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秋田県六郷扇状地の扇央扇端間における地下水の三次元流動

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Academic year: 2021

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(1)

秋田県六郷扇状地の扇央扇端間における地下水の三次元流動

部 慎

キーワー ド:地下水位 水理水頭 地下水流動 地下水人工癌養 六郷扇状地

序論

本研究の対象地域である秋田県六郷扇状地 におい て、 これまで多 くの研究が重ね られている。そ して、

当扇状地 における地下水位 は、積雪や濯概 といった 地表活動 に影響を受 け変動す ることや、扇央 と扇端 の地下水位の変動 は相互 に対応 していることなどが 明 らかになった。 しか し、一連の研究 は飽和帯の地 下水の平面的な考察 にとどまってお り、鉛直方向を 含めた三次元の地下水流動についての考察 はいまだ なされていない。

そこで本稿では、地下水の平面的な変動を調査 し、

さらに、扇央 ・扇端 にある二つの ピエゾメータの水 頭値か ら鉛直的な地下水の変動を把握す ることで、

平面 ・鉛直方向をあわせ、三次元的な地下水流動特 性を解析することを目的 とす る。

Ⅱ 研究対象地域の概要

六郷扇状地 は横手盆地のほぼ中央に位置 しており、

東縁 は断層崖 によって奥羽山脈 に接す る。六郷扇状 地 は、古 い扇状地の上 に新 しい扇状地が重なってで

絹地住水田辞人緋池 畑【集鯛[ヨ葉・酬‑=専綿 1図 研究対象地域 (2004年)

(国土地理院発行1:25,000地形図 「六郷「金沢本町」

(1999年修正測量)より作成)

きた複合扇状地である (肥 田,1990)。 ただ し、本 研究では新期扇状地を もって六郷扇状地を指す もの とす る (1図)。六郷扇状地面 に位置 していた旧 六郷町は、2004111日に北 と南 に隣接 していた 旧千畑町、 旧仙南村 と合併 し、新 たに美郷町 とな り 発足 した。当扇状地 に住む人々は生活用水、生活補 助用水 にいたるまで地下水 に依存 している。 しか し、

近年地下水位の低下がみ られるようにな り、住民の 生活 に大 きな影響を及ぼすため、肥田 (1990)は扇 央部 に人工滴養池を設置 し、特 に地下水位が最 も低 下する積雪期間に地下水の揚水障害などを起 こさな

いよう対策を始めてお り、成果をあげている。

地下水位 と地下水面の変動

地下水位の観測 は、200312月か ら2004年11月ま での期間に、第2図に示 した13ヵ所の観測井 におい て計33回実施 した。欠測な く観測で きた31回の観測 結果を もとに地下水面図を作成 し、平面的な流動を 考察 した。 また、水理水頭の考察 は扇央 と扇端にあ るピェゾメータの観測結果 (秋田大学,肥田)を用 た 。

‑一書JLJ ‑ 持た ‑ 道路 ㊥ビェゾメータ●親井 落 人工事*池 第 2図 調 査 対 象 地 域 (2004年) (秋出兵六名町図 1:10,000(昭和58年測図)より作成) 注)ⅩYZ折面は第 5図における断面緑である。

‑ ilil‑

Akita University

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12 1 2 8 4 6 6 7 8 9 10 11 (Ju 2003 2004

3図 地下水位の変動および降水量 と積雪深

(2004年) 注 1)凡例の番号 は第2図の観測井番号 と対応 している。

2)地下水位 の推移 は、調査 日にプロッ トし、 その間 は 直線で補間 してある。

1. 地下水位の年変化

観測井 における観測結果、降水量、積雪深を第3 図に示 した。

地下水位 は冬期間、積雪 による地下水滴養量の減 少の影響 を受 け、積雪の増加 に対応 して水位 は低下 す る。3月 に入 ると融雪が始 まり、積雪の消失 とは ぼ同時期 に融雪 による最高水位を記録 した。地下水 の流去 とともに水位 は低下 に転 じるが、5月に入 る と水田への水入れ とともに、水位 は急上昇す る。 そ して、8月下旬 の落水 まで、降水の影響 によ り若干 の昇降は見 られるものの、高水位で維持 される。落 水以降は、水位が漸減 し始める。10月に入 ると、地 下水人工癌養池の周辺 にある井戸では人工癌養の影 響を受 け、水位 は上昇 した。

2.地下水面の変動

前節での観測結果をもとに地下水面図を作成 し、

地下水面の変動を考察す る。高水位期 と低水位期の 地下水面図を第4図に示 した。両期間 ともに、地下 水 は地表面等高線 に沿 うように流れている。 また、

標高が60m以上 の扇央部 において等 ポテ ンシャル 線の間隔が狭 く、動水勾配が大 きくなっている。

両期間を比較す ると、低水位期よりも高水位期の はうが等 ポテ ンシャル線の間隔が狭 く、地下水面が 急勾配になっていることがわかる。 また、低水位期 は人工滴養の影響 を受 け、等 ポテ ンシャル線の凸部 がみ られ るが、 高水位期 にはその影響がみ られな い1)。両期間の地下水位変動量 は扇央で約2m、扇 端では約0.5mであった2)

一等魚 =====道 @ビ ●k 売人 ̲.̲̲低 4図 低水位期 と高水位期 における地下水面図

(2004年) 荏)低水位期 は200312月17日、高水位期 は200488

日である。

(現地調査 により作成)

Ⅳ 鉛直的な地下水の流動

扇状地 における地下水流動 は、地下水の流入 ( 養)域である扇央か ら、流出 (湧出)域である扇端 にかけて、弧を描 きなが ら流動す ると考え られてい (Fetter,2001,p.241)。そ こで、六郷扇状地 にお ける地下水の鉛直方向の流動を把握す るために、地 下水位 と水理水頭をあわせて鉛直流動を示すポテ ン

シャル図を作成 した (5図)。水理水頭の等 ポテ ンシャル線 と直交する方向が、地下水の流線である。

5図によると、低水位期 における水理水頭の等 ポテ ンシャル線 は傾 きが大 きく、扇央での鉛直方向 の流線 は下向 き、扇端では上向 きを示す。一方、高 水位期 における水理水頭の等 ポテ ンシャル線 は傾 き が小 さく、扇央における鉛直方向の流線 は地表面の 傾斜 に近づ き、扇端では地表面 とはぼ平行を示す。

流入、流出す る流線の方向が季節 によって変動す ることが判明 したが、第5図か らはどの程度変動 し ているのかは分か らない。そのため、変動量を詳細 に把撞するために地下水の流入、流出角度 、 β) を設定 し求めた (6図)。角度が900に近づ くと、

地下水の流線 は扇央では下向き、扇端では上向きを 示 し、Oo に近づ くと地表面 の傾斜 に近づ くことを 示す。 なお、角度 は水平 ・鉛直距離を同縮尺 に して 算出 した。地下水流入、流出角度の年変化を第7‑

1、7‑2図に示 した。

扇央域 の地下水流入角度 (7‑1図) は、低水

‑12‑

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(

5 地下水面 と ピェゾメー タ間 にお ける水理水 頭 の鉛直 ポテ ンシャル分布 (2004年) 注 1)低水位期は20031217日、高水位期は20046

20日である。

2)太枠内は拡大図であり、水平距離は2.5倍、垂直距離 は等倍、 ピェゾメータの深度は70%にして表 した。

3)P20、P50とは各 ピェゾメータのスクリーン位置20m 50mを表 している。

(現地調査とピェゾメータの観測結果より作成)

流出 (湊出)域

6 地下 水流入 角度 (α)、 流 出角度 (β) の 模式図

注) ピェゾメータと地下水面は直交するとみなした。

位期 で あ る冬期 間や濯概直前、落水後 に角度 が大 き く、地下水 の流線 の方 向が下 向 きを示 す。一方、高 水位期 で あ る融雪期 や港概期 は角度 が小 さ くな り、

流線 は地表面 の傾斜 に近 づ く。 また、扇央部 で は10

月以降、地下水位 が人工癌養 の影響 によ り上昇 し、

高水位 期 と同程 度 の水位 に達 した3'。 しか し、 流入

=7。00SS

4E

9 10 11 (刀 )

12 1 2 8 4 6 6

2003 2004

7‑1 扇央域 にお ける地下水流入角度

(2004年) (現地調査およびピェゾメータの観測結果より作成)

㍗ )

70005040201

12 1 2 3 4 8 6

2( 2004

7‑2 扇端域 にお ける地下水流 出角度

(2004年) 荏)2004727日か ら98日まで ピェゾメータの欠測

により角度を算出できなかった。

(現地調査およびピェゾメータの観測結果より作成)

角度 は大 き く、流線 の方 向 は下 向 きを示 した ままで あ った。

扇端域 の地下水流 出角度 (7‑2図) は流入角 度 に比 べ ると変動 幅が大 きい ものの、流入角度 と同 様 の傾 向が み られ た。 しか し、2月 に角 度 がOo 未 満 にな り、流線 が下 向 きを示 したの は、消雪 のため の揚 水 によ る影響 と思 われ る4)0

結論

本研究 によ って得 られ た結果 は以下 の よ うに要約 され る。

1. 地下水位 は積雪、融雪、濯慨 な どの地表活動 の影響 を受 けなが ら変動 す る。

2. 平面 的な地下水流動 は地表面 の傾斜 に沿 うよ うに売 れ る。 また、高水位期 は低水位期 に比 べ、等 .

ポテ ンシャル線 の間隔が狭 ま り、急勾配 にな る。

3. 鉛直的な地下水流動 は、低水位期 にお いて扇 央で は地下水 の流線 が下 向 き、扇端 で は上 向 きを示

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‑1̲I‑̲̲‑‑‑

8‑2 高水位期 にお ける鉛直地下水流動模式 (2004年)

し、高水位期 には扇央、扇端 ともに流線が地表面 の 傾斜 に近づ く。 また、地下水人工癌養 による大 きな 影響 はない もの と思われ る。

4.本研究での考察結果 を もとに、低水位期 と高 水位期 における鉛直方向の地下水流動 の模式図を作 成 した (8‑1、8‑2図)。

低水位期 は、積雪 によ って水が ほとん ど地下 に浸 透 しない ことや、水 田濯概が行 われないことが要因 とな り、地下水滴養量が減 る。 また、低水位期 に地 下水人工滴養 による地下水面 の凸部が確認 された。

No.2滴養池 の影響 によ り、等 ポテ ンシャル線 の間 隔が狭 まることか ら、扇央 の地下水面 は急勾配 にな ることがわか った。鉛直的な地下水流動 は、地下水 流入、流 出角度が大 きくなることか ら、流線が扇央

では下向き、扇端では上向きを示す ことが判明 した。

これ らを総合 して表 した模式図が第8‑1図である。

高水位期 は、降水がそのまま地下 に浸透す ること や、水 田濯概が行 われ ることが要因 とな り、地下水 滴養量が増え る。地下水人工癌養 による影響 は、地 下水面 にはほとん ど現れなか った。鉛直的な地下水 流動 は、地下水流入、流出角度が小 さ くなることか ら、流線が扇央、扇端 ともに地表面 の傾斜 に近づ く ことが判明 した。 これ らを総合 して表 した模式図が 8‑2図である。

本稿の作成 にあた っては、秋 田大学教育文化学部 の肥 田 登先生か ら終始貴重 な御助言、御指導 をい ただいた。現地調査 に際 しては、美郷町六郷庁舎お よび町民の方 々に御理解、御協力 を賜 った。末筆 な が ら、以上 の方 々に深 く感謝 いた します。

1) 地下水人工滴養 は本来、非濯概期 のみ実施 され るが、2004年 は六郷町の土木事業 による事情 によ りはぼ年間を通 して給水 されていた。

2) 地下水人工癌養が始 め られ る以前 の地下水位変 動量 (佐 々木,1986)と比べ ると、変動幅が扇央 で約4m、扇端で約1.5m減少 している

3) No.2滴養池 か ら扇央 の どェゾメー タまでの距 離 は約300mである。

4) 扇端の ピェゾメータか ら最寄 りの揚水井 までは 100mの距離であるため、角度 が Oo未満 を示

したのは局地的な影響 と思われ る。

太 田由紀子 (2000):浸透池 を用 いた地下水人工癌 養に関する研究一秋田県六郷扇状地を事例 として‑.

秋大地理,第47,18.

梱根 勇 ・山本荘毅 (1971):『扇状地 の水循環』古 今書院,151p.

佐 々木洋一 (1986):六郷扇状地 にお ける冬期間の 地下水変動.秋大地理,第33,3136.

肥田 登 (1990):『扇状地の地下水管理』古今書院, 263p.

Fetter,C.W (2001):Applied Hydrogeology

‑FourthEdition‑.PrenticeHall,598p,

‑ 14‑

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参照

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