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熊本県の小学校における多目的スペース計画の変遷とその利用実態 [ PDF

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Academic year: 2021

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       30-1 1. 研究の背景と目的  我が国の学校建築における多目的スペース(以下 MS)は 1972 年に導入され、1984 年に MS 補助制 度が制定、その後二度の制度改正による補助面積の増 加など、学校建築の空間計画における MS の重要性は 高まっている。これまでに整備されてきたオープンス ペース(以下 OS)や MS をもつ学校建築は “ クラス 単位の一斉学習のための普通教室を確保しながら、こ れに連続・近接した位置に OS、MS を設けるような 形で普及、発展してきた文 1)” と言われており、そこで は空間の連続性や多目的性、フレキシビリティが重視 され、その配置は学年のまとまりとの対応関係におい て構成されていると言われている。  現在、我が国の小学校建築に MS が導入されて約 40 年が経過しているが、当時の空間計画がなされた 頃より教育方法は多分に変化している。近年では習熟 度別学習にみられる少人数指導などの新たな学習集団 の編成が広く試みられるようになり、MS に求められ る要求は多岐にわたっている。このように新たに導入 された教育方法に対する利用上の矛盾が生じていると 考えられ、空間自体の再評価の必要性が高まっている 状況にある。  そこで本研究では、MS 補助制度制定以前より MS 整備を積極的に進めてきた熊本県を対象として、MS 計画の変遷を総括するとともに、その利用実態と MS に対する教師の意識を捉えることにより、現在の MS に求められる空間的要求を明らかにすることで、今後 の学校建築における MS 計画の指針を得ることを目的 とする。 2. 研究の方法 2-1. 研究対象について  文部科学省が提示する MS とは、“ 普通教室や特別 教室では実施することが困難な合同授業などの多様な 学習指導方法を実施するために設けられた学習スペー ス文 2)” とされている。そこで本研究で対象とする MS とは、MS 導入初期に模索されていた様々なタイプの MS も含めて、普通教室まわりに整備された活動のた めの空間として広く定義する。

熊本県の小学校における多目的スペース計画の変遷とその利用実態

津田 誠 2-2. 調査方法について  MS 補助制度制定以前より積極的に MS 整備を進め てきた熊本県において、MS 保有率の高い自治体(表 1) を対象に施設台帳による資料調査と各教育委員会を対 象としたヒアリング調査を行い、熊本県内の小学校に おける MS 整備の変遷を捉える。さらに、利用を捉え るうえで特徴となる事例を選定し、家具等の実測、ア ンケート、ヒアリング調査を行い、MS の利用実態と MS に対する教師の意識を把握する(表 2)。 2-3. 分析方法について  各自治体の平成 25 年度の施設台帳および教育委員 会へのヒアリング調査から、熊本県および各自治体に おける MS 整備の背景と動向をまとめる。さらに、い くつかの小学校を対象に利用実態と MS に対する教師 の意識から、空間構成と平面形状を分析の視点として MS に求められる空間的要求を明らかにする。 3. 熊本県内の主要自治体における MS の整備動向 3-1. 熊本県における学校施設整備の背景  熊本県では、1976 年に当時の Hy 市市長の発案に より整備された Hn 小学校を契機として MS が導入さ れ、その後、MS 補助制度制定以前から県内で様々な タイプの MS が計画されたことが明らかとなってい る。さらに、70~80 年代において教育に対して特に 力を入れていたことや、国庫補助申請の際に平面計画 表 2 調査概要 調査方法 調査時期 調査対象 調査概要 2013.10 11 2013.8 9 2013.12 MS の利用実態および MS に対する教師の意識に関するアンケート調査 施設台帳から MS 有無、平面構成および 建設年度の読み取り MS 整備の方針や変遷、Hn 小の影響 などに関するヒアリング MS 整備で特徴的な学校を対象に利用に 関するヒアリングと家具等の実測調査 ヒアリング調査 実測調査 資料調査 アンケート調査 各自治体の小学校 調査対象とした 小学校 調査対象とした 小学校の学級担任 各自治体の 教育委員会 自治体名 学校数※1 MS 保有校数※2S58 以前 ※1 分校・休校を除く ※2 施設台帳より MS 及び MS に類する空間をもつ学校(但し、余裕教室利用を除く) S59 以降〈学校規模(学級数)〉 〈MS 補助制度前後〉 6 7 11 12 Ao 市 Yg 市 Km 市 Ka 市 Hy 市 Mm 市 Kc 市 Tn 市 Ak 市 Ys 市 21 29 10 11 10 17 93 8 25 6 4 6 1 2 1 3 2 1 3 0 6 6 5 2 2 2 2 2 5 1 6 7 2 13 10 6 2 1 1 1 1 1 6 0 2 2 3 0 3 1 15 17 3 6 7 1 4 10 6 8 4 9 4 12 17 19 16 13 2 0 H25 年度時点 表 1 調査対象自治体 MS 保有校の概要

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30-2 について MS 導入の指導をしていたこと、また県の職 員がいくつかの自治体に職員として出向し施設整備に 対して指導を行っていたなどの背景があり、MS 導入 に関して当時の県の方針によるトップダウンの体制を 窺うことができる。  加えて、1977 年度から 1985 年度にかけて熊本県 教育庁施設課が交付した『公立小・中学校建物の状況 および長期整備計画』により、老朽木造校舎の解消や 不足教室等の解消を行うことを定め、各市町村におけ る学校整備を推進していた経緯があり、MS 補助制度 制定以前の MS 保有校はこの方針の中で整備されたも のであると考えられる。 3-2. 熊本県における MS の空間構成の動向  熊本県内の MS 保有率の高い自治体を対象に、普通 教室に対してユニットを形成していると考えられる MS を対象として、MS の面積とその空間構成に関す る情報、およびプランの抽出を行った。  まず、MS 面積は MS 補助面積の増加に伴い増加し ているが、その内訳としては集約型 MS を設ける学校 が多く、ユニットにおける 1 学級あたりの MS 面積は MS 補助制度が導入された 84 年を境に増加するもの の、それ以降は 30㎡~ 50㎡前後でほぼ一定の面積で あることがわかる。また、補助制度導入期では複数学 年をまとまりとして MS を設ける学校が半数以上を占 めるが、MS 補助面積が増加した 1997 年以降に建設 された学校からは各学年に MS を割り当てる学校が増 加していることがわかる(図 1)。さらに、ひとつの MS から構成されるユニットにおける学級数は減少す る傾向にあることがわかる(図 2)。このように、MS に対する構成学年数と学級数は縮小され、細分化され る傾向が読み取れる。 3-3. 熊本県における MS の平面形状の変遷  MS の平面形状をみると、MS 補助制度導入以前は、 特に大きな傾向は見られず、多様なプランの学校が整 備されてきたことがわかる。Hy 市をはじめとして、 限られた予算のなかで MS を積極的に導入しようとす る自治体としての方針が窺える。以後、MS 補助制度 が導入されると、学級教室(以下 CR)前の廊下を拡 張したようなプランの割合が多くなっていることが わかる。その後も、二度の補助面積増加などを受け、 図 2 熊本県内主要自治体における MS 計画の変遷 Kc 市 Tn 市 Ao 市 Yg 市 Km 市 Ka 市 Hy 市 Mm 市 Ak 市 Ys 市 2001 1997 1984(S59) 1972 - 1983 MS 導入初期 定着期1984 - 1991 多様期1992 - ※小学校施設整備指針 策定後 <MS 補助制度制定 > <MS 補助面積増加 > 76 77 78 78 80 80 81 79 78 81 81 86 83 87 87 87 87 88 88 88 88 87 87 87 85 84 86 88 89 89 89 89 89 91 91 90 91 91 00 91 90 99 99 98 95 95 95 01 01 03 06 12 13 11 02 04 07 07 『公立小・中学校建物の状況および長期整備計画』(熊本県教育庁施設課) 学校施設整備に関わる 制度・計画 全国的な MS 整備の流れ 1977 ‐ 1985 図 1 年代別にみた 1 学級あたりの MS 面積と学年構成の分布 ︵ ひ と つ の ユ ニ ッ ト を 構 成 す る 学 年 数 ︶ 1972 1983 1972 1983 N=59 凡例 12 6 11 保有普通教室数 整備年度 1984 1996 1984 1996 1997 2000 2001 2013 1997 2013 0 1 2 3 4 5 6 10 20 30 40 50 60 70 80 (㎡) (1 学級あたりの MS 面積)

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30-3 MS を CR と一体化し廊下と分離するものや、2 学級 ごとに区切って設けるもの、少人数教室を整備したも のなど、MS を内包化・細分化・個室化している例が みられる(図 2)。ここで、MS 整備は基本的に学校側 からの要望に応じる形で施設整備を行ってきたことが 明らかになっており、新たな教育方法に対応すべく従 来とは異なるプランタイプの要望が反映されてきたこ とが想像できる。 4.MS の利用実態 4-1.MS における活動の実態  まず、MS で行われる活動の 51%は作業・集会系の 活動である(図 4)。そのなかでも、工作・作業・実 験のように広く分散してものを扱うような活動と、集 会や発表・説明・話し合いといった児童を一か所ある いは複数の集団に分割したうえで行う活動が多く見ら れる。作業・集会系の利用についてより詳細に見ると、 異学年あるいは学年利用では MS のみを利用すること が多く、学級利用では MS と CR または余裕教室の両 方を利用する場合が多くなる。(図 5)。  また、Md 小以外の学校では、週に 2,3 回の習熟度 別学習が組まれているにもかかわらず、座学系の活動 は 4.0%にとどまっており、MS ではこれらの活動が ほとんど行われていないことがわかる。これは、その 活動が主に余裕教室で行われているためである。  さらに、収納・掲示が 28.2%を占めており、MS が 教材・荷物置き場として利用されていることがわかる。 この傾向は、CR 内に収納スペースが少ない学校にお いて特に顕著にみられる。 4-2.MS の利用実態と空間構成・平面形状との関連  作業・集会系の活動における利用集団別の割合をみ ると、学年利用については MS が学年全体での活動が 可能となるような、ある程度のまとまった面積をもっ ている場合には利用されやすいことがわかる。また、 学級利用については Md 小、Kg 小、Ys 小において多 く利用されている。これらは、単学年で構成され CR に対して隣接したまとまった面積の MS をもつプラン である。一方、Hn 小のように MS に対する隣接学級 が多く 2 学年が共有するような場合や、Yc 小のよう に 1 学級あたりの MS の面積が小さい場合、Tk 小 2 や Ms 小のように CR から離れている場合はその利用 は少なくなる傾向がある(図 6)。 5.MS に対する教師の意識 5-1.MS の利用における教師の意識  まず、多様な活動を行うことができる十分な広さを 確保できることに加えて、音や視線に対する配慮と、 図 4 MS における活動と利用の実態 作 業 ・ 集 会 座 学 生 活 収 納 ・ 掲 示 工作・作業・ 実験 活動内容 ■MS での活動内容 MS における活動と利用の実態 ■MS の利用集団 ■MS の利用形態 0 10 20 30 (%) 発表・説明・ 話し合い 集会 読み聞かせ ダンス・ 演劇・合唱 自習 個別指導・ 取り出し学習 生活指導・ 相談 給食の配膳 教材置き 児童の 荷物置き 掲示・展示 その他 :Hn 小 Hn 小 学校 異学年合同 学年合同 学級 合計 N=74 N=43 N=18 N=33 N=76 N=55 N=33 N=26 N=119 N=119 N=47 N=47 :Kg 小 Kg 小 :Ms 小 Ms 小 :Yc 小 Yc 小 :Ys 小 Ys 小 :Hh 小1 :Hh 小2 Hh 小1 Hh 小2 :Tk 小1 :Tk 小2 Tk 小1 Tk 小2 Hh 小1 Hh 小2 Tk 小1 Tk 小2 :Md 小 Md 小 凡例 割合=活動内容別回答数 ÷ 有効回答数 ×100 (%) 少人数指導 Hn 小 学校 単独利用 同時利用 交互利用 合計 N=74 N=43 N=18 N=33 N=76 N=55 N=33 N=26 Kg 小 Ms 小 Yc 小 Ys 小 Md 小 21.6% 47.3% 69.7% 57.9% 58.1% 61.1% 22.2% 39.4% 38.3% 46.2% 22.7% 0 20 40 60 80 100 0 20 40 60 80 100 31.1% 18.2% 35.5% 41.9% 45.5% 53.2% 53.8% 64.7% 45.5% 43.6% 54.1% 36.5% 51.5% 61.8% 41.9% 72.2% 57.6% 36.2% 38.3% 57.7% 49.6% 45.5% 31.6% 44.2% 22.2% 32.7% 39.4% 25.5% 38.5% 46.2% 52.7% (%) (%) 51.0% 13.6% 28.2% 4.0% 3.2% N=524 図 3 アンケート対象校の平面モデル アンケート対象校概要 Hn 小 ①:460 ㎡ ②:2 学年 ③:4 学級 ③:2-3 学級 ③:2-3 学級 ③:2 学級 ③:2 学級 ③:2 学級 ③:2 学級 ③:4 学級 ②:1 学年 ②:1 学年 ②:1 学年 ②:1 学年 ②:1 学年 ②:1 学年 ②:1 学年 ①:95 ㎡/ 30 ㎡ ①:95 ㎡ ①:78 ㎡ ①:64 ㎡ ①:98 ㎡/ 52 ㎡ ①:104 ㎡ ①:135 ㎡ Kg 小 凡例 ①:MS 面積 ②:ユニット構成学年 ③:ユニット内学級数 Ms 小 Yc 小 Ys 小 Hh 小1 Hh 小2 Tk 小1 Tk 小2 Md 小 図 5 作業・集会系の活動における利用集団と利用空間 20 0 100 80 60 40 (%) a b c d e 20 0 100 80 60 40 (%) a b c d e 20 0 100 80 60 40 (%) a b c d e 20 0 100 80 60 40 (%) a b c d e 20 0 100 80 60 40 (%) a a:工作・作業・実験 b b:発表・説明・話し合い c d d:読み聞かせ e e:ダンス・演劇・合唱 20 0 100 80 60 40 (%) a b c c:集会 d e ■異学年合同活動 ■学年合同活動 ■学級活動 MS のみ利用 MS と CR 又は余裕教室を利用 作業・集会系の活動における利用集団と利用空間 :Hn 小 :Hh 小1 :Hh 小2 :Tk 小1 :Tk 小2 :Md 小 :Kg 小 :Ms 小 :Yc 小 :Ys 小 凡例 割合=活動内容別回答数 ÷ アンケート回答数 ×100 (%) N=37 N=35 N=25 N=53 N=8 N=110 図 6 作業・集会系の活動における集団別利用率 (活動数/ 1 学級) 1.0 0 3.0 2.0 作業・集会系の活動における利用集団別の活動数 Hn 小 Hh 小1 Hh 小2 Tk 小1 Tk 小2 Md 小 Kg 小 Ms 小 Yc 小 Ys 小 凡例 1 学級あたりの活動数=集団別の作業・集会系活動の回答数 ÷ アンケート回答数 :異学年合同活動 :学年合同活動 :学級活動 N=44 N=18 0.8 0.5 1.0 0.6 0.6 0.6 0.2 1.0 1.0 1.1 2.0 2.8 0.3 0.7 0.8 0.8 0.1 0.5 0.5 1.4 0.0 0.0 0.7 0.4 2.2 2.2 2.7 2.7 1.7 1.9 N=35 N=20 N=11 N=32 N=16 N=14 N=11 N=66

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       30-4 【参考文献】 1. 小学校オープンスペースにおける場・コーナーの形成に関する分析 小学校オープンスペー スの使われ方に関する調査・研究(1)、日本建築学会計画系論文報告集、第 386 号、昭和 63 年 4 月、上野淳 連健夫 2. 文部科学省 HP 活動全体に目が行き届き指示が通りやすいことが求め られていることがわかる(図 7)。音や視線に対する 配慮の内容について詳細にみると、他学級に対する配 慮に加えて、学級内の集団間の音や視線に対する配慮 を行う教師が多いことがわかる。これは、近年の分割 学習や習熟度別学習において、学級内の別集団による 干渉が問題となっていることが読み取れる。また、学 級利用において複数の空間を利用する場合、教員が一 人の場合には管理の面から複数の空間の利用を断念す ることがあり、常に児童に目が行き届く状態が望まれ ていることがわかる。また、作品や教材などの物品を 一時的に置いておく場所の確保にも意識が向けられて おり収納場所の確保も重要であることがわかる。 5-2. 配慮の範囲と空間構成・平面形状との関連  学級利用における MS 利用時の他学級への音や視線 に対する配慮の範囲は、いずれも MS に隣接する学級 に対して拡がっており、同じユニット内でも MS に接 していない学級に対しては配慮の範囲が及びにくいこ とがわかる(図 8)。また、Md 小、Kg 小などユニッ ト内に余裕教室を含み、かつユニットを構成する学級 数が少ない場合には、比較的配慮に対する意識は小さ くなることがある。一方、Hn 小は MS の面積が大き いにも関わらず、異学年を含め同ユニット内のすべて の学級に対して配慮の範囲が広がっており、これが学 級活動での MS 利用を避けるひとつの要因であると考 えられる。  また、ユニット内において MS を分節することで、 他学級との干渉を避ける事例が見られた。Md 小、Kg 小の一部では各学級前の MS は利用せず、余裕教室と 一体化させたユニット内のコーナーにおいて活動を展 開させる事例が見られた。このような三方向が壁面に 囲われているような MS の形状は他学級への音や視線 が通りにくく、また管理の面でも利用しやすいとのこ とであった。また、Ys 小においては、学級前の MS に可動棚や背の高いボードを配置するなど音と視線を 通さないための工夫が全学級に見られ、MS の学年利 用よりも学級利用や CS 内での活動を優先させている ことがわかる(図 9)。 6. まとめ  本研究により明らかになったことを以下にまとめ る。まず、熊本県の MS 整備動向より、1)熊本県で は MS 導入期において、当時の県の方針によるトップ ダウンの体制において MS 整備が進められていたこ と、2)1 学級あたりの MS 面積は補助面積増加後も おおよそ一定の面積で推移していること、3)ひとつ の MS に対する構成学年数と学級数は縮小する傾向が あり、その平面形状は個別化が進んでいることが明ら かとなった。また、MS の利用実態および教師の意識 より、4)MS の利用において学年利用と学級利用で は活動内容の差異から求められる空間が異なり、学級 利用を促すためには単一学級においてある程度の独立 した MS 空間が求められること、5)少人数指導など の座学による分割学習は MS において行われにくく、 その理由として学級内の別集団による音と視線の干渉 が問題となっていること、6)MS 利用では活動全体 に目が行き届くことが求められ、学級利用においては CR との同時利用が多いために CR との近接性と見通 しの良さが重要であることが明らかとなった。  今後は、学年単位だけでなく学級単位での活動の展 開も考慮して、学級単位での独立性を確保しつつも、 様々な学習集団における多様な活動を可能にする空間 計画が求められると考えられる。 図 7 MS の使い分けにおける教師の意識 ■MS、CS、余裕教室の使い分けにおいて考慮すること ■音や視線に対する配慮の内容 ■MS、CS、余裕教室の同時・交互利用時の指導方法 MS 利用における教師の意識 20 0 0 20 40 60 80 100 100 80 60 40 (%) (%) 音や視線に関すること 割合=項目別回答数 ÷ 各校のアンケート回答数 割合=項目別回答数 ÷①の回答数 割合=項目別回答数 ÷ 各校のアンケート回答数 ① ① ② ② ③ ③ ④ ④ ⑤ ⑤ ⑥ ⑥ ⑦ ⑦ ⑧ ⑧ ⑨ ⑨ 他学級からの 音や視線 学級内の集団間の 音や視線 他学級への音や視線 活動全体に目が行き届き、指示が通りやすいこと 授業の内容に合わせた雰囲気作りができること 活動する時間の長さ 多様な活動を行うために十分な広さの確保 学級教室との連携が取りやすいこと 机・椅子・電子黒板などの家具・教具が利用できること 作品や教材などの物品を一時的に置いておく場所の確保 学習に必要な教材をすぐに取りに行けること :Hn 小 :Kg 小 :Ms 小 :Yc 小 :Ys 小 :Hh 小1 :Hh 小2 :Tk 小1 :Tk 小2 :Md 小 0 20 40 60 80 100 (%) 学級担任のみで指導 補助の教員を加える など二人以上で指導 同時・交互利用を しない N=25 N=15 N=27 N=41 N=20 N=44 N=14 N=73 N=87 N=22 N=11 N=37 図 9 MS 分節の事例 MS のユニット内における分節の事例 Md 小 可動間仕切り(常時開放) 可動棚 Yc 小

余 CR CR

CS ■ユニット内にコーナーを設ける事例 ■ユニット内の家具配置による分節の事例 可動棚・パーテーション (学年利用時は移動) 可動棚で学級教室単位に MS を分節する 各学級前 MS では なく、隅に囲われ たスペースを利用 する CS 図 8 MS 利用時における他学級への配慮 MS 利用時の他学級への配慮 Hn 小 Kg 小 Ms 小 Yc 小 Ys 小 Hh 小1 Hh 小2 Tk 小1 Tk 小2 Md 小 凡例 :配慮する:配慮しない(数字=回答学級数) 7 4 2 3 3 12 4 12 6 1 8 2 4 1 10 2 ■学級活動での MS 利用時における他学級への配慮の有無と範囲 20 0 100 80 60 40 (%)① ② ③ ④ N=12 20 0 100 80 60 40 (%)① ② ③ ④ N=4 20 0 100 80 60 40 (%)① ② ③ ④ N=12 20 0 100 80 60 40 (%)① ② ③ ④ N=6 20 0 100 80 60 40 (%)① ② ③ ④ N=5 20 0 100 80 60 40 (%)① ② ③ ④ N=6 20 0 100 80 60 40 (%)① ② ③ ④ N=6 20 0 100 80 60 40 (%)① ② ③ ④ N=12 20 0 100 80 60 40 (%)① ①:MS に隣接する学級のみ ② ②:MS に対面する学級のみ ③ ③:ユニット内のすべての学級 ④ ④:ユニット外の学級 N=12 20 0 100 80 60 40 (%)① ② ③ ④ N=8

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