論
説
消 費 税 の 増 税 と 日 本 の 財 政
浦 野 広 明
一序 連
合 軍 総 司 令部
︵ G HQ
︑General Headquarters
︶は
︑ 日 本 の 太平 洋 戦 争 敗北 を 契 機 に 日本 の 占 領 行政 を 行 う た め に設 け ら れ た
︒G H Q は 日本 の 民 主 化
・非 軍 事 化 を規 定 し た ポ ツ ダ ム 宣 言
︵ 四 五 年︶ の 執 行 を 目 的 と
1
︶
し た
︒G H Q の命 で コ ロ ン ビア 大 学 教 授C
・ シ ャ ウ プを 団 長 と する 使 節 団 は
︑四 九 年 と 五〇 年 に 日 本 の租 税 制 度 に関 し て 調 査 を した
︒ そ し て
︑行 っ た の が﹁ シ ャ ウ プ 勧告
﹂ で あ る︒ シ ャ ウ プ 勧 告に よ っ て
︑第 二 次 大 戦 後の 日 本 税 法は
︑ 直 接 税︵ 国 税 にお い て は 法 人 税
︑所 得 税
︶ を 中 心 と す る 体 系 が曲 が り な り にも 四
〇 年 近く 続 い た
︒ 自 民 党 中 曽 根康 弘 内 閣 が掲 げ た
﹁ 戦 後政 治 の 総 決 算
﹂の 目 玉 の 一 つ が 大 型 間 接 税
︵ 消 費 税
︶の 導 入 で あ っ た
︒ 中
曽根 内 閣 は
︑ 八六 年 七 月 の衆 参 同 時 選 挙に お い て
﹁大 型 間 接 税 はや ら な い
﹂と 公 約
︑ 衆 院で 三
〇
〇 議席 を 獲 得 し た︒ しか し そ の 舌 の根 の 乾 か ぬ同 年 一 二 月
︑中 曽 根 内 閣は 売 上 税 と いう 名 の 大 型間 接 税 の 導 入を 決 め た ので あ っ た
︒ 消 費 税
︵間 接 税
︶ が直 接 税 と 根 本的 に 違 う のは
︑ 間 接 税 は意 に 反 し て 税 金 を 取 ら れ る と い う こ と で あ る
︒従 来 の 料理 飲 食 等 消 費税
︵ 料 飲税
︶ の よ うな 個 別 間 接税 で あ れ は
︑ぜ い た く を し た い 人 は 高 い 料 飲 税 を 覚 悟 し て 高 級 料 理 を食 べ る
︑ そ れが い や な ら普 通 の 料 理 でが ま ん す ると い う よ う に︑ 個 人 の 意思 で 選 ぶ こ とが で き る ので あ る
︒ と こ ろ が
︑ 消費 税 は あ らゆ る 物 や サ ービ ス に つ いて 一 律 の 税 率で 課 す 税 であ り
︑ 選 択 の余 地 が な い︒ 生 存 権 を 原 点と す る 自 由 権の 侵 害 を する の で あ る︵ 憲 法 二五 条
︑ 二九 条 違 反︶
︒ 一 律 の 税 率 は︑ 高 所 得 者が 得 で
︑ 貧 しい 者 が 損 をす る 逆 累 進 の税 で あ る
︒所 得 を 課 税 対 象 と す る 所 得 課 税
︵国 税 の 場 合︑ 所 得 税
・ 法 人 税︶ で あ れ ば 課 税 対 象 を 総 合 的 に と ら え︑ 高 所 得 に 高 く︑ 低 所 得 者 に 低 い 累 進 税 率 を 採 用 す るこ と に よ り
︑福 祉 を 充 実さ せ る 所 得 再分 配 を 可 能に す る
︒ 八 七 年 四 月 の統 一 地 方 選挙 は 売 上 税 が争 点 と な り︑ 公 約 に 違 反し た 自 民 党は 敗 北 し
︑ 同年 五 月 に 売上 税 は 廃 案 と なっ た
︒ 中 曽 根内 閣 は 八 七年 一 一 月 六 日に 総 辞 職 に追 い 込 ま れ た︒ そ し て 中曽 根 氏 は 次 の自 民 党 総 裁に 竹 下 登 氏 を 指名 し た の で あっ た
︒ 竹 下 登 内 閣 は︑ 中 曽 根 氏が 大 型 間 接 税は や ら な いと 国 民 を だ まし て 獲 得 した 三
〇
〇 議 席を 力 に し て︑ 八 八 年 一 二 月二 四 日
︑ 公 約違 反 の 消 費税 導 入 を 柱 とす る 税 制 改革 法 案 を 強 行成 立 さ せ た︒ こ の 竹 下 内閣 も 消 費 税導 入 や リ ク ル ート 事 件
︵未 公 開 株 をめ ぐ る 贈収 賄 汚 職︶ に 対 す る世 論 の 反 発 で︑ 八 九 年 六月 に は 退 陣 に追 い 込 ま れ た︒ 村 山 富 市 内 閣
︵自 民
︑ 社 会
︑新 党 さ き が け 連 立︶ は
︑ 九 四 年 一 一 月 二 五 日 に 消 費 税 を 三
% か ら 五
%
︵ 一
% は 地 方 消 費 税
︶ に 引 き上 げ る 改 定を 行 な っ た
︒増 税 の 実 施は 九 七 年 四 月一 日 と な って い た が
︑ 増 税 法 の 附 則 は 一 九 九 六 年 九
月末 を 期 限 と して
︑ 税 率 を上 げ る か
︑ また 下 げ る か と い う
﹁ 検 討︵ 見 直 し
︶ 条 項
﹂ を 定 め て い た
︒ 検 討 条 項 は
︑ 消 費税 と 新 設 さ れる 地 方 消 費税 の 税 率 に つい て
︑﹁ 社 会 保 障 等 に 要 す る 費 用 の 財 源 を 確 保 す る 観 点
︑ 行 政 及 び 財 政 の 改革 の 推 進 状 況︑ 租 税 特 別措 置 等 及 び 消費 税 に 係 る課 税 の 適 正 化の 状 況
︑ 財政 状 況 な ど
﹂を 総 合 的 に勘 案 し て 検 討 を 加 え る と い う も の だ っ た︵ 平 六 法 一
〇 九 附 則 二 五 条
︑ 平 六 法 一 一 附 則 一 二 条
︶︒ 当 時
︑朝 日 新 聞 は 社 説 で
︑﹁ 五
% へ の増 税 と 来 春 の実 施 を 当 然視 し
︑ い ま の時 期 に 固 めき っ て し ま うの は 問 題 だ︒ 消 費 税 法 を改 正 し た とき に 盛 り 込 ま れ た 検 討 項 目 の 論 議 が 不 十 分 な ま ま
︑ 政 治 的 思 惑 か ら 既 成 事 実 化 を 急 い で い る よ う に 見 え る た め だ﹂ と し て 検 討
︵ 見 直 し︶ を し な い まま の 五
% ア ップ に 疑 問 をな げ か け て いた
︵ 九 六年 五 月 一二
︒︶ こ の 検 討・ 見 直 条 項 につ い て は︑ 増税 法 を 成 立 させ た 村 山 首相 自 身 が
︑﹁ 引 き 下 げ 可 能 な の か 等 々 も ふ く め て 十 分 検 討 せ な き ゃ な ら ぬ と い ふ う に 思 って お り ま す
﹂ と 約 束 し て い た︵ 衆 議 院
﹁ 税 制 改 革 に 関 す る 特 別 委 員 会
﹂九 四 年 一
〇 月 二 四 日︶
︒し か し︑ 約 束 を 果 た さず 九 六 年 一 月一 一 日 突 然辞 任 し
︑ 自 民党 の 橋 本 龍太 郎 氏 が 後 継首 相 に な った
︒ 橋 本 内 閣は
︑ 附 則 が九 六 年 九 月 末 を期 限 と し て いた
﹁ 検 討︵ 見 直 し︶ 条 項
﹂︑ を 無 視 し て 九 七 年 四 月 一 日 か ら の 消 費 税 の 増 税
︵ 三
% か ら 五
%︶ を 強 行 した の で あ っ た︒ 自 公 政 権 は
〇九 年 度 税 制改 正 大 綱 で
﹁消 費 税 を 含む 税 制 抜 本 改革 を 経 済 状況 の 好 転 後 に速 や か に 実施
﹂ す る と し た︵
〇 八 年一 二 月 一二 日
︶︒ 消 費 税の 増 税 に 反発 し た 国 民 の反 撃 を 受 けて
︑ 総 選 挙︵
〇 九 年八 月 三
〇日
︶ で 自 民 は 公 示 前三
〇
〇 議 席 から 一 一 九 議席 と 惨 敗
︑ 公明 は 三 一 議席 か ら 二 一 議席 に
︒ こ の選 挙 に 当 た って
︑ 民 主 党の 鳩 山 代 表 は︑ 四年 間 消 費 税 の増 税 を 中 止す る と
﹁ 公 約﹂ し て い たこ と か ら
︑ 民主 党 は 選 挙前 の 一 一 五 議席 か ら 三
〇八 議 席 に 大 躍 進し
︑ 政 権 を 獲得 し た
︒ し か し
︑ 四 年間 消 費 税 の増 税 を 中 止 する と の
﹁ 公約
﹂ も む な しく
︑ 民 主 党野 田 内 閣 は 一二 年 三 月 三〇 日
︑ 消 費 税
増税 法 案 を 国 会に 提 出 し た︒ 同 年 六 月 二一 日 に は
︑民 主 党 の 輿 石 東 幹 事 長
︑ 自 由 民 主 党
︵自 民 党
︶ の 石 原 伸 晃 幹 事 長︑ 公 明 党 の 井上 義 久 幹 事長 が
︑ 消 費 税増 税 に つ い て 合 意 し
︑﹁ 三 党 確 認 書
﹂︵ 三 党 合 意︶ に 署 名 し た︒ 三 党 合 意 に 基づ い て
︑﹁ 社会 保 障 の 安 定財 源 の 確 保等 を 図 る 税 制の 抜 本 的 な 改 革 を 行 う た め の 消 費 税 法 等 の 一 部 を 改 正 す る 等 の法 律 案
﹂︵ 消費 税 増 税法 案
︶ は
︑一 二 年 六 月 二六 日 に 衆 院 で三 党 の 賛 成に よ り 可 決
︑同 年 八 月 一
〇 日 に 参 院 で 可 決 成立 し た
︒ 消 費 税 増 税 法は
︑ 消 費 税率 に つ い て︑ 二 条 に お い て︑ 一 四
︵ 平 成 二 六
︶年 四 月 に 八
%
︹消 費 税 六
・ 三
%
・地 方 消 費 税 一
・ 七
%
︺ と す る
︑三 条 に お い て
︑ 一 五︵ 平 成 二 七
︶ 年 一
〇 月 に 一
〇
%
︹消 費 税 七
・ 八
%
・地 方 消 費 税 二
・二
%︺ とす る と し て いた
︒ 民 主 党は 一 二 年 に 消費 税 増 税︵ 五
% を 八% そ し て一
〇
% にす る
︶ を 決 め た が
︑ 衆 議 院 選 挙 で 二 三
〇議 席 か ら 五 七議 席 に︵ 一 二 年 一 二 月 一 六 日
︑︶ 参 院 選 挙 で 改 選 議 員 が 四 四 議 席 か ら 一 七 議 席 に 激 減 し た
︵一 三 年 七 月 二 一 日︶
︒ 世 界 で 初 め て大 型 間 接 税︵ 消 費 税︶ を 導 入 した の は
︑ ド イ ツ︑ フ ラ ン ス で あ り
︑第 一 次 世 界 大 戦 の 戦 費 調 達 を 目 的と し た も の であ っ た
︒ 八二 年 末
︑ 長 らく 総 理 候 補と し て 取 り ざ た さ れ て き た
﹁ 三 角 大 福 中
﹂︵ 三 木︑ 田 中
︑ 大 平︑ 福 田
︑ 中曽 根
︶ の 最 後で あ る 中 曽根 康 弘 氏 が 田 中 角 栄 元 首 相 の 支 援 を 受 け て 総 理 大 臣 に 就 任 し た
︒ 中 曽 根 氏 は
︑ 首 相就 任 後 の 国 会で の 施 政 方針 演 説 で
︑﹁ 日 本 は 今
︑ 戦後 史 の 大 きな 転 換 点
﹂ にあ る と 強 調し
︑﹁ 従 来 の基 本 的 な 制 度 や仕 組 み を タ ブー な く 見 直す
﹂ と 述 べ た︒ い わ ゆ る﹁ 戦 後 政 治 の総 決 算
﹂ 路線 で あ る
︒ 中 曽 根 氏 は
﹁戦 後 政 治 の総 決 算
﹂ と して
︑ 同 時 代の レ ー ガ ン やサ ッ チ ャ ーと 同 様 に 新 自由 主 義 の 政策 を と っ た
︒ 政 策 は ま ず 社 会 保 障 の 切 捨 て︑ 軍 事 化 を 進 め た
︒中 曽 根 氏 は 就 任 早 々 訪 米 し
︑レ ー ガ ン 大 統 領 と の 会 談 に お い て
﹁日 米 両 国 は 運命 共 同 体
﹂で あ る と の 認識 を 示 し
︑ソ 連 の 侵 攻 があ る 場 合 は日 本 列 島 を
﹁浮 沈 空 母
﹂に し 太 平 洋 に
通 じ る 三 海 峡 を 封 鎖 す る と 発 言 し た
︒ ま た︑ 日 本 は 武 器 輸 出 禁 止 政 策 を 採 っ て い た が
︑ ア メ リ カ の 要 請 に 答 え
︑
﹁安 保 条 約 を 優先 さ せ る
︒同 盟 国 た る アメ リ カ に 対し て 技 術 協 力す る こ と に何 ら 問 題 な い﹂ と し て
︑ア メ リ カ に 限 って は 技 術 供 与を 解 禁 し た︒ さ ら に
︑ 防衛 費 を 大 幅増 額 さ せ た
︒サ ミ ッ ト でも
︑ ア メ リ カ主 導 に よ る西 側 の 軍 事 力 強化 を 側 面 支 援し た
︒ 安 倍 晋 三 首 相は
︑ 一 五 年二 月 一 二 日 第 三 次 安 倍 内 閣 発 足 後 初 の 施 政 方 針 演 説 を 行 な
2︶
っ た
︒ 演 説 は
︑﹁ 農 政 改 革
﹂ の強 行
︑ 原 発 再稼 働
︑﹁ ア ベノ ミ ク ス
﹂の 推 進︑ 消 費 税 の 増 税︑ 社 会 保 障 や 労 働 法 制 の 改 悪
︑ 沖 縄 で の 米 軍 新 基 地 の建 設
︑ 安 保 法制 の 整 備 や憲 法 の 改 定 まで
﹁ 戦 後 以来 の 大 改 革
﹂の 名 で 持 ち出 し て い る
︒新 政 権 発 足後 に お い て 所 信表 明 演 説 を 行っ て こ な かっ た 首 相 は︑ 施 政 方 針 演 説 の 冒 頭
︑﹁ こ の 道 を︑ さ ら に 力 強 く︑ 前 進 せ よ﹂ と い う の が 総選 挙 で 示 さ れた 国 民 の 意思 だ と 強 弁 し︑ 内 政
・ 外交 な ど
︑﹁ 戦後 以 来 の 大 改革
﹂ を 進 めて い く と い うの で あ る
︒ 1
︶ 一 五 年五 月 二〇 日 に国 会 で 行な わ れた 党 首討 論 にお い て 日本 共 産党 の 志位 和 夫委 員 長 は︑ 安 倍首 相 に日 本 の過 去 の 戦 争 を
﹁世 界 征服
﹂﹁ 侵 略
﹂ と規 定 した
﹁ ポツ ダ ム宣 言
﹂ を示 し
︑﹁ 宣 言 の︵ 間 違っ た 戦争 と いう
︶ こ の認 識 を認 め ない の か﹂ と 質 問 し た
︒安 倍 首相 は
﹁ポ ツ ダム 宣 言 詳 ら か に 承 知 し て い な い
﹂と 応 じ た
︒ こ の やり と り に つ い て 朝 日 新 聞 の
﹁天 声 人 語
﹂ は 次 の よ うに 述 べ て いる
︵ 一五 年 五月 二 二日
︶︒ この 人 は手 だ れだ
︒ 慶応 大 教 授の 松 井孝 治 さん は 官僚 時 代
︑首 相 官邸 に 勤務 し てい て そ う感 じ たと い う︒ 共 産党 の 志 位 和夫 委 員 長 の国 会 での 質 問ぶ り であ る
︒ 自身 は 保守
︑ 志位 氏 は革 新 と 立場 は 異な る が︑ そ の力 量 は わか っ た▼ 今 回も 手 だれ ぶ り を 見せ た と い うべ き か︒ 一 昨日 の 党首 討 論 につ い て︑ 松 井さ ん がフ ェ イ スブ ッ クに 書 いて い る︒ 安 倍 首相 は ま さ に志 位 氏の 術 数 に はま り 恰 も 王手 飛 車取 り に遭 っ た如 き 感 があ る と
▼ 論題 は 首相 の 戦 争観 だ った
︒ 志位 氏 は一 九 四 五年 に 日本 が 受諾 し たポ ツ ダ ム 宣言 に 触 れ
︑先 の 戦争 は 間違 っ てい た と 認め る かと た だし た
︒首 相 は 答 弁 し た︒
﹁ ま だ そ の 部 分 を つ ま び らか に 読 ん で い な い の で
︑直 ち に 論 評す る こと は 差し 控 えた い
﹂
▼志 位 氏は 宣 言の 個 別の 項 目 に 言 及 し た︒ 細 か い 文 言 の 記 憶 が 首 相 に なく て も 不 思 議 は な い
︒﹁ 手 元 に用 意 がな い
﹂な ど とか わ す 手も あ った ろ う︒ し かし
︑﹁ 読ん で いな い
﹂ はい か にも 具 合が 悪 い︒ 米 英 や中 国 の人 々 が 聞 い た ら︑
ど う思 う だろ う か▼ ポ ツダ ム 宣 言は 戦 後の 世 界秩 序 の 起 点 の 一 つ だ︒ 首 相 は そ れ も 読 ま ず に︑
﹁ 戦 後 体制 か ら の 脱 却
﹂ を 唱え て き た のか と いう 批 判が 出 たの は 当 然で あ る︒ 基 本的 な 歴史 の 知 識す ら 欠く の では
︑ と疑 わ れ ても 仕 方が な い▼ 本 当に 読 ん で いな い の か
︑と っ さに 言 葉を 選 び損 ね た だけ な のか
︒ 参院 議 員や 官 房 副 長 官 も 務 め た 松井 さ ん は 著 書 に 書 い て い る
︒﹁ 政 治 家 は
︑ 言葉 で 生 き
︑言 葉 で滅 び る﹂
︒ ま して 首 相の 言 葉は 重 い
︒ 2
︶ 東 京 新聞 は
﹁暮 ら し抑 え
︑ 防衛 重 視︑ 安 倍政 権
︑予 算 案 決定
﹂ の見 出 しで 次 のよ う に 報じ て いる
︵ 石川 智 規記 者 一 五 年一 月 一 五 日︶
︒ 政府 は 一四 日
︑歳 出 総額 が 九 六兆 三
︑四 二
〇 億円 と 過去 最 高を 更 新 す る 二
〇 一 五 年 度 予 算 案 を 閣議 決 定 し た
︒ 予 算 案 は 集団 的 自 衛 権の 行 使容 認 を踏 ま えて 防 衛 予算 を 三年 連 続増 の 過去 最 高 額と し
︑外 交 予算 も 約二
〇
〇 億円 増 額す る など
︑ 安倍 晋 三 首 相の 意 向 を 色濃 く 反映
︒ 政権 が 掲げ る 地 域活 性 化策 の
﹁地 方 創生
﹂ の 事業 に も計 三 兆円 を つけ た
︒ 半面
︑ 政府 の 安全 保 障政 策 に 反 対す る 沖 縄 県の 振 興予 算 は減 ら し︑ 生 活 保護 費 を一 部 で減 額 する な ど 暮ら し を支 え る経 費 は抑 制 し た︒ 防 衛予 算 は前 年 度比 二
・
〇
%増 の 四 兆 九︑ 八
〇一 億 円
︒ス テ ルス 戦 闘機 F 35な ど の 攻撃 型 の武 器 に 加 え
︑ 海上 警 備 の た め の 新 型 哨 戒 機
﹁P 1
﹂ を 二
〇 機 購 入 する た め 三
︑五
〇 四億 円 を 計上 す るな ど した
︒ 政府 は P 1に つ い て
﹁機 体 を 長 期 契 約
︵七 年 間
︶ で ま と め 買い す る こ と で 経 費 を 抑 え た
﹂と 説 明す る が︑ 長 期契 約 によ っ て 次年 度 以降 も 予算 を 計上 し 続 ける 必 要が 生 じ︑ 防 衛費 が 膨 らみ 続 ける 要 因に な る︒ 外 交 関 係の 予 算 で は︑ 戦 後七
〇 年に な るこ と な どを 踏 まえ て 海外 へ の日 本 に 関す る 情報 の 発信 を 強化
︒ 海 外で 対 日世 論 調査 を 行う ほ か
︑ 安倍 首 相 の 外国 訪 問関 係 費を 約 四億 円 増 の一 三 億円 と した
︒ 一方 で
︑ 沖縄 振 興 予 算 は 前 年 度 か ら 一 六 二 億 円 減 らし 三
︑三 三 九 億 円 と し た︒ 政 権の 基 地政 策 に反 対 する 翁 長 雄志 知 事が 当 選し た 影響 と み ら れ る︒
﹁ ア ベ ノ ミ ク ス﹂ の 流 れ を 地 方 に 広 げ よ う と い う 地 方創 生 関 連 には 約 三兆 円 を投 じ る︒ こ の うち 約 一兆 円 は人 口 減対 策 や 人材 育 成な ど に自 治 体が 取 り 組む 事 業に 使 うが
︑ 地方 へ の ば らま き に 終 わる 懸 念も あ る︒ 生 活保 護 費 では
︑ 賃貸 住 宅の 家 賃補 助 な どに あ たる
﹁ 住宅 扶 助費
﹂ と
︑暖 房 費に あ たる
﹁ 冬季 加 算
﹂ を 減 額︒ 介 護報 酬 の二
・ 二七
% 引き 下 げ や︑ 健 康保 険 組合 が ない 企 業 に 勤 め る 人 が 加 入 す る
﹁全 国 健 康 保 険 協 会
︵協 会 け ん ぽ
︶﹂ への 国 庫 補 助の 削 減に も 踏み 切 り︑ 社 会 保障 の 自然 増 を約 四
︑一
〇
〇 億円 圧 縮し た
︒ 政府 予 算案 に 対し 安 倍首 相 は 一四 日
︑﹁ 社 会 保 障の 充 実 に 最大 限 取り 組 んだ
﹂ と自 己 評 価し た
︒だ が
︑暮 ら しや 弱 者 への 予 算配 分 は先 細 りの 一 途 をた ど って い る︒
二 安 倍 内 閣 の 税 制改 定 方 向 税
制 改 定 大 綱は そ の 年 度以 後 の 税 制 の方 向 を 示 すも の で あ る
︒過 去 二 年 間の 大 綱 は 次 のよ う に 述 べて い る
︒ ま た 一三 年 度 税 制 改定 に よ る 相続 税 制 が 一 五年 一 月 か ら施 行 さ れ る 問題 も 見 過 ごせ な い
︒
⑴ 二
〇 一 四 年度 税 制
﹁ 改定
﹂ 大 綱 一 四 年 度 税 制改 定 大 綱 は︑ 消 費 税 率 につ い て
︑ 一四 年 四 月 に 八%
︑ 一 五 年一
〇 月 に 一
〇% に 引 き 上げ る が
︑ 消 費 税の 軽 減 税 率 は﹁ 税 率 一
〇% 時 に 導 入 する
﹂ と し て︑ 具 体 的 な 時期 は 明 記 せず
︑ 一 四 年 一二 月 ま で に詳 細 を 検 討 す る と し た
︒復 興 特 別 法 人 税 は 一 四 年 度 末 ま で と さ れ て い た 復 興 特 別 法 人 税 を 一 三 度 末 ま で 一 年 前 倒 し で 廃 止 す る
︵ 八
︑〇
〇
〇 億 円 の 減 税︶
︒交 際 費 の 損 金 算 入 が 認 め ら れ て い な い 資 本 金 一 億 円 超 の 大 企 業 に つ い て
︑ 飲 食 代 の 半 額 を損 金 と し て 認め る
︒ 安 倍政 権 が
﹁ 成 長戦 略
﹂ と して 掲 げ る 国 家戦 略 特 区 では
︑ 企 業 の 設備 投 資 や 研究 開 発 な ど へ の減 税 を 他 の 地域 よ り 拡 充す る
︒ 自 動 車業 界 の 要 望に 応 え て
︑ 自動 車 取 得 税を 引 き 下 げ
︑消 費 税 が 一〇
% に な っ た 段階 で 廃 止
︒ 新車 登 録 か ら一 一
〜 一 三 年た っ た デ ィー ゼ ル 車
・ ガソ リ ン 車 の自 動 車 税 を 引き 上 げ る
︒軽 自 動 車 や 自 動二 輪 車 に 課 せら れ て い る軽 自 動 車 税 を増 税
︒ 二 輪車 は 全 保 有 者を 対 象 に 税率 を 一
・ 五
〜二 倍 に 引 き上 げ る
︒ 法 人 実効 税 率 に つ いて は
︑﹁ 競 争力 の 向 上 の た め
﹂ に
﹁引 き 下 げ る 環 境 を 作 り 上 げ る
﹂ こ と が 重 要 だ と 明 記 し
︑さ ら な る引 き 下 げ を 目指 し た
︒
⑵ 二
〇 一 五 年度 税 制
﹁ 改正
﹂ 大 綱 以 下 は 一 五 年度 大 綱 の 主な 問 題 点 で あ る
︑﹁ 消 費 税 増 税 の 固 定 化
﹂︑
﹁ 大 企 業 の 法 人 実 効 税 率 の 引 き 下 げ
﹂︑
﹁富 裕
層向 け 贈 与 税 負担 減
﹂ に しぼ っ た も の であ る
︒
① 消 費 税 増税 の 固 定 化 消 費 税 増 税 法 は
︑ 民 自 公 の 三 党 合 意 を 背 景 と し て 一 二 年 八 月 一
〇 日 に 成 立 し た
︒同 法 は
︑ 二 条 に お い て︑ 一 四
︵ 平 成 二 六
︶ 年 四 月 に 八
%
︹ 消 費 税 六
・三
%
・ 地 方 消 費 税 一
・七
%︺ と す る
︑ 三 条 に お い て
︑ 一 五
︵ 平 成 二 七︶ 年 一
〇月 に 一
〇
%︹ 消 費 税七
・ 八
%・ 地 方 消費 税 二
・二
%
︺ に す る と 規 定 し た
︒た だ し 税 率 の 引 上 げ に は 前 提 が あ っ た
︒ つま り
︑ 消 費 税増 税 法 附 則一 八 条 三 項 は︑
﹁ 消 費 税 率の 引 上 げ 施 行 前 の 経 済 状 況 を 勘 案 し て 税 率 引 き 上 げ を 停 止 す ると
﹂ 規 定 し てい る
︒ 大 綱は
﹁ 消 費 税 増 税 法
﹂ を﹁ 消 費 税 率
︵ 国
・地 方
︶ の 一
〇
% へ の 引 上 げ 等 の 施 行 日 を 平 成 二 九年 四 月 一 日 とす る
﹂ お よび
﹁ 附 則 第 一八
条 第 三 項を 削 除 す る﹂ と 改 定 す ると し た
︒
② 大 企 業 の法 人 実 効 税率 の 引 き 下 げ 大 綱 は 法 人 実 効 税 率
︵ 国 税 と 地 方 税 を 合 わ せ た 税 率= 標 準 三 四
・ 六 二
%︶ を 一 五 年 度 に 二
・ 五 一
% 引 き 下 げ て 三 二・ 一 一
% と し︑ 一 六 年 度ま で の 二 年 間で 三
・ 二 九% 引 き 下 げ て三 一
・ 三 三%
% と す る
︑そ の 後 数 年で 二
〇
% 台 を 目指 す と し た
︒法 人 課 税 は一 五 年 度 か ら二 年 間 に わた り 合 計 四
︑二
〇
〇 億 円 減税 と な る
︒ 一 方 で 全 法 人の 九 九
% を占 め る 中 小 法人
︵ 資 本金 一 億 円以 下
︶ へ の課 税 に つ い て は
﹁ 幅 広 い 観 点 か ら 検 討 を 行 う﹂ とし て
︑ 課 税 強化 の 方 向 を打 ち 出 し て いる
︒ 大 企 業を 潤 す だ け の減 税 の た め︑ 利 益 は な くて も 資 本 金や 給 与 総 額 で 課税 額 を 決 め る外 形 標 準 課税 の 強 化 や
︑赤 字 を 出 した 企 業 が 欠 損金 と 黒 字 を相 殺 で き る 繰越 控 除 の 見直 し で
︑ 赤 字 企業 や 中 堅
・ 中小 企 業 に まで 負 担 を 押 し付 け よ う とし て い る
︒
③ 富 裕 層 向け 贈 与 税 負担 減 大 綱 は 株 式 譲渡
︑ 高 齢 者層 が 子 や 孫 に資 産 を 移 転し た 場 合 の 贈与 税 優 遇 の拡 充 を 指 摘 する
︒ と り わけ 目 立 つ の は
住宅 資 金 の 贈 与税 非 課 税 を最 大 三
︑〇
〇〇 万 円 へ の 拡 大 で あ る︒ 贈 与 税 が な け れ ば
︑ 生 前 に 財 産 を す べ て 贈 与 し て おけ ば
︑ 相 続 開始 の 時 点 で課 税 さ れ る べき 財 産 は ゼロ に な り
︑ 相続 税 が か から な い
︒ こ のよ う な こ とを 防 ぐ た め に 設け ら れ て い るの が 贈 与 税で あ る
︒ 相 続税 や 贈 与 税は 富 の 集 中 や固 定 を 防 ぐ役 割 を 持 つ が︑ 贈 与 税 の非 課 税 の 拡 大 は︑ 富 裕 層 の 相続 税 を 減 税す る こ と に 連動 す る
︒
⑶ 改 定 相 続 税法 の 施 行 国 民 が 生 き てゆ く た め にな く て は な ら な い 財 産 を 生 存 権 的 財 産 と い う
︒ 生 存 権 的 財 産 は
︑ 生 存 権
︵ 憲 法 二 五 条︶ を原 点 と す る 財産 権
︵ 同二 九 条
︶ のこ と で
︑ 憲 法 が 保 障 す る﹁ 人 権 と し て の 財 産
﹂ で あ る︒ 相 続 税 は︑ 被 相 続 人 の 遺産 額 が 一 定 の金 額 に 達 しな け れ ば 課 税さ れ な い
︒こ の 一 定 の 金額 が 相 続 税の 課 税 最 低 限と な る 遺 産に 係 る 基 礎 控 除で あ る
︒ 基 礎控 除 は 相 続税 に よ っ て 生存 権 的 財 産が 奪 わ れ な いた め の 制 度で あ る
︒ 九 四年 度 税 制 改定 で 相 続 税 の 基礎 控 除 は
︑ 五︑
〇
〇
〇 万 円に 法 定 相 続人 一 人 に つ き一
︑〇
〇
〇 万円 を 加 算 した 金 額 と な った
︒ と こ ろ が 一 三年 度 税 制 改定 に よ っ て
︑基 礎 控 除 額は
︵ 三
︑〇
〇
〇万 円
+ 六〇
〇 万 円
×法 定 相 続 人 の 数
︶ と 四 割 も 減 ら され た
︵ 一五 年 一 月 以 降 の 相 続 か ら 実 施
︶︒ 相 続 税 は 累 進 税 率 を 適 用 し て 富 の 再 分 配 を 行 う と い う 役 割 を に
1
︶
な う
︒ 相 続税 が 採 用 し てい る 累 進 税率 の 一 種 で ある 超 過 累 進課 税 は
︑ 課 税対 象 に 段 階的 な 区 分 を 設け
︑ そ の 段階 ご と に 異 な る税 率 を 適 用 する 方 式 で ある
︒ 一 五 年 から 相 続 税 の最 高 税 率 は 五〇
% か ら 五 五
% に な る
︵課 税 価 格 六 億 円 超︶
︒こ の 改定 を 富 裕 層 増税 だ と い うが と ん で も ない
︒ こ ん な税 率 改 定 は 富裕 層 増 税 でな い
︒ な ぜ なら
︑ 相 続 税の 最 高 税 率 は︑
〇二 年 ま で 一
〇%
︑ 一 五
%︑ 二
〇
%
︑ 二五
% か ら 出発 し て
︑ 各 相続 人 の 法 定相 続 分 が 五 千万 円 超
〜 一億 円 以 下
=
三〇%
︑ 一 億 円 超〜 二 億 円 以下
=
四
〇
%
︑二 億 円 超
〜四 億 円 以 下
=
五〇
%
︑ 四億 円 超
〜 二
〇億 円 以 下
=
六〇
%
︑ 二
〇 億円 超
=
七〇
%だ っ た の であ る
︒ 一 五 年か ら 税 率 を少 し 変 え て も︑ 依 然 と して 上 の 部 分 の税 率 は 低 く︑ 富 裕 層 優 遇
とな っ て い る
︒相 続 税 の 税率 は
︑
〇 三 年か ら 引 き 下げ ら れ
︑ 一
〇% か ら は じま り
︑ 五 千 万円 超
〜 一 億円 以 下
=
三〇
%︑ 一 億 円 超
〜三 億 円 以 下
=
四〇
%
︑ 三億 円 超
=
五〇% と 改 定 され た
︒ そ れに よ っ て
︑ 二〇 億 円 超 の相 続 税 率 が 七
〇% か ら 五
〇
%へ と 二
〇
%も の 巨 額 減 税と な っ た ので あ る
︒ 富 裕層 増 税 と いう な ら
︑ 憲 法の 応 能 負 担原 則 に 則 り 超 高額 相 続 に お ける 相 続 税 の累 進 構 造 強 化を す べ き であ る
︒ 一 二 年 中 に 亡く な っ た 人は 約 一 二 六 万人 で あ る が
︑ こ の う ち 相 続 税 の 課 税 対 象 と な っ た 被 相 続 人 数 は 約 五 二
︑〇
〇〇 人 で
︑ 課 税割 合 は 四
・二
% と な っ てい た
︒ 四
・二
% で 済 ん で い る の は
︑ 小 規 模 宅 地 の 評 価 割 引 制 度
︵小 規 模 宅 地 割 引
︶ と基 礎 控 除 が ある か ら で ある
︒ 応 能 原 則に 基 づ く 相続 税 の 改 正 は︑ 課 税 割 合 の 増 加 を 追 い 求 め る の で は な く︑ 累 進 税 率 の復 活 こ そ が重 要 な の で ある
︒ 小 規 模 宅 地 割引 は
︑ 被 相続 人 の 事 業 や居 住 の 用 に供 さ れ て い た一 定 の 宅 地に つ い て
︑ 相続 税 の 課 税対 象 に し な い 制度 で あ る
︒ 一〇 年 度 税 制改 定 は 相 続 人が 相 続 税 の申 告 期 限 ま で事 業 や 居 住を 継 続 し な い場 合 に は 適用 し な い と し︑ 小規 模 宅 地 割 引の 適 用 範 囲を 縮 小 し た
︒相 続 財 産 のう ち で 大 き な割 合 を 占 める の は 自 宅 や小 規 模 事 業用 の 土 地 建 物 であ る
︒ 基 礎 控除 の 引 き 下げ と 小 規 模 宅地 割 引 縮 小は 多 く の 都 市住 民 の 生 存を 脅 か す
︒ こ の 不 安 に 乗じ て 盛 ん なの が 相 続 対 策ビ ジ ネ ス であ る
︒ 新 聞 や雑 誌 は
︑ 相続 対 策 セ ミ ナー
︑ 不 動 産投 資
︑ 生 命 保 険の 利 用 な ど の宣 伝 が な され て い る
︒ これ ら は 相 続税 を ビ ジ ネ スと す る 企 業の 儲 け に な って も
︑ 相 続人 の 利 益 と 相 いれ な い も の が多 い
︒ た とえ ば 借 金 を して 賃 貸 住 宅を 建 設 し て 相続 財 産 の 評価 を 下 げ て も︑ 肝 心 の 賃貸 が う ま く い かな い な ど 対 策を す る 人 にと っ て は 危 険が 伴 う こ とが 多 い の で ある
︒ 最 大 限の 注 意 が 必 要で あ る
︒ 土 地 の 相 続 税評 価 額 は 土地 の 売 却 額 に基 づ き 算 定さ れ て い る が︑ 土 地 が どの よ う に 利 用さ れ て い るか に よ っ て 評 価額 を 決 め る べき で あ る
︒応 能 原 則 か らい え ば 売 るこ と を 予 定 しな い 生 存 権的 財 産 は 非 課税 に す る
︑そ し て 大 き な
利益 を 生 む 巨 大ビ ル の 敷 地は そ の 収 益 を基 準 に 評 価額 を 定 め る こと が 重 要 にな る
︒ 社 会 保障 制 度 改 革国 民 会 議 が 一 三年 六 月 三
〇 日首 相 官 邸 で開 か れ た が
︑そ こ で 安 倍首 相 の ブ レ ーン と し て 知ら れ る 同 会 議の 委 員 の 伊藤 元 重
・ 東 大 教授 は
﹁ 死 亡 消費 税
﹂ の 提起 を
2
︶
し た
︒ 相 続 税 の 基 礎 控 除 は 一 四 年 ま で は︵ 五
︑〇
〇
〇 万 円
+ 一
︑〇
〇
〇 万 円
× 法 定 相 続 人 の 数︶ で あ っ た
︒一 五 年 一 月 一 日 以後 は こ の 基 礎控 除 が 四
〇% 引 き 下 げ られ た
︒ 遺 産が 基 礎 控 除 の範 囲 内 に おさ ま れ ば 相 続税 は か か らな い
︒ 伊 藤 教 授の 提 唱 す る 珍無 類 な 死 亡消 費 税 は
︑ 基礎 控 除 内 の遺 産 で 相 続 税が か か ら ない 庶 民 を 狙 い撃 ち に し た新 種 の
﹁ 相 続 税﹂ で あ る と いえ よ う
︒ なぜ 死 亡 消 費 税と 呼 ぶ か と言 え ば
︑ 相 続税 の 基 礎 控除 内 の 遺 産 に消 費 税 率 を乗 じ た 額 の 課 税を す る か ら であ る
︒ 一 五 年 に 夫 が亡 く な り
︑相 続 人 が 配 偶者 と 子 供 二人 で あ れ ば
︑基 礎 控 除 は四
︑八
〇
〇 万円 で あ る
︒ 仮に 遺 産 が 四︑
〇〇
〇 万 円 で あっ た ら 相 続税 は か か ら な い
︒ と こ ろ が 死 亡 消 費 税 が 導 入 さ れ た ら
︑ 四
︑〇
〇
〇 万 円
× 八
%
=
三 二〇 万円 の 負 担 を 負う こ と に なる
︒ 1
︶ 朝 日 新聞 は
︑﹁ 税 の 再分 配 機能
︑ 日本 は な ぜ弱 い のか
︑ 格 差 問 題 を考 え る
﹂ の 見 出 し で 次 の よう に 報 じ て い る
︵ 吉 川 啓一 郎 記 者 一五 年 三月 二 六日
︶︒ 所得 税 は︑ 昭 和六
〇 年代 ぐ ら いか ら 大幅 な 累進 緩 和を し て き た
︒ 再 配 分 の 機能 が 低 下 し た
︑ と い う 指摘 が な さ れ て い る
﹂︒ 麻 生 太 郎財 務 相は 一
〇日 の 国会 答 弁 で︑ そ う語 っ た︒ 持 てる 者 か ら取 り
︑持 た ざる 者 に分 配 す る︒ そ んな 再 分配 は
︑格 差 の 広 がり や 固 定 化を 防 ぐた め に︑ 税 や社 会 保 障が 担 って い る大 事 な役 割 だ
︒し か し︑ 日 本の 税 は︑ そ の 再分 配 機能 が 弱い と いわ れ て き た
︒た と え ば︑ 二
〇〇 九 年度 の 政府 の 経 済財 政 白書 は
︑﹁ 我 が 国 は
︑税 に よ る 再 分 配 効 果 が 極 め て 小 さ い﹂ と 指 摘 し た
︒白 書 は
︑ 所得 の 偏 り 具合 を 表す 指 標︵ ジ ニ係 数
︶ が再 分 配で ど れぐ ら い改 善 す るか を
︑税 と 社会 保 障の 効 果 に分 け て外 国 と比 較 して い る
︒ 制度 の 違 い から 単 純に 比 べら れ ない 面 は ある も のの
︑ 日本 の 税の 再 分 配力 は 当時 の 経済 協 力開 発 機 構︵ O EC D
︶二 一 カ国 の 中 で 最低 だ っ
た
︒背 景 には
︑ 麻生 財 務相 が 触 れた よ うに
︑ 所得 が 増え る と 税率 も 上が る
﹁累 進 課税
﹂ が 緩め ら れて き たこ と があ る
︒ 所 得税 の 最 高 税率 は 八三 年 まで 七 五% も あ った が
︑そ の 後は 景 気の テ コ 入れ や 消費 税 導入 な どで 減 税 が続 き
︑九 九 年に 三 七% に 低 下
︒ 今 年︑ 八 年ぶ り に引 き 上げ ら れて 四 五
%に な った
︒ 2
︶ 死 亡消 費 税
﹂と は 聞き な れな い 言葉 だ
︒ どん な 税な の か︒ 税 理士 で 立 正大 学 法学 部 教授 の 浦野 広 明 氏が 語 る︒
﹁ 国 は 今後 急 速 に 増え て いく 社 会保 障 費を 賄 い きれ な い︒ 現 役世 代 の負 担 に も限 界 があ る
︒そ こ で消 費 税 のよ う に国 民 全員 に 死ぬ と き に 財産 か ら 一 定の 税 率を
社会 保 障精 算 税 と し て納 め させ る
︒相 続 人 では な く︑ 死 者か ら 取る か ら 死亡 消 費税 な ので し ょう
︒ マ イ ナン バ ー を 導入 し たの も
︑個 人 ごと に
︑ 医療
︑ 介護
︑ 年金
︑ 労災
・ 失 業保 険 など で 払い 込 んだ 保 険 料の 総 額と
︑ 使っ た 医療 費 や 介 護サ ー ビ ス
︑受 け 取っ た 年 金 や 生 活 保 護 費 な ど の 総 額 を 計 算 し︑ 死 亡 時 に 社 会 保 障 を も らい す ぎ か ど う か わ か る よ う に す る 狙 い が あ る﹂
︵ 週刊 ポ スト 一 三年 六 月二 八 日
︶
三 消 費 税 増 税 法 の成 立 と 税 率 引 き 上 げ 自
公 政 権 が 決め た
〇 九 年度
﹁ 税 制 改 正﹂ 大 綱 は
︑﹁ 消 費 税 を 含 む 税 制 抜 本 改 革 を 経 済 状 況 の 好 転 後 に 速 や か に 実 施﹂ す る と し てい た
︵
〇八 年 一 二月 一 二 日︶
︒先 述 の 三 党 合意 に 基 づ いて
︑ 一 二 年 八月 一
〇 日 に成 立 し た
︒
⑴ 消 費 税 の 税率 引 上 げ 安 倍 晋 三 首 相は
︑ 一 三 年一
〇 月 一 日
︑官 邸 内 で 記 者 会 見 し
︑﹁ 本 日
︑ 消 費 税 を 現 行 五
% か ら 八
% に 三
% 引 き 上 げ る決 断 を し た
﹂と 表 明 す ると と も に
︑ 企業 の 設 備 投資 や 研 究 開 発に 対 す る 減税 な ど 五 兆 円規 模 の
﹁ 経済 対 策
﹂ を 発 表 し た
︒首 相 会 見 の 骨 子 は
︑﹁ 消 費 税 率 を 五
% か ら 八
% に 引 き 上 げ る こ と を 決 断
﹂︑
﹁ 経 済 再 生 と 財 政 健 全 化 を 両 立﹂
︑﹁ 五 兆 円 規模 の 経 済 対策 を 一 二 月 上旬 に 策 定
﹂︑
﹁ 法 人 税 の 実効 税 率 引 き下 げ に つ い て真 剣 に 検 討﹂
︑﹁ 復 興 特 別 法人 税 は 一 年 前倒 し の 廃 止を 検 討
﹂︑
﹁ 消費 税 率 一
〇% へ の 引 き 上げ は 経 済 状況 を 総 合 的 に勘 案 し
︑ 適切 に 判 断
﹂ で
ある
︒ 首 相 は 会見 で
︑ 日 本経 済 に つ い て﹁ 回 復 の 兆し を 見 せ て いる
﹂ こ と を消 費 税 増 税 の根 拠 と し た︒ ま た
︑ 首 相 は︑ 経 済 対 策 とし て 法 人 実効 税 率 の 引 き下 げ を
﹁ 与党 に お い て 速や か に 検 討を 開 始 す る
﹂と 表 明
︒ 復興 特 別 法 人 税 の前 倒 し 廃 止 につ い て
﹁ 検討 に あ た っ ては 廃 止 が 賃金 上 昇 に つ なが っ て い くこ と を 踏 ま え︑ 一 二 月 中に 結 論 を 得 た い﹂ と 述 べ た
︒ し か し 賃 金 上昇 に つ い ては
﹁ 経 営 者 の理 解
﹂ と 述べ る だ け で あっ た
︒ 各 種の 経 済 指 標 が一 三 年 一
〇月 一 日 に 発 表 さ れ て い る
︒ そ こ で は
︑雇 用 も 賃 金 も 消 費 も 悪 化 し て お り︑ 一 三 年 八 月 の 毎 月 勤 労 統 計 調 査
︵ 速 報 値
︑従 業 員 五 人 以 上 の 事業 所
︶ で は
︑﹁ 現 金 給 与 総 額﹂ の 平 均 は 前 年 同 月 比
〇
・ 六
% 減 の 二 七 万 一
︑九 一 三 円 と な り
︑ 二 カ 月 連 続 で 減少 し て い る
︒基 本 給 な ど﹁ き ま っ て 支 給 す る 給 与
﹂は
︑ 前 年 同 月 比
〇
・ 一
% 減 の 二 五 万 九︑ 九 二 一 円 と
︑一 五 カ 月連 続 で 減 少 して い る
︒ 同 八 月 の 完 全 失 業 者 数︵ 季 節 調 整 済 み
︶ は
︑二 七 二 万 人 で 前 月 比 二 一 万 人 増 加 し た
︒完 全 失 業 率︵ 同
︶ は 四
・ 一
% で
︑前 月 比
〇・ 三 ポ イ ン ト 悪 化 し て い る
︒ 同 八 月 の 家 計 調 査 で は︑ 一 世 帯︵ 二 人 以 上
︶ 当 たり の 消 費 支 出は 二 八 万 四︑ 六 四 六 円 で︑ 物 価 変 動 の 影 響 を 除 い た 実 質 で 前 年 同 月 比 一・ 六
% 減 少
︒ マ イ ナ ス は 二 カ月 ぶ り で あ る︒ 安 倍 首 相が 上 記 記 者 会見 を し た 一〇 月 一 日 に 発表 さ れ た 政府 指 標 は
︑ 雇用 や 賃 金 など が 軒 並 み 悪 化し
︑﹁ 景 気 回復
﹂ の 不 確 かさ を 示 し てい る
︒
⑵ 消 費 税 率 の引 き 上 げ 停止 は 国 の 義 務 一 四 年 度 税 制改 定 大 綱 は︑ 一 四 年 四 月か ら の 税 率引 き 上 げ
︵八
%
︶ に つ い て
︑税 制 抜 本 改 革 法 に 示 さ れ て い る 所 要の 措 置 を 講 ずる と し て いた
︒ こ こ で 大綱 が 講 ず る と し て い る 所 要 の 措 置 は
︑﹁ 社 会 保 障 の 安 定 財 源 の 確 保 等 を 図 る税 制 の 抜 本 的な 改 革 を 行う た め の 消 費税 法 の 一 部 を 改 正 す る 等 の 法 律﹂︵ 平 成 二 四 年 法 律 第 六 八 号
︶ 附 則 一 八 条 三 項に 規 定 さ れ てい る も の であ る
︒ こ の 附則 一 八 条 三項 は
︑ 消 費 税率 の 引 上 げに 当 た っ て の措 置 と し て︑ 次 の よ う に
述べ て い る
︒ こ の 法 律の 公 布 後︑ 消 費 税率 の 引 上 げに 当 た っ て の 経 済 状 況 の 判 断 を 行 う と と も に︑ 経 済 財 政 状 況 の 激 変 に も 柔 軟 に 対 応 す る観 点 か ら︑ 第 二 条及 び 第 三条 に 規 定す る 消 費税 率 の 引上 げ に 係る 改 正 規定 の そ れ ぞれ の 施 行 前 に
︑経 済 状 況 の 好 転 に つ いて
︑ 名 目及 び 実 質の 経 済 成長 率
︑ 物価 動 向 等︑ 種 々 の経 済 指 標を 確 認 し︑ 前 二 項 の措 置 を 踏 ま え つ つ
︑経 済 状 況 等 を 総 合的 に 勘 案し た 上 で︑ そ の 施行 の 停 止を 含 め 所要 の 措 置を 講 ず る︒
﹂ つ ま り 附 則 は︑ 消 費 税 率の 引 上 げ 施 行前 に 経 済 状況 を 勘 案 し て税 率 引 き 上げ を 停 止 す ると 定 め て いる の で あ る
︒ 厚労 省 の 調 べ では
︑ 一
〇 年度 の 所 得 金 額 別 世 帯 数 分 布 に お け る︑ 平 均 所 得 金 額 以 下 の 割 合 が
﹁ 母 子 世 帯
﹂ で は 九 五・ 一
%
︑﹁ 高齢 者 世 帯
﹂ では
九
〇
・ 三% と な っ て い る︵ 厚 労 省 調 べ
︑ 一
〇 年 度
︶︒ こ れ が 経 済 状 況 の 実 態 で あ る
︒ 国は こ の よ う な経 済 状 況 の下 で 消 費 税 率の 引 き 上 げを 中 止 す る 義務 が あ る
︒ 安 倍 首 相 は
︑一 四 年 一 一月 一 八 日 の 記者 会 見 で
︑一 一 月 二 一 日に 衆 院 を 解散 す る︑ 消 費 税 一
〇
% へ の 増 税
︵一 五 年 一
〇 月︶ を 一 七 年 四月 ま で 先 延 ばし す る と 発言 し た
︵ 中 止 で な い︶
︒一 四 年 一 一 月 の 消 費 者 物 価 指 数 は︑ 前 年 同 月 比で 二
・ 四
% 上昇
︵ 総 務 省 統 計 局︶
︒一 方︑ 賃 金 は
︑﹁ 実 質 賃 金 を み る と
︑ 名 目 賃 金 が 横 ば い で 推 移 す る 中 で 物 価 が 上 昇 し た こ と に よ り
︑ 一 三 年 は 前 年 比
〇・ 五
% 減
﹂ と な っ て い る
︵ 厚 生 労 働 省
﹃一 四 年 版 労 働 経 済 の 分 析﹄ 一 四 年 九 月
︶︒ 物 価 が 上 がり 賃 金 が 減っ て い る の だ か ら
︑ 先 の 附 則 に 基 づ き 消 費 税 増 税 を 停 止 し
︑ 八
% の 税 率 も 五
% に 戻 す のが 筋 で あ る
︒
⑶ 附 則 一 八 条三 項 は 生 存権 の 規 定 食 料 品 を は じめ と す る 生活 必 需 品 を 買わ な け れ ば人 は 生 き ら れな い
︒ 低 所得 者 ほ ど 収 入に 対 す る 食料 品 な ど の 生 活必 需 品 購 入 費の 割 合 が 高所 得 者 に く らべ 高 く な る︒ 消 費 税 が 上が れ ば 物 価も 上 が る
︒ 消費 税 を 野 放し に し た ら
︑
世間 一 般 の 人 々は 生 き る こと が で き な くな る
︒ そ れゆ え 国 は 附 則一 八 条 三 項の 国 民 の 生 活を 営 む 権 利を 保 障 す る 規 定︵ 憲 法 二五 条
︶ を 置く 義 務 が 生ず る
︒ 一 五 年 税 制 改 定 に よ っ て
﹁ 消 費 税 増 税 法
﹂ の 規 定 を
︑﹁ 消 費 税 率
︵国
・ 地 方
︶ の 一
〇
% へ の 引 上 げ 等 の 施 行 日 を 平成 二 九 年 四月 一 日 と す る﹂
︑﹁ 附 則 第一 八 条 第 三 項を 削 除 す る﹂ と 改 定 し た︒ 消 費 税 を 三
%か ら 五
% に上 げ る と き にも 附 則 一 八条 三 項 と 同 様の 生 存 権 保障 規 定 が あ った が
︑ 安 倍内 閣 は 一 五 年 税制 改 定 に よ って 憲 法 二 五条 を 投 げ 捨 てた
︒ 四 消 費 税 と 財 政 再建 は 無 関 係
⑴ 経 済 同 友 会の 提 言 経 済 同 友 会 は一 五 年 一 月二 一 日 財 政 再建 に 関 す る提 言 を 発 表 した
︒ 歳 入 面で は 一 七 年 四月 に 消 費 税を 予 定 通 り 一
〇% に 引 き 上 げる だ け で なく
︑ 一 七
% まで 段 階 的 に追 加 で 増 税 すべ き で あ る︒ 歳 出 も 社 会保 障 分 野 の大 胆 な 改 革 と 給付 カ ッ ト が 必要 だ と し て︑ 年 間 五
︑〇
〇
〇 億 円 の ペ ー ス で の 公 費 削 減 に 取 り 組 む べ き で あ る と 指 摘 す る
︒同 会 は 三〇 年 ま で の 今後 一 五 年 間の 財 政 状 況 も試 算 し て いる
︒ 名 目 成 長率 が 一
% で推 移 す る と 想定 し た う えで
︑ 一 七 年 四 月の 一
〇
% か ら消 費 税 の 追加 の 引 き 上 げを 実 施 し ない 場 合
︑ 二
〇年 の 国
・ 地方 の 基 礎 的 財政 収 支 は 一五 兆 円 強 の 赤 字と な る
︒ 国 内総 生 産
︵G D P
︶ 比で も 三
・
〇% の マ イ ナ スに な る と 予測 し た
︒ 一 七 年 四 月 に消 費 税 率 を一
〇
% に 引 き上 げ た 後 に毎 年 一
% ず つ上 げ
︑ 二 四年 度 に 一 七
%に す る ケ ース も 試 算 し て いる
︒ 社 会 保 障費 を 年 五
︑〇
〇
〇 億 円 削減 し た う え で 名 目 成 長 率 が 三
% を 維 持 す る 前 提 で
︑ こ の 場 合 は 二
〇 年 時 点
で基 礎 的 財 政 収支 が 三 兆 円弱 の 黒 字 と なり
︑ G D P比 で も
〇
・ 四% の プ ラ スに な る と 見 込ん で い る
︒ こ の 提 言 は 所得 課 税 を おろ そ か に し 社会 保 障 は 削減 す る も の で︑ 財 政 再 建策 に な っ て いな い
︒
⑵ 二
〇 一 五 年度 の 国 家 財政 表 は 国 の 一 五年 度 一 般 会計 予 算 案 で ある
︒ 予 算 の 規 模 は 過 去 最 高 の 九 六 兆 三
︑四 二
〇 億 円 と な っ て い る
︒税 収 と その 他 収 入 が 約五 九 兆 四
︑七 九
〇 億 円 であ る の で
︑ 三六 兆 八
︑六 三〇 億 円 の 国債 を 発 行 し て歳 入 不 足 を補 っ て い る
︒ その 結 果
︑ 歳 入の 国 債 依 存度 は 約 四
〇
%と な っ て いる
︒ 国 債 は
︑道 路
︑ 住 宅︑ 港 湾 な ど 建設
・ 投 資 的な も の を ま か なう 建 設 国 債 と︑ 人 件 費
︑事 務 的 諸 経 費な ど の 支 出を ま か な う 赤字 国 債 に 区分 さ れ る
︒ 財政 が ど れ だけ 安 定 し て い る か を 見 る 指 標 が 基 礎 的 財 政 収 支
︵ プ ラ イ マ リ ー
・ バ ラ ン ス balance= ︑Primary P B
︶ で ある
︒ 毎 年 の歳 出 の う ち
︑ こ れ ま で の 借 金
︵ 国 債
︶ の 返 済 費 で あ る 国 債 費
︵ 元 金 と 利 息︶ 以 外 の 政 策的 な 支 出 を︑ 税 収 と そ の 他 の 収 入 で足 り る か どう か を 示 す
︒ 足 り れ ば
﹁ 黒 字
﹂︑ 不 足 な ら
﹁ 赤 字
﹂︒ 黒 字 が 増 え れ ば 借 金 財 高 は 減 る
︒ 一 五 年度 予 算 に おけ る P B は
︑ 約 一 八 兆 三︑ 六 六 二 億 円 赤 字 と な っ
二
〇 一五 年 度 一 般会 計 予 算案 二〇 一 五 年一 月 一 四日 閣 議 決定
︒ 単 位: 億 円
︶ 歳 入
歳
出 税
収 五四 五
︑二 五
〇 国
債
費 二 三 四︑ 五〇 七 そ の 他 収 入
四 九
︑五 四
〇 基礎 的 財 政収 支 対 象経 費 七 二 八︑ 九一 三 国 債 金 三六 八
︑六 三
〇 地 方 交 付 税 交 付 金 等 一 五 五︑ 三五 八
︶ う ち建 設 国 債
六
〇
︑〇 三
〇︶ そ の 他 一 般 歳 出︶ 五 七 三︑ 五五 五
︶ う ち赤 字 国 債 三〇 八
︑六
〇
〇︶ 合
計 九六 三
︑四 二
〇 合
計 九 六 三︑ 四二
〇 国 債 費 の内 訳 は 国 債償 還
︵ 借入 返 済
︶が 一 三 三︑
〇三 五 億 円︑ 国 債 利 子が 一
〇 一︑ 四 七 二 億円 で あ る
︒
てい る
︒ 軍 事 費は 三 年 連 続で 増 額 し
︑ 史上 最 大 の 約五 兆 円 を 計 上し て い る
︒オ ス プ レ イ や水 陸 両 用 車を 買 い 入 れ る など
︑ 自 衛 隊 を︑
﹁ 海 外 で 戦争 す る 自 衛隊
﹂ に 変 質 さ せ よ う と し て い る
︒ 辺 野 古 新 基 地 建 設 の 予 算 は︑ 前 年 度 当 初 予算 比 で 八 一 倍に な る 一
︑七 三 六 億 円︵ 契 約 ベ ース
︶ を 計 上し て い る
︒
⑶ 財 政 政 策 のあ り 方 国 や 地 方 自 治体 は
︑ そ の存 立 を 維 持
・発 展 さ せ るた め に 収 入 を得 て
︑ そ れを 管 理
・ 支 出す る
︑ す なわ ち 財 政 活 動 を 行 う
︒憲 法 は 財 政 の あ り 方 に つ い て 次 の 定 め を し て い る
︒ 国 の 財 政 活 動 は 国 会 で 決 め て 行 使 す る︵ 八 三 条︶
︒ 財 政 活 動 を 行 う た め に 必 要 な 経 費 を ま か な う た め に
︑ 国 民 か ら 強 制 的 に 租 税 を 取 る
︵八 四 条︶
︒国 が 支 出 す る 経 費 や 借入 金 の 返 済 は国 会 で 決 る︵ 八 五 条︶
︒国 の 一 会 計年 度 の 収 入
・支 出 の 見 積も り で あ る 予算 も ま た 国会 で 決 め る
︵八 六 条
︒︶ こ ん に ち の 財政 政 策 が 重視 し な け れ ばな ら な い のは 次 の 点 で ある
︒
① 公 共 財 の供 給
⁝
⁝ 道路
・ 公 園
・ 下水 道 や 教 育な ど
︑ 人 び との 日 常 生 活に と っ て 必 要で あ り
︑ 私的 に は 供 給 が む ず か し い公 共 財 の 供給
② 所 得 と 富の 再 分 配
⁝⁝ 所 得 の 多 い人 ほ ど 高 率の 税 金 を 納 める 累 進 課 税制 度 を 採 用 して
︑ 分 配 の平 等 化 を は か る
︒ ま た
︑所 得 分 配 が不 平 等 と な る原 因 の 一 つは
︑ 利 子
・ 配当
・ 地 代 のよ う な 所 得 を生 む 財 産 が不 平 等 に 所 有 さ れ て い るこ と に あ る︒ そ こ で
︑ 相続 税 を 課 すこ と に よ っ て不 平 等 を 是正 す る
︒
③ 景 気 の 調整
⁝
⁝ 不 況期 に は 財 政 支出 を 増 大 させ
︑ 好 況 期 には 財 政 支 出を お さ え る
︒ま た
︑ 不 況期 に は
︑ 税 収 が 減 る と とも に
︑ 社 会保 障 費 が 増 えて 需 要 造 出効 果 が う ま れ︑ 景 気 に 刺激 を あ た え る︒ 反 対 に 好況 期 に は
︑ 税 収 が 増 え
︑失 業 対 策 費な ど が 減 っ て景 気 を 抑 制す る
︒
④ 福 祉 の 実現
⁝
⁝ 財 政政 策 は
︑ た んに 分 配 の 平等 や 雇 用 の 維持 だ け で なく
︑ 豊 か で 安定 し た 社 会を つ く る た め に
︑ 社 会 保障 の 充 実 をめ ざ し て 運 営
1︶
す る
︒
⑷ 応 能 負 担 原則 の 中 心 は所 得 課 税 税 制 論 議 は 日本 国 憲 法 の応 能 負 担 原 則︵ 応 能原 則
︒ 主な 根 拠 は 一三 条
︑ 一四 条
︑ 二 五 条
︑二 九 条 な ど
︶ に 一 致 す る 税 制が 何 で あ る かが 解 明 す るも の で な け れば 有 害 無 益で あ る
︒ 所 得 課 税
︵国 税 で は 所 得 税 や 法 人 税︶ は 所 得
︵ 利 益
︶ に 対し て 課 す 税 であ る か ら
︑応 能 原 則 を 具体 化 す る のに 最 適 で あ る︒ 一 方
︑ 消費 税 は
︑ 税 負担 と 所 得 の割 合 を 見 れ ば わか る よ う に
︑低 所 得 者 ほど 重 い 負 担 とな り
︑ 応 能原 則 に 逆 行 する
︵ 逆 進性
︒︶ 九
〇 年 度 に おけ る 税 収 は︑ 所 得 税 が 二六 兆 円
︑ 法人 税 が 一 八 兆四
︑〇
〇
〇 億円
︑ 合 わ せて 四 四 兆 四
︑〇
〇
〇 億 円 で あっ た
︒ 一 五 年度 に お け る概 算 税 収 は
︑所 得 税 が 一六 兆 四
︑四 二〇 億 円
︑ 法 人税 が 一
〇 兆九
︑九
〇
〇 億円
︑ 合 わ せ て 二七 兆 四
︑三 二〇 億 円 で あ る︒ 所 得 税 と法 人 税 の 一 五年 度 収 入 は一 九 九
〇 年 度よ り 約 一 七兆 円 の 減 収 にな っ て い る︒ その 主 原 因 は
︑大 企 業 に 対す る 法 人 税 優遇
︑ 富 裕 層に 対 す る 所 得税 の 優 遇
︑消 費 税 に よ る不 況 の 深 刻化 で あ る
︒ し かも
︑ 一 五 年 度の 税 収 の トッ プ は 消 費 税︵ 一 七兆 一
︑一 二
〇 億円
︶ で あ る︒ 財 政 の 不 安 定化 は 所 得 課 税 を お ろ そ か に し た 結 果 で あ る︒ 消 費 税 強 化 論 は 所 得 課 税 弱 体 化 論
︵ 大 企 業
・資 産 家 優 遇
︶ と 表 裏 一体 で あ る
︒し た が っ て 消費 税 の 増 税に よ っ て 財 政が 健 全 化 する は ず は な い︒ 家 計 で あ ろ う と 国 家 で あ ろう と 収 支 を 好転 さ せ る には
︑ 収 入 と 支出 の 両 面 を正 す こ と が 欠か せ な い
︒不 公 平 な 税 制を た だ す 会は
︑ 応 能 原 則 に基 づ く 税 制 改正 に よ っ て︑ 国 税
・ 地 方税 が 一 年 間 に 二 一 兆 九
︑九 八 五 億 円 の 増 収 に な る と 控 え め な 試 算 し て い る
︵ 同 会 編
﹃ 福 祉 と ぜ い き ん
﹄一 四 年 五 月 三
〇 日︑ 図 参 照
︒︶ ま た
︑ 垣 内 亮 氏 は
︑ む だ な 歳 出 の 削 減 で 三 兆 六
︑三
〇
〇 億 円の 財 源 が 確 保で き る と 指摘 す る
︵﹃ 消 費税 が 日 本を ダ メ にす る
﹄︵ 新 日 本出 版 社
︶︶
︒
応 能 原 則 に 反す る 消 費 税増 税 で 税 収 は増 え る の であ ろ う か
︒ 朝日 新 聞 は
﹁消 費 税 増 税 をし た か ら と言 っ て 税 収 全 体が 増 え る と は限 ら な い
︒九 七 年 四 月 に消 費 税 率 を三
% か ら 五
%に 引 き 上 げた 時
︑ 九 七 年度 の 国 の 税収 は 前 年 度 か ら二 兆 円 増 え て五 四 兆 円 にな っ た が
︑ それ 以 降 は 景気 低 迷 で 所 得税 や 法 人 税が 伸 び ず
︑ 九七 年 度 の 税収 を 超 え た こ と は な い
︒﹂ と 指 摘 す る︵ 二
〇 一 二 年 八 月 一 一 日
︶︒ 大 多 数 の 国 民 の 幸 福 に 結 び 付 く 国 民 本 位 の 税 制 改 革 は
︑ 総 合 累 進課 税 の 回 復 が最 重 要 と なる
︒ 企 業 や 所得 者 が 能 力に 応 じ た 負 担を す れ ば
︑消 費 税 を 上 げる 必 要 は なく
︑ 社 会 福 祉 への 財 源 が 生 まれ る
︒ 応 能 原 則 に よる 租 税 の 中心 に 位 置 す べき 租 税 は
︑担 税 力 の 把 握が 容 易 な 所得 課 税 と な る︒ 図 が 示 すよ う に 税 の 中 心に 位 置 す べ き国 税 の 所 得課 税
︵ 所得 税 や 法人 税
︶ の 減 収は 異 常 で ある
︒ 税 制 改正 に よ る増 収 試 算
︻ 国
税︼
増 収 額 一
︑ 法 人税 の 是 正
⑴ 受取 配 当 金の 益 金 不算 入 廃 止
一 兆 九
︑一 八 二億 円
⑵ 引当 金
・ 準備 金 の 廃止
︵
①
〜⑦
︶
六
︑八 四 八億 円
① 返品 調 整 引当 金 四 七億 円
② 海外 投 資 損失 準 備 金一 七 一 億円
③ 保 険会 社 等 の 異常 危 険 準 備金 九 七 億円
④ 探 鉱・ 海 外 探 鉱 準 備 金 二 七 億 円
⑤ 使 用 済 燃 料 再 処 理 準 備 金 六︑ 二 九 三 億円
⑥ 新 幹線 鉄 道 大規 模 改 修準 備 金 一〇
〇 億 円⑦ 特 別 修繕 準 備 金一 一 三 億 円
⑶ 特別 償 却
︑割 増 償 却の 廃 止
六 九億 円
⑷ 新鉱 床 探 鉱費 等 特 別控 除 の 廃止
五 一億 円
⑸ 試験 研 究 費の 税 額 控除 廃 止
三
︑二 七 五億 円