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どのような稀観本(きこうぼん一 の稀観本を紹介することとした。
の中から
西洋服飾稀観書(27) Art・GoOt・Beaut6 について 一20世紀初期のユニークなファッションブック(1)
図書館長・教授(西洋服装史担当)石山 彰
20世紀にはいると,ファッション・ブックはほと んど一せいに白黒の網目写真版,一部は2・3色刷 のそれか,もしくは石版印刷に変ってくる。こうし て,銅版手彩色のファッション・プレートを挿入し たあの格調高い流行雑誌が終焉するのは,事実上19 世紀末のことだというのが,今では半ば定説になっ ている。
ところが,20世紀になってからもなんとか前世紀 流行雑誌の格調高いあの手作り様式を保っていこう
とする幾つかの試みが現れた。ここでいうユニーク なファッション・ブックとは,そうした服装雑誌の ことである。以後数回にわたってこの種雑誌の幾つ かを,特色,技法,評価なども考え合せながら紹介
しようと思う。比較的新しいものの順に記していく とすれば,第一にあげられるのはこの雑誌である。
〔383.135A〕Art・Gofit・Beaut6もしくはArt
・Gout・Bon Ton, Paris,1921〜1933.つまり「芸術
と趣味と美しさ」もしくは「芸術と趣味と上品さ」
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という意味のタイトル誌で,通例『A・G・B』と 略されている。1921年秋までのタイトルの末尾は Bon Tonであるが,冬以降はBeaut6に改められ ている。本誌のユニークさはまず冊子の形式に現れ ている。Feuillets de l elegance feminene(女性の
優雅さのフィエー)という副題が示すように,刷っ た全紙を4つ折のままにして綴(と)じることなく表 紙をつけ,紐がけしたもので,毎月8枚つまり1帖 分の16ペー一一ジ仕立てというのが基本になっている。
この形式は当時としては破格であり,早速わが国で も表紙や中味を模倣した婦人誌が現れた。〔051.6 F〕『婦人グラフ』というのがそれで,この雑誌は 当時のモダニズムの象徴として話題を呼んだ。大正 13年(1924)から昭和3年(1928)まで国際情報社 から刊行され,竹久夢二作の木版画など,多色刷の 挿絵が誌面に張りこまれているので,今では古書展 などでも予想外の高値を呼んでいる。
手本となったA・G・Bは,もちろん,それより と 題婦
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も数等エレガントでほれぼれする程の出来ばえなの は,当時一級の挿絵画家H・ルーイ(ROuit)*が美 術ディレクターをつとめているからである。彼はし ばしば自らの挿絵を別刷りにして誌面のあちこちに 張りこんだのである。そして,これには必ずArt−
Gofit−Beaut6の文字が,あたかもサインのように刷 り込まれている。特定のプレートの彩色にはステン シルのような方法がとられている。今でいえばシル クスクリーンに似た方法で,型紙を切り抜き,それ を紙面に当てて刷毛や平筆で顔料をすりこんでいく ので,浮世絵のようにしっとりとした深みと落ちつ きが出る。この技法は正しくはフランス語でポショ アール(pochoir)と呼ばれる。そうした良さはとり わけ1923年代から一層特徴を増してくるのである が,1925年以降になると部数が増大したためか,手作 りのイメージが次第に失われて量産向きの近代的印 刷方式が目立ってくる。『婦人グラフ』はそのころ
の様式を手本としたもので,たとえば布地のプリン ト・デザインを毎号,中表紙に挿入したことなどに も,それがよく現れている。A・G・Bがそれを始 めたのは1928年の春からである。
本館にはコンプリートに揃っているわけではな く,今のところ在庫は次のとおりなので,欠号は入 手できるものから順次補っていく予定である。そう はいうものの,今となっては容易に埋まらない。
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