレ、更衣室など基本的な設備が不十分であり、改善の必 要がある。
16 (3)サッカー場・ラグビー場 【現状】 札幌市内のサッカー場・ラグビー場は公設のものだけで、「厚別公園競技場」「札 幌ドーム屋外サッカー練習場」「白旗山競技場」「前田森林公園」「豊平川緑地」「屯 田西公園」「月寒屋外競技場ラグビー場」「真栄5条2丁目サッカーグラウンド」「東 雁来公園サッカー場」といった9施設、15面がある。このうち、「厚別公園競技場」 は大学や高校などの競技性を追求した大会の決勝戦を開催することができる。そ の他、民間NPO法人が管理する「札幌サッカーアミューズメントパーク」「北海道 バーバリアンズラグビーフットボールクラブ 定山渓グラウンド」を含めると、 11施設18面(天然芝:7面、人工芝:4面、クレー:7面)となる。 以上に列挙したうち、規模に関わらず観客席を備えるものが2施設、夜間照明を 備えるものが3面、クラブハウスを備えるものが4施設である。また、トイレ・更 衣室、あるいは駐車場にバリアフリーが導入されている施設は5施設である。 アクセスについては一様ではない。例えば「月寒屋外競技場ラグビー場」は地 下鉄月寒中央駅から徒歩1分、「前田森林公園」も入り口までバスがあるなど、極 めて良好な立地と利便性を有する施設がある。他方、「豊平川緑地」「白旗山競技 場(サッカー場)」などは公共交通機関を利用してのアクセスに30分以上の徒歩を 要するなど、自家用車でのアクセスを前提とした施設も散見される。 表9:設置年月日・改修履歴・所管・アクセス ※札幌ドーム、厚別公園競技場はP3参照 施設 設置年月日・改修履歴 所管 アクセス 月寒屋外競技場 ラグビー場 昭和 63 年 8 月 札幌市 (スポーツ部) ・地下鉄東豊線「月寒中央」下車 徒歩 1 分 白旗山競技場 平成 3 年 1 月 札幌市 (スポーツ部) ・中央バス「白旗山競技場入口」下車 徒歩 30 分 札幌サッカー アミューズメントパーク 平成 18 年 4 月 NPO ・中央バス「雁来」下車 徒歩 15 分 ・中央バス「豊畑神社」下車 徒歩 7 分 前田森林公園 昭和 62 年 8 月 札幌市 (手稲区土木部) ・JR 函館本線「手稲」下車 徒歩 15 分 ・中央バス「前田森林公園」下車 徒歩 1 分 モエレ沼公園 平成 7 年 3 月 札幌市 (みどりの推進部) ・中央バス「モエレ公園東口」下車 徒歩 1 分 豊平川緑地 昭和 43 年 7 月 札幌市 (白石区土木部) 屯田西公園 昭和 51 年 3 月 札幌市 (北区土木部) ・中央バス「屯田西公園」下車 徒歩 1 分 サッカー場 (公 2 施設) 札幌市 (スポーツ部、 清田区市民部) ラグビー場 (民 1 施設) NPO
17 表 10:施設規模・付帯設備・バリアフリー ※札幌ドームはP4、厚別公園競技場はP5参照 施設 施設規模 付帯設備 バリアフリー 月寒屋外競技場 ラグビー場 【フィールド面積】 天然芝:12,700 ㎡ ゴールライン間:100. 6m タッチライン間:69.0m 【観客席】 4,715 人 【駐車場】 150 台 (月寒体育館と兼ねる) ・浴室(有料) ・隣接する体育館にAED設置 ・隣接する体育館に売店、食堂 ※土日のみ ・スロープ ・身障者用トイレ 白旗山競技場 【天然芝グラウンド】 天然芝 2 面:16,550 ㎡ ※夜間照明設備あり 【ローラースキーコース】 延長約 630m 【駐車場】 100 台 ・更衣室棟 ・AED設置 身障者用トイレ 札幌サッカー アミューズメントパーク 【屋外グラウンド】 ・人工芝1面 (105×68m) ※夜間照明設備あり ・天然芝1面 (105×68m) 【屋内競技場】 フットサルコート 2 面分 【屋外コート】 フットサルコート 2 面分 【キッズ広場】 20×40m、天然芝 【駐車場】 施設内合計 500 台 ・クラブハウス内にシャワーあり (有料) ・AED設置 前田森林公園 100×65m 【駐車場】 公園内合計 789 台 ・公園内に売店あり ・公園内にAED設置 ・身障者用駐車場 13 台分 ・貸出用車いす 4 台 ・身障者対応型水飲台 2 カ所 ・スロープ 3 カ所 ・ユニバーサルトイレ 4 カ所 モエレ沼公園 400m×8 コースの 陸上競技場内 【駐車場】 公園内合計 1,500 台 ・公園内に売店、レストランあり ・公園施設内にAED設置 ・身障者用駐車場 32 台分 ・貸出用車いす ・身障者用トイレ 豊平川緑地 クレーコート 4 面 (100m×65m) 【駐車場】 公園内合計 248 台 屯田西公園 【駐車場】 公園内合計 76 台 ・車いす用水飲台 ・身障者用トイレ サッカー場(2 施設) 人工芝:2 面 空き地:1 面 ラグビー場(1 施設) 天然芝 1 面
18 図8:サッカー場・ラグビー場利用者数推移 図9:サッカー場・ラグビー場利用者数推移 (札幌ドーム、白旗山、月寒) (その他 4 施設) ※札幌ドームは「事業報告書」より。 ※札幌市スポーツ部調べ。 白旗山、月寒は、札幌市スポーツ部「事業概要」より。 表 11:事業実施の概要・コメント、特徴 ※札幌ドームはP6、厚別公園競技場はP7 参照 施設 実施事業の概要 コメント、特徴 月寒屋外競技場 ラグビー場 ・トップスポーツの実施 ・各種規模の大会の実施 ・イベント等自主事業 市内で唯一のラグビ―専用施設であり、観客席を有する ことから、トップリーグの試合が開催されるなど、ラグビー競 技にとって重要な施設である。 しかし、芝の養生等の理由により開放日数が非常に少な い上、他種目の利用も制限されている。その利用はほとんど が土日であり、年間約 30 日前後である。 利用者数に増減が見られる。 白旗山競技場 ・全道レベルの大会の実施 ・競技者の練習の場 ・一般開放(予約制) 交通のアクセスは良くないが、天然芝のサッカー場 2 面を 有することから、サークル等による利用が多くあり、全道レベ ルの大会までが実施されている。 また、冬期は歩くスキー場として開放しており、通年にわ たり屋外でスポーツができる施設として活用されている。 利用者数は 1 万人を割っているが、増加傾向である。 札幌サッカー アミューズメントパーク ・全国レベルの大会の実施 ・教室等自主事業 公共交通機関の利便性が低いため、主に利用者は、自 家用車を使って来場している。利用料金は有料であるが施 設の内容が充実しており、利用者数は増加傾向にある。大 会での利用も多い。 前田森林公園 ・一般開放(予約制) モエレ沼公園 ・区レベルの大会実施 ・区レベルのイベント実施 ・企業の運動会実施 ・一般開放(予約制) サッカー使用を制限している(土日の各日4時間)。そのた め芝生のコンディションはまずまずの状態を保っている。 サッカー場でないため陸上トラック使用を優先している。 0 2 4 6 8 10 12 14 H18 H19 H20 (千人) 札幌ドーム(天然芝) 札幌ドーム(人工芝) 白旗山 月寒 0 10 20 30 40 50 60 H18 H19 H20 (千人) 札幌サッカーアミューズメントパーク(2面) 前田森林公園 豊平川緑地(4面) 屯田西公園
19 施設 実施事業の概要 コメント、特徴 豊平川緑地 ・市レベルの大会の実施 ・一般開放(予約制) 有料サッカー場(4 面)、無料庭球場(4 面)をはじめ遊具 施設、ストリートバスケットコートがあり、スポーツや散歩をす る人たちが一日中訪れている。 ※(財)札幌市公園緑化協会「豊平川緑地」HPより 屯田西公園 ・一般開放(予約制) 屯田防風保安林に隣接した住宅地にある平地の公園で、 昭和 50 年札幌で最初の運動公園としてオープンした。陸上 競技場や野球場、庭球場など数多くのスポーツ施設が設置 されている。 夏にはウォータースライダーが子供に人気であり、冬期間 はスキー山でスキーやソリ遊びなど、季節を問わず楽しむこ とができる。※札幌市みどりの推進部「みどりのページ」より 利用者数は、ほぼ横ばいである。 サッカー場 (公 2 施設) 利用形態が夏期のみであり、冬期は利用されていない。 利用料金は有料である。 利用者のほとんどは大学生・一般である。 利用状況は不明。 ラグビー場 (民 1 施設) ・一般開放(予約制) 【評価】 成人野球人口約 4,786 人(軟式連盟:2,736+硬式連盟:2,050 人)に対し、サ ッカー・ラグビー人口は合わせて 5,593 人である(資料 3 参照)。活動頻度等を同 等と見積もると、グラウンド一面が受け持たなければならない選手数はそれぞれ 野球場(53 面)90 人、サッカー・ラグビー場(18 面)は 310 人となる。これだけ 見ても、サッカー・ラグビー場はその人口に比して少ないと言える。 ピッチの種別については、天然芝:7 面、人工芝:4 面となっており、割合とし てはまずまずの水準を保っていると言える。ただ今後、地元経済振興やスポーツ 振興を目的とし、夏期に高温多湿の本州から比較的大規模な大会・イベントを誘 致しようと意図するならば、克服しなければならない課題も多くなるだろう。 例えば、数も少ない上に、プレーできる季節も限られるため、市民プレイヤー たちの活動場所を確保することと、大規模大会を誘致することは、どちらか一方 を追求すると他方が犠牲となるような関係(トレードオフ)になってしまう。こ の場合、札幌市のスポーツ環境の発展をどのように考えるか、すなわち、市民の スポーツ実施率向上を重視するのか、大規模大会誘致による経済効果を重視する のかによって、その道筋は変わってくるだろう。なお、夜間照明を付して利用時 間を延ばすことは、根本的なグラウンド数の不足を補うのに有効であることは改 めて述べるまでもない。 他方、観客席やクラブハウスといった付帯設備の貧弱さには、目を覆うばかり である。スポーツは「する」だけではなく、「みる」、「学ぶ」、「極める」といった 様々な関わり方がある。特に、スポーツは「みる」対象であったことから、多く の耳目を集め、メディアコンテンツとして成立し、そこにスポーツ発展の経済的 基礎を得るに至った。また、どんなレベルの選手であっても、人に見られること によってパフォーマンスが向上する。すなわち、スポーツにおいて、「みる みら れる」という関係の成立は極めて重要な要素であると言える。
20 サッカー・ラグビーの試合には、市民レベルであっても選手の家族や友人をは じめ多くの観戦者が来場する。その多くが簡易の折りたたみ椅子(ディレクター ズチェア)を持参するのが現状である。これに対し、理想的には段差や屋根で対 応することが望ましい。観客席を整備することで、人々はさらにスポーツを見に 集まり、観戦文化が醸成されることになる。 ただ、グラウンドの確保すらおぼつかないところで、観客席に予算を割くこと に否定的な意見もあるかもしれない。プレイヤーのために、付帯設備は貧弱でも 面数を増やすべきという意見があるのも一定の理解はできる。また、今の必要性 を重視するか、未来の必要性を重視するかで、判断は分かれる。 いかなる方策が真のスポーツ振興であるか、真に市民のためであるかは、一概 に決定することはできない。全方位的なスポーツ振興策が不可能である以上、何 によってその優先順位を決定するかは、関係者の考え方次第であると言える。す なわちここでは、札幌市のスポーツ振興の方針や競技団体の普及方針に従って施 設を充実させていくという、高度に戦略的な判断が求められていると言えよう。 アクセスについての評価は、現状が多様なだけに一様にできない。公共交通機 関によるアクセスが可能な場所ならばそれに越したことがないが、札幌という都 市の現状では、これ以上地下鉄駅の周辺にグラウンドを敷設したり、バス路線を 増設することは不可能であろう。現実的には、自家用車でのアクセスの利便性を 高めたり、シャトルバスなどの運行によって一時的な需要を満たすことで状況の 改善を図ることができるかもしれない。 例えば「東雁来公園」は、人工芝のピッチ 2 面を有する有料施設だが、駐車場 が約 20 台分しかない。利用者の立場に立って試算してみると、2 面で同時にある 程度の公式試合を行う場合は、11 人×2 チーム×2 試合分で 44 人、さらに審判員 4 人×2 試合分で 8 人、計 52 人以上が活動する。これに監督コーチといったスタ ッフ、前後の試合の選手、大会役員、観戦者が加わると、ピーク時には 300 人近 くが施設にいる可能性がある。全来場者が 2 人で1台の車に乗り合わせてきたと しても、最低でも 150 台の駐車場が必要と見積もることができる。大会時には 200 台の臨時駐車場が特設されるとはいえ、大半の利用者が自家用車で来場するとい う現実に即すと、計画の際、十分考慮されるべき点であったと考える。スポーツ 都市を目指す札幌市の施設において、こうした事態の発生をなるべく抑える必要 がある。ひとつの解決策として、シャトルバス運行等を検討することが挙げられ よう。 今後敷設される予定の付帯設備についてはすべて、ユニバーサルデザインの導 入が期待される。1 施設に一つのクラブハウスの敷設が望ましいが、現時点では 非常に少なく、また今後も実現していくには財政的に難しい面もあろう。 しかしながら、更衣室、トイレ、シャワーといったスポーツ施設の備えるべき 基本的機能と呼べるものについては、当該施設ができる時点でクリアしておく必 要があろう。これが果たされないならば、女性や障がい者といった潜在的な利用 者を排除することになってしまう。性や障がいを理由にスポーツ施設から排除さ れることは、公共施設の位置づけからして望ましいことではない。老朽化の進む 施設の修繕、増改築といった機会をとらえ、逐次改善していくことが必要である と言える。
21 その他、民間 NPO 法人が管理するグラウンドなどは、広く公共的な利用を促進 するために、何らかの特別措置が与えられるべきであろう。例えば、地域住民へ の公共的利用を担保している施設所有者には、税負担等を一定程度軽減する、と いった具合である。 これは何も特別な考え方ではない。当該スポーツ施設の公共的利用(地域住民 への開放)の受益者は利用者と札幌市であるから、スポーツ振興にかかる市の支 出が低減する分、当該サービスの提供主体が徴税の時点で優遇を受けるのは、ニ ューパブリックマネジメントの観点からも理に適っている。以上の理念から、具 体的には、①直轄の際に発生する経費の節減、②専門家によるノウハウの構築、 ③競技団体の育成、④当該競技の競技力向上といった諸観点から望ましいものと 評価される。 ただし、こうした試みによってスポーツ実施率がどれほど向上したのか、市の スポーツ推進担当部局は、その費用対効果を測定すべきである。こうした方式が 市民にもたらす利益が大きいと判断されれば、直ちにその結果を公開し、他への 応用を促進することができるであろう。