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雑誌名 奈良教育大学教職大学院研究紀要「学校教育実践研

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小学校社会科における探究力を培う授業方法に関す る研究−ディベート活動を通して−

著者 佃 拓也, 吉田 誠

雑誌名 奈良教育大学教職大学院研究紀要「学校教育実践研

究」

巻 8

ページ 111‑116

発行年 2016‑03‑31

URL http://hdl.handle.net/10105/10422

(2)

1.  はじめに 1. 1.  研究の背景

2011 年度から小学校において、新学習指導要領 1 が完全実施された。今回の学習指導要領においても、

「生きる力」の育成を目指すものとなっている。前回 の学習指導要領でも、 「生きる力」の育成が掲げら れている。前回の学習指導要領における「生きる力」

の定義は、 「自ら学び自ら考える力の育成を図ると ともに、基礎的・基本的な内容の確実な定着を図り、

個性を生かす教育の充実に努めなければならない。 」 と示されている。しかし、今回の改訂において、 「生 きる力」の定義が一部改訂され、 「基礎的・基本的な 知識及び技能を確実に習得させ、これらを活用して 課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現 力その他の能力をはぐくむとともに、主体的に学習 に取り組む態度を養い、個性を生かす教育の充実に 努めなければならない。 」と示されており、知識や技 能を活用する力を身につけることが「生きる力」を 育成する上で、必要と分かる。そして、具体的な構 造図を示し、どのような力を身につけると「生きる 力」を育成できるのかという繋がりが明らかになっ た。文部科学省教育課程部会( 2005.10 ) 2 が提唱 した「生きる力」の育成を目指す教育内容・育むべ き力の構造を図1に示す。

図1  「生きる力」の育成をめざす教育内容・

育むべき力の構造

図1で、筆者らが着目しているのは「課題発見力」

と「判断力・課題解決力」についてである。その理由 は、児童たちと接している中で、児童たちは教師の 指示がなければ動かない、所謂「指示待ち人間」が 多いように思われた。特に学習の場面において、ど のように学習を進めればよいか見通しを持てない児 童や、疑問や自分の考えを持たずに学習を進めてい る児童の姿が見受けられた。

その背景の1つとして、思考力・表現力などの発 展的内容への課題が挙げられる。日本の学力を国際 的に比較した国際教育到達度評価学会( IEA )の調 査結果として第1回( 1964 年) 、第2回( 1981 年) 、 第3回( 1995 年)及び第3回の追跡調査( 1999 年)

から、日本の小中学生の学力は、基礎学力はあるも のの、創造的思考力を問うような問題に弱い傾向に あると佐藤 3 は述べている。そのため、創造的思考 力を育成することが将来を切り拓く上で、不可欠で あるとしている。

また、佐藤は、 2003 年に文部科学省が公表した教 育課程実態調査の結果では学力低下の傾向を認める ことはできないものの、 PISA 調査の結果では、国 際的にランキングの低下が示された。この2つの調 査結果から言えることは、教育課程実施状況調査が 主として基礎的内容の習得程度を測定しているのに 対して、 PISA 調査は知識の活用能力を調査してい るため、日本の児童の学力が基礎的内容よりも発展 的内容において欠落していると述べている。そして、

日本の教育は、基礎的な知識と技能の修得において は一定の水準を維持しているが、知識の活用やその 探究や表現においては不十分であるという特徴があ るとも述べている。

以上述べたことから、今後児童たちに、課題発見 力や判断力・課題解決力を含む活用する力を育んで いく必要があると思われる。そこで本研究では、児 童たちに探究力を培わせることを課題として取り組

−ディベート活動を通して−

佃 拓也 *    吉田 誠 **

Takuya Tsukuda*     Makoto Yoshida**

生駒市立あすか野小学校教諭 *  奈良教育大学大学院教育学研究科教職開発講座 **

Ikoma Municipal Asukano Elementary School*

School of Professional Development in Education, Nara University of Education**

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むこととした。

1. 2.  探究力とは

ここで、探究力について定義する。文部科学省の 中央教育審議会答申( 1996.07 )の中では、 「変化 の激しい社会を担う児童たちに必要な力は、基礎・

基本を確実に身に付け、いかに社会が変化しようと、

自ら課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、主体的に 判断し、行動し、よりよく問題を解決する資質や能 力(省略) 」が生きる力と述べている。本研究におい てはこの「自ら課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、

主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決する 資質や能力」を探究力と結びつけて考えていきたい。

国語大辞典 4 によると、探究とは「深くさぐりき わめること。真理をたずねきわめること。 」である。

正田 5 は、探究型学習を「活用型学習で培われた活 用する力を基礎として、実際に課題を探究する活動 を行うことで、自ら学び自ら考える力を高める。 」こ ととしている。そして、活用型学習というのは、 「習 得型学習を通した理解・定着を基礎として、知識・

技能を実際に活用する力の育成を重視する。 」とし ている。また、磯田 6 は、探究型の教育について「自 ら学び自ら考える力の育成」としている。以上のこ とを踏まえ、探究型学習は探究型の教育と同様、 「生 きる力」に通ずると考えることができる。

これらのことから、本研究では探究力というの は、自ら学び自ら考える力を指すこととする。そし て、探究力を培うことにより、前述した現在の児童 の課題である課題発見力、判断力・課題解決力を培 うことができると定義する。

1. 3.  探究力を培う方法

探究については、 「横断的・総合的な学習や探究 的な学習を通して、自ら課題を見付け、自ら学び、

自ら考え、主体的に判断し、よりよく問題を解決す る資質や能力を育成するとともに、学び方やものの 考え方を身に付け、問題の解決や探究活動に主体的、

創造的、協同的に取り組む態度を育て、自己の生き 方を考えることができるようにする。 」と学習指導 要領解説「総合的な学習の時間」 7 の目標の中に明 記されている。

このことは、探究活動を学習活動に取り入れるこ とにより、探究力を培えると考えることができる。

また、学習指導要領解説「総合的な学習の時間」

編の「学習過程を探究的にすること」の中には、探 究活動の学習過程について、次の(1)〜(4)の ように示されている。

(1) 【課題の設定】体験活動などを通して、課題を 設定し課題意識をもつ

(2) 【情報の収集】必要な情報を取り出したり、収

集したりする

(3) 【整理・分析】収集した情報を、整理したり分 析したりして思考する

(4) 【まとめ・表現】気付きや発見、自分の考えな どをまとめ、判断し、表現する

しかし、 (1)〜(4)の探究活動の過程は、 (1)〜

(4)が順序よく繰り返されるわけではなく、順番が 前後することもあったり、1つの活動の中に複数の プロセスが一体化して同時に行われたりする場合も あり、図2のように示されている。

図2 探究の過程の連続育むべき力の構造

これらのことを踏まえて探究力を培うには、1つ の単元でのみ取り組むのではなく、年間を通して指 導を積み重ねていく中で、スパイラルを高めていく ことが必要であると考える。

また、市川 8 が中央教育審議会義務教育特別部会

( 2005.03 )で述べた、探究活動の流れ(学習サイク ルとバランスのリンク)を図3に示す。

図3 探究活動の流れ

(学習サイクルとバランスとリンク)

図3では、探究をするためには、教科書に掲載し てある基礎的な知識・基礎的な技能を指導し、児童 たちが習得した上で、追究、表現といったサイクル が始まり、児童は探究することができることを示し ている。また、追究の過程においては、課題発見力 が関係しており、表現の過程が判断力・課題解決力 に関係していると思われる。

図2と図3で示したように、児童の探究力を培う

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ためには、問題意識があること、その問題を解決す るための情報収集や理解、そして、表現していく活 動が必要であると考える。

そこで、探究力を培える授業方略について考えて みたい。図2と図3のような学習活動ができる方法 としては、様々挙げられる。例としては、ディベー ト活動、パネルディスカッション、写真やグラフな どを使ったプレゼンテーション、新聞作り、ロール プレイング、劇化、ジグソー学習等がある。

1. 4.  社会科で行う理由

1.3. で示した探究活動は、総合的な学習の時間だ けではなく、様々な教科の学習でも取り入れていく ことが可能と考える。同様に、探究力についても、

様々な教科の学習の中で培っていかなければならな いと思われる。その中で、本研究では社会科を扱う こととする。その理由として、社会科においては、学 習指導要領解説「社会編」 9 の中で、児童一人一人 が社会的事象を具体的に観察、調査したり、地図や 地球儀、統計、年表などの各種の基礎的資料を効果 的に活用したり、調べたことや考えたことを表現し たりできるように、問題解決的な学習や体験的な活 動、表現活動などを工夫する必要があると示されて いる。

このことから、探究活動は社会科の中で必要な学 習活動だと考える。

しかし、社会科の特性や学習内容、年間指導時数 等を考慮すると、 1.3. で示した学習活動の全てを行 うことができない。そこで、 1.5. に示す理由で、ディ ベート活動を児童たちの探究力を培う方法として有 効だと考え、取り入れることとする。

1. 5.  ディベート活動を用いる理由

児童たちに探究力を培う方法として、ディベート 活動を取り入れた理由を以下に示す。

・ディベート活動は、児童一人ひとりの個性を尊重 し、その積極性を引き出す上で有効な方法として 行われてきた。そこで、ディベート活動を通して、

一人ひとりの児童たちが自分の意見を持つことが でき、相反する考えに屈しないように自分の意見 の理由付けしていく活動が、探究力を培う要素の 1つになると考える。

・図3の中で示した通り、ディベート活動は、追究、

表現が主要な活動となるため、探究力を培うこと ができると考える。

・ディベート活動をすることで、児童たちは多様な 考え方や捉え方があることを知ることができると 考える。また、ディベート活動をする際には、チー ムを編成し調べ学習の時間を設定して1つの事象 について深く理解することが可能になり、このこ

とが、児童たちに自ら学び、自ら考えるという探 究力を培うことができると考えられる。

以上の3つの理由から、授業で児童たちに探究力 を培う方法としてディベート活動を取り入れること とした。また、ディベート活動を取り入れることに より、通常の話し合い活動で起こりがちな議論が噛 み合わなかったり、焦点がずれてしまったり、特定 の児童の発言のみが目立つといった事態を防げるの ではないかと考える。

しかし、ディベート活動には、斉藤・今野 10 が述 べるように次のような問題点もある。

(1)ディベート活動が目的になってしまう。

(2)肯定か否定かのどちらかの立場しかないかの ような考え方を身につけてしまう。

(3)相手の意見に対して、非難・攻撃してしまい傷 つけてしまう。

上記(1)〜(3)の問題点を解消するためのそ れぞれの方策を以下のように考えた。

(1)ディベート活動は、探究力を培うための1つの 方法であることに留意した学習指導案、指導方法 を考え、実践する。

(2)ディベート活動後に、指導する際には、本当の 答えが分からないということを説明する。

(3) ディベート活動の際には、司会進行役として、

教師が入り、不適切な場面においては、教師が介 入する。

斉藤・今野が述べた(1)〜(3)の課題を解決 することで、探究力を培う上でディベート活動が有 効であると仮説を立てた。

2.  授業実践の概要 2. 1.  対象学級

実践授業は、 2015 年に生駒市立 A 小学校6年 31 名(男子 16 名、女子 15 名)を対象に行った。

2. 2.  授業の方法

『明治の新しい国づくり』 (日本文教出版社会科六 年)の単元の授業を用いた。単元の進め方としては、

教科書の内容を着実に理解させた上で、調べ学習を し、最後にディベート大会と称してディベート活動 を取り入れる。教科書の内容を着実に理解させる場 面を習得型学習、ディベート活動に向けた準備なら びにディベート大会を活用型学習の場面とする。

児童たちに探究力を培わせるためには、教科書の

内容を理解させる学習から調べ学習、ディベート活

動に至るまでの単元全体を通した指導が必要だと考

える。また、評価の観点からディベート活動実施後

にウェビングマップを作成させ、児童同士で評価し

合う活動を行うこととした。そこで、表1に学習内

容と学習過程を示した単元計画を示す。

(5)

ディベート活動の進め方としては、佐長 11 が示す フォーマットに基づいて決定した。

ディベート活動は、試合形式で行うこととして、

1試合の合計を 24 分とし、その内訳を以下に示す。

1.肯定派の意見(5分)

2.否定派の意見(5分)

3.作戦タイム(2分)

4.否定派の反論・質問(3分)

5.肯定派の反論・質問(3分)

6.作戦タイム(2分)

7.最後の意見(肯定派) (2分)

8.最後の意見(否定派) (2分)

ディベート活動のテーマは、 「明治時代のくらし は、江戸時代のくらしと比べてよかったのか」とし た。このテーマを設定した理由は、次の通りである。

・議題は、既習内容から発展させる形で扱いたかっ たため。

・よいかどうかを問うことは難しく、答えのない議 題にする必要があったため。

また、ディベート活動のチーム編成をする際にも、

児童たちの考えでチームを組ませてしまうと、人数 の偏りが見られること、自分の立場以外の考えを持 つことができなくなることがあったため、教師の指 示でチーム編成を行った。

チームは、肯定派(明治時代の方がよかった)を 16 人、否定派(江戸時代の方がよかった)を 15 人 とした。

そして、調べ学習の際には、チームの全員が協力 して取り組めるように、一人ひとりに役割を担うよ う指示した。

ディベートのテーマについては、単元の最初に提 示し、立場を児童に伝えたのは、習得型学習終了後 の第6時に行った。

2. 3.  評価の方法

単元の学習を進める中で、学びを評価していく必

要がある。そこで、1単位時間ごとディベートテー マについての振り返りを書かせるとともに、授業の 中で気づいた疑問点を記させるようにした。そして、

ディベート活動終了後には、ウェビングマップ(写 真4・写真5)を作成させ、単元の評価を見取るこ ととした。

3.  研究の実際

3. 1.   「しらべる」活動の留意点

「しらべる」活動を進めるにあたっては、2つの学 習展開を設定した。1つは、教科書の記載事項を理 解させる展開。もう1つは、ディベート大会に向け て、チームで調べ学習をする展開。

教科書の記載事項を理解させる場面では、 ICT

(パワーポイント)を活用して資料を児童たちに多 く触れさせるようにした。写真1に4時間目「豊か で強い国づくりをめざして」の授業場面で使用した パワーポイント資料を示す。

写真1  「豊かで強い国づくり」パワーポイン ト資料

また、写真2では、授業で児童たちが記述した 表1 単元計画

時間 学習内容 学習過程

1 黒船の来航と開国 みつめる 2 幕府の政治の終わり しらべる① 3 新政府の国づくり しらべる② 4 豊かで強い国をめざして しらべる③ 5 文明開化とくらしの変化 しらべる④ 6 ディベート大会の準備 しらべる⑤ 7 ディベート大会の準備 しらべる⑥ 8 ディベート大会の準備 しらべる⑦ 9 ディベート大会 ふかめる①

10

ウェビングマップ ふかめる②

(6)

ワークシートの一部を示す。

写真2  「文明開化とくらしの変化」のふりか えり

単元のはじめの頃は、ふりかえりは書くことがで きていたものの、疑問を記すことはできなかった。

しかし、授業ごとに前時の振り返りを書く中で、

疑問を書き記す児童が増えていった。これは、毎時 間で振り返りを書かせたことと理解が深まったこと が理由として考えられる。この疑問こそが、主体的 に学ぶ上で大変重要であり、調べ学習をするときの 材料にもなった。

3. 2.  ディベート大会

ディベート大会は、平成 27 年 11 月に実施した。

ディベート大会の様子を写真4に示す。

写真4 ディベート大会の様子

ディベート大会の様子を参観していた、教員のコ メントを以下に示す。

・話しを聴く土壌ができている。

・よく調べている。

・楽しめている。

・誤った知識でディベートに臨む児童がいた。

・何もしない児童の存在がある。

以上のことから、前時までに理解した内容を基に ディベート活動という形で表現することができてい たと考えることができた。

4.  成果と課題

授業にディベート活動を取り入れた成果と課題を

以下に示す。

4. 1.  成果

(1)学習の理解が深まったことである。近現代史の 学習は、重要語句となる出来事や人物が他の時代 よりも理解が深まりにくい。しかし、ディベート 活動を単元のまとめとして取り入れたことで、児 童の調べ学習を促進させたと考えられる。児童の 理解が深まった根拠として、以下に単元の最後の 学習で行ったウェ ビングマップ(写真5と写真 6)を示す。

写真5 児童 A のウェビングマップ

写真6 児童 B のウェビングマップ

児童 A と児童 B 共に、学習して習得した知識を関

連図の中で示すことができている。児童 A は、低学

力の児童であるものの、教科書に記載してある事項

を概ねウェビングマップとして示すことができてい

(7)

る。しかも、ディベート活動に向けた準備の中で児 童 A が調べた文明開化の理解が深く、関連図の中で もたくさんの用語が出てきている。児童 B は、学力 の高い児童である。用語を関連させるだけではなく、

説明も添えることで、思考を整理できていることが 分かる。以上のことから、児童の理解が深まったと 言える。

(2)ディベート活動を通して、学習を楽しみ、次時 以降への意欲が高まったことである。ディベート 活動を行った後に児童に学習の振り返りを記述さ せた。以下に児童の振り返りを示す。

・江戸時代のことをくわしく調べていくうち に授業ではわからなかったこと習ったこと のないことがどんどん分かった。

・今回のディベートは、分からないことを知る ことができ、多くの知識が身に付きました。

そして、とても楽しくまたいろいろなお題で ディベートしたいと思いました。

・私はディベートが好きなので、もう一度した いと思いました。苦手だった社会が楽しかっ たです。

児童の振り返りの記述から、ただ楽しいだけでは なく、知識が身に付いたことも分かる。この学習に 対する意欲は、自ら学びを進める上で重要になると 思われる。

(3) 次の単元の学習においても、意欲的に取り組む ことができている。普段の学習では、1単位時間 ごとに学習して分かったことを振り返りとして、

児童に書かせている。分かったことを書くだけに とどまらず、疑問を持つという探究力の素地が 育っていると考えられる。児童の書いた振り返り の一部を写真7に示す。

写真7  「条約改正」の学習の振り返り

以上の成果から、本単元の学習の中にディベート 活動を取り入れた結果、一定の探究力を培うことが できたと思われる。しかし、ディベート活動という 学習活動を取り入れるだけではなく、1単位時間ご との振り返りや学習の評価方法も児童の学びを可視 化する上で重要であることも分かった。

4. 2.  課題

(1)ディベート活動をしている中で、誤った知識で 討論をしている児童がいたことである。この原因と

しては、ディベート活動のテーマに問題があったと 思われる。ディベート活動のテーマは「明治時代の 人々のくらしは、江戸時代の人々のくらしと比べて よかったのか。 」である。児童が2つの時代のくらし を調べていく中で、日清・日露戦争や足尾銅山事件 についてまで言及する姿があった。次の単元で学習 する内容やインターネットの情報のため、真偽を検 証せずに誤った情報を基にディベート活動に臨む児 童の姿もあった。このことから、テーマをもっと絞 ることで、児童が調べる内容を焦点化させる必要が あった。

(2) ディベート活動の際に討論内容が高度になりす ぎて、一部の児童の中には討論に入りにくい児童が いたことである。1学期から、国語科や特別活動の 中で、ディベート活動を取り入れてきた。その際に は、少人数(4人)グループでチームを組んで行っ てきた。しかし、本単元では、年間指導計画の都合 上、学級全体を半分に分けて実施した。そのことが 討論に入れなかった原因だと考えられる。討論の中 で発言させるためには、少人数でディベート活動を 行うことも大切であるため、年間指導計画を見通し ながら実践を積み重ね、児童たちの探究力を培って いかなければならない。

参考文献

1)学習指導要領解説「総則」 :文部科学省,日本 文教出版, 2008 , pp1-9

2)文部科学省教育課程部会配布資料:教育課程 部会, 2005 , 「生きる力」の育成をめざす教育 内容・育むべき力の構造, http://www.mext.

go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/004/

siryo/06011705/007.pdf , 2011 年 10 月8日 3)佐藤学:基礎学力を問う 21 世紀日本の教育へ

の展望,東京大学 学校教育高度化センター 編、東京大学出版会, 2009 , pp.1-33

4)日本国語大辞典初版:小学館, 1981 , pp.1589 5)正田寛:数学科新授業メソッド習得・活用・

探究型学習のプリント教材,明治図書出版,  

2008 , pp.9-16

6)磯田文雄: 「探究型」学習をどう進めるか,浅 沼茂編,教育開発研究所, 2008 , pp.8-11 7)学習指導要領解説「総合的な学習の時間」 :文

部科学省,日本文教出版, 2008 , pp.99-104 8)市川伸一:学力低下論争,ちくま新書, 2002 9)学習指導要領解説「総合的な学習の時間」 :文

部科学省,日本文教出版, 2008 , pp.106 10 )斉藤規・今野日出晴:迷走する〈ディベート

授業〉 ,同時代社, 1998 , pp.1-134

11 )佐長健司:社会科でディベートする児童を育

てる,明治図書出版, 1997 , pp.1-26

参照

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