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三春ダム直下流における置土侵食の現地観測

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Academic year: 2022

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(1)

三春ダム直下流における置土侵食の現地観測

(独)土木研究所 正会員○櫻井 寿之

(独)水資源機構 正会員 星野 公秀

(独)土木研究所 正会員 福島 雅紀

(独)土木研究所 正会員 箱石 憲昭

1.はじめに

近年,ダム下流の河川環境保全やダムの堆砂対策の観 点から既設ダムにおいて,ダム下流河道に貯水池内の堆 積土砂を供給する試み(以下「置土」と称す)がなされ ている.置土はダム下流の河川管理者や利害関係者との 調整がつけば,比較的安価で順応的に実施可能な土砂供 給手法である.

土木研究所では,土砂の侵食・流送挙動を体系的に把 握するとともに適正な置土量や置土形状等を計画する手 法の検討を行ってきている 1).本稿では,上述の検討の 一環として,実際の侵食現象の把握及び侵食予測法の検 証データを得ることを目的に三春ダム直下流における置 土侵食の現地観測を実施した結果を報告する.

2.観測対象

観測対象としたのは福島県の1級河川阿武隈川の支川 大滝根川に平成 9 年に竣工した三春ダムの下流域である.

三春ダムでは付着藻類の更新やよどみの解消等の下流環 境改善の目的でリフレッシュ放流(最大で 20m3/s 程度の 放流量)を行っており,この際に置土による下流への土 砂還元を試験的に実施している.観測を行ったのは 2007 年 10 月 9 日に実施されたリフレッシュ放流であり,設置 された土砂量は約 900m3である.

3.観測項目

観測項目は放流量,貯水位,置土上流・中央・下流の 水位,表面流速,置土の侵食形状,フラッシュ放流後の 横断地形,置土に用いた土砂の粒度分布である.図-1に 現地の平面図と観測地点を示す.放流量と貯水位はダム 管理所の観測データを入手した.水位については,図- 1に示す置土上流両岸に各1点,中央左岸1点,下流両 岸各1点に保護管の中にメモリを搭載した水圧式水位計 を設置して計測した.表面流速については,上流から浮 子を投入してその移動速度を計測した.置土の侵食形状 については,置土表面に 2m×2m の格子を白線で引き,観 測位置からのスケッチで水際線を把握した.また,発泡 スチロール製の浮子を置土内に埋めて,侵食により浮上 する時刻から鉛直方向の侵食状況の把握を試みたが,侵 食があまり進まなかったことと流れの乱れでうまく確認 できなかった.その他に上下流の SS 濃度や侵食後の河床 の状況及び横断測量を実施したが本稿では紙面の都合か ら割愛する.

4.観測結果

置土の粒度分布を図-2 に示す.試料は先端部1点,中

央部3点,末端部1点において,リフレッシュ放流の前 日に採取した.この結果から,若干ばらつきはあるもの の 50%粒径が 0.5mm 程度,0.1mm 以上の粒径が 90%程度を 占めており,細砂から礫で構成される土砂であった.間 隙率は 0.20~0.41 までのばらつきが認められるが平均 的には 0.27 であった.

図-3 に各項目の計測結果と侵食量の時系列を示す.リ フレッシュ放流は 9:30 から流量の増加を開始し,概ね 11:30~15:00 までの 3.5 時間の間 20m3/s の一定放流をし た後,流量を減少させる操作が行われた.観測は 9:30~

15:30 の 6 時間で行った.

河道の勾配はおよそ 1/2000 程度でかなり小さいが開 始時の水位をみると,置土の下流と置土上流及び中央で は 0.5m 程度の大きな水位差がみられ,置土により堰上げ が生じている.流量の増加とともに水位は上昇し,20m3/s に達してからの平均値では,上流で EL.273.28m,中央で EL.273.05m,下流部で EL.272.33m となり,上流と中央で 0.23m,上流と下流では 0.85m の水位差が生じている.

表面流速をみると,流量の増加に伴って増加がみられ,

流量が 20m3/s に達してからの平均値は,置土上流で 0.69m/s,置土中央で 2.78m/s であった.このときの平均 的な河床高から求めた水深は,上流で 1.78m,中央で 1.75m であり,この値と表層流速から得られるフルード

キーワード 置土,現地観測,ダム堆砂,リフレッシュ放流,先端侵食,側方侵食

連絡先 〒305-8516 茨城県つくば市南原 1-6 TEL:029-879-6783 E-mail:[email protected]

:水位管設置位置

:流況観測位置

:表面流速計測範囲 置土敷設範囲(L=60m)

:置土材料調査位置 流向

←上流約250mにダム

図-1 観測領域平面図及び観測地点

0 50 100

0.01 0.1 1 10 100

粒 径 (mm)

通過重量百分率(%)

置土先端部 置土中央部(中央) 置土中央部(左岸側) 置土中央部(右岸側) 置土末端部 平 均

図-2 置土材料の粒度分布

2-126 土木学会第63回年次学術講演会(平成20年9月)

-251-

(2)

数はそれぞれ上流で 0.17,中央で 0.67 となり常流の流 れとなっている.

図-4 に侵食状況の写真を,図-5 に置土侵食平面形状を 示す.流量の増加に伴い 11:30 頃から上流端への越水が 始まり,徐々に冠水領域が下流へ広がっていったが,越 水した水の流れは弱く,落ち込み時の侵食や小さな澪筋 の侵食以外には大きな侵食は認められなかった.

図-5 の面積の変化量に,平均的な置土堆積厚さである 1.5m を乗じて算定した侵食量の時系列を図-3 の最下段 に示している.侵食量については,流況観察とスケッチ から判断して,図-5 中に示すように先端部の侵食量と,

側岸侵食が卓越している側岸部及び全体の侵食量の3つ に分類した.なお,置土先端から 40m 付近より下流はや や侵食量が多いが,これは,通常時の小流量で置土が侵 食されて濁水が発生しないように置土の外縁に巨石が配 置されており,40m 付近に比較的大きな巨石があるため 流況が乱されることによって生じたと考えられる.

侵食速度の移り変わりをみると,先端部については,

流量がピークになって 30 分程度経過してから,水位がピ ークに達して侵食量が増加して,1時間程度経過すると 侵食量が安定している.一方側岸部については,放流期 間中ほぼ一定の侵食量であった.

図-5 から求めた最終的な侵食量は 6 時間で 358m3であ った.ただし,置土設置時期との関係で置土設置前の精 度の良い横断地形のデータが得られなかったため,横断 測量からの侵食量の算定ができなかった.リフレッシュ 放流終了後の横断測量からは,水際線より外側で置土材 料が残存している状況が認められ,実際の侵食量は前述 の値より小さくなる可能性がある.

5.おわりに

現地での置土侵食現象について,水理量と土砂侵食量 を定量的に把握することができた.今後,この知見を侵 食量の予測手法,置土実施の計画手法の検討に反映して いきたい.最後に,現地観測実施において様々なご協力 をいただいた国土交通省東北地方整備局三春ダム管理所 各位に感謝の意を表します.

参考文献

1) 星野公秀・泉倫光・櫻井寿之・箱石憲昭:置土侵食実験にお ける先端および側方侵食量推定式の提案,第 62 回土木学会年次 学術講演会講演概要集,2-204,pp.407-408,2007.9

270.5 271.0 271.5 272.0 272.5 273.0 273.5

9:00 10:00 11:00 12:00 13:00 14:00 15:00 16:00 時間(時:分)

(EL.m)

置土上流左岸 置土上流右岸 置土区間 置土下流左岸 置土下流右岸

0 20 40 60 80 100 120 140 160

9:00 10:00 11:00 12:00 13:00 14:00 15:00 16:00 時間(時:分)

侵食量(m3/時)

0 50 100 150 200 250 300 350 400

侵食量(m3) 先端部

側岸部 全体

累積侵食量(全体)

0 5 10 15 20 25 30

9:00 10:00 11:00 12:00 13:00 14:00 15:00 16:00 時間(時:分)

放流量(m3/s)

観測実施期間

図-3 観測結果の時系列

9:30 10:00 10:30 11:00 11:30

12:00 12:30 13:00

13:30 15:30

14:00 14:30 15:00

流向 図-4 置土の侵食状況

図-5 置土侵食平面形状(水際線のスケッチ)

観測開始時 9:30 Q=6.0m3/s

3時間経過 12:30 Q=21.2m3/s

リフレッシュ放 流終了後 0.0

0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5

9:00 10:00 11:00 12:00 13:00 14:00 15:00 16:00 時間(時:分)

表面流速(m/s) 置土上流地点

置土中央地点

2-126 土木学会第63回年次学術講演会(平成20年9月)

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参照

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