環状二相流の熱伝達に関する予備実験
荒 木 久 忠 松 原 正 明 勝 原 哲 治 APreliminary Experiment on the Heat
Transfer in Annular Two.Phase Flow.
Hisatada ARAKI
Masaaki MATSUBARA Tetsuji KATSUHARA
The authors have experimentally investigated the validity of calculation of heat transfer on the base of the modified Graetz theory. It has been made clear that the values measured by experiment are greater than those obtained by the theory.
In order to make clear the reasons of disoerdance, the photographs have been taken for the still annular flow of air and water mixtures in a glass pipe which is 10mm in inside diameter and 2 m of Iength. From the photographs, it has been undersood that the perfect laminar condition of water flow is unimaginable.
Moreover, since the phase change rises, the boundary conditions at the interface are also different from that of the theory.
Consequently, the discordance between the theory and the experiment should be attributed to the assumption in which the ideal annular flow without the phase change
will exist.
者らの計算によく似た計算を行っているが実験的
L緒 言
検証は行っていない。この研究の主目的は上の計 工業上の要求から気液二相流に関する研究は近 算値と実験値の差異の程度を知り将来の研究の足 年急速に進歩した。すでに,筆者のうちの1人 がかりを作ることであった。
(1)〜(5)は気泡流,スラッグ流およびピストン流など 実験結果によれば実験値と計算値の間には大き 液体流量が気体流量に比べ比較的に多い場合の流 な差異が生ずることがわかった。その差異につい れについて熱伝達の研究を行った。気体の流量が て検討した結果,最も大きな原因は計算仮定にあ 多くなると流動様式は還状流に遷移するため環状 ることが明らかになった。また実験値についても 流を対照として研究を進めることとし数年前壁温 詳細な検討を加えるため電気加熱法と蒸気加熱法 が一定の場合に対し次にあげるような最も簡単な の両方法を用いてそれぞれの実験値を得た。本文 仮定に立脚して伝達熱量の計算を行いその結果を はこれらを総合した報告である。
液体に水,気体に空気を用いて得た実験値と比較
した。仮定としては, (a)流体の物性値一定, 2・実験装置とその方法
(b)液体の流れは層流,(c)気体の熱容量を無
視,(d)気液間の相変化なし,(。)管軸方離 2 1電気加熱法を用いた実験装置
液膜の厚みは変らない, (f)液体の飛沫を無視 実験装置は空気流量に比べ水流量が多くピスト
などが用いられた。なお,Levy〔6)もそれ以前に筆 ン流や気泡流を現わす場合において行った装置(1)
⑦ヘヅドタンク
第1図実験装置(。) ②橋量調餅
③三方コ、ソ7 ④がラス管
◎ 電気メナタト〜箱
⑧吐出タンク
⑨量木タンク
=。 ①空気逃し弁
@マノメータ ◎空気流量計④測温 臭
⑮・1・コ・ソク
⑰スライタ∴ソク
◎あ小ホ水タンク
を少しばかり改造して用いた。第1図はその概略 込まれヘッドタンクより来た水と合流し黄銅管⑳ 図である。高さ2mのヘッドタンク①に上げら の内部を通り吐出タンクで水と分離する。加熱の れた水は,オーバフロー法によりヘッドを一定に ために蒸気発生機⑩で発生した飽和蒸気を外管㊧
保たれ流量調節弁②を経て水平管の入口に達し の内部へ導き内管⑳を外部から熱している。
弁③の直前で空気と混合する。④はガラス管
で弁③と連り内径9.5mm,長さ1200mmであ 2・3実験方法
る。その末端は電気炉内に入りガラス綿をはさん まず,電気加熱法による実験方法から述べると で同じ内径の銅管⑤に連がれている。この銅管が 出力Wワットの電気炉から銅管にかかる平均熱負 テストセクションでその長さは260mmである。 荷qは
璽鷲㌶漂鑓瓢襟失を少く q一α辮 (1)
2・2蒸気加熱法を用い壌装置 纂;≦㌘㌔麓魏:蕊婿
第2図は蒸気加熱法を用いた実験装置の系統図 内の流体に伝わる熱量をΩaとするとηはΩaと である。水はヘッドタンク⑥,流量調節弁⑳, Qoの比である。このηの値として単相流の場合
三方コック④を経て内管⑳に至る。この内管の値を予め求めておきそれから予想される値を用 がテストセクションで内径23mmの黄銅管であ いれば(1)式から熱負荷を求めうる。管の内壁温
る。この管を出た水は量水タンク⑧に入り流量 度は軸方向に沿って4点で測られた。その4点の を測定される。空気は圧縮機①で圧縮され②で 温度の平均値を用いて管壁温度の代表値θwとし 流量を調節されたのち空気流量計③を経て三方 た。流体の温度としてはガラス管に入る前の水温
コックの前に取付けられた空気吹込孔④より吹 とガラス管から出た水温の平均値を求めて流体の
第2図実験装置(b)
亨
6 万 7そ 7乃 ㊨
喧
? τ 万 万 万
五π/万万万 π 了
2㊨
70
◎ ⑳ ② ⑫ ㊧
レ[ゴ巳ピ1自 2500
7
③一▽
↑3000
⇔ α幻
口あ
6
①空気圧縮機 ⑦仁,・一フ・汗◎入いフ 弁 ⑰〜◎ドレン弁 ◎出ロ橿麟十
②空先鐘調節弁 ⑧量水タンク ⑭乎合弁 ⑭草切弁 万Φ万内管壁瀞淀臭
③髄ラ撞計 ⑦給締ソプ ◎ドレン弁 ◎内 管 万砺タ膀壁湖峡
④三方コ・ク ◎蒸気発生機
◎入トツり汁 @外 管
⑤殼水弁 ◎主裏貝弁 ⑰斥力計 ⑳水量著聯弁
⑥へ・ソドタンク ◎脇胡ト弁 ◎蒸ξL逃L苛 ⑳ λロ*三温度2ナ
代表温度とした。この代表温度をθfとすると平
3.実 験 の 結 果 均熱伝達係数αmは
3・1 予備実験結果 αm= q (2)
θw一θf 電気加熱法を用いた場合には炉の伝熱効率を知 実験の順序としては,最初に水のみを流したと る必要がある。このため水の単相流について熱負 きの伝熱効率および熱伝達係数を測定した。前者 荷2.6×104〜4.4×104kcal/m2hの範囲でηの においては,二相流のときの伝熱効率の推定に, 値を求めたところ第3図のような結果を得た。二 後者では装置の信頼性の確認にそれぞれ役立て 相流の場合にはこの図よりαmを仮定した値に対 た。次に,二相流の実験に入り熱負荷,管壁温
度,流体温度の測定値より熱伝達係数を求めた。 OB 次に蒸気加熱法による実験方法を述べよう。外
管⑳の内部へ導かれた飽和蒸気の熱量は内管の
0£
気水混合体へ伝わるため飽和蒸気は凝縮水とな O る。ある時間内の凝縮水量をコック⑲〜⑳より η
取出蝉位時間内の々こ換算しこれをGとすれをま 04
内管の内表面における平均熱負荷qは
q一認 (3)
第3図炉の伝熱効率
するηの値を求め(1)式よりq,(2)式よりαmを知 となる。ただし,θωは管壁の温度,θ0は管の入 りこのαmが仮定と一致するまで第3図→(1)式→ 口における液体の温度である。とるべき境界条件
(2)式の順にくり返し計算を行った。こう言えば面 は
倒のように聞えるが実際には2〜3回くらいのく κ=0 :⑪=1 ⑫ り返しで時間はかからない。 夕=ρ一δ:⑲=⑳ ⑬
電気加熱法の場合でも蒸気加熱法の場合でも水 グ=ρ :⑪=0 ⑭ の単相流に対する平均熱伝達係数は従来より慣用 ここに
繊㌶燃よる計臓よく一致するこ 手蒜 ⑮
3.2 比較の対象とした計算 ただし・碗は気液境界面における液体温度であ る。この⑪ は気体の温度分布と組合わせて求 緒言にて述べた仮定のもとに液膜内の流速を求 められるが気体の熱容量が無視できるときは⑬式 めると液体の粘性力と圧力の平衡より の条件で(10a)式の解を拘束する必要はなく⑫
誌(棚一蒜 (4)およ舞と、∂⑪伽。 oθ
ここに,κは流れの方向の距離,7は半径方向の の条件を満足すれば近似解を得る。この場合には 距離,%は液体の流速,μ8は液体の粘性係数, 気体の存在により液体の平均流速を修正している Pは圧力である。管の内半径をρ,液膜の厚みを に過ぎないからGraetyの解をそのまま用い得 δ,気液界面における液体の流速を%iとすれば る。
γ=ρ一δ : %:=Z4輌 (5) Oo 2
・一ρ・μ一・ @ (6) ⑪一緊6叩{一告・砥1㌃)・;}品⑰
・一ρ・ ス生,−2㌃誓(7)輪液体の混合鵬さらに無次元化したもの
気体体積⇔・として(5)・(6)および(・)式を齪
⑪㌍鵠≡雲 ⑱するように(4)式の解を求めると 、
は次のごとくなる。
ただ蕊㌫蕊__;⑳一σユご已一}
れる。 1
元一
液体の管軸方向の温度勾配は半径方向のそれに
数でその決定法は単相流の場合と全く同一であ 比べ無視できるとすると液膜内の温度分布を与え る。R、が次の式の解であることも同じである。
るエネルギ式は
÷α(9誓+ …・;多)o㌦㌢ 穿+β蓋一・⑳
とおけば⑩式は 量・熱伝導率および比熱である。
喋一α漂+÷・劉⑭璽:欝㌶し単位時間内に流体に伝わ
Ω一一xλ2πρ(;多已 ‥式より。.
㌫(一繊佗パー(、一七戸iきド…}@、
⑰式を㈱式に代入しβnに山県の値…を用いAnは Σ芸:(・−e−mnり 単相流と同じように n=o
A.≡ −2 このΩ/Ωoが実験値とどの程度に一致を見る
β・(墾∂β)。,夕一1 かを比較した・とすると 3°3実験結果
Ωゴ2π
P鵠・)』霊ド・一戸・}蕊三霊二辮顯㌘諜三;n=o ㈱ 中にはJohnson(・)が油と空気の混合体を% の 液体が流量を同じにして管内を満たして流れるよ 銅管内に流したときに得た測定値も入っている。
うな流れを想像しそのとき管の全長に渉り伝達さ 実線は,ψd=0.8および0.6に対する計算値で れる熱量はM・およびm・を㈱式のものと同一値 ㈱式より得たものである。なお,実験値(a)は電 にとりψd=0の条件を入れて求めることができ 気加熱法によるもので(b)は電気加熱法による実 る。これをΩoとすると 験結果の講演(9)後,壁温一定の条件を満足させる
Ω。−2πλ(θω一θ。)』霊(・−e一咋り⑳‡:欝慧㌶鴎竃讐[㌶㌶
n=o こととして実験値と計算値の相違を認めるだけで
ただしM・は次のような値をとる・ は糸内得できない点が多い.液体の流れと液膜の厚 第1表 M・の値 みを中心とした計算仮定が成り立ちにくいのも大・ l M・ きな原因であろう.特に灘の獅を層流蘇つ
0 1.49754 ことには苦心を要する。この点に十分に意を払っ 1 1・08765 て実験したけれども中心部を流れる気体の流速が 2 0 92572 大きいため液体の流量の大小にかかわらず乱れは
20
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測 定ラ託 体 気体々積諒
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第4図 Q/90の計算値と実験値の比較 λL
大きくなる傾向のもとにおかれている。第5図は 生機は九州工業大学開学50周年記念会より寄贈し 流れの一例を写真に撮したものであるが気液界面 ていただいたことを記しそれぞれ謝意を表しま
もかなり波立っている。 す。
の議遍ミ㌻鷲慧歴璽ご 参考文献
る。ただし,定性的には計算値と実験値はGraetz (1)勝原・風間・機械学会論文集・24−140(昭33)・
数的に同じ傾向にあることがわかる 228
(2)勝原・風間,機械学会論文集,24−144(昭33),
4.結言
552.
G・aet・流の解析では…目流の熱伝達を解1灘:灘麓:二15蒜51漂; 9°5