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水害のリスクの提示方法が災害認知に及ぼす影響について 熊本大学

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Academic year: 2022

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(1)IV-052. 土木学会西部支部研究発表会 (2011.3). 水害のリスクの提示方法が災害認知に及ぼす影響について 熊本大学. 学生員. ○武川満春. 熊本大学. 正会員. 柿本竜治. 熊本大学. 正会員. 榎村康史. 1.はじめに 近年,自然災害が多発するなかで,ハード対策のみ による防災対策の限界が認識されるようになり,想定 を超えた災害に対応するための危機管理が重要視され ている.このような状況の中で近年の防災行政は,ソ フト対策が積極的に進められるようになっている.そ のような中で洪水ハザードマップの公開は,重要な施 策の一つとして位置づけられるようになった.1)一方, 住民は自身が住む地域のリスクを正しく認識する必要 が出てきた.しかし,過去に水害常襲地域と呼ばれて いた場所でハード対策が進み,長年にわたって水害の. 図‐1 対象地域の洪水ハザードマップ. 被害がない状況に慣れた住民にとっては,洪水ハザー. の水害リスク情報は 2 種類の情報を用いた.1 つは,. ドマップの情報を軽視してしまう傾向も見られる.そ. この地域の河川の整備方針は「80 年に 1 度の大雨」を. のため,住民が受け入れやすい情報提示方法が求めら. 想定しており,洪水ハザードマップにも記載されてい. れる.そこで本研究では,洪水ハザードマップとそれ. る.そこで,この「80 年に 1 度の大雨」と同等の条件. 以外の水害リスク情報の提示方法による住民の水害リ. である「30 年以内に洪水が発生する確率が 30%」を水. スク認知の変化を比較し,よりよい情報提示方法を考. 害リスク情報の一つとして与えた.2 つは,全国で水. 察することを目的とする.. 害に遭う年間人数をそのほかの事故・災害等に遭う年 間人数とで比較したリスクのモノサシ 2)である.調査. 2.対象地域・調査方法の概要. は 2010 年 10 月に実施した.対象地域の 150 世帯を訪. (1)対象地域. 問し,有効回答数は 142 世帯(94.6%)であった.. 対象地域は熊本県人吉市の温泉町・下林 2 区・下林 仮屋地区の 3 地区である.この地域は球磨川と万江川. 3.水害リスクへの意識. の合流点であり,過去に何度も水害を受けている水害. (1)住民の水害リスク評価. 常襲地域である.図‐1 は 2010 年に配布された対象地. 調査以前の洪水ハザードマップ閲覧割合は. 域の洪水ハザードマップである.近年は堤防・排水ポ. 95/150(63%)であった.図‐2 は洪水ハザードマップに. ンプ施設等の整備も進み,昭和 57 年以降は水害による. よる対象者の家屋の浸水深予想割合と,各水害リスク. 大きな被害はない.しかし,近年でも大雨時の河川の. に関する情報提示前後の住民の家屋の浸水深予想割合. 増水により,一部地域で避難勧告が出ることがある.. を示している.洪水ハザードマップで予想されている. (2)調査方法. 浸水深予想に比べ,水害リスク情報提示前の住民は浸. 水害に関する情報の提示方法の違いで,住民の水害. 水深予想を安全側に評価をしている傾向が見られた.. に対する意識がどのように変化するのかを調べるため. そして,各水害リスク情報提示後の住民の浸水深予想. にアンケート調査を行った.調査方法は訪問調査であ. は,提示前より危険であると評価をする割合が増加し. る.まず,各家庭を訪問し,現在の水害に対する意識. ている.これは,水害リスク情報を見ることで水害へ. 調査を行う.その後,洪水ハザードマップもしくはそ. のリスクを認識できたためであると考えられる.図‐3. れ以外の方法で表現した水害リスク情報を提示し,再. は各水害リスク情報提示前後での,住んでいる町内が. び水害への意識調査を行う.洪水ハザードマップ以外. 水害に対して安全だと思うかという項目の回答割合を -609-.

(2) IV-052. 土木学会西部支部研究発表会 (2011.3). ハザードマップ +リスクのモノサシ (N=59). ハザードマップ (N=43) リスクのモノサシ (N=47). ハザードマップ +30年確率表記 (N=62). 30年確率表記 (N=48). ハザードマップ (N=43). 情報提示前 (N=150). 0%. ハザードマップ 浸水予想 (N=150). 10%. 浸水しない. 0%. 10%. 浸水しない. 20%. 30%. 50cm以下. 40%. 1m以下. 50%. 60%. 2m以下. 70%. 80%. 90%. 20%. 30%. 50cm以下. 40%. 50%. 1m以下. 60%. 2m以下. 70%. 80%. 90%. 100%. 90%. 100%. 5m以下. 図‐4 住民の浸水予想. 100%. それ以上. 5m以下. ハザードマップ +リスクのモノサシ (N=59). 図‐2 ハザードマップの浸水予想と住民の浸水予想 ハザードマップ (N=45). ハザードマップ +30年確率表記 (N=62). リスクのモノサシ (N=46). ハザードマップ (N=43) 0%. 30年確率表示 (N=48). 安全である. 情報提示前 (N=150). 10%. 20%. 比較的安全である. 30%. 40%. 50%. どちらでもない. 60%. 70%. 比較的危険である. 80%. 危険である. 図‐5 町内が水害に対して安全だと思うか 0%. 10%. 20%. 30%. 40%. 50%. 安全である. 比較的安全である. 比較的危険である. 危険である. 60%. 70%. 80%. 90%. 100%. ている.洪水ハザードマップに 30 年確率表記の情報も. どちらでもない. しくはリスクのモノサシを付加した場合,どちらの情. 図‐3 町内が水害に対して安全だと思うか. 報でも住民は町内が水害に対して危険であると評価す. 示したものである.提示した 3 種類の水害リスク情報. る割合が高くなっている.しかし,これらの結果は始. の中で,洪水ハザードマップを提示した住民が最も危. めに洪水ハザードマップ単体を見た住民と,洪水ハザ. 険だと評価した.次いでリスクのモノサシ,30 年確率. ードマップに 30 年確率表記もしくはリスクのモノサ. 表記の順であった.これは洪水ハザードマップを見る. シを付加させた情報を提示した住民全体との比較にな. ことで,住民が自宅の予想浸水深を確認し,住民の理. っている.これから,水害リスク情報を提示した情報. 解が容易に行われたためであると考えられる.30 年確. 群別に分析を進める必要がある.. 率表記は他の情報に比べ,数字に頼る情報であり住民. 4.おわりに. に受け入れられなかったためだと考えられる.. (2)ハザードマップとそれ以外の情報の組み合わせ. 水害の危険性を住民に認知させる情報としては洪水. 洪水ハザードマップ・30 年確率表記・リスクのモノ. ハザードマップが有効であるという結果になった.そ. サシを比較すると,洪水ハザードマップが住民の水害. の上で洪水ハザードマップに水害についての異なる情. 意識に大きく影響を与えることが明らかになった.そ. 報を付加することで住民の水害への意識が,どう変化. こで洪水ハザードマップに 30 年確率表記・リスクのモ. していくのかを検証していかなければならない.さら. ノサシをそれぞれ付加させることで,さらに住民の水. に,住民が水害についての情報の入手による意識の向. 害に対する意識が向上するのかをアンケート調査を行. 上,そして行動を起こすまでの過程を明らかにし,適. い,検証した.対象地域は前回アンケートと同地域と. 切な洪水ハザードマップへの情報の付加方法を検証す. し,対象者は前回のアンケート回答者を対象に行った.. る必要がある.. 回答数は 121 部,有効回答数は 121 部(100%)である. 図‐4 に洪水ハザードマップに 30 年確率・リスクの モノサシを付加した情報提示後の住民の浸水予想割合, 図‐5 に町内が水害に対して安全だと思うかという項 目の情報提示後の回答割合を示す.住民の浸水予想は 洪水ハザードマップ単体よりも,安全であると評価し -610-. 参考文献 1) 片田敏孝,木村秀治,児玉真:災害リスク・コミ ュニケーションのための洪水ハザードマップのあ り方に関する研究,土木学会論文集,D 部門,Vol.63, No.4,pp.498-508,2007. 2) 中谷内一也:リスクのモノサシ,日本放送出版協 会,2006..

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