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数値流体解析による着氷送電線の空気力特性の予測 ○

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Academic year: 2022

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キーワード:着氷送電線,平均空気力係数,数値流体解析,LES

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数値流体解析による着氷送電線の空気力特性の予測

○ 東京大学 学生員 長谷川信幸 東京大学 正会員 石原 孟 東京大学 フェロー会員 藤野陽三

1. はじめに

送電線に氷雪が付着すると、空気力特性が変化し、

ギャロッピングと呼ばれる大振幅自励振動が発生する ことが知られている1)。ギャロッピング振動を予測する ために、着氷送電線の空気力係数を予め把握しておく 必要がある。着氷送電線の空気力係数は風洞実験によ り求めることが可能であるが、時間とコストがかかる。

そのため、実際に発生したギャロッピング振動を解析 する際には既存の風洞実験から得られた空気力係数の 内外挿値が用いられているのが現状である。しかし、

このように求められた空気力係数と実際の着氷送電線 の空気力係数とはどの程度一致しているかについては 不明な点が多く残されている。任意形状を有する着氷 送電線の空気力係数を迅速かつ正確に評価する手法の 確立は急務と言える。

そこで、本研究ではLESモデルに基づく数値流体解 析を行い、モデル着氷送電線の空気力係数を求めると 共に、風洞実験の結果と比較することにより、数値流 体解析手法と既往の風洞実験の結果による内挿法の予 測精度を明らかにする。更に、風洞実験で得にくい圧 力の空間分布や流れの流線図を用いて、ピーク揚力の 発生メカニズムを解明する。

2. 解析手法と解析モデル

本研究では流れの非定常性と3次元性を再現するた め、LES(Large Eddy Simulation)解析を行った。

図1 解析格子

図1には解析格子の一例を示し、送電線表面近傍が 細かくなるように格子を配置した。解析領域のスパン 方向の長さは送電線直径の2倍とし、分割数は20とし た。総メッシュ数は227800である。風速は10m/sと し、レイノルズ数は13007、無次元化時間刻みtU/D

0.04 とした。数値解法の詳細については参考文献2を 参照されたい。図 2 には本解析に用いたモデル着氷送 電線の断面形状を示す。着氷高さは送電線直径Dの1.0 倍、0.5倍、0.25倍とした3つのモデルを用いた。本研 究ではこれらのモデルをそれぞれ 1.0D、0.5D、0.25D モデルと呼ぶことにした。

D=19 H=19

10

D=19 H=9.5

10

D=19 H=4.75

10

a) 1.0Dモデル b) 0.5Dモデル c)0.25Dモデル 図2 モデル着氷送電線の断面形状

3. 空気力係数の解析結果

図3には1.0Dモデルの抗力と揚力係数の数値解析結 果と風洞実験値 3)との比較を示す。迎角12°付近にお ける揚力係数のピークの出現や迎角12°からの抗力係 数の線形的な増大が精度よく再現されている。いずれ の迎角においては抗力及び揚力係数の予測値と実験値 とも一致している。

-3 -2 -1 0 1 2 3

0 5 10 15 20 25 30 35 40

実験値 解析解

実験値 解析解

迎角 deg

抗力係数 Cd揚力係数 Cl

3 1.0Dモデルの空気力係数の予測値と実験値との比較

図4、図5には0.5Dモデルと0.25Dモデルの空気力 係数の予測値と実験値との比較を示す。いずれのケー スにおいても予測値と実験値は一致し、任意着氷長さ に対して、平均空気力係数をLESにより精度よく求め ることが可能であることがわかる。また、0.5Dモデル については従来行われてきた内挿方法により、1.0Dモ

デルと0.25Dモデルの空気力係数から0.5Dモデルの空

気力係数を求めた。図 4 から分かるように、このよう に求められた揚力係数は迎角18°付近でのピークが全 く再現できず、ギャロッピング振動予測の精度に大き

迎角 揚力

風向 抗力

土木学会第60回年次学術講演会(平成17年9月)

-691- 1-347

(2)

な影響を与える可能性があることを示唆した。

-3 -2 -1 0 1 2 3

0 5 10 15 20 25 30 35 40

実験値 予測値 内挿値

実験値 予測値 内挿値

迎角 deg 抗力係 Cd係数 Cl

4 0.5Dモデルの空気力係数の予測値と実験値との比較

-3 -2 -1 0 1 2 3

0 5 10 15 20 25 30 35 40

実験値 予測値

実験値 予測値

迎角 α 抗力係数 Cd揚力係数 Cl

5 0.25Dモデルの空気力係数の予測値と実験値との比較

4. ピーク揚力の発生メカニズム

ギャロッピングの発生原因は揚力係数CLの勾配が負 の空力減衰をもたらすことによるものと知られている。

しかし、空気力係数の迎角による急激な変化などは風 洞実験により計測することはできるが、このような急 激な変化をもたらす原因を明らかにするには流れの可 視化や圧力の測定などが必要である。数値解析ではす べての物理量が一度に得られるため、揚力係数のピー クの発現メカニズムを調べることが可能である。

図6には1.0Dモデルにピーク揚力が現れる迎角12°

の時における着氷送電線表面の平均圧力分布を示す。

また比較するために、16°の時の平均圧力分布も併記 した。この図から、着氷送電線の下面前縁x/B(B=D)

=1.6~1.9付近では、迎角16°に比べ、迎角12°の時 の負圧が大きくなっていることが分かる。この負圧に より、下向きの大きな揚力が発生している。

-2 -1 0 1

0 0.5 1 1.5 2

α=12°

α=16°

x/B

気力係数 C

6 ピーク揚力発生時の着氷送電線表面の圧力分布

12°の時に大きな揚力を発生するメカニズムを明ら かにするため、迎角12°と16°の平均流線と平均圧力 コンターを図7に示した。この図から、迎角12°の時 には着氷送電線下面前縁にはっきりした剥離泡が見ら れ、それに対応して、着氷送電線下での負圧も大きく なっていることが分かる。一方、迎角がすこし大きく

なった 16°では着氷送電線下面の剥離泡は 12°の時

より後ろに流れており、平均負圧も小さくなっている。

図6 平均流線図および平均風圧分布

5. まとめ

本研究ではLESモデルに基づく3次元非定常解析を 行い、着氷送電線の空気力係数及びピーク揚力の発生 メカニズムを明らかにし、以下の結論を得た。

1) LES 解析により予測された着氷長さの異なる送電線 の空気力係数は実験値と一致することが分かった。

2) 内挿により求めた空気力係数はピーク揚力の発生 を再現できず、数値解析の必要性が明らかになった。

3) ピーク揚力の発生は着氷送電線下面前縁の剥離泡 の滞留に関係し、それに伴う大きな負圧の発生が原 因となっていることが明らかになった。

謝辞 本解析の実施にあたり、フルーエント・アジアパシフ ィック(株)の岡新一氏と電力中央研究所(財)の清水幹夫 博士にご助言を頂いた。ここに記して、謝意を表する。

参考文献 1) 架空送電線のギャロッピング現象解析 技術,電気学会技術報告,第844号,2001.2) 石原 孟,岡新一,藤野陽三:一様流中に置かれた正方形角 柱の空気力特性の数値予測に関する研究,土木学会論 文集(投稿中).3) 清水幹夫,石原孟,ファフックバ ン:3分力天秤実験に基づく着氷雪多導体および単導 体送電線の空力特性に関する検討,構造工学論文集,

Vol.50A,pp.647-656.2004.

α 0

0.5 1

1.5

土木学会第60回年次学術講演会(平成17年9月)

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