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教育実習が学生の教職意識に及ぼす効果について

教育学研究室 菊 池 :龍三郎 教育心理学研究室 中 原 弘 之

〃   山 田 喜美子

1 研究の動機

戦後のいわゆる開放制教員養成制度において教育実習は,理念的には, 「一般教育の基礎の上に教 科専門教育と教職専門教育とを意機的に結合させる実践的中核」であり,かつ学生の履修過程からみ れば,「それは大学における授業を通して得たこれまでの研究成果がそこに流れ込んで生かされる時 期であり,それと同時に,これから先の研究が流れ出す源となる時期である」とされ,要するに開放 制教員養成制度における実践的要諦として一般にその重要性が認められている。しかし現実には,教 員養成が現在制度上の問題も含めて種々の困難に逢着し,とりわけ教育実習については,当初期待さ れた開放制教員養成制度の実践的要諦としての機能を十分に果し得ず,むしろその低調さのゆえにア キレス腱のひとつになっていることは周知の通りである。とくに教育実習希望者の増加に即応しきれ ない条件整備面での立ち遅れは教育実習の企画・運営面で様々の支障を来し,教育実習の制度上の理 念からの一層の遊離,あるいは たてまえ〃化,空洞化という結果を生み出している。

たしかに,そうした現状にあっても,教育実習が学生の教職意識に形成・変化をもたらす重要な契 機になっていることは確かである。つまり,開放制教員養成制度において大学は,必然的に入学時の 消極的な教職志望者層,ないし教育研究への関心の希薄な学生層をかなり多く抱えざるを得ないが,

かれらが次第に教育への研究的な関心を深め,教職選択・非選択の意志をより明確にしていく過程で は,当然かれらの教師観子ども観教職観の変容が必要である。現行教員養成カリキュラムが教職 に必要な知識や技術の全体豫を学生に提供することについての希薄性の補いをするという意味におい ては,教育実習はたしかに,教職や教育研究への動機づけという点では,他のどのような講義や演習 よりも実際的な効果を及ぼしているといえる。しかし,とはいってもそのことが現在の教育実習の実 情を許容するものでは決してない。

最近,教育実習も含めた大学における現行教員養成のあり方に再検討を加える動きが高まっている。

しかし,たとえば教育実習に関するいくつかの論議をみても,教育実習の制度上の理念,ないし てまえ と実情との差に関する論議に終始し,また教育実習に関する研究についてみても,教育実習 が学生の教師観,子ども観,教職観の形成・変化にどの程度効果を及ぼしているのかといった基礎的 な研究はほとんどないといってよい。このことは,ひとつには,わが国の教育研究の歴史において

「教職」研究の分野が主流でなく研究者の関心が希薄であったため,質量ともに研究の水準が低かっ

たこともその遠因になっている。今回の研究を企画するにあたって参考にした文献・論文を巻末に一      一

(2)

括してあげておいたが研究の量という点でも極めて少ないといえる。たとえば教育実習が学生の教師 観子ども観,教職観の形成・変化に効果を及ぼしているとはいってもそれはきわめて蓋然的な言 明にすぎないのであって,実際にどのような条件のもとでどの程度変容するのかということはほとん どわかってはいないし,何よりもまず学生の教師観,子ども観,教職観がどのような独自の構造を有 し,かれらが自己の職業としてどのような態度を取っているかが明らかでないのである。

われわれは,大学における現行教員養成の再検討と教育実習がその実践的要諦としての機能を取り もどすための実習改善の参考資料を提供するという意図でこの共同研究に着手した。本研究は,研究 の下準備にかなりの期間を要し,かつ比較的長期間にわたって継続して資料を蓄積する必要があるた め,来年度以降も研究を続行する予定である。

∬ 研究の目的・構想

従って,本研究の目的は,学生の教師観,子ども観,教職観の構造と教育実習によるそれらの変容 を明らかにすることにある。研究のスケジュールとしては,本年度はまず教師観のみについて取り上 げ,これを教育学部生を対象に調査研究してみることにした。

一般に,教師観というものは,その人間がこれまでに受けてきた教育の中で形成されてきた教師像 に,現実の教師の社会的地位,経済的待遇,その他の各種のフィルターが幾重にもかけられてできて いる。これがたとえば教育学部学生の場合では,他の学部生などよりは教育への認識が深く,また自己の 職業として教師を考えるために,さらに理念的・価値的な教師像が加わり現実的な教師像との両極的 な緊張構造をなしていると考えられる。またかれらは,教職への自己の適性などを理由にそうした両 極的な緊張構造をたとえば理念的・価値的な極に一元化しょうと試み,そこに教師の社会的な位置づ

けとかれらの教師への態度が具体的な形で決定されてくるのであろうが,そうした一元化の努力の過 程で教育実習がどのような効果を及ぼしているかをみることは,避けることのできない重要な問題で あろう。

次に,本研究の構想について簡単にのべておきたい。まず学生(実習生)の教師観が教育実習によ ってどのように変化するかをみるにあたって,変化をもたらす独立変数として教育実習生変数(性,

所属,実習経験,家族背景など)と教育実習校変数(実習校の設備,指導法,配当の適切性,人間関 係や雰囲気など)を設定した。次に,教育実習によって生ずる変化を従属変数とし,従属変数として は,①教職に対する意識 ②教師に対する態度 ③教師のイメージの3つをとりあげた。

研究方法としては,皿1で詳細に説明するが,①教師に対する意識及び実習生変数,実習校変数につ いては「質問紙法」を,②教師に対する態度は「サーストン法(等現間隔法)」による態度尺度を,

③教師のイメージについては「S−D法(セマソティック・ディファレソシャル)」を,それぞれ使

、用することにした。①の場合の質問紙法はともかくとして,②の態度尺度,及び③のS−D法につい ては,今回の調査研究に使用できる先行研究がないため,新たにこれらの開発を企画した。これら3 つの方法によって作成した3種の調査票を使用して,教育学部3年次の学生を対象に基本教育実習に 入る前の教育実習オリエソテーシ。ソと,四週間の実習終了後の2回にわたって調査を実施すること にした。

一74一

(3)

皿 研 究 方 法 1.手続

(1)質問紙の作成

すでにのべたように,「教師に対する意識」は質問紙法によって探ることにした。

実習前の調査においては,実習生が現時点で有している教師観を形成している独立変数として,実 習生の性,所属学科,近親に教師,あるいは教師経験者の有無等をあげてみた。さらに,そうした教 師観が作り出している教師への志望状況を入学時と現時点でとらえようとした。その他,教育実習へ の意欲・抱負・自信,教職への適性観なども含めてこれらを従属変数とした。

実習終了後調査では,教育実習によって変動が予想される要因として,教職志望状況,教職への意 欲,教師の適性観などを取り上げ,これらを従属変数とした。そして,それらの変動を引き起こす独 立変数を,実習生自身の内部要因と実習生とは無関係な外部要因とに分け,前者については,性,所 属学科などを取り上げ,これを実習生変数とした。後者については,実習校における指導担当教官の 指導法,指導態度,実習校の施設・設備,配当学年,担当教科,子どもの状況などを取り上げ,これ

らを実習校変数とした。

なお,教育実習前・後に行った質問紙は,Append i x 1,2として巻末に示してある。

(2)態度尺度の作成

本研究における従属変数の1つである奴教師観の変化 を捉えるために態度尺度を用いることにし た。態度尺度を用いると,教師観の変化を尺度値によって示すことが可能である上に,回答に要する 時間が数分間で済み,研究対象の回答の労力を軽減できるというメリットがある。

教職に対する態度を測定する尺度は,すでに岸田(2}によって20項目の尺度が開発されているが,

この意見項目の表現形式がすべて「教職は………」に始まっており,「教師は………」という表現形 式を必要とする本研究にとっては,そのまL導入することが出来ないのである。なぜなら,本研究で は後に更q児童勧や生徒観の変化 をも従属変数として予定しているため,これに対応せしめた教師観 の変化を捉える必要があるからである。

 そこでThurstone法に基づいて次の4つのstepによって,新しく教師観に関する態度尺度を       、

?ャすることにした。

Step 1 意見項目の作成

本研究が対象とする教育学部の学生は,小学校教員養成課程,中学校教員養成課程,並びに養護学 校教員養成課程のいずれかに所属し,基本教育実習は,小学校又は中学校において実施されるので,

教師観の教師をq監小・中学校の教師 として条件設定を行い,教育学部の2・3年次学生63名から意 見項目の収集を行った。それは小・中校の教師についての好意的意見と非好意的意見とを思いつくま

まに記入してもらう作業である。

その結果328種の意見が寄せられたので,この中から次のstepに備えて,ほぼ100項目程度 の項目を選定することにした。この作業においては,教師観についての巾広い代表的意見項目を選定 することが望まれるので,森(6)や岸田(3)らの研究成果を参考にしながら,教師観についての態度次元

として,聖職者一人間,専門家一事務員,管理者一労働者の3次元を設定しTa勧1に示したよう砿 それぞれの次元毎に好意的意見と非好意的意見とを配して各8項目,計96項目を目標に選定を試み

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Tab.1意見項目作成のための構造化と項目数

聖職者 人 間 専門家 事務員 管理者 労働者

好 意 的 9 8 8 8 8 8

非好意的 8 8 8 8 8 8

た。 好意的と非好意的だけでなく,中間的意見項目の選定も大切である。このため Tab.1で好意的,

非好意的として選定された項目の中には,中間的ではあるがやΣ好意的(又は非好意的)と思われる 項目も含めることにしてある。

なお328種の意見項目は,表現上の体裁がまちまちであり,さらに必ずしも3つの態度次元に照 して,いずれの次元にも十分といえる意見項目が収集されたとはいいがたい。このため適宜,修正や 新しい項目を追加したりしながら選定作業を行い,最終的に97項目を得ることが出来た。

Step 2 意見項目の判定

上述のようにstep 1で得られた97項目をランダムに配列し,教師に対して最も好意的と思われ る意見(+4)から教師に対して最も非好意的と思われる意見(−4)にいたる9段階のカテゴリー に,97項目をそれぞれ判定する作業に入った。巻末のAppend ix 3に,この97項目からなる判 定表を添付してある。

この判定作業は,教育学と教育心理学の各選修学生40名の協力のもとに行われた。

なお,9段階の判定カテゴリーに対する判定尺度値(judgment scale value)は, Tab2に 示したように0から9である。

Tah 2 9段階の判定カテゴリーと判定尺度値

カテゴリー 十4 十3 十2 十1 0 一1 一2 一一 R 一4 判定尺度値 0〜1 1〜2 2〜3 3〜4 4〜5 5〜6 6〜7 7〜8 8〜9

97項目に対する40名の判定結果に基づいて各カテゴリーにっいての度数分布表を作成し, 中央 値(Mdn)と四分位偏差(Q)を算出した。この結果はApPend ix 4に一括してある。

次に中央値と四分位偏差とに基づいて,多義的な項目の除外と一応の尺度値決定を行った。多義的 な項目としての判定基準を四分位偏差値1.10以上とし,あわせて中央値によって示される判定尺度 値がoから9の範囲において,ほぼ均等にちらばるように配慮しながら項目の選出を行った。

この際,一ヵ所に重複するような場合にはTab;1の構造化をも考慮して,特定の次元に偏らぬよう に注意した。

この作業にょって44項目が選出されたので新たに1から44までの項目番号を付した。 巻末 ApPend ix 5に示した44項目がそれである。

Step 3 44項目による質問表への反応分析

Append ix 5の質問表を用いて教育学部2・3年次学生125名(心理学関係の授業の受講生)を 対象として,44項目のそれぞれに対する 自己の態度に関係づけた反応 を求めた。

一76一

(5)

1週間後に再び同じ学生を対象に再検査を実施し,信頼性の検討に備えた。この2回の検査に協力 した学生は82名であり,次式によって各項目の信頼性係数(Pi)の算出を行った。

ni1 :第1検査で項目iが選ばれた頻数

ni 1・2       撃

Pi=       ni2 :第2検査で項目iが選ばれた頻数

ni 1・ni 2

@      nil・2:2回とも項目iが選ばれた頻数

Appendix 6には44項目についての信頼性係数とそれに関係する値(ni1,ni 2,ni1・2)を一 括してある。この結果によってni1とPiの値が小さい9項目(Append ix 6の*印の項目)を除外

し,この段階で35項目が残された。

この35項目にっいて判定尺度値(Q)の大きさの順に配列してnij(意見項目iとjが同時に選 ばれた頻数)のマトリックスを作成し次式によって類似性指数((∫ij)を算出して(∫ijのマトリック スを作成した。(Append ix 7 参照)

      ni:項目iが選ばれた頻数ノ   nij

αj=

O   藍{j灘甥罐鮎た頻数

このようにして求めたC笥のマトリックスに基づいて,判定尺度値と類似性係数とその関係から不 適切な項目を除外した結果,Tab・3に示した16の意見項目を得ることが出来た。

Tab・316の意見項目と尺度値      尺度値

1 教師は時には自己の生活を犠牲にしてまで教育に生命をかける誠の人である  α00 2 教師は人間の育成というやりがいのある仕事をする労働者である       α20 3 教師はその重大な職務のために社会から敬意を払われている人間である    α22 4 教師は子どもの能力を巧みに生かすエソジニアである      0.39 5 教師は分別のある円満な社会人である      α47 6 教師はかどのとれた常識人である       049 7 教師は子どもと社会的要請との調停者である       0.71 8 教師は比較的休みの多い自由な労働者である      0.99 9 教師は一種の有能な事務員である       1.41 10 教師は世の中の景気がよいときにはかげのうすい存在である         1。47 11 教師は雑用に追いまくられる事務屋にすぎない      1.53 12 教師は自分の生活を意識せずにはいられない低待遇者である         1.69 13 教師は教科書の単なる解説者にすぎない       1.84 14 教師はすべて大過なくすごすことにのみ腐心する保身家にすぎない      L94 15 教師は自分の願望をあくまで押し通そうとするエゴイストである       212 16 教師は子どもの個性の殺人犯である       230

Step 4 16項目の尺度値の決定

さきに求めた判定尺度値(Q)は意見項目への判定作業の結果から求めた潭であり,教師に対する

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自己の態度を関係づけたstep 3における質問表への回答の構えと異ったものと考えるべきである。

そこでstep 3での質問表に関するデータを用いて類似反応法の手続によって尺度値を決定するこ とにした。       ,

@まず次式によって類似性係数(φij)を算出する。      

@      ・         Clj:項目iとjの類似性指数 φij一

ついで単位正規分布隷こよって項目iとj間の尺度距離(Xij)を算出することによって, Tah 3 に示した如き尺度値が求められる。

以上のような4つのstepを経て16項目からなる教師観に関する態度尺度が作成された。

Append ix 8は作成された態度尺度である。

(3}S−D法の作成

ここでは,教師という職業がどのようなイメージのものとして教育実習生の中に存在し,それが教 育実習を経験することによってどのように変化するかを捉えようとする。

教師という職業をどの職業と同類・同水準にあるかを調査した森の報響)によれば,専門的な職業とい う位置づけや事務的職業という位置づけがかなりの割合を占める一方,サーヴィス職業としての位置づ けもそれに次いで見られている。又,同じ報告の中で森は,医師,建築技師,小中学校教師,お寺の 住職,新聞記者,小売商店主などの12の職業を格づけさせた結果について述べているが,それによ ると,小中学校教師はほゴ建築技師と同水準に格づけされている。そのような結果を報告しながら森 は,日本社会学会が実施した30の職業の格づけ(それにょると,小学校教師は専門職及び管理職に 分類される職業と事務職やサーヴィス職その他に分類される職業との境い目に位する)と類似性があ ると述べている。そして結局職業分類上では専門職にある小学校教師も,同じ専門職の中ではより下 位に置かれており,そのような教職観が教育学部,学芸学部の社会的評価の低さを招くと指摘してい

る。

そのような教職観がある一方で,教職につくことを真剣に考え努力している学生たちがいるという 現実の中で,教師というものをどのようなイメージにおいて捉えているか,そしてそのイメージは,

他の職業に対するイメージとどのような側面において同類のものとして捉えているか,そしてそのイ メージが教育実習の経験によってどう変化するかを検討しようとする。

そこで教師と他の職業イメージを比較するものとして4っの職業を次のような基準から選び出して

みた。

①牧師……聖職者として

②建築技師……専門的技術者として

③ホスト・ホステス……サーヴィス業者として

④デパートの店員……特に専門的でもなく,又技術者でもない単純労働者として 以上の4つの職業を教師という職業とそのイメージを対比させてみようと考えた。

職業イメージは,セマソティック・ディファレソシャル法と呼ばれる方法によって捉えることにし 一78一

(7)

た。用いられた調査用紙はAppendix9の通りであるが,この方法は,ある概念について,いくつか 並べられている形容詞対を7段階ないし11段階で評定し,それを意味空間に位置づけようとする方 法である。

このS−D法による意味構造の研究は,Osgoodによるところが大であるが,彼によれば意味空間 をEvaluation,Activity, Potencyの次元で考えた。しかし,日本語の意味構造の因子論的研究 をした柏木(1)は,日本語の意味構造は英語のそれとちがって,Eva豆uationがMoral correct一 nessとSensory P leasureセこ分離し得ることを述べている。そこでそれらを参考にしつつ,ここで問題 になっている教師という職業を考えて次の様な意味構造の因子を考え,それにもとついて形容詞をそ れそれ6対ずつ計24対を選び出した。

(1)道徳性側面一Moral correctnessに対応 劣った一優れた

貧弱な一立派な 不完全な一完全な 矛盾した一一貫した 低い一高い

不正確な一正確な

(2)感性の側面一Sensory Pleasureに対応 楽しい一苦しい

気持のよい一気持の悪い 暖い一冷い

明るい一暗い やわらかい一かたい 愉快な一不愉快な

(3)能力の側面一Potencyに対応 臆病な一勇敢な

弱い一強い 狭い一広い 小さい一大きい 服従的一支配的 にぶい一するどい

14)活動性の側面一Activityに対応 はげしい一おだやか

すばやい一一のろい 活発な一不活発な 新しい一古い 積極的一消極的 たのもしい一たよりない

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これらの4つの側面は又,ソヴィエトの就学前教育の4つの柱である徳育,知育,美育,体育にも 対応している。

このように選ばれた24対の形容詞をラソダムに並べ,先の5つの職業のそれぞれについて7段階 に評定することを求めるものである。この後の作業は因子分析と,それに基づく意味空間の構造化に

よって,前述の5つの職業が,この意味空間の中にどのように位置づけられるか,教師という職業が どのような空間にどの職業に近いものとして位置づけられるか,またそれが教育実習の経験によって どのように変化するかを検討する。

2 実施

本学部の基本教育実習は,3年次の学生を対象に4週間行われている。小学校教員養成課程基本実 習は全学生を4群に分けてそれぞれ附属小学校実習2週間と協力校(公立小学校)実習2週間の計4 週間,中学校教員養成課程基本教育実習は全学生を2群に分けてそれぞれ附属中学校で4週間実施さ れている。調査票の作成に至るまでにかなりの日時を要したため,今回の調査では小学校課程学生に ついては夏休み以後に行われる後半第3回,第4回基本教育実習生を,中学校課程学生についても後 半第2回基本教育実習生をそれぞれ調査対象とした。

調査の実施方法については,実習前の調査は教育実習オリエソテーショソを利用して集合調査法を 採用した。しかし実習終了後の調査については集合調査法を採用できないので,実習終了後に各学科

3年次担任教官に配票・回収作業を依頼して配票留置法を用いた。このため実習終了後調査の回収率 は実習前調査に比べて若干低い。調査実施の方法と調査実施日はTab・4の通りである。

Tab.4 調査の方法と期日

実 習前 調 査 実習終了後調査

調 査対 象 者 実施方法 実  施  日 実施方法 実 施 日

小学校課程基本教育実習 8月30日(第3回)

集合調査法 配票留置法 11月10日〜17日

第3回・第4回生 9月18日(第4回)

中学校課程基本教育実習

集合調査法 9月18日 配票留置法 11月10日〜17日 第2回生

W 研 究 結 果

本研究においては,独立変数として教育実習生変数(性,所属,経験,家族背景など)と教育実習 校変数(実習校の設備,指導法,配当の適切性,人間関係や雰囲気など)があり,教育実習によって 生ずる変化を捉えようと意図している従属変数は,教職に対する意識,教師観への態度,そして教師 イメージの3変数である。

3つの従属変数は,すでに手続の項において,それぞれ説明が行われているように,教師に対する 意識は質問紙法,態度は態度尺度,そしてイメージはセマソティック・ディファレソシャル法によっ て捉えることにした。

これらの諸変数ごとの分析や変数間の交叉分析は,現在のところ教育実習後の資料を集計中である ため,そのすべてを報告できないのが残念であるが,態度尺度によって得た結果については,分析が

1      −80一

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先行して行われたので,中間報告として述べることにしたい。

1 教育実習による教師観の変化

教育実習に参加することによって,「教師」に対する態度がどのように変化するものであるか,さ らにその変化を生ぜしめる原因は何んであるかを明らかにすることは,今後の教育実習に対する再検 討のために参考となるに違いない。

Append i x 8に示した「教職についての態度尺度」を用いて,基本教育実習に参加する前と後との2 回,回答を求めた。回答の方法は,16の意見項目の中から自分と同じ考えの意見を3っ選んで○印 を記入するものである。

実習前・後の態度尺度への回答に協力してくれた学生は,Tぬ5に示したように同数ではないが,

実習後の128名は,すべて実習前においても回答を行ったものである。

Tab.5態度尺度への回答者数 小 学 校 中 学 校 実 習 前 118 49 167 実 習 後 92 36 128

(1)教育実習生全体について

今回は,実習校変数のうち小学校と中学校という学校変数をとりあげ,教師観の変化に関連づけて みるが,その前に全体的な特色を捉えることにしょう。

D尺度上の偏り

16の意見項目の中から3項目を選んでもらったので,選択された3項目の尺度値(Tab.3参照)

の平均値を算出して各実習生の教師観の指標としての尺度値とした。この値の度数分布を求めたとこ ろ・Tab・6に示したように実習前の尺度値の中央値(Mdn)はα49であり,これはTab.3の意

Tab.6尺度値(全実習生)

N 分布の範囲 Mdn Q

実習前 167 0.13〜1.78 0.49 α213 実習後 128 α13〜1.88 0.47 0,225

見項目6「教師はかどのとれた常識人である」に代表されるように, きわめて好意的な方向に偏って いる。実習後の尺度値のMdnはα47℃殆んど変わらないが,さらに好意的な方に移動し,意見 項目5「教師は分別のある円満な社会人である」に代表される態度を示している。

さて,16の意見項目毎の選択度数とその百分率が巻末のAppend ix10に一括してあるが,これ を図示するとFig.1のようになる。

この項目番号は,Tab・3に示したものと同じで,教師に対する好意的な意見の順である。(Ap一 pend i翼8の項目番号とは異る)。これによると,実習前も実習後も,項目番号の若い項目が高い頻数 で選択されており,前述の尺度値によっても示されているように,教師に対する態度は好意的である

(10)

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

13        実習前ル       実習後

14

15

16

      %b      ■

0     2     4     6     8    10    12    14    16    18    20    22    24    26    28   30

Fig.1各意見項目の選択率(全実習生の場合)

一82一

(11)

ことがより明らかであろう。

ただし,選択率は必ずしも意見項目番号順(尺度値の順)とはなっておらず,2,4,7が1,3

,5,6の項目よりも高い選択率を示している。これは,1や3の項目が「自己の生活を犠牲にして

……vとか「重大な職務のために社会から敬意を払われている…一」など,教師を聖職者として表現 した意見項目であり,意見としてはきわめて好意的であっても,現実的な認識水準からはかなりずれ た教師像が表現されているためであろう。

これに対して2の「やりがいのある労働者である」という労働者としての表現や4の「能力を巧み に生かすエンジニヤである」という専門家としての位置づけ,そして7の「子どもと社会的要請との 調停者」という管理者として位置づけによる意見などは現実的認識と合致している教師像であること が,高い選択率を得た理由といえよう。

iD実習前,後の比較

こんどはFig.1に基づいて実習前と実習後の選択率の変化を考察してみよう。選択率の差の最も大 きい意見項目は4唱 a7%の増加が実習後に見られているが,いずれも検定の結果有意ではなかっ た。しかし図に示されているように一定の特色を読みとることが出来るので実習後に1%以上の 増加した項目と逆に減少した項目とについて分析してみたいと思う。

まず実習後,選択率が1%以上増加を示した項目は4,7,9,2,11,1の6項目であり,こ れらの項目から,教師が子どもの能力をのばすエソジニアであると共に有能な事務職員であり,子ど

もと社会との間に立って調停的役割をも担う管理者であることを,実習を通して認識したといえる。

さらに聖職者としての教師観も高まっているのである。

では反対に,1%以上の減少を示した項目についてみると,8,5,6の3項目が見出される。8 は「比較的休みの多い自由な労働者」という意見項目であり,現場の多忙な実情を経験してa2%も 選択率が減少している。5と6の減少は,教師を分別のある円満な社会人であり,かどのとれた常識 人であるとの認識を修正した結果であり,民間会社の社員とは異なる教師気質を肌で感じとったため なのであろう。

全体として,教育実習は,それまで観念的に描いていた教職という現場にふれて,その仕事の重要 さ,多忙さを認識する中で,単なる労働者とかサラリーマソといった軽い位置づけを少なからず修正 させる働きをもっているといえよう。

(2}小学校と中学校との比較

今度は小学校で実習した学生と中学校で実習した学生との比較を行ってみよう。

i)尺度上の偏り

全体の傾向を捉えた場合と同様に,実習校別に尺度値の度数分布を求め・Mdnを算出した結果・

Tab.7に示したような特色が得られた。

Tab・7尺度値(小・中学校別)

N 分布の範囲 dn Q

実習前 118 α13 〜α78 0.49 0,216

実習後 92 0.13 〜0.88 0.46 0,225

1 実習前 49 0.13 〜0.63 0.46 0,206 実習後 36 0.13 〜0.58 0.61 0,250

一83一

(12)

まず小学校での実習生は,実習前α49であったのが実習後にはα46と好意的な方向に変化を示 しているのに対して,中学校の実習生の場合は,実習前のα46からα15増加して,実習後は0.61 となっている。すなわち中学校での実習生は,教育実習によって,教師観が非好意的な方向に変化し たわけであり,ここに実習校変数の問題が注目されることになるのであるが,この尺度値の変化は,

中央値検定の結果,いずれも有意ではないし,さらに実習生変数による結果であることも考えられる ので,現段階で学校変数を過大視することは適切ではない。

次に・各意見項目の選択率(ApPendix10参照)を学校別に図示するとFig.2,3のようにな る。これによると,小,中ともに項目2,4,7を集中的に選択する傾向や,総じて好意的な教師観 への偏りをみせている傾向は類似しているといえよう。

しかし,項目13の「教師は教科書の単なる解説者にすぎない」という意見への選択数が,中学校 での実習生の場合にゼロである点と,項目15,16のようなエゴイストとしての認識や,子どもの 個性の殺人犯とする認識が,小学校よりも高い点については現状がそのまま映し出された結果として 興味がある。

ii)実習前,後の比較

Fig・2・,3にみられる教育実習前・後の差についても,いずれも推計学上,有意な差ではないが,

捉えうるかぎりの特色を分析してみたいと思う。

まず,Fig.2の小学校の方から,実習後において選択率が1%以上増加した意見項目を指摘すると,

4,7,1,2の4項目である。これによって,教師は専門家として子どもの能力を生かす役割をも ち,生き甲斐のある仕事をする労働者であるばかりか,管理者,聖職者としての認識をも高めている と思われる。

一方,教育実習後,選択率が低下した項目は8,6,5,10,12などである。これらから,教 師は休みの多い自由労働者で,景気のよい時はかげのうすい低所得者であるといった実習前の認識を 修正すると同時に・円満な社会人とか,かどのとれた常識人といった考え方も修正されている。

次に中学校の場合をFig.3から捉えてみょう。教育実習後に選択率が1%以上増加した項目は,4,

11,9,2,10,12の6項目であるが,小学校の場合と同様に,まず子どもの能力開発の専門 的エンジニアであるという認識を高め,ついで多忙で雑用の多い,しかし有能な事務労働者としての 教師像を感じとって来たようである。

しかし,小学校では実習後に選択率が低下しているのに反して,中学校では逆に増加した項目が 10と12である。しかも小学校でのように教師を聖職視する意見の増加率が,中学校の場合は小さい。

これらの特色は,実習校の側の要因によるのか,実習生の側の要因によるのか現段階では明らかでは ないが,今後追究を試みたい問題点の一つである。

次に,実習後,選択率の減少した項目にっいてみると,5,8,14,3の4項目があげられる。

5は「分別のある円満な社会人」,8は「休みの多い自由な労働者」,14は「大過なくこなすこと にのみ腐心する保身家」,最後の3は「社会から敬意を払われている人間」である。

このように,教師というのは「サラリーマン」から受ける印象とも異なり,そうかといって「役人」

でもない。やたらと重大な役割を与えられて仕事に追われる反面,社会からはそれに見合った評価を されない特殊な階層,というような認識を得てきたようである。

一84一

(13)

i

2 Z  ZZ     ZZ       Z

3

4 z  多

5

6

7 z    z多zクニz

8

9

10

11

12

13 実 習 前

実 習 後

14

15

16

0 2     4     6     8     10    12    14    16    18    20    22     24    26    28    30

Fig・2 各意見項目の選択率(小学校での実習生の場合)

(14)

1

2 Z   〃二     Z        ZZ

3 z4       .

4 Z勿Z  Z  Z4

5

6

7

Z     Z 8

9

10 多     多

11 z

12

13 実 習 前

実 習 後 14

15

16

0     2     4     6     8     10    12    14    16    18    20    22    24    26    28    30     一       髄

Fig.3 各意見項目の選択率(中学校での実習生の場合)

一86一

(15)

小学校とくらべると,夢とか希望というより現実性が先んじてしまうためか,態度尺度の上でもや や非好意的な意見に傾いているように思えるが,先にもふれたように,この原因が実習校側にあるの か実習生側にあるのか,今後の分析を待たなければならないところである。

(3}要約

基本実習にょる「教師観の変化」を態度尺度を用いて分析した結果,教育実習生全体としては,教 師観として好意的傾向を持っており,実習前に抱いていた教師観が,実習によってさらに好意的方向

に移動している。しかし,これは小学校での実習生の傾向のもたらした結果であって,中学校での実 習生は,尺度値の中央値が大きくなり,むしろ非好意的な方向に移動しているのである。

意見項目の選択率の面からみると,実習に参加するまでは,自由で休みの多い事務的労働者であり,

比較的,都会風のサラリーマソといった印象を持っていたようであるが,思いのほか,有能な管理者 及び専門家として,雑用にも追われながら目まぐるしく活躍する教師を眺め,その職務内容の意義 重要性,そしてそれを遂行する教師の有能性について再認識を迫られたようである。しかし他面,常 識豊かな一般社会人としての印象が弱まっていることから,いわゆる教員気質と呼ばれている特殊な 膚触りを体験したことによるものかもしれない。少くとも単なるサラリーマンとしての印象はかなり 修正されたようである。

また,教師の職務内容の専門性について,小学校での実習生よりも高く受けとめながらも,教師に 対する社会的評価の不当な過小視を強く意識し,聖職者としての認識傾向が著しく低くなった特色は 中学校での実習生の特色として指摘しうるところである。

しかし,以上の諸点は有意な差に基づく特色ではないので,この点をふまえて理解する必要がある し,さらに本研究が,いまだ他の変数との有機的な関連づけを試みるまでに至っていないために,す べて今後の課題として結論を見送らざるを得ない。

〔後記〕

本研究には,教育実習後の資料を如何に収集するかという難関があった。実施の項でも述べたよう に,本学部3年次学生担任の諸教官によって,調査用紙の配布・回収という他に類を見ないご協力を 得ることが出来たことによって,この難関を切り抜けることが可能となった。ここに記して,ご厚情 に厚く感謝申し上げる次第である。

参 考 文 献

1.柏木繁男  rS−D法による意味構造の因子論的研究」『心理学研究』VoL35,1,p27−31,1964.

a 岸田元美  「教職に対する態度の測定一教職に関する心理学的研究①一」『徳島大学学芸学部紀 要』(人文科学)VoL2, p35−50,1952.

a 岸田元美  「教職に対する態度の測定的研究」『教育心理学研究』Vo 1.2−2 p45−521954.

4.高坂正顕 五十嵐清止監修,教育実習指導研究会編『教育実習指導資料』1969.

ε 文部省教職員養成課『教育養成のための教育実習のあり方について』1969.

a 森 孝子  「教職に対する学生の意識調査一教師養成問題への1アプローチ「」『教育哲学研究』

Vb 1・21, 4・P44國63・ 1966・

ヱ 上原貞雄 菊池龍三郎  「教育実習に関する調査一全国立教員養成大学・学部を中心に一」『茨 城大学教育学部教育研究所紀要』第8集,p93−119,1975.

(16)

Append ix 1

教 職 意 識 調 査

私達研究グループは, 教員養成についての改善の一環として「教育実習」 のあり方について研究し ております。

教育実習という経験を通して,教職意識に如何なる変化がもたらされるか,を主要な分析のindex にとりあげました。

今回の教育実習の機会に,この問題を手がけてみたいと思いますので,どうか御協力願いたいと思 います。

作業は,この2枚とじの「態度尺度」と別の6枚とじの「イメージ尺度」への回答です。

実習の前後2回同じ作業をお願いすることになります。この前後の変化を比較するために所属,学 生番号の記入欄を設けました。他意はありませんので御記入下さい。

教育学研究室  菊 池 龍三郎 教育心理学研究室  中 原 弘 之 山 田 喜美子

o 畠      ●

近親に「教職」についている人が 学生番号 所     属 性 別 ア い る イ い な い

1 教職の志望状況

1.あなたの教職に対する志望状況についておたずねします。入学前と現在のそれぞれについて、

あなたの気持に最も近いものを1つ選び,回答欄にその記号を記入して下さい。

(1)入学前は……… 1(2)現在は °…°

ア ぜひ教師になりたかった        ア ぜひ教師になりたい

イどちらかといえば獅こなりたかった1イどちらかといえば教鰍りたい      :

ウ 教師になるかならないか決めかねていた ウ.教師になるかならないか決めかねている エ どちらかといえば教師になりたくなかった」 エ どちらかといえば教師になりたくない オ 教師になる気持はまったくなかった

1

入学前 現 在

一88一

(17)

2 前の質問で,(1)入学前と(2)現在とで,志望状況に変化のあった方,変化のない方いろいろだと 思います。そこで変化のあった方は変化の理由を,変化のなかった方も変化しなかった理由を,

それが大体どういう問題に入るものなのか,下記のものの中から,あなたのお考えに最も近いも のを1つ選んで回答欄に記号で記入して下さい。

ア 教師の社会的地位の問題 イ 教師の待遇上の問題

ウ 教育という仕事の重要性の問題 工 自分の教職に対する適性上の問題 オ 家事の事情

U 教育実習への意欲・抱負・自信

1.これから教育実習に臨むあなたの意欲や抱負,自信についておたずねします。それぞれについ てあなたの気持に最も近いものを1つ選んで回答欄に記号で記入して下さい。

(1)教育実習への意欲や抱負は………

ア じゅうぶん持っている イ かなり持っている ウ まあまあ普通である 工 余り持ってはいない オ 全然持っていない

(2)教育実習への自信は………

ア じゅうぶん持っている イ かなり持っている ウ まあまあ普通である エ かなり不安である オ 全然自信がない

(18)

Appendix 2

教職意識調査(後半)

おねがい

私達研究グループは,教員養成についての改善の一環として教育実習のあり方について研究してお

ります。

教育実習という経験を通して,教職意識にいかなる変化がもたされるか,を主要な分析のイソデック スとして取り上げましたが,教育実習後に再び前回とほぼ同様の内容からなる調査をお願いする次第

です。

調査内容は,この2枚とじの「意識調査」 「態度尺度」と別の6枚とじの「イメージ調査」からな っております。

所属,学生番号の記入欄を設けたのは,実習前後の変化を比較するためで他意はありません。

各専攻別の担任教官の御協力を得ましたので,記入後に担任教官に御提出下さるようお願いいたし

ます。

学生番号 所    属 性 別 教育学研究室  菊

ウ育心理学研究室  中 原 弘 之

〃     山 田 喜美子

1. 教職志望状況

実習を終った現時点での,あなたの教職志望状況についておたずねします。該当する項目の記号 に○をつけて下さい。

ア ぜひ教師になりたい  イ どちらかといえば教師になりたい  ウ 教師になるかならない か決めかねている  エ どちらかといえば教師になりたくない  オ 教師になる気持はま

ったくない 2 教職への意欲の変化

実習をしてみて,あなたの教職への意欲(やる気)に変化はありましたか。1つ選んで下さい。

ア 教職への意欲は,実習前にも持ってはいたが,実習後一層高まった イ 教職への意欲は,実習前にも持っていたし,実習をしても特に変らない

ウ 教職への意欲は,実習前にも持っていたが,実習でやる気をなくした 工 教職への意欲は,実習前にも持っていなかったが,実習でやる気が出てきた オ 教職への意欲は,実習前にも持っていなかったし,実習をしても特に変らない 力 教職への意欲は,実習前にも持っていなかったが,実習で前よりもやる気をなくした a 教職への意欲の変化・不変化の要因

前間2で教職への意欲が変化した方,変化しなかった方いろいろだと思います。そこで変化ある いは不変化の要因をあなたはどう考えていますカ㌔あなたの気持に近いものを1〜3つ選んで下さ

●   ●   ●

い。

一90一

(19)

ア あなた自身の要因(例 あなたの適性,意欲……) イ 指導担当教師の研究・指導態度の 人柄  ウ 実習校のふんい気  工 児童・生徒とのふれ合い  オ 実習校の勤務条件 力 実習校の施設・設備  キ 配当学年・ 担当教科  ク その他(      )

それはどのようなことですか,

具体的に書いて下さい。

4.教職への適性

あなたは,御自分が教職に適しているとお考えですか。1つ選んで下さい。

ア 非常に適している  イ かなり適している  ウ どちらともいえない エ むしろ適していない方である  オ まったく適していない  カ わからない

 Appendix3   97項目による判定表

お   願   い

教員養成のあり方に関して,今後多くの改善が試みられようとしていますが,改革に伴う従属変数 の一つとして「学生の教師観の変容」という問題が考えられます。私たち研究グループは,この課題 にアプローチするために,目下「教師に関する態度尺度」をサーストソの等現間隔法によって作成しつ

〜あります。

今回皆さんにご協力いただく作業は,作成過程の第2ステヅプにあたる分類作業です。どうか研究 へのご協力をお願いします。

教育学研究室  菊 池 龍三郎 教育心理学研究室  中 原 弘 之

〃     山 田 喜美子

や  り  か  た

① 教師についての97の意見があります。これらは,いろいろの人々から集められたものを整理し たものです。

② これらの97の意見を4から一4までの9段階に分類して下さい。

4には教師に対して最も好意的と思われる意見 一4には教師に対して最も非好意的と思われる意見

oには教師に対して全く中立的と思われる意見

となるようにそれぞれ分類(該当らんにOを記入する)して下さい。

③ その他の分類らんには,0を中心として4又は一4にいたるまでの意見を,その程度に応じて分 類して下さい。つまり,教師に対して最も好意的な意見にいたる9段階に97の意見を順次配列する

ことになります。

④ 各段階に分類する意見の数を同数にする必要はありません。

⑤ はじめに97の意見をひとわたり通覧して,まず4と一4にあてはまると思われる意見の分類か らはじめると仕事が楽です。

⑥ あとで訂正がしやすいように鉛筆で記入するとよいでしょう。    T

(20)

好      中      非

4 3 2 1 0 一1 一2 一3 一4

1 教師はストライキも出来ない損な労働者である 2 教師は常に社会の目を恐れている小心者である 3 教師は社会の片隅に生きる下積者である

4 教師は誰にもいい顔をしたがる八方美人にすぎない 5 教師は単なる物知りにすぎない

6 教師は規律的人間の育成者である 7 教師は主体性のないロボットである

8 教師は労働の結果に生甲斐を見出せる縁の下の力持である 9 教師はキリのない仕事を繰り返す単純労働者である 10 教師は清らかな真実の伝導者である

11教師は全く面白味のない人間である

12教師は自分の願望をあくまで押し通そうとするエゴイストである

・3難雛鞠繋魏鯉にも翫ることの出勅唖

14教師は法律を自分ではこっそり破る偽善者である 15教師は子どもに社会のルールを守らせる監督者である 16教師は単なるティーチング・マシソにすぎない 17教師はテスト業者の単なる代理人にすぎない

18緬は明日曜会のために自分をな1ヂうつ醜な燗である 19教師は学校の中で一番よく働く小さな歯車にすぎない 20教師は終業時間を気にする子ども不在の一労働者にすぎない 21教師は常に社会の模範者としての高い誇りを持つ人間である 22教師は聖職という名の衣を着せられたピエロにすぎない

23魏笑齢霧な糊のために社会から敬意を払われて

24教師は汗と涙で子どもに体当りする熱血漢である 25教師は分別のある円満な社会人である

26教師は雑用に追いまくられる事務屋にすぎない 27教師は私欲のないすばらしい真の奉職者である 28教師は比較的休みの多い自由な労働者である

29教師は子どもの能力によって選好みする不純な人間である 30教師は道徳や規則の番人にすぎない

31教師は子どもから絶対的に信頼されている人間である 32教師は子どもの心の医者である

33教師は教科書の単なる解説者にすぎない

一92一

(21)

杵      中      非

4 3 2 1 0 一1 一2 一3

34教師はかどのとれた常識人である

35教師は世の中の動きに繊細な神経をもつサラリーマソである 36教師はひたすら子どもを信じる誠実な人間である

37教師はアルバイト,リベート,プレゼントに弱い人間である 38教師は生きた子どもを理性でおさえつける冷い人間である 39教師は仕事の割には給料の低いつまらぬ労働者である 40教師は自分の理論や実践に自己満足している独善家である 41教師は教育行政機構の単なる末端労働者である

42教師はよろずのことに手を出す何んでも屋である

43響ま雑㌘どもを当てはめるのみを考えるど

44教師は世の中の景気がよいときはかげのうすい存在である 45教師は自分の力を過信する夢想家である

46教師は子どもの生活のよきマネージャーである

47教師は時と場所にょって行動のかわる二重人格者である 48教師は子どもの能力を巧みに生かすエソジニアである 49教師は他の職業に対して劣等感を抱いている欲求不満者である 50教師は子どもの適格な理解者である

51教師は禁止と命令をする子どもの敵である 52教師は子どもの心身の健康の管理者である 53教師は文化を伝達する専門家である

54教師はテストという武器を使う子どもの迫害者である 55教師は子どもをあやつる猿まわしである

56教師は人間の育成というやりがいのある仕事をする労働者である 57教師は望ましい社会的人間育成の責任者である

58教師は自分の生活を意識せずにはいられない低待遇者である 59教師は血の通った子どもの真の理解者である

60教師は文化を伝承する大切な精神労働者である 61教師は子どもにとって常に真理の具現者である 62教師は子どもへの単なるサービス労働者にすぎない 63教師はこれといったとりえのない凡傭な人間である 64教師は子どもを全身でうけとめる人情家である 65教師は子どもの未来への案内者である

(22)

好      中      非

4 3 2 1 0 一1 一2 一3 一4

66教師は子どもの全生活についての専門的助言者である 67教師は明日の社会のために汗を流す人間である 68教師は子どもの自由な活力の奪取者である

  教師は には 己の生 を犠牲にしてまで教育に生・をか69  ける誠の人である

70教師は子どもの心の中にわけ入って活力を与えるよき先輩である 71教師はすべて大過なくこなすことにのみ腐心する保身家にすぎ恐・

72教師はあえて常識とのズレを誇りとする専門馬鹿である 73教師は人間の愛を肌で教える情熱家である

74教師はたいていのことはこなせる万能選手である 75教師は若さと新鮮さにあふれる万年青年である 76教師は一種の有能な事務職員である

77教師は誰にもゆきとどいた心くばりをする社交家である

78教師はすべての子どもに等しく教育愛をふりそそぐ博愛主    、

79教師は理論で子どもを枠づけするニセ学者である 80教師は子どものかくれた才能の開発者である

81教師は精神と肉体の両面を使う理想的労働者である 82教師は地味な仕事にうちこむ偉大なる凡人である 83 教師は自尊bの強い独善者である

84 教師は子どもと社会的要請との調停者である 85教師は子どもの個性の殺人犯である

86蕎難毫分の感情のはけ゜を子どもにム:つける心の狭い人 87教師は毎日の単調な仕事への挑戦者である

88教師は子どもの将来に夢を賭ける勇者である 89教師は子どもの能力の選別者である go教師は傲慢なる知識の押売りにすぎない 91教師は子どもの監視役にすぎない

92誉敷毛暴にとって喜びや悲しみを心から共鳴してくれ 93教師は社会的信用のある労働者である。

94教師は自らを道徳の糸で縛りつけている滑稽な人間である 95教師は知識や技術の習得にはげむ研究者である

96教師は子どものすべてを安心して託すことのできる保護者である 97教師は知識の切り売り業者である

一94一

参照

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