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雑誌名 奈良教育大学教育工学センター研究報告

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Academic year: 2021

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奈良教育大学学術リポジトリNEAR

幼稚園教育実習の導入段階におけるCCTVの利用 方法について(1)

著者 山口 満, 福西 憲太郎

雑誌名 奈良教育大学教育工学センター研究報告

巻 1

ページ 7‑12

発行年 1978‑03‑25

その他のタイトル Improvement of the Using Method of CCTV System for the Introduction of Teaching Practice in Kindergarten (1)

URL http://hdl.handle.net/10105/4676

(2)

CCTVの利用方法について(1)

山 口  満(教育学教室) ・福西憲太郎(附属幼稚園)

Improvempnt of the Using Method of CCTV System for the Introduction of Teaching Practice in Kindergarten (1)

Mitsuru Yamaguchi {Department of Education)

and Kentaro Fukunishi (Attached Kindergarten)

Abstract

In this paper, we point out how we must improve the using method of CCTV system to use it more efficiently.

The main points to be improved are as follows.

(1) The view and the voice of TV should be made clear as possible.

(2) The total situation of classroom activities should be taken.

(3) The relations between teacher's activities and children's activities should be made clear as possible.

(4) The total process of classroom activities should be made clear as possible.

(5) Some comments shoud be made by kindergarten teacher.

Key word: 1. The total situation and process of classroom activities.

2. Camera work

I.研究の目的

昭和52年度の事業として,本学に,教育工学センターが設置され,その1部門として,従来 のCCTVシステム装置の整備・拡充が図られた。

私たちは,この装置をさし当たり幼稚園教育実習指導のために積極的に利用することを意図 して,この共同研究に着手した。すなわち,この研究は, CCTVシステム装置を幼稚園教育 実習指導,とりわけその導入段階における指導に効果的に利用するための方法を,実際の利用, 学習効果の測定に基づく評価,利用方法の改善という作業を積み重ねることによって実践的に 開発することを目的としている。

本稿は,この研究の初年度(52年度)の研究成果を報告したものであり,設定保育の展開の

(3)

山口 満・福西憲太郎

基本過程の理解の深化を意図した授業において学生に保育場面をテレビによって視聴させ,そ れに対する感想をアンケートによって求めた調査結果の分析によって,今後CCTVの利用を 図るうえで検討されるべき問題点や改善されるべき点のありかを明らかにすることを意図した ものである。しかし,本年度の研究は,共同研究を組識し研究に着手した時期が遅かったため に,CCTVの試験的な利用を試みるという程度のことに留まり,学習効果の科学的測定,多 様な利用方法による学習効果の比較検討,それらに基づく問題点や改善点の掘り下げた検討な

どを行うにはいたらなかった。

なお,研究題目にいうところの幼稚回教育実習の導入段階とは,実習指導を導入,実習,評価 という3段階に分けた場合の最初の段階に位置するものであり,具体的には附幼または協力園 における観察に入る以前に行われる前観察段階の指導をさしている。

また,昭和52年度現在,本学の工学センターと附幼との間には有線による回路が設けられて おらず,両者間の映像・音声の伝送は不可能である。しかし,この研究では,(彰附幼でのカメ

ラ撮影と録画,(わそれを工学センターに持ち帰ってのCCTV室での放映という方式もCCT Vシステムの1つのサブ・システムであるとの考え方に立って,「CCTVの利用方法」という 研究題目をつけた。附幼の大学キャンパスへの移転,改築が実現する運びになったと聞いてい

る。それが実現すれば,いずれ本格的なCCTVの利用が可能になるものと期待しており,こ の共同研究もその期待が実現することを予想して,あるいは前提にして,行われているもので ある。

Ⅱ.研究の方法

(1)昭和53年1月に附幼における福西の保育を山口が学生2名の補助を得て撮影・録画した。

この保育は,5歳児(年長児)1クラスを対象にした「氷で遊ぶ」という主題の保育であり,

場所は同クラスの保育室(遊戯室を併用している)であった。カメラは工学センターのトーシ バ・カラーカメラIK−12を使用し,カセットテープで録画したものをオープンテープにとり 変えて放映した。

(2)53年2月に「幼児教育学」の授業時間に学生に視聴させ,視聴後アンケート調査を実施 した。回答者数は幼稚園課程2回生学生25名,中学校課程3回生学生1名の合計26名であり,

これまでにテレビによって保育場面を視聴したことの経験のある者が18名,初めてという者が 8名であった。

(3)学生は,保育を構成する諸要素,保育の展開の基本過程,指導案の書き方等について既 に言語的な知識・理解を得ている。また,テレビ視聴に先立って,(彰この保育の展開過程をプ リントによって説明し(5分単位で分析されている),②視聴しながら気付いたことを記入する ための欄(「?…・=‥どうして」,「○……‥さすが」,「△……=こんなふうに指導した方が」,「./

……・ト子どもって」という4つの欄)がプリントに設けちれているので気付いたことを記入する ように指示しておくという方法をとった。保育の流れをあらかじめ理解させておくこと,分析 的で且つ問題意識を持った視聴をする構えを形成しておくことを意図したわけである。

(4)設定保育の展開の基本過程について,映像による保育場面を分析し,理解を深めさせる ことがこの授業のねらいである。

(4)

Ⅲ.結果と考察

(1)テレビの映像と音声について

今回の放映の映像と音声について尋ねたところ,表1および表2のような結果を得た。

映像,音声のいずれについても良好とは言えず,あらか じめ予備テストを実施してある程度の自信を持っていた私 たちにとっては,意外な結果が出ている。映像については,

撮影当日が曇天で保育室内が晴らかったこと,音声につい ては閉め切ったホールの中での音の反響が大きかったこと 等がその原因として考えられるが,撮影,録画の方法,再 生,放映の方法等について,技術的射余計を要する。特に,

子どもの発言が秩序正しく行われることを期待できない保 育場面の撮影においては,音声の録音の仕方に工夫を要す

ることを痛感した。

(2)撮影されている保育の場面について

衷1 テレビの映像について

1 . 見 や す か っ た 6 2 . 見 に く か っ た 7 3 . ど ち ら と も言 え な い 1 3

表2 テレビの音声について

1 . 聞 き と り や す か っ た 1 2 . 聞 き に く か っ た 19 3 . ど ち ら と も 言 え な い 6

今回の保育場面の撮影に当たっては,保育の展開過程ができるだけ分りやすくなるように,

教師の指導と子どもの活動とをおよそ3分〜5分間隔で交互に撮影するという方針をとった。

表3に見られるように,テレビの画面の半 分に教師の活動を,あとの半分に子どもの活 動を入れるようにすべきであるという意見が 多い。この方式が実現するためには,2つの カメラの撮影による異った場面を同一画面に 映すといういわゆるミキシングの操作を可能 にすることが必要であり,CCTVの調整卓 がその機能を持つように改善されることが望

まれる。

子どもの活動が,例えば水で滑って遊ぶ場 面のように,ホール全体に広がるような場面 では,いかにカメラ・ワークに工夫をしてみ ても,場面全体を撮影することは困難であり,

複数のカメラが適当な位置にセットされており,

表3 撮影されている保育の場面について 1 . 教 師 の 活 動 が 多 く うつ りす ぎ る 1 2 . 子 ど もの 活 動 が 多 く うつ りす ぎる 0 3 . こ れ ぐら いで よ い 1 3 4 . 教 師 の 活 動 と子 ど もの 活 動 との 関

連 性 が分 りに くい 1

5 . テ レ ビの 画 面 の 半 分 に教 師 の 活 動 を, あ との 半 分 に 子 ど も の 活 動 を 1 6 入 れ る よ う にす れ ば よ い

6 . 保 育場 面 の 全 体 が分 り に くい 8

7 . そ  の  他 1

しかもそのカメラの動きを必要に応じて自在 にコントロールできることが必要である。少くとも,2台のカメラをセットし,異った角度か

らの撮影場面も必要に応じて切り変えたり,後で編集し直したりする操作が必要である。

(3)保育の展開の基本過程を理解するうえでの効果について

保育の展開の基本過程を理解するうえでの効果について,全体的な印象を尋ねたところ,表 4のような結果を得た。

全体的にはテレビ視聴の効果を認める意見が多いが,少しは分りやすいという程度に留まる 者が多く,必ずしも私たちが満足することのできる反応が得られていない。

(5)

山口 満・福西憲太郎

さらに,分りやすい点と分りにくい点との内容的な分析 を表5によって行うと,指導のねらいおよび教材の準備の 大切さや適切な使い方については比較的分りやすいが,教 師の発問や話の内容,教師の活動と子どもの動きとの関係,

教師の活動,子どもの動きについては分りやすいとは言え ないという意見が多く,また保育の展開の全体的な流れの 理解に対しても必ずしも十分な効果を上げているとは言え

ないとみることができる。

表4 保育の基本過程を理解 するうえでの効果について

1 . た い へ ん 分 り や す い 1 1 2 . 少 し は 分 り や す い 14 3 . か え っ て 分 り に く い 0 4 . い ず れ と も 言 え な い 1

表5 保育の内容を理解するうえでの効果について

項  目    評  価 た いへ ん

分 りやす い 少 しは

分 りやす い ふ  つ  う 少 し 分 りに くい

ひ じょ うに 分 りに くい 1 .指 導 の ね らい が ど こ に あ る か

とい うこ とが 7 10 8 1 0

2 . 教 師 の 発 問や 話 の 内 容 が 4 10 7 5 0

3 . 教 師 の 指 導 活 動 が 3 10 10 3 0

4 . 教 材 の 準 備 の 大 切 さや 適 切 な

使 い 方 が 7 13 5 1 0

5 . 子 ど も の 動 きが 4 10 9 3 0

6 .教 師 の 活 動 と子 ど もの 動 き と

の 関 係 が 2 4 1 5 4 0

N A  l

7 .保 育 の 展 開 の 全 体 的 か 流 れ が 1 1 3 1 1 1 0

教師の発問や話の内容が分りにくいという点については,前述のように録音方法の改善が図 られ射すればならない。例えば,保育活動を妨げない範囲での携帯マイクの使用を行うことも 一つの策であろう。教師の活動,子どもの活動,両者の関係が分りにくいという点については,

カメラの設備やカメラ・ワークの改善が図られ射すればならないが,保育の分析にとってとり わけ重要な意味を持つ細かな表情や動作,子どもの眼の輝き,心理的な雰囲気といった点につ いては,直接の観察でかすれば知ることができないような,映像メッセージの限界があること

も考慮に入れなければならないであろう。

それと同じことが,保育の展開の全体的な流れを理解することに対して必ずしも十分な効果 が上っていないことの対策についても,言えるであろう。すなわち,教師の活動,子どもの活 動,両者の関係が分りにくいということがこのような反応の結果に反映しているが,それらは ある程度技術的に解決し得るとしても,映像メッセージでは保育の間合い,静から動へ,動か

ら静への移行といった微妙な雰囲気を伝えにくいこと,受動的な視聴に押し流されやすいこと などの事情のために,保育の展開の流れを捉えにくい,あるいは概念化しにくいという問題が 残ると考えられる。

(4)今後の保育に関する授業でのテレビの使用について

(6)

今回のテレビ視聴については上述のように多くの問 題点が指摘されているにもかかわらず,今後のテレビ の利用については,表6に見られるように,積極的な 利用を肯定する者が多い。設備が拡充され,技術的な 面での向上が図られるならば,今後の利用を肯定する 者の数はもっと多くなるものと予想される。

表6 今後の保育に関する授業での テレビの使用について

1 . 積 極 的 に使 っ た方 が よ い 2 1 2 . 使 わ な い 方 が よ い 0 3 . ど ち ら と も言 え な い 5

(5)保育に関する授業での保育場面のテレビ視聴の時期について

私たちは,今回のテレビ利用ではまず保育の基本についての言語による概念的理解を十分に 得させたうえで映像的経験を与え,更に直接的経験を与えるという方法をとった。

表7にいうところの「もっと早い時期」

とは,内容的には保育の展開の基本過程に ついての言語による概念的理解を図るため の授業を行っている時期と考えてよいが,

この段階と映像的認識を与える段階との関 連については,なお慎重に検討されるべき 問題を含んでいると思われる。但し,今回 は指導案の作成方法の指導の後にテレビ視

表7 テレビ視聴の時期について

〈テレビによる保育場面の視聴はこの講義の〉

1 . も っ と早 い時 期 に あ った 方 が よ い 16 2 . これ く らい で よ い     】8 3 . 実 習 の 観 察 段 階 に入 っ て か らで よ い 1 4 . その 他 (観 察 に入 っ て か ら も ) 1

聴をさせたが,両者の時間的関係は,保育の実際についての具体的なイメージを形成させてお くことが指導案の作成には効果的であるということからすればむしろ逆にする方が効果的であ ると判断される。

(6)テレビ視聴の事前および事後の指導について

今回は,前述したように,テレビ視聴に先だってプリントによって保育の展開過程を説明し てあくという方法をとったが,表8に見られるように,事前指導としてこの方法を支持する者

が多い。学生の保育分析能力があ る水準に達した段階ではいきなり 視聴させるという方法がとられて よいであろうが,少くとも教育実 習の観察以前の段階では,あらか じめ当該保育についての概念的理 解を得させておくことが効果的で

あるとみることができる。

表8 事前指導の方法について

〈今回はプリントによって保育の展開過程をあらかじめ説明したが〉

1 . い き な り 映 像 を 見 た 方 が よ い 2

2 . 今 回 の や り 方 が よ い 17

3 . い き な り 映 像 を 見 て か ら , 次 に 展 開 過 程 の 説 明 を 受 け , も う一 度 見 る と い う 方 法 が よ い 4 4 . そ の 他 (1 と 2 の 組 み 合 わ せ が よ い ) 1 事後指導の方法については,表

9に見られるように,保育者の説明および教師の説明を望む者が多い。教師の説明は当然必要 であるが,保育者の説明は少くとも観察以前の段階における保育分析指導にあっては不可欠と 思われる。しかし,実際にCCTV室に来てもらうことは困難なことが多いので保育場面の録 画の後に保育者による説明をつけ加えておくという方法が実際的であると思われる。

Ⅳ.今後の課題

(7)

私たちは,今回,設定保育の展 展の基本過程の理解を深めるため の授業にCCTVを試験的に利用 するに際し,例えば撮影の対象と

した保育の計画,撮影・録画の予 備テスト,視聴前の事前指導,視 聴の時期などの面についてかなり

慎重な配慮と工夫を行った。しか

山口 満・福西憲太郎

表9 事後指導について 項 目 意 見 ぜひあった できれば

必要なし いずれとも

方がよい あった方がよい 言えない

学 生 ど お し

の 話 し合 い 10 1 5 0 1

教 師 の 説 明 16 8 0 2

保育 者 の説 明 17 9 0 0

し,テレビ視聴に対する学生の反

応を見ると,全体的には効果的であることを肯定する意識傾向にあるが,今後改善されるべき 問題点も少くないことが明らかになった。例えば,(1)映像がやや不鮮明であり,特に音声が聞

きとりにくい,(2)保育場面の全体が分りにくい,(3)教師の活動と子どもの活動との関連が捉え にくい,(4)保育の全体的か走れが分りにくい,(5)事後指導の一環として保育者によるコメント があることが望ましい等の意見が多く出された。

これらの問題点には,(1)映像的認識それ自体の限界に原因があるもの,(2)本学の工学センタ ーの設備の拡充によって解決されるもの,(3)私たちの技術や方法の未熱さに原因があるものと いう3つのものが含まれているが,実際には,これらの原因が重なり合って様々な問題点が生

じていることが多い。前掲(2),(3),(4)の問題点は,いずれもこの種の問題点である。

私たちは,昭和53年度の4月から「幼稚園観察」の授業において,CCTVを利用すること を計画している。さしあたり,音声の録音方法の検討,カメラ・ワーク技術の向上,複数のビ デオ・カメラ使用方法の検討,事前・事後指導方法の改善等が課題となるが,同時に,学習効 果の科学的測定,多様な利用法による学習効果の比較検討,保育分析方法の開発,学生の保育 分析能力形成のための指導方法の開発といった課題に取り組んで行きたいと考えている。

なお,この研究を進めるために,機器の運搬,撮影・録画などで学生篠原活昭(専攻科),

湯井庸二(4回生)両君の協力を得た。記して感謝の意に代える次第である。

参照

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