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(1)

静岡県浜松市佐浜町のナウマンゾウ発掘調査地にお ける中部更新統浜松層産貝化石

著者 延原 尊美

雑誌名 静岡地学

巻 87

ページ 41‑51

発行年 2003‑06‑22

出版者 静岡県地学会

URL http://doi.org/10.14945/00025052

(2)

87

号 (

2003 ) 

延 原

.はじめに

ナウマンゾ、ウ

Palaeoloxodonnaumanni

は日本列島における第四紀の代表的な示準化石であり、そ の模式標本は

Makiyama(1924)

によって静岡県浜松市佐浜町より報告された。模式産地およびその 周辺には、中部吏新統浜松層(郷原・佐々木(1

95

1)命名、小林(1

964)

再定義)の諜層や砂泥質 が 広 く 分 布 し て お 札 付 近 の 住 民 に よ っ て し ば し ば ナ ウ マ ン ゾ ウ 化 石 や 脊 椎 動 物 化 石 が 採 集 さ れ いる。このように佐浜町の浜名湖東岸一苦は、中期更新世に本ナ

'!I

中部太平洋側に

椎動物化石相を調査する上で重要なフィールドといえる

O

しかしながら、脊椎動物化石産出をめぐ っての地質学的・古生物学的な総合調査はこれまでにあまり行われていない。

2002年12

22

日から

26

日にかけて、静岡

34045'N

大学理学部の池谷伯之教授を中心とする研 究グループによって大規模な発掘調査がナ ウマンゾウの模式産地において行われた。

1

に発掘の行われた露頭位置を示す。こ の発掘調査の目的は、模式地に埋もれてい るナウマンゾウ化石を発掘するとともに、

ナ ウ マ ン ゾ ウ が 生 息 し て い た 当 時 の

境・古気候やナウマンゾウの化石化の過程

34044'N

を、地質学・古生物学のさまざまな分野の 研究者が集って総合的に解明することにあ った。また、小学生から大入まで市民が発 掘に参加し体験することで、地域の自然史 やそれを語る上での実物標本の重要牲につ いて理解を深めるという側面もあった。

137"38'E  137039'E 

留しナウマンゾウ発揮調査の露頭位罷函隠国土地理暁 発行の1

:25000

地形国

f

浜松

J

を下図に使用"

今回の発掘において、重要な脊椎動物化石とともに大量の貝化石が産出した。浜松層から産出し た貝化石については、これまでにも

Makiyama(1924)

、小林

(1942

1964)

Takaiand Tsuchi (1959)

( 1

960)

、磯見・井上(1

972)

があるが、ナウマンゾウ模式産地における貝化石の群集構成や化石 産状の変化を層準ごとに追跡したものは少ない。本報告は、市民との共同で発掘された良化石をも

とにして、化石産状・群集構成およびそこから推定される古環境についてまとめたものである

O

守手間大学教育学部理科教育講盛

(3)

2

謡発掘地の地質と

発掘は佐浜町の

2

地点の露頭(西地区と東地区)で行われた。重機での掘削によって崖の全面に、

中部更新統浜松層の諜層。砂層・泥層が露出し、研究グループの島根大学理工学部の入月俊明助教 授によって詳細な露頭柱状図が作成され、堆積相解析の結果とともに本号掲載の入月ほか

(2003)

によって報告されている。その柱状図に貝化在の情報を加えたものを閣

2

に示す。入月ほか

(2003)

は発掘地の露頭において以下の

3

つの堆積杷を識別した。すなわち、堆積相

1

西地区露頭の最下部 にあらわれた、側方への連続性の悪い磯層の扶在するやや泥質な紹粒 中粒砂(河川河口域あるい ナト!の頂置層)、堆積相

II:

西地区露頭の中部から東地民露頭の全面にわたってあらわれた、

中磯層を挟在する泥質砂・砂質シルト(湾奥三角州の前置層、底置層、河口州、およびその周辺の 潮汐低地)、堆積相

III

:西地区露頭の最上部にのみあらわれた塊状シルト(内湾泥底)である

O

浜松 を岩相区分した杉山(1

991)

の層序に従えば、堆積相立と

III

は佐浜泥層にあたり、堆積相

I

は細江 中の上部機層に相当する可能性が高い(入月ほか,

2003) 0

なお、杉山(1

99

1)によれば、佐浜 は酸素向位体ステージ

7

の堆積物と推定されている

O

ナウマンゾウをはじめとする脊椎動物化石は、堆積相

II

中に認められる連続性の良い円磯層とその 上位の砂層との境界部から発見された。貝化石は脊椎動物化石が発見される層準をはさんで

3

層準か

際高

(m) 12

. 3

11.3

10.33 

9.33 

8.33 

7.33 

6.33 

5.33 

4.33 

3.33 

2.33 

1.3

2.

ノ〆

主②

陸 霊 祭

(~r s批州

h

1cl

i :  之 令 : ‑ 凶 i

ant

l}fV ¥J sand pS bioturbation 

parallel lamina 

よ と き た

granle 勘九. wave ripples 

o Q Q : ; ?  g

ravel 

剖 伊(roundsubround) volcanic ash 

5?.-~凸 gravel

1111111111111101 (出δ)

cro(subangular)  111111111111111  (地引

(4)

87 号 ( 2003 ) 

らサンプルが採集された(図 2 ) 採集層準日立、入月ほか ( 2 0 0 3 ) の柱状図の最下部かあるいはそ の荷下に挟在するシ

}v

ト層に担当する

C

東地区発掘持に重機で露頭下部を掘り下げた際に得られ シルトブロックで、浜松市立伊佐見小学校で保管されていたものを実験室に持ち帰り剖出を行った。

とおふそれぞれ西地反に露出した堆積相立の最上部にあたる擦層と砂諜層、堆積棺

III

のシ ルト層である

O

これらは現地で市民とともに発掘・部出作業をおこなった層準である

C

重機で露出 した露頭面を浜松北高校および磐田南高校の地学部の高校生がつるはしで崩し、それらのブロック を市民が露頭崖下の広場で、ハンマーや千枚通しを用いて剖出作業を行った。また採集層準

2

の一部 のブロックについては

10

メッシュの能(節自:1 .

70 mm)

を用いて水洗し、微小な貝化石についても 拾い出しを行った。これらの標本に、著者が発掘の事前 (2002

8 月 1

日)

・事後 (2003

3 月 14

日)

の謂牽で得た標本を加え、貝類群集の解析に用いた。採集層準

2

3

については、採集層準の

l

福をよ

り細かく区分して産状・群集組成の垂在方向の変化を解析すべきであるが、種構成やそれが示す古 き換わるような際立った変化は採集層準 i 隔の中でとくに認められなかったため一括した

O

なお柱状図には、採集層準以外でも現地で確認された只化石の情報を加えた(国

2)0

3.

良化石群集と産状

化石のつストを表

1

に、代表的な構成種を国版1,

2

に示す。堆積環境の推定に当たって は、日i

goet a .l(1999)

および奥谷編著 ( 2 0 0 0 ) に掲載されている貝類の生態をもとにした。

(  1  ) 諜 集 層 準 シ ル ト 中 に シ ズ ク ガ イ

Theorafragilis

が散在しており、しばしば小塊状に密集部 を形成する

O

チヨノハナガイ

Raetel10ps pulchel1us

、ホトトギスガイ

Musculista  senhousia

がこれに 随伴する

O

貝殻はホトトギスガイの一部をのぞきすべて溶脱しており、印象化石として認められた。

これらの貝類は脆弱な薄い殻を有するが、破片化しておらず多くは合弁状態で産することから、ほ ほ原地牲の只化石と判断される

O

これら

3

種は、いずれも北海道南西部以南 東南アジアの内湾泥 底に群棲する内湾性指標種(波部

1956)

である

O

シズクガイやチヨノハナガイは貧酸素水塊が発達 するような湾奥から湾央部に広く生息する強内 j 毒性種、ホトトギスガイは湾奥瀬間帯下部を特徴づ ける強内湾性種であるとされていることから、内湾奥の j 朝間帝下部付近の泥底の堆積環境と考えら れる

O

なお、この採集層準の度上に重なる生物撹詳の著しいシルト質砂層からは、内湾 j 朝間帯の泥 底に生息するオキシジミ

Cyclinasinensis

およびウミニナ類

Batillaria

s p . が現地で確認されている

O

( 2 )採集層準

2

:円磯層中およびその直上の砂層に多数の只化石が密集している

O

河口汽水域に るヤマトシジミの祖先亜種

Corbiculajaponica sandaiformis

やマガキ

Crassostreagigas

、 j 朝間帯 泥底に生息するアラムシロガイ

Reticunassafestive

、ウミニナ

Batil1aria ultiformis

およびイボウミ ニナ

Batillaria  zonalis

、潮時帯下部 水深60m の砂泥底に生息するカガミガイ

PhacosOlnajaponicum 

が特に多産し、これに多種の潮間帯 浅海棲の二枚貝類・巻貝類が随伴する

O

随伴種のなかにはゴ イサギガイ

Macomatokyoensis

のように生息水深がぬる

Om

とやや沖合のものも含まれる

O

殻の保存 は一般に長好で、合弁償体の二枚貝も普通に認められるが、生息姿勢を保持しているものはなく、

河口域から潮間帯の干潟をへてその前面の潮下帯および浅海域付近の貝類選骸が、洪水等の営力を

受けて砂擦と共に運搬・集積されたものと考えられる

O

構成種のほとんどは北海道南部以南に生息

(5)

V A  

R F R C  

FCPARC 

A

A   F C F R C R R C C R R R R C R  

v v v  

A A   R C R

V

 

V  

R  A  V A  

F  V A  

F C F  

C R R  

F  F 

V A  

駿 足 鍋

Gastropoda

Umbonium moniliferum (Larn

ck

1822) 

Turbo (Lunella) cornatus coreensis (Re

c 1

uz

, 

1853)  Rhinoclavis (Proclavα) kochi (Philippi

, 

1848) 

Cerithidium fusca (A. Adarns

, 

1860)  Bαtillaria multiformis (Lischke

, 

1869)  βαtillaria zonalis (Brugui

re

1792) Glossaulax didymα(Rding

1798)  Bedeva birilejji (Lischke

, 

1871) 

Thais (Reishia) clavigera 

(K 註

ster

1860)  Rapana venosa (Valenciennes

, 

1846)  Zeuxis castus (Gould

, 

1850) 

Reticunassafestiva (Powy

, 

1833)  Inquisitor jeffereysi (Srnith

, 

1875)  Pαm

lrilliainconstωlS (Srnith

, 

1875)  Eucithαra sp. 

"Odostomia 11 sp. 

Ringiculina doliω

古 市

(Gould

1860) 

Limulatys constrictus Habe 

摺 足 網

Sca

hopoda

Dentalium (Parαdentαlium) octω19u1atum Donovan

, 

1804 

二枚畏綱

Bivalvia

Scapharca broughtonii (Schrenck

, 

1867)  Scapharcαkagoshimensis (Tokunaga

, 

1906)  Tegillarcαgranosa (Linnaeus

, 

1758)  Musculista senhousia (Benson1842)

Atrina (Serαtνrina) pectinαta (Linnaeus

, 

1767)  Anomia chinensis Philippi

, 

1849 

Ostrea denselarnellosa Lischke

, 

1869  Crassostrea gigas (Thunberg

, 

1793)  Pillucina pisidium (Dunker

, 

1860)  Anodontia stearnsiana Oyarna

, 

1954  Diplodonta semiasperoides (Nornura

, 

1932)  Clinocardium braunsi Tokunaga

, 

1906  Fulvia mutica (Reeve

, 

1844) 

Fulνia hungerfordi (Sowerby

, 

1901)  Mαctra chinensis Philippi

, 

1846 

Mactra veneriformis Deshayes in Reeve

, 

1854  Raetellops pulchellus (Adarns and Reeve

, 

1850)  Exoticαtokubeii (Habe

, 

1961) 

Mαcoma to

JoensisMakiyarna

, 

1927  Theora fragilis (A. Adarns

, 

1855)  Soletellina diphos (Linnaeus

, 

1771)  Solen strictus Gould1861

Corbicula japonica sandαiformis Y okoyarna

, 

1922  Pαphiαundulata (Born

, 

1778) 

Ruditapes philippinαrium (Adarns and Reeve1850) Phacosomajαponicum (Reeve

, 

1850) 

Meretrix lusoria (Rding

1798)  Venatomyαtruncata (Gould

, 

1861) 

Mya (Arenomya) areηαria oonogai Makiyarna

, 

1935 

イボキサゴ スガイ カニモリガイ ヌ ノ メ モ ツ ボ ? ウミニナ イボウミニナ ツメタガイ カゴメガイ イボニシ アカニシ ハナムシロ

アラムシロガイ モミジボ、ラ イボ、ヒメシヤジク コトップ類

クチキレガイそドキ類 マメウラシマガイ

クピレタマゴガイ?

ヤカドツノガイ

アカガイ サルボウガイ ハイガイ ホトトギスガイ タイラキ、

ナミマガシワガイ イタボガキ マガキ

ウメノハナガイ イセシラガイ とラシオガマガイ ブラウンスイシカゲガイ

トリガイ ゴトリガイ バカガイ

シオフキ チヨノハナガイ

コメザ、クラガイ ゴイサギガイ シズクガイ ムラサキガイ マテガイ

ヤマトシジミの担先立五種 イヨスダレガイ アサリ

カガミガイ

ハマグワ

クシケマスオガイ オオノガイ 孝 司

品ふら

‑ f ‑

ブロックサンプルをすれば普通に得られる). 

り得られたのは

12

個体)鶴 された巽北石のリスト飽

ら大量に得られる).

c : 

ら得られたのは

10

個体以内). 

VA: 

(6)

87

号 (

2003 ) 

も るが、カニモリガイ

Rhinoc1aγiskochi

のような ある場に生息する

」四

られる

O

の内ではとくに百立った種構成の してサンプルを処理したが、

されなかったため、現地での発 からは下位より以下の

3

つに細分される

o (1) 

掘で、

中:ウミニナ

B.

ultiiormis

などの巻貝類、ヤマトシジミの祖先亜種C.

japonica sandaiformis

、 マガキC.

gigas

、カガミガイ

P.japonicum

などの二校長類が円諜中に散在、しばしば密集小塊を形成 する

O

貝殻は擦とともに互いを支持する講造を示す。 ( 2 ) 円探層最上部:カガミガイ

P.japonicum

、 ヤマトシジミの祖先亜種C.

japonica sandaiformis

などの多数の二枚貝類がイボ、ウミニナ

B.zonalis

、 ウミニナ

B.multiiormis

などの巻貝類とともに層厚

10cm

ほどの貝殻密集層を形成する

O

貝殻は片い を支持する構造で密集しており、ウミニナ類のような細長い形態を示す巻貝は一部で覆瓦状構造 (インブリケーション)を示す。二枚貝類の中には合弁個体もしばしば認められるが、貝殻の接合面 を層理面に対して平行に配列しており、生息、姿勢を保持している個体は認められなかった。 ( 3 ) 円 の 砂 層 シ ル ト 質 砂 で多数の が 散 在 し て お り 、 と く に カ ガ ミ ガ イ

P. ]apOnlCum

、マテガイ

Solenstrictus

、サルボウガイ

Scapharcakagoshimensis

、イボウミニナ

B. zonalis

が目立つ。カガミガイやサルボ、ウガイは合弁個体のものも認められるが、やはり生息姿勢を 保持しているものは認められなかった。なおサルボウガイの一部は、靭帯面で左右殻がつながった ままの開いた状態で砂泥質層中に散在していることから、これらは近隣に生息していた可能性が高い。

なお、入丹ほか

(2003)

の観察によれば、こ

在する合諜泥質砂の薄層をともなう。また、東地区の同

はその直下にマガキC.

gigas

の散 と思われる砂泥質層からは、オキシジ ミC.

sinensis

治 宝 、 中からはカガミガイ

P.japonicum

の破片が認められているが、西地区ほど 只化石は多産しない。

( 3 )採集層準

3

:火山灰層

Ha‑4

Ha5

をはさむシルト中には、多くの内湾棲貝類の印象化石が散在 している

O

シズクガイ

T.fragilis

を優占種とし、チヨノハナガイ

R.pulchellus

、チゴトリガイ

Fulvia ungerfordi

などが随伴する

O

下位の採集層準

2

で認められたカガミガイ

P.japonicum

、サルボウガ イS.

kagoshimensis

、アラムシロガイ

R.festiva

も頻繁に認められる

O

シズクガイ、チヨノハナガイ、

チゴトリガイは脆拐な殻を有し内湾泥底域に生息する種であるが、殻は破砕されておらずその生態 と } 訪 問 の 岩 相 と が 調 和 的 で あ る こ と か ら 、 涼 地 性 の 化 石 と 考 え ら れ る

O

な お 、 イ セ シ ラ ガ イ

Anodon tia  stearnsiana

などの一部の内湾棲ニ枚貝類は生息、姿勢を保持した合弁個体が確認されてい る

O

構成種のほとんどは、内湾の j 朝間帯 浅海域泥底および砂泥底に生息域をもつものであるが、

ヒラシオガマガイ

Diplodontasemiasperoides

は水深

10100m

に生息域を有し、やや沖合を指標する

O

これらのことから、採集層準

3

の堆積環境は湾奥瀬下帯付近からやや沖合の泥底環境と考えられる

O

ヰ舗良化石群集から見た堆讃環境の変遷

入月ほか

(2003)

は堆積相解析および兵形虫化石にもとづき堆積環境を詳細に復元した。堆積層

解析の過程では貝化石の清報も考慮されており、今回報告した著者による貝化活群集の解析と矛盾

するところは特にない。入月ほか

(2003)

によれば、この露頭で観察される層相変化は、河口や湾

(7)

1+1

の頂置層(堆積相I)に始まり、海水準の上昇に伴い、湾奥三角川、!の前置層、底置層、河口 洲、およびその周辺の潮汐低地(堆積相

II)

がその上位に重なる

O

そして、西地医では、その後堆積 場が内湾泥底(堆積相

II

I)に変化したが、東地区はそのまま探層が堆積する湾奥三角州に位置して いたと解釈し、これを河川の流路の変化によるものと推定した。

なお、貝化石群集の解析からは、堆積相

II

7 J 瓦 ら

III

にかけて(すなわちより上位に向かつて)

水深の増加が認められる

O

貝化石採取層準

1

の泥岩層では、ホトトギスガイが自生的に産出し、その 上位にはウミニナ類などの印象化石も認められることから、堆積相

II

の泥質層は j 朝間帯下部付近にお いて堆積したものと推定される

O

貝化石採集層準

2

の砂磯層からは、河口汽水域のヤマトシジ ミや j 朝間帯に生息するオオノガイ、マテガイなどが大量に産出するが、これらは生息姿勢を保持して おらず、上流域から運搬されてきたものと判断できる

O

この

J

深層中にはゴイサギガイのような水深

10 50m

付近の砂泥底に生息する貝類も種数は少ないながら頻繁に産出することから、堆積相

II

を構成す

るこれらの砂磯は沖合の潮下帯以深に流れ込んでいたことが推定される

O

またその上位の貝化石層準

III

のシルト岩からは、同様に水深

10100

mの砂泥底に生息、するヒラシオガマガイが産出することから、

潮下帯以深の泥底環境が推定される

O

これらのことから、堆積相

II

の泥質砂層からその上位の磯層が 堆積する間も引き続き海水準は上昇していたと考えられる

O

なお、堆積相

II

の上部の砂磯層から堆積 相

III

のシルト層にかけては岩相が上方細粒化しているが、双方とも潮下帝以深の環境である

O

貝化石 の示す古水深

10

O m

の精度で、は、その間の層厚がせいぜい

23m

で、あることから、堆積空間の埋積と 古水深の維持の観点でその間の海水準上昇を論じることはできない。堆積相II~III にかけての岩相変 化は、入月ほか

(2003)

の示唆したとおり河川の流路変更によることでも説明可能で、ある

O

5

鱈謝辞

本発掘に参加の機会を与えていただき、また報告の発表の場を与えていただいた静岡大学理学部 の池谷伯之教授に感謝いたします。露頭柱状図については島根大学理工学部の入月俊明助教授に情 報をいただき、貝化石の採集層準上下の岩相変化についてご教示していただいた。現地での堆積相 をめぐる観察については、京都大学理学部の増田富士雄教授に多数のご教示をいただいた。また発 掘を通じて、池谷研究室の西国さなみ、野~ t I l 鳥宏二、田中源吾の諸氏にはさまざまな面で援助いただ いた。発掘現場では、地主の方々の暖かいご援助・ご配慮をいただき、また浜松北高等学校および 国南高校の地学部および指導に当たられた先生方、発掘に参加された地元の市民の皆様にたいへ んお世話になった。なお本発掘は、静岡大学平成

14

年度教育研究基盤校費大学活性化支援経費全学 プロジェクトの援助を受けた。ここに深く感謝の意を表する

O

引用文献

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(8)

地 学 第

87号 (2003 ) 

入月後明・増田富士雄穆池谷1 i U

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(9)

(右ページ)

関版仁浜松撞産貝化石(その 1) .  

1

アサリ Ruditapesp h i l i p p i n a r i u m  (Adams and Reeve) 型右殻外間空

surv

ト CM

80009

2 . ナミマガシワガイ Anomiac h i n θ n s i s  P h i l i p p i :  a ,左殻外商; b ,左殻内面

;surv

crv

ト 80010.

3 銅ヤマトシジミの祖先亜種 C o r b i c u l aj a p o n i c a  s a n d a i f o r m i s  Yokoyama 警右殻外溜型 SUM

CM 召 0011

4

ゴイサギガイ Macomat o k y o e n s i s  Makiyama ,右殻外語宮 SUM

CM 召 0012.

5 ブラウンスイシカゲガイ Clinocardiumbraunsi Tokunag 品左殻外語望 SUM 心 M‑80013 姐

&カガミガイ Phacosomajaponicum (Reeve) 型右殻外商, SUM

CM

80014

にハマグリ M e r e t r i xl u s o r i a  ( R o d i n g ) 望左殻外面望 SUM

CM お 0015

8 . ハイガイア θ g i l l a r c agranosa  し ( i n n a e u s ) 望左殻外面, SUM心 M

80016

9 姐サ j レボウガイ Scapharcakagoshim θ n s i s  (Tokunaga) ヲ左殻外盟事 SUM

CM

80017.

10 舗アカガイ Scapharcab r o u g h t o n i i  ( S c h r e n c k ) 型左殻外語習 SUM

CM

80018

1 1 鑑イタボガキ Ostread θη s e l a m e l l o 却し i s c h k e 望在殻外語型 SUM

CM 品 0019

12 隠マガキ Crassostreag i g a s  (Thunberg) 宮左殻外商望 SUM

CM

80020.

13 鋪マテガイ Sol θ ns t r i c t u s  Gould 型右殻外面型 S U I ¥ / ・ ト CM‑80021.

1 4 . ムラサキガイ S o l e t e l l i n a

a

伊 hos ( L i nnaeus) 型右殻外聞書 SUM

CM‑80022.

1 5 . オオノガイ Mya(Arenomya) a r e n a r i a  oonogai Makiyama 型左殻外商習 SUM

CM‑80023.

1 6 . アカニシ Rapanav θ nosa ( V a l e n c i e n n e s ) 望腹面観, SUM心 M

G0002.

17

ヤカドツノガイ Dentalium(Parad θ n t a l i u m )  octangulatum Donovan

{ 髄 員 期 f 酷観雪 SUM¥ v 1 ト ト . 欄 . 心 C M . 壮 u

¥ A V

幽 幽 芯 幽 幽 幽 幽 嗣

金て採集膳準

2

カ か

3

ら採集傷国示標本は全て静岡大学に所蔵舗

(10)

静 岡 地 学 第 87号 (2003 ) 

(11)

(右べ…ジ)

図版 2 調浜松麗産呉化石(その 2 ). 

1

シズクガイア heoraf r a g i l i s  A .  Adams 望左殻内形雌型,

surv

ト CM

B0024.

2 聞ホトトギスガイ M u s c u l i s t asenhos 但 (Benson) 型右殻内形 i 雄型型 SUM

CM

B0025

3 幽チヨノハナガイ Raet θ l I opusp u l c h e l l u s  (Asams and Reeve) ヲ右殻内形雌, SUM‑CM‑B0026. 

4 . チゴトリガイ F u l v i ah u n g e r f o r d i  (Sowerby) 雪左殻内形 i 雄型書 SUM‑CM‑B0027

5 回ヒラシオガマガイ

D

伊 l o d o n t asemiasp θ r o i d e s  (Nomura) 習左殻内形雌型事 SUM

CM

B0028.

6 . ウメノハナガイ P i l l u c i n ap i s i d i u m  ( D u n k e r ) :  a ,左殻内問; b ,左殻外面; SUM‑CM‑B0029

7 . クシケマスオガイ

θv

natomyat r u n c a t a  ( G o u l d ) ヲ左殻外部, SUM‑CM

B0030.

8 . コメザクラガイ E x o t i c at o k u b e i i  (Habe) ,左殻外面, SUM

CMωB0031.

9 . イボキサゴ、 Umboniumm o n i l i f e r u m   し ( a m a r c k ) :a ,背面観; b ,腹囲観 ;SUM 心 M

G0003.

10 繍カゴメガイ Bed θ vab i r i l θ f f i (しi s c h k e ) :a ,腹酉観;む,背面観 ;SUM 心 M‑G0004.

1 1 欄ハナムシロガイ Zeuxiscastus ( G o u l d ) :  a ,腹面観; b ,背面観 ;SUM 心 M‑G0005.

12 銅スガイ Turbo( L u n e l 伯) c o r n a t u s  c o r e e n s i s   ( 丹 e c l u z ) :a ,背面観; b ,殻口側 ;SUM

CM‑G0006.

1 3 . アうムシ口ガイ Reticunassa

θn

s t i v a  ( P o w y ) :  a ,腹臨観; b ,脊面観; SUM‑

・・

CM‑G0007

1 4 . マメウラシマガイ R i n g i c u l i n ad o r i a l i s  ( G o u l d ) :  a ,腹間観; b ,背面観 ;SUM 心 M‑G0008

時監ツメ夕方、イ Glossauraxdidyma ( R o d i n g ) :  a ,背部観; b ,腹面観 ;SUM 心 M‑G0009.

16 鑑ウミニナ B a t i l l a r i am u l t i f o r m i s   ( L i s c h k e ) :  a ,腹間観; b ,背聞観 ;SUMCM

G0010

1 7 . イボウミニナ B a t i l l a r i az o n a l i s  ( B r u g u i 色 r e ) :a ,腹間観;わ,背面観 ;SUM

CM‑G0011

1 8 . カニモリガイ Rhino c / a v i s( P r o c / a v a )  k o c h i  ( P h i l i p p i ) :  a ,腹部観; b ,背商観 ;SUM心 M

G0012.

1 9 . モミジボうわ qu 信

j

r j e f f e r e y s i  ( S m i t h ) ,腹菌観, SUM

CM

G0013.

1‑‑5までは採集麗準3より,他は採集層準2より採集.図示標本は全て静岡大学に所蔵.

(12)

静 岡 地 学 第 87

号 (

2003 ) 

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