「読解力」の育成を目指した指導事例集
− 高 等 学 校 編 −
平 成 1 9 年 3 月
刊
行
に
あ
た
っ
て
OECD( 経 済 協 力 開 発 機 構 ) が 2003 年 に 実 施 し た 「 国 際 学 力 到 達 度 調 査 」( 通 称 PISA) の 結 果 が 公 表 さ れ ま し た 。 こ の PISA 調 査 は , 義 務 教 育 を 修 了 し た 15 歳 の 子 ど も を 対 象 と し , そ れ ま で 学 校 や 生 活 場 面 で 学 ん で き た こ と を , 将 来 社 会 生 活 で 直 面 す る で あ ろ う 様 々 な 課 題 に お い て ど の 程 度 活 用 で き る か を 評 価 す る こ と を 目 的 と し た も の で す 。 そ の 結 果 , 家 庭 学 習 時 間 が 少 な く , テ レ ビ や ビ デ オ の 視 聴 時 間 が 長 い こ と , 記 述 式 問 題 の 無 答 率 が 増 加 し た こ と ,「 読 解 力 」 が 低 下 し た こ と な ど , 我 が 国 の 子 ど も た ち の 実 態 が 明 ら か に な り ま し た 。 前 回 の 調 査 と の 比 較 で も ,「 数 学 的 リ テ ラ シ ー 」や「 科 学 的 リ テ ラ シ ー 」は 依 然 ト ッ プ に あ る も の の ,「 読 解 力 」 は 前 回 の 8 位 か ら 14 位 と 大 き く 低 下 し ま し た 。 ま た , 本 県 の 子 ど も に お い て も , 平 成 14 年 度 か ら 4 年 間 実 施 し た 徳 島 県 基 礎 学 力 調 査 の 結 果 か ら 同 様 の 傾 向 が 見 ら れ ま し た 。 PISA の 学 力 調 査 結 果 は , 単 に テ キ ス ト を 読 み 解 く だ け の 読 解 で な く , テ キ ス ト を 正 確 に 理 解 し , 自 分 な り の 考 え や 意 見 を 述 べ る 力 を は ぐ く む 必 要 性 を 示 唆 し ま し た 。 私 た ち は , 子 ど も た ち の 学 力 の 現 状 を 的 確 に と ら え , 謙 虚 に 受 け 止 め , 授 業 の 改 善 に 生 か し て い か な け れ ば な り ま せ ん 。 そ し て ,「 読 解 力 」 を 向 上 す る た め に は , 国 語 科 に お い て 読 解 指 導 の 在 り 方 を 考 え る だ け で な く , 各 教 科 や 総 合 的 な 学 習 の 時 間 に お い て も ,「 読 解 力 」 を 身 に 付 け さ せ る と い う 視 点 か ら 授 業 を 展 開 し て い か な け れ ば な り ま せ ん 。そ の こ と が ,子 ど も た ち の「 生 き る 力 」 を は ぐ く む こ と に も つ な が る の で す 。 平 成 17 年 12 月 に , 文 部 科 学 省 か ら 「 読 解 力 向 上 に 関 す る 指 導 資 料 」 が 出 さ れ ,具 体 的 指 導 例 も 提 示 さ れ て い ま す が ,主 に 小 ・ 中 学 校 対 象 で あ る こ と か ら , こ の た び 本 セ ン タ ー で は ,「『 読 解 力 』 の 育 成 を 目 指 し た 指 導 事 例 集 」( 高 等 学 校 編 ) を 編 集 い た し ま し た 。 本 書 を , 各 高 等 学 校 で 「 読 解 力 」 に 視 点 を 当 て た 授 業 を 展 開 す る た め の 参 考 に し て い た だ き た い と 思 い ま す 。 最 後 に , 本 書 の 作 成 に 御 協 力 を い た だ き ま し た 関 係 の 皆 様 に 対 し ま し て , 心 よ り お 礼 を 申 し 上 げ ま す 。 平 成 19 年 3 月 徳 島 県 立 総 合 教 育 セ ン タ ー 所 長 山 川 勉目
次
Ⅰ
「読解力」とは何か
・・・・・・・・
1
Ⅱ
子どもの現状と「読解力」の必要性
・・・・・・・・
2
Ⅲ
「読解力」向上プログラムの推進のために ・・・・・・
4
Ⅳ
「『読解力』の育成を目指した指導事例集」の活用
6
Ⅴ
具体的指導事例
(普通教育に関する各教科)
国
語
科
・・・・・・・・
7
地理歴史科
・・・・・・・・
19
公
民
科
・・・・・・・・
25
数
学
科
・・・・・・・・
29
理
科
・・・・・・・・
35
保健体育科
・・・・・・・・
45
芸
術
科
音
楽
・・・・・・・・
49
美術,工芸
・・・・・・・・
50
書
道
・・・・・・・・
52
外 国 語 科
・・・・・・・・
55
家
庭
科(普通)
・・・・・・・・
57
情
報
科(普通)
・・・・・・・・
61
(専門教育に関する各教科)
農
業
科
・・・・・・・・
63
工
業
科
・・・・・・・・
69
商
業
科
・・・・・・・・
73
水
産
科
・・・・・・・・
77
家
庭
科(専門)
・・・・・・・・
81
看
護
科
・・・・・・・・
83
情
報
科(専門)
・・・・・・・・
87
福
祉
科
・・・・・・・・
89
(総合的な学習の時間)
・・・・・・・・
93
(特
別
活
動)
・・・・・・・・
97
編
集
委
員
・・・・・・・・
100
編
集
後
記
・・・・・・・・
101
Ⅰ
「読解力」とは何か
OECD(経済協力開発機構)が実施した「国際学力到達度調査」(通称 PISA 調査)に おける「読解力」は,「自らの目標を達成し,自らの知識と可能性を発達させ,効果的 に社会に参加するために,書かれたテキストを理解し,利用し,熟考する能力」と定義 さ れてい る。また ,PISA 調査の目的は,義務教育修了段階にある生徒が,そのもって いる知識や技能を,実生活の様々な場面で直面する課題にどの程度活用できるかを評価 することである。 このような PISA 調査における「読解力」をはかる問題の特徴は,次のとおりである。 (1) テキストには文章のような『連続型テキスト』だけでなく,図,地図,グラフな どの『非連続型テキスト』を含んでいる。 (2) テキストの内容だけでなく,その構造・形式や表現法も評価すべき対象となってい る。 (3) 単なる「テキストの中の情報の取り出し」だけでなく,書かれた情報から推論して 意味を理解する「テキストの解釈」,書かれた情報を自らの知識や経験に位置付ける 「熟考・評価」の三つの観点から構成されている。 (4) 記述式問題も多く,テキストを単に読むだけでなく,テキストを利用したり,テキ ストに基づいて自分の意見を論じたりすることを含んでいる。 これまで日本の国語科教育等でいわれてきた読解力とは,「テキストの内容を理解す る 能力」 が主であ ったが ,PISA 型「読解力」とは,単に文章を読んで理解することに とどまらず,「図表や地図を含むテキストに書かれた内容を理解した上で,利用・熟考 し ,目的 に合わせ て活用 する能力 」である 。さら に,PISA 調査の「読解力」問題の特 徴からすれば,テキストの評価や建設的に批判する読み(クリティカル・リーディング) も含まれる。 PISA 型「読 解力 」につ いて は,次 のよ うにとらえられる。(平成 17 年度文部科学省 「読解力向上プログラム」)読
解
力
実 文 生 章読む力
書く力
活 ・ (聞く力)考える力
(話す力) ・ 資 行 料 動読解力を支える基礎力
すなわち,「考える力」を中核として,「読む力」,「書く力」を総合的に高めていく ことが重要であると位置付けている。本書では,従来の読解力と PISA 型「読解力」を 区別するため,後者を「読解力」として示すこととする。Ⅱ
子どもの現状と「読解力」の必要性
1 国際学力調査結果からの課題 出題形式別無答率 【図表2】 読解力問題の平均得点の比較【図表1】 PISA2000 PISA2003 フィンランド 546 543 韓国 525 534 カナダ 534 528 オーストラリア 528 525 リヒテンシュタイン 483 525 ニュージーランド 529 522 アイルランド 527 515 スウェーデン 516 514 読解プロセス別無答率 【図表3】 オランダ − 513 香港 − 510 ベルギー 507 507 ノルウェー 505 500 スイス 494 499 日本 522 498 マカオ − 498 【図表1】PISA 調査の読解力問題の平均得点の比較結果をみると,「読解力」の日本の 平均得点は,2000 年の調査では 522 点(8 位)であったが,2003 年の調査では,調査に参 加した41の国・地域の中で 498 点(14 位)となった。「数学的リテラシー」,「科学的リ テラシー」,「問題解決能力」の得点は,いずれも1位の国とは統計上の差がなかったが, 「読解力」の得点については 24 点の低下がみられ,OECD 平均程度となった。 この「読解力」について,出題形式別と読解プロセス別の無答率では,分析結果に大き な特徴がみられる。 【図表2】出題形式別に無答率をみた場合,「自由記述問題」の無答率が OECD 平均よ り 5 ポイント以上高い問題数の割合が 60.0 %である。 日本の無答率は OECD 平均より 8.1 ポイント高い結果となっており,これは,2000 年の 調査と同様の結果となった。このことから「自由記述問題」が苦手であることがうかがえ る。 自由記述:答えを導いた考え方や求め方,理由説明など,長めの語句で答える問題 多肢選択・複合:与えられた選択肢の中から選択する問いが連続している問題 求答:答えが問題のある部分に含まれており,短い語句でまたは数値で答える問題。正答は一つ。 短答:短い語句または数値で答える問題。正答は複数。 【図表3】読解プロセス別にみると,無答率が OECD 平均より 5 ポイント以上高い問題 数の割合が「テキストの解釈」,「熟考・評価」において高い結果となった。 情報の取り出し : テキストに書かれている情報を正確に取り出すこと 解釈 : 書かれた情報がどのような意味を持つのか理解したり,推論したりすること 熟考・評価 : テキストに書かれていることと,知識・考え方・経験等とを結び付けること 無答率がOECD平均より5ポイント以上高い問題数の 割合(%) 0.0 20.0 40.0 60.0 80.0 無答率がOECD平均より5ポイ ント以上高い問題数の割合(%) 60.0 0.0 0.0 25.0 25.0 自由記述 多肢選択 多肢選択・複合 求答 短答 無答率がOECD平均より5ポイント以上高い問題数の割合 (%) 0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0 無答率がOECD平均より5ポイ ン ト以上高い問題数の割合(%) 16.7 21.4 0.0 57.1 情報の取り出し 解釈 解釈・情報の取 り出し 熟考・評価2 教育課程実施状況調査及び徳島県基礎学力調査結果からの課題 (1) 平成 14 年度に,国立教育政策研究所が実施した高等学校教育課程実施状況調査の 「国語Ⅰ」の結果では,文章に書かれている内容をおおまかに把握する力はほぼ身に 付いていると考えられる一方で,文章の表現方法や文章構成等,筆者の考えの進め方 や表現意図をとらえる力,文章の主題をふまえて自分の考えを深めたりまとめたりす る力は,十分身に付いているとはいえない状況であった。また,問題の難易にかかわ らず,いずれの記述式の問題でも解答していない生徒が一割程度いたことが明らかに なっている。この結果をふまえ,次のような提言がなされた。 ○ 表現に着目する力を育成する指導の充実 (略) 何が書いてあるかという読みにとどまらず,ワークシートなどを活用して, どのように書いてあるのか,なぜこのように書いているのかなどという表現の仕方 にも着目する指導を行うことが求められる。 (略)自分の言葉で表現しようとい う意欲を喚起するような指導を展開することも大切である。 (2) 平成 17 年度に実施した徳島県基礎学力調査の「国語」(中学校 2 年生対象)に関す る結果分析において,「漢字の読み」,「語句」に関する問題については良好な結果で あ っ た が ,「 書 く こ と 」 に 関 す る 問 題 で ,「 目 的 に 応 じ て 書 き 出 し に 合 わ せ た 内 容 構 成で書く」ことは 51.4 %,「書く必要のあることを書き落とさず書く」ことは 54.2 %, 「目的や相手に配慮して表現の効果を工夫する」ことは 53.6 %と正答率が低かった。 また,「書くこと」の問題の誤答分析によると,無答率は 21.6 %と調査全体を通して 最も高かった。 こうしたことから,「書くこと」の指導では,様々な文章の構成を考え,目的や相 手に配慮して敬語を使うなど,表現を工夫する力の育成が必要であることや記述力の 向上を目指すことが重要であることが明らかになった。 また,「数学」(中学校 2 年生対象)の結果分析でも,数量が変化していく様子から きまりを見つけ,文字の式で表す問題では,正答率が 43.6 %と低い結果となり,「数 学的な見方や考え方を身に付けさせるためには,結果を出すことに重きをおくのでな く,何を根拠にどのような手順でその結果を導いたかを筋道を立てて説明したり,結 果を導いてきた過程を振り返って考えたりする学習を大切にしたい。」と分析してい る。 3 「確かな学力」との関連性 先 に 示 し た よ う な 諸 調 査 の 結 果 か ら ,「 読 解 力 」 の 向 上 を 目 指 し た 指 導 の 必 要 性 が 明確になった。ここで,この「読解力」と学習指導要領で言う「確かな学力」との関 連性について,二つ述べる。 ① PISA 調査のねらいとするところは,学習指導要領で子どもに身に付けさせたい資 質・能力と相通じるものである。 PISA 調査の目的 学習指導要領の「確かな学力」 義務教育修了段階にある生徒が,そ 知識や技能に加え,学ぶ意欲や,自分で の持っている知識や技能を実生活の様 課題を見付け,自ら学び,自ら考え,主体 々な場面で直面する課題にどの程度活 的に判断し,行動し,よりよく問題を解決 用できるかを評価すること。 する資質や能力。 ② 「読解力」は国語科だけでなく,学校の教育活動全体で身に付けさせていくべきも
のである。 学習指導要領(総則) 学校生活 全体を通して,言語に対する関心や理解を深め,言語環境を整え,生徒 の言語活動が適切に行われるようにすること。
Ⅲ
「読解力」向上プログラムの推進のために
PISA 調査 結果をふ まえ, 文部科学 省は, 国際的に 質の高い 学力を目指 すため,学習 指 導要領の見直し,全国学力調査の実施の検討,授業改善の徹底など,「学力向上の具体的 戦略」を進めてきた。特に,「読解力」については,国立教育政策研究所との協力による 「PISA・TIMSS 対応ワーキンググループ」においてさらに詳細な分析を進めるとともに, 大学 の研究 者,学校 教育現 場の教員 等の協力 も得な がら,PISA 型「読解力」を高めてい くための具体的な施策や指導の在り方について課題分析し,また,文章の解釈や論述の力 を高める指導や読書活動の推進方策等の検討を行ってきた。これらを「読解力向上プログ ラム」としてまとめている。 この中で示されている,教育委員会と連携しながら文部科学省が取り組む「五つの重点 戦略」と各学校で授業改善に取り組む「三つの重点目標」,及び,各学校で「読解力」を 育成するための指針として出された「読解力向上に関する指導資料」に示されている「指 導のねらい」を次に紹介する。 1 文部科学省・教育委員会が取り組む五つの重点戦略 文部科学省は,教育委員会と連携しつつ五つの重点戦略を掲げ,各学校における「読 解力」の向上に関する具体的な取組を積極的に支援している。重点戦略については, 次のとおりである。 (1) 文部科学省は,中央教育審議会に対して見直しに当たっての検討課題を示し,教育 課程部会を中心として全体的な見直しについて審議を進めている。その中には,「人 間力」向上のための教育内容の改善充実の一つとして,「国語力の向上」も含まれて いる。 【学習指導要領の見直し】 (2) 各地域の PISA 型「読解力」向上の取組を支援するため,「国語力向上モデル事業」 において,国語科だけでなく教科横断的な取組としてより一層の充実を図ることや, 教員の資質向上を図るため,全国の教員等を対象とした「全国読解力向上フェア(仮 称)」の実施を計画している。 また,各学校での取組を支援するため,「読解力向上のための指導資料(文部科学 省)」を作成・配布,ホームページでも公開する外,各教育委員会と連携しつつ,授 業改善や家庭・地域との連携を一層推進するため,教員・一般向けのハンドブックや 指導事例集も作成する計画である。 さらに,独立行政法人教員研修センターで昨年度から実施されている国語力向上に 向けた指導者養成研修の研修内容や海外の研修事情の調査研究についても,充実・改 善を図ることとしている。【授業の改善・教員研修の充実】 (3) 子どもたちの PISA 型「読解力」の状況を的確に把握し,方策を立てていく必要性 から,今後,PISA 調査結果を活用することはもちろん,実施を予定している全国的 な学力調査,自治体独自で行う学力調査問題や高校・大学入試問題においても改善が 図られるようにする。【学力調査の活用・改善等】 (4) 読書活動を推進するため,学校図書館の蔵書を充実させたり,司書教諭や学校図書館担当事務職員等人的配置を推進していく。また,学校図書館支援センターの在り方 に関する調査研究を行う。【読書活動の支援・充実】 (5) 言語についての知識や経験を深めることにより,子どもたちの「読解力」を支える 基礎力を育成する必要性から,教育委員会と連携しながら日本 PTA 全国協議会,日 本図書館協会,全国学校図書館協議会,日本新聞協会,日本雑誌協会等の関係団体等 に対して積極的に協力を呼びかけるとともに,読解力向上委員会(仮称)を設ける。 【読解力向上委員会(仮称)】 2 各学校における授業改善の三つの重点目標 「読解力」やそれを支える基礎力を育成するための,各学校における三つの改善の取 組の方向を示している。 【目標1】テキストを理解・評価しながら読む力を高める取組の充実 テキストを単に読むだけでなく,考える力と連動した形で読む(考えながら読む)こ とが重要であるとし,二つの具体的な取組を示している。 ① テキストの内容や形式などの「解釈」や「理解・評価」する取組の充実 ② 「建設的な批判を伴う読み(クリティカル・リーディング)」の導入 【目標2】テキストに基づいて自分の考えを書く力を高める取組の充実 テキストを読んで理解することによって得られた知識等について,実生活や行動と関 連付けて書く力を高めるとともに,書いたものをさらに深めることを通じて読む力を高 める等,考える力を中核として,読む力,書く力を総合的に高めていくプロセスを確立 することが重要であるとし,二つの具体的な取組を示している。 ② テキストの内容を「要約」,「紹介」する取組の充実 ② 授業の最後に「自分の考えを簡潔に書かせる」などの機会の充実 【目標3】様々な文章や資料を読む機会や,自分の意見を述べたり書いたりする機会の充 実 自分の意見や思いを述べたり書いたりする機会を設定することに加え,家庭や地域に 対し,自分の思いや考えを話したり,書いたりする組織の大切さについて周知していく ことの必要性を示している。 ① 「朝の読書」など読書活動の推進 ② 新聞や科学雑誌などを含め「幅広い読み物」に触れる機会の充実 ③ 「目的に応じた自分の意見」を述べたり,書いたりする機会の充実 3 書く学校における「読解力」向上のための指導のねらい 「読解力」向上のために,指導のねらい(詳細に七つ)が示されている。 ア テキストを理解・評価しながら読む力を高めること (ア) 目的に応じて理解し,解釈する能力の育成 自らの目的に応じてテキストの意味や構成を理解したり,表現の細部が全体にお いてどのような役割を果たしているのかなど,筆者の表現意図を解釈したりする力 を高める必要があるとしている。 (イ) 評価しながら読む能力の育成 与えられたテキストについて,主張の信頼性や客観性,科学的な知識や情報との 対応,引用や数値の正確性,論理的な思考の確かさ,目的や表現様式に応じた表現 法の妥当性など,様々な幅広い観点から評価しながら読む能力を育成することが大 切であるとしている。
(ウ) 課題に即応した読む能力の育成 課題に即応することのできる読みの能力の育成が大切であり,どのような能力を 習得したのかを学習者が明確に自覚できることが重要であるとしている。 イ テキストに基づいて自分の考えを書く力を高めること (ア) テキストを利用して自分の考えを表現する能力の育成 テキストで述べられている事柄を相互に関連付けて解釈したり,それらを総合し て自分の考えや生活経験と結びつけて考えをまとめ,表現したりする能力が大切と している。 (イ) 日常的・実用的な言語活動に生かす能力の育成 単に,テキストの内容や構成を読みとる指導で終わるのではなく,読んだ結果を 生かした表現活動を十分取り入れることが大切としている。 ウ 様々な文章や資料を読む機会や,自分の意見を述べたり書いたりする機会を充実 すること (ア) 多様なテキストに対応した読む能力の育成 新聞や雑誌記事なども含め,説明的・論説的な文章をはじめとした幅広い範疇の 読み物やパンフレットや図表なども含めた多様なテキストにより,いろいろな図を 読む能力や解釈する能力を育成することが大切としている。 (イ) 自分の感じたことや考えたことを簡潔に表現する能力の育成 読んだことと関連付けて,自分の感じたことや考えたことを簡潔にわかりやすく 表現する能力が大切としている。
Ⅳ
「『読解力』の育成を目指した指導事例集」の活用
本書では,高等学校における各教科や総合的な学習の時間,特別活動等における「読 解力」のとらえ方について説明するとともに,「読解力」の育成に視点をあてた具体的 指導事例を紹介している。 また,具体的な指導事例には,単元名,対象学年,改善の方向,指導のねらい,テキ スト,主な学習内容,指導上の留意点,評価の観点等の項目について示しているが,改 善 の 方 向 に つ い て は , 上 述 し た 「『 読 解 力 』 向 上 に 関 す る 指 導 資 料 ( 文 部 科 学 省 )」 の 指導のねらいの7項目のうち,重視する項目を示している。 なお,本書は,まったく新しい授業展開を期待するものではなく,「読解力」をはぐ くむ視点からこれまでの授業を振り返り,改善すべきところは改善し,生徒たちが持っ ている知識や技能を実生活の様々な場面で活用できる力を育てることをねらいとして編 さんしている。【国語科】
1
国語科における「読解力」のとらえ方
(1) 従来の教科国語で用いられてきた「読解」 我が国の国語科教育において,「読解」は多くは文章の精緻な読み取りを意味して いた。かつて,国語の読むことの授業ではこの「読解」に力を入れ,文学作品の主題 追究,人物の心情の丹念な読み取りなどに多くの時間をかける傾向があった。 現行の学習指導要領は,平成 10 年 7 月の教育課程審議会答申の「文学的文章の詳 細な読解に偏りがちであった指導の在り方を改め」という提言を受けて改善を図った。 特に,自分の考えをもち,論理的に意見を述べる能力,目的や場面に応じて適切に表 現する能力,目的に応じて的確に読み取る能力や読書に親しむ態度を育てることが重 視され,社会人として必要とされる言語能力を確実に育成するために,言語活動が示 された。PISA 調査のねらいとするところは,現行の学習指導要領の教科「国語」で 生徒に身に付けさせたいと考えている資質・能力と相通じるものであることから,「読 解力」の向上には,学習指導要領のねらいとするところの徹底が重要である。 (2) 「読解力」の向上を図るための指導 「読解力」の向上を図る授業を考えるとき,新たな視点として「読解力」をとらえ るのではなく,学習指導要領を「読解力」という視点からとらえ直し,授業の改善を 図ることが大切である。 ア 表現に着目する力を育成する指導 「読むこと」については,筆者の考えの進め方や表現意図をとらえ,文章の主題 について自分の考えを深めたりまとめたりする力を付けるため,何が書いてあるか という読みにとどまらず,ワークシートなどを活用して,どのように書いてあるの か,なぜこのように書いてあるのかなどという表現の仕方にも着目する指導を行う ことが求められる。また,生徒同士で意見の交換ができるようにグループ学習を取 り入れるなどし,読む過程で得た考えや思いをまとめて,自分の言葉で表現しよう という意欲を喚起するような指導を展開することが大切である。 イ 論理的な思考力,表現力を育成する指導 自分の考えを自由に述べるだけでなく,自分の意見を筋道立てて述べる力を身に 付けるために,話し合いや発表,討論を積極的に経験させる,文章や話の構成や組 み立てに目を向けさせる,自分で考えたことを根拠を明確にして述べさせるなど, 論理的に考え,表現する指導をいっそう充実する。 ウ 文章を理解し,評価しながら読む力を育成する指導 文章の内容を肯定的に理解するだけでなく,筆者の表現意図を読み取ったり,内 容や思考の確かさを評価したり,自分の知識や経験と関連付けて自分の考えをまと めたりする力を育成するために,「何が書いてあるのか」,「なぜこのように書いて あるのか」,「この書き方は適切か」などということをについて考えたり,まとめ たりするなど,自らの考えを深めていく読みの指導をいっそう充実する。 「読解力」は,国語科で身に付けさせる力と別物ではなく,国語科で求めている力そ のものである。そのためには,国語科の授業の下での工夫であり通常の授業の改善とい う視点に立つこと,授業の全体ではなく「読解力」向上に役立つ学習活動のできる授業 場面を設定すること,多様なテキストを扱うという視点に立って,「読解力」向上に役 立つ教材を選定し活用することが大切である。2
指導事例
(1) 国語表現Ⅰ
具体的指導例① 単元・題材 国語表現Ⅰ(表現能力を高める) 対象学年 1・2 改善の方向 ウ(イ) 自分の感じたことや考えたことを簡潔に表現する能力の育成 《指導のねらい》 詩や聞き慣れた曲の歌詞に込められた情景や心情を想像し,ことばのもつ意味や力に ついて考え,感じたことを自分自身の感性で表現する力を育成する。 《テキスト》 《主な学習内容》 ○詩『道程』 高村光太郎 ●詩や歌詞に込められた情景や心情をでき 『海の若者』 佐藤春夫 るだけ具体的に想像する。 『帰郷』 谷川俊太郎 『ええと』 茨木のり子 歌『未来の地図』 MI ●詩や歌詞に使われている一つ一つのこと 『REAL FACE』 KAT − TUN ばの意味を考え,鑑賞者に与える力について考える。 《例》生徒作品 『帰郷』 谷川俊太郎 ●自分自身で感じ取った詩や歌詞の世界を 写真や絵などを交えながら,一枚の紙に レイアウトし,歌われている世界を表現 する。 《指導上の留意点》 ○長い詩や歌詞については,一部分のみの解釈でも可とする。 ○生徒の感性を妨げることがないよう注意する。 ○情景や心情の理解が困難な生徒には,関連のある写真や絵を提示し鑑賞の援助をする。 《評価について》 ○書くことに役立てるために,優れた表現に接してその条件を考えている。【書く能力】 ○優れた表現を自分の表現に役立てている。 【書く能力】
具体的指導例② 単元・題材 国語表現Ⅰ(表現能力を高める) 対象学年 1・2 改善の方向 ウ(ア) 多様なテキストに対応した読む能力の育成 【指導のねらい】 1枚の「写真」を見て,その写真で撮影者が何を伝えたかったのかを考えて書くこと をとおして,非連続的なテキストを理解しようとする態度を養う。また,同じ写真を見 た他の人々の考えや撮影者自身の意図を知り,ものごとを多面的にとらえる力を育成す る。 《テキスト》 《主な学習内容》 ○写真 ●一枚の写真を見て,撮影者がその写真で (撮影者が分かっており,写真についての 何を伝えたかったのかを想像して書く。 撮影者自身のコメントが掲載されている 作品を選ぶ。) ●グループになり,それぞれが考えたこと を発表する。また,話し合った結果をグ ループごとに全体で発表する。 ●他者の考えや意見を聞いた後,必要であ れば自分の考えた内容を修正する。 ●撮影者自身が,その写真で何を伝えたか ったのかを書いた文章を読み,自分自身 や他の人たちの考えと比較する。 ●撮影者のプロフィールを読み,撮影者自 身の生き方を参考に改めて写真を見る。 《指導上の留意点》 ○撮影者自身による写真についての説明文と自分の考えた内容が近ければよいというの ではなく,十分に想像力を働かせ,また,他者の考えを聞くことで考えを深めさせる。 《評価について》 ○自分の考えをもって論理的に意見を述べたり,相手の考えを尊重して話し合っている。 【話す・聞く能力】
(2) 国語表現Ⅱ
具体的指導例 単元・題材 国語表現Ⅱ(意見文を書く) 対象学年 1・2・3 改善の方向 イ(ア) テキストを利用して自分の考えを表現する能力の育成 《指導のねらい》 同じ題材を扱った新聞の論説・コラムや読者の手紙などを読み比べることにより,主 張の違いや論理の類似点・相違点をとらえ,自分の意見を文章に書く力を養う。 《テキスト》 《主な学習内容》 ○同じ題材を扱った新聞の論説,コラム, ●各新聞の論説,コラム,読者の手紙など 読者の手紙などを数社分 (同じ題材を扱ったもの)を読み比較する。 (時事的な内容で評価の定まっていないも の,賛成・反対の意見が述べやすいもの) ●どの視点から書いたものか,比較検討す る。 《例》 臓器移植について ●根拠を示しながら自分の意見を書く。 いじめについて 制服の必要性について など 《指導上の留意点》 ○書かれている内容だけでなく,文章の構造や形式,表現法も比較検討の対象とするこ とを意識させる。 ○テーマ,題材は生徒に集めさせてもよい。 《評価について》 ○文章を読んで,構成を確かめたり,表現の特色をとらえている。 【読む能力】 ○書くことに役立てるために,優れた表現に接して,その条件を考えている。 【書く能力】 ○論理的な構成を工夫して,自分の考えを文章にまとめている。 【書く能力】(3) 国語総合
具体的指導例① 単元・題材 国語総合(小説) 対象学年 1・2 改善の方向 ア(ウ) 課題に即応した読む能力の育成 《指導のねらい》 作者の考えの進め方や表現意図をとらえ,作品の主題について自分の考えを深める。 また,読む過程で得た考えや思いをまとめて自分の言葉で表現する力を養う。 《テキスト》 《主な学習内容》 ○国語総合教科書 『羅生門』の学習が一通り終わったのち, 芥川龍之介『羅生門』 ●典拠となった『今昔物語集』の二つの話 を読む。 ○『今昔物語集』のプリント ・「羅城門の上層に登りて死人を見たる盗 ●小説『羅生門』と『今昔物語集』を比較 人の語」(巻第二十九第十八) する。 ・「太刀帯の陣に魚を売る媼の語」(巻第 共通する部分 三十一第三十一) 設定を変えた部分 新たに創作した部分 ●原典の『今昔物語集』と異なる部分につ いて,作者が変えた意図や,新たに創作 したねらいを探りながら『羅生門』の主 題を考える。 ●『羅生門』の主題を根拠を示しながら文 章にまとめる。 《指導上の留意点》 ○学習時期,生徒の実態に応じて,『今昔物語集』には現代語訳を付ける。 《評価について》 ○文章を読んで,構成を確かめている。 【読む能力】 ○文章を読んで,表現の特色をとらえている。 【読む能力】 ○論理的な構成を工夫して,自分の考えを文章にまとめている。 【書く能力】具体的指導例② 単元・題材 国語総合(和歌) 対象学年 1・2 改善の方向 イ(ア) テキストを利用して自分の考えを表現する能力の育成 《指導のねらい》 百人一首を学び古文に親しませる。また暗記することでそのリズムと内容を体得し, さらに,一つの作品の前後の物語を想像して書くことを通して論理の展開をつかみ,テ キストを利用し熟考する力を養う。 《テキスト》 《主な学習内容》 ○「百人一首」を一首ずつ,現代語訳, ●毎時間授業のはじめに一首ずつ学習し, 文法の説明を書いたプリント すでに暗記している百人一首から,それ 《例》 ぞれが好きな作品を選ぶ。 ●選んだ一首の前後の物語を想像して書 く。 ●グループになり,各人が物語を発表し, そのような物語を考え出した理由も説明 する。 ●グループ内で互いに評価し,改善点があ れば物語を修正する。 ●ホームルーム全員の物語を冊子にし,他 の人の生み出した物語について知る。 《指導上の留意点》 ○詞書のある歌は,詞書を参考にさせる。 ○前後の物語は挿絵をつけてもよい。 《評価について》 ○歌に読まれた人物,情景,心情などを表現に即して読み味わっている。 【読む能力】 ○自分の考えをもって論理的意見を述べている。 【話す・聞く能力】 ︵ 二 十 五 ︶ みか の 原 わきて流 るる 泉川 いつ 見きと て か 恋しかるらむ ︵訳︶ み か の 原 を 二 分 す る よ う に 、 湧 き 出 し て 流 れ る 泉 川 で は な い が 、 い つ 逢 っ た と い う の で 、 こ の よ う に 恋 し い の で し ょ う 。
具体的指導例③ 単元・題材 国語総合(漢詩) 対象学年 1・2 改善の方向 ウ(イ) 自分の感じたことや考えたことを簡潔に表現する能力の育成 《指導のねらい》 漢詩を読んで,内容や情景を的確に説明し,自分の感じたことをわかりやすく表現す る力を育成する。 《テキスト》 《主な学習内容》 ○漢詩 ●漢詩の形式,内容,作者について調べる。 ●調べた事柄をパワーポイントで5分程度 で発表できるようまとめる。その際,映 像,音楽なども工夫して取り入れる。 ●他の人,グループの発表を聞き,効果的 な表現を今後の参考にする。 《指導上の留意点》 ○調べ学習は個人でもグループでもよい。 《評価について》 ○表現と理解に役立てるための音声,文法,表記,語句,語彙,漢字等を理解し,知識 を身に付けている。 【知識・理解】 ○目的や場面に応じて効果的に話している。 【話す・聞く能力】 ○話し合いをするとき,自分の考えをもつとともに,他の人のものの見方や考え方を的 確に聞き取って,課題の解決や思考の深化を図ろうとしている。【関心・意欲・態度】
白
日
依
山
尽
よリ テ ニ キ レ黄
河
入
海
流
レ い リ テ ニ ル欲
窮
千
里
目
更
上
一
層
楼
シ メ ン ト ノ ヲ ニ ル ノ レ 二 一形式
五言
絶
句
王之渙︵お
う
しかん︶
唐時 代の詩人 。 ○若いころ は 無頼の生活 。 ○壮年 期 から読書、詩作に ふけ る。 ○ 国境付近の風物をう た う 。 辺塞︵へんさ い︶ 詩が 得 意。具体的指導例④ 単元・題材 国語総合 (文学史) 対象学年 1・2 改善の方向 ウ(ア) 多様なテキストに対応した読む能力の育成 《指導のねらい》 教科書で学習する文学作品(小説,詩歌)の作者について,国語便覧等で必要な情報 を入手し,その紹介カードを作ることにより,多様なテキストに対応した読む能力を育 成する。 《テキスト》 《主な学習内容》 ○国語便覧 ●導入の部分あるいは作品を一通り学習し 授業で扱う文学作品の作者 た後,各作者について,国語便覧で調べ 例:芥川龍之介,志賀直哉,夏目漱石, る。 森鷗外, 石川啄木,中原中也,谷川俊太郎 ●図表や写真なども含めて必要な情報を読 など。 み取り,得た情報を紹介カードに仕上げ るという形で表現する。 ○図書館の本,インターネットからの情報 ●紹介カードに書き入れる最低限の項目を 決めておく。 ●実際にカードを作成する。その際,どの ような点を意識して作成したかについて も書く。 ●紹介したカードを印刷したものを配布 し,相互批評を行う。(4,5人のグル ープ) 《指導上の留意点》 ○国語便覧で1∼2ページ分が掲載されている作者を選ぶ。 ○生徒にあまり知られていない人物の場合は,指導者の補足説明や資料が必要である。 ○紹介カードに書き入れる項目については,氏名,生没年月日など最小限にとどめ,何 を入れるかも 生徒の判断に任せる。 《評価について》 ○学校図書館等を利用することを通して,読書力を高めるとともに,必要な情報を収集, 選択し,その価値などを読み取り,活用している。 【読む能力】
(4) 現代文
具体的指導例 単元・題材 現代文(評論) 対象学年 1・2・3 改善の方向 ア(ア) 目的に応じて理解し,解釈する能力の育成 《指導のねらい》 具体例の対比を通して結論に至る文章構造に着目して,筆者の日本文化に対する考え 方を的確に読み取らせる。また,対比の考え方を用いてものごとを特徴的にとらえると ともに,それを論拠とした意見文の書き方を身に付けさせる。 《テキスト》 《主な学習内容》 ○『水の東西』山崎正和 ●全文を通読し,対比の構造に着目する。 ・鹿おどし・・・・東洋(日本) ●具体例として対比されているものを抜き 流れる水 出し,「東西」に分類し,対比の構造を 時間的な水 とらえる。 見えない水 ・噴水・・・・・・西洋(欧米) ●対比によって主張を展開する文章の構造 噴き上げる水 を理解し,対比に着目する読み方を確認 空間的な水 する。 目に見える水 ●筆者の考える日本文化の特質を西洋文化 との対比から読み取る。 *参考『日本文化の雑種性』加藤周一 ●対比の考え方を用いて,「私の東西文化 論」を書く。 《指導上の留意点》 ○同様の文章構造,テーマを扱った作品として,加藤周一著『日本文化の雑種性』を読 ませてもよい。 《評価について》 ○文章を読んで,構成を確かめたり,表現の特色をとらえている。 【読む能力】 ○文章を書くとき,優れた文章を分析,吟味した成果や,様々な表現から読み取った発 想や構成の特色などを生かしている。 【書く能力】(5) 古典
具体的指導例 単元・題材 古典(随筆・評論) 対象学年 2・3 改善の方向 ア(ウ) 課題に即応した読む能力の育成 《指導のねらい》 古典の文章や作品に表れた人間,社会,自然などに対する思想や感情を読み取り,も のの見方,感じ方,考え方を豊かにするとともに,同じテーマで書かれた相反する二つ の文章に書かれた美意識を比較し,自分の考えをまとめさせる。 《テキスト》 《主な学習内容》 ○吉田兼好 ●『徒然草』から読み取れる作者吉田兼好 『徒然草』第百三十七段 のものの見方や自然観,人生観を理解す 「花はさかりに・・・」 る。 ○本居宣長 『玉勝間』巻の四 ●「花はさかりに」を批判している『玉勝 「兼好法師が徒然草に・・・」 間』の一節を読み,宣長が批判している 箇所と中心となっている思想を読み取 る。 ●本居宣長のものの見方や自然観,人生観 を理解する。 ●両者を比較し,自分はどちらに賛同する か,根拠を示しながら文章にまとめる。 ☆参考資料 徒然草「花はさかりに・・・」につい てを論じた『正徹物語』『ささめごと』 の一節。 《指導上の留意点》 ○「徒然草」については,1年次に学習する場合が多いので,要点を簡潔にまとめてお く。 ○場合によっては,徒然草「花はさかりに・・・」について論じた『正徹物語』『ささ めごと』の一節を示し,兼好のものの見方が室町時代以降の日本人に支持された美意 識であったことも知らせてもよい。 《評価について》 ○文章や作品に表れた人間,社会,自然などに対する思想や感情を読み取り,ものの見 方,感じ方,考え方を豊かにする。 【読む能力】 ○論理的な構成を工夫して,自分の考えを文章にまとめている。 【書く能力】(6) 古典講読
具体的指導例① 単元・題材 古典講読(徒然草) 対象学年 2 改善の方向 ア(ウ) 課題に即応した読む能力の育成 《指導のねらい》 小学校中学年向けの紙芝居を作ることによって,古典作品の話の流れを把握するとと もに,相手に応じて伝える力をも育成する。 《テキスト》 《主な学習内容》 ○『徒然草』 奇談より ●いくつかの場面にわけて話の流れをつか 「これも仁和寺の法師」 む。 ・法師が宴会をする ・鼎を頭にかぶって酔い興ずる ●場面ごとに,中心となる情景を決め,イ ・鼎が抜けない ラスト化するとともに,小学3年生にわ ・着物をかぶり医師のところへ かるよう話をつける。その際,基本的な ・医師とさしむかう 筋を損ねないことを念頭に置く。 ・医師に見放され,仁和寺に帰る ・母,親しい者が嘆く ●紙芝居を作成する。 ・藁しべを周りに入れて抜く ・耳鼻が欠けながらもやっと抜ける ●機会を設けて実際に小学生を対象として 上演する。 ●よく意図を伝えることができた部分,伝 わらなかった部分について考察する。 《指導上の留意点》 ○紙芝居の上演では,小学生の反応を見たり,感想を聞いたりする。 《評価について》 ○文章の内容を叙述に即して的確に読み取っている。 【読む能力】 ○相手や目的に応じて効果的な表現を考えて書いている。 【書く能力】具体的指導例② 単元・題材 古典講読 (徒然草) 対象学年 2 改善の方向 ア(ア) 目的に応じて理解し,解釈する能力の育成 《指導のねらい》 古典作品を読んで,話の全体を把握し,結末を想像することによって,筆者の表現意 図をつかむ力を育成する。 《テキスト》 《主な学習内容》 ○『徒然草』奇談より ●作者が結論としたであろう内容を想像す (ただし,作者が結論として書いている る。 部分を隠して提示する。) ●なぜそういう結論を選んだかという理由 ある時,館の内に人もなかりける隙を を発表する。 はかりて,敵襲ひ来たりて囲み攻めける に,館の内に兵二人出て来て,命を惜し ●他の人,グループの発表を聞き,考えを まず戦ひて,皆追ひ返してけり。いと不 深める。 思議におぼえて,「ひごろここにものし たまふとも見ぬ人々の,かく戦ひしたま ●実際に筆者が書いている内容と自分たち ふは,いかなる人ぞ。」と問ひければ,「年 が考えた内容とを比較検討し,その違い ごろ,頼みて,朝な夕な召しつる土大根 について考察する。 らにさうらふ。」と言ひて失せにけり。 ( 結 論 ) ●筆者はこの話を通して何が言いたかった のかを話し合う。 (結論)は,「深く信を致しぬれば,か かる徳もありけるにこそ。」が入る。 (「筑紫に,何がしの押領使など」) 《指導上の留意点》 ○結論の推測はグループで考えてもよい。 《評価について》 ○様々な文章について,叙述に即して内容を的確に読み取ったり,表現に即して味わっ たりして,ものの見方,感じ方,考え方を広げたり深めたりしている。 【読む能力】
【地理歴史科】
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地理歴史科における「読解力」のとらえ方
地理歴史科における「読解力」とは,学習指導要領地理歴史科各科目の目標に掲げら れている「歴史的思考力」や「地理的な見方や考え方」を養うために,資料(テキスト) を読み,活用する学習活動によって得られる力に外ならない。このことをふまえた上で, 地理歴史科の学習指導にあたっては,まず,資料を教師による説明の補助手段とするだ けではなく,生徒一人ひとりがじっくりと資料に向き合い,自分たちの知識や経験をも とに推論や分析を試みることができるように授業展開を工夫することが大切である。そ の際,生徒が興味・関心をもちやすい資料を選び出すことはもちろんのこと,同一の事 象について,異なった立場や視点からとらえた複数の資料を提示することが重要である。 また,資料の読解においては,資料そのものの妥当性や客観性,信頼性などを評価した り,自分の知識や経験と関連付けて建設的に批判したりするような読み(クリティカル ・リーディング)を充実させることにも努めなければならない。さらに,クラスや班で の話し合いを通じて,生徒に自分の考えと他者の考えを練り合わせることでより質の高 い考え方に到達する過程を経験させることは,地理的歴史的事象を多面的・多角的に考 察する視点や方法の習得であるとともに,「効果的に社会に参加する」能力の獲得にも つながるという点に留意しておく必要がある。2
指導事例
(1) 世界史B
具体的指導例① 単 元 名 世界史への扉 対象学年 2 改善の方向 ア(イ) 評価しながら読む能力の育成 《指導のねらい》 紀元前から大航海時代にいたる世界地図について,当時の作成者の意図を読み取りな がら,時代や地域による世界認識の特徴を考察し,世界史学習への意欲を高める。 《テキスト》 《主な学習内容》 ○資料1 バビロニアの地図 ●資料1の地図が粘土板に描かれたもので あることを知るとともに,現在の地図と 比較して気づいたことを発表する。 ○資料2 プトレマイオスの世界図 ● 資 料 2 と 3 に つ い て (a)・ (b)を 行 う 。 (a) どちらが古い時代のものか,予想する。 ○資料3 TOマップ (b) 予想を確かめるために,両者が作成さ れた時代や作成方法,地図にあらわれた 世界認識の特徴を調べる。 ○資料4 イドリーシーの世界図 ●資料4について調べ,資料2に示された 科学的方法がイスラム世界に継承され, ○資料5 メルカトルの世界図 独自の発達を遂げたことを確認する。 ●資料5の地図の特徴を調べ,それが,大 航海時代におけるヨーロッパ人の必要性 から生み出されたものであることを,図 法の特徴とともに確認する。《評価について》 ○古い時代の様々な地図に興味を持ち,発表や調べ学習に意欲的に取り組んでいる。 【関心・意欲・態度】 ○プトレマイオスの世界図とTOマップの比較から,必ずしも時代が下れば正確な地図 が作成されるものではないことに気づいている。 【思考・判断】 ○地理的な知識を活用し,それぞれの地図から適切な情報を読み取り比較している。 【資料活用の技能・表現】 ○世界地図の変遷から,それぞれの時代の人々の世界認識の特徴が読み取れることを理 解している。 【知識・理解】 具体的指導例② 単 元 名 世界市場の形成とアジア諸国 対象学年 3 改善の方向 ア(ア) 目的に応じて理解し,解釈する能力の育成 《指導のねらい》 19世紀のイギリスによるアジア三角貿易の展開を各種の資料から考察し,アヘン戦争 の原因が形成される事情を理解させる。 《テキスト》 《主な学習内容》 ○資料1 グラッドストンの演説 ●資料1・2から,アヘン戦争を始めるこ とについては,イギリス議会の中でも意 見が分かれていたこと,及びアヘンの密 輸によってイギリスは, 中国から大量の 銀を獲得していたことを確認する。 ●教科書や資料3・4を見て,イギリスと 中国の貿易について次のことを調べる。 (『世界史大系』14 誠文堂新光社より) (a) 18 世紀後半にイギリスが中国からの ○資料2 林則徐の上奏文 茶の輸入を急増させている理由。 (b) イギリス・中国間の銀の流れの変化 と中国のアヘン輸入との関係。 ●ワークシートを使用し,中国・インド・ イギリスの三国間を結ぶ,アヘン・茶・ (『ドキュメンタリー中国近代史』亜紀書房より) イギリス綿製品による三角貿易の展開に ○資料3 イギリスの茶輸入 ついてまとめる。 ●イギリスと中国,それぞれが目指す貿易 体制の違いに目を向けるとともに,アヘ ン戦争がおこった背景に,中国市場の開 放を求めるイギリス産業資本の要求が (『イギリスとアジア』岩波書店より) あったことを確認する。 ○資料4 中国のアヘン輸入額と銀流出額 (『詳説世界史』山川出版社より) …清国には,アヘン貿易をやめさせる権利が ある。それなのに,この正当な清国の権利を ふみにじってわが国の外務大臣はこの不正な 貿易を援助した。これほど不正な,わが国の恥さ らしになるような戦争はかつてきいたこともない。… ※この演説にもかかわらず,イギリス議会は, 僅差でアヘン戦争の戦費調達を承認した。 … 逆 賊 が ア ヘ ン の 密 輸 を あ き ら め よ う としないのは,アヘンによって得られる 利 益 が 大 き い か ら で あ り , 毎 年 ア ヘ ン の 代価として中国から持ち出す紋銀は多い と き に は 数 千 万 両 に も 達 し て い ま す 。 …
《評価について》 ○グラッドストンの演説に興味を持ち,イギリスがアヘン戦争にふみきった理由を様々 な角度から調べる学習に,意欲的に取り組んでいる。 【関心・意欲・態度】 ○イギリスが中国からの茶の輸入を急増させている理由を,産業革命にともなうイギリ ス社会の変化をふまえて説明できる。 【思考・判断】 ○中国の銀収支の変化と茶の輸出及びアヘン輸入との関係を説明することができる。 【資料活用の技能・表現】 ○イギリスと中国,それぞれが目指す貿易体制の違いに目を向けるとともに,アヘン戦 争がおこった背景に,中国市場の開放を求めるイギリス産業資本の要求があったこと を理解している。 【知識・理解】
(2) 日本史B
具体的指導例① 単 元 名 武家政権の成立 対象学年2
改善の方向 ア(ア) 目的に応じて理解し,解釈する能力の育成 《指導のねらい》 絵巻物の二つの場面を比較し,鎌倉時代における地方の「市」の特徴について,産業 の発達等をふまえて理解し説明する力を育成する。 《テキスト》 《主な学習内容》 ○資料1 備前国福岡市(「一遍上人絵伝」) ●「一遍上人絵伝」の絵巻物としての特徴 を調べ,それが一遍の死後まもなく描か れたものであることを確認する。 ○資料2 信濃国伴野市(「一遍上人絵伝」) ●資料1に描かれた売買のありさまや人々 の様子を見て,各自で気のついたことや 疑問点を書き出す。 ●気のついたことや疑問点を班で話し合う とともに,資料1の中で,鎌倉時代をは じめ,中世の特徴を表していると考えら れる部分を選び出す。その際,二毛作の はじまりに見られる農業生産の発展や大 陸との貿易の展開,宋銭の流通等との関 連をふまえ,選び出した理由を説明する。 参 考 ・『 日 本 絵 巻 大 成 』 別 巻 ( 中 央 公 論 社 ●資料2を見て,市が開かれていた場所が, 1987 年) 市の立たない日には閑散とした状態にな ・ 黒 田 日 出 男 「 絵 画 史 料 の 読 み 方 」(『 週 刊 ることを読み取るとともに,鎌倉時代の 朝 日 百 科 日 本 の 歴 史 』 別 冊 1988 年 朝日 荘園や国衙領の市の多くが,月に3回開 新聞社) かれる三斎市であったことを理解する。《評価について》 ○資料の絵巻物に興味を持ち,気づいたことや疑問点を意欲的にあげている。 【関心・意欲・態度】 ○資料の中から鎌倉時代をはじめ,中世の特徴を表していると考えられる部分を選び出 し,その理由を説明できる。 【思考・判断】 ○宗教的な目的で描かれた絵巻物が,その時代の社会や経済を考察する上で重要な史料 になる場合があることに気づいている。 【資料活用の技能・表現】 ○二毛作のはじまりに見られる農業生産の発展や宋銭の流通等との関連をふまえて,鎌 倉時代の定期市の特徴を理解している。 【思考・判断】【知識・理解】 具体的指導例② 単 元 名 明治維新と立憲体制の確立 対象学年 3 改善の方向 ア(イ) 評価しながら読む能力の育成 《指導のねらい》 明治新政府が発布した「五箇条の御誓文」の二つの原案と正文の違いを読み取り,大 政奉還から江戸開城にいたる政治の動きを考察させる。 《テキスト》 《主な学習内容》 ○資料1 由利公正草案 ●「五箇条の御誓文」の原案や正文それぞ れにに込められた考え方を調べるため に,資料1∼3から比較すべき適切な言 葉を選び出し,その違いの意味について, ○資料2 福岡孝弟草案 班で話し合う。 ●資料1∼3の作成に中心的役割を果たし た人物,及び資料3が発布されたころの ○資料3 五箇条の御誓文(正文) 政治情勢を調べる。 ●次の(a)・(b)について,起草者の思想及 び当時の社会状況や政治動向等から根拠 をあげ,班としての意見をまとめ発表する。 (a) 資 料 2 ・ 3 と 比 べ た 資 料 1 の 特 徴 は何か。 (b) 資 料 2 の 「 列 侯 会 議 ヲ 興 シ 」 と 資 料 3 の 「 広 ク 会 議 ヲ 興 シ 」 は ど の よ う に 違 う の か , ま た , な ぜ そ の よ う に変えられたのか。 ●「五箇条の御誓文」が後の自由民権運動 や大正デモクラシーの中で,どのように 評価されていたか,調べる。 《指導上の留意点》 ○「五箇条の御誓文」の原案の存在に興味を持ち,内容や形式における正文との違いに ついて,意欲的に調べようとしている。 【関心・意欲・態度】 ○どのような考え方のもとに御誓文が作成されていったか,当時の政治勢力の動向を踏 まえて考察している。 【思考・判断】 ○二つの原案と正文の中から比較すべき言葉を適切に選び出し,その違いの意味すると ころについて, 根拠をあげて意見を述べることができる。 【思考・判断】・【資料活用の技能・表現】 ○「五箇条の御誓文」は,戊辰戦争の帰趨が未だ決しない情勢のもと,新政府の国策の 基本を示すとともに,その発布形式において天皇親政を強調するものであったことを 理解している。 【知識・理解】
(3) 地理B
具体的指導例① 単元名 世界の中の日本の農業 対象学年 2・3 改善の方向 ア (ウ) 課題に即応した読む能力の育成 ウ (イ) 自分の感じたことや考えたことを簡潔に表現する能力の育成 《指導のねらい》 統計資料を,地理的・歴史的背景などをふまえて読み取らせ,他地域との比較をする など地理的な見方・考え方を養う。また,多様な情報を選択して収集し,それをもとに 考えをまとめる能力を育成するとともに,さまざまな立場を認め,判断する態度を養う。 《テキスト》 《主な学習内容》 ○産地の表示のあるチラシ ●チラシから,野菜や果実,魚介類など身近な食料 の多くの部分が海外から輸入されていることを理 解する。 ●食料の輸入が増加している理由を考える。 ●統計資料から,おもな農産物の自給率やその推移, 諸外国と比較したわが国の特徴などを,その背景 ○日本のおもな農産物の自給率 (食料に関する政策の変化や食文化,GATTの 決定等)を考えながら読み取り,わが国の食料に ○おもな国の食料自給率 関する課題を見つける。 ●文献や新聞記事,インターネットなどからさまざ まな情報を収集し,それをもとに, ① 食の安全性や食料安全保障の視点などから 自給率を確保しなければならない ② 食料の価格や国際分業などの視点から 食料の輸入を進めなければならない www.kanbou.maff.go.jp/www/ などの立場で考えをまとめ,レポートの作成, jikyuuritsu/011.html より ま た は , 発 表 を す る 。 《指導上の留意点》 ○多様な情報を収集し,地理的な背景等と併せて,多角的に考えさせる。 ○読み手・聞き手・討論の相手等に対して,自分の考えを理解させることができるよう な,分かりやすいレポートや資料を作成させる。 ○さまざまな考えがあることを認め,異なる立場の意見も尊重するような態度を育てる。 《評価について》 ○食料問題に関心を持ち,情報収集や発表に意欲的に取り組んでいる。【関心・意欲・態度】 ○多様な情報を,地理的な見方・考え方で正しく把握し判断できている。 【思考・判断】 ○必要な情報を収集し,正しく読み取り,自分の考えを分かりやすく説明できている。 【資料活用の技能・表現】 ○わが国の食料自給の状況や課題を正しく把握し,理解できている。 【知識・理解】具体的指導例② 単元名 多様なインド世界 対象学年 2・3 改善の方向 ウ (ア) 多様なテキストに対応した読む能力の育成 《指導のねらい》 写真等の映像資料を,自然環境や歴史的背景などをふまえて読み取り,それらを統計 資料と重ね合わせることによって,読み取った内容を実証したり,より確実なものとす る。さらに,学習した内容を拡大して,日本や他地域の事象について考察させる。 《テキスト》 《主な学習内容》 ○インドの宗教に ● イ ン ド の 自 然 環 境 や イ ン ド の 経 済 発 展 の 関する写真 様子などの既習の内容や,世界史で学んだ 提示例 内容などを併せて,提示された写真から, ① バラナシの沐浴 インドの宗教の多様性を読み取る。 ② タジマハール ③ ターバンの男性 ●統計によりインドの宗教別人口構成を確認 ④ キリスト教会 する。 バ ラ ナ シ の 沐 浴 ●インドの紙幣を見て,インドの多様性を言 ○インドの宗教別人口構成(『世界人口年鑑』) 語の面から確認し,多様性を有しながら統 一性を保っているインドについて考える。 ○インドの紙幣 ※ インドが,republic や kingdom でなく, INDIA であることなども考える。 ● 世 界 の 国 々 の 「 言 語 」「 民 族 」「 宗 教 」 な どの資料から,世界の多くの国は多様性を 包含し,様々な問題を抱えながら,それを 100ルピー 克服する努力をしていることを理解する。 ○世界の国々の「民族」,「宗教」,「言語」 ● わ が 国 の 在 日 外 国 人 に つ い て , 特 に 歴 史 (『世界人口年鑑』ほか) 的背景等を含めて考え,さまざまな問題が あることを理解し,わが国の在り方につい ○在留外国人登録者数(『在留外国人統計』) ても考える。 《指導上の留意点》 ○必修科目である世界史は地理的事象の背景として非常に重要である。シラバス等で学 習内容を確認し,それらによって内容を深めたり生徒の関心を喚起したりする。 ○写真等による情報を統計と併せて学習することによって,地理的な知識として深めた り体系化したりさせる。 《評価について》 ○世界の国々の現状に関心を持ち,意欲的に課題に取り組んでいる。【関心・意欲・態度】 ○地理的な見方・考え方により世界の現状を考えることができている。 【思考・判断】 ○必要な情報を収集し,世界の国々の状況を読み取ることができている。 【資料活用の技能・表現】 ○インドをはじめ世界の国々の状況を把握し,理解できている。 【知識・理解】