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座談会 新教育課程における 数学 に関する指導法 2012 年度から実施されている教育課程 以下 新課 参加者 程 の数学は 数学C が廃止されて内容の一部が 数 茨城県立土浦第一高等学校 細矢英三先生 単位に増加した その他の科目については 標準単位数は 埼玉県立浦和高等学校 荻原紹夫先生 変わら

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(1)

「数学A」の3分野をどの程度扱うか ――郷田 本日は、新課程への移行に伴って、どのよう な指導の工夫をされているか、意見交換をお願いしたい と思います。まず「数学A」は、「場合の数と確率」「整 数の性質」「図形の性質」の、3つの選択分野で構成さ れることになりました。標準単位数は2単位ですから、 このうち2分野を選択することが標準的と考えられます が、河合塾が実施したアンケート(注1)によると、3分野 すべてを教える高校が多いようです。とはいえ、比重の 置き方など高校によって違いがあると思われますので、 2012 年度、どのように扱われたのかからお聞かせくだ さい。 細矢 土浦第一高校では、3分野とも扱いました。ただ し、「 場合の数と確率 」「整数の性質」は授業で教科書 の内容に沿って教えましたが、「 図形の性質 」 に関して は、教科書をベースに求値問題を中心としたプリントを 作成しました。授業には6時間程度を割きました。 ――郷田 求値問題を使用したということは平面幾何が 中心ですか。オイラーの多面体定理など、空間図形も扱 われたのですか。 細矢 空間図形も扱いました。とはいえ、オイラーの多 面体定理は紹介した程度です。この後、空間図形は三角 比、ベクトルのところでも出てくるので、生徒には繰り 返し触れさせていく方針です。なお、作図については扱っ ていません。高校入試の際にかなり勉強している生徒が 多いので、知識の確認程度で十分だと考えています。 荻原 県立浦和高校では、数学で教える内容については、 伝統的な独自の流れが確立されています。その流れを壊 さないで、いかに新課程の内容を組み込んで、つながる ようにするのかを、教科でかなり議論しました。3分野 すべてを扱いましたが、新分野の「整数の性質」につい ては、あまり深入りしないようにして、教科書の内容を 丁寧に教える方針で行くことにしました。「図形の性質」 も、授業の中で6時間程度を割きましたが、証明問題な どにじっくり取り組む余裕はありませんでした。  作図は1~2時間、生徒同士で議論させて、楽しみな がら取り組みました。本校は図形問題が好きな生徒が多 く、皆で和気あいあいと楽しんでいました。普段の授業 で、どんどん新しいことを理解しなければならない生徒 たちにとっては、ちょっとした息抜きの学習に感じられ たのかもしれません。教員の講義を聞く形式ではなく、

新教育課程における

「数学」

に関する指導法

 2012 年度から実施されている教育課程(以下、新課 程)の数学は、「数学C」が廃止されて内容の一部が 「 数 学B 」「数学Ⅲ」に移行され、「 数学Ⅲ 」 は3単位から5 単位に増加した。その他の科目については、標準単位数は 変わらないが、内容に違いが生じている。特に新分野が追 加された 「 数学Ⅰ 」「数学A」は実際にどのような形で指 導をされたのか、また、今後の 「 数学Ⅱ 」「数学B」「数 学Ⅲ」についてはどのような指導方針で臨む予定なのか、 4校の先生方に意見を交換していただいた。 (座談会は 2013 年 2 月 24 日に実施した)

■ 参加者

茨城県立土浦第一高等学校 埼玉県立浦和高等学校 埼玉県立越谷北高等学校 品川女子学院 河合塾数学科講師 (本文中、敬称略)

細矢英三

先生

荻原紹夫

先生

石井克範

先生

斉藤浩司

先生

郷田智恵子

(注1)「教科に関するアンケート」。全国の高校を対象に、2011 年7月~9月に実施。回答数 670。

(2)

座談会 

新教育課程における「数学」に関する指導法

茨城県立土浦第一高等学校

細矢 英三先生

埼玉県立浦和高等学校

荻原 紹夫先生

 

埼玉県立越谷北高等学校 

石井 克範先生

品川女子学院

斉藤 浩司先生

自分なりの発想で取り組めるので、通常の授業ではあま り目立たないタイプの生徒が面白い発想を発表して、驚 かされる場面もありました。 石井 越谷北高校では、授業内容・スケジュールは、学 年ごとに決めています。もちろん、通常講習、夏期講習 などを含めて、授業で扱った内容は、数学科全体で情報 を共有するように努めています。2012 年度からクラス 数が増加したことで、数学を苦手とする生徒が増えてい る印象があります。「数学A」に関しては、3分野とも 教科書に沿って教えました。「整数の性質」は、これま でも大学入試で出題されていましたから、それほど深く 踏み込んだわけではありませんが、きちんと扱うように しました。 斉藤 品川女子学院は、中高一貫の女子校で、教科書は 一貫校対象の検定外教科書『体系数学』(数研出版)を 使用しています。そのため、生徒にとっては、今教わっ ている分野が「数学Ⅰ」か「数学A」かといった意識は 希薄かもしれません。『体系数学』では、方程式につい ては中学1年で1次方程式を学んだ後すぐに連立方程式 に入りますし、三角比の次は三角関数を学習するといっ た流れになっています。検定教科書に比べて発展的な内 容も多く含まれているため、苦労している生徒も見られ ます。授業時間数の関係もあって、2014 年度の高校1 年生からは『システム数学』(啓林館・河合塾)という 教科書に変更する予定です。  「数学A」については、大学入試を見据えると避けて 通れないため、3分野とも授業で扱いました。「場合の 数と確率」は中学3年、「 整数の性質 」 は高校1年の学 習内容になっています。「 図形の性質 」 は、完全に中学 校の学習内容になっており、作図は中学1年の1学期、 空間図形も中学1年から教え、中学2年までに終えます。 ――郷田 新課程では、中学校の内容も変化しており、 中学3年で学ぶ図形の内容が増えています。図形は十分 な演習が不可欠な分野ですが、中学3年で学ぶとなると、 あまり時間をかけて学習できない可能性があります。そ のため、新課程の高校入学者は、図形の力が低下するの ではないかとの懸念もありますが、生徒の様子はいかが でしょうか。 荻原 生徒の様子が変化したとは感じませんでしたが、 確かに、図形分野を理解するには時間がかかります。た だし、高校の数学では「数学 A」の「図形の性質」だ けでなく、さまざまな単元で図形を扱います。それらを 通じて総合的に身につけていくことが重要だと思います。 先ほど、本校の生徒は作図を楽しんでいたと言いました が、そんな生徒でも、いざ問題を解くとなると苦労して います。注意しながら教えなければならない単元でしょ う。 ――郷田 「三角比」や「ベクトル」でも図形が出てき ますが、初めて触れた三角比やベクトルの概念を理解す るのに手いっぱいで、なかなか図形と結び付けられませ ん。幾何学の基本を早い段階で身につけさせ、応用力を つけることが重要でしょう。 斉藤 今年の大学入試センター試験(以下、センター試 験)の第3問も、あれほど平均点が低くなるとは想定外 だったのではないでしょうか(注2) 。三角比の問題で相似 (注2)2013 年度センター試験の「数学Ⅰ・数学 A」の第3問のこと。これまで問われたことのない、2つの三角形の内接円の位置関係について出題さ れた。新傾向の出題の影響もあり、「数学Ⅰ・数学 A」の平均点は 51.20 点(前年 69.97 点)と、大幅にダウンした。(平均点は大学入試センター の発表資料より) 図形に関する分野をいかに身につけさせるか

(3)

――郷田 「数学A」で新設された「整数の性質」には さまざまな項目が含まれています。特にユークリッドの 互除法はまったく新しい分野ですが、どのように扱われ ていますか。 細矢 ユークリッドの互除法については、これまで教え たことがありませんでした。原則的に「整数の性質」は 教科書に沿って教えたのですが、ユークリッドの互除法 に関しては、本校で採用している教科書は式の羅列で、 生徒がイメージしにくいと感じました。そこで、タイ ルを用いて視覚的にイメージできるように説明しました。 あくまで1次不定方程式を解くための下準備と位置づけ ており、大学入試で出題されたような問題には踏み込ん でいません。 荻原 本校では、以前から「整数の性質」分野のほとん どを扱っていました。とはいえ、今までは簡単に紹介す る程度だったのですが、今回は教科書に掲載されたわけ を担当しています。理数科の方がやや進度が早いため、 ユークリッドの互除法の授業も先になったのですが、数 学が得意な生徒が多い理数科でも、式の羅列による説明 では約4分の1の生徒が理解しにくいと答えていました。 そこで、普通科ではタイルを活用してイメージしやすい ようにしたのですが、それでもなかなか理解できないよ うでした。どのような方法が有効なのか、まだ悩んでい るというのが正直なところです。 斉藤 本校では、式の羅列とタイルの両方を用いて説明 しましたが、最終的には「何とか使えるようになろうね」 と伝えるに留めました。確かに1次不定方程式への導入 ですし、大学入試で1次不定方程式の問題も散見されま すが、ユークリッドの互除法を使わないと特殊解が求め られないような問題はほとんど出題されてこなかったか らです。 ――郷田 河合塾ではこれまで、東京大や東京工業大な どの難関大を志望する生徒を対象にユークリッドの互除 法を教えていました。それを高校1年で学ぶのは抽象的 <図表1>参加高校の状況 高校名 茨城県立土浦第一高等学校 埼玉県立浦和高等学校 埼玉県立越谷北高等学校 品川女子学院 1週間の 授業時間数 1年 33 33 34 34 2年 33 33 34 34 3年 33 33 34 34 各科目の 配当単位数 数学Ⅰ 3 単位 4 単位 3 単位 3 単位 数学A 2 単位 2 単位 3 単位 3 単位 数学Ⅱ 2 年 4 単位3 年文系 3 単位 2 年理系 4 単位 2 年文系 3 単位 (*3年文系は学校設定科目4単 位) 2 年理系 5 単位 2 年文系 3 単位 3 単位 数学B 2 年 2 単位 3 年文系 2 単位(選択) 3 年理系 2 単位 2 年理系 2 単位 2 年文系 1 単位 2 年理系 2 単位 2 年文系 2 単位 理系 3 単位 文系 2 単位 数学Ⅲ 3 年理系 6 単位 3 年理系 5 ~ 7 単位 3 年理系 7 単位 理系 5 単位 採用教科書 数学Ⅰ 『数学Ⅰ』  (数研出版) 『数学Ⅰ』  (東京書籍) 『高等学校数学Ⅰ』  (数研出版) 『体系数学』 (数研出版) 数学A 『数学A』(数研出版) 『数学A』 (東京書籍) 『高等学校数学A』 (数研出版) 『体系数学』(数研出版) 1月末時点の 進度 数学Ⅰ 「データの分析」を除き授業終 すべて授業終了 すべて授業終了 すべて授業終了 数学A 3分野とも授業終了 3分野とも授業終了 3分野とも授業終了 3分野とも授業終了 数学Ⅱ 「いろいろな式」の授業終了 「図形と方程式」 「三角関数」の授業中 「いろいろな式」「図形と方程式」 「指数関数・対数関数」「三角関 数」の授業終了 「いろいろな式」の授業終了 「図形と方程式」の授業中 「いろいろな式」「図形と方程式」 「三角関数」の授業終了 「指数関数・対数関数」の授業中 数学B 「ベクトル」の授業中 「ベクトル」の授業中 数学Bの 選択分野 (予定) 数列 2年生で扱う予定 2年生で扱う予定 2年生で扱う予定 2年生で扱う予定 ベクトル 2年生で扱う予定 すでに授業を始めている 2年生で扱う予定 すでに授業を始めている 確率分布と 統計的な推測 2年生で扱う予定 2年生で扱う予定 2年生で扱う予定 期待値については大学入試対策 で扱う予定 ※ 品川女子学院は中高一貫校 進度や選択分野は、すべて 2013 年1月末時点の状況および予定 新設された 「 整数の性質 」 の 各項目の指導方針について

(4)

座談会 

新教育課程における「数学」に関する指導法

問題もあるので、重要度は高いと思います。ただし、旧 課程の時代から使う生徒はいましたが、等式と混同した りすると採点者から厳しくチェックされるという話を聞 いたこともあり、使う場合はきちんと使うように指導す る必要があると感じています。 ――郷田 n進法や部屋割り論法について、どのように 扱われたのかをご紹介ください。 細矢 n進法も教科書と傍用問題集を用いました。新課 程では、教科書の記述はさらっとしているのに、傍用問 題集は急に難しくなり、落差が激しく、その差が埋めら れない生徒も見られます。ただし、n進法に関しては比 較的定着度は良好です。部屋割り論法は教科書に用語が 出てこないので扱っていません。 荻原 n進法は教科書通りに解説し、部屋割り論法は、 とにかく負荷をかけすぎない方針ですから、1題だけ問 題を解かせた程度です。 石井 本校も教科書に沿って教えましたが、整数の 10 進法を2進法に直すことはできても、新課程で追加され た、10 進法以外への小数の変換になると定着度が低い ですね。循環小数も教科書通りで、部屋割り論法は扱っ ていません。 斉藤 本校も教科書通りです。n進法の小数は、あまり なじみがないので、定着度が心配です。 すぎて、難しい気がします。今年度、高校1年生のクラ スで、ユークリッドの互除法を使って1次不定方程式を 解かせてみたのですが、それでなぜ特殊解が出るのか、 意味がわからないままで、なかなか腑に落ちない生徒が 多かったように思います。  次に 「 整数の性質 」 では合同式が発展として掲載され ていますが、どの程度指導されましたか。 細矢 教科書では発展の扱いですが、傍用問題集を見る と、かなり込み入った問題まで掲載されています。そこ で、合同式に関しては傍用問題集の問題を授業で解説し ました。生徒は意外に道具として使いこなせるように なっており、定期テストでフェルマーの小定理と絡めた 問題を出したのですが、合同式をうまく使って、すっき りとした答案を仕上げている生徒も見られました。教員 にとっては教えにくい単元でも、生徒は便利な道具だと 感じれば吸収していきます。 石井 本校では、教科書に沿って教えただけで、傍用問 題集は時間的に取り上げられませんでした。ほとんどの 生徒は、大学入試では合同式を使わないので、必要な生 徒に対しては講習で指導する予定です。 斉藤 数学は3段階の習熟度別授業を展開しており、合 同式は、習熟度の高いクラスで教え、他では軽く触れた 程度です。合同式を使った方がすっきり解ける大学入試 数学Ⅲ (5単位) 平面上の曲線と複素数平面 極限 微分法 積分法 平面上の曲線/☆複素数平面 数列とその極限/関数とその極限 導関数/導関数の応用 不定積分と定積分/積分の応用 (☆曲線の長さ) 数学B (3単位分の内容から2単位選択) 数学Ⅱ (4単位) ベクトル いろいろな式 図形と方程式 指数関数・対数関数 三角関数 微分・積分の考え 数列 数列とその和/漸化式と数学的帰納法 平面上のベクトル/空間座標とベクトル 確率分布と統計的な推測 確率分布/正規分布/統計的な推測 式と証明/高次方程式 直線と円/軌跡と領域 指数関数/対数関数 角の拡張/三角関数/三角関数の加法定理 微分の考え/積分の考え 数学 Ⅰ (3単位) 数と式 データの分析 数学A (3単位分の内容から2単位選択) 場合の数と確率 ☆整数の性質 図形の性質 場合の数/確率 約数と倍数/ユークリッドの互除法/整数の性質 の活用 (☆剰余類、☆不定方程式、n進法) 平面図形/☆空間図形 (☆作図、☆多面体、 ☆空間における直線や平面の位置関係、なす角) 数と集合/式 二次関数 二次関数とそのグラフ/二次関数の値の変化 図形と計量 三角比/図形の計量 データの散らばり/データの相関 数学活用 (2単位) 数学と人間の活動 社会生活における数理的な考察 数や図形と人間の活動/☆遊びの中の数学 社会生活と数学/数学的な表現の工夫/ データの分析 <図表2>新課程における数学の分野名 高等学校学習指導要領(2009 年3月告示)より作成 新課程で新たに扱うこととなった項目には☆を付してある

(5)

河合塾講師 

郷田智恵子

れる傾向にありました。高校でも、難関大の志望者を対 象に指導はしていたと思いますが、高校1年の教科書に 出てくるようになったことで、大学入試にどのような影 響があるかが問題です。難関大は従来通りと予想できま すが、とても教科書の知識のみで解けるような問題では ありません。難関大の志望者には今後補完する必要が出 てくるでしょう。その一方で、これまで出題していない 大学や、センター試験でも出題される可能性があります。 「 整数の性質 」 について、これからどのような方針で指 導されていくのかをお聞かせください。 細矢 傍用問題集の後半に、大学入試の過去問が掲載さ れているので、その中からいくつかピックアップして、 授業で演習しました。ただ、この分野に関しては定期テ ストの問題作成にも苦労しているのが実状です。 荻原 本校でも『青チャート』(注3) で演習させて、特に 重要と思われる問題を取り上げて授業で解説しています。 もちろん、大学入試でどう出題されるのかは気になりま す。難関大は従来通りとして、その他の大学も出題しや すくなると思うので。ただ、生徒にとっては、教科書の 内容でも十分に難しいので、少なくともセンター試験は 教科書を理解していれば解ける問題になると思っていま す。 石井 授業では教科書に即して教えていますから、今後 の講習などで補うときに、生徒に配布している『黄チャー ト』(注4) から問題を抜粋して演習させることになるでしょ う。また、これまで出題しなかった大学でも出題される かもしれません。どの程度の問題がどのような形で出題 されるのか、まだ不透明なので、情報がほしいです。 斉藤 難関大では数多くの整数問題が出されているので、 高校3年の夏期講習で相当な時間を割いています。もっ とも、教科書の内容は、難関大の大学入試問題とは大き な差があるのが実状です。その他の大学でどう出題する かですが、大学の先生方は高校の教科書を詳細に見てい るという話を聞いており、新課程の教科書に即した新傾 向の問題が出てくる可能性もあると考えています。 ――郷田 「 数学Ⅰ 」 では 「 データの分析 」 が新設され ています。どのように扱われていますか。 細矢 どのように指導をするか、様子見していたことも あり、2月下旬からの授業で扱っています。教科書をベー スにプリントを作成し、生徒に黒板で解かせる演習形式 にする予定です。手計算が可能な、あまり複雑な計算を 伴わない問題が中心です。 ――郷田 これまでセンター試験の 「 数学B 」 で出題さ れていたのは、手計算できるように作られた問題でした。 今後も、センター試験では、「データの分析」が出題さ れても手計算になるかもしれません。 荻原 本校では、夏休みに宿題としてワークノートを与 えて、その上で、授業で2~3時間、箱ひげ図、分散、 標準偏差などの用語の説明や、データの見方などを解説 しました。宿題だったので、電卓を使用していないかは 確認していませんが、一生懸命計算した跡が残っており、 相関係数なども手計算で取り組めたようです。 石井 センター試験でどう出題されるのか予想しにくく、 どの程度の時間を使うべきか、難しいですね。本校では 2学期後半に、教科書に沿って授業で扱い、定期テスト では電卓持ち込み可で出題したのですが、分散、標準偏 差の計算もできていました。ところが、埼玉県で実施し ている標準テスト(注5) では、電卓の持ち込みが不可で、 本校の生徒は分散、標準偏差の平均点が低く、特に箱ひ げ図から読み取る力が弱いという結果が出ています。今 後、演習をしなければ身につかないと感じています。 斉藤 『体系数学』では約 20 ページ割かれていますし、 センター試験でも出題されるといわれているので、10 (注3)『新課程 チャート式 基礎からの数学Ⅰ+ A 』(数研出版)のこと。 (注4)『新課程 チャート式 解法と演習数学Ⅰ+ A 』(数研出版)のこと。 (注5)埼玉県高等学校数学教育研究会が作成する標準テストのこと。 「 数学Ⅰ 」 で新設された 「データの分析」をどう扱うか

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座談会 

新教育課程における「数学」に関する指導法

時間以上かけました。定期テストは電卓持ち込み可で実 施したのですが、相関係数の定着度が若干低いぐらいで、 箱ひげ図、四分位数などを含めて、全体的に平均点は高 かったです。大学入試はさておき、大学入学後、さらに は社会に出てから必要になる分野であり、時間をかけて 教えるだけの意義はあると考えています。 ――郷田 「 数学B 」 は3つの単元からの選択ですが、 「 数列 」 と 「 ベクトル 」 を中心に扱う高校がほとんどだ と思います。「 確率分布と統計的な推測 」 についてはど のように扱われる予定でしょうか。 細矢 まだ決まっていませんが、伝統的に「数列」→「ベ クトル」の順に授業を行っています。できるだけ早めに ひと通り終えて演習に入りたいので、「確率分布と統計 的な推測」は、少ない授業時間でさらっと扱う感じにな るでしょう。 石井 本校も3単元とも扱う予定です。従来は「数列」 →「ベクトル」の順で教えていましたが、ベクトルを知 らないと物理の指導ができない場合もあるので、「ベク トル」を先に教えることも検討しています。 荻原 本校も「確率分布と統計的な推測」をどう扱うか は未定ですが、まったく取り上げないということはない と思います。文系、理系で扱いが異なる可能性もありま す。理系の生徒はできるだけ早めに 「 数学Ⅲ 」 に入りた いので、2~3時間で終えるつもりです。逆に文系の生 徒にとっては、将来を考えると、この分野は大切かもし れないので、やや多めに時間を割く可能性もあります。 斉藤 本校では「確率分布と統計的な推測」は扱わない 予定です。大学入試で出題されることはまずありません から、その方針の高校も多いと聞いています。 ――郷田 「数学C」が廃止され、「数学Ⅲ」が5単位に なりました。教科書が分厚くなり、負担が増しますが、 指導に影響はあるでしょうか。 細矢 気になるのは、どれだけ早く教科書を終えて、演 習の時間を確保できるかです。本校は文理分けは3年次 からですが、数学では例年、2年次後半からクラスを分 割して、理系志望者は「数学Ⅲ」「数学C」の授業を進め、 文系志望者は問題演習に入ります。今年の1年生につい ては、なるべく早く「数学Ⅲ」の教科書を終えて、問題 演習の時間を確保することが理想です。他校ではどのよ うな状況になっていますか。 荻原 本校では、理系は高校2年までに「数学Ⅲ」「数 学C」を終えています。 ――郷田 数学全体で考えると、新課程では分量が増え ていますから、例年通りのスピードで授業を進めること が難しくなる可能性はありませんか。 荻原 非常に厳しいのは確かですが、現1年生も同様の ペースを目標にしています。その分、「データの分析」 など、あまり時間がかけられない分野もありますが。 石井 本校では、現3年生は9月までかかりました。現 2年生はやや早く、1学期の中間頃に終える見込みです。 新課程でも、学習量が増えたとはいっても、1学期末ま でには終えたいと考えています。 斉藤 本校では、高校3年の夏休みまでに終えるのを目 標にしていますが、例年、9月にも残っています。『体 系数学』は検定教科書よりも分量が多いですし、女子校 ということもあり、納得しないと先に進みにくい生徒が 多いという、本校ならではの悩みもあります。ある程度 難しい問題演習を並行して進める方法もありますが、早 めに教科書を終えた後でまとめて演習をした方が良いと 判断し、教科書の変更を決めました。 ――郷田 最後に、「数学Ⅲ」では複素数平面が復活し、 極方程式と同じ教科書で前後して扱われることになりま した。rについては極方程式になると負の値も出てくる など、rの扱いに混乱する生徒も出てくることが懸念さ れます。また、旧旧課程の複素数平面は複素数と方程式 とともに扱われていましたが、新課程では分かれている ため、方程式の復習をしてから教えるなどの配慮も必要 かもしれません。 荻原 以前は「数学 B」の範囲でしたが、「数学Ⅲ」に 入ったことで、難問が出る可能性もあります。純粋な複 素数平面の問題だけではなく、これを使うことで面白い 解き方ができるような問題が出ることも考えられますね。 ――郷田 また、今回の改訂で、「行列」が高校での指 導内容から外れました。行列について十分に習熟しない ままに進学することで、大学における線形代数の指導が 難しくなるかもしれません。このような影響を大学側が どう考えているか、聞いてみたい気もします。  本日は貴重なご意見をお聞かせいただき、ありがとう ございました。 「 数学Ⅲ 」 が5単位になる中で どれだけ進度を早められるのか

参照

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