浦安市クリーンエネルギービジョン
1.
温暖化を取り
巻く
状況
1.1
地球温暖化の状況
本ビジョンでは、地球温暖化防止を中心に施策等を検討します。その前提として、地球温暖化の 状況と、それを防止するための世界、国レベルでの取り組みの状況を説明します。
1.1.1 温室効果ガスと地球温暖化メカニズム
地球は太陽からの熱を受けて温まり、同時に 宇宙へ熱を放出しています。大気中にある二酸
化炭素(CO2)などの温室効果ガスは地面から
宇宙へ放出される熱の一部を吸収し、再び地表 に向かって放射して地面を暖めています。これ が温室効果であり、この効果のおかげで地球の
平均気温は15℃に保たれています。
図 1- 1 温室効果ガスと地球温暖化メカニズム
1.1.2 大気中の二酸化炭素の増加
1750年頃から始まった産業革命以降、人間は石
油や石炭などの化石燃料を大量に燃やして使うよ うになったことで、大気中の二酸化炭素の濃度は
急増しています。2000年には約370ppmに達し、
このまま石油や石炭を使い続ければ2100年には
1,000ppmを越える可能性もあります。
図 1- 2 二酸化炭素の大気中濃度推移
1.1.3 地球の気温の上昇
20世紀の100年間に地球の平均気温は0.6℃上
がりました。1990年代の10年間は過去1,000年
で最も温暖な10年となり、1998年には観測史上
最高気温を、2002年には2番目の気温、2003年
には3番目の気温を観測しました。
出典:全国地球温暖化防止活動推進センター
1.2
地球温暖化がも
たら
す影響
地球温暖化によって、どのような気候変化が生じ、私たちの生活にはどのような影響が生じるの
でしょうか。徐々にその影響についての研究が進み、明らかになってきています。ここでは、第4
次IPCC報告の前の第3次の報告の内容から、その影響について説明します。
1.2.1 温室効果ガス排出シナリオ
今後の人口増加、経済成長、エネルギー使用量、技 術の発展などによって世界の動向が大きく変わり、排 出される温室効果ガスの量は変わります。このような 人間の活動をもとにどのくらいの温室効果ガスが排出 されるかを見通したものを「排出シナリオ」と呼びま
す。2000年に、「気候変動に関する政府間パネル
(IPCC)」が公表した排出シナリオでは4つのシナリ オを想定していますが、そのシナリオに応じて、
2100年には1.4∼5.8℃気温が上がり、海面が9∼
88cm上昇すると予測されています。
図 1- 4 気温変動の推移と予測
1.2.2 温暖化によってもたらされる影響
温暖化が進むと、暑い日が増え、地域によっては台風や集中豪雨等が増えたり、干ばつの危険 性が増大するといわれています。また、温暖化は、私たちの健康にも直接的・間接的に影響を及 ぼす可能性があります。さらに、生態系への影響、産業活動への影響なども懸念されています。
表 1- 1 温暖化による影響予測
対 象 予測される影響
平均気温 1990年から2100年までに1.4℃∼5.8℃上昇
平均海水面水位 1990年から2100年までに9∼88cm上昇
気象現象への影響 洪水、干ばつの増大(台風?)
人の健康への影響 熱ストレスの増大、マラリア等の感染症の拡大
生態系への影響 一部の動植物の絶滅 生態系の移動
農業への影響 多くの地域で穀物生産量が減少 当面増加地域も
水資源への影響 水の需給バランスが変わる 水質への悪影響
市場への影響 特に第一次産業中心の開発途上国で大きな経済損失
<参考>
平成 19 年 2 月に「気候変動に関する政府間パネル( I PCC) 」の第 4 次評価報告書では、気候変化
における人為的原因が再確認され、同時に地球規模での雪氷圏における変化などは予想以上に速
く進みつつあることが確認されました。
さらに、このままのペースで排出を続けると、人類はこれまで経験したことのない温暖化した
時代に突入すると考えられています。限りある自然の吸収力を考えると、温室効果ガスの排出を
現在の半分以下にまで削減しないと気候は安定しないとも言われています。
このようなことから、温室効果ガス削減のための早急な取り組みを更に強化していく動きが、
世界、そして国内でも進むと考えられます。
〔I PCC 第 4 次評価報告書の概要抜粋〕
(1)加速する温暖化と顕在化する影響
・過去 100 年での地上平均気温の上昇が 0. 74℃
・1850 年以降の温暖な年上位 12 年のうちの 11 年がここ 12 年に生じている。
・海面水位は 20 世紀中に約 17cm上昇した。
・北極海の海氷面積は近年急速に減少し、永久凍土の融解も進んでいる。
・温暖化や大気中の水蒸気の増加とともに、集中豪雨が世界的に増加する一方、干ばつの影響
を受ける地域も増加しつつある。そして、熱帯低気圧(特に北大西洋のハリケーン)の強度
が増加していることが示唆されている。
(2)人為的な影響が明らかに
20 世紀半ば以降に観測された地球温暖化は、人為起源の温室効果ガスの増加によってもた
らされた可能性がかなり高い。この 50 年の世界的な気候変化が、自然の変動だけで引き起こ
された可能性は極めて低い。
(3)このままの排出の継続は危機的状況を生む
温暖化が進行すると、地球の気候の不安定さが大きくなり、異常気象の頻度が増加する。I PCC
で検討した将来予測のうち、引き続き化石燃料に依存しつつ、高い経済成長を目指す社会が
続くならば、今世紀末には、平均気温の上昇は、4. 0℃( 2. 4∼6. 4℃) に達すると予測されてい
る。21 世紀中に大規模かつ急激な可能性はかなり低いものの、温暖化の進行によって大西洋
の深層循環が弱まる可能性がかなり高い。さらに、多くの研究によると、気候変化がさらな
る温室効果ガスの排出を招くという悪循環が生じることも示唆されている。また、このよう
1.3
京都議定書
地球温暖化を防止するための取り組みを国際的な協調により進める動きが進んでいますが、その
大きな一歩として京都議定書の発効と、目標達成に向けた各国、我が国の取り組みが進められてい ます。ここでは、国の温室効果ガス削減に向けた基本的な戦略を概観します。
京都議定書は、長期的・継続的な温室効果ガス排出削減の第一歩として、1997年12月、京都で
開催された気候変動枠組条約 第3回締約国会議において採択され、その後、2005年2月に発効し
ました。京都議定書では、2008年∼2012年の平均値で先進国全体で温室効果ガスを基準年(1990
年)と比べて5%削減することが定められました。この約束を達成するため、各国ごとに具体的な
削減量が割り振られ、日本は6%削減との数値が定められました。
日本では、2002年3月に策定した地球温暖化対策推進大綱に基づき、対策を進めてきましたが、
京都議定書の発効を受けて、2005年4月に、京都議定書目標達成計画が策定されました。
注:環境省温室効果ガス排出量速報値をもとに作成のため、京都議定書目標達成計画の数値と異
なる。
図 1- 5 京都議定書の 6%削減約束と我が国の温室効果ガス排出量
図 1- 6 温室効果ガスの排出抑制・吸収の量の目標
約14%の削減が必要
注)速報値では2005年
度は8.1%増。したがっ
て、少なくとも2005年
度比 で 14.1%削減する こ と が 必 要 と な っ て い
る。
1,050 1,100 1,150 1,200 1,250 1,300 1,350 1,400 百 万 t- C O 2
2005年 度 13億 6400万 t- C O 2
基 準 年 排 出 量 (1990年 度 ) 12億 6100万 t- C O 2
+8.1%
京 都 議 定 書 削 減 約 束 11億 8600万 t- C O 2
+6.0%
■ 温室効果ガスの排出抑制・吸収の量の目標
出典:京都議定書目標達成計画
(平成17年4月)
そ れ ぞ れ の ガ ス の
排 出 を 抑 え る 必 要
1.4
京都議定書目標達成計画の戦略
このような現状を踏まえ、京都議定書目標達成計画では、下記の方向を示しています。
(1)地球温暖化対策及び施策
エネルギー起源二酸化炭素の削減5つの基本的考え方
○ 点から面へ
都市や地域の構造、公共交通インフラを含め、我が国の経済社会構造を変革し、省
CO2型の都市や交通システムをデザインすること等を通じて、省CO2効果の最大化
を図る・・・など
○ 主体間の垣根を越える
エネルギーの重要・供給に関連する主体は、他のエネルギー需要・供給者と連携し
てエネルギー効率の更なる向上を目指す…など
○ 需要対策に重点を置いた需給両面からのアプローチ
まずはエネルギー需要面の対策に重点を置き、「世界の模範となる省エネルギー国
家」たることを我が国の目標として取り組む・・・など
○ 原単位の改善に重点を置いたアプローチ
エネルギー利用の効率化を通じてエネルギー消費原単位及びエネルギー消費量あ
たりの二酸化炭素排出原単位を改善していくことに重点を置く。具体的には、産業界
の自主行動計画、省エネルギー法、トップランナー制度等の枠組みの活用、省エネル
ギー機器・自動車の普及、エネルギー効率の高い建築物・住宅の導入、交通流・物流
(2)京都議定書目標達成計画におけるエネルギー起源二酸化炭素に関する対策の全体像
前ページの5つの基本的考え方に基づき、国では、下記のように対策を展開しています。
(3)京都議定書目標達成計画における主な対策効果
国では、京都議定書目標達成計画に掲げた対策について、「対策評価指標」、「各主体ごとの対
策」、「国の施策」、「地方公共団体が実施することが期待される施策例」を示しています。これ
により、全体としての対策の概況とその効果を把握することができます。
具体的な対策 地方公共団体が実施することが期待される施策例
排出量 削減効果 万t-CO2
省CO2型の地域・都市構造や社会経済システムの形成
省CO2型交通システムのデザイン
公共交通機関の利用 促進
・公共交通機関の整備
・サービス・利便性向上を通じた公共交通機関の利用促進 ・普及啓発
約380
環境に配慮した自動 車使用の促進(エコ ドライブの普及促進 等)
・普及啓発
・アイドリングストップの遵守対策の推進
約130
省CO2型の地域・都市構造や社会経済システムの形成
新エネルギーの面的導入やエネルギー融通の促進 未利用エネルギーの
有効利用
・公共施設における導入促進 −
施設・主体単位の対策・施策
産業部門(製造事業者等)による取り組み 自主行動計画の着実
な実施とフォローア ップ
・明記されていない。
*「各主体ごとの対策」では下記を記述
「日本経団連、各業界団体:自主行動計画の着実な実施による、エ
ネ ル ギ ー 消 費 原 単位 の 向上 等 の 排 出 量 を 抑制 す る努 力 と そ の 目標達成」
約4,240
省エネルギー法によ るエネルギー管理の 徹底(産業)
・明記されていない。
*「各主体ごとの対策」では下記を記述
「事業者:熱と電気の一体管理などエネルギー管理の徹底」
約170
施設・主体単位の対策・施策
オフィス・店舗単位等の業務施設の省CO2化
省エネルギー法によ るエネルギー管理の 徹底(民生業務)
・明記されていない。
*「各主体ごとの対策」では、「事業者:熱と電気の一体管理など
エネルギー管理の徹底」と記述されている。
約300
建築物の省エネ性能 の向上
・省エネルギー法に基づく建築主等に対する指導・助言、指示・ 公表・勧告制度の活用
・総合的な環境性能評価(CASBEE)の活用
・地方公共団体の建築物における省エネ措置の実施
約2,550
具体的な対策 地方公共団体が実施することが期待される施策例
排出量 削減効果 万t-CO2 施設・主体単位の対策・施策
家庭の省CO2化
住 宅の 省エ ネ性 能の 向 上
・省エネルギー法の指示・公表・勧告制度の活用 ・住宅性能表示制度の普及推進
・総合的な環境性能評価(CASBEE)の活用
・公共住宅等の省エネ措置の実施 ・建築主や設計者等に対する情報提供
約850
施設・主体単位の対策・施策
エネルギー供給部門の省CO2化
新 エネ ルギー 対策の 推 進
・新エネルギー導入の総合的計画策定、実施、評価の推進 ・公共施設等における導入促進
・新エネルギーの導入支援
・グリーン購入法に基づく率先導入の推進
約4690
コ ー ジ ェ ネ レ ー シ ョ ン ・燃 料電池 の導入 促 進
・天然ガスコージェネ・燃料電池の率先導入等 ・導入支援
・グリーン購入法に基づく率先導入の推進
約1140
機器単位の対策・施策 運輸部門 ト ッ プラ ンナ ー 基準 に よる自動車の燃費改善
・普及啓発
・グリーン購入法に基づく率先導入の推進
約2100
ク リー ンエ ネル ギー 自 動車の普及促進
・導入支援
・グリーン購入法に基づく率先導入の推進 ・普及啓発
約300
機器単位の対策・施策
業務その他・家庭部門 ト ップ ランナ ー基準 に
よる機器の効率向上
・省エネラベルを通じた省エネルギー情報の積極的な提供等 ・普及啓発
・グリーン購入法に基づく率先導入の推進
約2900
省 エネ 機器の 買い替 え 促進
・普及啓発 約420
エ ネル ギー供 給事業 者 等 によ る消費 者への エ ネルギー情報の提供
・普及啓発 約340
高効率給湯器の普及 ・普及啓発
・グリーン購入法に基づく率先導入の推進
約340
業 務用 高効率 空調機 の 普及
・普及啓発
・グリーン購入法に基づく率先導入の推進
約60
高効率照明の普及 (LED照明)
・普及啓発 ・率先導入
約340
2.
本市のエネルギーの需給構造
本市におけるエネルギー消費概況を整理します。
エネルギーの消費量推計の対象は、産業部門、民生部門、運輸部門とし、エネルギーの種類は、石
油系燃料(ガソリン、灯油、軽油、重油等)、都市ガス、電力に区分して行います。
推計の方法は、エネルギーの種類毎に以下の方法により行い、平成16年度(2004年度)における本
市のエネルギー消費量を試算しました。
石油系燃料:「総合エネルギー統計」における全国値または千葉県の値を用いて按分法により推計
都市ガス :本市統計資料をもとに推計
電力 :本市統計資料をもとに推計
本市におけるエネルギー消費は、電力、ガス、燃料油が中心となっており、電力およびガスについ ては既存統計資料に示されています。
2.1
エネルギー消費量の推計
各部門におけるエネルギー消費量は、エネルギーの種類別に推計を行います。
2.1.1 産業部門
1)石油系燃料
「都道府県別エネルギー消費統計、経済産業省資源エネルギー庁監修」の千葉県の値(石油製 品(軽質油製品、重質油製品の合計)より推計します。
農林業:千葉県の農林水産業部門エネルギー消費量実績× (浦安市の農林漁業従業者数/千
葉県の農林漁業従業者数)
建設業:千葉県の建設業部門エネルギー消費量実績× (浦安市の建設業従業員数/千葉県の
建設業従業員数)
製造業:千葉県の製造業部門エネルギー消費量実績× (浦安市の製造業従業員数/千葉県の
製造業従業員数)
2)都市ガス
本市統計資料より、工業用の都市ガス消費実績を産業部門の消費量とします。
3)電力
本市統計資料より、高圧 A 電力、高圧B 電力、特別高圧電力、その他電力の消費実績を産業
部門の消費量とします。
2.1.2 民生部門
1)石油系燃料
「都道府県別エネルギー消費統計、経済産業省資源エネルギー庁監修」の千葉県の値(石油製 品(軽質油製品、重質油製品の合計)より推計します。
2)都市ガス
家庭:本市統計資料より、家庭用の都市ガスの消費実績を家庭部門の消費量とします。
業務:本市統計資料より、商業用・その他の都市ガスの消費実績を業務部門の消費量として推
計します。
3)電力
家庭:本市統計資料より、従量電灯A・Bの消費実績を家庭部門の消費量とします。
業務:本市統計資料より、従量電灯 C、その他電灯、低圧電力、業務用電力の消費実績を業務
部門の消費量とします。
2.1.3 運輸部門
1)石油系燃料
総合エネルギー統計の全国値より推計します。
旅客自動車:全国の旅客部門(乗用車)のエネルギー消費実績× (浦安市の乗用車保有自動車
台数)/全国の乗用車保有自動車台数)+全国の旅客部門(バス)のエネルギー
消費実績× (浦安市のバス保有自動車台数)/全国のバス保有自動車台数)
貨物自動車:全国の貨物部門のエネルギー消費実績× (浦安市の貨物自動車保有自動車台数)
2.2
エネルギー消費量推計に用いたデータ
1)石油系燃料の元データ
エネルギー消費量の推計に用いた、石油系燃料の各元データを部門毎に次の表に示します。な
お、各データは平成16年度(2004年度)のデータを用いています。
表 2- 1 エネルギー消費量の推計に用いた各元データ
エネルギー種別
部門
石油系
農林業
6,866(TJ)
千葉県の農林水産業部門石油系エネルギー消費量実績
建設業
6,062(TJ)
千葉県の建設業・鉱業部門石油系エネルギー消費量実績
産
業
製造業
642,926(TJ)
千葉県の製造業部門石油系エネルギー消費量実績
家庭
32,497(TJ)
千葉県の家庭部門石油系エネルギー消費量実績
民
生
業務
45,649(TJ)
千葉県の業務部門石油系エネルギー消費量実績
乗用車
2,045,111(TJ)
日本の旅客自動車部門(乗用車)石油製品消費量実績
旅
客
自
動
車
バス
66,892(TJ)
日本の旅客自動車部門(バス)石油製品消費量実績
運
輸
貨物 自動車
1,373,323(TJ)
日本の貨物自動車部門石油製品消費量実績
出典:千葉県のデータ:都道府県別エネルギー消費統計平成16年度(2004年度)版、経済産業省
資源エネルギー庁監修
全国のデータ:総合エネルギー統計平成16年度(2004年度)版、資源エネルギー庁長官
2)按分比率の算出
先に示したエネルギー消費量の各元データを浦安市のエネルギー消費量に按分するための按 分比率を算出するために用いたデータを次に示します。
表 2- 2 按分比率算出に用いた各データ
部門
地域
算出元
日本 千葉県 浦安市
按分比率
(対浦安市)
農林業 従業員 ― 7,091 11 1.551×10-3
建設業 従業員 ― 164,806 2,020 1.226×10-2
産
業
製造業 従業員 ― 305,935 3,851 1.259×10-2
家庭 世帯数 ― 2,325,751 65,617 2.821× 10-2
民
生
業務 従業員 ― 1,654,450 70,818 4.280×10-2
乗用車 42,776,000 ― 38,016 8.887×10-4 旅客
自動車
バス 232,000 ― 199 8.578×10-4
運
輸
貨物
自動車
貨物
自動車
7,280,000 ― 4,320 5.934×10-4
出典:第54回 日本統計年鑑 平成17年、総務省統計局
2.3
エネルギーの需給構造
本市のエネルギーの需給構造の現状について説明します。
エネルギーの消費量推計の対象は、産業部門、民生部門、運輸部門とし、エネルギーの種類は、
石油系燃料(ガソリン、灯油、軽油、重油等)、都市ガス、電力に区分して行います。
本市におけるエネルギー消費量は表 3-1のように推計されます。なお、市事業の多くは、民生部
門における業務部門に含まれます。
表 2- 3 浦安市のエネルギー消費状況
最終エネルギー消費量(上段TJ/年、下段各エネルギー単位)
2004年
合計
石油系
(原油換算:
千kL)
都市ガス
(ガス換算:
千m3)
電力
(電力換算:
GWh)
部門
構成比
ドラム缶
換算
(千缶/年)
産業部門 5,919
5,598 147
4 87
318
88 35% 775
民生部門 8,460
2,205 58
3,169 70,429
3,086
857 50% 1,108
家庭 2,260
457 12
952 21,160
851
236 13% 296
業務 6,200
1,748 46
2,217 49,269
2,235
621 36% 812
運輸部門 2,690
2,690
70 - - 16% 352
旅客自動車 1,875
1,875
49 - - 11% 246
貨物自動車 815
815
21 - - 5% 107
合計 17,069
10,493 275
3,173 70,516
3,403
945 100% 2,236
CO2排出量 1,231,689 719,437 160,565 351,687 -
-注1:1TJ=1× 1012J、1J=0.2389cal
注2:電力換算値:1kWh=3.6MJ 、原油換算値:38.2MJ=1kL、
ガス換算値:1m3=45.0MJ
注3:ドラム缶(200 リットル)の原油の熱量は、0.00764TJ(1TJ=ドラム缶 約131
缶分)
浦安市が排出するエネルギー起源の部門別CO2は、次のようになります。
産業 : 416,882 ton-CO2/年
本市のエネルギー消費量の経年推移を以下に示しました。エネルギーの消費状況は、人口や事業 者の増加、供給区域の変更、経済状態や気候などに影響されるため、全体の消費量の増減との相関 関係の説明は難しいものの、この数年間の傾向としてはなだらかな増加傾向を示しています。
図 2- 1 市全体のエネルギー消費推移
前章で述べたように、我が国のエネルギー消費における部門構成比は産業主体となっていますが、
全国的に民生部門の業務部門と家庭部門におけるエネルギー消費量は急速に増加しています。
本市においては、全国的に伸び率が高い民生業務部門が産業部門と同程度のエネルギーを消費す
るほど比率が高いことと、全国と比較すると産業、運輸部門が少なくその分民生業務部門が大きく なっていることが特徴的です。なお、民生家庭部門は全国の構成比と同程度となっています。
図 2- 2 エネルギー消費部門構成比
都 市 ガス合 計
0 10,000 20,000 30,000 40,000 50,000 60,000 70,000 80,000
12 13 14 15 16 年
千 m3 電 灯 ・電 力 合 計
0 200,000 400,000 600,000 800,000 1,000,000 1,200,000
13 14 15 16 17 年
MWh
電 力 合 計
電 灯 合 計
浦 安 市 エネル ギー消 費 部 門 別 構 成 比
1 6 %
3 5 %
3 6 %
1 3 %
産 業 部 門
民 生 部 門 家 庭
民 生 部 門 業 務
運 輸 部 門
日 本 の エネル ギー消 費 部 門 別 構 成 比
(総 合 エネル ギー統 計 H16版 より2003年 度 )
1 3 % 1 5 %
4 8 % 2 4 %
産 業 部 門
民 生 部 門 家 庭 民 生 部 門 業 務
CO2の排出量は、エネルギー消費構成にほぼ同様の傾向を示しており、浦安市では民生業務部門 が大きな排出源となっている。
図 2- 3 エネルギー起源 C O2の部門構成比
浦 安 市 エネル ギー起 源 C O2の 部 門 別 構 成 比
1 4 % 3 7 %
3 4 % 1 5 %
産 業 部 門
民 生 部 門 家 庭
民 生 部 門 業 務
運 輸 部 門
エネル ギー起 源 C O2の 部 門 排 出 量 構 成 比
(環 境 省 速 報 値 より2003年 度 分 )
2 2 %
4 8 %
1 6 %
1 4 %
産 業 部 門
民 生 部 門 家 庭
民 生 部 門 業 務
2.4
市のエネルギー消費の現状と
課題
市は、一事業者としてみると、業務その他の部門に入ります。先に示した浦安市全体のエネルギ
ー消費量と公共施設でのエネルギー消費量を比較すると、民生業務の同部門内で約5.2%となり、
高い比率を占めています。
業務その他の部門において大きなシェアを占める市自らが、温室効果ガスを削減することは、同 じ部門の事業者をはじめ、家庭部門の市民等、あらゆる主体の行動を促進する可能性が高いと考え られます。
市は、第1次地球温暖化対策実行計画に削減目標を掲げながらも、目標を達成できず、排出量は
平成17年度まで増加傾向にあります。
表 2- 4 本市公共施設のエネルギー使用量(MJ )
電気 都市ガス 合計
H11 年度 107,242 43,526 150,767
H12 年度 - - -
H13 年度 108,159 43,823 151,982
H14 年度 110,025 49,540 159,564
H15 年度 113,189 44,991 158,180
H16 年度 105,027 49,720 154,747
H17 年度 110,374 51,236 161,610
図 2- 4 本市公共施設のエネルギー使用量の推移
表 2- 5 本市公共施設の CO2排出量(千 kg- C O2)
電気 都市ガス 合計
H11 年度 4,087 2,205 6,293
H12 年度 - - -
H13 年度 4,122 2,220 6,343
H14 年度 4,194 2,510 6,704
H15 年度 4,314 2,280 6,594
H16 年度 4,003 2,519 6,522
H17 年度 4,207 2,596 6,803
図 2- 5 本市公共施設の CO2 排出量の推移
*第1次地球温暖化対策実行計画は平成13年度に策定し、基準年が平成11年度であることから、
平成12年度のデータは把握していません。
*電力1kWh=9.76MJ、ガス1m3=45.0MJとしてエネルギー使用量を算出。 107,242
0
108,159 110,025 113,1 89
105,0 27 110,3 74 43 ,526
0
43 ,823
49 ,540 44,991 49,720 51,236 0 20,000 40,000 60,000 80,000 100,000 120,000 140,000 160,000 180,000
H11年 度 H12年 度 H13年 度 H14年 度 H15年 度 H16年 度 H17年 度 MJ
都 市 ガス 電 気
0 0 2,510 4,314 4,207 4,003 4,194 4,122 4,087 2,205 2,596 2,519 2,280 2,220 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 8,000
H11年 度 H12年 度 H13年 度 H14年 度 H15年 度 H16年 度 H17年 度
千 kg- C O2
係数による。
市の第2次地球温暖化対策実行計画の対象施設(84施設)で平成17年度に使用したエネルギーに
は、電気、都市ガス、LPガス、灯油がありますが、電気と都市ガスでエネルギーのほとんどを占 めています。中でも電気が全体の約7割を占めています。
図 2- 6 H17 年度 市公共施設の利用エネルギー源、C O2排出源 構成比
平成17年度に使用した電力量、都市ガス使用量、エネルギー起源のCO2排出量は以下の通りで
した。
平成17年度 電力使用量 2,391万kWh
平成17年度 都市ガス使用量 213万m3
すべてのエネルギーの熱量換算 330TJ(1TJ=1,000,000,000kJ)
平成17年度 CO2排出量 13,830 ton-CO2
平 成 17年 度 ( 2005年 度 ) 公 共 施 設 の 利 用 エネル ギー源
29.0%
70.6%
0.4% 0.0%
灯 油
L P G 都 市 ガス
電 気
平 成 17年 度 ( 2005年 度 )
公 共 施 設 の C O2排 出 源
35.1%
64.3%
0.6% 0.0%
灯 油 L P G
3.
省エネルギーの可能性検討
3.1
本市における省エネルギーの方向性
ここでは、各部門ごとに、省エネ推進に係る国の動向、本市におけるエネルギー消費状況、地域 特性、市民・事業者の意識・取り組み状況から省エネルギーの方向性を整理しています。
3.1.1 産業部門(主に製造業)
<国の動向>
国全体では、産業部門のエネルギー消費、二酸化炭素排出量は大きな割合を占めています。産 業部門における基礎的な省エネルギー対策としては、自主行動計画や省エネルギー設備・機器導 入などの対策の促進を挙げることができます。近年では「環境配慮促進法」の施行をはじめ、企 業が環境保全などの社会貢献をすることや、環境配慮の情報を提供することの重要性も増してい ます。中小企業における省エネルギーなどの環境配慮の取り組みは、自らの社会への貢献を増す
とともに、市民から企業に対するイメージを向上させることになることも期待できます。また、「環
境教育法」や「省エネ法」で企業のエネルギー管理の責任や自社研修の努力規定もされるように なっており、中小企業においても、研修やエネルギー管理を推進する必要性が増しています。 <本市におけるエネルギー消費状況>
産業部門のエネルギー消費量は、全部門の 35%を占めています。全国の比率(48%)に比較す
ると比率的には低くなっています。 <本市における地域特性>
本市における産業の多くを占める中小の事業者(特に鉄鋼団地を構え誘致してきたこともあり
鉄鋼業が集中)は「浦安市産業振興ビジョン」によれば、その経営課題として「売り上げ不振」「販
売単価の下落」「粗利率の低下」などが上位を占め、事業展開の具体的方針に「コスト削減」が挙
げられています。環境対策については10番目となっており、直面した課題としての位置づけには
なっていないことも伺えます。
省エネルギーによる省コストが達成されれば経営課題の一部を解決できることから、全体とし てのエネルギー消費構成・削減量は少ないものの、取り組むことの効果が多面的に期待できる部 門と考えられます。
<意識・取組状況>
平成17年度に行った「環境基本計画推進に係る意識調査」で、市民のうち「省エネルギー型の
電化製品や機械設備、システムの導入を推進している」と答えた割合は約5割、「冷暖房の温度設
定は控えめにしている」は約9割であることから、意識は高く、ある程度行動にもつながってい ることは伺えます。事業者の地球温暖化問題に対する関心も、他の環境問題に比べ最も高くなっ
ており、また、コスト負担の必要性や環境保全による波及効果を認識する事業者は 5 割前後とな
っています。また、多くの事業者が節電や節水等にも比較的高い実践率で取り組んでいます。
3.1.2 民生家庭部門
<国の動向>
国全体では、民生家庭部門のエネルギー消費、二酸化炭素排出量は大きな割合を占めています。
京都議定書目標達成計画では、民生家庭部門における省エネルギー対策として、住宅の省エネ性 能の向上、トップランナー基準による機器の効率向上、高効率給湯器・照明の普及、省エネ行動
の促進などが挙げられており、各家庭レベルでのソフト・ハード両面の対策が求められています。
<本市におけるエネルギー消費状況>
民生家庭部門のエネルギー消費量は、全部門の 13%を占めており、全国の比率とほぼ同程度で
す。
<本市における地域特性>
本市は、人口が堅調に伸びてきていることと、若いファミリー年代の世帯が多いことなどから、
今後も人口の伸びや子どもの成長、更にはライフスタイルの変化などとともに、この部門でのエ ネルギー消費量は今後も伸びることが考えられます。
<意識・取り組み状況>
平成17 年度に行った「環境基本計画推進に係る意識調査」で、「省エネルギー型の家庭電化製
品を選択して購入している」と答えた割合は約7割、「冷暖房の温度設定は控えめにしている」は
約 85%であることなどから、意識は高く、ある程度行動にもつながっていることが伺えます。近
年の地球温暖化に関する報道や国を挙げての啓発などで、市民の意識と行動の実践度合いは高ま っていると考えられますが、公共施設等の利用においては省エネに関する協力が得られにくい事
例もみられ、さらに啓発や学習機会の提供などで、意識と行動を高める必要性があります。また、
省エネ行動だけではなく、建築物や機器などにおける省エネ選択の効果も高いことから、これら の情報提供を推進することも重要です。
3.1.3 民生業務部門
<国の動向>
国全体では、民生業務部門のエネルギー消費、二酸化炭素排出量は増加傾向にあり、その削減 が急務となっています。京都議定書目標達成計画では、民生業務部門における省エネルギー対策 として、建築物の省エネ性能の向上、トップランナー基準による機器の効率向上、業務用高効率 給湯器・空調機器の普及、地域レベルでのテナントビル等に対する温暖化対策の推進などが挙げ られており、個々の省エネ対策技術の導入とともに、これまで困難であった主体間連携による取 り組みも求められてきています。
<本市におけるエネルギー消費状況>
民生業務部門のエネルギー消費量は、他部門と比べて最も多く、全国における比率が 15%であ
るのに比べ 36%となっています。また、省エネルギーのポテンシャルも全体の6割ほどとなって
います。
<本市における地域特性>
本市は、第3次産業従業者の占める割合が8割と全国でも5位の高い値を示しており、小売業
やサービス業が発達した典型的な東京近郊の都市の傾向を示しています。特に、舞浜地区の東京
ディズニーリゾート、周辺ホテル群の存在や、大型小売店舗等の建物が多いことなどが特徴です。
また、少子化が指摘される中、市の人口が増加し続けており、様々なサービスを提供する民生業 務部門での省エネルギーへの取り組みは重要なものといえます。一方、本市における産業の多く を中小の事業者が占めることに関しては、産業部門と同様、省エネルギーによる省コストが達成 されれば経営課題の一部を解決できることから、全体としてのエネルギー消費構成・削減量は少 ないものの、取り組むことの効果が多面的に期待できる部門と考えられます。
<意識・取り組み状況>
平成17年度に行った「環境基本計画推進に係る意識調査」では、事業者の地球温暖化問題に対
する関心は他の環境問題に比べ最も高くなっており、また、コスト負担の必要性や環境保全によ
る波及効果を認識する事業者は 5 割前後となっています。また、多くの事業者が節電や節水等に
も比較的高い実践率で取り組んでいます。さらに、浦安市では、省エネ法に基づく指定管理工場
もあり、既にESCO事業を導入している事業者も存在する等、事業者間で省エネに関する情報を
共有化できれば、取り組みをかなり活性化できるポテンシャルを有しています。
これらを踏まえ、特に本市において重要な主体となる中小企業で、エネルギーの専門担当者を 配置している事業者が少ない状況が想定されることも鑑み、省エネルギーに関するさらに詳細な 情報の提供や、省エネルギー実践を促す効果的な仕組みを提供していくことが、この部門におけ る取り組みを推進する上で効果が高いと考えられます。また、市の公共施設における省エネ診断
で、最近の技術革新により十数年前の設備に比べ全体的に 20%近い省エネルギー効果が示された
3.1.4 運輸部門
<国の動向>
国全体では、運輸部門のエネルギー消費、二酸化炭素排出量は増加傾向にあり、その削減が急 務となっています。京都議定書目標達成計画では、自動車単体での対策のほかに、自動車交通需
要の調整、環境的に持続可能な交通(EST)の実現、省CO2型物流体系の形成など、面的な対策
の推進を強化してきています。また、数値には表れにくいものの、公共交通機関の利用やエコド ライブなどの運用による省エネルギーは、即効性のある対策として望まれる対策です。
<本市におけるエネルギー消費状況>
運輸部門のエネルギー消費量は、全部門の中で最も小さいのですが、市民の多くが省エネルギ ー形の車種を選択するとその効果は高くなります。本市では、市外からの来訪者が多く、公害対 策としても、運輸部門における運用による対策は重要となります。
<本市における地域特性>
本市の公共交通交通ネットワークは、鉄道(営団地下鉄東西線、JR京葉線、舞浜リゾートライ
ン)、路線バスに加え、平成 14年より天然ガスを燃料とする「おさんぽバス」の運行が開始され
ています。また、平坦な地形は移動手段として自転車利用を促進できる可能性も高いといえます。
一方で、本市は、人口が堅調に伸びてきていることと、若い年代の世帯が多いことなどから、今 後も人口の伸びや子どもの成長、さらにはライフスタイルの変化などとともに、この部門でのエ ネルギーの消費量は今後も伸びることが考えられます。
<意識・取り組み状況>
平成17年度に行った「環境基本計画推進に係る意識調査」では、元町や中町を中心に「自動車
公害」に対する関心が高くなっています。しかし、様々な環境保全行動の実践状況の中では、ア イドリングストップ等の自動車分野の対策は他に比べてやや実践する人の割合が少なくなってい ます。また、事業者は「低公害車の導入」に比較的意欲的な傾向がみられます。
3.2
省エネルギーの期待値
本市における全体の省エネルギー量のイメージを図るため、エネルギー消費部門別に各種目標値、
導入率の設定により試算し結果を表 3-1に示しました。
この結果は、各主体の多くが現状技術の中で、省エネルギー行動をとったり、省エネルギー製品
を選択した場合、概ね平成22年(2010年)を目標としてどの程度の省エネルギー量が期待できるか
をおよその目安として示したものです。(省エネルギーの可能量は、より厳密には、既存のエネル
ギー消費量、利用されている機器、使用状況などをもとに、ウォークスルー調査などの現地調査を 行い、各施設毎に求めることが基本であり、この数値がそのまま本市の目標となるわけではありま
せん。)
表 3- 1 浦安市における省エネルギー期待値
部門 省エネ項目
省エネ
率(%)
導入率
(%)
削減量
(TJ)
削減率
(%)*1
産業部門
環 境 自 主 行 動 計 画 の 着
実な実施
10% 30% 178 1.0%
省エネ行動 3% 50% 34 0.2%
家庭
住宅の省エネ性能向上 19% 50% 215 1.3%
省エネルギー対策 20% 20% 248 1.5%
民生部門
業務 建 築 物 の 省 エ ネ 性 能 の
向上
13% 20% 161 0.9%
旅客自動車
(乗用車)
省エネ車種の導入 23% 50% 209 1.2%
旅客自動車
(バス)
省エネ車種の導入 12.8% 50% 4 0.0%
運輸部門
貨物自動車 省エネ車種の導入 7% 50% 29 0.2%
合計 1,077 6.3%
省エネルギーの可能性把握については、現状のシステムを踏まえそれぞれ個別に対策を立てるも
のですが、全市での可能量を把握するため、下記の方法によりました。
省エネルギー可能量試算の考え方
各部門で各種省エネ対策を行った場合の効果として、市全体の省エネ可能量として以下の
ように試算する。
3.2.1 産業部門における省エネルギー可能量
産業部門においては、環境自主行動計画の着実な実施による効果が見込まれるとしました。
3.2.2 民生部門における省エネルギー可能量
1)家庭
民生家庭部門においては、省エネ行動や住宅の省エネ性能の向上による効果が見込まれるとし
ました。
(1)省エネ行動
省エネ可能量 = 産業部門エネルギー消費量(5,919TJ/年)
× 省エネ率(10%)× 省エネ対策実施率(30%)
= 178(TJ/年)
試算条件
■ 省エネ率:環境自主行動計画で各業種がエネルギー消費原単位を1990年∼2010年の
20年間にて概ね10%を削減目標としている。
■ 省エネ対策実施率:市内の産業部門において省エネ対策を行う割合を、試算のエネル
ギー消費データが 2004 年であることから残り6年で目標年となる。平均的に推移して
いれば計20年の内14年分にあたる70%は達成し、残り6年分の30%が未着手と想定
した。
省エネ可能量 = 民生部門(家庭)エネルギー消費量(2,260TJ/年)
× 省エネ率(3%)× 省エネ対策実施率(50%)
= 34(TJ/年)
試算条件
■ 省エネ率:(財)省エネルギーセンターH17 年度調査結果をもとに運輸分効果を除い
た省エネ量と、本市家庭部門エネルギー消費から設定
■ 省エネ対策実施率:市内の家庭において省エネ対策を行う割合を期待値として、住宅
(2)住宅の省エネ性能の向上
2)業務
民生業務部門においては、ESCO事業などの省エネ対策や建築物の省エネ性能の向上による効
果が見込まれるとしました。
(1)省エネルギー対策
(2)建築物の省エネ性能の向上
省エネ可能量 = 民生部門(家庭)エネルギー消費量(2,260TJ/年)
× 省エネ率(19%)× 導入率(50%)
= 215(TJ/年)
試算条件
■ 省エネ率:「京都議定書目標達成計画」における対策ケースの省エネ係数より設定
■ 省エネ対策実施率:市内の家庭において導入される割合を、住宅のリフォームサイク
ルが10年程度であるとし、設定年までエネルギー消費データ(2004年)から目標年(2010
年)まで6年分あるため60%の住宅でリフォームの可能性があるとした。数値を50%で
括った。
省エネ可能量 = 民生部門(業務)エネルギー消費量(6,200TJ/年)
× 省エネ率(20%)× 省エネ対策実施率(20%)
= 248(TJ/年)
試算条件
■ 省エネ率:浦安市の公共施設(体育館、福祉施設、公民館)における省エネ診断の結
果(平均22.4%)より設定
■ 省エネ対策実施率:市内の業務施設において省エネ対策を行う割合を、産業分野より
若干低めとして想定
省エネ可能量 = 民生部門(業務)エネルギー消費量(6,200TJ/年)
× 省エネ率(13%)× 省エネ対策実施率(20%)
= 161(TJ/年)
試算条件
■ 省エネ率:「京都議定書目標達成計画」における対策ケースの省エネ係数より設定
■ 省エネ対策実施率:市内の業務施設において省エネ対策を行う割合を、産業分野より
3.2.3 運輸部門における省エネルギー可能量
運輸部門においては、トップランナー制度で定める省エネ車種の導入による効果が見込まれる としました。
1)旅客自動車
2)貨物自動車
省エネ可能量 = 運輸部門(旅客自動車・乗用車)エネルギー消費量 (1,818TJ/年)
× 省エネ率(23%)× 導入率(50%)
+運輸部門(旅客自動車・バス)エネルギー消費量(57TJ/年)
× 省エネ率(12.8%)× 導入率(50%)
= 213(TJ/年)
試算条件
■ 省エネ率:トップランナー制度における省エネ効果目標
23%:乗用車(ガソリン)、12.8%:一般バス(ディーゼル)
■ 導入率:市内の旅客自動車において省エネ自動車の導入割合を、買い換えサイクルを
約10 年として、エネルギー消費データ(2004年)から目標年(2010 年)まで6年分
あるため60%の買い換え可能性であるが50%と括った。
省エネ可能量 = 運輸部門(貨物自動車)エネルギー消費量(815TJ/年)
× 省エネ率(7%)× 導入率(50%)
= 29(TJ/年)
試算条件
■ 省エネ率:トップランナー制度における省エネ効果目標
7%:貨物自動車(ディーゼル)
■ 導入率:市内の貨物自動車において省エネ自動車の導入割合を買い換えサイクルを約
10年として、エネルギー消費データ(2004年)から目標年(2010年)まで6年分ある
4.
新エネルギーの可能性検討
4.1
新エネルギーと
は
新エネルギーは、法律(新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法)により14種類が定め
られています。
技術開発レベル、位置づけや他の国との整合などにより、対象が変わることがありますが、 現在では、下記に示すエネルギーを対象としています。
図 4- 1 新エネルギーの分類
(出典:新エネルギーガイドブック(NEDO))
供給サイドのエネルギー
石油
石油代替エネルギー
石炭
再生可能エネルギー
水力
新エネルギー
熱利用分野 発電分野
海洋エネルギー
需要サイドのエネルギー
原子力 天然ガス
地熱
太陽熱利用
温度差エネルギー
雪氷熱利用 廃棄物熱利用
バイオマス熱利用
クリーンエネルギー
自動車
天然ガス
コージェネレーション
燃料電池 太陽光発電
風 力 発 電
廃棄物発電
バイオマス発電
4.2
賦存量・
利用可能量の定義と
対象と
する新エネルギー
4.2.1 賦存量及び利用可能量の定義
本章では、新エネルギーの種目別毎に、本市における賦存量及び利用可能量を算出し、導入適 正度を調査します。
なお、新エネルギー量の表現としては、“ 賦存量” と“ 利用可能量” を用い、それぞれの語句に
ついて次のように定義しました。
図 4- 2 賦存量・利用可能量のイメージ図(例:太陽光発電)
運動エネルギー、位置エネルギー、物質の持
っている燃焼エネルギーなど加工せずに存
在するエネルギー量を指す。
ある種の制約において通常利用できる形態
に変換したときに取り出せるエネルギー量
を指す。
賦存量
4.2.2 対象とする新エネルギー
対象とする新エネルギーは、供給サイドのエネルギーとして、太陽エネルギーや風力エネルギ ー等の「自然エネルギー」と、廃棄物エネルギー等の「リサイクルエネルギー」を対象とします。 なお、需要サイドのエネルギーであるクリーンエネルギー自動車の「従来型エネルギーの新利 用形態」は、賦存量の推計になじまないため、利用可能量のみを推計します。利用可能量は、導 入による従来型エネルギーの低減量として推計します。
表 4- 1 対象とする新エネルギー
区分 賦存量 利用可能量
太陽光発電 ○ ○
太陽熱利用 ○ ○
風力発電 ○ ○
バイオマスエネルギー ○ ○
未利用エネルギー − −
供給サイドの新エネルギー
廃棄物発電・熱利用 ○ ○
クリーンエネルギー自動車 − ○
天然ガスコジェネ − ○
需要サイドの新エネルギー
4.3
新エネルギー特性の整理
本市に賦存する新エネルギーの一般的な特性および本市における特性を整理します。
4.3.1 太陽光発電
1)一般特性
住宅用の太陽光発電設備の単価は、50∼70 万円/kW 程度に下がってきており、以前に比べる
とコスト面では改善されてきています。基本的に、日射が阻害されるような場所での設置には注
意が必要ですが、環境教育や普及啓発など住民の関心を高めるために有効な新エネルギー対策の
一つです。
2)本市における特性
本市は全体的に全天日射量が良好な地域のため、太陽光発電の導入には適した地域といえます。
戸建て住宅や業務用ビルの屋上では十分利用することが可能であり、ビルの場合は壁面や窓面
を利用した新型のパネル等の活用も考えられます。
本市の公共施設では、エネルギー消費の約7割を電力が占めており、主には昼間稼働時の需要 となっています。太陽光発電は、日射に合わせた発電となるため、公共施設における電力需要と 発電時間帯によく適合します。日射や構造的な問題がなければ、学校を始めとする公共施設の新 設、改修時に太陽光発電設備の導入と環境教育の展開など、ハードとソフトを合わせた対応が十 分可能です。
本市では、住宅用太陽光発電の導入補助を行っており、利用者数も増えていることから、市民
の環境配慮指向を高めるためにも、引き続き制度の継続や普及啓発による利用者数の拡大を目指
すことが望ましいといえます。
本市のエネルギー需要においては、民生業務部門が高いウェイトを示していることから、市内 に立地する多くの業務系施設での太陽光発電導入可能性が高いといえます。
4.3.2 太陽熱利用
1)一般特性
家庭用太陽熱温水器は、15万円∼(自然循環式)あり、発生熱量全てを給湯に利用することで年
間 50%∼60%の燃料の節約可能となります。太陽光発電と同様、日射が阻害されるような場所
での設置には注意が必要ですが、コスト面でも比較的導入しやすい新エネルギー対策の一つです。
製造する温水温度が、供給水温、日射、気温により安定しない、特に温水需要の多い冬期には、
温度上昇が少ない等の点に留意が必要となります。
2)本市における特性
本市は全体的に全天日射量が良好な地域のため、太陽熱利用の導入には適した地域といえます。
4.3.3 風力発電
1)一般特性
一般に、年平均風速6m/s以上(地上30m地点)の地域において採算性があるとされています。
発電能力が不安定であるため電力系統への影響抑制が必要であり、また、規模が大きくなるにし たがい、法的手続きが複雑となります。小型の機器では、低効率、機器の破損、メンテナンス体 制の不足などが課題とされていますが、技術開発の進展が期待されています。
2)本市における特性
本 市で は沿岸 部で の風況は 高い といわ れ、NEDO 既 存風況 マッ プデー タで は年 平均風 速が
5.5m/s(地上 30m 地点)と示されていましたが、高洲において実測したところ年平均風速は
5.0m/s(地上30m地点)でした。経済的観点からは、事業用(1,000kW以上の規模)の風力発
電にそれほど適した風況ではないといえます。また、内陸部は猫実測定所で年平均 2.7m/s と風
速が小さく、住宅も多いことから、騒音、景観、自然環境への影響などの課題から事業風力発電 には向かないと判断されます。
小型風車に関しては、発電効率の低さなどを考慮すると、本市において経済的な面でのメリッ
トは期待できませんが、比較的風況の良い場所に立地する公共施設において環境学習や普及啓発
用に導入することは考えられます。なお、住宅地においては、騒音、メンテナンスの面で様々な 課題が想定されることから、導入には注意を要します。
4.3.4 バイオマスエネルギー
1)一般特性
近年、森林バイオや畜産バイオ等の取り組みが活発化しており、これに伴い各メーカーの製品 開発も活発化しています。現状では実証試験、自家利用のケースが多く、小型の設備では、薪ス トーブ、ペレットストーブ等に普及の兆しがあります。
課題として、畜産廃棄物、生ごみの収集時に発生する臭気、立地にかかる周辺住民の理解、廃 水処理等があります。また、廃食油などの植物油から取り出せるメチルエステル燃料化は、全国 の複数地点で実用化が進められていますが、事業化に向けては規模の確保が必要となります。
2)本市における特性
本市では、その自然環境特性から、森林系や畜産、農業系のバイオマス資源はほとんどなく、 導入は難しいと考えられます。一方で、生ごみについては、舞浜周辺に宿泊施設、商業施設が集
中していることから、生ごみ活用によるバイオマスエネルギーの利用ポテンシャルはあるといえ
ます。
本市の特徴として住宅が多い、観光地であるなどの立地環境を考慮すると、バイオマスプラン トの設置場所の確保やにおい対策・効率性などの課題があり、実用化に向けた技術開発を注視し ながら導入を進める必要があります。
4.3.5 未利用エネルギー
1)一般特性
2)本市における特性
本市は東京湾に面していることから、立地環境的、技術的には海水の利用可能性があります。
本市において熱利用する場所としては、海に面する地区で熱需要が集中する舞浜周辺施設が想定
されます。
舞浜地区には地域冷暖房施設があり熱供給が行われており、メリットを受けられる可能性もあ
りますが、熱供給事業者における事業性、保守性や法規制などの課題を解決しながら進める必要 があります。
4.3.6 廃棄物発電・熱利用
1)一般特性
現在、事業主体はほとんど地方公共団体等であり、広域化により大容量施設の導入が進んでい
ます。発電出力はごみ処理量1t/hあたり100∼700kWであり、処理システム、規模、ごみ質に
より異なりますが、新エネルギーの中では安定性に優れているといえます。
2)本市における特性
本市ではクリーンセンターにおいて廃棄物発電設備が導入されており、発電端効率が 3.55%
(廃棄物発電導入マニュアル改訂版)となっています。クリーンセンターでは余熱利用も行って おり、現在隣接する斎場に熱を供給していることから、今後、熱の有効利用についてさらに検討 することが望ましいと考えられます。
人口世帯数は増加しているものの、一般廃棄物の発生量は平成13年から16年にかけて減少し
ており、可燃ごみについてはほぼ横ばいとなっています。可燃ごみ量は安定していると考えられ
るため、既に15 年ほど経過している焼却設備の改修時期に合わせて効率向上を図ることで廃棄
物発電量を増加させることが可能と考えられます。
4.3.7 クリーンエネルギー自動車
1)一般特性
電気自動車、ハイブリッド自動車、天然ガス自動車、メタノール自動車等が実用化されていま す。天然ガス自動車、メタノール自動車は、エコスタンドなどの燃料供給基盤整備が必要となり
ます。これらは、CO2だけでなくNOx、SOx及びの排出削減も図ることができます。
2)本市における特性
本市の自動車保有台数は、平成13年(2002年)から平成17年(2005年)にかけ増加しており、
特に自家用普通乗用車の伸びが毎年千台程度と著しい伸びを示しています。購入者がハイブリッ
ド車などのクリーンエネルギー自動車を選択する行動を取れば、相当量の効果が見込まれます。
市ではクリーンエネルギー自動車の導入を進めています。市の保有台数は平成 18 年(2006 年)3
月末現在で31台となっており、今後も導入を推進することが望ましいと考えられます。
4.3.8 天然ガスコージェネレーション
1)一般特性
電気と熱の需要に対応できるため工場や病院、ホテル等において導入事例が多く、施設内電力、
給湯、冷暖房用熱源として利用されます。10kWクラスのパッケージ製品も市販化され、一般店
舗などでも利用が可能となっています。電気主任技術者、ボイラータービン主任技術者、ボイラ ー技士、危険物取扱者等の資格者が必要な場合があり、また、発生騒音が大きい、維持管理費が 高い等の課題もあります。
2)本市における特性
本市では、市内の大部分で天然ガスパイプライン等インフラが整備されており、天然ガスコー ジェネレーションを普及しやすい特性を有しているといえます。
また、本市では民生業務部門のエネルギー需要が高いこと、特に、市外からの滞在者が多く集
まるホテルがあり、年間 24時間営業するため稼働時間が長く、給湯、冷暖房などの熱需要が多
いこと、さらに商業施設では年間を通じて冷暖房需要が高いこと等の特性もあり、コージェネレ
ーションシステムの特徴である電力と温熱の両方を製造する機能が十分発揮できるため、導入に
適しているといえます。
公共施設においても温熱需要の高い施設があることから、導入を検討していくことが考えられ
ます。
4.3.9 燃料電池
1)一般特性
りん酸形燃料電池の導入は近年減少傾向にありますが、固体高分子形燃料電池は実用化普及に
向けて内外企業の開発競争が本格化しており、将来的には大規模な導入が期待されています。ま た、固体酸化物形燃料電池など高温の中・大規模システムの研究、実証、住宅や自動車向け固体 高分子形の実証試験も進められています。
発電のみの場合はエネルギー効率及びコスト面で必ずしも優れないため、熱利用が可能な条件
下での導入が適しています。
2)本市における特性
本市では、市内の大部分で天然ガスパイプライン等インフラが整備されており、天然ガスを燃 料として利用する燃料電池であれば、供給源は確保されているといえます。
4.4
新エネルギーの賦存量・
利用可能量
4.4.1 新エネルギーの賦存状況について
本市における新エネルギーの賦存量及び利用可能量の試算結果を次の表に示します。
表 4- 2 浦安市における新エネルギー賦存量及び利用可能量
賦存量 利用可能量 利用可能量設定条件
60,009
(MWh/年)
4kWの太陽光発電を全居住住宅の
25%に設置 太陽エネルギー
87,015,708 (GJ/年)
83,346
(GJ//年)
3 ㎡の太陽熱利用システムを全世
帯の25%に設置
風力エネルギー −
1,116
(MWh/年)
300W の小型風力発電を全世帯の
25%に設置
1,045 (MWh/年)
発電利用(コージェネを想定) バイオマスエネルギー
(生ごみ)
37,619
(GJ/年) 7,524
(GJ/年)
排熱利用(コージェネを想定)
14,221 (MWh/年)
発電利用(高効率) 廃棄物
エネルギー
廃棄物発電・
廃棄物熱利用
393,825
(GJ/年) 157,530
(GJ/年)
排熱利用
クリーンエネルギー自動車 −
56,247 (GJ/年)
市の旅客自動車の 20%をハイブリ
ッド車に転換
コージェネレーション −
93,000 (GJ/年)
民生業務部門の 10%にコージェネ
レーションを導入
合計:GJ
(ドラム缶換算値)
87,409,533 (GJ/年)
(11,440千缶)
発電
75,437 (MWh/年) 熱利用
240,876 (GJ/年)
(86千缶)
電力と熱の換算値:1kWh=3.6MJ
ドラム缶(200リットル)の原油の熱量は、7.64GJ(1,000GJ=ドラム缶 約131缶分)
4.4.2 太陽光発電・太陽熱利用(太陽エネルギー)
本市に賦存する太陽エネルギーを算出します。また、太陽エネルギーを利用した太陽光発電及 び太陽熱利用による利用可能量を試算します。
1)賦存量
市内全域に全天日射が降り注ぐものとして太陽エネルギーの賦存量を試算します。
2)利用可能量
(1)太陽光発電利用可能量
太陽光発電の利用可能量は、市内の住宅へ太陽光発電を設置した場合を想定して試算します。
賦存量 = 年平均全天日射量 3.9(kWh/㎡・日)
× 本地域内総面積(16.98)(km2)
× 365日/年
= 87,015,708(GJ/年)
試算条件
■ 年平均全天日射量:全国日射量関連データ(NEDO)より、新木場アメダスの方位角0° 、
傾斜角0° での値
太陽光発電利用可能量= 南向き、傾斜角30° における日射量:3.9(kWh/㎡・日)
× 0.07344[補正係数:直流補正係数(0.8)
× 温度補正係数(0.85)
× アレイ変換効率(0.12)
× インバータ効率(0.9)]
× 太陽光発電パネル設置面積(574,020㎡)
× 365日/年
= 60,009(MWh/年)
試算条件
■ 年平均全天日射量:全国日射量関連データ(NEDO)より、新木場アメダスの値
■ 補正係数:各種損失を見込んだ係数
■ アレイ変換効率:太陽電池に入射したエネルギーをどれだけの割合で電気エネルギー
に変換できるかを示すもの
■ 太陽光発電設置出力:4kW(36㎡)
■ 導入率:市内居住世帯住宅の25%に4kWの太陽光発電を設置すると仮定
■ パネル設置面積
4.4.3 太陽熱利用システム利用可能量
太陽熱利用システムの利用可能量は、市内の住宅へ太陽熱利用システムを設置した場合を想定 して試算します。
太陽熱利用システム利用可能量
= 南向き、傾斜角30° における日射量:3.9(kWh/㎡・日)
× 変換効率(0.34:平板式太陽熱利用システム)
× 太陽熱集熱器設置面積(47,835㎡)
× 365日/年 × 3.6× 106(J/kWh)
=83,346(GJ/年)
試算条件
■ 年平均全天日射量:全国日射量関連データ(NEDO)より新木場アメダスの値
■ 変換効率
住宅:0.34(平板式のシステム効率を設定)
■ 導入率:市内居住世帯住宅の25%に3㎡の太陽熱集熱器を設置すると仮定
■ 太陽熱集熱器設置面積
4.4.4 風力発電(風力エネルギー)
風力のエネルギー量は、風速の 3乗に比例し、風速は一般的には、地表面高さのべき乗則で求
めるため、対象地点毎に異なったものとなります。
そこで、以下の方法により風力発電の賦存量及び利用可能量を算出します。
1)風速分布状況
大型の風力発電機を導入する場合には、6m/s 以上の年平均風速があることが望ましいとされ
ています。浦安市では、図 4-3に示すように風況の有望地点が沿岸部の一部に限られますが、2005
年に高洲で風況精査を行った結果、高度30m地点において年平均風速5.0m/sでした。
図 4- 3 浦安市周辺風況分布状況
出典:NEDOホームページより
浦安市
2)利用可能量
本市では大型の風力発電の導入可能性が低いため、利用可能量については小型風力発電を対象
に試算を行います。
図 4- 4 市内で観測した風速値
小型風力発電利用可能量 = 風車1基あたりの年間発電電力量:70(kWh/年)
× 小型風力発電設置台数(15,945基)
= 1,116(MWh/年)
試算条件
■ 年間発電電力量:定格出力 300Wの小型風車において、年平均風速2.0m/s の場合の
予想年間発電電力量
■ 導入率:市内居住世帯住宅の25%に小型風力発電機を設置すると仮定
■ 小型風力発電設置台数
68,780軒× 1台(1軒あたりの導入台数)× 導入率
高 洲 観 測 結 果 平 均 風 速
0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 7.0
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月11月12月 通 年
風
速
(
m
/
s
)
猫 実 測 定 局 平 均 風 速
0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 7.0
4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月11月12月 1月 2月 3月 通 年
風速
(
m
/
s